説明

変速スイッチ

【課題】本発明は、ウエイクアップ接点付きの変速スイッチ30の操作ストロークを短くして、変速スイッチ30の操作性を向上させることである。
【解決手段】本発明に係る変速スイッチ30は、スイッチ操作部31の変位量に応じて電動工具のモータに対する電力供給量を増減させるための電気信号を出力可能に構成された変速スイッチであって、スイッチ操作部31の操作開始時に動作する接点であり、モータの制御回路部に電圧を加え、その制御回路部を動作可能な状態にするウエイクアップ接点60と、ウエイクアップ接点60の動作後、スイッチ操作部31が変位することによるスイッチ操作部31からの押圧力を受け、その押圧力に応じた電気信号を出力可能に構成された荷重センサ35とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具に取付けられており、スイッチ操作部の変位量に応じてその電動工具のモータに対する電力供給量を増減させるための電気信号を出力可能に構成された変速スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電動工具では、バッテリの電力消費を抑えるためのウエイクアップスイッチを備えており、そのウエイクアップスイッチにより使用時以外はモータの制御回路部の電源が切れるように構成されている。
特許文献1に記載された電動工具では、変速スイッチにウエイクアップスイッチ(接点)が組込まれている。即ち、変速スイッチは、指で引き操作されるトリガと、そのトリガの引き操作に連動する摺動式の可変抵抗等を備えるスイッチ本体部と、そのスイッチ本体部内に組込まれたウエイクアップスイッチ(接点)とから構成されている。そして、トリガがバネの力に抗して、図11に示すように、一定量L0だけ引き操作された状態でウエイクアップスイッチ(接点)がオンして制御回路部に電圧が加わるようになる。さらに、この状態からトリガが引き操作されると、引き操作量に応じて可変抵抗の抵抗値が変化し、前記制御回路部が前記抵抗値の変化に伴ってモータに対する電力供給量を増減させることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−260675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した変速スイッチでは、図11に示すように、一定量L0だけ引き操作された状態でウエイクアップスイッチ(接点)がオンして制御回路部に電圧が加わるようになる。さらに、この状態からトリガが引き操作されることで、引き操作量に応じて可変抵抗の抵抗値が変化し、前記制御回路部が前記抵抗値の変化に伴ってモータに対する電力供給量が増減するようになる。
即ち、上記した変速スイッチでは、ウエイクアップスイッチをオンさせるためのストロークL0と、可変抵抗を動作させるためのストロークとが必要になるため、変速スイッチの操作ストロークが大きくなる。このため、電動工具を長時間使用する際に指が疲れ、操作性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ウエイクアップ接点付きの変速スイッチの操作ストロークを短くして、変速スイッチの操作性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、電動工具に取付けられており、スイッチ操作部の変位量に応じてその電動工具のモータに対する電力供給量を増減させるための電気信号を出力可能に構成された変速スイッチであって、前記スイッチ操作部の操作開始時に動作する接点であり、前記モータの制御回路部に電圧を加え、その制御回路部を動作可能な状態にするウエイクアップ接点と、前記ウエイクアップ接点の動作後、前記スイッチ操作部が変位することによる前記スイッチ操作部からの押圧力を受け、その押圧力に応じた電気信号を出力可能に構成された荷重センサとを有することを特徴とする。
【0007】
本発明によると、スイッチ操作部を操作することで、最初にウエイクアップ接点が動作し、その後に、荷重センサがスイッチ操作部の押圧力に応じた電気信号を出力する。これにより、電動工具のモータに対する電力供給量が増減して、前記モータの回転速度が増減するようになる。
ここで、荷重センサは、スイッチ操作部の押圧力に応じた電気信号を出力する構成のため、スイッチ操作部の変位量を従来の摺動抵抗方式の場合の変位量と比較して非常に小さくできる。このため、電動工具を長時間使用しても指が疲れ難く、操作性が向上する。
【0008】
請求項2の発明によると、スイッチ操作部からの押圧力が弾性体を介して荷重センサに加わるように構成されていることを特徴とする。
このため、荷重センサに対してスイッチ操作部から想定以上の荷重が加わることがなくなり、荷重センサの損傷を防止できる。
【0009】
請求項3の発明によると、ウエイクアップ接点は、支点を中心に回動可能な状態で支持された天秤状部材と、前記天秤状部材が前記支点を中心に回動することでその天秤状部材が接離する受け部材とから構成されて、前記天秤状部材が前記受け部材に接触することでオン、離隔することでオフする構成であり、前記スイッチ操作部に形成された押圧部が、そのスイッチ操作部の変位に伴って前記天秤状部材に対する押圧位置を変えることで、前記天秤状部材が前記支点を中心にオン方向、あるいはオフ方向に回動するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明によると、ウエイクアップ接点は、同一平面上に設けられた第1の固定導体と、第2の固定導体と、それらの固定導体上を摺動可能に構成されて、スイッチ操作部と連動する摺動導体とから構成されており、前記摺動導体が第1の固定導体と前記第2の固定導体とを電気的に接触させることで前記ウエイクアップ接点がオンするように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明によると、ウエイクアップ接点は、弾性体を介して前記スイッチ操作部に取付けられて、その弾性体の弾性力に抗して軸方向に変位可能に構成されたピン状部材と、そのスイッチ操作部の変位に伴って前記ピン状部材が接離可能に構成された受け部材とからなり、前記ピン状部材が前記受け部材に接触することで前記ウエイクアップ接点がオン、離隔することでオフする構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ウエイクアップ接点付きの変速スイッチの操作ストロークを短くできるため、電動工具を長時間使用しても指が疲れ難くなり、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1に係る変速スイッチを備える電動工具の全体斜視図である。
【図2】前記電動工具のモータ駆動回路図である。
【図3】前記変速スイッチの縦断面図である。
【図4】前記変速スイッチの縦断面図である。
【図5】前記変速スイッチで使用される荷重センサの回路図である。
【図6】ウエイクアップ接点を備える電源回路図である。
【図7】前記変速スイッチで使用されるウエイクアップ接点の変更例を表す側面図である。
【図8】前記変速スイッチで使用されるウエイクアップ接点の変更例を表す側面図である。
【図9】前記変速スイッチで使用されるウエイクアップ接点の変更例を表す側面図である。
【図10】前記変速スイッチで使用されるウエイクアップ接点の変更例を表す側面図である。
【図11】従来の電動工具における変速スイッチの動作を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態1]
以下、図1から図10に基づいて、本発明の実施形態1に係る変速スイッチ30の説明を行なう。本実施形態に係る変速スイッチ30は、インパクトドライバ10(以下、電動工具10という)に使用されるスイッチであり、スイッチ操作部(トリガ31)の変位量に応じてその電動工具10のDCモータ20に対する電力供給量を増減させるための電気信号を出力できるように構成されている。
ここで、図中の前後左右及び上下は、電動工具10の前後左右及び上下に対応している。
【0015】
<電動工具10の概要について>
本実施形態に係る電動工具10は、DCブラシレスモータ20(以下、DCモータ20という)を駆動源とするインパクトドライバ(回転打撃工具)である。
図1に示すように、電動工具10は、筒状のハウジング本体部12と、そのハウジング本体部12の下部から突出するように形成されたハンドル部15とから構成されている。ハンドル部15は、使用者が電動工具10を使用する際に把持する握り部位15hと、その握り部位15hよりも下側(先端側)に位置するバッテリ連結部位15pとから構成されている。そして、握り部位15hの基端部に使用者が指先で引き操作するための変速スイッチ30が設けられている。また、ハンドル部15のバッテリ連結部位15pには、バッテリ16が連結される連結機構(図示省略)が設けられている。
ハウジング本体部12の後部にはDCモータ20(図2参照)が収納されており、そのDCモータ20の前方にDCモータ20の回転力を増幅する遊星歯車機構、打撃力発生機構等からなる駆動装置(図示省略)が収納されている。そして、前記駆動装置の出力軸がハウジング本体部12の先端位置に装着された工具装着部13に連結されている。
【0016】
DCモータ20は、図2等に示すように、永久磁石を備える回転子22と、駆動コイル23cを備える固定子23と、前記回転子22の磁極の位置を検出するための三個の磁気センサ25とから構成されている。
モータ駆動回路40は、DCモータ20を駆動させるための電気回路であり、図2に示すように、6個のスイッチング素子44(FET)から構成された三相ブリッジ回路部45と、変速スイッチ30の電気信号に基づいて前記三相ブリッジ回路部45のスイッチング素子44を制御する制御回路部46とを備えている。
前記制御回路部46は、変速スイッチ30の電圧信号(トリガ31の引き操作量)に基づいて三相ブリッジ回路部45のスイッチング素子44を制御する部分であり、マイコンやIC等の電子部品により構成されている。さらに、制御回路部46には、後記するように、変速スイッチ30に設けられたウエイクアップ接点60のオン・オフ信号が入力されるように構成されており、オン信号が入力されることで、後記するように、制御回路部46に電源電圧が加わるようになる。
【0017】
<変速スイッチ30の全体構成について>
変速スイッチ30は、図3等に示すように、使用者が指先で引き操作するトリガ31と、電動工具10のハンドル部15内に収納されるスイッチ本体部33と、そのスイッチ本体部33のハウジング33h内に設けられた荷重センサ35、及びウエイクアップ接点60等とから構成されている。
スイッチ本体部33のハウジング33hは、側面角形の容器状に形成されており、そのハウジング33h内に側面角形の可動ブロック32が収納されている。可動ブロック32は、トリガ31と連動する部材であり、連結軸31cによってトリガ31と連結されている。即ち、可動ブロック32の前面中央32fに連結軸21cの後端部が固定されており、その連結軸21cの前端部がトリガ31の裏側に固定されている。そして、前記連結軸31cがハウジング33hの前部中央に形成された貫通孔33kに摺動可能な状態で挿通されている。さらに、ハウジング33hから前方に突出する連結軸31cの回りがジャバラ状の防塵カバー31wによって覆われている。また、可動ブロック32の後端面32bとハウジング33hの内壁面との間には、可動ブロック32を前方に押圧するように付勢された第1バネ34が設けられている。これにより、トリガ31は第1バネ34のバネ力で前進限位置(原位置)に保持されており、そのトリガ31を第1バネ34のバネ力に抗して引き操作することで可動ブロック32は後方に変位するようになる。
【0018】
<変速スイッチ30の荷重センサ35等について>
可動ブロック32には、荷重センサ35を押圧する押圧ピン36が収納される収納空間32sが形成されており、その収納空間32sの後壁に押圧ピン36の軸部36jを後方に突出させるための開口32hが形成されている。押圧ピン36は、軸部36jと、その軸部36jの基端部に設けられたフランジ部36fとからなり、そのフランジ部36fが可動ブロック32の収納空間32s内に収納されている。さらに、可動ブロック32の収納空間32s内には、押圧ピン36の軸部36jを後方に突出させる方向に押圧する第2バネ36bが収納されている。
スイッチ本体部33のハウジング33hの後内壁面には、可動ブロック32の押圧ピン36の先端が当接可能な位置に荷重センサ35が固定されている。これにより、トリガ31を引き操作することで可動ブロック32が後方に変位すると、その可動ブロック32の押圧ピン36が第2バネ36bのバネ力を受けた状態で荷重センサ35に当接するようになる。
【0019】
即ち、トリガ31が引き操作されると、可動ブロック32が一定量(L0)だけ後方に変位した状態で押圧ピン36の先端が荷重センサ35に当接する。そして、この状態からさらにトリガ31が引き操作されると、図4に示すように、押圧ピン36が荷重センサ35からの押圧反力を受け、第2バネ36bのバネ力に抗して可動ブロック32の収納空間32s内に押し込まれる。即ち、トリガ31の引き操作量に比例して第2バネ36bのバネ力が増加し、そのバネ力が押圧ピン36を介して荷重センサ35に加わるようになる。
荷重センサ35は、図5の模式図に示すように、抵抗のブリッジ回路で表されるセンサであり、押圧ピン36から押圧力を受けて歪み、その歪み量に応じて前記ブリッジ回路の抵抗比が変化するように構成されている。このため、前記ブリッジ回路の電源端子に所定電圧が加えられることで、出力端子から押圧力(歪み量)に比例する電圧信号が出力されるようになる。即ち、荷重センサ35は、トリガ31の引き操作量に応じた電圧信号を出力できるようになる。
このように、前記トリガ31と可動ブロック32等が本発明のスイッチ操作部に相当し、前記第2バネ36bが本発明の弾性体に相当するようになる。
【0020】
<変速スイッチ30のウエイクアップ接点60について>
スイッチ本体部33のハウジング33hの下部には、ウエイクアップ接点60が設けられている。ウエイクアップ接点60は、図3に示すように、ハウジング33hの底部の支点61を中心に上下回動可能な状態でその支点61に支持された天秤状部材62と、ハウジング33hに底部に設けられて天秤状部材62の後端接点部62sが接離可能に構成された受け部材63と、天秤状部材62の前端側を下方から支持できるように構成された台部61dとを備えている。そして、天秤状部材62が台部61dに支持された状態で後端接点部62sが受け部材63から離れ、ウエイクアップ接点60がオフ状態になる(図3参照)。また、この状態から天秤状部材62が支点61を中心に右回動し、その天秤状部材62が台部61dから離れて後端接点部62sが受け部材63に接触した状態で、ウエイクアップ接点60がオン状態になる(図4参照)。
【0021】
可動ブロック32の下端面には、ウエイクアップ接点60の天秤状部材62の上面を押圧する押圧部37が設けられている。押圧部37は、その押圧部ケースから下方に突出して天秤状部材62の上面に当接するピン部37pと、ピン部37pを下方に押圧するためのバネ(図示省略)とから構成されている。そして、可動ブロック32がトリガ31と共に原位置(前進限位置)に保持されている状態で、押圧部37のピン部37pが天秤状部材62の支点61より前側を押圧し、天秤状部材62の後端接点部62sは受け部材63から離れるようになる(オフ状態)。また、トリガ31が引き操作されて可動ブロック32が後方に変位し、押圧部37のピン部37pが天秤状部材62の支点61より後側を押圧すると、天秤状部材62は支点61を中心に右回動して後端接点部62sが受け部材63に当接するようになる(オン状態)。
ここで、ウエイクアップ接点60の支点61の位置と、押圧部37のピン部37pの位置とは、トリガ31が引き操作されて押圧ピン36が荷重センサ35に当接する前にウエイクアップ接点60がオン状態となるような位置に設定されている。
【0022】
ウエイクアップ接点60は、図6に示すように、制御回路部46の電源回路50に接続される。図6においてウエイクアップ接点60がオンすると、第1抵抗55、第2抵抗56から前記ウエイクアップ接点60にかけて電流が流れ、第1トランジスタ53がオン(導通)する。これにより、レギュレータ52からマイコン46cに定電圧が加わり、マイコン46cが立ち上がるようになる。マイコン46cが立ち上がると、マイコン46cが第2トランジスタ54をオンさせる。これにより、ウエイクアップ接点60がオフしても、第1トランジスタ53及びレギュレータ52はオンし続けるようになる。
また、マイコン46cが所定条件下で第2トランジスタ54をオフさせることで、第1トランジスタ53、レギュレータ52がオフし、マイコン46cの電源が切られるようになる。
【0023】
<変速スイッチ30の動作について>
原位置に保持されているトリガ31が第1バネ34のバネ力に抗して引き操作されると、トリガ31と共に可動ブロック32が後方に変位する。これにより、可動ブロック32の押圧部37のピン部37pがウエイクアップ接点60の天秤状部材62の上面を押圧しながら後方に変位する。そして、トリガ31が一定量L0だけ引き操作された状態で押圧部37のピン部37pが天秤状部材62の支点61より後側を押圧し、天秤状部材62が支点61を中心に右回動してウエイクアップ接点60がオン状態となる。これにより、前述のように、制御回路部46に電圧が加わり、マイコン46cが立ち上がるようになる。
そして、この状態からさらにトリガ31が引き操作されることで、可動ブロック32に設けられた押圧ピン36の先端が荷重センサ35に当接し、押圧ピン36が第2バネ36bのバネ力を受けた状態で荷重センサ35を押圧するようになる。これにより、荷重センサ35はトリガ31の引き操作量(押圧力)に比例する電圧信号を出力するようになる。この結果、前記制御回路部46のマイコン46cは、荷重センサ35(変速スイッチ30)の出力信号に基づいてDCモータ20に供給する電力をPWM制御により調整する。即ち、変速スイッチ30のトリガ31を引き操作することでトリガ31に加わる押圧力が増加すると、変速スイッチ30の出力電圧が上昇し、図11に示すように、前記マイコン46cの働きでDCモータ20に供給する電力が増加するようになる。これにより、DCモータ20の回転速度が上昇する。
逆に、トリガ31に加わる押圧力を緩めると変速スイッチ30の出力電圧が低下するようになり、DCモータ20に供給する電力が減少して回転速度が低下する。
そして、トリガ31に押圧力が加わらなくなると、前記マイコン46cが第2トランジスタ54をオフさせることで、マイコン46cの電源が切られるようになる。
【0024】
<本実施形態に係る変速スイッチ30の長所について>
本実施形態に係る変速スイッチ30によると、トリガ31を引き操作することで、最初にウエイクアップ接点60が動作し、その後に、荷重センサ35がトリガ31の押圧力に応じた電気信号を出力する。これにより、電動工具10のDCモータ20に対する電力供給量が増減して、DCモータ20の回転速度が増減するようになる。
ここで、荷重センサ35は、トリガ31の押圧力に応じた電気信号を出力する構成のため、トリガ31の変位量を従来の摺動抵抗方式の場合の変位量と比較して非常に小さくできる。このため、電動工具10を長時間使用しても指が疲れ難く、操作性が向上する。さらに、トリガ31を戻すときに負圧になり難く、粉塵等が浸入し難くなる。
また、トリガ31からの押圧力が第2バネ36bを介して荷重センサ35に加わる構成のため、荷重センサ35に対してトリガ31から想定以上の荷重が加わることがなく、荷重センサ35の損傷を防止できる。
【0025】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、ウエイクアップ接点60の天秤状部材62の前端側を台部61dで支持できるようにし、その天秤状部材62の上面を押圧部37のバネ力を受けたピン部37pにより押圧する例を示した。しかし、図7に示すように、押圧部37を突起状に形成し、台部61dの代わりに天秤状部材62の前端側を押上げるように付勢されたバネ61bを使用することも可能である。
また、ウエイクアップ接点60を支点61、天秤状部材62、及び受け部材63等から構成する代わりに、図8に示すように、ウエイクアップ接点70を第1の固定導体71、第2の固定導体72と、それらの固定導体71,72上を摺動可能な摺動導体73とから構成し、その摺動導体73をトリガ31(可動ブロック32)と連動させるようにすることも可能である。
【0026】
また、図9、図10に示すように、ウエイクアップ接点80を可動ブロック32に装着されたピン状部材83とハウジング33h側の受け部材85等から構成することも可能である。即ち、ピン状部材83は、荷重センサ35を押圧する押圧ピン36と等しい構成の導体であり、可動ブロック32の下部に形成された下部空間32eに基端部が収納されている。そして、ピン状部材83の軸部83jが下部空間32eの後壁に形成された開口32kから後方に突出している。また、可動ブロック32の下部空間32e内には、ピン状部材83の軸部83jを後方に突出させる方向に付勢された第3バネ83bが収納されている。
受け部材85は、スイッチ本体部33のハウジング33hの後内壁面に固定されており、可動ブロック32のピン状部材83の軸部83jが当接可能な位置に位置決めされている。そして、ピン状部材83の軸部83jが受け部材85に当接した状態でウエイクアップ接点80がオン、ピン状部材83の軸部83jが受け部材85から離れた状態でウエイクアップ接点80がオフするようになる。ここで、ウエイクアップ接点80のピン状部材83と受け部材85間の距離は、荷重センサ35と押圧ピン36間の距離よりも小さく設定されている。これにより、トリガ31の引き操作で先ずウエイクアップ接点80がオンし、その後に荷重センサ35が動作するようになる。
また、本実施形態に係る変速スイッチ30では、第1バネ34、第2バネ36b、及び第3バネ83bにコイルバネを使用する例を示したが、第1バネ34、第2バネ36b、及び第3バネ83bの種類は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0027】
10・・・電動工具
20・・・DCモータ
30・・・変速スイッチ
31・・・トリガ(スイッチ操作部)
32・・・可動ブロック(スイッチ操作部)
35・・・荷重センサ
36・・・押圧ピン
36b・・第2バネ(弾性体)
46・・・制御回路部
60・・・ウエイクアップ接点
61・・・支点
62・・・天秤状部材
63・・・受け部材
70・・・ウエイクアップ接点
71・・・第1の固定導体
72・・・第2の固定導体
73・・・摺動導体
80・・・ウエイクアップ接点
83・・・ピン状部材
85・・・受け部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具に取付けられており、スイッチ操作部の変位量に応じてその電動工具のモータに対する電力供給量を増減させるための電気信号を出力可能に構成された変速スイッチであって、
前記スイッチ操作部の操作開始時に動作する接点であり、前記モータの制御回路部に電圧を加え、その制御回路部を動作可能な状態にするウエイクアップ接点と、
前記ウエイクアップ接点の動作後、前記スイッチ操作部が変位することによる前記スイッチ操作部からの押圧力を受け、その押圧力に応じた電気信号を出力可能に構成された荷重センサと、
を有することを特徴とする変速スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載された変速スイッチであって、
前記スイッチ操作部からの押圧力が弾性体を介して前記荷重センサに加わるように構成されていることを特徴とする変速スイッチ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された変速スイッチであって、
前記ウエイクアップ接点は、支点を中心に回動可能な状態で支持された天秤状部材と、前記天秤状部材が前記支点を中心に回動することでその天秤状部材が接離する受け部材とから構成されて、前記天秤状部材が前記受け部材に接触することでオン、離隔することでオフする構成であり、
前記スイッチ操作部に形成された押圧部が、そのスイッチ操作部の変位に伴って前記天秤状部材に対する押圧位置を変えることで、前記天秤状部材が前記支点を中心にオン方向、あるいはオフ方向に回動するように構成されていることを特徴とする変速スイッチ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された変速スイッチであって、
前記ウエイクアップ接点は、同一平面上に設けられた第1の固定導体と、第2の固定導体と、それらの固定導体上を摺動可能に構成されて、前記スイッチ操作部と連動する摺動導体とから構成されており、
前記摺動導体が第1の固定導体と前記第2の固定導体とを電気的に接触させることで前記ウエイクアップ接点がオンするように構成されていることを特徴とする変速スイッチ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された変速スイッチであって、
前記ウエイクアップ接点は、弾性体を介して前記スイッチ操作部に取付けられて、その弾性体の弾性力に抗して軸方向に変位可能に構成されたピン状部材と、そのスイッチ操作部の変位に伴って前記ピン状部材が接離可能に構成された受け部材とからなり、
前記ピン状部材が前記受け部材に接触することで前記ウエイクアップ接点がオン、離隔することでオフする構成であることを特徴とする変速スイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−101326(P2012−101326A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252554(P2010−252554)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】