説明

変調テーブルの最適解探索方法、およびその変調テーブルを搭載したホログラム情報記録再生装置

【課題】ホログラム情報記録再生装置に搭載され、画像情報信号の各画素情報を表す、信号ビット列とブロックパターンとの対応関係を定めた変調テーブルの最適解を、実用上使用しうる時間内に決定できるようにする。
【解決方法】変調テーブル12において、各信号ビット列間のハミング距離と、各ブロックパターン(構成ピクセルがマトリックス状に配列)の構成ピクセル間のユークリッド距離とが、比例関係となるように形成する。ページデータは、信号ビット列の形式で制御部2の変調テーブル12に入力され、ブロックパターンの形式に変調されてSLM3に送出される。一方、撮像素子7にて得られたページデータは制御部2の変調テーブル12により、ブロックパターンの形式から信号ビット列の形式に復調され、出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変調テーブルの最適解探索方法に関し、詳しくはホログラム情報記録再生装置に搭載される、効率的な変調テーブルの最適解を探索する方法、およびその変調テーブルを搭載したホログラム情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量かつ高速に記録再生を行い得るホログラフィックメモリが注目されている。ホログラフィックメモリは、参照光および信号光と称される2つのコヒーレント光を互いに干渉させ、生じた干渉縞を記録媒体に屈折率変化情報として記録、保持する。信号光はページデータと称される二次元データ画像により空間的に変調される。このようなページデータの変調方式としては、2−4変調、5−9変調、9−16変調などのブロック変調方式が提案されている(下記特許文献1等を参照)。
【0003】
例えば、上述した5−9変調の場合、入カデータ5ビットを縦3横3の合計9ピクセルからなるマトリクスブロックにおいて、2箇所をONピクセルとすることで表現し、これらを空間光変調器上に並べて表示することで信号光を変調する。5ビットは(00000)〜(11111)の32通りのビット列であるから、9ピクセルのうち2箇所をONピクセルとした36通り(=)のマトリクスブロックの中から選択した32種類のマトリクスブロックと1対1に対応させて表すことができる。
【0004】
下記特許文献1には、ON(明)ピクセルの増加と連続により生じる媒体飽和を軽減する方法が開示されているものの、この特許文献1を含め、実際のビット列をどのようなマトリクスブロックに割り当てるか、という対応関係を具体的に定めた「変調テーブル」の検討がこれまでなされていなかった。
【0005】
ここで、「変調テーブル」とは、入力された信号ビット列に応じて、予め対応づけられたブロックパターンを出力する、または入力されたブロックパターンに応じて、予め対応づけられた信号ビット列を出力する、テーブルであり、例えば、制御部のメモリ内に格納されている。
【0006】
また、図8は、5−9変調における変調テーブルの役割を表す概念図であり、さらに、図9(A)は、上記36通りのブロックパターンの概要を、図9(B)は、5−9変調テーブルの一例を、各々示すものである。図9(B)に示す通り、5−9変調テーブルは互いに重複しない1〜36までの数字の中から32個を抜き出して並べた「順列」であり、一次元配列として格納される。
【0007】
なお、変調テーブルの順列構成次第で、例えば、誤り率において有利となったり、不利となったりする。これは無線伝送におけるQPSKや8PSKのグレイコード配置が自然二進配置より有利とされるのと同様の理由による。すなわち、ホログラム記録においても無線伝送と同様に、誤り率の点で有利な変調テーブルを具体的に検討しておく必要がある。
【0008】
【特許文献1】特許第3535776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1記載のものにおいても、変調テーブルの順列構成、すなわち、どの信号ビット列をどのブロックパターンに対応づけるか、という具体的手法が何ら検討されていなかった。
【0010】
例えば上述した5−9変調を採用したとすると、変調テーブルの総数は順列の並べ替え総数であるから36P32=1.55×1040という膨大な数となる。したがって、これを総列挙法により全て評価し、実用的な時間内で最適解を得ることは極めて困難である。またランダム探索法を用いたとしても解空間が極めて広いため、探索時間は総列挙法と余り変わらず、いわゆる巡回セールスマン問題などと同様に、NP困難とされる難問に分類されるものとなり、現実的ではない。
【0011】
そこで、本発明は、実用上使用しうる時間内で最適な変調テーブルを特定し得る、変調テーブルの最適解探索方法、およびその変調テーブルを搭載したホログラム情報記録再生装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の変調テーブルの最適解探索方法は、
ホログラム情報記録再生装置に搭載され、画像情報信号の各画素情報を表す、信号ビット列とブロックパターンとの対応関係を定めた変調テーブルの最適解を探索する方法において、
前記ブロックパターンの構成ピクセルの配列をマトリックス状とし、前記変調テーブルは、前記信号ビット列間のハミング距離と、該ブロックパターンの構成ピクセル間のユークリッド距離とが互いに比例するように形成することを特徴とするものである。
【0013】
この場合において、前記ハミング距離と前記ユークリッド距離との差の絶対値を、全ての前記信号ビット列について算出して総和し、その総和した値が最も小さくなるように最適解探索して変調テーブルを決定することが望ましい。
【0014】
また、前記最適解探索は、遺伝的アルゴリズムを用い、所定の評価関数の値を所定の規定値以下とし得る回数分だけ、所定の処理を繰り返し行うことが望ましい。
【0015】
また、本発明のホログラム情報記録再生装置は、
上記いずれかの変調テーブルの最適解探索方法を用いて形成した変調テーブルを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
なお、上記「変調テーブル」とは、画像情報信号の各画素情報を表す、信号ビット列とブロックパターンとの対応関係を定めたものであり、信号ビット列の入力に応じて、対応するブロックパターンを出力する場合、およびブロックパターンの入力に応じて、対応する信号ビット列を出力する場合、のいずれかについて用いられるものであってもよいし、両者にについて用いることができるものであってもよい。
【0017】
また、上記「比例する」とは、一方が大きいときは他方も大きく、一方が小さいときは他方も小さい、という程の関係があることを意味するものである。
さらに、上記「ホログラム情報記録再生装置」には、ホログラム情報記録のみを行う装置、およびホログラム情報再生のみを行う装置も含まれるものとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の、変調テーブルの最適解探索方法によれば、前記ブロックパターンの構成ピクセルの配列をマトリックス状とし、前記変調テーブルは、前記信号ビット列間のハミング距離と、該ブロックパターンの構成ピクセル間のユークリッド距離とが互いに比例するようにして、この変調テーブルの最適解を探索させることにより、実用上使用しうる時間内に最適な変調テーブルを特定することが可能となる。
【0019】
ここで、ホログラフィックメモリから再生されるページデータは、ノイズを含むブロックパターンの集合であり、誤った輝点位置を検出、復号する可能性がある。正しいビット列に対する誤ったビット列のハミング距離と、正しい輝点位置に対する誤った輝点位置のユークリッド距離との関係を考えると、ユークリッド距離が小さい場合に誤りビットが少ない(ハミング距離が小さい)ことが望ましく、ユークリッド距離が大きい場合に誤りビットが多い(ハミング距離が大きい)ことが望ましい。すなわちハミング距離とユークリッド距離が比例関係にあれば、その変調テーブルは適正であると考えることができる。
【0020】
また、本発明のホログラム情報記録再生装置によれば、変調テーブルの作成を効率的に行うことができるので、装置作製の迅速化および低廉化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明に係る変調テーブルの最適解探索方法を実施するホログラム情報記録再生装置について図1を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係るホログラム情報記録再生装置1の主要光学系を概念的に示す図である。なお、図1において、光学系の上流側の各部材は図示を省略されている。
【0022】
<情報記録機能>
図1に示すように、レーザ光源から出射されたコヒーレントなレーザ光束は、ビームスプリッタにより2系の光束に分岐され、それぞれ信号光(物体光:実際にはSLM3により信号光とされる)および参照光として機能せしめられる。
上記参照光はホログラム記録媒体5上の所定の領域に照射される。
一方、上記信号光は、SLM(空間光変調素子)3に照射される。
【0023】
SLM3としては、液晶表示パネルやDMD(デジタルマイクロミラーデバイス:Digital Micromirror Device)等のライトバルブが用いられ(本実施形態では、液晶プロジェクタ用途に量産されている一般的な透過型液晶表示パネルが使用されている)、制御部2から伝送されたページデータ情報が入力され、その入力に応じて該ページデータがブロックパターン(構成ピクセルの配列がマトリックス状とされている)を配列した形式で表示される。
【0024】
ところで、このページデータ情報は、外部メモリ等から、信号ビット列の形式で制御部2に入力され、変調テーブル12に入力される。変調テーブル12は、図9(B)に示すように、信号ビット列とブロックパターンを対応付けたテーブルであり、入力された信号ビット列に応じたブロックパターンを出力する。
【0025】
そして、SLM3上の各ピクセルに所定のブロックパターンが配列表示され、この表示された2値のデジタル情報に応じて光が通過(または反射)/遮断されることで、空間的に光が変調される。この光変調処理によりページデータ情報を担持した信号光が生成される。
【0026】
SLM3から出射された信号光は、第1のFTL(フーリエ変換レンズ:Fourier Transform Lens)4によって光学的にフーリエ変換されてホログラム記録媒体5へ照射される。このときホログラム記録媒体5中の信号光が通過する場所へ、別角度から、上記参照光が同時に照射されるので、ホログラム記録媒体5中に干渉縞が生じ、この縞分布を屈折率変化などの形態で光反応性の記録媒体5の記録領域に転写することによりホログラム記録が行われる。なお、ホログラム記録媒体5としては、例えば、フォトポリマー系材料を2枚のガラス板間に挾んだ形状のものを用いる。
【0027】
なお、互いに異なるページデータを順次SLM3に表示させつつ、参照光のホログラム記録媒体5への入射角度等を少しずつ変化させることにより、互いに異なるページデータを記録媒体5中の同一領域に多重記録することが可能となり、さらに高密度な情報格納が可能となる。
【0028】
<情報再生機能>
また、情報再生時において、参照光は、情報記録時と同様の条件(例えば入射角度および位置)でホログラム記録媒体5の所定の領域に照射される。
【0029】
これにより、所望のページデータ情報を担持した回折光がホログラム記録媒体5から出力され、この回折光が第2のFTL(フーリエ変換レンズ)6を介してCCD撮像素子7に入射し撮像され、撮像して得られたブロックパターン形式のページデータ信号は制御部2に送出される。そして、制御部2の内部に配された変調テーブル12により、所定のブロックパターンの形式から信号ビット列の形式に復調される。
この後、図示されない信号処理部等においてページデータの演算処理等が行われ、データ再生が終了する。
【0030】
以下、変調テーブルに必要なハミング距離とユークリッド距離および評価関数について説明し、次に遺伝的アルゴリズムによる最適解探索処理について具体的に説明し、最後に本実施形態による効果について説明する。すなわち、本発明に係る変調テーブルの最適解探索方法が、信号ビット列間のハミング距離と、ブロックパターンの構成ピクセル間のユークリッド距離とを互いに比例させるように形成するものであることを、具体的かつ詳細に説明する。
【0031】
なお、以下の説明においては、説明の便宜のため5-9変調を代表例として説明する。
【0032】
<変調テーブルの評価関数の定義>
ホログラフィックメモリから再生されるページデータは、ノイズを含むブロックパターンの集合であり、誤った輝点位置を検出し、復号する可能性がある。正しいビット列に対する誤ったビット列のハミング距離と、正しい輝点位置に対する誤った輝点位置のユークリッド距離との関係を考慮すると、ユークリッド距離が小さい場合に誤りビットが少ない(ハミング距離が小さい)ことが望ましく、ユークリッド距離が大きい場合に誤りビットが多い(ハミング距離が大きい)ことが望ましい。
【0033】
すなわち、ハミング距離とユークリッド距離が比例関係にあれば、その変調テーブルは適正であるとする。
【0034】
これを実現している二進符号の例としてグレイコード配置が挙げられる。
図2に無線伝送技術において知られているQPSKの自然二進数配置とグレイコード配置における、符号(00)に対するハミング距離lとユークリッド距離lとの関係を示す。グレイコードはハミング距離の大きい符号にユークリッド距離の長い符号を割り当てるので、誤り率の点で有利である。
【0035】
そこで、変調テーブルの優劣を決定付ける評価関数fevalを次式(1)〜(3)にしたがって定める。
【0036】
【数1】

【0037】
【数2】

【0038】
このように、評価関数として、ある符号iに対する誤った符号jのハミング距離を計算し、現在候補となっている変調テーブルにて割り当てられたブロックパターンに基づき規格化したユークリッド距離を算出し、得られたハミング距離と規格化ユークリッド距離との差の絶対値を求め、これを符号iの現在のスコア値とする。
【0039】
さらに、全ての符号iについてスコア値を求め、スコア値の合計を評価関数と定める。
なお、評価関数値ならびにスコア値は小さな値であるほど望ましいといえる。
【0040】
ところで、5−9変調において二つの輝点が誤った位置で検出された場合、ユークリッド距離の算出方法は複数考えられる。
【0041】
【数3】

【0042】
<遺伝的アルゴリズム探索>
評価関数が最小の変調テーブルを探し出し、これをホログラム記録再生に用いる。
以下、図4のフローチャートを用いて遺伝的アルゴリズム探索について説明する。
【0043】
まず、乱数により複数の「親」と称される初期の変調テーブル群(個体数n)を作成し(S1)、これらに遺伝的アルゴリズムを適用する。
一般的な遺伝的アルゴリズムでは2つの遺伝子の一部を互いに交換する処理が用いられるが、本実施形態の変調テーブルは順列とされているので、変調テーブル内の2箇所の要素を入れ替える処理を基本操作とする(例えば、配列番号4番と15番の入替処理)。
【0044】
上記基本操作を用いて、親の変調テーブルについてそれぞれの評価関数値を算出する(S2)。
【0045】
得られた評価関数値のうち最も小さな値を有する1つの変調テーブルを選択し(S3)、「エリート」として無条件に次世代へ引き継ぐ「エリート戦略」処理を行う。これと共に、エリートの変調テーブル内のランダムな2要素の入れ替えを複数回行う「一様交叉」(S4)、さらに、突発的な2要素の入れ替えを所定の確率で生ぜしめる「突然変異」(S5)の各処理を連続して行うことで、次世代の「子」と称される変調テーブルを個体数n−1だけ作成する。これにより子テーブル群の個体数はn個となる(S6)。
【0046】
次世代演算では「子」を「親」へ格上げし(S7、S8)、上記S2から上記S8の処理を規定ループ回数だけ繰り返す。ここで規定ループ回数とは、評価関数の値を規定値以下とし得る回数分ということになるが、具体的な回数としては、予めそのような評価関数の値が規定値に到達する(または以下となる)ループ回数を求めておいて、上記S7の所定値Pとして設定してもよい。また、所定の回数毎に、評価関数の値を検出し、その値が規定値に到達している(または以下となっている)場合には、その回数で終了するようにしてもよい。
【0047】
なお、上述した個体数nとしては3〜300程度の値とすることが望ましく、突然変異率としては0.1〜0.6程度の値が望ましい。なお、本実施形態の探索では、例えば、個体数n=36、突然変異率0.3とする。
【0048】
次に、図5は、遺伝的アルゴリズムを用いた評価関数値の探索履歴を、ランダム探索法(比較例)の結果と併せて示すものである。
【0049】
探索を3回行ったところ、いずれもランダム探索法に比べ少ないループ回数で評価関数を規定値feval=0.594に到達させることができたため、これを最適な変調テーブルと定めた。
なお、ランダム探索を10,000,000回行うには12時間を要したが、それでもfeval=0.963に留まった。したがってfeval=0.594に到達させるには大幅な時間が必要であり、現実的ではない。
【0050】
一方、遺伝的アルゴリズム探索は大きく見積もっても5分程度で終了した。なお、検索演算は、一般に使用されるパソコン(CPU:Pentium(登録商標)4、クロック周波数:3GHz)を用いて行った。
【0051】
<変調テーブルの性能評価>
評価関数値が最良(feval=0.594)な変調テーブル(best table)と評価関数値が最悪(feval=1.298)な変調テーブル(worst table)を用いてランダムデータ列からページデータを構成し、これにノイズが加えられた場合のSNR(Signal to Noise Ratio)とビット誤り率との関係を計算機シミュレーションにより調べた。
【0052】
ランダムデータ列を541kbits、ページデータを999×999ピクセルとし、これにAWGN(加法的白色ガウスノイズ)を加えたのち復調した。なお、割り当てのない4つのブロックパターンが検出された場合、00000を復調語とした。
【0053】
図6に最良/最悪の変調テーブルの性能評価シミュレーション結果を示す。なお、SNRの計算は次式(4)を用いた。
【0054】
【数4】

【0055】
ここでμONおよびμOFFは、それぞれページデータのヒストグラムにおける白(ON)ピクセルおよび黒(OFF)ピクセルの平均値であり、σONおよびσOFFは、それぞれページデータのヒストグラムにおける白(ON)ピクセルおよび黒(OFF)ピクセルの分散である。
【0056】
また、図7に最悪の変調テーブルのエラー数(BER(worst))に対する最良の変調テーブルのエラー数(BER(best))の割合を示す。最良な変調テーブルの場合は最悪な変調テーブルの場合に比べ約20%程度の誤りビット削減効果があることがわかった。
【0057】
本実施形態はノイズ源に白色ガウスノイズを用いているが、実際の記録再生系では符号間干渉すなわちONピクセルがOFFピクセルまで拡がることにより発生するノイズが大きな割合を占めると考えられ、この場合にはハミング距離とユークリッド距離の関係が適切か否かという点が、より大きな影響を与えることになる。すなわち、本来のONピクセルに隣接したOFFピクセルを誤ってONピクセルと検出してしまうエラーが多く、これはユークリッド距離の小さいエラーが多いということである。ユークリッド距離の小さいエラーにハミング距離の小さな符号を割り当てておけば(すなわち本発明を適用しておけば)効果的であるため、そのような場合における本発明により奏される効果はより顕著になると考えられる。
【0058】
なお、本発明ものにおいては、5−9変調に限られるものではなく、9−16変調やその他のブロック変調符号に適用することが可能である。また、m,nを整数としてm−n変調を考えた場合、nが小さい方式(例えば1−2変調や2−4変調)では総列挙法やランダム探索法に要する計算時間が少ないため相対的に本発明による効果は小さい。しかし、特にnが9以上になると総列挙法やランダム探索法に比べ極めて短時間に解を得ることができ、本発明により奏される効果は、より大きなものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態を実施するホログラム情報再生装置を示す概略図
【図2】無線伝送の自然二進数配置とグレイコード配置における、ハミング距離とユークリッド距離の関係を示す図
【図3】誤った変調パターンが検出された場合のユークリッド距離の算出の一例を表わす図
【図4】本発明の実施形態に係る遺伝的アルゴリズム探索法を示すフローチャート
【図5】本発明の実施形態に係る評価関数値を求めるための遺伝的アルゴリズム探索法とランダム探索法の探索履歴を示すグラフ
【図6】評価関数値より得られた最良の変調テーブルと最悪の変調テーブルの性能を評価するためのシミュレーショングラフ
【図7】最悪の変調テーブルに対する最良の変調テーブルのエラー数の割合を示すグラフ
【図8】本発明の実施形態に係る5−9変調における変調テーブルの対応付けの一例を表わす概略図
【図9】本発明の実施形態に係る5−9変調におけるブロックパターン(A)と変調テーブル(B)の一例を示す図
【符号の説明】
【0060】
1 ホログラム情報記録再生装置
2 制御部
3 SLM
4、6 FTL(フーリエ変換レンズ)
5 ホログラム記録媒体
7 CCD撮像素子
12 変調テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラム情報記録再生装置に搭載され、画像情報信号の各画素情報を表す、信号ビット列とブロックパターンとの対応関係を定めた変調テーブルの最適解を探索する方法において、
前記ブロックパターンの構成ピクセルの配列をマトリックス状とし、前記変調テーブルは、前記信号ビット列間のハミング距離と、該ブロックパターンの構成ピクセル間のユークリッド距離とが互いに比例するように形成することを特徴とする変調テーブルの最適解探索方法。
【請求項2】
前記ハミング距離と前記ユークリッド距離との差の絶対値を、全ての前記信号ビット列について算出して総和し、
その総和した値が最も小さくなるように最適解探索して変調テーブルを決定することを特徴とする請求項1記載の変調テーブルの最適解探索方法。
【請求項3】
前記最適解探索は、遺伝的アルゴリズムを用い、所定の評価関数の値を所定の規定値以下とし得る回数分だけ、所定の処理を繰り返し行うことを特徴とする請求項2記載の変調テーブルの最適解探索方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項記載の変調テーブルの最適解探索方法を用いて形成した変調テーブルを備えたことを特徴とするホログラム情報記録再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−26386(P2009−26386A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188756(P2007−188756)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】