説明

変速機の液圧系統

【課題】構造的に単純で、高効率が得られる変速機の液圧系統を提供すること。
【解決手段】液圧源(2)から作動流体が供給ないし作用される複数の作動液圧回路(PK、SK)を備えた変速機の液圧系統(1)である。作動液圧回路(PK、SK)は、変速機の異なった領域への作動流体の供給に関して、異なった高さで優先付けされており、作動液圧回路における圧力は、系統圧力弁(4)によって調整可能で、1つの作動液圧回路(SK)は、作動流体用の少なくとも1つの冷却装置(8)並びに当該冷却装置の下流に配置された変速機の潤滑回路(9)を有する。冷却装置と潤滑回路との間に、弁装置(VE)で遮断可能なバイパス管(L5)が設けられる。バイパス管は、弁装置を介して制御され、冷却装置を通して導くべき作動流体体積流量(Q_K)は、潤滑回路に導入すべき作動流体体積流量(Q_S)を変化させることなしに調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の上位概念部分に従う変速機、特に自動車の変速機、の液圧系統に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、1つの液圧系統を備えた車両用自動変速機が知られている。その液圧系統は、液圧源から作動流体が供給(作用)される複数の作動液圧回路で形成され、それらの作動液圧回路は、変速機の異なった領域への作動流体の供給に関して異なった高さで優先づけられている。作動液圧回路における圧力は、系統圧力弁ないし高圧弁に依存して設定されている。或る作動液圧回路は作動流体に対する少なくとも1つの冷却装置並びに当該冷却装置の下流に配置された変速機の潤滑回路を有している。当該潤滑回路には、当該潤滑回路に対して平行に延びる液圧管を介して前記冷却装置から始まる摩擦クラッチと並んで、前記冷却装置から流出する作動流体体積流の一部が供給される。
【0003】
たとえ最少の作動流体体積流量でも、すべり運転中における摩擦クラッチの冷却装置による十分な冷却を保証するために、摩擦クラッチには、すべり過程中に増量された作動流体が導入されることが考慮されている。
【0004】
自動変速機の種々の変速段を形成するために用意された自動変速機の歯車装置、ディスククラッチ、ディスクブレーキ並びに軸受は、通常、自動変速機の潤滑回路を介して、冷却され潤滑される。これにより、特許文献1に記載された自動変速機は、冷却・潤滑複合系統で設計されている。
【0005】
自動変速機のそのような冷却・潤滑系統を設計する場合、実際に、原理的に、自動変速機の種々の部品を潤滑および冷却するために最大の作動流体体積流が必要とされるような自動変速機の運転状態が考慮に入れられている。この運転状態は、最大エンジン回転数、変速機を介して伝達すべき最大トルク、および、高い作動流体温度によって特徴づけられる。これは、冷却・潤滑系統ないし液圧系統が、自動変速機が上述した運転状態にあるとき、潤滑および冷却にとって必要な量の作動流体が変速機において循環されるように寸法づけられる、ということを意味する。
【0006】
しかし、この方式は、エンジン回転数が低く且つ作動流体温度が低いような自動変速機の運転状態において、実際に必要な量より多い作動流体体積流が自動変速機の液圧系統を通して導かれる、という欠点を生ずる。これはまた、自動変速機の広い運転領域にわたって、冷却および潤滑のためにかなり余剰設計された作動流体体積流量が自動変速機を通して導かれる、ということを意味する。大きな作動流体体積流量のために、不作動時のディスククラッチの領域において大きな牽引トルクが生成され、さらに、作動流体は不所望に非常にゆっくりしか暖められず、これにより、良好な潤滑に必要な運転温度は、所定の運転時間経過後にようやく得られ、それまでは、十分な潤滑は限られた狭い範囲でしか用立てられない。このために、自動変速機の効率が低下され、自動車の燃料消費が不所望に高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第19848935号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、構造的に単純な様式に置き換えでき、とりわけ、高い変速機効率が得られる変速機の液圧系統を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明に基づいて、請求項1に記載の変速機の液圧系統によって解決される。液圧源から作動流体が供給(作用)される複数の作動液圧回路を備え、これらの作動液圧回路が変速機の異なった領域への作動流体の供給に関して異なった高さで優先付けされ、その作動液圧回路における圧力が系統圧力弁によって調整可能で、1つの作動液圧回路が作動流体用の少なくとも1つの冷却装置並びに当該冷却装置の下流に配置された変速機の潤滑回路を有している変速機、特に自動車の自動変速機、の本発明に基づく液圧系統によれば、構造的に単純な様式で高い変速機効率が得られる。
【0010】
これは、冷却装置と潤滑回路との間に、弁装置で遮断でき構造的に単純に実現できるバイパス管が設けられ、このバイパス管が弁装置を介して、冷却装置を通して導くべき作動流体体積流量が潤滑回路に導入すべき作動流体体積流量を変化させることなしに調整できる、というように制御される、ことによって達成される。
【発明の効果】
【0011】
これは、冷却装置の冷却力を高めるために冷却装置を通して導くべき作動流体体積流量が、変速機の潤滑回路を通して導かれる作動流体体積流量を変化させることなしに、増大され得る、ということを意味する。そのために、冷却装置と潤滑回路との間で作動液圧回路から分岐するバイパス管が弁装置によって開かれ、これによって、追加的に冷却装置を通して導かれる作動流体体積流量が作動液圧回路から排出され、潤滑回路に導入される作動流体体積流量が一定に保たれる。
【0012】
これはまた、次のことを意味する。即ち、設計上、変速機の種々の運転状態において、作動流体体積流は潤滑回路の領域に液圧系統を通して導かれ、この作動流体体積流は、公知のように、潤滑回路を介して作動流体が供給(作用)される変速機の部品の領域で当該変速機における望ましくない動力損失を発生する。これを防止するために、本発明によれば、その作動流体体積流は変速機のその都度存在する運転状態に関係し、ディスククラッチないしディスクブレーキとして形成された変速機の切換要素の範囲おける動力損失が減少されて変速機効率の低下が有利に防止されるように、作動流体体積流は弁装置で制御されるバイパス管を介して実際の運転状態に合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に基づく液圧系統の第1の実施の形態の概略配管系統図。
【図2】本発明に基づいて形成された液圧系統の第2の実施の形態の配管系統図。
【図3】弁装置が圧力制限弁と制御弁と共に形成されている、本発明に基づいて形成された液圧系統の第3の実施の形態の配管系統図。
【図4】弁装置が圧力制限弁と調整弁とを有する、本発明に基づいて形成された液圧系統の第4の実施の形態の配管系統図。
【図5】弁装置の反動圧力レベルが変速機の全運転領域にわたって一定である場合における、ロックアップクラッチの作動制御圧力に関する液圧系統の種々の運転状態パラメータの経過曲線図。
【図6】弁装置の反動圧力レベルが変速機の運転領域にわたって変化する場合における、図5と同様の液圧系統の運転状態パラメータの経過曲線図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の他の利点および有利な実施態様は、請求項および図を参照して原理的に説明される実施の形態から理解される。なお、その種々の実施の形態の説明において理解を容易にするために、構造的および機能的に同一の部品には同一符号が付されている。
【0015】
図1には、自動車の自動変速機(詳細に図示せず)の液圧系統1の配管系統図が示されている。液圧系統1はポンプ2を有している。また液圧系統1は、液圧式に制御可能および又は調整可能な変速機能を実現するために、第1作動液圧回路ないし一次作動液圧回路PKと第2作動液圧回路ないし二次作動液圧回路SKを有して形成されている。液圧系統1内で循環される作動流体ないし変速機油の供給は、異なって優先づけられている。両液圧回路PK、SKは、ポンプ2の吐出し側3に配置され、圧力制限弁として形成された系統圧力弁4の構成に依存して異なった圧力レベルを有し得る。その優先付けは、ここでは、ポンプ2の吐出し側3に配置された通常構造の系統圧力弁4を介して実現される。その圧力制限は、ばね装置5と変速機制御装置で設定される制御圧力p_Sとを介して、運転状態に関係して調整される。
【0016】
系統圧力弁4の配置によって、ポンプ2で実際に用立てられる搬送圧力が系統圧力弁4の開放を生じさせる圧力値より小さいとき、まず、一次作動液圧回路PKだけにポンプ2から作動流体体積流が供給される。系統圧力弁4が設定された圧力値に到達されたとき、当該系統圧力弁4が開き、二次作動液圧回路SKがポンプ2の吐出し側3に接続される。
【0017】
系統圧力弁4は、ばね装置5によって、並びに、系統圧力弁4の閉鎖方向に作用する力を伴う制御圧力p_Sで付勢される。また、系統圧力弁4は、一次作動液圧回路PKの圧力に相当するポンプ2の吐出し側3の圧力で、系統圧力弁4の開放方向に付勢される。これによって、一次作動液圧回路PKの圧力は、制御圧力p_Sに依存して調整される。即ち、系統圧力弁4は、一次作動液圧回路PKの圧力が飽和圧力値に到達した際にはじめて開く。その飽和圧力値は、系統圧力弁4を、ばね装置5のばね力と制御圧力p_Sとから合成されて系統圧力弁4の閉鎖方向に作用する合力より大きな力で、付勢する。系統圧力弁4が開放圧力に到達されたとき、一次作動液圧回路PK並びに二次作動液圧回路SKがポンプ2から作動流体を供給される。
【0018】
二次作動液圧回路SKは、ここでは、流体トルクコンバータ6および調整式ロックアップクラッチ7を有し、その流体トルクコンバータ6は、ここでは、それ自体公知の二配管式トルクコンバータとして形成されている。流体トルクコンバータ6および調整式ロックアップクラッチ7は、それぞれ、図1において絞り並びに逆止弁の形で概略的に示されている。その流体トルクコンバータ6は、トルクコンバータ制御弁WDVによって制御される。このトルクコンバータ制御弁WDVは、複数の制御溝(制御空間)WDV_1〜WDV_8と、ばね装置WDV_Fと、スプール(スライダ)WDV_Sと、を有して形成されている。調整式ロックアップクラッチ7は、ロックアップクラッチ制御弁WKVによって制御される。このロックアップクラッチ制御弁WKVも、複数の制御溝WKV_1〜WKV_9と、ばね装置WKV_Fと、スプールWKV_Sと、を有して形成されている。
【0019】
流体トルクコンバータ6および調整式ロックアップクラッチ7の下流に、冷却装置8と、二次作動液圧回路SKの潤滑回路9と、潤滑制御弁SDVと、弁装置VEと、が設けられている。その潤滑制御弁SDVおよび弁装置VEも、それぞれ、複数の制御溝SDV_1〜SDV_6ないしVE_1〜VE_7と、ばね装置SDV_FないしVE_F1、VE_F7と、スプールSDV_SないしVE_Sと、を有して形成されている。
【0020】
冷却装置8は、ここでは、液圧系統1内を循環される作動流体体積流を、変速機の周囲と熱交換することによって冷却するために、設けられている。冷却装置8の下流に配置された潤滑回路9は、図1では概略的に示され、それ自体公知の潤滑回路である。変速機内に配置されたディスククラッチ、歯車装置および変速機内の軸受も、当該潤滑回路を介して、潤滑され冷却される。
【0021】
トルクコンバータ制御弁WDVおよびロックアップクラッチ制御弁WKVは、それぞれの端面が、制御系統(図示せず)から制御溝WDV_8及び制御溝WDV_9に接続されている供給管L1を介して、制御溝WDV_1および制御溝WKV_1内に配置されたばね装置WDV_Fおよびばね装置WKV_Fに抗して、作動制御圧p_anで付勢され、その場合、供給管L1を介してトルクコンバータ制御弁WDVないしロックアップクラッチ制御弁WKVにかかる作動制御圧p_anに依存して、変速機内に2つの異なった運転状態が形成され得る。
【0022】
第1運転状態WK_aufは、調整式ロックアップクラッチ7が解除され、系統圧力弁4を介して二次作動液圧回路SKに導入される作動流体体積流が、トルクコンバータ制御弁WDVの第7制御溝WDV_7に導かれ、トルクコンバータ制御弁のスプールWDV_Sの位置に応じて、トルクコンバータ制御弁WDVの第6制御溝WDV_6を介して流体トルクコンバータ6に供給され、そこから、ロックアップクラッチ制御弁WKVの方向に継続して導かれる、ということによって特徴づけられる。
【0023】
液圧系統1の第2運転状態WK_zuは、トルクコンバータ制御弁WDVのスプールWDV_Sが第6制御溝WDV_6を第7制御溝WDV_7に対して遮断するので、系統圧力弁4を通って二次作動液圧回路SKに流入する作動流体体積流が、ロックアップクラッチ制御弁WKVの方向に流れる、ということによって特徴づけられる。
【0024】
図1に示されたトルクコンバータ制御弁WDVのスプールWDV_Sの位置において、二次回路SKに導入された作動流体体積流は、ロックアップクラッチ制御弁WKVの第6制御溝WKV_6および第7制御溝WKV_7を介して、調整式ロックアップクラッチ7に導かれ、これによって、調整式ロックアップクラッチ7が係合されるか、あるいは、調整された状態に置かれる。同時に、調整式ロックアップクラッチ7の方向に導かれた作動流体体積流の一部は、ロックアップクラッチ制御弁WKVの第7制御溝WKV_7から出て、配管L2を介して第5制御溝WKV_5に導かれる。この第5制御溝WKV_5は、第4制御溝WKV_4を介して、開放される。
【0025】
第1運転状態WK_aufでの運転中、冷却装置8および当該冷却装置8の下流に配置された潤滑回路9には、系統圧力弁4から、トルクコンバータ制御弁WDVの第7制御溝WDV_7、第6制御溝WDV_6、流体トルクコンバータ6、ロックアップクラッチ制御弁WKVの第7制御溝WKV_7、第8制御溝WKV_8、トルクコンバータ制御弁WDVの第3制御溝WDV_3および第4制御溝WDV_4を介して作動流体が供給(作用)される。その場合、トルクコンバータ制御弁WDVの第4制御溝WDV_4と冷却装置8との間を延びる連結管L3に、冷却装置8からトルクコンバータ制御弁WDVの方向への流れを遮断する逆止弁10が設けられている。
【0026】
第2運転状態WK_zuの運転中、系統圧力弁4を介して二次回路SKに供給される作動流体は、系統圧力弁4と冷却装置8との間を延びると共に逆止弁10と冷却装置8との間で連結管L3に開口する液圧管L4を介して、冷却装置8に導かれる。潤滑制御弁SDVのスプールSDV_Sの位置に応じて、作動流体体積流は、潤滑制御弁SDVの第5制御溝SDV_5および第3制御溝SDV_3を介して、冷却装置8の上流の連結管L3に導入される。
【0027】
冷却装置8と潤滑回路9との間に、弁装置VEを介して遮断可能なバイパス管L5が設けられている。このバイパス管L5は、弁装置VEを介して、冷却装置8を通して導くべき作動流体体積流が潤滑回路9に導入すべき作動流体体積流を変化させることなしに調整可能であるように、制御される。弁装置VEの第4制御溝VE_4に開口するバイパス管L5は、弁装置VEのスプールVE_Sの位置に応じて、作動流体溜め11に通じる別の配管L6あるいは変速機の摩擦結合切換要素12に通じる補助配管L7に接続されている。
【0028】
これによって、弁装置VEのスプールVE_Sの位置に応じて、追加の作動流体体積流がバイパス管L5を介して簡単な様式で潤滑回路9の前で二次回路SKから分岐され、作動流体溜め11ないし変速機の油溜めに排出され得るので、冷却装置8を通して導くべき作動流体体積流を、潤滑回路9を介して導入すべき作動流体体積流を変化させることなしに、変速機の実際の運転状態に依存して、必要に応じて、簡単な様式で高めることができる。
【0029】
あるいはまた、摩擦結合切換要素12に(例えばすべり運転中のような)大きな負荷が生ずる変速機の運転状態において、当該摩擦結合切換要素12が供給された作動流体体積流で冷却され得るようにするために、バイパス管L5を介して二次作動液圧回路SKから分岐された作動流体体積流は、弁装置VEおよび補助配管L7を介して摩擦接続切換要素12に導かれ得る。
【0030】
切換要素12は、ここでは、変速機の発進伝達比を形成するために変速機の別の切換要素13と共に変速機の動力束内に接続されている、変速機の摩擦結合切換要素である。この切換要素12の伝達容量は、少なくとも自動車の発進過程の開始のために、エンジンが容易に所望の回転数にもたらされ得るように、その間自動車のエンジンと出力部との間における摩擦結合の伝達容量が低減される、というように減少される。これによって、十分な供給牽引力で快適な発進過程が実現され得る。
【0031】
それに続いて、切換要素12の伝達容量が再び高められ、これによって、エンジンと車両の出力部との間における動力束が完全に形成され、その場合、当該運転状態において切換要素12はすべりなしに運転される。この態様によって、ディーゼルエンジンとして形成されたエンジンの場合に主に存在する発進力不足が、簡単な様式で防止されるか抑制される。これにより、運転者は、ディーゼルエンジンが装備された自動車を一気に快適に発進することができる。
【0032】
弁装置VEは、ここでは、他の切換要素13を作動制御するために設けられる変速機制御装置のアクチュエータによって発生される圧力あるいはそれに対応する他の圧力値に依存して制御される。これによって、摩擦結合切換要素12ないし発進クラッチは、冷却装置8と潤滑回路9との間で、二次作動液圧回路SKから作動流体ないし冷却油が供給される。そのために、好適には、発進伝達比を形成するために変速機の動力束に接続された他の切換要素13の作動制御圧力が利用される。その切換要素13は、発進クラッチないし切換要素12と共に、発進伝達比において即ち変速機の特に1速前進段において、摩擦結合(力伝達)を形成し、これによって、変速機の2速前進段ないし第2伝達比段へのシフトアップの後に、弁装置VEないし他の弁要素VE_Vを介して形成された発進クラッチ12の冷却ないし追加冷却は中断され、分岐された作動流体体積流が変速機の潤滑に用立てられる。
【0033】
本発明に基づいて形成された液圧系統1の上述した機能性を実現できるようにするために、潤滑制御弁SDV並びに弁装置VEは、液圧制御回路14に接続されている。潤滑制御弁SDV並びに弁装置VEは、制御回路14からのパイロット圧p_VSで制御される。そのパイロット圧p_VSは、図1における液圧系統1の実施の形態の場合、ロックアップクラッチ制御弁WKVの第2制御溝WKV_2および第3制御溝WKV_3並びに制御配管L8を介して、潤滑制御弁SDVの第2制御溝SDV_2並びに弁装置VEの第2制御溝VE_2に導かれる。
【0034】
弁装置VEの作用は、ここでは、弁装置VEのスプールVE_Sの両端における制御溝VE_1及びVE_7内に配置されたばね装置VE_F1及びVE_F7、パイロット圧p_VS、並びに、他の切換要素13から第1制御溝VE_1にかかる当該他の切換要素13の作動制御圧力、あるいは、当該作動制御圧力と等価の制御量、に依存して、生ずる。これは、弁装置VEのスプールVE_Sにかかる前述のばね力と圧力とから構成される合力が当該弁装置VEのスプールVE_Sに作用して弁装置VEの第4制御溝VE_4が弁装置VEの第5制御溝VE_5と接続されるとき、バイパス管L5と切換要素12との間における接続が開通されることを意味する。
【0035】
パイロット圧p_VSは、ここでは、アクチュエータで調整される。大きな回転数ないし大きな負荷で特徴づけられる運転状態においては、系統圧力p_sysも同様に高められなければならないので、前記アクチュエータは、変速機の系統圧力p_sys、すなわちここでは一次回路PKにおける圧力も変化させる。これは、制御圧力p_Sおよびパイロット圧p_VSがここでは変速機制御装置の同じ電子的圧力調整器で生成される、ということを意味する。制御圧力p_Sとパイロット圧p_VSとが異なった圧力調整器で生成される、ということも勿論考えられるが、それは費用がかかり、また変速機制御装置の所要構造空間を増大させる。
【0036】
第1運転状態WK_aufにおいては、ロックアップクラッチ7の解除中、流体トルクコンバータ6の機能を保証可能とするために、コンバータ回路に一定の体積流量および一定の圧力が存在しなければならないので、二次回路SKにおける冷却装置8の前の圧力pk_zuは本質的に変化されない。しかしその結果、ここでは圧力制限弁としても形成された弁装置VEは、冷却装置8を通して導くべき作動流体体積流量を変化させるために、冷却装置8を通して導かれる作動流体体積流量が変化される圧力低下に依存して冷却装置を介して変わるように、冷却装置8の下流における圧力pk_rueが変化されるように、制御され得る。その場合、冷却装置8を通して導かれる作動流体体積流量は、増大された圧力低下に伴って冷却装置8を介して増大され、圧力低下の減少に伴って減少される。第1運転状態WK_aufにおいて、冷却装置8を介しての圧力低下は変化可能である。二次回路SKにおける冷却装置8の前の圧力pk_zuは、主に、バイパス管L5を他の配管L6あるいは補助配管L7に接続する弁装置VEの反動圧力レベルだけで変化される。
【0037】
本発明に基づく液圧系統1の図1に示された実施の形態において、潤滑制御弁SDVは、ロックアップクラッチ7の係合中あるいはロックアップクラッチ7の調整状態において、潤滑制御弁SDVの第5制御溝SDV_5と第3制御溝SDV_3との間の接続が潤滑制御弁SDVのスプールSDV_Sによって連通されるので、冷却装置8は液圧管L4を介して作動流体が供給される、というように構成されて液圧制御回路14によって制御され得る。
【0038】
液圧系統1の第2運転状態WK_zuにおいて、冷却装置8を通して導くべき作動流体体積流量は、逆止弁10と冷却装置8との間の液圧管L4を介して連結管L3に導かれる。第2運転状態WK_zuにおいて、連結管L3の冷却装置8の前における圧力pk_zuは、パイロット圧p_VSを介して変化され、これによって、冷却装置8を通して導かれる作動流体体積流量が変化される。また同時に、冷却装置8を通して導くべき作動流体体積流量を、連結管L3の冷却装置8の後ろにおける圧力を調整する弁装置VEの反動圧力レベルの上述した変化によって変化させることも、勿論できる。
【0039】
図2〜図4には、本発明に基づいて形成された液圧系統1の異なった3つの実施の形態が示されている。これらの実施の形態は、原理的には、図1に示された実施の形態と同一の構造を有している。従って、分かり易くするため、以下、液圧系統の個々の実施の形態間における相違点だけについて説明する。
【0040】
図2に示された液圧系統1の実施の形態は、図1に示された液圧系統1とは、パイロット圧p_VSがロックアップクラッチ制御弁WKVの状態とは無関係に液圧制御回路14から直接に潤滑制御(圧力)弁SDVおよび弁装置VEに与えられ、潤滑制御弁SDVの第6制御溝SDV_6がトルクコンバータ制御弁WDVの第6制御溝WDV_6に接続され、従って、潤滑制御弁SDVが第1運転状態WK_aufにおいてコンバータ圧力で付勢され、これによって、液圧系統1の当該運転状態において潤滑制御弁SDVが液圧管L4を確実に遮断する、という点で相違している。
【0041】
図3および図4における液圧系統の実施の形態は、図2に示された液圧系統1の実施の形態とは主に弁装置VEの範囲で相違している。図3および図4における液圧系統1の弁装置VEは、制御溝VE_B1〜VE_B6とばね装置VE_BFとスプールVE_BSとを備えた圧力制限弁VE_B、および、制御溝VE_V1〜VE_V4とばね装置VE_VFとスプールVE_VSとを備えたもう1つの弁要素VE_Vから形成されている。この場合、バイパス管L5は、パイロット圧p_VSで制御可能な圧力制限弁VE_Bを介して作動流体溜め11に接続され得て、前記弁要素VE_Vを介して前記他の切換要素13の作動制御圧力あるいはそれと等価な制御量に依存して切換要素12に接続され得る。
【0042】
これは、圧力制限弁VE_BのスプールVE_BSが、パイロット圧p_VSを介して、及び、二次作動液圧回路SKにおける冷却装置8の後ろにかかる圧力pk_rueに依存して、圧力制限弁VE_Bの第4制御溝VE_B4が圧力制限弁VE_Bの第3制御溝VE_B3に接続され、冷却装置8を通して導かれる作動流体体積流量の一部が潤滑回路9の前で二次作動液圧回路SKから分岐されて作動流体溜め11に排出される、というような位置に置かれなければならない、ということを意味する。
【0043】
図1および図2に示された液圧系統1は、図3および図4に示された液圧系統1の実施の形態に比べて、発進クラッチを冷却するための切換機能および圧力制限弁のバイパス機能が単一の複合弁によって実現されているので、構造空間的および経費的に有利な方式である。これは、発進クラッチないし切換要素12の冷却機能の作動が、ここではただ排他的オア機能として、圧力制限のためないし潤滑回路9を通して導かれる作動流体体積流量の制限のために実施される、ということから生ずる。バイパス機能は好適にはロックアップクラッチ6の運転状態WK_zuあるいはその調整状態においてしか作用しないので、作動流体溜め11の方向へのバイパス機能から変速機の運転状態WK_aufにおける切換要素12の冷却機能への切換活動が相互作用なしに行われる。
【0044】
技術者において、本発明に基づく液圧系統を、作動流体溜めないしは油溜め、及び、冷却のために切換要素、に同時にバイパス管が接続され得るように形成することも、勿論考えられる。
【0045】
図3における液圧系統の実施の形態において、弁要素VE_Vは制御弁として形成されている。この制御弁によって、他の切換要素13の作動制御圧力の設定圧力値あるいは当該作動制御圧力と等価の制御量の設定限界値が存在する場合に、バイパス管L5と切換要素12との間における補助配管L7が制御されて連通される。
【0046】
圧力制限弁VE_Bの第4制御溝VE_B4が制御弁VE_Vの第3制御溝VE_V3に接続されているので、制御弁VE_Vを相応に制御することにより、バイパス管L5を通して導入される作動流体体積流を弁装置VEの制御弁VE_Vの第2制御溝VE_V2および補助配管L7を介して切換要素12の方向に導くこと、エンジンの発進力不足が切換要素12を介してすべり運転によって補償される発進過程中に切換要素12を潤滑し冷却すること、あるいは、追加的にそれと並行して行われる詳細には示されていない冷却ないし潤滑のために冷却および潤滑すること、が可能である。
【0047】
これと異なって、図4における液圧系統1の場合、他の弁要素VE_Vは調整弁として形成されている。この調整弁によって、他の切換要素13の作動制御圧力あるいは当該作動制御圧力と等価の制御量およびバイパス管L5を介して他の弁要素VE_Vにかかる液圧に依存して、バイパス管L5と切換要素12との間の接続が調整されて開通可能である。
【0048】
自動変速機に対する本発明に基づいて形成された液圧系統1の図1〜図4に示された種々の実施の形態は、冷却・潤滑複合システムとなっている。冷却装置8並びに潤滑回路9の範囲におけるその作動流体体積流量は、変速機のその都度の運転状態に合わされ得て、従って実際に必要な潤滑油量ないし冷却油量に合わされ得る。これは、従来公知の液圧系統に比べて、かなりの余計な経費を要さずに、変速機の液圧制御装置の範囲において実現(置換)できる。また、液圧系統の図示された種々の実施の形態によれば、発進クラッチないし変速機内部の摩擦結合切換要素12に、多量の冷却油ないし作動流体体積流が供給できる。
【0049】
いまや本発明に基づく液圧系統によれば、自動変速機の広い運転領域にわたって設計上過剰の潤滑回路9の範囲における作動流体体積流量を、自動変速機のすべての運転状態にわたって、実際に必要とされる作動流体体積流量が常に正確に変速機の潤滑系を介して導かれるように、調整することができる。
【0050】
図5および図6には、係合されたロックアップクラッチ7の作動制御圧力p_anに関して、液圧系統1の種々の運転状態パラメータの経過が示されている。
【0051】
図5には、液圧系統1の種々の構成要素の上述した制御方式によって潤滑回路9に生ずる作動流体体積流量Q_Sが示されている。この作動流体体積流量Q_Sは、弁装置VEの圧力制限作用によって、潤滑回路9内において一定した作動流体体積流量Q_Sをもたらす。弁装置VEの圧力制限の開始は、図5において、破線で示された垂直線DBで表されている。その場合、冷却装置8を通して導かれる作動流体体積流量Q_Kの経過は、弁装置VEの圧力制限作用前では、潤滑回路9を通して導かれる作動流体体積流量Q_Sと、ほぼ同じ経過を有している。
【0052】
弁装置VEの圧力制限の開始は、作動流体体積流量Q_K及びQ_Sの経過の上側に記された圧力経過曲線pk_rue、pk_zu及びp_VEによって、その圧力経過曲線pk_rueと圧力経過曲線p_VEとの交点でほぼ決定される。この場合、圧力経過曲線pk_zuは、冷却装置8の前の二次作動液圧回路SKにおける圧力経過に相当し、圧力経過曲線pk_rueは、冷却装置8の後ろの二次作動液圧回路SKにおける圧力経過に相当し、これに対して、圧力経過曲線p_VEは、弁装置VEの圧力制限が始まる弁装置VEの反動圧力レベルに相当している。
【0053】
図6には、図1〜図4における液圧系統1の運転状態パラメータの、図5に示された経過が示されている。図6に示された運転状態パラメータの経過は、反動圧力レベルp_VEがロックアップクラッチ7の作動制御圧力p_anの増大に伴って同様に高められるときに、生ずる。作動制御圧力p_anの増大に伴って弁装置VEの反動圧力レベルp_VEが増大する結果、弁装置VEの反動圧力レベルp_VEの超過時、冷却装置8を通して導かれる作動流体体積流量Q_Kが増大するだけでなく、潤滑回路9を通して導かれる作動流体体積流量Q_Sも増大し、その場合、冷却装置8を通る作動流体体積流量Q_Kの増大は、潤滑回路9を通して導かれる作動流体体積流量Q_Sの増大よりも大きい。
【0054】
本発明に基づいて形成された液圧系統1の図示された実施の形態は、冷却装置の上流について、他の様式でも形成できる。その場合、冷却装置と二次作動液圧回路の潤滑回路との間で分岐されたバイパス管の制御は、冷却装置を通して導かれる作動流体体積流量が運転状態に依存して増大ないし低減可能で、潤滑回路を通して導かれる作動流体体積流量が同時に、潤滑および冷却にとって必要な量の作動流体のみが変速機の潤滑回路を通して導かれ、冷却装置の後ろで余剰の作動流体がバイパス管を介して二次作動液圧回路から単純な様式で排出される、というように変速機の運転状態に合わされる、というように保証されねばならない。
【符号の説明】
【0055】
1 液圧系統
2 ポンプ
3 ポンプ吐出し側
4 系統圧力弁
5 ばね装置
6 流体トルクコンバータ
7 調整式ロックアップクラッチ
8 冷却装置
9 潤滑回路
10 逆止弁
11 作動流体溜め
12 切換要素
13 他の切換要素
14 制御回路
L1 供給管
L2 配管
L3 連結管
L4 液圧管
L5 バイパス管
L6 他の配管
L7 補助配管
L8 制御配管
p 圧力
p_an トルクコンバータ制御弁およびロックアップクラッチ制御弁の作動制御圧力
pk_zu 二次回路における冷却装置前の圧力
pk_rue 二次回路における冷却装置後の圧力
p_S 制御圧力
p_sys 系統圧力
p_VE 弁装置の反動圧力値
p_VS パイロット圧
Q 作動流体体積流量
Q_K 冷却装置を通る作動流体体積流量
Q_S 潤滑回路を通る作動流体体積流量
SDV 潤滑制御弁
SDV_F 潤滑制御弁のばね装置
SDV_S 潤滑制御弁のスプール(スライダ)
SDV_1〜SDV_6 潤滑制御弁の制御溝(制御空間)
VE 弁装置
VE_B 弁装置の圧力制限弁
VE_BF 圧力制限弁のばね装置
VE_BS 圧力制限弁のスプール(スライダ)
VE_B1〜VE_B6 圧力制限弁の制御溝(制御空間)
VE_F1 弁装置のばね装置
VE_F7 弁装置のばね装置
VE_S 弁装置のスプール(スライダ)
VE_V 弁装置の他の弁要素
VE_VF 他の弁要素のばね装置
VE_VS 他の弁要素のスプール(スライダ)
VE_V1〜VE_4 他の弁要素の制御溝(制御空間)
WDV トルクコンバータ制御弁
WDV_S トルクコンバータ制御弁のスプール(スライダ)
WDV_1〜WDV_7 トルクコンバータ制御弁の制御溝(制御空間)
WKV ロックアップクラッチ制御弁
WKV_F ロックアップクラッチ制御弁のばね装置
WKV_S ロックアップクラッチ制御弁のスプール(スライダ)
WKV_1〜WKV_9 ロックアップクラッチ制御弁の制御溝(制御空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧源(2)から作動流体が供給ないし作用される複数の作動液圧回路(PK、SK)を備え、
前記作動液圧回路(PK、SK)は、変速機の異なった領域への作動流体の供給に関して、異なった高さで優先付けされており、
前記作動液圧回路(PK、SK)における圧力は、系統圧力弁(4)によって調整可能であり、
1つの作動液圧回路(SK)は、作動流体用の少なくとも1つの冷却装置(8)並びに当該冷却装置(8)の下流に配置された変速機の潤滑回路(9)を有しているという変速機の液圧系統(1)において、
前記冷却装置(8)と前記潤滑回路(9)との間に、弁装置(VE)で遮断可能なバイパス管(L5)が設けられ、
当該バイパス管(L5)は、前記弁装置(VE)を介して制御されるようになっており、
前記冷却装置(8)を通して導くべき作動流体体積流量(Q_K)は、前記潤滑回路(9)に導入すべき作動流体体積流量(Q_S)を変化させることなしに、調整可能であることを特徴とする変速機の液圧系統(1)。
【請求項2】
前記作動液圧回路(SK)は、前記冷却装置(8)を通して導かれる作動流体体積流量(Q_K)の少なくとも一部が前記潤滑回路(9)の前で当該作動液圧回路(SK)から作動流体溜め(11)へと導かれ得るように、前記バイパス管(L5)を介して前記作動流体溜め(11)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の液圧系統。
【請求項3】
前記作動液圧回路(SK)は、前記冷却装置(8)を通して導かれる作動流体体積流量(Q_K)の少なくとも一部が切換要素(12)を冷却するために前記潤滑回路(9)の前で当該作動液圧回路(SK)から分岐されるように、前記バイパス管(L5)を介して前記切換要素(12)に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液圧系統。
【請求項4】
前記バイパス管(L5)が分岐している作動液圧回路(SK)は、前記冷却装置(8)の上流に配置されている流体トルクコンバータ(6)および調整式ロックアップクラッチ(7)を有して形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液圧系統。
【請求項5】
前記流体トルクコンバータ(6)は、前記系統圧力弁(4)と当該流体トルクコンバータ(6)との間に配置されたトルクコンバータ制御弁(WDV)を介して作動流体が供給ないし作用されるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の液圧系統。
【請求項6】
前記調整式ロックアップクラッチ(7)は、前記系統圧力弁(4)と当該調整式ロックアップクラッチ(7)との間に配置されたロックアップクラッチ制御弁(WKV)を介して制御されるようになっていることを特徴とする請求項4または5に記載の液圧系統。
【請求項7】
前記バイパス管(L5)に接続された前記作動液圧回路(SK)は、調整式ロックアップクラッチ(7)の解除時に、前記冷却装置(8)で冷却すべき作動流体体積流量(Q_K)が前記系統圧力弁(4)からトルクコンバータ制御弁(WDV)と流体トルクコンバータ(6)とロックアップクラッチ制御弁(WKV)とを介して前記冷却装置(8)へと導かれる、というように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の液圧系統。
【請求項8】
前記系統圧力弁(4)と前記冷却装置(8)との間を延びる液圧管(L4)に、潤滑制御弁(SDV)が設けられ、
前記ロックアップクラッチ(7)の解除時に、冷却すべき作動流体体積流量(Q_K)は前記潤滑制御弁(SDV)を介して前記冷却装置(8)に導入されるようになっていることを特徴とする請求項6または7に記載の液圧系統。
【請求項9】
前記トルクコンバータ制御弁(WDV)と前記冷却装置(8)との間の連結管(L3)に、逆止弁(10)が設けられていることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の液圧系統。
【請求項10】
前記液圧管(L4)は、前記逆止弁(10)の下流で、前記連結管(L3)に開口していることを特徴とする請求項8に記載の液圧系統。
【請求項11】
前記ロックアップクラッチ(7)の係合時に、前記冷却装置(8)の入口圧力(pk_zu)が前記潤滑制御弁(SDV)を介して調整可能であり、
当該潤滑制御弁(SDV)は、液圧制御回路(14)によってパイロット圧(p_VS)で制御されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の液圧系統。
【請求項12】
前記弁装置(VE)は、前記液圧制御回路(14)のパイロット圧(p_VS)を介して制御可能であることを特徴とする請求項11に記載の液圧系統。
【請求項13】
前記液圧制御回路(14)と前記潤滑制御弁(SDV)との間の接続および又は前記液圧制御回路(14)と前記弁装置(VE)との間の接続が、前記ロックアップクラッチ(7)の解除時に、前記ロックアップクラッチ制御弁(WKV)を介して遮断されることを特徴とする請求項12に記載の液圧系統。
【請求項14】
前記液圧制御回路(14)は、前記潤滑制御弁(SDV)および前記弁装置(VE)に直接接続されていることを特徴とする請求項12に記載の液圧系統。
【請求項15】
前記潤滑制御弁(SDV)は、前記トルクコンバータ制御弁(WDV)を介して、前記トルクコンバータ(6)に、当該トルクコンバータ(6)の出口圧力が前記潤滑制御弁(SDV)に当該潤滑制御弁(SDV)の閉鎖方向に作用する圧縮力としてかかるように、接続可能であることを特徴とする請求項8乃至14のいずれかに記載の液圧系統。
【請求項16】
前記弁装置(VE)は、少なくとも1つの圧力制限弁(VE_B)を有して形成されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の液圧系統。
【請求項17】
前記弁装置(VE)は、少なくとも1つの圧力制限弁(VE_B)およびもう1つの弁要素(VE_V)から形成され、
前記バイパス管(L5)は、パイロット圧(p_VS)で制御可能な圧力制限弁(VE_B)を介して、および又は、前記弁要素(VE_V)を介して他の切換要素(13)の作動制御圧力あるいはそれと等価の制御量に依存して、作動流体溜め(11)に接続可能であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の液圧系統。
【請求項18】
前記弁要素(VE_V)は、制御弁として形成され、
当該制御弁によって、前記バイパス管(L5)と前記切換要素(12)との間の連結管(L7)が、他の切換要素(13)の作動制御圧力が設定圧力値にあるとき、あるいは、当該作動制御圧力と等価の制御量が設定限界値にあるとき、に制御されて連通されることを特徴とする請求項17に記載の液圧系統。
【請求項19】
前記弁要素(VE_V)は、調整弁として形成され、
当該調整弁によって、前記バイパス管(L5)と前記切換要素(12)との間の連結管(L7)が、他の切換要素(13)の作動制御圧力あるいは当該作動制御圧力と等価の制御量および前記バイパス管(L5)を介して前記弁要素(VE_V)にかかる液圧に依存して、制御されて連通可能であることを特徴とする請求項17に記載の液圧系統。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−82968(P2012−82968A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−18986(P2012−18986)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【分割の表示】特願2005−164403(P2005−164403)の分割
【原出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(500045121)ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト (312)
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
【Fターム(参考)】