説明

変速操作レバー用センサユニット

【課題】変速操作レバーの操作量及び操作方向を検出する変速センサの故障時にズレ無く前記操作量及び操作方向を検出できる変速操作レバー用センサユニットを提供する。
【解決手段】取付位置に着脱可能に装着されるセンサケースと前記センサケースに軸線回り回転可能に支持されたセンサ軸と前記センサ軸の軸線方向一端側及び他端側と対向するように前記センサケースの一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の第1及び第2変速センサとを備える。前記センサケースには、前記第1及び第2変速センサが前記センサ軸の軸線方向一方側及び他方側から前記センサ軸の軸線回りの回転量及び回転方向を検出することを許容する第1及び第2検出開口と前記センサ軸における軸線方向一方側及び他方側の間の中間部が前記変速操作レバーに作動連結することを許容するアクセス開口とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速操作レバーの操作量及び操作方向を検出する為にコンバイン等の作業車輌に適用される変速操作レバー用センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
走行系変速装置としてHST等の無段変速装置を備えた作業車輌においては、運転席の近傍に備えられた変速操作レバーへの人為操作に応じて前記無段変速装置が変速動作を行うように構成されている。
【0003】
前記変速操作レバーと前記無段変速装置の変速作動部材(例えば可動斜板を揺動させる為の制御軸)とを機械リンク機構によって作動連結させることで、前記変速操作レバーへの人為操作に応じて前記無段変速装置が変速動作を行うように構成された作業車輌(以下第1従来例という)が提案されている(例えば下記特許文献1参照)。
【0004】
前記第1従来例においては、前記機械リンク機構の構造が複雑になり、組立作業及びメンテナンス作業の効率が悪いという問題が生じる。
【0005】
前記第1従来例の問題点を解決する為に、前記機械リンク機構を用いる代わりに、前記変速作動部材を作動させる電動アクチュエータ(電動モータ等)又は電動/油圧アクチュエータ(電磁弁と油圧シリンダとの組み合わせ)と、前記変速操作レバーの操作量及び操作方向を検出する変速センサと、前記電動アクチュエータ又は前記電磁弁の作動制御を司る制御装置とを備え、前記変速操作レバーの操作量及び操作方向に応じて前記変速作動部材が作動されるように前記制御装置が前記変速センサからの信号に基づいて前記電動アクチュエータ又は電動/油圧アクチュエータを作動させるように構成された作業車輌(以下第2従来例という)が提案されている。
【0006】
この第2従来例は、前記変速操作レバー及び前記変速作動部材を機械的に連結する必要が無い為、前記第1従来例に比して、組立作業及びメンテナンス作業の効率を向上させることができる。
【0007】
その一方で、前記第2従来例におけるように、前記変速センサによって検出された前記変速操作レバーの操作量及び操作方向に基づいて前記変速作動部材を作動させる構成においては、前記変速センサが故障すると、前記変速作動部材が制御不能状態となってしまう。
しかしながら、この点に関し、前記第2従来例においては十分な検討がなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−108957公報
【特許文献2】特許第4267774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、変速操作レバーの操作量及び操作方向を検出する変速センサの故障時にズレ無く前記操作量及び操作方向を検出できる変速操作レバー用センサユニットの提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために、変速操作レバーの変速回動軸回りの人為操作量を検出する変速操作レバー用センサユニットであって、取付位置に着脱可能に装着されるセンサケースと、前記センサケースに軸線回り回転可能に支持されたセンサ軸と、前記センサ軸の軸線方向一端側及び他端側と対向するように前記センサケースの一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の第1及び第2変速センサとを備え、前記センサケースには、前記第1及び第2変速センサが前記センサ軸の軸線方向一方側及び他方側から前記センサ軸の軸線回りの回転量及び回転方向を検出することを許容する第1及び第2検出開口と、前記センサ軸における軸線方向一方側及び他方側の間の中間部が前記変速操作レバーに作動連結することを許容するアクセス開口とが形成されている変速操作レバー用センサユニットを提供する。
【0011】
好ましくは、前記変速操作レバーは、前記変速回動軸回り回動可能とされた変速操作プレートと、基端部が前記変速操作プレートに連結され且つ先端部が把持部とされたレバー本体とを有し、前記変速操作プレートの外周縁の少なくとも一部には駆動側ギヤが形成され、前記センサ軸にはピッチ径が前記駆動側ギヤよりも小径とされた従動側ギヤを有する従動側部材が相対回転不能に支持され、前記従動側ギヤが前記アクセス開口を介して前記駆動側ギヤに噛合するように構成される。
【0012】
より好ましくは、前記駆動側ギヤ及び前記従動側ギヤの一方のギヤは当該一方のギヤを形成する複数の歯部のうちの一の歯部を特定する第1マークを有し、前記駆動側ギヤ及び前記従動側の他方のギヤは当該他方のギヤを形成する複数の歯部のうちの隣接する2つの歯部を特定する第2マークを有し得る。
前記第1マーク及び前記第2マークは、前記変速操作レバーが基準位置に位置された際に前記第1マークによって特定される歯部が前記第2マークによって特定される2つの歯部の間に位置するように、位置設定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る変速操作レバー用センサユニットによれば、一対の第1及び第2変速センサが共に単一のセンサ軸の軸線回りの回転量及び回転方向を検出できるので、前記一対の第1及び第2変速センサの間の測定値にズレが生じることを防止できる。従って、通常状態においては、一対の第1及び第2変速センサの一方(例えば第1変速センサ)からの検出信号を用いて変速操作レバーの操作量及び操作方向を検出しつつ、前記一方の変速センサの故障時には一対の変速センサの他方(例えば第2変速センサ)からの検出信号を用いて前記変速操作レバーの操作量をズレ無く検出することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る変速操作レバー用センサユニットによれば、前記一対の第1及び第2変速センサが連結されたセンサケースが取付位置に着脱可能とされているので、前記センサケースを取付位置に脱着することで前記一対の第1及び第2変速センサを取付位置に対して一体的に脱着させることができる。従って、前記一対の第1及び第2変速センサの装着作業性及びメンテナンス作業性を向上させることができる。
【0015】
前記変速操作レバーが変速回動軸回り回動可能とされた変速操作プレートと基端部が前記変速操作プレートに連結され且つ先端部が把持部とされたレバー本体とを有し、前記変速操作プレートの外周縁の少なくとも一部には駆動側ギヤが形成され、前記センサ軸にはピッチ径が前記駆動側ギヤよりも小径とされた従動側ギヤを有する従動側部材が相対回転不能に支持されており、前記従動側ギヤが前記アクセス開口を介して前記駆動側ギヤに噛合するように構成すれば、前記変速操作レバーの変速回動軸回りの操作量に対する前記センサ軸の軸線回りの回転量を増幅できるので、微少な前記変速操作レバーの操作量を前記第1及び/又は第2変速センサによって正確に検出することができる。
【0016】
前記駆動側ギヤ及び前記従動側ギヤの一方のギヤには当該一方のギヤを形成する複数の歯部のうちの一の歯部を特定する第1マークを形成し、前記駆動側ギヤ及び前記従動側の他方のギヤには当該他方のギヤを形成する複数の歯部のうちの隣接する2つの歯部を特定する第2マークを形成し、前記変速操作レバーが基準位置に位置された際に前記第1マークによって特定される歯部が前記第2マークによって特定される2つの歯部の間に位置するように構成すれば、前記第1及び/又は第2変速センサの初期設定作業の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明に係る変速操作レバー用センサユニットが適用される作業車輌の一例であるコンバインの側面図である。
【図2】図2は、図1に示す前記作業車輌の部分斜視図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す前記作業車輌における変速装置の伝動模式図である。
【図4】図4は、図1及び図2に示す前記作業車輌における操縦部の平面図である。
【図5】図5は、前記操縦部に備えられた変速操作レバー近傍の斜視図である。
【図6】図6は、本発明の一実施の形態に係る変速操作レバー用センサユニット近傍の拡大斜視図である。
【図7】図7は、図6に示す前記センサユニットの分解斜視図である。
【図8】図8は、図6及び図7とは軸線方向に関し反対側から視た前記センサユニットの斜視図である。
【図9】図9は、図6とはセンサ軸の軸線方向に関し反対側から視た前記センサユニット近傍の拡大斜視図であり、前記変速操作レバー及び前記センサユニットが装着される取付プレートを削除した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る変速操作レバー用センサユニットの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0019】
まず、本発明に係るセンサユニットが適用可能な作業車輌1の一例について説明する。
図1に、本発明に係るセンサユニットが適用され得る作業車輌1の一例であるコンバインの側面図を示す。
【0020】
前記作業車輌1は、図1に示すように、本機フレーム2と、左右一対の走行装置3と、前記本機フレーム2に支持されたエンジン4(下記図2等参照)と、前記エンジン4から前記走行装置3へ至る走行系伝動経路に介挿された変速装置5(図2等参照)と、運転席62を含む操縦部6とを備えている。
【0021】
コンバインの形態をなす前記作業車輌1は、さらに、前記本機フレーム2の前方において該本機フレーム2に昇降可能に支持された刈取部7と、前記刈取部7によって刈り取られた穀稈を前記本機フレーム2の左側方において後方へ搬送するフィードチェーン部8と、前記フィードチェーン部8によって搬送される穀稈に対して脱穀処理を行うように前記本機フレーム2の左部分に配設された脱穀部9と、前記脱穀部9によって脱穀された穀粒を収容するグレンタンク10であって、前記操縦部6の後方に配設されたグレンタンク10とを備えている。
【0022】
図2に、前記操縦部6,前記エンジン4,前記変速装置5及び走行装置3を含む前記作業車輌1の部分斜視図を示す。
又、図3に、前記変速装置5の伝動模式図を示す。
【0023】
前記変速装置5は、図3に示すように、走行用HST51と、旋回用HST52と、前記走行用HST51からの回転動力を多段変速する機械式多段変速機構53と、前記機械式多段変速機構53からの回転動力及び前記旋回用HST52からの回転動力を合成して前記一対の走行装置3へ向けて出力する差動機構54と、前記走行用HST51,前記旋回用HST52,前記機械式多段変速機構53及び前記差動機構54を支持するミッションケース50とを備えている。
なお、前記走行用HST51及び前記旋回用HST52は前記ミッションケース50の外面に連結されており、前記機械式多段変速機構53及び前記差動機構54は前記ミッションケース50内に収容されている。
【0024】
前記走行用HST51は主変速機構として作用する。
詳しくは、前記走行用HST51は、図3に示すように、前記駆動源4に作動連結された走行用ポンプ軸511と、前記走行用ポンプ軸511に相対回転不能に支持された走行用油圧ポンプ本体512と、前記走行用油圧ポンプ本体512と一対の走行用油圧ライン(図示せず)を介して流体接続された走行用油圧モータ本体513と、前記走行用油圧モータ本体513を相対回転不能に支持する走行用モータ軸514と、前記走行用油圧ポンプ本体512及び前記走行用油圧モータ本体513の少なくとも一方の給排油量を変更させる走行用可動斜板515とを備えている。
【0025】
なお、本実施の形態においては、前記走行用可動斜板515は前記走行用油圧ポンプ本体512の給排油量を変更するように構成されている。
前記走行用可動斜板515は、人為操作可能な変速操作レバー300(下記図4及び図5参照)の操作に応じて対応する油圧回転体(本実施の形態においては前記走行用油圧ポンプ本体512)の給排油量を変更する。
【0026】
具体的には、前記作業車輌1には、さらに、前記走行用可動斜板515を作動させる電動モータ等の電動アクチュエータ又は電磁弁及び油圧シリンダの組み合わせ等の電動/油圧アクチュエータ(図示せず)と、前記変速操作レバー300の操作量及び操作方向を電気的に検出する本実施の形態に係るセンサユニット100と、制御装置(図示せず)とを備え、前記走行用可動斜板515が前記変速操作レバー300への人為操作に応じて傾転するように前記制御装置が前記センサユニット100からの信号に基づき前記電動アクチュエータ又は前記電動/油圧アクチュエータの作動制御を行う。
なお、本実施の形態に係る前記センサユニット100の詳細構造については後述する。
【0027】
前記旋回用HST52は、図3に示すように、前記駆動源4に作動連結された旋回用ポンプ軸521と、前記旋回用ポンプ軸521に相対回転不能に支持された旋回用油圧ポンプ本体522と、前記旋回用油圧ポンプ本体522と一対の旋回用油圧ライン(図示せず)を介して流体接続された旋回用油圧モータ本体523と、前記旋回用油圧モータ本体523を相対回転不能に支持する旋回用モータ軸524と、前記旋回用油圧ポンプ本体522及び前記旋回用油圧モータ本体524の少なくとも一方(図示の形態においては、前記旋回用油圧ポンプ本体522)の給排油量を変更させる旋回用可動斜板525とを備えている。
【0028】
前記旋回用可動斜板525は、人為操作可能な旋回操作部材69(下記図4参照)の操作に応じて対応する油圧回転体(本実施の形態においては前記旋回用油圧ポンプ本体522)の給排油量を変更する。
【0029】
前記多段変速機構53は副変速機構として作用する。
詳しくは、前記多段変速機構53は、図3に示すように、前記走行用モータ軸514に作動連動された駆動軸531と、前記駆動軸531に平行に配設された従動軸532と、前記駆動軸531の回転動力を前記従動軸532に伝達可能な複数のギヤ列533a〜533cであって、互いに対して変速比が異なる複数のギヤ列533a〜533cと、前記複数のギヤ列533a〜533cの何れか一のギヤ列を選択的に伝動状態とさせ得るシフター534とを備えている。
【0030】
前記シフター534は、人為操作可能な副変速操作レバー68の操作に応じて機械的に操作される。即ち、前記シフター534は、機械リンク機構67(図2及び下記図4参照)を介して前記副変速レバー68に作動連結されている。
【0031】
前記差動機構54は、一対の第1及び第2遊星ギヤ機構55a,55bを有している。
前記走行用HST51から前記多段変速機構53を介して伝達される走行用回転動力は前記一対の第1及び第2遊星ギヤ機構55a,55bの第1要素に同一回転方向で入力され、前記旋回用HST52から伝達される旋回用回転動力は前記一対の第1及び第2遊星ギヤ機構55a,55bの第2要素に異なる回転方向で入力される。そして、前記第1及び第2遊星ギヤ機構55a,55bは、第3要素から対応する走行装置3に向けて回転動力を出力する。
【0032】
本実施の形態においては、図3に示すように、前記第1及び第2遊星ギヤ機構55a,55bのそれぞれは、サンギヤ551と、前記サンギヤ551の回りを公転するように前記サンギヤ551と噛合する遊星ギヤ552と、前記遊星ギヤ552を相対回転自在に支持しつつ前記遊星ギヤ552と共に前記サンギヤ551の回りを公転するキャリヤ553と、前記遊星ギヤ552と噛合するインターナルギヤ554とを備えており、前記インターナルギヤ554,前記サンギヤ551及び前記キャリヤ553がそれぞれ前記第1〜第3要素として作用している。
【0033】
図3に示すように、前記変速装置5は、さらに、前記走行用モータ軸514に作動的に制動力を付加し得る走行用ブレーキ機構56と、前記旋回用モータ軸521に作動的に制動力を付加し得る旋回用ブレーキ機構57と、前記旋回用モータ軸521から前記差動機構54への動力伝達を係脱させる旋回用クラッチ機構58と、前記走行用HST51及び前記旋回用HST52に作動油を補給するチャージポンプ59a,59bとを備えている。
【0034】
ここで、本実施の形態に係る前記変速操作レバー用センサユニット100について説明する。
前述の通り、本実施の形態に係る前記センサユニット100は、前記変速操作レバー300の操作量及び操作方向を検出し得るように構成されている。
【0035】
まず、前記変速操作レバー300について説明する。
図4に、前記操縦部6の平面図を示す。
又、図5に、前記変速操作レバー300近傍の斜視図を示す。
【0036】
図5に示すように、前記変速操作レバー300は、変速回動軸301回り回動可能に前記作業車輌1に備えられている。
【0037】
本実施の形態においては、前記変速操作レバー300は前記運転席62の一側方に配置されている。
詳しくは、前記運転席62の一側方にはサイドコラム61が設けられており、前記変速操作レバー300は、基端部が前記サイドコラム61内において前記回動軸301回り回動可能に支持された状態で前記基端部及び上端部の間の中間部が前記サイドコラム61の上面に形成されたスリット62に挿通されており、把持部として作用する上端部が前記サイドコラム61の上面より上方に位置している。
【0038】
前記変速操作レバー300は、基準位置(例えば中立位置)を挟んで前記変速回動軸301回り一方側の前進方向及び他方側の後進方向の双方に操作可能とされている。
本実施の形態においては、図5に示すように、前記変速操作レバー300は、前記変速回動軸301回り回動可能に支持された変速操作プレート310と、基端部が前記変速操作プレート310に連結された状態で前記スリット62に挿通されたレバー本体320とを有しており、前記レバー本体320の上端部が前記把持部として作用している。
【0039】
図6に、図5における前記センサユニット100近傍の拡大図を示す。
又、図7に、前記センサユニット100の分解斜視図を示す。
さらに、図8に、図6及び図7とは軸線方向に関し反対側から視た前記センサユニット100の斜視図を示す。
【0040】
図6〜図8に示すように、前記センサユニット100は、前記作業車輌1に着脱可能に装着されるセンサケース110と、前記センサケース110に軸線回り回転可能に支持されたセンサ軸120と、前記センサ軸120の軸線方向一端側及び他端側と対向するように前記センサケース110の一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の第1及び第2変速センサ130(1),130(2)とを備えている。
【0041】
本実施の形態においては、図5及び図6に示すように、前記作業車輌1は、上下に延びる操縦部支持フレーム21a,21bを有しており、前記操縦部支持フレーム21a,21bには板面が車輌幅方向を向くように取付プレート22が固着されている。
【0042】
斯かる構成において、前記センサユニット100及び前記変速操作レバー300は共に前記取付プレート22に支持されている。
【0043】
詳しくは、前記変速操作レバー300は、前記変速回動軸301が車輌幅方向に沿うように前記取付プレート22に支持されている。
前記センサケース110は、前記センサ軸120の軸線が前記変速回動軸301と平行となるように(つまり、前記センサ軸120の軸線が車輌幅方向に沿うように)前記取付プレート22に支持されている。
【0044】
図6〜図8に示すように、前記センサケース110には、前記第1変速センサ130(1)が前記センサ軸120の軸線方向一方側から当該センサ軸120の軸線回りの回転量及び回転方向を検出することを可能とする第1検出開口110aと、前記第2変速センサ130(2)が前記センサ軸120の軸線方向他方側から当該センサ軸120の軸線回りの回転量及び回転方向を検出することを可能とする第2検出開口110bと、前記センサ軸120における軸線方向一方側及び他方側の間の中間部が前記変速操作レバー300に作動連結することを許容するアクセス開口110cとが形成されている。
【0045】
斯かる構成の前記センサユニット100によれば、前記一対の第1及び第2変速センサ130(1),130(2)の双方が単一の前記センサ軸120の軸線回りの回転量及び回転方向を検出することができるので、前記一対の第1及び第2変速センサ130(1),130(2)の間に測定値のズレが生じることを防止できる。従って、通常状態においては、一対の変速センサ130(1),130(2)の一方(例えば第1変速センサ130(1))からの検出信号を用いて前記変速操作レバー300の操作量及び操作方向を検出しつつ、前記一方の変速センサ130(1)の故障時には一対の変速センサ130(1),130(2)の他方(例えば第2変速センサ130(2))からの検出信号を用いて前記変速操作レバー300の操作量及び操作方向をズレ無く検出することができる。
【0046】
さらに、前記センサユニット100によれば、前記一対の変速センサ130(1),130(2)が連結されている前記センサケース110が取付位置に脱着可能とされているので、前記一対の変速センサ130(1),130(2)の組み付け作業性及びメンテナンス作業性を向上させることができる。
【0047】
本実施の形態においては、図6〜図8に示すように、前記センサケース110は、前記センサ軸120の軸線方向に分離可能に連結される第1及び第2ケース体111,112を有している。
【0048】
図7に示すように、前記第1ケース体111は、前記センサ軸120の一端側を囲繞するように前記センサ軸120の軸線方向に延びる第1周壁111aと、前記第1周壁111aの軸線方向一方側において前記センサ軸120の軸線方向と直交する方向に延びる第1端壁111bとを有しており、前記第1端壁111bに前記第1検出開口110aが形成されている。
【0049】
前記第2ケース体112は、前記センサ軸120の他方側を囲繞するように前記センサ軸120の軸線方向に延びる第2周壁112aと、前記第2周壁112aの軸線方向他方側において前記センサ軸120の軸線方向と直交する方向に延びる第2端壁112bとを有しており、前記第2端壁112bに前記第2検出開口110bが形成されている。
【0050】
そして、前記第1変速センサ130(1)は、前記第1検出開口110aを介して前記センサ軸120の一端側と対向するように前記第1端壁111bの外表面に装着され、前記第2変速センサ130(2)は、前記第2検出開口110bを介して前記センサ軸120の他端側と対向するように前記第2端壁112bの外表面に装着されている。
【0051】
前記アクセス開口110cは、前記変速操作レバー300の前記変速回動軸301回りの動きを前記センサ軸120に伝達することを可能とするという作用を奏する限り、前記第1ケース体111又は前記第2ケース体112の何れに形成されても良く、さらには、前記第1及び第2ケース体111,112の双方に跨るように形成されても良い。
なお、本実施の形態においては、図7及び図8に示すように、前記アクセス開口110cは前記第2ケース体112に形成されている。
【0052】
前述の通り、本実施の形態においては、前記変速操作レバー300は、前記レバー本体320への人為操作に応じて前記レバー本体320と共に前記変速操作プレート310が前記変速回動軸301回りに回動するように構成されている。
【0053】
斯かる構成においては、好ましくは、前記変速操作プレート310の外周縁の少なくとも一部に駆動側ギヤ311を形成し、前記駆動側ギヤ311を用いて前記変速操作レバー300の前記変速回動軸301回りの動きを前記センサ軸120に伝達することができる。
【0054】
詳しくは、前記センサユニット300は、図7及び図8に示すように、前記構成部材に加えて、ピッチ径が前記駆動側ギヤ311よりも小径とされた従動側ギヤ141を有する従動側部材140であって、前記アクセス開口110cを介して前記駆動側ギヤ311と噛合し得るように前記センサ軸120に軸線回り相対回転不能に支持された従動側部材140を備えている。
【0055】
斯かる構成によれば、前記変速操作レバー300の前記変速回動軸301回りの回動量に対する前記センサ軸120の軸線回りの回動量を増幅できるので、微少な前記変速操作レバー300の操作を前記変速センサ100によって正確に検出することができる。
【0056】
図9に、前記駆動側ギヤ311及び前記従動側ギヤ141の噛合部分を前記センサ軸120の他方側(前記第2変速センサ130(2)の側)から視た拡大斜視図を示す。なお、図9においては、前記駆動側ギヤ311及び前記従動側ギヤ141の噛合部分を視認可能とする為に前記取付プレート22を削除している。
【0057】
図8及び図9に示すように、本実施の形態においては、前記駆動側ギヤ311及び前記従動側ギヤ141の一方のギヤ(図示の形態においては前記従動側ギヤ141)には当該一方のギヤを形成する複数の歯部のうちの一の歯部を特定する第1マーク142が設けられており、前記駆動側ギヤ311及び前記従動側ギヤ141の他方のギヤ(図示の形態においては前記駆動側ギヤ311)には当該他方のギヤを形成する複数の歯部のうちの隣接する2つの歯部を特定する第2マーク312a,312bが設けられている。
【0058】
前記変速操作レバー300が基準位置(例えば中立位置)に位置された際に前記第1マーク142によって特定される歯部が前記第2マーク312a,312bによって特定される2つの歯部の間に位置するように、前記第1マーク142及び前記第2マーク312a,312bが位置設定されている。
【0059】
斯かる構成によれば、前記変速操作レバー300が基準位置(例えば中立位置)に位置された際に前記センサ軸120が位置すべき軸線回り位置に前記センサ軸120を確実に位置させることができ、前記第1及び第2変速センサ130(1),130(2)の初期設定作業の容易化を図ることができる。
【0060】
なお、本実施の形態においては、前記第2マーク312a,312bは前記第1マーク142によって特定される歯部を挟む2つの歯部をそれぞれ特定するように2つのマークとされているが、これに代えて、前記第1マーク142によって特定される歯部が入り込む凹部を特定することで対応する2つの歯部を特定するように構成され得る。
【符号の説明】
【0061】
100 変速操作レバー用センサユニット
110 センサケース
110a 第1検出開口
110b 第2検出開口
110c アクセス開口
120 センサ軸
130(1) 第1変速センサ
130(2) 第2変速センサ
140 従動側部材
141 従動側ギヤ
142 第1マーク
300 変速操作レバー
301 変速回動軸
310 変速操作プレート
311 駆動側ギヤ
312a,312b 第2マーク
320 レバー本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速操作レバーの変速回動軸回りの人為操作量を検出する変速操作レバー用センサユニットであって、
取付位置に着脱可能に装着されるセンサケースと、前記センサケースに軸線回り回転可能に支持されたセンサ軸と、前記センサ軸の軸線方向一端側及び他端側と対向するように前記センサケースの一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の第1及び第2変速センサとを備え、
前記センサケースには、前記第1及び第2変速センサが前記センサ軸の軸線方向一方側及び他方側から前記センサ軸の軸線回りの回転量及び回転方向を検出することを許容する第1及び第2検出開口と、前記センサ軸における軸線方向一方側及び他方側の間の中間部が前記変速操作レバーに作動連結することを許容するアクセス開口とが形成されていることを特徴とする変速操作レバー用センサユニット。
【請求項2】
前記変速操作レバーは、前記変速回動軸回り回動可能とされた変速操作プレートと、基端部が前記変速操作プレートに連結され且つ先端部が把持部とされたレバー本体とを有し、前記変速操作プレートの外周縁の少なくとも一部には駆動側ギヤが形成され、
前記センサ軸には、ピッチ径が前記駆動側ギヤよりも小径とされた従動側ギヤを有する従動側部材が相対回転不能に支持されており、
前記従動側ギヤが前記アクセス開口を介して前記駆動側ギヤに噛合することを特徴とする請求項1に記載の変速操作レバー用センサユニット。
【請求項3】
前記駆動側ギヤ及び前記従動側ギヤの一方のギヤは、当該一方のギヤを形成する複数の歯部のうちの一の歯部を特定する第1マークを有し、
前記駆動側ギヤ及び前記従動側の他方のギヤは、当該他方のギヤを形成する複数の歯部のうちの隣接する2つの歯部を特定する第2マークを有しており、
前記変速操作レバーが基準位置に位置された際に、前記第1マークによって特定される歯部が前記第2マークによって特定される2つの歯部の間に位置することを特徴とする請求項2に記載の変速操作レバー用センサユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−173490(P2011−173490A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38489(P2010−38489)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】