説明

外国為替取引システム及びビッド/オファーフィルタリング方法

【課題】マーケットメーカーが意図しない異質なビッド/オファーを適切に排除しつつ、好適な為替取引を提供することができる外国為替取引システム及びビッド/オファーフィルタリング方法を提供する。
【解決手段】本発明のビッド/オファーフィルタリング方法は、マーケットメーカーから入力されるビッド/オファーが異質な情報であるか否かを判別し、異質なビッド/オファーであると判別された場合にその後に連続して当該マーケットメーカーから入力されるビッド/オファーを一定の条件が満たされるまでの間、市場に供給されないように一時的に遮断する遮断処理を遂行するとともに、一定の条件が満たされた後に入力されたビッド/オファーについて再度その情報が異質な情報であるか否かを判別して、該マーケットメーカーからのビッド/オファーが市場に供給されるように復帰させる復帰処理を遂行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国為替取引システムに関し、より詳細には、マーケットメーカーから供給されるビッド/オファーをフィルタリングする外国為替取引システム及びビッド/オファーフィルタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外国為替取引は、銀行等の金融機関であるマーケットメーカーがビッド(買い気配値)/オファー(売り気配値)を提示し、一般企業や個人投資家等の注文者(マーケットユーザー)が提示されたビッド/オファーに基づいて為替の売買を行う。これらビッド/オファーの呼び値をするマーケットメーカーは、その通貨の需要と供給の関係から外国為替市場の相場がリアルタイムに変動するため、注文者に絶え間なく最新のビッド/オファーを提示している。
【0003】
図1は、取引所為替証拠金取引の一例を示す図であり、取引所が保有する取引所システム100、取引所システム100に専用回線を通じて接続するマーケットメーカーが保有するマーケットメーカー端末(MM端末)400、及び取引所システム100に取引業者(取引業者サーバ200)を通じて接続する注文者が保有する注文者端末300を含む。マーケットメーカーは、MM端末400を通じて常に最新のビッド/オファーを取引所システム100に伝送する。
【0004】
しかしながら、従来、呼び値をするマーケットメーカー側においてビッド/オファーを提示するための元データの異常、そのシステムの再立ち上げの際やシステム障害からの復旧の際に、直前に当該マーケットメーカーから送信されたビッド又はオファーと大幅に相違するビッド/オファーが注文者に提示される場合がある。この直前に当該マーケットメーカーから送信されたビッド/オファーと大幅に相違するビッド/オファーは、市場実勢価格外の異質な不正情報、すなわち、ビッド/オファーを供給するマーケットメーカーが意図しないシステム上のエラーデータ(バッドティック(異常値))であり、この不正なビッド/オファーが為替取引レートとして注文者に提示されて取引が成立(約定)してしまうと、呼び値をするマーケットメーカーに不測の不利益が生じることになる。
【0005】
そこで、不正なビッド/オファーが為替取引レートとして注文者に提示されて取引が成立することを抑制する方法として、ビッド/オファーに対して値幅制限によるフィルタリングを適用することが考えられる。
【0006】
具体的な値幅制限によるフィルタリングの例としては、予め基準値(基準価格)を設定し、為替取引レートの呼び値がこの基準値に対する所定の範囲、例えば値幅率3%以内にあるか否かを判別する。基準値に対する値幅率の範囲内であれば正常なビッド/オファーであると判別し、一方、範囲外の場合はそのビッド/オファーを不正な為替取引レートであると判別し、マーケットメーカー側又は取引所において不正なビッド/オファーを注文者に提示(送信)されないようにフィルタリングする。つまり、マーケットメーカーに対して基準値から所定の値幅率の範囲を超えるビッド/オファーでの為替取引をできないようにする。
【0007】
一方、この値幅制限を注文者側に適用することも考えられ、注文者による注文入力において入力可能な値幅(所定の基準価格に対する注文受付可能な値幅)を設定し、基準価格に対する値幅率の範囲外の注文ができないようにすることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、マーケットメーカーが提示するビッド/オファーに対して単純に値幅制限を課した場合、基準値及び値幅率に基づく範囲外のビッド/オファーが市場(注文者)に供給されないものの、ビッド/オファーを提示するための元データの異常、システムの再立ち上げの際やシステム障害復旧の際における不正情報とは関係のない大幅な値動き、すなわち、マーケットメーカーが経済指標や要人発言などによる相場急変に基づいて意図して供給した前日の最終値又は直前の約定価格(又は直前の供給したビッド/オファー)と大きく異なるビッド/オファーが、相場急変における正常な値動きに基づく値であっても、基準値及び値幅率に基づく範囲外であるために正常なビッド/オファーとして市場に供給されず、注文者及びマーケットメーカーの双方が為替取引を行うことができなくなる課題がある。
【0009】
すなわち、予め設定されたビッド/オファーの基準値に対して最新に受信するビッド/オファーが所定の範囲内(値幅率の範囲内)にあるか否かを判別しているため、例えば、基準価格に対して3%の範囲に含まれないビッド/オファーがマーケットメーカーから供給され続ける場合、常にそのマーケットメーカーからのビッド/オファーが不正情報として識別され、市場にビッド/オファーが供給されないばかりか、注文者が相場急変時において取引不能に陥ることになる。このため、健全な為替取引を維持することができない課題がある。
【0010】
特に、提示されたビッド/オファーがビッド/オファーを提示するための元データの異常、システムの再立ち上げの際やシステム障害復旧の際における異質な不正情報であるのか、マーケットメーカーが経済指標や要人発言などによる相場急変に基づいて意図して供給した直前のビッド/オファーと大きく異なる正常な情報であるかを判断することはできない。このため、例えば、値幅制限の基準値及び値幅率を変更して(値幅制限を緩和して)前日の最終値や直前の約定価格と大きく異なるビッド/オファーを市場に供給するなどの措置を講ずることができず、上述のように注文者及びマーケットメーカーの双方が、為替取引を行うことができなくなる課題がある。
【0011】
また、経済指標や要人発言などによる相場急変時は、ビッド/オファーが激しく変化するため、マーケットメーカーから1秒間に複数(例えば、数十)のビッド/オファーが提示されるような場合もあり、このような値幅制限の基準値及び値幅率を適宜変更することは実質的に不可能となる。したがって、値幅制限によるフィルタリングでは、健全な為替取引を維持することができない課題がある。
【0012】
さらに、上述の値幅制限を注文者側に適用する場合においても同様に、相場急変時等における正常な値動きに基づいて提示されたビッド/オファーに対して注文を行うことができないため、取引を行うことできなくなる課題がある。
【0013】
また、上述の課題に鑑み、値幅制限によるビッド/オファーのフィルタリング処理を適用せずに(マーケットメーカーから提示される全てのビッド/オファーを注文者に提示するようにして)、バッドティック(異常値)で成立した売買を注文者と取引業者との取引契約に基づいて無効として取引成立後に訂正するように構成することも考えられるが、為替取引レートは、常に変動しており、一度成立した売買を異常値のために取引がなかったものとする処理は、非常に手間が掛かり、コストが発生する。特に、取引成立後にその約定価格が異常値であったか否かをマーケットメーカーや取引所(取引業者)が決定することは、取引の不透明感を生じさせ、健全な為替取引の妨げとなる課題がある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、マーケットメーカーが意図しない異質なビッド/オファーを適切に排除しつつ、好適な為替取引を提供することができる外国為替取引システム及びビッド/オファーフィルタリング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つの観点における外国為替取引システムは、外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーに基づく為替取引を、注文者端末を介して注文者に提供する外国為替取引システムであって、上記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファーに対するフィルタリング制御を遂行するフィルタリング制御部と、上記フィルタリング制御部から出力されるビッド又は/及びオファーを上記注文者端末に伝送する取引レート管理部とを有する。そして、上記フィルタリング制御部は、順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を遂行し、乖離範囲内でないと判別された場合に上記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に上記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間上記取引レート管理部に出力しない第1フィルタリング処理と、上記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、上記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する上記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を遂行し、乖離範囲内であると判別された場合に上記最初に受信したビッド又はオファーを上記取引レート管理部に出力する第2フィルタリング処理と、を遂行することを特徴とする。
【0016】
また、上記外国為替取引システムは、上記マーケットメーカー端末を通じて伝送される上記乖離率と上記一定の条件に関する情報とを格納する格納部をさらに備えることができる。
【0017】
また、上記フィルタリング制御部は、上記乖離率及び上記直前に受信したビッド又はオファーを用いて、ビッド及びオファー毎の乖離上限値及び乖離下限値を算出し、算出した上記乖離上限値及び上記乖離下限値を乖離範囲とする上記第1判別処理を遂行することができる。
【0018】
また、上記フィルタリング制御部は、上記乖離率及び上記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーを用いて、ビッド及びオファー毎の乖離上限値及び乖離下限値を算出し、算出した上記乖離上限値及び上記乖離下限値を乖離範囲とする上記第2判別処理を遂行することができる。
【0019】
また、上記一定の条件は、上記ビッド又はオファーの所定の受信回数であり、上記フィルタリング制御部は、乖離範囲内でないと判別された上記最新に受信したビッド又はオファーからカウントして上記所定の受信回数に達するまでのその後に上記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド又はオファーを上記取引レート管理部に出力しない上記第1フィルタリング処理を遂行することができる。
【0020】
また、上記フィルタリング制御部は、上記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド又は/及びオファーが上記外国為替取引システムにおける為替取引日当日に最初に受信するビッド又はオファーであるか否かを判別する第3判別処理を遂行し、上記為替取引日当日に最初に受信するビッド又はオファーであると判別された場合、上記為替取引日当日に最初に受信するビット又はオファーが、上記為替取引日の前日に上記マーケットメーカー端末から最後に受信したビッド又はオファー、上記為替取引日の前日の清算価格、若しくは上記為替取引日の前日の取引終了直近の約定価格のうちいずれか1つに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する上記第1判別処理を遂行することができる。
【0021】
さらに本発明の他の観点における外国為替取引システムは、外国為替取引についての取引所が保有する取引所中央サーバ及び当該外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーが入力されるMM用サーバを有し、前記取引所に登録された取引業者を通じた外国為替取引を注文者端末を介して注文者に提供する外国為替取引システムであって、上記MM用サーバは、上記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファーに対するフィルタリング制御を遂行するフィルタリング制御部を含み、上記取引所中央サーバは、上記フィルタリング制御部から出力されるビッド又は/及びオファーを上記注文者端末に伝送する取引レート管理部を含む。そして、上記フィルタリング制御部は、順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を遂行し、乖離範囲内でないと判別された場合に上記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に上記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間上記取引レート管理部に出力しない第1フィルタリング処理と、上記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、上記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する上記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を遂行し、乖離範囲内であると判別された場合に上記最初に受信したビッド又はオファーを上記取引レート管理部に出力する第2フィルタリング処理と、を遂行することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の他の観点としての外国為替取引装置は、外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーを受信し、注文者端末を介して注文者に上記ビッド/オファーに基づく為替取引を提供する外国為替取引装置であって、上記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファーに対するフィルタリング制御を遂行するフィルタリング制御部と、上記フィルタリング制御に基づくビッド又は/及びオファーを上記注文者端末に伝送する取引レート管理部とを有する。そして、上記フィルタリング制御部は、順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を遂行し、乖離範囲内でないと判別された場合に上記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に上記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間上記取引レート管理部に出力しない第1フィルタリング処理と、上記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、上記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する上記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を遂行し、乖離範囲内であると判別された場合に上記最初に受信したビッド又はオファーを上記取引レート管理部に出力する第2フィルタリング処理と、を遂行することを特徴とする。
【0023】
さらに本発明の他の観点としての情報処理装置は、外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーを受信し、注文者端末を介して注文者に前記ビッド/オファーに基づく為替取引を提供する外国為替取引システムにおいて、上記マーケットメーカー端末から送信されるビッド/オファーが入力され、上記ビッド/オファーを前記注文者端末に伝送する上記外国為替取引システムの取引レート管理部に上記入力されたビッド/オファーを出力する情報処理装置であって、上記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファーに対するフィルタリング制御を遂行し、上記フィルタリング制御に基づくビッド又は/及びオファーを上記取引レート管理部に出力するフィルタリング制御部を有する。そして、上記フィルタリング制御部は、順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を遂行し、乖離範囲内でないと判別された場合に上記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に上記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間上記取引レート管理部に出力しない第1フィルタリング処理と、上記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、上記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する上記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を遂行し、乖離範囲内であると判別された場合に上記最初に受信したビッド又はオファーを上記取引レート管理部に出力する第2フィルタリング処理と、を遂行することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の他の観点としてのビッド/オファーフィルタリング方法は、外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーに基づく為替取引を、注文者端末を介して注文者に提供する外国為替取引システムにおけるビッド/オファーフィルタリング方法であって、上記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1ステップと、上記第1ステップにおいて乖離範囲内でないと判別された場合に上記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に上記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間上記注文者端末に伝送しない第2ステップと、上記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、上記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する上記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第3ステップと、上記第3ステップにおいて乖離範囲内であると判別された場合に上記最初に受信したビッド又はオファーを上記注文者端末に伝送する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の他の観点としてのビッド/オファーフィルタリングプログラムは、外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーに基づく為替取引を注文者端末を介して注文者に提供する外国為替取引を遂行する外国為替取引装置であって、上記ビッド/オファーを上記注文者端末に伝送する取引レート管理部を含む上記外国為替取引装置に、上記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別し、乖離範囲内でないと判別された場合に上記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に上記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間上記取引レート管理部に伝送しない機能と、上記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、上記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する上記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別し、乖離範囲内であると判別された場合に上記最初に受信したビッド又はオファーを上記取引レート管理部に伝送する機能と、を実現させることを特徴とする。
【0026】
また、さらに本発明の他の観点としてのビッド/オファーフィルタリングプログラムは、外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーを受信し、注文者端末を介して注文者に上記ビッド/オファーに基づく為替取引を提供する外国為替取引システムにおいて、上記マーケットメーカー端末から送信されるビッド/オファーが入力され、上記ビッド/オファーを上記注文者端末に伝送する上記外国為替取引システムの取引レート管理部に上記入力されたビッド/オファーを出力する情報処理装置に、上記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別し、乖離範囲内でないと判別された場合に上記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に前記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間上記取引レート管理部に伝送しない機能と、上記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、上記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する上記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別し、乖離範囲内であると判別された場合に上記最初に受信したビッド又はオファーを上記取引レート管理部に伝送する機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、マーケットメーカーが意図しない異質な不正ビッド/オファーを適切に排除して、市場実勢価格外での取引を好適に抑制することができるとともに、相場急変時の大幅な値動きに対しても取引を停止させることなく、好適な為替取引を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態における外国為替取引システムのネットワーク構成図。
【図2】本発明の実施形態における取引所システムの構成ブロック図。
【図3】本発明の実施形態における外国為替取引システムの処理概要を説明するためのフローチャート図。
【図4】図3に続く本発明の実施形態における外国為替取引システムの処理概要を説明するためのフローチャート図。
【図5】本発明の実施形態における外国為替取引システムのビッド/オファーのフィルタリング情報の設定・登録概要を説明するためのフローチャート図。
【図6】本発明の実施形態におけるフィルタリング情報の一例を示す図(a)、入力されるビッド/オファーの乖離上限値及び乖離下限値の一例を示す図(b)。
【図7】本発明の実施形態におけるフィルタリング方法が適用された場合の処理を説明するための図(a)、従来の値幅制限によるフィルタリング方法が適用された場合の処理を説明するための図(b)。
【図8】本発明の実施形態におけるマーケットメーカーから連続して送信されるビッドにおいて、システム障害等によって不正なビッドが入力された場合の一例を示す図(a)、相場急変時に大幅な値動きが生じた場合の一例を示す図(b)。
【図9】本発明の実施形態におけるビッド/オファーフィルタリング処理の処理遷移を示したフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、外国為替取引システムの一形態である取引所為替証拠金取引システムを一例に説明する。
【0030】
<システム構成>
図1は、本発明のビッド/オファーフィルタリング方法を適用した外国為替取引の一例である取引所為替証拠金取引システムのネットワーク構成図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の取引所為替証拠金取引システム1は、取引所為替証拠金取引についての取引所が保有する取引所中央サーバ110を含む取引所システム100と、複数の各取引業者が保有する取引業者サーバ200及び取引業者端末201と、個人投資家等の注文者が操作する注文者端末300と、ビッド/オファーの為替取引レートの値付けをするマーケットメーカー(銀行等の金融機関など)のマーケットメーカー端末(MM端末)400とを含んで構成される。これらのサーバ及び端末装置は、所定の通信回線若しくはインターネット等のネットワークNの通信網を介して取引所システム100に接続可能に構成されている。
【0032】
取引所システム100は、外国為替取引において呼び値をする複数のマーケットメーカーA〜Nから提供されるビッド/オファーに基づいて為替取引レートを生成して注文者端末300に送信し、該取引所に登録された取引業者を介した取引所為替証拠金取引を個人投資家等の注文者に提供する。マーケットメーカー及び取引業者は、取引所に対して登録している銀行等及び取引業者(取引参加者)であり、本実施形態の取引業者は、個人投資家等の注文者(顧客)から注文を受託して取引所為替証拠金取引を遂行する金融庁に登録された取引業者である。マーケットメーカーも同様に取引所に登録している取引参加者であり、注文者に対してビッド/オファーを提示し、為替取引に応じる者である。
【0033】
図2は、本実施形態の取引所システム100の構成ブロック図であり、取引所中央サーバ110と、取引業者端末201及び注文者端末300が取引業者サーバ200を介し、通信網を通じて接続するFX用サーバ120と、MM端末400が通信網を介して接続するMM用サーバ130と、MM端末400、取引業者端末201及び個人投資家等の注文者端末300が取引業者サーバ200を介して取引所システム100に接続する際のアクセス認証を行う認証サーバ140で構成されている。
【0034】
取引所中央サーバ110は、取引所システム100内の各サーバ及び通信網を介した取引業者サーバ200、取引業者端末201、注文者端末300及びMM端末400との間の通信制御を行う通信制御部111と、取引業者端末201及び注文者端末300に対し外国為替証拠金取引を遂行するためのASP機能を、取引業者サーバ200を通じて又は取引業者端末201及び注文者端末300に直接に提供するFX用サーバ120を管理するFX管理部112と、ビッド/オファー、スワップポイント等の各情報を取引所システム100に提供するマーケットメーカーに対してASP機能を提供するMM用サーバ130を管理するMM管理部113と、FX用サーバ120の顧客データベース122に記憶される個人投資家等の顧客情報(個人情報、取引条件情報等)を管理する顧客管理部114とを備えている。
【0035】
さらに、取引所中央サーバ110は、注文者端末300から送信される注文情報等を含む取引要求(新規の売り/買い注文、転売・買戻しによる決済注文など)に基づいて、外国為替証拠金取引に関する各種取引処理の管理・制御を行う取引管理部115と、複数のMM端末400からMM用サーバ130に送信されたビッド/オファーを管理する取引レート管理部116と、複数のMM端末400からMM用サーバ130に送信された各通貨に関するスワップポイントを管理するスワップポイント管理部117と、注文者毎の取引情報(注文情報、注文履歴情報、建玉情報、約定情報、証拠金情報、入出金情報、相場情報、スワップポイント等)とマーケットメーカー毎の取引情報(建玉情報、約定情報、証拠金情報、入出金情報等)を記憶する取引所データベース118を備えている。また、取引管理部115は、決済損益を証拠金に反映する処理、及び注文者やマーケットメーカーが保有する未決済建玉の評価替え(値洗い処理)も遂行する。
【0036】
本実施形態の取引所システム100(取引所)は、この取引所為替証拠金取引に参加するFX用サーバ120のFX用データベース121に登録された取引業者(取引業者端末201)に対し、取引所取引における外国為替証拠金取引を遂行するためのASP機能を提供する。このFX用データベース121には、取引業者端末201及び注文者端末300に送信される画面プログラムなどの画面情報も記憶されている。
【0037】
FX用サーバ120は、取引業者及び取引業者に取引委託した各個人投資家(注文者)を一元的に管理するための顧客データベース122を有し、取引業者端末201がFX用サーバ120に接続した場合、取引委託して当該取引業者から取引を許諾された個人投資家等の顧客情報を入力するための入力画面等がFX用サーバ120から取引業者端末201に提供され、取引業者端末201の不図示のディスプレイ装置に表示される。取引業者は、表示された入力画面等に個人投資家等の顧客情報を入力し、画面を通じて入力された顧客情報は、取引所システム100に送信され、FX用サーバ120の顧客データベース122に記憶される。
【0038】
この顧客データベース122には、個人投資家等を一意に識別するためのコード(委託者コード、参加者コード等)や、個人投資家等の建玉(ポジション)情報、証拠金状況情報等の顧客取引情報が登録される。例えば、各個人投資家等毎に付与されるユーザコードとともに、参加者コード、ユーザ名、証拠金預託額、売約定数量、買約定数量、売建玉数量、買建玉数量などが登録される。
【0039】
そして、本実施形態の複数の各取引業者が保有する取引業者端末201は、FX用サーバ120に接続することで、顧客データベース122に登録されている個人投資家等の氏名、メールアドレス、ログインのためのID及びパスワードなどの情報を取得することができる。つまり、ID及びパスワードの発行処理を始めとする注文者の登録及び取引処理などの主要な処理は、全て取引所システム100で一元的に管理・遂行されるようになっており、各取引業者は、個人投資家等の個人情報や証拠金情報、これらの情報に基づく取引条件等の情報を該取引所システム100に登録し、取引業者が個別に個人投資家等に対して取引についての機能を提供する必要はない。また、個人投資家等は、取引業者サーバ200を通じて直接に取引所システム100(FX用サーバ120)に接続することで、委託した取引業者を介した取引所為替証拠金取引を遂行することができる。
【0040】
具体的には、取引業者を通じた取引所への登録により、取引所において注文者が一元管理され、該注文者は、取引業者との間の委託契約に基づき、注文者端末300から取引業者サーバ200を通じて取引所システム100のFX用サーバ120に接続し、FX用サーバ120が提供するASP機能により取引所為替証拠金取引を遂行することができる。FX用サーバ120は、注文者端末300からの接続要求に応答して所定のログイン画面を提供し、注文者により入力されたIDとパスワードを用いて認証サーバ140による認証処理が行われる。認証処理の結果、取引所に登録された正当な注文者であると認証され、取引開始を許諾するに場合には、FX用サーバ120は、格納されている画面プログラムを注文者端末300に提供し、個人投資家等は、その表示画面を通じて注文、決済などの取引(注文指示、決済指示、出金指示等)、現在までの取引状況の閲覧(未約定の注文、未決済の建玉、注文履歴、約定履歴、証拠金状況、入金状況、入出金履歴、出金指示履歴等)、取引の各種設定登録を行うことができる。
【0041】
つまり、本実施形態のFX用サーバ120は、取引所中央サーバ110から提供されるマーケットメーカーからのビッド/オファーに基づいて個人投資家等が注文した注文情報を受信し、受信した注文情報に基づいて取引所を通じた為替証拠金取引を遂行するサーバとして機能する。言い換えれば、FX用サーバ120は、注文者から注文情報を受信した取引業者が、取引所(取引所中央サーバ110)に対して注文等を行うサーバとして機能し、したがって、図2に示すように、FX用サーバ120は、取引処理部123を備え、この取引処理部123が、個人投資家等が要求する注文、決済などの取引要請を取引所中央サーバ110に出力(送信)し、取引所中央サーバ110との間の為替証拠金取引の取引処理を遂行する。
【0042】
MM用サーバ130は、各マーケットメーカーに関する情報を記憶するMM用データベース131を有しており、MM業者コード、MM業者名、連絡先等のMM業者情報が記憶されるとともに、各マーケットメーカーの建玉情報、証拠金情報等の取引情報が記憶される。例えば、マーケットメーカー毎に付与されるMM業者コードとともに、証拠金預託額、提示したビッド/オファーに基づく売約定数量、買約定数量、売建玉数量、買建玉数量などが記憶される。MM用データベース131(取引所)に登録されているマーケットメーカーは、MM端末400からMM用サーバ130に接続し、ビッド、オファー、スワップポイント等を取引所システム100に提供する。このとき、MM用サーバ130は、FX用サーバ120と同様に、ビッド等の入力又は送信するための画面プログラムやMM用データベース131に記憶されている各種情報を閲覧するための画面プログラムをMM端末400に提供することができる。
【0043】
また、本実施形態のMM用サーバ130は、マーケットメーカーから送信されたビッド/オファーを受信し、取引所中央サーバ110の取引レート管理部116に出力するとともに、後述するように、マーケットメーカーから送信されるビッド/オファーに対して所定のフィルタリング情報に基づくフィルタリング処理を遂行し、市場実勢価格外のマーケットメーカーが意図しない不正なビッド/オファーに基づく為替取引レートの生成及び注文者への提示を適切に排除する。すなわち、マーケットメーカーから受信したビッド/オファーのうち、市場実勢価格外のマーケットメーカーが意図しない不正なビッド/オファーを取引レート管理部116に出力しないフィルタリング処理を遂行する。このため、MM用サーバ130は、フィルタリング制御部132を含んでいる。
【0044】
また、本実施形態のMM用サーバ130のMM用データベース131は、マーケットメーカー別に各取引通貨のビッド/オファーのフィルタリング情報を格納する。このフィルタリング情報は、フィルタリング制御部132によるフィルタリング制御に使用される。詳細については後述するが、MM用サーバ130は、MM端末400を通じて接続するマーケットメーカーに対し、フィルタリング情報入力画面を提供してマーケットメーカーが取引通貨別にフィルタリング情報を登録・設定することができるようにする。なお、MM用データベース131は、各マーケットメーカーから順次連続して送信されるビッド/オファーの各情報を、所定期間(例えは一週間分)保持することができる。
【0045】
図3及び図4は、本実施形態の取引所為替証拠金取引システム1の処理フローを示した図である。
【0046】
まず、個人投資家等は、自身のコンピュータ(注文者端末300)から取引所為替証拠金取引を取扱う取引業者が保有する取引業者サーバ200に接続し、取引業者サーバ200が提供する所定の取引申込画面を通じて個人情報を登録するとともに、為替証拠金取引のための口座を開設する。取引業者サーバ200では、登録された個人情報に基づく与信審査を経て、個人投資家等の与信情報が取引条件に適合すると判断した場合、取引業者は、取引業者端末201から取引業者サーバ200を経由して又は直接に取引所システム100のFX用サーバ120に接続し、当該個人投資家等の顧客情報、口座開設情報等をFX用サーバ120に登録する。取引業者サーバ200は、例えば、取引業者が運営するWEBサイトを提供するWEBサーバであり、注文者端末300及び取引業者端末201は、取引業者サーバ200に接続して当該取引業者が提供する所定の画面からFX用サーバ120(取引所システム100)に接続(ログイン)し、その後、当該取引業者サーバ200を通じて又は直接FX用サーバ120と接続して各種処理をFX用サーバ120が提供するASP機能に基づいて遂行することができる。このため、本実施形態の取引業者サーバ200は、注文者端末300及び取引業者端末201と取引所システム100のFX用サーバ120とを中継する主に中継装置としての役割を担う。
【0047】
取引所中央サーバ110の顧客管理部114は、取引業者端末201からFX用サーバ120への顧客情報登録処理に伴って、個人投資家等の個人情報、取引金額、各種取引条件を所定の基準と比較してチェックし、取引所に対する個人投資家等の登録処理を行う。そして、顧客管理部114は、顧客登録処理の登録完了後、認証サーバ140に対してID及びパスワードの発行要求を出力し、発行されたID及びパスワードは認証データベース141に登録される。発行されて登録されたIDとパスワードは、顧客管理部114又はFX管理部112によりFX用サーバ120の顧客データベース122に反映(格納)されるとともに、取引業者端末201に送信される。取引業者は、取引所システム100から取得したID、パスワード情報を注文者端末300に通知するとともに、必要な証拠金情報を含む口座開設通知等を行う。
【0048】
注文者端末300では、口座開設通知に対して必要な証拠金の入金処理を行う。取引業者は、取引業者端末201を通じて証拠金の入金確認処理を行い、取引所システム100のFX用サーバ120に確認した入金情報を送信する。取引所中央サーバ110の顧客管理部114は、受信した入金情報を顧客データベース122に格納する。取引所中央サーバ110の顧客管理部114は、FX用サーバ120の顧客データベース122への入金登録処理の完了後に、注文者端末300に対して外国為替証拠金取引の開始許諾通知を行う。
【0049】
個人投資家等(注文者端末300)は、取引開始許諾に基づいて取引システム100にネットワークNを通じて取引業者サーバ200に接続すると(ステップS101)、取引業者サーバ200は取引所中央サーバ110のFX用サーバ120に対して取引開始要求を送信し、FX用サーバ120は、注文者端末300に所定のログイン画面を提供し、注文者は、取引業者を介して取得したID及びパスワードを用いてログインする。注文者端末300に表示されたログイン画面において入力されたID及びパスワードは、FX用サーバ120を経由して又は認証サーバ140に送信され、認証サーバ140において認証処理が遂行される(ステップS301)。
【0050】
認証処理後、顧客管理部114は、注文者端末300での外国為替取引を遂行するため取引開始処理を実行し、FX用サーバ120に対してFX用データベース121に格納されている所定の画面プログラムを注文者端末300に送信する命令を出力する。FX用サーバ120は、注文者端末300に当該画面用プログラムを送信する。
【0051】
一方、マーケットメーカーは、MM端末400を介して取引通貨(USD/JPY,EUR/JPY等)毎のビッド/オファーを取引所システム100に送信する(ステップS501)。マーケットメーカーから送信されたビッド/オファーは、MM用サーバ130で受信され、MM用サーバ130から取引レート管理部116に出力される。そして、取引レート管理部116は、MM用サーバ130から受信したビッド/オファーを用いて注文者に提示される各取引通貨の為替取引レートを生成する。このとき、MM用サーバ130のフィルタリング制御部132は、MM用データベース131に記憶されているフィルタリング情報を用いて、受信したビッド/オファーのうち適合するビッド/オファーのみを取引所中央サーバ110の取引レート管理部116に出力するフィルタリング処理を遂行する(ステップS302)。なお、MM用データベース131は、取引日毎にMM端末400から時系列に受信する各ビッド/オファーをMM用データベース131に所定期間保持(記憶)される。
【0052】
そして、注文者端末300には外国為替取引用の所定の画面が表示されるとともに、取引中央サーバ110は、生成した為替取引レートを取引業者サーバ200を経由して又は直接に注文者端末300にリアルタイムで提供する(ステップS303)。注文者端末300では、この所定の画面に表示されたリアルタイムに変動する為替取引レート(ビッド/オファー及びその取引可能数量)を参照し、所定の注文フォームから買い又は売りの注文情報を入力して取引所システム100に送信する。また、注文の変更や取り消し等についても、所定の変更/取り消しフォームから入力し、取引所システム100に送信する(ステップS102)。
【0053】
FX用サーバ120(取引処理部123)は、注文者端末300からの注文情報を受信すると、取引管理部115に受信した注文情報を出力し(ステップS304)、取引管理部115は、該注文情報に含まれる詳細な情報(注文者が指定する注文ビッドや注文オファー、その取引数量等についての条件等)に基づいて、注文方式(単一注文、OCO注文、IfDone注文、IfDoneOCO注文、ストリーミング注文等)を特定し、該注文方式及び注文者が指定する注文ビッドや注文オファーに則った取引処理を遂行する。具体的には、取引管理部115は、受信した注文情報の受付処理、及び注文内容及びビッド値或いはオファー値に従った注文の成否の決定、注文成立時における新規注文の約定処理、保有する建玉に対する転売・買戻しに対する決済処理などの各種処理を行い(ステップS305)、これら処理結果をFX用サーバ120及びMM用サーバ130に送信する(ステップS306)。
【0054】
このとき、取引管理部115は、保有する建玉に対する転売・買戻しに対する決済処理を注文者及びマーケットメーカーの各々に対して個別に遂行し(ステップS305a、S305b)、FIFO方式、指定決済方式等での差金決済処理を遂行する。処理結果を受信したFX用サーバ120の取引処理部123は、処理結果に基づいて該当の個人投資家等の顧客データベース122に格納されたデータ(注文情報、建玉情報、約定情報、証拠金情報等)を更新するとともに、当該処理結果を注文者端末300に送信する(ステップS307)。一方、処理結果を受信したMM用サーバ130においても、処理結果に基づいて該当の各マーケットメーカーのMM用データベース131に格納されたデータ(建玉情報、約定情報、証拠金情報等)を更新するとともに、当該処理結果をMM端末400に送信する(ステップS307)。また、このとき取引管理部115は、これらの処理結果を取引所データベース118にも同様に記憶する。
【0055】
なお、取引所システム100のFX用サーバ120における取引処理部123は、ステップS304において注文者端末300からの注文情報を受信した際、FX用サーバ120の顧客データベース122に登録されている顧客情報に基づく与信処理、例えば、注文内容が証拠金情報等に基づく取引条件と合致するかなどの与信処理を行うことができる。この与信処理の結果、注文者端末300から送信された注文情報が取引条件等に合致しない場合には、注文情報にエラー情報が含まれるとして、注文者端末300に対して注文情報エラー通知を送信する。例えば、証拠金及びレバレッジの関係等から設定される取引可能上限金額を超えている場合、その注文を受け付けないようにする。
【0056】
取引管理部115は、注文者の注文情報に対して取引が成立すると、ビッド又はオファーを提供した該当のマーケットメーカーと取引業者との間で取引を約定(成立)させ、約定情報、建玉情報等を取引所データベース118に格納する。このとき、取引管理部115は、ビッド又はオファーを提供した該当のマーケットメーカーと取引業者との間で約定した為替取引を、マーケットメーカーと取引所との間で約定した第1の取引と取引業者と取引所との間で約定した第2の取引の2つの独立した為替取引として処理する。つまり、取引業者及びマーケットメーカーの各取引当事者の取引の相手方を、すべて取引所に置き換えた取引として処理することで、取引業者とマーケットメーカーとの間で成立した為替取引の債権債務が、取引業者と取引所間の債権債務と取引所とマーケットメーカー間の債権債務とに置き換わり、取引業者(注文者)及びマーケットメーカーは、それぞれ取引所を直接の相手方として取引を履行する。
【0057】
また、注文者及びマーケットメーカーは、注文者端末300及びMM端末400を通じて取引状況照会を行うことができる。例えば、個人投資家等が注文者端末300に表示された表示画面の所定の照会ボタンを押下することによって、注文者端末300から取引所システム100のFX用サーバ120に照会要求が送信され、FX用サーバ120は、注文者からの照会要求に基づいて取引所中央サーバ110に照会要請を出力する。取引所中央サーバ110の取引管理部115は、この照会要請に応答して取引所データベース118の注文情報テーブル、注文履歴テーブル、約定情報テーブル、証拠金情報テーブルから対応する各種のデータを抽出する取引状況取得処理を行い、例えば、建玉照会の要求が成された場合、建玉一覧情報(約定日、約定番号、商品、売買区分、建玉数量、約定価格等)を生成してFX用サーバ120に送信する。FX用サーバ120は、受信した建玉一覧情報を含む所定の画面(建玉一覧画面)を注文者端末300に送信することができる。また、取引管理部115は、その他に照会要求(照会要請)に基づいて、注文一覧情報(注文状況、注文方法、商品名、売買区分、執行条件、注文価格、注文数量、約定価格、約定数量、注文日時、注文受付番号等)、注文履歴情報、約定情報、証拠金情報等を生成して、FX用サーバ120を通じて注文者端末300に送信することもできる。同様にMM用サーバ130もMM端末400からの照会要求に基づいて取引所システム(取引所)に照会要請を出力し、取引所中央サーバ110から受信した照会要求に基づく情報をMM端末400に送信する取引状況照会や証拠金状況照会などを遂行する。
【0058】
そして、取引所によって任意に定められた取引時間終了(マーケットクローズ)時刻になった場合、取引所システム100は、マーケットクローズ処理を遂行する(ステップS308)。このマーケットクローズ処理は、日々の市場価格の変化により評価損が発生した場合、証拠金の積み増しが必要となるため、取引開始時間から取引終了時間までのその取引日当日に取引された未決済の建玉を確定させ、各注文者の未決済建玉(取引日当日前に約定した未決済建玉を含む)の評価替え(値洗い)を行うための処理である。このため、取引所システム100は、未決済建玉の評価替えを行うための基準価格となる各取引通貨の清算価格を生成する(ステップS309)。
【0059】
具体的には、取引管理部115は、取引所データベース118に格納されている取引終了直近の各取引通貨ペアの約定価格(取引終了直近に約定した売り又は買いの約定価格)を用いて生成する。なお、この清算価格は、取引所が任意に決定することができ、例えば、取引終了直近の各取引通貨ペアの約定価格と売り/買いの取引数量とから該当の取引通貨ぺアの清算価格を生成することができる。生成された各取引通貨ペアの清算価格は、各取引日別に取引所データベース118に格納される。
【0060】
取引管理部115は、取引所データベース118から各注文者及び各マーケットメーカーの未決済建玉に関する情報(約定価格、約定数量)を取得して清算価格に基づく値洗い処理を行う(ステップS311)。具体的には、保有する未決済建玉の清算価格に基づく評価損益を算出する処理を遂行し、証拠金額から算出された未決済建玉の評価損益を差し引いた金額が、取引参加者に取引所が要求する必要証拠金額を満たしているか否かを判別する。そして、満たしていない場合には、証拠金に不足が生じている旨(追証通知)とともに、値洗い処理の結果(値洗い情報)をFX用サーバ120及びMM用サーバ130を介して注文者端末300及びMM端末400に送信する(ステップS312)。
【0061】
また、取引所中央サーバ110のスワップポイント管理部117は、複数のマーケットメーカーのMM端末400から送信される売り建玉、買い建玉に関するスワップポイント情報(複数のマーケットメーカーから提供される通貨に関するスワップポイント)に基づいて、スワップポイント値を算出する処理を行う。このスワップポイント値は、ステップS312において値洗い情報とともに、注文者端末300に送信される。
【0062】
なお、本実施形態では、上述のようにFX用サーバ120が、注文者から注文情報を受信した取引業者が、取引所(取引所中央サーバ110)に対して注文等の為替取引を遂行するためのサーバとして機能するため、注文者に対する与信処理や値洗い処理及びその通知などの機能もFX用サーバ120が提供するASP機能で遂行しているが、これに限らず、例えば、取引業者が与信処理や値洗い処理等を遂行し、取引業者に委託している各注文者を管理するようにしてもよい。すなわち、取引業者サーバ200において注文者端末300から送信される注文情報に応答して、図3におけるステップS304の与信処理を遂行し、注文内容が証拠金情報等に基づく取引条件と合致するかなどの与信処理を行うことができる。この与信処理の結果、注文者端末300から送信された注文情報が取引条件等に合致するものを、取引業者サーバ200が取引所システム100に正式な注文情報として送信するように構成することができる。つまり、取引業者サーバ200において、例えば、証拠金及びレバレッジの関係等から設定される取引可能上限金額を超えている場合、その注文を受け付けないようにすることができる。この場合、FX用サーバ120の顧客データベース122に登録されている顧客情報を参照して行うこともでき、また取引業者サーバ200においてFX用サーバ120の顧客データベース122に登録されている顧客情報と同様の情報を格納し、又は取引業者が独自に管理する顧客情報(必要証拠金額や取引可能上限金額等の取引条件に関する情報)を格納して当該取引業者に委託した複数の各注文者を管理することができる。
【0063】
また、値洗い処理についても、取引業者サーバ200においてFX用サーバ120(取引所システム100)から値洗い情報を受信し、各注文者に対する値洗い処理及び各注文者端末に値洗い処理の結果(証拠金不足の通知)など送信するように構成することもできる。この場合、取引業者サーバ200は、取引所システム100から図4のステップ312において値洗い情報を受信して値洗い処理を遂行し、各注文者端末に値洗い処理の結果を送信するようにして、取引業者側で各注文者を管理するように構成することができる。
【0064】
つまり、上述のように、本実施形態の取引業者サーバ200は、注文者端末300及び取引業者端末201と取引所システム100(FX用サーバ120)とを中継する中継装置としての役割を担うことができるので、本実施形態の取引所システム100は、取引業者サーバ200に対して各種情報(為替取引レート、約定情報、値洗い情報等)を送信し、取引業者サーバ200において管理する各注文者端末300に、取引所システム100を通じた外国為替取引の各種情報を当該取引業者サーバ200が処理及び送信するようにしてもよい(例えば、取引所システム100は、外国為替取引を取引業者単位で管理して、各注文者を個別に管理せずに取引業者サーバ200との間で外国為替取引に関する各種情報をやり取りし、取引業者サーバ200が各注文者(注文者端末300)に対して外国為替取引の制御を遂行するようにしてもよい)。
【0065】
<ビッド/オファーフィルタリング処理>
図5から図9は、本実施形態の取引所為替証拠金取引におけるビッド/オファーフィルタリング処理を説明するための図であり、本実施形態のフィルタリング処理は、マーケットメーカー端末400から送信されるビッド/オファーを受信するMM用サーバ130のフィルタリング制御部132が遂行し、取引レート管理部116は、MM用サーバ130(フィルタリング制御部132)によってフィルタリングされたビッド/オファーを用いて為替取引レートを生成して注文者端末300に送信する。
【0066】
なお、図2の例では、フィルタリング制御部132が、マーケットメーカーからビッド/オファーが入力されるMM用サーバ130に含まれた態様で説明しているが、MM用サーバ130と独立した専用のコンピュータ装置で実現することもできる。また、フィルタリング制御部132は、取引所中央サーバ110に含まれるように構成することもでき、例えば、MM用サーバ130から取引レート管理部116に出力される際にビッド/オファーフィルタリング処理を遂行して取引レート管理部116に出力するフィルタリング制御部として構成することもできる。なお、この場合、本実施形態のフィルタリング制御部が取引レート管理部116に含まれたり、また、取引レート管理部116自体がフィルタリング制御部の機能を遂行するように構成とすることも可能である。
【0067】
上述のようにマーケットメーカーは、取引通貨の需要と供給の関係から外国為替市場の相場がリアルタイムに変動するため、例えば、取引日における取引開始(マーケットオープン)から取引終了(マーケットクローズ)までの間、絶え間なく連続して市場実勢価格に基づく最新のビッド/オファーを取引所システム100に送信している。したがって、このリアルタイムに変動する外国為替市場の相場状況に対して円滑な為替取引が遂行されなければならず、絶え間なく連続して送信されるビッド/オファーの中から当該マーケットメーカーが意図しない市場実勢価格と異なる異質なビッド/オファーを適切に排除しつつ、相場急変時においてマーケットメーカーが意図して提示した(マーケットメーカーが市場実勢価格に基づいて提示した)正常なビッド/オファーでの為替取引が遂行されなければならない。
【0068】
そこで、本実施形態のビッド/オファーフィルタリング処理は、マーケットメーカーから入力される(受信する)ビッド/オファーが異質な情報であるか否かを判別する。そして、異質なビッド/オファーであると判別された場合に、その後に連続して当該マーケットメーカーから入力される(受信する)ビッド/オファーが一定の条件が満たされるまでの間、市場に供給されないように一時的に遮断する遮断処理(第1フィルタリング処理)を遂行するとともに、その一定の条件が満たされた後(一定の条件が満たされるまでの間の経過後)に入力されたビッド/オファーについて再度異質な情報であるか否かを判別して、当該マーケットメーカーからのビッド/オファーが市場に供給されるように復帰させる復帰処理(第2フィルタリング処理)を遂行する。
【0069】
マーケットメーカーから入力されるビッド/オファーが異質な情報であるか否かの判別(第1判別処理)は、入力された最新のビッド/オファーとその直前に入力されたビッド/オファーとの間の乖離に基づいて遂行され、その乖離幅として乖離率(X%)が使用される。例えば、乖離率が3%であり、取引通貨ペアのUSD/JPYの直前のビッドが100.00円であった場合、その乖離値は3.00円となり、かつ乖離範囲は100.00±3.00円となる。したがって、そのマーケットメーカーからの最新の入力ビッドが97.00円以上103.00円以下(直前ビッド−乖離値≦入力ビッド(受信ビッド)≦直前ビッド+乖離値)であれば、正常なビッドとして識別する。一方、そのマーケットメーカーからの最新の入力ビッドが96.00円以下又は104.00円以上(直前ビッド−乖離値>入力ビッド,入力ビッド>直前ビッド+乖離値)であれば、異質なビッドとして識別する。
【0070】
図6(b)は、マーケットメーカーから取引所システム100に入力(送信)される最新ビッド/オファーに対する乖離上限値及び乖離下限値の一例を示しており、直前ビッド/オファー−乖離値を乖離下限値、直前ビッド/オファー+乖離値を乖離上限値として、入力された最新のビッドとオファーの各々がそれぞれ異質な情報であるか否かが判別される。すなわち、本実施形態では、一のマーケットメーカーから連続して入力されるビッド(オファー)間の乖離が、入力時系列的に1つ前のビッド(オファー)に基づく乖離上限値及び乖離下限値の範囲内にあるか否かに応じて、最新の入力ビッド(オファー)が異質な情報であるか否かを判別している。
【0071】
なお、マーケットメーカーから順次連続して受信する最新のビッド又はオファーが取引開始時間後に最初に受信するビッド又はオファー、すなわち、取引日当日において初めてマーケットメーカーから受信するビッド又はオファーである場合、取引日当日の前日に当該マーケットメーカーから最後に受信したビッド又はオファーを用いて、取引日当日に最初に受信するビット又はオファーが所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別することができ、また、上記取引日当日において初めてマーケットメーカーから受信するビッド又はオファーである場合は、取引日当日の前日の清算価格、若しくは取引日当日の前日の取引終了直近の約定価格を用いて、取引日当日に最初に受信するビット又はオファーが所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別してもよい。このため、フィルタリング制御部132は、マーケットメーカーから順次連続して受信するビッド又は/及びオファーがその取引日当日に最初に受信するビッド又はオファーであるか否かを判別する第3判別処理を遂行することができる。
【0072】
そして、フィルタリング制御部132は、マーケットメーカーから入力された最新の入力ビッド/オファーが異質なビッド/オファーであると判別された場合、異質な情報として判別されたビッド/オファーを含む当該マーケットメーカーからその後連続して入力されるビッド/オファーを一定の条件が満たされるまでの間の所定期間、取引レート管理部116に出力されないようにする遮断処理を遂行する。
【0073】
具体的には、一定の条件としてマーケットメーカーから入力されるビッド又はオファーの入力回数(受信回数)を用い、第1判別処理において乖離範囲内でないと判別された最新に受信したビッド又はオファーからカウントして所定の入力回数に達するまでのその後にマーケットメーカーから順次連続して受信するビッド又はオファーを取引レート管理部に出力しないように制御する。この入力回数を例えば、異質なビッド/オファーが検出された際の入力遮断数として予め設定し、例えば、入力遮断数が5回である場合、異質な情報と判別されたビッド/オファーからカウントしてマーケットメーカーから取引所システム100に入力される5回目までの入力ビッド/オファーを自動的に遮断する。つまり、異質な情報と判別されたビッド/オファーの入力からカウントして設定された入力遮断回数にビッド/オファーの入力回数が達するまでの条件が満たされるまでの所定期間、このマーケットメーカーからのビッド/オファーを取引レート管理部116に出力しないようにする。
【0074】
なお、本実施形態の遮断処理では、時系列的なビッド/オファーの入力遮断回数を用いて一定期間、該マーケットメーカーからの呼び値に基づく為替取引を遂行させないようにしているが、これは、マーケットメーカーからのビッド/オファーの入力間隔が一定ではないこと、また、相場急変時にどのような値動きとなるかを予測し難いことから、例えば、秒分の時間単位では、遮断すべきビッド/オファーを設定することが困難であることに起因する。
【0075】
フィルタリング制御部132は、異質な情報と判別されたビッド/オファーの入力を含むその後連続して入力されるビッド/オファーの入力回数が、入力遮断回数に達したか否かを判別し、入力遮断回数に達した場合(カウントした入力回数=入力遮断回数の条件が満たされた場合)に当該マーケットメーカーの入力ビッド/オファーに対する遮断処理を終了する。そして、フィルタリング制御部132は、遮断処理終了後に当該マーケットメーカーから入力された最新のビッド/オファーについて異質な情報であるか否かを再度判別し、正常なビッド/オファーであると判別された場合に、当該マーケットメーカーからの入力ビッド/オファーが市場に供給されるように復帰処理を遂行する(取引レート管理部116に出力するように入力ビッド/オファーの遮断(無効)を解除する)。
【0076】
この復帰処理の際のビッド/オファーが異質な情報であるか否かの判別処理(第2判別処理)は、遮断処理終了後に当該マーケットメーカーから入力された最新のビッド/オファーと、直前に入力されたビッド/オファー、すなわち、予め設定された入力遮断回数の最後に遮断された入力ビッド/オファー(カウントした入力回数=入力遮断回数の条件が満たされる間に最後に受信した入力ビッド/オファー、すなわち入力遮断回数目の相当する入力ビッド/オファー)との間の乖離に基づいて遂行される。乖離率としては、上述の遮断処理を遂行するか否かを判別する際に使用した同じ乖離率(X%)を用いることができる。したがって、上記例を用いて説明すると、遮断処理で最後に遮断された入力ビッドが105円である場合、その乖離値は3.15円となり、遮断処理後に入力されるそのマーケットメーカーからの最新ビッドが101.85円以上108.15円以下(遮断処理で最後に遮断された入力ビッド−乖離値≦遮断処理後の最新の入力ビッド≦遮断処理で最後に遮断された入力ビッド+乖離値)であれば、遮断処理後に入力された最新の入力ビッドを正常なビッドとして識別して、この遮断処理後に入力された最新の入力ビッドを取引レート管理部116に出力する。一方、遮断処理後に入力された最新の入力ビッドが101.84円以下又は108.16円以上(遮断処理で最後に遮断された入力ビッド−乖離値>遮断処理後の最新の入力ビッド,遮断処理後の最新の入力ビッド>遮断処理で最後に遮断された入力ビッド+乖離値)であれば、遮断処理後に入力された最新の入力ビッドを異質なビッドとして識別して、上述の遮断処理を再度遂行する。
【0077】
図7(a)は、本実施形態のフィルタリング処理におけるビッド/オファーの遮断処理及び復帰処理の一例を示す図であり、図7(b)は、従来の値幅制限によるフィルタリング処理の一例を示した図である。
【0078】
図7(a)に示すように、本実施形態のフィルタリング処理は、例えば、相場急変時において大幅な値動きが生じ、マーケットメーカーから入力された最新のビッドがその直前に入力されたビッドと大きく相違する場合、所定の乖離率に基づいて入力された最新のビッドが異質な情報であると判別し、異質な情報と判別されたビッドの入力を含むその後の複数の入力ビッドの遮断処理を遂行し、遮断処理後にさらに遮断処理において最後に遮断された入力ビッドと遮断処理後に入力された最新の入力ビッドとの乖離を判別して、遮断処理後に入力された最新のビッドについてマーケットメーカーが意図して供給したビッドであるかをチェックし、異質なビッドが検出された当該マーケットメーカーからのビッドを取引レート管理部116に出力して取引を可能にする。
【0079】
一方、図7(b)に示すように、従来の値幅制限によるフィルタリング処理では、基準値に対して値幅率に基づく値幅を超えるビッドが入力されると、その後に値幅率に基づく値幅範囲内のビッドが入力されない限り、基準値との間で常に値幅範囲を超えてしまうため、市場に供給されず、当該マーケットメーカーからのビッドに基づく取引が不能となる。
【0080】
図8(a)は、マーケットメーカーから連続して取引所システム100に入力されるビッドを時系列(入力順)に表したものであり、マーケットメーカー側のビッド/オファーを提示するための元データの異常、システムの再立ち上げの際やシステム障害からの復旧の際に当該マーケットメーカーが意図しない不正なビッドが入力された一例を示す図であり、図8(b)は、相場急変時に大幅な値動きが生じた一例を示す図である。
【0081】
図8(a)及び図8(b)に示すように、本実施形態のフィルタリング処理では、マーケットメーカーが意図していない不正なビッド/オファーが入力された場合でも、適切にその不正なビッド/オファーを排除してその後の取引を円滑に遂行することができるとともに、相場急変時の大幅な値動きに対しても取引を停止させることなく、相場急変時にマーケットメーカーの意図で取引所システム100に入力したビッド/オファーが注文者に提供されて取引を行うことができる。特に、相場急変時において大幅な値動きが生じた場合であっても、遮断される(市場に供給されない)ビッド/オファーは、所定の入力遮断回数に対応する短い時間内に入力されたものに限られ、相場急変時においてもその取引を停止させることなく、円滑な為替取引が実現できる。例えば、1秒間に数十のビッド/オファーが取引所システム100に入力される場合、遮断処理開始から所定の入力遮断回数分のビッド/オファーが遮断される時間は極めて短く、実質的に相場急変時においてもその取引を停止させることはない。
【0082】
図5は、マーケットメーカーが各取引通貨ペアの乖離率及び入力遮断回数を入力ビッド/オファーに対するフィルタリング情報として取引所システム100に登録・設定する際の処理遷移を示したフローチャートである。
【0083】
本実施形態では、ビッド/オファーのフィルタリング情報は、ビッド/オファーを供給するマーケットメーカーが決定(設定)し、決定されたフィルタリング情報を用いてフィルタリング制御部132が、取引通貨ペア毎に、かつビッド及びオファー毎に入力されるビッド/オファーに対して自動的にフィルタリング処理を遂行する。
【0084】
図5に示すように、マーケットメーカーは、ビッド/オファーを取引所システム100に伝送する前、例えば、取引所取引の取引開始時間前(マーケットオープン前)にMM端末400を通じて取引所システム100にアクセスして(ステップS5001)、取引所システム100に伝送する取引通貨ペア別のビッド/オファーに関するフィルタリング情報を設定することができる。取引所システム100のMM用サーバ130は、MM端末400からのアクセスに応答して不図示のフィルタリング情報設定画面をMM端末400に伝送し(ステップS3001)、フィルタリング情報設定画面に入力された各取引通貨ペアの乖離率及び入力遮断回数を受信して、MM用サーバ130のMM用データベース131に格納する(ステップS5002,S3002)。図6(a)は、MM用データベース131に格納されたマーケットメーカーが登録したフィルタリング情報の一例である。
【0085】
このようにマーケットメーカーからフィルタリング情報が登録されると、その後、取引レート管理部116は、取引所取引の取引開始時刻、又はマーケットメーカーがビッド/オファーを伝送する際に取引所システム100が受信する伝送開始要求を契機に(ステップS3003)、MM用サーバ130に対して各マーケットメーカーのフィルタリング処理要求を出力し(ステップS3004)、MM用サーバ130のフィルタリング制御部132は、該フィルタリング処理要求に応答してMM用データベース131からフィルタリング情報を取得し、取得したフィルタリング情報を不図示のメモリにロードするとともに、本実施形態のフィルタリング処理を開始する(ステップS3005)。なお、フィルタリング制御部132は、フィルタリング処理の開始に伴って、各マーケットメーカーから入力される入力ビッド(オファー)を入力順に所定数メモリに保持し、メモリにロードされたフィルタリング情報及び保持される入力ビッド(オファー)を用いてフィルタリング処理を遂行するように前処理を行う。また、フィルタリング制御部132は、上述した第3判別処理に備え、この前処理において取引日当日の前日に当該マーケットメーカーから最後に受信したビッド又はオファー、取引日当日の前日の清算価格、若しくは取引日当日の前日の取引終了直近の約定価格のうちいずれか1つをMM用データベース131又は取引所データベース180から取得してメモリにロードする。なお、ステップS3004においてMM用サーバ130のフィルタリング制御部132が、取引レート管理部116からのフィルタリング処理要求に基づいてフィルタリング制御を開始しているが、これに限らず、例えば、MM用サーバ130がマーケットメーカー端末400からのビッド/オファーを受信可能な状態である場合に、常時、フィルタリング制御を遂行するようにしてよい。
【0086】
図9は、本実施形態のフィルタリング制御部132によるフィルタリング処理の処理遷移を示すフローチャートである。
【0087】
図9に示すように、フィルタリング制御部132は、MM用サーバ130に入力されるマーケットメーカーから送信される入力ビッド/オファーを受信する(ステップS1010)。取引所システム100では、複数のマーケットメーカーが各々ビッド/オファーを取引所に供給するので、各マーケットメーカーから伝送されるビッド/オファーには上述のマーケットメーカー毎に付与されるMM業者コード等の識別IDが含まれ、フィルタリング制御部132は、この識別IDを参照して入力ビッド/オファーがどのマーケットメーカーの情報であるかを識別することができる。
【0088】
フィルタリング制御部132は、受信した入力ビッド/オファーのマーケットメーカーを識別するとともに、識別されたマーケットメーカーに対して遮断処理が遂行中であるか否かを確認する(ステップS1020)。これは、遮断処理中であることを示す遮断フラグなどを用いることができ、例えば、遮断フラグのON/OFFにより、遮断フラグがONである場合、当該マーケットメーカーの入力ビッド/オファーに対して遮断処理が遂行中であることを確認することができる。
【0089】
フィルタリング制御部132は、遮断フラグがOFFであると判別した場合、受信した最新の入力ビッド/オファーの直前の入力ビッド/オファーを参照し、直前の入力ビッド/オファーに基づいた乖離上限値及び乖離下限値を算出する(ステップS1030)。このとき、受信した最新の入力ビッド/オファーに対して第3判別処理を遂行し、最新の入力ビッド/オファーが最初に入力される入力ビッド/オファーと判別される場合には、フィルタリング制御部132は、直前の入力ビッド/オファーとして取引日当日の前日に当該マーケットメーカーから最後に受信したビッド又はオファー、取引日当日の前日の清算価格、若しくは取引日当日の前日の取引終了直近の約定価格のうちいずれか1つを用いてステップS1030を遂行する。
【0090】
そして、フィルタリング制御部132は、受信した最新の入力ビッド/オファーが、算出された乖離上限値及び乖離下限値の範囲内にあるか否かを判別し(ステップS1040)、範囲内にある場合は、正常なビッド/オファーとして判別し、取引所中央サーバ110の取引レート管理部116に出力する。一方、乖離上限値及び乖離下限値の範囲を超過すると判別された場合、その最新の入力ビッド/オファーを異質な情報として判別し、当該マーケットメーカーからのその後連続して受信する入力ビッド/オファーを遮断する遮断フラグをONにするとともに(ステップS1050)、受信した最新の入力ビッド/オファーを含むその後連続して入力される当該マーケットメーカーからの入力ビッド/オファーを入力遮断回数分遮断する遮断処理を開始する(ステップS1060)。
【0091】
具体的には、フィルタリング制御部132は、異質な情報として判断された入力ビッド/オファーから起算して当該マーケットメーカーからのその後の入力ビッド/オファーの入力回数をカウントしつつ、遮断フラグがONになっているマーケットメーカーからの入力ビッド/オファーの入力を所定の入力遮断回数分遮断する遮断処理を遂行する。
【0092】
なお、ステップS1040における判別処理では、上述のように入力された最新ビッド/オファーがその乖離上限値又は乖離下限値の一方を超える場合、そのビッド/オファーは、異質な情報として判別されるが、ビッド及びオファーが個別に各乖離下限値及び各乖離上限値の範囲に含まれるか否かが判別される。すなわち、ビッドが乖離範囲を超過しオファーが超過しない場合は、オファーのみが正常なオファーとして取引所中央サーバ110の取引レート管理部116に出力され、ビッドについて遮断処理が遂行される。そのまた逆も同様である。これは、マーケットメーカーは、取引所システム100にビッド/オファーを送信する際、必ずしもビッド/オファーの両方を同時に送信する必要はないため、ビッドのみ、オファーのみ、又はビッド/オファーの両方が取引所システム100に入力されるからであり、また、ビッド及びオファーの一方が、異質な情報として判別された場合であっても他方も異質な情報であるとは限らず、他方がその乖離上限値又は乖離下限値の範囲を超えていない限り、市場実勢価格内の正常な情報として判断することで健全な為替取引を維持することができるからである。
【0093】
フィルタリング制御部132は、遮断フラグがONになっているマーケットメーカーからの入力ビッド/オファーの入力回数が所定の入力遮断回数に達した場合、遮断処理を終了するとともに、遮断処理終了後に該マーケットメーカーから初めて入力されたビッド/オファー、すなわち、入力遮断回数+1回目(Y+1回目)の入力ビッド/オファーを識別して(ステップS1070)、遮断処理終了後に当該マーケットメーカーから入力された最新のビッド/オファーが異質な情報であるか否かの判別処理を遂行する。
【0094】
つまり、遮断処理中に入力が遮断された最後のY回目の入力ビッド/オファーに基づく乖離上限値及び乖離下限値を算出し(ステップS1080)、入力されたY+1回目の最新の入力ビッド/オファーが、Y回目のビッド/オファーに対する乖離上限値及び乖離下限値の範囲内にあるか否かを判別する(ステップS1090)。そして、フィルタリング制御部132は、入力されたY+1回目の最新の入力ビッド/オファーがY回目のビッド/オファーに対する乖離上限値及び乖離下限値の範囲内にある場合、当該マーケットメーカーに対する遮断フラグをOFFにして(ステップS1110)、このY+1回目の入力ビッド/オファーを正常なビッド/オファーとして取引所中央サーバ110の取引レート管理部116に出力する復帰処理を遂行する(ステップS1120)。
【0095】
一方、ステップS1090において、入力されたY+1回目の最新の入力ビッド/オファーがY回目のビッド/オファーに対する乖離上限値及び乖離下限値の範囲を超過していると判別された場合、入力されたY+1回目の最新の入力ビッド/オファーについての遮断処理を遂行するために、入力遮断回数のカウンタをリセットし、かつ遮断フラグをOFFにして(ステップS1100)、ステップS1050に戻る。
【0096】
このように本実施形態のビッド/オファーフィルタリング方法は、マーケットメーカーが意図しない異質な不正ビッド/オファーを適切に排除して、市場実勢価格外での取引を好適に抑制することができるとともに、相場急変時の大幅な値動きに対しても取引を停止させることなく、好適な為替取引を提供することができる。
【0097】
以上、本発明を好適な実施形態に即して説明したが、上記説明において呼び値をするマーケットメーカーが1つであってもよい。すなわち、本発明は、マーケットメーカー毎に、かつ入力されるビッドとオファーとを個別にフィルタリングするので、例えば、店頭為替証拠金取引における外国為替取引システムにおいても適用可能である。この場合、カバー先金融機関から提供されるビッド/オファーを本発明のフィルタリング方法によってフィルタリングすることができる。
【0098】
また、フィルタリング情報に含まれる乖離率及び入力遮断回数は、呼び値をするマーケットメーカーが任意に設定・登録しているが、マーケットメーカーからビッド/オファーが提供される取引所側で、設定・登録することも可能である。例えば、図8に示すように過去の入力ビッド/オファーの遷移を分析して最適な乖離率及び入力遮断回数を適用する他、一度設定されたフィルタリング情報を分析結果に応じて変更するように構成してもよい。
【0099】
また、本発明のフィルタリング方法における遮断処理及び復帰処理が遂行された場合、MM用サーバ130、取引レート管理部116、又はMM管理部113がマーケットメーカー端末401にその旨を通知するようにしてもよく、また、遮断処理が連続して数回実行されてビッド/オファーが注文者に提示されない状況が続いた場合、MM用サーバ、取引レート管理部116又はMM管理部113がマーケットメーカー端末401にその旨を通知することもできる。
【0100】
また、本発明の外国為替取引システムにおけるビッド/オファーのフィルタリング方法(各ステップ)は、コンピュータで実行可能なプログラムとして具現化することが可能であり、当該プログラムがインストールされたコンピュータは、本発明のフィルタリング処理を遂行する情報処理装置として動作することが可能である。例えば、不図示の補助記憶装置に当該プログラムが格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムをメモリ等の主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行し、コンピュータに本発明のフィルタリング処理を動作させることができる。また、本発明のビッド/オファーフィルタリングプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されることができ、コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【0101】
また、上記実施形態における各サーバは、ハードウェア構成として上述以外にも、キーボード、マウス、スキャナー等の操作入力手段、液晶ディスプレイ等の表示手段、プリンタ、スピーカなどの出力手段、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(ハードディスク等)等を備えることが可能であり、各端末においてもこれらの手段を備えることができる。各手段に制御は、サーバ又はコンピュータ全体の制御を司る制御手段(CPU)により遂行される。
【0102】
なお、本発明の詳細な説明では具体的な実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で多様に変形できる。よって、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0103】
100 取引所システム
110 取引所中央サーバ
111 通信制御部
112 FX管理部
113 MM管理部
114 顧客管理部
115 取引管理部
116 取引レート管理部
117 スワップポイント管理部
118 取引所データベース
120 FX用サーバ
121 FX用データベース
122 顧客データベース
123 取引処理部
130 MM用サーバ
131 MM用データベース
132 フィルタリング制御部
200 取引業者サーバ
201 取引業者端末
300 注文者端末
400 マーケットメーカー端末(MM端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーに基づく為替取引を、注文者端末を介して注文者に提供する外国為替取引システムであって、
前記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファーに対するフィルタリング制御を遂行するフィルタリング制御部と、
前記フィルタリング制御部から出力されるビッド又は/及びオファーを前記注文者端末に伝送する取引レート管理部と、を有し、
前記フィルタリング制御部は、
順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を遂行し、乖離範囲内でないと判別された場合に前記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に前記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間前記取引レート管理部に出力しない第1フィルタリング処理と、
前記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、前記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する前記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を遂行し、乖離範囲内であると判別された場合に前記最初に受信したビッド又はオファーを前記取引レート管理部に出力する第2フィルタリング処理と、を遂行することを特徴とする外国為替取引システム。
【請求項2】
前記マーケットメーカー端末を通じて伝送される前記乖離率と前記一定の条件に関する情報とを格納する格納部をさらにすることを特徴とする請求項1に記載の外国為替取引システム。
【請求項3】
前記フィルタリング制御部は、前記乖離率及び前記直前に受信したビッド又はオファーを用いて、ビッド及びオファー毎の乖離上限値及び乖離下限値を算出し、前記乖離上限値及び前記乖離下限値を乖離範囲とする前記第1判別処理を遂行することを特徴とする請求項1又は2に記載の外国為替取引システム。
【請求項4】
前記フィルタリング制御部は、前記乖離率及び前記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーを用いて、ビッド及びオファー毎の乖離上限値及び乖離下限値を算出し、前記乖離上限値及び前記乖離下限値を乖離範囲とする前記第2判別処理を遂行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の外国為替取引システム。
【請求項5】
前記一定の条件は、前記ビッド又はオファーの所定の受信回数であり、
前記フィルタリング制御部は、乖離範囲内でないと判別された前記最新に受信したビッド又はオファーからカウントして前記所定の受信回数に達するまでのその後に前記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド又はオファーを前記取引レート管理部に出力しない前記第1フィルタリング処理を遂行することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の外国為替取引システム。
【請求項6】
前記フィルタリング制御部は、前記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド又は/及びオファーが前記外国為替取引システムにおける為替取引日当日に最初に受信するビッド又はオファーであるか否かを判別する第3判別処理を遂行し、前記為替取引日当日に最初に受信するビッド又はオファーであると判別された場合、前記為替取引日当日に最初に受信するビット又はオファーが、前記為替取引日の前日に前記マーケットメーカー端末から最後に受信したビッド又はオファー、前記為替取引日の前日の清算価格、若しくは前記為替取引日の前日の取引終了直近の約定価格のうちいずれか1つに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する前記第1判別処理を遂行することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の外国為替取引システム。
【請求項7】
外国為替取引についての取引所が保有する取引所中央サーバ及び前記外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーが入力されるMM用サーバを有し、前記取引所に登録された取引業者を通じた外国為替取引を注文者端末を介して注文者に提供する外国為替取引システムであって、
前記MM用サーバは、前記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファーに対するフィルタリング制御を遂行するフィルタリング制御部を含み、
前記取引所中央サーバは、前記フィルタリング制御部から出力されるビッド又は/及びオファーを前記注文者端末に伝送する取引レート管理部を含み、
前記フィルタリング制御部は、
順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を遂行し、乖離範囲内でないと判別された場合に前記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に前記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間前記取引レート管理部に出力しない第1フィルタリング処理と、
前記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、前記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する前記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を遂行し、乖離範囲内であると判別された場合に前記最初に受信したビッド又はオファーを前記取引レート管理部に出力する第2フィルタリング処理と、を遂行することを特徴とする外国為替取引システム。
【請求項8】
外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーを受信し、注文者端末を介して注文者に前記ビッド/オファーに基づく為替取引を提供する外国為替取引装置であって、
前記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファーに対するフィルタリング制御を遂行するフィルタリング制御部と、
前記フィルタリング制御に基づくビッド又は/及びオファーを前記注文者端末に伝送する取引レート管理部と、を有し、
前記フィルタリング制御部は、
順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を遂行し、乖離範囲内でないと判別された場合に前記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に前記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間前記取引レート管理部に出力しない第1フィルタリング処理と、
前記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、前記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する前記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を遂行し、乖離範囲内であると判別された場合に前記最初に受信したビッド又はオファーを前記取引レート管理部に出力する第2フィルタリング処理と、を遂行することを特徴とする外国為替取引装置。
【請求項9】
外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーを受信し、注文者端末を介して注文者に前記ビッド/オファーに基づく為替取引を提供する外国為替取引システムにおいて、前記マーケットメーカー端末から送信されるビッド/オファーが入力され、前記ビッド/オファーを前記注文者端末に伝送する前記外国為替取引システムの取引レート管理部に前記入力されたビッド/オファーを出力する情報処理装置であって、
前記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファーに対するフィルタリング制御を遂行し、前記フィルタリング制御に基づくビッド又は/及びオファーを前記取引レート管理部に出力するフィルタリング制御部を有し、
前記フィルタリング制御部は、
順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を遂行し、乖離範囲内でないと判別された場合に前記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に前記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間前記取引レート管理部に出力しない第1フィルタリング処理と、
前記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、前記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する前記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を遂行し、乖離範囲内であると判別された場合に前記最初に受信したビッド又はオファーを前記取引レート管理部に出力する第2フィルタリング処理と、を遂行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーに基づく為替取引を、注文者端末を介して注文者に提供する外国為替取引システムにおけるビッド/オファーフィルタリング方法であって、
前記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて乖離範囲内でないと判別された場合に前記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に前記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間前記注文者端末に伝送しない第2ステップと、
前記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、前記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する前記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別する第3ステップと、
前記第3ステップにおいて乖離範囲内であると判別された場合に前記最初に受信したビッド又はオファーを前記注文者端末に伝送する第4ステップと、
を含むことを特徴とするビッド/オファーフィルタリング方法。
【請求項11】
外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーに基づく為替取引を注文者端末を介して注文者に提供する外国為替取引を遂行する外国為替取引装置であって、前記ビッド/オファーを前記注文者端末に伝送する取引レート管理部を含む前記外国為替取引装置に、
前記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別し、乖離範囲内でないと判別された場合に前記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に前記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間前記取引レート管理部に伝送しない機能と、
前記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、前記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する前記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別し、乖離範囲内であると判別された場合に前記最初に受信したビッド又はオファーを前記取引レート管理部に伝送する機能と、
を実現させることを特徴とするビッド/オファーフィルタリングプログラム。
【請求項12】
外国為替取引において呼び値をするマーケットメーカーのマーケットメーカー端末から送信されるビッド及びオファーを受信し、注文者端末を介して注文者に前記ビッド/オファーに基づく為替取引を提供する外国為替取引システムにおいて、前記マーケットメーカー端末から送信されるビッド/オファーが入力され、前記ビッド/オファーを前記注文者端末に伝送する前記外国為替取引システムの取引レート管理部に前記入力されたビッド/オファーを出力する情報処理装置に、
前記マーケットメーカー端末から順次連続して受信するビッド及びオファー毎に、最新に受信したビット又はオファーがその直前に受信したビッド又はオファーに対する所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別し、乖離範囲内でないと判別された場合に前記最新に受信したビッド又はオファーを含むその後に前記マーケットメーカー端末から順次連続して送信されるビッド又はオファーを一定の条件が満たされるまでの間前記取引レート管理部に伝送しない機能と、
前記一定の条件が満たされた後に最初に受信したビッド又はオファーが、前記一定の条件が満たされるまでの間において最後に受信したビッド又はオファーに対する前記所定の乖離率に基づく乖離範囲内であるか否かを判別し、乖離範囲内であると判別された場合に前記最初に受信したビッド又はオファーを前記取引レート管理部に伝送する機能と、
を実現させることを特徴とするビッド/オファーフィルタリングプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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