説明

外力計測装置とそれを備えるクッション体

【課題】計測対象面に及ぼされる押圧力を広範囲で正確に計測することができると共に、計測対象面に及ぼされる剪断力も計測可能とされた、新規な構造の外力計測装置とそれを備えたクッション体を、部品点数の少ない簡単な構造で実現して、提供する。
【解決手段】一対の電極膜X,Yが導電性の弾性材によって変形可能に形成されており、外力計測用センサ12に対して一対の電極膜X,Yの対向方向で作用する押圧力を、外力計測用センサ12の静電容量の変化量に基づいて計測する押圧力計測手段50を有すると共に、外力計測用センサ12に対して一対の電極膜X,Yの面方向で作用する剪断力を、一対の電極膜X,Yの少なくとも一方の電気抵抗の変化量に基づいて計測する剪断力計測手段52,54を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面に作用する外力を計測するための外力計測装置とそれを備えるクッション体に係り、特に、面直交方向に作用する外力(押圧力)と、面平行方向に作用する外力(剪断力)とを、何れも計測可能とされた外力計測装置及びそれを備えるクッション体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、計測対象面に作用する押圧力の分布を計測し得るセンサが提案されており、例えば椅子の座面に作用する押圧力を計測して人が座っているか否かを判定したり、計測対象面に座した或いは伏した人に対して高い圧力が集中的に作用していないかを確認する等の用途に適用されている。このようなセンサとしては、例えば、特開2010−43881号公報(特許文献1)に示された静電容量型面圧分布センサ等がある。
【0003】
ところで、特許文献1では、計測対象面であるセンサの上面に対して上下方向(一対の電極の対向方向)に作用する押圧力を、静電容量の変化として高精度に計測して圧力分布を得ることができる。一方、面に平行な方向(水平方向)に作用する剪断力の計測を目的とするものではなかった。そこで、例えば、特許第4101768号公報(特許文献2)では、褥瘡の発生要因となる圧力の継続作用とずれおよび摩擦の作用との両方を確認可能とするために、面に作用する押圧力に加えて、面に作用する剪断力を計測可能とされた測定装置が提案されている。この測定装置は、押圧力を測定するための圧力センサと、剪断力(ずれ力)を測定するための歪ゲージを備えている。
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載の測定装置では、圧力センサと歪ゲージをそれぞれ設けていることから、センサ素子の数が増えて構造が複雑になると共に、1つの測定装置では狭い領域の押圧力および剪断力しか計測できず、計測対象がベッド用マットレス表面等の広い面である場合には、独立した構造の測定装置を多数配設する必要があって配設作業が煩雑であるし、多数の測定装置を配設したとしても計測対象面の全体に亘って正確な計測値を得ることは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−43881号公報
【特許文献2】特許第4101768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、計測対象面に及ぼされる押圧力を広範囲で正確に計測することができると共に、計測対象面に及ぼされる剪断力も計測可能とされた、新規な構造の外力計測装置を、部品点数の少ない簡単な構造で実現して、提供することにある。
【0007】
また、本発明は、上記外力計測装置を設けることで、体重によって及ぼされる押圧力と剪断力を計測して褥瘡の発生予防を危険度等を予測可能とした、新規な構造のクッション体を提供することも、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の第1の態様は、誘電性の弾性材で形成された誘電体層の両面に一対の電極膜が設けられた複数のセンサ素子を有しており、それらセンサ素子に作用する力を該センサ素子の検出値の変化に基づいて計測する外力計測装置であって、前記一対の電極膜が導電性の弾性材によって変形可能に形成されており、前記センサ素子に対して該一対の電極膜の対向方向で作用する押圧力を、該センサ素子の静電容量の変化量に基づいて計測する押圧力計測手段を有すると共に、該センサ素子に対して該一対の電極膜の面方向で作用する剪断力を、該一対の電極膜の少なくとも一方の電気抵抗の変化量に基づいて計測する剪断力計測手段を有することを特徴とする。
【0009】
このような第1の態様に記載された外力計測装置によれば、外力計測用センサを構成する電極膜が弾性材で形成されて伸縮変形を許容されている。それ故、電極膜の面方向に作用する剪断力が入力すると電極膜が伸縮変形して、長さと断面積の変化に応じて電極膜の電気抵抗が変化する。従って、電極膜の電気抵抗の変化を計測することにより、外力計測用センサに及ぼされた剪断力を計測することができて、外力計測用センサ上での物体の摩擦を伴う移動(ずれ)を検出することができる。
【0010】
しかも、誘電体層の両面に電極膜を設けた外力計測用センサによって、押圧力計測手段と剪断力計測手段が構成される。従って、剪断力計測手段を構成するために構造の異なるセンサを準備する必要がなく、外力計測装置を容易に製造することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載された外力計測装置において、前記押圧力計測手段と前記剪断力計測手段が前記一対の電極膜の少なくとも一方を共有して構成されていると共に、それら押圧力計測手段と剪断力計測手段を切り替えるスイッチ手段が設けられているものである。
【0012】
第2の態様によれば、押圧力計測手段と剪断力計測手段が同じ電極膜を共有して形成されており、共通の部材で押圧力と剪断力の両方を計測可能とされている。それ故、外力計測用センサの表面に及ぼされる押圧力及び剪断力を、少ない部品点数で効率的に計測することができる。
【0013】
また、スイッチ手段によって回路の切り替えを行うことにより、押圧力計測手段と剪断力計測手段が回路の一部を共有することができる。それ故、簡単な回路でそれらの計測手段を設けることが可能とされる。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1の態様に記載された外力計測装置において、前記押圧力計測手段と前記剪断力計測手段が互いに独立したそれぞれの回路で設けられているものである。
【0015】
第3の態様によれば、押圧力計測手段と剪断力計測手段を電気的に独立した回路を用いて設けることにより、例えば、押圧力計測手段の回路に交流電圧を印加しながら、同時に剪断力計測手段の回路に直流電圧を印加することが可能となる。従って、押圧力の計測と剪断力の計測が独立して実行可能とされて、それら押圧力の計測と剪断力の計測を同時に行うことができる。
【0016】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか1つの態様に記載された外力計測装置において、前記一対の電極膜が、前記誘電体層の一方の面に設けられる表側電極膜と、該誘電体層の他方の面に設けられる裏側電極膜とを、含んで構成されていると共に、該表側電極膜への通電方向と該裏側電極膜への通電方向が互いに異なる方向とされており、該表側電極膜の電気抵抗の変化量と該裏側電極膜の電気抵抗の変化量とに基づいて剪断力の作用方向を特定する入力方向特定手段が設けられたものである。
【0017】
第4の態様によれば、表側電極膜と裏側電極膜との通電方向が異なることで、入力される剪断力に対して、通電方向での長さの変化量と、通電方向に直交して広がる断面の面積の変化量が、表側電極膜と裏側電極膜で互いに異なる。その結果、剪断力の入力に対する表側電極膜の電気抵抗の変化と裏側電極膜の電気抵抗の変化が互いに異なることから、それら表側電極膜の電気抵抗と裏側電極膜の電気抵抗をそれぞれ計測することにより、剪断力の入力方向を特定することができる。
【0018】
特に、短手方向での変形による電気抵抗の変化が、長手方向の変形による電気抵抗の変化に対して、無視できる程度に小さくなるようにすれば、剪断力の入力方向を電気抵抗の計測値から高精度に求めて特定することができる。
【0019】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載された外力計測装置において、前記表側電極膜が面方向一方向で長手とされると共に、前記裏側電極膜が該表側電極膜と直交する方向で長手とされて、それら表側電極膜と裏側電極膜への通電方向がそれぞれの長手方向とされるものである。
【0020】
第5の態様によれば、表側電極膜と裏側電極膜がそれぞれ通電方向で長手とされていることにより、通電方向への入力時にそれら電極膜の伸縮変形量が大きくなって、電気抵抗の変化が大きく検出される。それ故、表側電極膜を用いて計測される剪断力の分力と、裏側電極膜を用いて計測される剪断力の分力とに基づいて、入力された剪断力の大きさと方向を求めることができる。しかも、表側電極膜と裏側電極膜を長手方向(通電方向)が互いに直交するように配置することによって、剪断力をより容易に特定することができる。
【0021】
本発明の第6の態様は、クッション体において、第1〜第5の何れか1つの態様に記載された外力計測装置を備えることを特徴とする。
【0022】
このような第6の態様に記載されたクッション体によれば、クッション体の表面に作用する押圧力および剪断力を外力計測装置で計測することにより、褥瘡の要因となる圧力の集中的な作用およびずれによる摩擦の有無およびその大きさを確認することができる。従って、外力計測装置の計測結果から褥瘡の発生を予め予測して、予防策(体動介護等)を講じることが可能となる。
【0023】
また、剪断力の方向を特定可能な外力計測装置を用いれば、クッション体上で身体のずれた方向を確認してずれが生じる要因を特定することにより、ずれによる摩擦を予防して、褥瘡の発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、導電性の弾性材で形成された電極膜を用いることにより、誘電体層と一対の電極膜を備えた外力計測用センサによって、面直交方向に作用する押圧力と、面平行方向に作用する剪断力(摩擦力)を、何れも計測することができる。また、クッション体において、押圧力と剪断力を計測することにより、褥瘡の発生危険度を予測することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の1実施形態としての外力計測装置を説明するブロック図。
【図2】図1に示された外力計測装置を構成する外力計測用センサの断面図であって、図1のII−II断面図
【図3】図1に示された外力計測装置の外力計測手順を説明するフローチャート。
【図4】図1に示された外力計測装置を有するマットレスを側方から示す概略図。
【図5】本発明の別の実施形態としての外力計測装置を説明する概略図。
【図6】本発明のまた別の実施形態としての外力計測装置を説明する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1には、本発明の1実施形態として、外力計測装置10が示されている。外力計測装置10は、外力計測用センサ12と、処理装置14を含んで構成されている。そして、外力計測用センサ12の検出値に基づいて、処理装置14が外力を計測して、計測結果を表示手段としてのディスプレイ16に表示するようになっている。なお、以下の説明では、原則として、図1中の左右方向をX方向、上下方向をY方向と称する。
【0028】
より詳細には、外力計測用センサ12は、図1,図2に示されているように、誘電体層18の両面に表裏一対の電極膜(表側電極膜01X〜16Xと裏側電極膜01Y〜16Y)を設けた構造を有している。誘電体層18は、略正方形のシート状を呈しており、ゴムや熱可塑性エラストマといった誘電性の弾性材で形成されている。なお、誘電体層18の形成材料は、誘電性の弾性材であれば特に限定されるものではないが、後述する押圧力検出用センサ素子Cのキャパシタンスを大きくするために、比誘電率が高いものが望ましく、例えば、常温での比誘電率が3以上、より好適には5以上のものが採用される。
【0029】
誘電体層18の形成材料としては、例えば、エステル基,カルボキシル基,水酸基,ハロゲン基,アミド基,スルホン基,ウレタン基,ニトリル基等の極性官能基を有するエラストマや、これらの極性官能基を有する極性低分子量化合物を添加したエラストマが好適に採用される。更に、エラストマのヤング率を小さく設定することで、微小な外力を計測し得る押圧力検出用センサ素子Cを実現する等、求められる計測感度や計測可能レンジに応じて、エラストマのヤング率は適当に設定される。
【0030】
より具体的には、誘電体層18の形成材料として、例えば、シリコーンゴム,アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム,アクリルゴム,エピクロロヒドリンゴム,クロロスルホン化ポリエチレン,塩素化ポリエチレン,ウレタンゴム等が好適に採用される。本実施形態の誘電体層18は、発泡性のウレタンによって形成されている。
【0031】
また、誘電体層18の上面に表側電極膜01X〜16Xが設けられていると共に、誘電体層18の下面に裏側電極膜01Y〜16Yが設けられている。なお、表側電極膜01X〜16Xと裏側電極膜01Y〜16Yによって、誘電体層18の両面に設けられる一対の電極膜が構成されている。
【0032】
表側電極膜01X〜16Xは、ゴム材料に導電性フィラーを混合した導電性ゴム等の導電性の弾性材で形成されており、容易に変形を許容される薄肉長手の帯状体とされている。また、16個の表側電極膜01X〜16Xが、短手方向で所定距離を隔てて隣り合うように並列に配設されており、それぞれ図1中の左右方向を長手として延びている。更に、表側電極膜01X〜16Xの両端からは、表側配線01x〜16xの各一つが延び出しており、表側配線01x〜16xを通じて表側電極膜01X〜16Xに長手方向で通電されるようになっている。表側配線01x〜16xは、表側電極膜01X〜16Xの両端から左右に延び出しており、中間で屈曲して上下に延びている。更にまた、表側電極膜01X〜16Xの一端から延び出す表側配線01x〜16xの端部に、表側配線用コネクタ20aが設けられていると共に、表側電極膜01X〜16Xの他端から延び出す表側配線01x〜16xの端部に、表側配線用コネクタ20bが設けられており、後述する処理装置14に対して配線を介して電気的に接続されている。
【0033】
なお、表側電極膜01X〜16Xおよび表側配線01x〜16xは、表側絶縁フィルム22上に設けられている。表側絶縁フィルム22は、絶縁性の合成ゴム(例えば、シリコーンゴム)等で形成された薄膜であって、略正方形の電極印刷部24と、電極印刷部24の左側に突出して上方に延び出す配線印刷部26aと、電極印刷部24の右側に突出して下方に延び出す配線印刷部26bとを、備えている。本実施形態において、表側電極膜01X〜16Xおよび表側配線01x〜16xは、調製されたゴムコンパウンドに有機溶剤を添加したものに導電性フィラーとしてのカーボンブラックを混合し、更に印刷用溶剤を添加したゴム系導電性塗料が、スクリーン印刷やインクジェット印刷,フレキソ印刷,グラビア印刷,パッド印刷,リソグラフィー等の方法で、表側絶縁フィルム22の下面に所定の形状で印刷されることによって形成されている。
【0034】
裏側電極膜01Y〜16Yは、表側電極膜01X〜16Xと同一の材料で形成されていると共に、同一の形状を有している。また、16個の裏側電極膜01Y〜16Yが、短手方向で所定距離を隔てて隣り合うように並列に配設されており、それぞれ図1中の上下方向を長手として、表側電極膜01X〜16Xと略直交する方向に延びている。更に、裏側電極膜01Y〜16Yの両端からは、裏側配線01y〜16yの各一つが延び出しており、裏側配線01y〜16yを通じて裏側電極膜01Y〜16Yに長手方向で通電されるようになっている。裏側配線01y〜16yは、裏側電極膜01Y〜16Yの上下両端から延び出しており、中間で屈曲して左右に延びている。更にまた、裏側電極膜01Y〜16Yの一端から延び出す裏側配線01y〜16yの端部に、裏側配線用コネクタ28aが設けられていると共に、裏側電極膜01Y〜16Yの他端から延び出す裏側配線01y〜16yの端部に、裏側配線用コネクタ28bが設けられており、表側配線用コネクタ20a,20bと同様に、後述する処理装置14に対して配線を介して電気的に接続されている。
【0035】
なお、裏側電極膜01Y〜16Yおよび裏側配線01y〜16yは、裏側絶縁フィルム30上に設けられている。裏側絶縁フィルム30は、表側絶縁フィルム22と同様の絶縁性材料で形成された薄膜であって、略正方形の電極印刷部32と、電極印刷部32の上側に突出して右方に延び出す配線印刷部34aと、電極印刷部32の下側に突出して左方に延び出す配線印刷部34bとを、備えている。本実施形態では、裏側電極膜01Y〜16Yおよび裏側配線01y〜16yは、表側電極膜01X〜16Xおよび表側配線01x〜16xと同様のゴム系導電性塗料が、表側電極膜01X〜16Xおよび表側配線01x〜16xと同様の印刷方法で、裏側絶縁フィルム30の上面に所定の形状で印刷されることによって形成されている。なお、図1では、誘電体層18と表側絶縁フィルム22が、何れも透明化されて外形線だけで示されており、表裏の電極膜01X〜16X,01Y〜16Y及び配線01x〜16x,01y〜16yが図示されている。
【0036】
表側電極膜01X〜16Xおよび裏側電極膜01Y〜16Yの形成材料は特に限定されるものではないが、後述する第1の剪断力検出用センサ素子RXおよび第2の剪断力検出用センサ素子RYの検出感度を高めるためには、それら電極膜01X〜16X,01Y〜16Yを形成するゴム材料のヤング率が、誘電体層18を形成するエラストマのヤング率よりも小さいことが望ましい。蓋し、誘電体層18のヤング率の方が小さいと、剪断力の入力時に誘電体層18の剪断変形が支配的になって、電極膜01X〜16X,01Y〜16Yの引張変形が生じ難くなるからである。尤も、誘電体層18のヤング率と電極膜01X〜16X,01Y〜16Yのヤング率は、押圧力と剪断力に対して要求される検出感度等に応じて調節されるものであって、誘電体層18のヤング率が電極膜01X〜16X,01Y〜16Yのヤング率よりも小さく設定されていても良い。
【0037】
そして、表側電極膜01X〜16Xおよび表側配線01x〜16xを設けられた表側絶縁フィルム22が誘電体層18の上面に重ね合わされると共に、裏側電極膜01Y〜16Yおよび裏側配線01y〜16yを設けられた裏側絶縁フィルム30が誘電体層18の下面に重ね合わされて、外力計測用センサ12が形成されている。この外力計測用センサ12において、表側電極膜01X〜16Xと裏側電極膜01Y〜16Yは、図1中で斜線を付して示されているように、誘電体層18を挟んで部分的に重なり合っており、重なり合う部分にそれぞれ押圧力検出用センサ素子Cが形成されて、256個の押圧力検出用センサ素子Cが16×16の正方行列状に配置されている。なお、表側電極膜iX(iは01〜16の何れか)と裏側電極膜jY(jは01〜16の何れか)の対向部分に形成される押圧力検出用センサ素子Cに対して、図中ではCijの符号が付されている。
【0038】
また、外力計測用センサ12を構成する表側電極膜01X〜16Xと裏側電極膜01Y〜16Yは、それぞれが剪断力検出用センサ素子Rとされている。より詳細には、表側電極膜01X〜16Xのそれぞれが、図1中の左右方向(X方向)に作用する剪断力を検出する第1の剪断力検出用センサ素子RXとされていると共に、裏側電極膜01Y〜16Yのそれぞれが、図1中の上下方向(Y方向)に作用する剪断力を検出する第2の剪断力検出用センサ素子RYとされている。なお、図中では、表側電極膜iX(iは01〜16の何れか)で構成される剪断力検出用センサ素子RXに対して、RXiの符号が付されていると共に、裏側電極膜jY(jは01〜16の何れか)で構成される剪断力検出用センサ素子RYに対して、RYjの符号が付されている。
【0039】
このような構造とされた外力計測用センサ12は、表側配線用コネクタ20a,20bと裏側配線用コネクタ28a,28bに接続された配線を介して、処理装置14と電気的に接続されている。処理装置14は、電源回路36と、RAM38と、ROM40と、CPU(中央演算装置)42と、駆動回路44とを、備えている。
【0040】
電源回路36は、押圧力検出用センサ素子Cに正弦波状の交流電圧を印加する交流電源回路46と、剪断力検出用センサ素子Rに直流電圧を印加する直流電源回路48とを含んでおり、それら交流電源回路46と直流電源回路48が、後述する駆動回路44の制御に応じて選択的に電圧を印加するようになっている。
【0041】
ROM40は、読み込みのみが可能な半導体記憶装置であって、押圧力検出用センサ素子Cを用いて計測された静電容量と押圧力との対応を示すマップデータと、剪断力検出用センサ素子Rを用いて計測される電気抵抗と剪断力との対応を示すマップデータが、予め格納されている。
【0042】
RAM38は、読み込み及び書き込みが可能な半導体記憶装置であって、押圧力検出用センサ素子Cを用いて計測されたインピーダンスおよび位相と、剪断力検出用センサ素子Rを用いて計測された電流値が、一時的に格納される。
【0043】
CPU42は、主にデータ処理を行う演算装置であって、RAM38に格納されたインピーダンスと位相に基づいて各押圧力検出用センサ素子Cが検出した静電容量を求めると共に、ROM40に格納されたマップデータを参照して、求めた静電容量に対応する押圧力を特定する。このように、押圧力検出用センサ素子Cの静電容量の変化に基づいて押圧力を計測する押圧力計測手段50が、処理装置14と各押圧力検出用センサ素子Cとを含んで構成されている。なお、各押圧力検出用センサ素子Cの位置と、計測された押圧力の大きさに基づいて、外力計測用センサ12上での押圧力の分布を求めても良い。
【0044】
また、CPU42は、RAM38に格納された電流値に基づいて各剪断力検出用センサ素子RX,RYが検出した電気抵抗を求めると共に、ROM40に格納されたマップデータを参照して、求めた電気抵抗に対応する剪断力を特定する。このように、剪断力検出用センサ素子RXの電気抵抗の変化に基づいて剪断力のX方向分力を計測する第1の剪断力計測手段52が、処理装置14と各剪断力検出用センサ素子RXとを含んで構成されていると共に、剪断力検出用センサ素子RYの電気抵抗の変化に基づいて剪断力のY方向分力を計測する第2の剪断力計測手段54が、処理装置14と各剪断力検出用センサ素子RYとを含んで構成されている。なお、第1の剪断力計測手段52が押圧力計測手段50と表側電極膜01X〜16Xを共有して構成されていると共に、第2の剪断力計測手段54が押圧力計測手段50と表側電極膜01Y〜16Yを共有して構成されている。
【0045】
さらに、CPU42は、第1の剪断力計測手段52によって計測された剪断力のX方向分力の大きさと、第2の剪断力計測手段54によって計測された剪断力のY方向分力の大きさとに基づいて、剪断力の作用方向を求める。この際、CPU42を含む処理装置14は、剪断力の入力方向を特定する入力方向特定手段として機能する。
【0046】
また、外力計測装置10では、駆動回路44が、押圧力計測用の回路(押圧力計測手段50)と剪断力計測用の回路(第1,第2の剪断力計測手段52,54)を所定の時間間隔で切り替えて、押圧力と剪断力を交互に計測するようになっている。即ち、外力計測用センサ12の表側配線用コネクタ20bと処理装置14を電気的に接続する経路上に第1のスイッチ56が設けられており、第1のスイッチ56の接続と遮断が駆動回路44によって制御されるようになっている。更に、裏側配線用コネクタ28bと処理装置14を電気的に接続する経路上に第2のスイッチ58が設けられており、第2のスイッチ58の接続と遮断が駆動回路44によって制御されるようになっている。これらによって、表側配線用コネクタ20bおよび裏側配線用コネクタ28bと処理装置14との電気的な接続状態と遮断状態が、駆動回路44によって制御されて切り替えられるようになっている。
【0047】
そして、第1のスイッチ56および第2のスイッチ58が何れも遮断された状態において、表側配線用コネクタ20aおよび裏側配線用コネクタ28aと処理装置14が電気的に接続されて、押圧力検出用センサ素子Cと処理装置14を有する押圧力計測手段50が構成される。
【0048】
一方、第1のスイッチ56および第2のスイッチ58が何れも接続された状態において、表側配線用コネクタ20aおよび表側配線用コネクタ20bと処理装置14が電気的に接続されて、剪断力検出用センサ素子RXの電気抵抗に基づいて剪断力のX方向成分を計測する第1の剪断力計測手段52が構成されると共に、裏側配線用コネクタ28aおよび裏側配線用コネクタ28bと処理装置14が電気的に接続されて、剪断力検出用センサ素子RYの電気抵抗に基づいて剪断力のY方向成分を計測する第2の剪断力計測手段54が構成される。要するに、駆動回路44が第1,第2のスイッチ56,58を切り替えることにより、押圧力計測手段50と剪断力計測手段52,54が択一的に構成される。上述の説明からも明らかなように、押圧力計測手段50と剪断力計測手段52,54を切り替えるスイッチ手段が、駆動回路44と第1のスイッチ56と第2のスイッチ58とを含んで構成されている。
【0049】
なお、処理装置14は、ディスプレイ16に対して電気的に接続されており、処理装置14が出力する表示制御信号に基づいてディスプレイ16の表示が制御されるようになっている。なお、表示制御信号は、押圧力および剪断力の計測値に基づいて生成される信号であって、ディスプレイ16に数値を直接表示するようになっていても良いし、計測値に基づいた押圧力の分布図や剪断力のベクトルに対応する矢印等が図示されるようになっていても良い。
【0050】
かくの如き構造とされた外力計測装置10は、押圧力検出用センサ素子Cの検出値に基づいて押圧力を計測すると共に、剪断力検出用センサ素子Rの検出値に基づいて剪断力を計測する。以下、図3に示されたフローチャートを参照しながら押圧力および剪断力を計測するための処理手順について説明する。
【0051】
すなわち、外力計測装置10による計測を開始すると、先ず、ステップ(以下、S)1において、駆動回路44が第1のスイッチ56と第2のスイッチ58を何れも切断して、押圧力計測手段50を構成する。次に、S2において、交流電源回路46が各押圧力検出用センサ素子Cに所定の交流電圧を印加する。
【0052】
そして、S3において、各押圧力検出用センサ素子Cから出力されて処理装置14のRAM38に格納される検出値に基づいて、CPU42が各押圧力検出用センサ素子Cの静電容量を求める。その後、S4において、CPU42は、ROM40に予め格納されたマップデータに基づいて、S3で求めた静電容量に対応する押圧力の大きさを特定する。これにより、押圧力の計測を完了する。なお、S4とS5の間に、求めた押圧力に基づいて外力計測用センサ12上での圧力分布を得る手順を設けても良い。
【0053】
次に、S5において、交流電源回路46が各押圧力検出用センサ素子Cへの交流電圧の印加を停止する。また、S6において、駆動回路44が第1のスイッチ56と第2のスイッチ58を何れも接続して、第1の剪断力計測手段52と第2の剪断力計測手段54を構成する。その後、S7において、直流電源回路48が各剪断力検出用センサ素子RX,RYに直流電圧を印加する。
【0054】
そして、S8において、各剪断力検出用センサ素子RXから出力されて処理装置14のRAM38に格納される検出値に基づいて、CPU42が各剪断力検出用センサ素子RXの電気抵抗を求める。その後、S9において、CPU42は、ROM40に予め格納されたマップデータに基づいて、S8で求めた電気抵抗に対応する剪断力のX方向分力の大きさを特定する。一方、S10において、各剪断力検出用センサ素子RYから出力されて処理装置14のRAM38に格納される検出値に基づいて、CPU42が各剪断力検出用センサ素子RYの電気抵抗を求める。その後、S11において、CPU42は、ROM40に予め格納されたマップデータに基づいて、S10で求めた電気抵抗に対応する剪断力のY方向分力の大きさを特定する。なお、直流電圧の印加時には、誘電体層18が絶縁層として機能しており、剪断力検出用センサ素子RX(表側電極膜01X〜16X)と剪断力検出用センサ素子RY(裏側電極膜01Y〜16Y)の短絡が防止されている。
【0055】
さらに、S12において、CPU42は、求めた剪断力のX方向分力およびY方向分力に基づいて、剪断力の大きさと作用方向を特定する。剪断力の作用方向は、例えば、ROM40に予め三角関数表を格納しておいて、それに基づいてX方向に対する傾斜角度を求めることで特定される。なお、S12において、処理装置14は、剪断力の入力方向を特定する入力方向特定手段として機能する。
【0056】
次に、S13において、処理装置14は、S4で特定した押圧力と、S9,S11,S12で特定した剪断力に基づいて、表示制御信号を出力して、計測結果をディスプレイ16に表示する。また、S14において、直流電源回路48が各剪断力検出用センサ素子RX,RYへの直流電圧の印加を停止する。更に、S15において、CPU42が計測を続行するか否かの判定をする。S15でCPU42が計測を続行する判定をした場合には、上述の各手順(S1〜S15)を順に繰り返して、計測を所定の時間間隔で続行する。なお、S1〜S15の一連の手順は、外力の変化を精度よく計測するために、1分以内に完了されることが望ましい。また、S15からS1の間で所定の時間だけ待機する待機時間を設けて、計測間隔を調節しても良い。
【0057】
このような外力計測装置10は、図4に示されているように、クッション体としてのマットレス60に取り付けられている。マットレス60は、弾力性を有するベッド用の一般的な寝具であって、図示しないベッドのフレーム上に配設される。また、ベッドのフレームは、上半身を支持する部分の水平面に対する傾斜角度を調節することが可能とされた介護用ベッドのフレームであって、それに伴ってマットレス60が変形して上半身を支持する部分が水平面に対して任意の傾斜角度:θだけ傾斜するようになっている。なお、θは、0度≦θ≦90度の範囲に設定される。
【0058】
そして、外力計測装置10の外力計測用センサ12がマットレス60に内蔵されていると共に、処理装置14およびディスプレイ16が外力計測用センサ12に電気的に接続されてマットレス60の外部に設けられている。なお、本実施形態では、マットレス60において使用者(患者等)の上半身を支持する部分に外力計測用センサ12が内蔵された例が示されているが、外力計測用センサ12は、全体に設けられていても良いし、下半身を支持する部分だけに設けられていても良い。具体的には、例えば、体重を主に支持する臀部の圧力および摩擦力を計測できるように、臀部の支持部分に外力計測用センサ12を配することもできる。
【0059】
そして、マットレス60の上半身を支持する部分に及ぼされる外力が、マットレス60の表面に対して略直交する方向に作用する外力の分力(押圧力)と、マットレス60の表面に対して略平行な方向に作用する外力の分力(剪断力)として、外力計測装置10によってそれぞれ計測される。この計測結果に基づいて、使用者とマットレス60の間に作用する圧力と摩擦力を推定できることから、それらの圧力および摩擦力を要因とする褥瘡の発生危険度を予測して、予防に役立てることができる。
【0060】
また、外力計測装置10では、誘電体層18の両面に表側電極膜01X〜16Xと裏側電極膜01Y〜16Yの各一方を設けた外力計測用センサ12によって、押圧力と剪断力の両方を測定できるようになっている。従って、押圧力計測用のセンサと剪断力計測用のセンサを別々に設ける場合に比して、構造を簡単なものとすることができる。
【0061】
しかも、押圧力計測手段50と剪断力計測手段52,54が電極膜01X〜16X,01Y〜16Yを共有して構成されて、スイッチ手段で切り替えられるようになっている。それ故、センサ素子を構成する部品点数を少なくすることができて、構造の簡略化が図られる。
【0062】
また、外力計測装置10では、表側電極膜01X〜16Xへの通電方向と裏側電極膜01Y〜16Yへの通電方向が異なっていることにより、表側電極膜01X〜16Xを用いて計測する剪断力のX方向分力と、裏側電極膜01Y〜16Yを用いて計測する剪断力のY方向分力に基づいて、剪断力の作用方向を特定することができる。これにより、マットレス60上で身体のずれが生じる原因を摩擦力の作用方向から推定して、摩擦力に起因する褥瘡の発生予防に役立てることができる。
【0063】
しかも、表側電極膜01X〜16Xと裏側電極膜01Y〜16Yは、何れも通電方向に長手の帯状とされており、同じ大きさの入力に対して、通電方向での変形が通電方向と直交する方向での変形よりも充分に大きくなる。このように、表側電極膜01X〜16Xと裏側電極膜01Y〜16Yの変形量に異方性を持たせたことにより、剪断力の作用方向をより精度良く特定することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態では、押圧力を計測するための押圧力検出用センサ素子と剪断力検出用センサ素子が、電極膜01X〜16X,01Y〜16Yを共有して構成されており、スイッチ手段によって回路を切り替えることにより、押圧力と剪断力の何れか一方を選択的に計測するようになっている。しかし、押圧力検出用センサ素子と剪断力検出用センサ素子を互いに独立して設けて、それら各センサ素子に互いに独立した計測用回路を設けることによって、押圧力と剪断力を同時に計測可能とすることもできる。
【0065】
具体的には、例えば、図5に概略で示された外力計測装置70のように、押圧力検出用センサ素子Cを構成する電極膜と剪断力検出用センサ素子Rを構成する電極膜が互いに異なる電極膜とされていれば良い。即ち、押圧力検出用センサ素子Cを構成する電極膜が表側電極膜01Xおよび裏側電極膜01Yとされている一方、剪断力検出用センサ素子Rを構成する電極膜が表側電極膜02Xとされている。そして、表側電極膜01Xおよび裏側電極膜01Yが、押圧力処理装置72に対して、配線74を介して、電気的に接続されていると共に、表側電極膜02Xが、剪断力処理装置76に対して、配線74とは電気的に独立した配線78を介して電気的に接続されている。これにより、押圧力検出用センサ素子Cおよび押圧力処理装置72を含んで構成される押圧力計測手段80と、剪断力検出用センサ素子Rおよび剪断力処理装置76を含んで構成される剪断力計測手段82とが、電気的に互いに独立して設けられている。そして、押圧力処理装置72から押圧力検出用センサ素子Cに交流電圧が印加すると同時に、剪断力処理装置76から剪断力検出用センサ素子Rに直流電圧が印加することにより、押圧力と剪断力を同時に計測可能とされている。なお、押圧力処理装置72と剪断力処理装置76は、前記実施形態の処理装置14において、押圧力を計測する部分と、剪断力を計測する部分を、別々に設けたものであることから、ここでは詳細な説明を省略する。
【0066】
また、外力計測装置10は、マットレス60だけでなく、例えば、椅子(車椅子や自動車のシートを含む)の座面や背もたれのクッション部分等に設けることもできる。更に、外力計測装置10は、必ずしも褥瘡防止用に用いられるものではなく、他の目的で使用される場合もある。
【0067】
さらに、外力計測装置10は、必ずしもクッション体に配設されて用いられるものではなく、単体で用いても良いし、センサ素子を保護するためのカバーを外力計測用センサ12に取り付けた略単体状態で用いても良い。
【0068】
また、剪断力は、必ずしも表裏両方の電極膜01X〜16X,01Y〜16Yを用いて計測しなくても良く、図6に示された外力計測装置90のように、剪断力計測手段82だけで計測することも可能である。特に、傾斜面(上半身の支持部分)における上下方向のずれが問題となる一方、横方向(図4の紙面直交方向)のずれは問題となり難いというように、剪断力の作用方向を推測可能な場合には、図6のように1つの剪断力計測手段82で剪断力の大きさだけを計測することにより、計測用回路の簡略化が図られる。なお、外力計測装置90において、前記実施形態と実質的に同一の部材および部位については、図6中に同一の符号を伏すことで説明を省略する。
【0069】
また、電極膜の数は特に限定されるものではなく、それに伴ってセンサ素子の数も特に限定されない。更に、複数の表側電極膜或いは複数の裏側電極膜が設けられる場合、それら表側電極膜の相対的な配置と、裏側電極膜の相対的な配置は、何れも計測すべき外力の作用方向等に応じて適宜に設定されるものであって、前記実施形態の配置に限定して解釈されるものではない。更にまた、表側電極膜と裏側電極膜は、帯状とされている場合であっても、長手方向が直交するように配置されている必要はない。なお、電極膜の形状は、長手の帯状に限定されるものではなく、膜状であれば、正方形のもの等も採用可能である。
【0070】
また、電極膜が絶縁フィルム上に印刷等で形成されて、絶縁フィルムと電極膜が固着している場合には、電極膜の伸びが絶縁フィルムによって規制されないように、絶縁フィルムが合成ゴムや熱可塑性エラストマ等のエラストマ材料を用いて弾性変形可能に形成されることが望ましい。一方、絶縁フィルムと電極膜が互いに非固着で電極膜が絶縁フィルムに対して独立して変形可能とされている場合には、絶縁フィルムの形成材料は、弾性変形可能な上記の如きエラストマ材料であっても良いが、例えば、合成樹脂材料等も好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0071】
10,70:外力計測装置、12:外力計測用センサ、14:処理装置、18:誘電体層、36:電源回路、38:RAM、40:ROM、42:CPU、44:駆動回路(スイッチ手段)、50,80:押圧力計測手段、52:第1の剪断力計測手段、54:第2の剪断力計測手段、56:第1のスイッチ(スイッチ手段)、58:第2のスイッチ(スイッチ手段)、60:マットレス、72:押圧力処理装置、76:剪断力処理装置、82:剪断力計測手段、01X〜16X:表側電極膜、01Y〜16Y:裏側電極膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電性の弾性材で形成された誘電体層の両面に一対の電極膜が設けられた外力計測用センサを有しており、該外力計測用センサに作用する力を該外力計測用センサの検出値の変化に基づいて計測する外力計測装置であって、
前記一対の電極膜が導電性の弾性材によって変形可能に形成されており、
前記外力計測用センサに対して該一対の電極膜の対向方向で作用する押圧力を、該外力計測用センサの静電容量の変化量に基づいて計測する押圧力計測手段を有すると共に、
該外力計測用センサに対して該一対の電極膜の面方向で作用する剪断力を、該一対の電極膜の少なくとも一方の電気抵抗の変化量に基づいて計測する剪断力計測手段を有することを特徴とする外力計測装置。
【請求項2】
前記押圧力計測手段と前記剪断力計測手段が前記一対の電極膜の少なくとも一方を共有して構成されていると共に、それら押圧力計測手段と剪断力計測手段を切り替えるスイッチ手段が設けられている請求項1に記載の外力計測装置。
【請求項3】
前記押圧力計測手段と前記剪断力計測手段が互いに独立したそれぞれの回路で設けられている請求項1に記載の外力計測装置。
【請求項4】
前記一対の電極膜が、前記誘電体層の一方の面に設けられる表側電極膜と、該誘電体層の他方の面に設けられる裏側電極膜とを、含んで構成されていると共に、該表側電極膜への通電方向と該裏側電極膜への通電方向が互いに異なる方向とされており、
該表側電極膜の電気抵抗の変化量と該裏側電極膜の電気抵抗の変化量とに基づいて剪断力の作用方向を特定する入力方向特定手段が設けられた請求項1〜3の何れか1項に記載の外力計測装置。
【請求項5】
前記表側電極膜が面方向一方向で長手とされると共に、前記裏側電極膜が該表側電極膜と直交する方向で長手とされて、それら表側電極膜と裏側電極膜への通電方向がそれぞれの長手方向とされる請求項4に記載の外力計測装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載された外力計測装置を備えることを特徴とするクッション体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−168064(P2012−168064A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30252(P2011−30252)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】