説明

外套管

【課題】外套管において、体表から浅い位置にある被処置部に対しても、簡単な操作で作業スペースを広く確保することができるようにする。
【解決手段】先端側を体腔103内に挿入して、基端側から医療用鉗子5を体腔103内に導入する挿通路を確保する外套管1であって、先端側に挿通路を形成する先端側管部材4と、基端側に挿通路を形成する基端側管部材2と、先端側管部材4を、基端側管部材2に対して回動中心Oを中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、先端側管部材4および基端側管部材2の各挿通路を連絡させる中間連結部3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外套管に関する。例えば、医療用鉗子、処置具、および内視鏡などの手術機器を体腔内に導入する外套管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外科手術では、例えば、医療用鉗子、処置具、および内視鏡などの手術機器を体腔内に導入するため、外套管(トラカール)が用いられている。
このような外套管として、特許文献1には、内視鏡や処置具等を体腔内に案内するための挿通路を有する挿入部を備え、前記挿入路の少なくとも一部を体腔内への送気、送水通路として使用する外套管において、前記挿通路の内壁を、先端側から手元側に向かって徐々に内径が大きくなるテーパ形状に形成したことを特徴とする外套管が記載されている。
また、特許文献2には、硬質パイプの先端にアングルリングを順次枢着することにより所定の方向に湾曲可能なアングル部を連設してなる挿入部の基端部に操作部を連設して、この操作部に回動操作部材を設けて、この回動操作部材に巻き取り車を連結して設け、この巻き取り車には前記アングル部内では相互に略180°の位置となるように配置される少なくとも一対の操作ワイヤを連結し、これら各操作ワイヤの先端部を前記挿入部の先端部またはその近傍に連結して設け、さらに前記挿入部内には、挿通部材を挿通させるチューブを装着する構成としたことを特徴とするアングル機構付トラカール(外套管)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−239832号公報
【特許文献2】特開平10−262983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の外套管には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、図18(a)に示すように、外套管100は、体腔103内に挿入する先端側の挿入部100Bと、体腔103の外側に配置される基端部100Aとが一直線上に連なっている。そして、この外套管100の内部に医療用鉗子101を挿入して、挿入部100Bの先端開口100aから、臓器104の被処置部104aに向けて、医療用鉗子先端部101aを出し入れする。
このとき、体表102と被処置部104aの位置する臓器104との間の距離が近いと、先端開口100aと被処置部104aとの間の距離が近いため、医療用鉗子先端部101aの作業スペースを十分に確保することができず、処置作業が困難になる場合があるという問題がある。
このような場合、図18(b)に示すように、挿入部100Bを被処置部104aの側方の位置に挿入し、先端開口100aから臓器104の表面に沿って医療用鉗子101を延出させて被処置部104a上での作業スペースを確保することも考えられるが、医療用鉗子先端部101aが被処置部104aに対してとることができる姿勢が限られてしまうという問題や、医療用鉗子101の先端部が湾曲可能な構造になっていなければならないといった問題がある。
一方、特許文献2に記載の技術によれば、先端が湾曲可能になっているため、体表から近い距離に被処置部がある場合、操作ワイヤによってアングル部を湾曲させることによって、トラカールの先端を臓器から離して、作業スペースを確保することができる。
しかしながら、アングル部は、複数のアングルリングを連結した多関節の湾曲機構になっているため、先端部開口を2軸方向に沿って動かせるように、アングルリングの回動方向が交互に変化するように連結すると、2軸方向の中間の方向に沿って動かす場合には、各方向の操作が干渉を起こす。このため、ワイヤ操作量のみでは、操作後の先端部開口の位置および姿勢を正確には予測することができないため、位置姿勢の操作には試行錯誤が必要となり、作業効率が悪くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、体表から浅い位置にある被処置部に対しても、簡単な操作で作業スペースを広く確保することができる外套管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、先端側を体腔内に挿入して、基端側から医療用器具を体腔内に導入する挿通路を確保する外套管であって、前記先端側に前記挿通路を形成する先端側管部材と、前記基端側に前記挿通路を形成する基端側管部材と、前記先端側管部材を、前記基端側管部材に対して1点を中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、前記先端側管部材および前記基端側管部材の各挿通路を連絡させる中間連結部とを備えると構成とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記中間連結部は、前記基端側管部材における先端側に設けられた支持部と、前記先端側管部材における基端側に設けられた被駆動部と、前記被駆動部を、前記支持部に対して1点を中心として2軸方向に傾動可能に連結する継手構造とを備える構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の外套管において、前記継手構造は、内部に貫通孔を有するボール継手からなる構成とする。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の外套管において、前記継手構造は、内部に貫通孔を有するユニバーサル継手からなる構成とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項2に記載の外套管において、前記継手構造は、内部に貫通孔を有するジンバル継手からなる構成とする。
【0011】
請求項6に記載の発明では、請求項2〜5のいずれかに記載の外套管において、前記中間連結部は、前記継手構造における可動な部材または前記被駆動部からなる駆動対象を駆動することにより、前記支持部に対して前記被駆動部を傾動させる駆動機構を備え、該駆動機構には、前記基端側管部材の外部から遠隔操作して駆動力を伝達する駆動力伝達部が接続された構成とする。
【0012】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の外套管において、前記駆動機構は、前記駆動対象に固定されるとともに、傾動の中心軸に直交する軸上に回動可能に支持されたプーリーを備え、前記駆動力伝達部は、前記プーリーに巻き掛けられたワイヤーを備える構成とする。
【0013】
請求項8に記載の発明では、請求項6に記載の外套管において、前記駆動機構は、前記駆動対象に固定されるとともに、傾動の中心軸上に回動可能に支持されたピニオンギヤを備え、前記駆動力伝達部は、前記ピニオンギヤに係合されたラックと、該ラックを一定方向に進退させる棒状部材とを備える構成とする。
【0014】
請求項9に記載の発明では、請求項6に記載の外套管において、前記駆動機構は、一端が前記駆動対象に固定されるとともに、他端が前記駆動力伝達部に連結されたリンク機構を備え、前記駆動力伝達部は、前記リンク機構の他端側のリンク部材を一定方向に進退させる棒状部材を備える構成とする。
【0015】
請求項10に記載の発明では、請求項2〜5のいずれかに記載の外套管において、前記中間連結部は、前記基端側管部材に設けられ、前記継手構造の傾動中心から離間された位置で前記被駆動部の側部の位置を規制する移動規制部材と、該移動規制部材を駆動することにより、前記支持部に対して前記被駆動部を傾動させる駆動機構とを備え、該駆動機構には、前記基端側管部材の外部から遠隔操作して駆動力を伝達する駆動力伝達部が接続された構成とする。
【0016】
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の外套管において、前記移動規制部材は、前記基端側管部材に対して回動可能に連結され、前記被駆動部の側部を回動円の周方向に挟持するスリットを備える構成とする。
【0017】
請求項12に記載の発明では、請求項10に記載の外套管において、前記移動規制部材は、前記被駆動部の側面に当接されるとともに、前記基端側管部材の軸方向に沿って進退可能に設けられた側部押圧部と、該側部押圧部の前記軸方向の位置に応じて、前記側部押圧部の前記軸方向に直交する方向における位置を変化させる移動案内部とを備え、前記駆動力伝達部は、前記側部押圧部を前記軸方向に沿って進退させる棒状部材を備える構成とする。
【0018】
請求項13に記載の発明では、請求項6に記載の外套管において、前記駆動機構は、前記支持部に対して、前記被駆動部を前記2軸方向にそれぞれ独立に傾動させる2つの駆動系からなり、前記駆動力伝達部は、前記2軸方向のそれぞれ独立に駆動力を伝達する2系統の伝達系からなる構成とする。
【0019】
請求項14に記載の発明では、請求項6に記載の外套管において、前記駆動力伝達部に駆動力を供給する駆動力供給部を前記基端側管部材の外部に備える構成とする。
【0020】
請求項15に記載の発明では、請求項1に記載の外套管において、前記中間連結部は、前記先端側管部材および前記基端側管部材の各挿通路を連通させる可撓性の中間管部材と、前記基端側管部材に対して、前記基端側管部材の中心軸に直交する第1の回動軸回りに回動可能に連結されるとともに、前記先端側管部材の基端部の側部を前記第1の回動軸回りに傾動可能に保持する第1保持部材と、前記基端側管部材に対して、前記基端側管部材の中心軸および前記第1の回動軸に1点で直交する第2の回動軸回りに回動可能に連結されるとともに、前記先端側管部材の基端部の側部を前記第2の回動軸回りに傾動可能に保持する第2保持部材とを備える構成とする。
【0021】
請求項16に記載の発明では、請求項15に記載の外套管において、前記第1保持部材および前記第2保持部材を、それぞれ前記基端側管部材に対して回動駆動する駆動機構を備え、該駆動機構には、前記基端側管部材の外部から遠隔操作して駆動力を伝達する駆動力伝達部が接続された構成とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の外套管によれば、先端側管部材を、基端側管部材に対して1点を中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、先端側管部材および基端側管部材の各挿通路を連絡させる中間連結部を設けたため、体表から浅い位置にある被処置部に対しても、簡単な操作で作業スペースを広く確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る外套管の構成および使用時の様子を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る外套管の構成を示す模式的な斜視図およびそのA−A断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る外套管の構成を示す模式的な斜視図およびそのB−B断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る外套管の構成を示す模式的な斜視図およびそのC−C断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る外套管の構成および使用時の様子を示す模式的な斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る外套管の中間連結部の構成を示す模式的な分解斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る外套管の模式的な動作説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の変形例(第3変形例)に係る中間連結部の構成、およびその傾動時の様子を示す模式的な部分断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の変形例(第3変形例)の駆動部の構成を示す模式的な平面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る外套管の主要部の構成を示す模式的な斜視図である。
【図11】図10におけるE視の部分断面図、F視の部分断面図、およびF視の部分断面図におけるH−H断面図である。
【図12】図10におけるG−G断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態の変形例(第4変形例)に係る中間連結部の主要部の構成およびその傾動時の様子を示す模式的な断面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る外套管の主要部の構成を示す模式的な斜視図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る外套管の中間管部材の構成を示す模式的な斜視図、およびそのK−K断面図である。
【図16】図14におけるJ−J断面図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る駆動部の構成を示す模式的な平面図である。
【図18】従来技術に係る外套管について説明する模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0025】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る外套管について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る外套管の構成および使用時の様子を示す模式的な斜視図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る外套管の構成を示す模式的な斜視図である。図2(b)は、図2(a)におけるA−A断面図である。
なお、各図は模式図であり、見易さのために各部材の大きさや形状は誇張されている(以下の図面も同様)。
【0026】
本実施形態の外套管1は、図1、図2(a)、(b)に示すように、先端側を体腔103内に挿入して、基端側から医療用器具を体腔103内に導入する挿通路を確保するものであって、先端側から基端側に向かって、先端側管部材4、中間連結部3、および基端側管部材2を備える。
医療用器具としては、例えば、医療用鉗子、処置具、および内視鏡などの手術機器を挙げることができる。以下では、このような医療用器具の一例として、医療用鉗子5を用いる場合の例で説明する。
医療用鉗子5は、図1に示すように、屈曲可能に設けられた全体として細長い棒状部材であり、先端側に、被処置部104aを挟んだり押さえたりする鉗子先端部5aを備えている。鉗子先端部5aには複数の関節部5bが連結されており、外部に設けられた不図示の操作部によって各関節部5bの屈曲角を遠隔操作することによって、外套管1の先端側から体腔103内に導入された鉗子先端部5aの位置や姿勢を変更できるようになっている。
【0027】
先端側管部材4は、内部に医療用鉗子5を挿通させるための円孔状の挿通路4aが貫通して設けられた略円管状の部材であり、少なくとも先端側は体腔103の内部に挿入して用いられるものである。挿通路4aの内径は、少なくとも外套管1内に挿通させる医療用鉗子5の外径よりも大きい径に設定されている。
先端側管部材4の先端部は、先端側管部材4および挿通路4aの中心軸である先端側管部材中心軸Aに斜めに交差する平面である傾斜面4bを備え、側面視では先細の針状の形状をなしている。これにより、挿通路4aの先端部に楕円状の先端開口4cが形成されている。このため、先端開口4cは、軸方向の先端側に向けて開口するとともに、軸方向に対する側方に向かっても開口されている。
また、先端側管部材4の基端部は、先端側管部材中心軸Aに直交する平面からなる基端面4dが形成されている。
先端側管部材4は、外周面4eの外径および挿通路4aの内径が軸方向に一定の円筒管状であってもよいし、外周面4eの外径および挿通路4aの内径の少なくもいずれかが、基端側から先端側に向かって縮径する円錐面状に形成されていてもよい。
【0028】
中間連結部3は、先端側管部材4を、基端側管部材2に対して回動中心Oを中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、先端側管部材4および基端側管部材2の各挿通路を連絡させるものである。
回動中心Oを中心とする2軸方向に傾動可能とは、回動中心Oを通り傾動中心軸(後述する基端側管部材中心軸A)と直交する平面上において回動中心Oを通る任意の軸線方向に沿って、回動中心Oを中心として傾動可能であることを意味する。
本実施形態では、先端側管部材4の基端部に設けられた雄型連結部7と、基端側管部材2の先端部に設けられた雌型連結部6とからなる。また、中間連結部3は、図1では図示を省略しているが、図2(a)、(b)に示すように、雄型連結部7および雌型連結部6の相対位置の固定と固定解除とを行うため、ハンドル付きネジ9を備えている。
【0029】
雄型連結部7は、先端側管部材4の基端面4dに接続された管状部7aと、管状部7aの基端側に接続された部分球殻状の雄継手部7bとを備える。
管状部7aの内部には、先端側管部材4の基端側の挿通路4aと同径の内径を有する貫通孔7dが形成されている。
また、管状部7aの外形は、本実施形態では円筒状としているが、例えば、四角柱状などとしてもよい。
【0030】
雄継手部7bの外周面には、管状部7aの外形よりも大きな外径を有する部分球面である凸係合面7cが設けられている。
また、雄継手部7bの内部には、先端側で管状部7aの貫通孔7dと連通する球状の空孔部7fが形成されている。
また、雄継手部7bの基端側には、先端側管部材中心軸Aを中心とし、貫通孔7dの内径よりも大きい内径を有する円孔状の開口部7eが形成されている。
【0031】
雌型連結部6は、基端側管部材2の先端部に接続された管状部6aと、管状部6aの先端側に接続された部分球殻状の雌継手部6bとを備える。
管状部6aの内部には、先端側管部材4の挿通路4aよりも大きい内径を有する貫通孔6dが形成されている。
また、管状部6aの外形は、本実施形態では円筒状としているが、例えば、四角柱状などとしてもよい。
【0032】
雌継手部6bの内側には、雄型連結部7の凸係合面7cを摺動可能に外嵌する部分球面である凹係合面6cが設けられている
また、雌継手部6bの先端側には、後述する基端側管部材2の基端側管部材中心軸Aを中心とし、雄型連結部7の管状部7aの外径よりも大きい内径を有する円孔状の開口部6eが形成されている。
また、雌継手部6bの側面には、ハンドル付きネジ9を螺合させるための雌ネジ部6fが貫通して設けられている。
ハンドル付きネジ9は、雌継手部6bに設けられた雌ネジ部6fと螺合する雄ネジ部9aと、雄ネジ部9aのネジ締め操作をするためのハンドル部9bとを備える。本実施形態では、ハンドル部9bは、雄ネジ部9aより大径とされ表面にローレットが形成された略円筒状部材からなる。雄ネジ部9aの先端は、ネジ締めされて雄継手部6bと当接したときに雄継手部6bを傷つけることなく押圧できる平先形状を有している。
【0033】
基端側管部材2は、図1、図2(a)に示すように、先端側にわずかにすぼまった略四角錐台状の外形2bを有し、内部に医療用鉗子5を挿通させるための円孔状の挿通路2aが貫通して設けられるとともに、先端側に雌型連結部6が設けられた管状の部材である。
挿通路2aの内径は、少なくとも外套管1内に挿通させる医療用鉗子5の外径よりも大きい径に設定されており、先端側では、図2(b)に示すように、雌型連結部6の挿通孔6dと同軸に設けられている。
挿通路2aの中心軸は、基端側管部材2の外形の中心軸である基端側管部材中心軸Aに一致されている。このため、雌型連結部6の回動中心Oは、基端側管部材中心軸A上に位置されている。
基端側管部材2の先端側の外形は、雌型連結部6の外径よりも大きな矩形状に設けられており、これにより、雌型連結部6の管状部6aの外周部と基端側管部材2の管外周部との間には、基端側管部材中心軸Aに直交する平面からなる段状部2cが形成されている。
本実施形態の外套管1は、段状部2cが体表102に密着する位置を挿入の限度としている。このため、基端側管部材2は、少なくとも体腔103の外部に配置して用いられる部材になっている。
【0034】
挿通路2aの基端側には、医療用鉗子5を挿入した状態で挿通路2aの内部を気密、液密に保つための気密弁8が設けられている。気密弁8は、例えば合成ゴムなどの伸縮性を有する材質からなり、医療用鉗子5の外径よりも小さい内径を有し、医療用鉗子5を挿入した際、医療用鉗子5の外形に密着する孔部8aが設けられている。
【0035】
このような構成により、雌型連結部6の雌継手部6bの内部には、図2(b)に示すように、雄型連結部7の雄継手部7bが内嵌されている。これにより、雌型連結部6と雄型連結部7とは、それぞれ凹係合面6cおよび凸係合面7cによって互いに摺動可能に係合されている。また、ハンドル付きネジ9を締めると、雌型連結部6と雄型連結部7との相対位置が固定され、ハンドル付きネジ9を緩めると、雌型連結部6と雄型連結部7とは固定解除状態とされる。
この固定解除状態では、雄型連結部7は、凹係合面6cおよび凸係合面7cの共通の曲率中心である回動中心Oを中心として、管状部7aの外形と開口部6eの内縁部とが接する範囲の間で、自由に回動できるようになっている。
これにより、雄型連結部7に接続された先端側管部材4は、回動中心Oを傾動中心として基端側管部材中心軸Aに対して、傾動できるようになっている。
例えば、図2(a)に示すように、回動中心Oを通り基端側管部材中心軸Aに直交する平面上で互いに直交する2軸をそれぞれx軸、y軸とし、これらx軸、y軸にそれぞれ直交する軸をz軸とすると、z軸は基端側管部材中心軸Aに一致しており、x軸、y軸は、回動中心Oを中心として、傾動可能な2軸方向になっている。
例えば、先端側管部材4をx軸回りに傾動させると、矢印Yで示すように、先端側管部材4は、yz平面内でy軸に沿う方向に傾動することになる。
また、先端側管部材4をy軸回りに傾動させると、矢印Xで示すように、先端側管部材4は、zx平面内でx軸に沿う方向に傾動することになる。
雄型連結部7および雌型連結部6は、係合面が球面であり、回動方向に制限はないから、先端側管部材4は、xy平面内で回動中心Oを通る任意の軸線方向に沿って傾動することができる。すなわち、2軸方向に傾動可能になっている。
また、ハンドル付きネジ9を締めると、雌型連結部6と雄型連結部7との相対位置が固定され、傾動された位置関係を保持することができる。
【0036】
また、雄型連結部7の内部の空孔部7fおよび貫通孔7dは、それぞれ挿通路4aに連通されている。また、開口部7eは、雄型連結部7がどのような回動状態であっても雌型連結部6の貫通孔6dに向けて開口されている。このため、挿通路4aは、貫通孔7d、空孔部7f、および貫通孔6dを介して挿通路2aと連通されており、これにより外套管1の内部に軸方向に貫通する挿通路が形成されている。
【0037】
先端側管部材4、中間連結部3、および先端側管部材4の材質は、適宜の合成樹脂や合成樹脂と金属とを複合させた材質などを採用することができる。
【0038】
このように、本実施形態の外套管1は、先端側に挿通路4aを形成する先端側管部材4と、基端側に挿通路2aを形成する基端側管部材2と、先端側管部材4を基端側管部材2に対して回動中心Oを中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、先端側管部材4および基端側管部材2の各挿通路4a、2aを、貫通孔7d、空孔部7f、貫通孔6dで連通して連絡させる中間連結部3とを備えている。
また、中間連結部3は、基端側管部材2における先端側に設けられた支持部である管状部6aと、先端側管部材4における基端側に設けられた被駆動部である管状部7aと、管状部6aに対して、管状部7aを、回動中心Oを中心として2軸方向に傾動可能に連結する継手構造とを備えている。
この継手構造は、内部に貫通孔を有するボール継手からなっている。
【0039】
次に、本実施形態の外套管1の作用について説明する。
外套管1によれば、先端側管部材4と基端側管部材2とが、ボール継手を構成する中間連結部3によって、1点を中心する2軸方向に傾動可能に連結されているため、図1に示すように、先端側管部材中心軸Aを、体表102の外部に位置が固定された基端側管部材2の基端側管部材中心軸Aに対して傾動させることができる。
これにより、体表102と、被処置部104aがある臓器104との間の距離が短い場合でも、先端側管部材4の先端部と臓器104との間の距離を十分離した状態で挿入することができ、先端側管部材4の先端部と被処置部104aとの間に、医療用鉗子5を被処置部104aの上方側から延出させて関節部5bによって自由に移動させるために必要な作業スペースSを確保することができる。
【0040】
例えば、必要な作業スペースSの大きさによって、先端側管部材4の先端部を配置すべき臓器104からの高さhが決まり、体表102からの臓器104までの高さHに応じて、先端側管部材4を傾動させるべき角度θが定まるから、先端側管部材4を予め角度θだけ傾動させ、同様にして決定される挿入位置から、外套管1を挿入して行けばよい。
あるいは、中間連結部3を回動自在としておき、先端側管部材4の挿通路4aまで挿通された医療用鉗子5を外部からの遠隔操作によって湾曲させることによって、先端側管部材4の傾動方向、傾動量を制御してもよい。この場合は、挿入動作を行う間に、傾動角を変えることができる。
医療用鉗子5に代えて、内視鏡を挿入する場合には、内視鏡で先端開口4cの前方の画像を見ながら、内視鏡を湾曲操作することで、傾動角を調整することができる。
また、いずれの場合も適宜のタイミングでハンドル付きネジ9を締めることにより、その時点の傾動角を保持することができ、これにより外套管1の先端開口4cの位置を安定させて処置などを行うことができる。
【0041】
また、外套管1の中間連結部3は、継手構造を有することで、回動中心Oを中心にして、1関節で傾動動作を行うことができるため、例えば、複数の節輪を回動可能に連結した多関節の湾曲機構によって同じ傾動角を得る場合に比べて、軸方向の長さを短縮することができ、外套管1の長さの短縮を図ることができる。
【0042】
このように、外套管1によれば、先端側管部材4を、基端側管部材2に対して回動中心Oを中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、先端側管部材4および基端側管部材2の各挿通路4a、2aを連絡させる中間連結部3を設けたため、体表102から浅い位置にある被処置部104aに対しても、簡単な操作で作業スペースSを広く確保することができる。
【0043】
[第1変形例]
次に、本実施形態の第1変形例について説明する。
図3(a)は、本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る外套管の構成を示す模式的な斜視図である。図3(b)は、図3(a)におけるB−B断面図である。なお、図3(a)では、見易さのため、回動中心Oを原点として描かれるべきxyz軸の位置をずらして描いている。
【0044】
本変形例の外套管1Aは、上記第1の実施形態の外套管1の中間連結部3に代えて、中間連結部3Aを備えるものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
中間連結部3Aは、図3(a)、(b)に示すように、中間連結部3と同様に、先端側管部材4を、基端側管部材2に対して回動中心Oを中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、先端側管部材4および基端側管部材2の挿通路4a、2aを連絡させるものである。
中間連結部3Aは、先端側管部材4の基端面4dに設けられた1対の突片部13(被駆動部)と、基端側管部材2の段状部2cに設けられた管状支持部10(支持部)と、管状支持部10の先端側に設けられた1対の突片部11と、突片部13、11を連結する枠部材12とを備える。
【0045】
1対の突片部13は、基端面4dの外縁部において先端側管部材4の径方向に対向されるとともに、先端側管部材中心軸Aに沿って延ばされた平板状の部材である。
各突片部13の突出方向の端部には、回動中心Oを通り、先端側管部材中心軸Aに直交する軸(図示のy軸)に同軸に設けられた孔部13aがそれぞれ厚さ方向に貫通して設けられている。
【0046】
管状支持部10は、段状部2cから基端側管部材中心軸Aに沿って突出して設けられ、突出方向の先端には、基端側管部材中心軸Aと直交する平面からなる先端面10cが形成されている。
また、管状支持部10の内部には、挿通路2aと連通された貫通孔10aが、挿通路2aと同軸の位置関係に設けられている。
本変形例では、管状支持部10の外周面10bは、1対の突片部13を1対の突片部11と略同じ間隔で対向させるために、先端側管部材4の基端側の外径と略同じ外径を有する円筒状に設けられている。
ただし、外周面10bの外径は、先端側管部材4の外径と異なっていてもよい。また、外周面10bの形状は、円筒状には限定されず、例えば、四角柱状であってもよい。
【0047】
1対の突片部13は、先端面10cの外縁部において管状支持部10の径方向に対向されるとともに、基端側管部材中心軸Aに沿って延ばされた平板状の部材である。
各突片部13の突出方向の端部には、回動中心Oを通り、先端側管部材中心軸Aに直交する軸(図示のx軸)に同軸に設けられた孔部13aがそれぞれ厚さ方向に貫通して設けられている。
【0048】
枠部材12は、突片部11、13の各対向間隔よりも狭い幅を有する矩形状のブロック部材の中心に、医療用鉗子5が挿通可能な内径を有する貫通孔12aが設けられるとともに、貫通孔12aを囲む4つの外周面12b上にそれぞれ1対の回動支軸12cと、1対の回動支軸12dとが、各外周面12bと直交する方向に立設された部材である。
各回動支軸12c、12dは、先端部が、孔部11a、13aにそれぞれ回動可能に取り付けられるようにした軸部材であり、各外周面12bの中心に設けられている。
このため、1対の回動支軸12cは、貫通孔12aの中心軸に直交する1つの軸(図示のx軸)上に整列され、1対の回動支軸12dは、貫通孔12aの中心軸および1対の回動支軸12cが整列された軸に1点で直交する軸(図示のy軸)に整列されている。
【0049】
また、枠部材12は、各回動支軸12dは突片部13の各孔部13aに内側から挿通された状態で突片部13に回動可能に連結され、各回動支軸12cは突片部11の各孔部11aに内側から挿通された状態で突片部11に回動可能に連結されている。
【0050】
このような構成により、突片部13が設けられた先端側管部材4と枠部材12との間で、枠部材12に対して、先端側管部材4が先端側管部材中心軸Aに直交する図示y軸(第1の回動軸)回りに回動できる第1の回動部が形成されている。
また、突片部11が設けられた管状支持部10と枠部材12との間で、管状支持部10に対して、枠部材12が管状支持部10の貫通孔10aの中心軸、すなわち基端側管部材中心軸Aに直交する図示x軸(第2の回動軸)回りに回動できる第2の回動部が形成されている。
これにより、突片部13が設けられた先端側管部材4は、x軸、y軸が交わる回動中心Oを傾動中心として基端側管部材中心軸Aに対して、上記第1の実施形態と同様、2軸方向に傾動できるようになっている(図3(a)の矢印X、Y参照)。
すなわち、先端側管部材4が、回動支軸12c回りに枠部材12に対してどのように回動された状態であっても、枠部材12および枠部材12に連結された先端側管部材4を、回動支軸12dと同軸のx軸回りに回動させることができる。
また、枠部材12が、突片部11に対してx軸回りにどのように回動された状態であっても、先端側管部材4を回動支軸12c回りに回動させることができる。
回動支軸12c、12dは、それぞれ回動中心Oで直交しているので、2軸方向の回動は互いに影響しないため、回動中心Oに直交するx軸方向、y軸方向に沿う方向、およびxy平面内で回動中心Oを通る任意の軸線方向に沿って傾動することができる。
このような枠部材12を介した継手構造は、ユニバーサル継手になっている。ユニバーサル継手は、2軸方向に回動する1関節を構成している。
【0051】
また、枠部材12の貫通孔12aは、枠部材12によって連結された先端側管部材4、基端側管部材2の挿通路4a、2aに挟まれ、その中心が、先端側管部材中心軸Aおよび基端側管部材中心軸Aに交差する位置にある。このため、貫通孔12aは、先端側管部材4が傾動しても、先端側管部材中心軸Aおよび基端側管部材中心軸Aが中心を通るので、挿通路4a、2aを連絡させる貫通孔になっている。
【0052】
本変形例の外套管1Aによれば、中間連結部3Aが、中間連結部3と同様に、回動中心Oを中心として2軸方向に傾動可能に連結する継手構造となっているので、上記第1の実施形態の外套管1と同様の作用を備える。
【0053】
[第2変形例]
次に、本実施形態の第2変形例について説明する。
図4(a)は、本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る外套管の構成を示す模式的な斜視図である。図4(b)は、図4(a)におけるC−C断面図である。なお、図4(a)では、見易さのため、回動中心Oを原点として描かれるべきxyz軸の位置をずらして描いている。
【0054】
本変形例の外套管1Bは、上記第1の実施形態の外套管1の中間連結部3に代えて、中間連結部3Bを備えるものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
中間連結部3Bは、図4(a)、(b)に示すように、中間連結部3と同様に、先端側管部材4を、基端側管部材2に対して回動中心Oを中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、先端側管部材4および基端側管部材2の挿通路4a、2aを連絡させるものである。
中間連結部3Bは、基端側管部材2の段状部2cに設けられた外枠部15と、外枠部15の内側かつ先端側管部材4の径方向外側に配置された中間枠部材16とを備える。
変形例の外枠部15は、段状部2cから基端側管部材中心軸Aに沿って突出して設けられた円環状の枠部材である。
外枠部15の内部には、挿通路2aと連通する貫通孔15aが基端側管部材中心軸Aと同軸に設けられている。
また外枠部15の側部には、貫通孔15aの中心を通って径方向に延びる1つの軸線(図示のy軸)を中心として、2つの孔部15bが、それぞれ径方向に貫通して設けられている。
【0055】
本変形例の中間枠部材16は、外枠部15よりも軸方向の幅が狭く、内部に貫通孔16cが貫通された円環状の枠部材である。
中間枠部材16は、中間枠部材16の中心軸に直交する1つの軸方向に沿って、外周面16aから径方向外側に向かって延ばされた1対の回動支軸17を備えている。
各回動支軸17の先端部は、外周面16aからそれぞれ同距離だけ離れた位置において外枠部15の孔部15bに回動可能に連結されている。
また、中間枠部材16は、中間枠部材16の中心軸と回動支軸17が整列された軸線とにそれぞれ直交する軸線(図示のx軸)を中心とする2つの孔部16bが、それぞれ径方向に貫通して設けられている。
【0056】
本変形例の先端側管部材4は、基端側の外周面4eの外径が、中間枠部材16の内径より小さい寸法とされている。
先端側管部材4は、先端側管部材中心軸Aに直交する1つの軸方向に沿って、外周面4eから径方向外側に向かって延ばされた1対の回動支軸18を備えている。
各回動支軸18の先端部は、外周面4eからそれぞれ同距離だけ離れた位置において中間枠部材16の孔部16bに回動可能に連結されている。
【0057】
このような構成の中間連結部3Bによれば、外枠部15は、基端側管部材2における先端側に設けられた支持部を構成し、回動支軸18が設けられた先端側管部材4の端部は、先端側管部材4における基端側に設けられた被駆動部を構成している。また、支持部が被駆動部の外側に配置可能な外枠部であり、被駆動部が支持部の内側に配置可能な内枠部である場合の例となっている。
そして、回動支軸17は、中間枠部材16の中心軸に直交する平面上に設けられた第1の回動軸を構成し、孔部15bは、中間枠部材16と外枠部15とを、第1の回動軸回りに回動可能に連結する外側回動部を構成している。
また、回動支軸18は、第1の回動軸と直交するように中間枠部材16の中心軸に直交する平面上に設けられた第2の回動軸を構成し、孔部16bは、中間枠部材16と内枠部である先端側管部材4の基端部とを、第2の回動軸回りに回動可能に連結する内側回動部を構成している。
【0058】
これにより、先端側管部材4は、図示x軸、y軸が交わる回動中心Oを傾動中心として基端側管部材中心軸Aに対して、上記第1の実施形態と同様、2軸方向に傾動できるようになっている(図4(a)の矢印X、Y参照)。
すなわち、先端側管部材4が、回動支軸18回りに中間枠部材16に対してどのように回動された状態であっても、中間枠部材16および中間枠部材16に連結された先端側管部材4を、回動支軸17と同軸のy軸回りに回動させることができる。
また、中間枠部材16が、外枠部15に対してy軸回りにどのように回動された状態であっても、先端側管部材4を回動支軸18回りに回動させることができる。
回動支軸17、18は、それぞれ回動中心Oで直交しているので、2軸方向の回動は互いに影響しないため、回動中心Oに直交するx軸方向、y軸方向に沿う方向、およびxy平面内で回動中心Oを通る任意の軸線方向に沿って傾動することができる。
このような中間枠部材16を介した継手構造は、ジンバル機構を用いた内部に貫通孔を有するジンバル継手になっている。ジンバル継手は、2軸方向に回動する1関節を構成している。
【0059】
また、本変形例では、先端側管部材4の基端側の挿通路4aは、どのような傾動位置でも中間枠部材16および外枠部15の内側に配置されている。このため、挿通路4aは、貫通孔15aを介して挿通路2aと連通している。
【0060】
本変形例の外套管1Bによれば、中間連結部3Bが、中間連結部3と同様に、回動中心Oを中心として2軸方向に傾動可能に連結する継手構造となっているので、上記第1の実施形態の外套管1と同様の作用を備える。
【0061】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る外套管について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る外套管の構成および使用時の様子を示す模式的な斜視図である。図6は、本発明の第2の実施形態に係る外套管の中間連結部の構成を示す模式的な分解斜視図である。なお、図6では、見易さのため、回動中心Oを原点として描かれるべきxyz軸の位置をずらして描いている(以下、図7も同じ)。
【0062】
本実施形態の外套管90は、図5、6に示すように、先端側を体腔103内に挿入して、基端側から医療用鉗子5を体腔103内に導入する挿通路を確保するものであって、先端側から基端側に向かって、先端側管部材4、中間連結部50、および基端側管部材2を備え、さらに駆動部51を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0063】
中間連結部50は、上記第1の実施形態の第2変形例の外套管1Bの中間連結部3Bと同様に、外枠部15および中間枠部材16を備えている。ただし、上記第1の実施形態の第2変形例の外套管1Bの回動支軸18が、先端側管部材4の基端側の外周面4eに直接取り付けられていたのに対して、先端側管部材4の基端側に円環状の接続管部4fを設け、この接続管部4fに内部に接続孔19aが貫通された円環状の内枠部19を外嵌させて固定し、この内枠部19の外周面19bに1対の回動支軸18を設けている。
内枠部19の外周面19bは、上記第1の実施形態の第2変形例の先端側管部材4の外周面4eと同じ外径を有する円筒面からなる。
内枠部19に設けられた各回動支軸18は、外周面19bからそれぞれ同距離だけ離れた位置において中間枠部材16の孔部16bに回動可能に連結されている。また、中間枠部材16は、中間連結部3Bと同様に、外枠部15に対して回動支軸17を介して、回動可能に連結されている。
ただし、中間連結部50では、中間連結部3Bと異なり、回動支軸17の1つ、および回動支軸18の1つには、外周面16aと貫通孔15aの内周面との間、および外周面19bと貫通孔16cの内周面との間に配置されたプーリー20、21がそれぞれ固定されている。
このため、プーリー20、21が、それぞれ回動支軸17、18回りに回動されると、回動支軸17、18が固定された中間枠部材16、内枠部19が、それぞれ回動支軸17、18回りの駆動力を受けて回動されるようになっている。
【0064】
このような構成の中間連結部50によれば、回動支軸18が設けられた内枠部19は先端側管部材4における基端側に設けられた被駆動部を構成している。このため、中間連結部3Bと同様にして、第1の回動軸、外側回動部、第2の回動軸、および内側回動部が構成され、内部に貫通孔を有するジンバル継手からなる継手構造が形成されている。
したがって、特に図示しないが、先端側管部材4は、中間連結部3Bと同様の回動中心Oを傾動中心として基端側管部材中心軸Aに対して、2軸方向に傾動できるようになっている。
さらに、本実施形態の中間連結部50のプーリー20、21は、支持部に対して、被駆動部を傾動させる駆動機構を構成している。
【0065】
プーリー20、21には、図6に示すように、プーリー20、21を回動させるためそれぞれ無端環状の同じワイヤー外径を有するワイヤー22、23が巻き掛けられている。
ワイヤー22、23の材質としては、金属でも樹脂でもそれらの複合体でもよい。また、単線であっても撚り線であってもよい。
プーリー20に巻き掛けられたワイヤー22は、それぞれ外周面16aと貫通孔15aの内周面との隙間を通って、基端側管部材2の挿通路2aに導かれ、挿通路2aからは、ワイヤー22の外径と略同じ内径を有し、ワイヤー22を内部に摺動可能に保持するとともに、ワイヤー22の進退によって軸方向の長さが変化することのない可撓性を有する管状部材24に挿通されて配回され、図5に示すように、基端側管部材2の基端側に延出されている。
管状部材24の構成、材質としては、例えば、金属線を密に巻いたコイルパイプや、超弾性合金製のパイプや、合成樹脂製のチューブ部材などが好適であり、いずれの材質、構成を作用してもよい。
【0066】
また、プーリー21に巻き掛けられたワイヤー23は、それぞれ外周面19bと貫通孔16cの内周面との隙間を通って、基端側管部材2の挿通路2aに導かれ、挿通路2aからは、ワイヤー22と同様に、管状部材24に挿通されて配回され、基端側管部材2の基端側に延出されている。
管状部材24に挿通されたワイヤー22、23は、基端側管部材2の外部では、例えば、合成樹脂やゴムなどの軟性チューブからなる可撓管25にまとめて挿通され、基端側管部材2の外部の駆動部51に導かれている。
【0067】
駆動部51は、図5に示すように、駆動系基台26、および駆動制御部32を備える。
駆動系基台26は、複数の脚部26cによって略水平に支持された支持板26aを備える。
支持板26aの上面には、管状部材24の端部を固定して、ワイヤー22、23を水平方向に挿通させる2つの管状部材固定板26bが設けられている。
支持板26aの下面側には、ワイヤー22、23を進退させるため、例えば、ステッピングモータ,サーボモータなどからなるモーター27、29が、それぞれの回転軸27a、29aを支持板26aの上面側に略鉛直方向に向けて突き出した状態で固定されている。
回転軸27a、29aには、それぞれ駆動プーリー28、30が固定され、管状部材固定板26bを挿通されたワイヤー22、23がそれぞれ巻き掛けられている。
モーター27、29の電源線および信号線は、支持板26aの端部でケーブル31にまとめられ、モーター27、29の回転動作を制御する駆動制御部32に電気的に接続されている。
【0068】
駆動制御部32は、例えば、CPU、メモリ、入出力インターフェース、外部記憶装置などを備えるコンピュータからなり、本実施形態では、先端側管部材4の傾動量および傾動方向を入力するための操作用デバイスとして、ジョイスティック33aを有する操作部33が接続されている。
ジョイスティック33aは、操作によって倒された方向によって、先端側管部材4の傾動方向を入力し、倒された量によって、傾動量を入力できるようになっている。
駆動制御部32は適宜の制御プログラムを実行することによって、ジョイスティック33aの操作によって発生する操作部33の操作入力を解析して、先端側管部材4の傾動方向および傾動量を算出し、これに応じてモーター27、29の回転量を演算して、これらの回転量に応じた制御信号を生成し、ケーブル31を介してモーター27、29に送出することができるようになっている。
【0069】
このような構成により、管状部材24に挿通されたワイヤー22、23は、プーリー20、21に接続され、基端側管部材2の外部から遠隔操作して駆動力を伝達する駆動力伝達部を構成している。
【0070】
次に、本実施形態の外套管90の動作について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る外套管の平面視(図6のD視)の模式的な動作説明図である。
【0071】
ジョイスティック33aを操作すると、駆動制御部32によって、ジョイスティック33aの倒された方向および倒された量に応じて、先端側管部材4の傾動方向および傾動量が算出され、これに応じてモーター27、29の回転量に応じた制御信号が、モーター27、29に送出される。
例えば、図7に示すように、先端側管部材4を回動支軸17回りに傾動させる場合、図5に示すように、モーター27のみが回転される。これにより、駆動プーリー28は、例えば、支持板26aの上面側から見て図示時計回りに回転され、この駆動プーリー28の回転による駆動力が、管状部材24内を進退するワイヤー22を介してプーリー20に伝達される。このため、図7に示すように、プーリー20が図7の図示時計回りに回転し、プーリー20に固定された回動支軸17および中間枠部材16が同方向に回転される。
この結果、中間枠部材16に連結された内枠部19も図7の図示時計回りに回転され、内枠部19に接続された接続管部4fを介して先端側管部材4がy軸に沿う方向に傾動される。
同様にして、モーター29を回転させると、駆動プーリー30の回転による駆動力が、管状部材24内を進退するワイヤー23を介してプーリー21に伝達される。このため、プーリー21に固定された回動支軸18および内枠部19が回転され、内枠部19に接続された接続管部4fを介して先端側管部材4が先端側管部材中心軸Aに直交する平面内で、y軸に直交する方向に傾動される。
回動支軸17、18は、それぞれ回動中心Oで直交しているので、2軸方向の回動は互いに影響しないため、回動中心Oに直交するx軸方向、y軸方向に沿う方向、およびxy平面内で回動中心Oを通る任意の軸線方向に沿って傾動することができる。
【0072】
このように本実施形態によれば、中間連結部50が、駆動機構として、駆動対象である中間枠部材16(継手構造における可動な部材)、内枠部19(被駆動部)に固定されるとともに、傾動の中心軸である基端側管部材中心軸Aに直交する軸(回動支軸17、18)上に回動可能に支持されたプーリー20、21を備え、駆動力伝達部として、プーリー20、21に巻き掛けられたワイヤー22、23を備えるため、ワイヤー22、23を進退させて、プーリー20、21を回転させることで、基端側管部材2の外部から先端側管部材4の傾動を遠隔操作することができる。
さらに、外套管90は、ワイヤー22、23に駆動力を供給する駆動力供給部であるモーター27、29を基端側管部材2の外部に備えるため、ワイヤー22、23を手動で操作する場合に比べて、円滑に傾動動作を行うことができる。
【0073】
また、上記第1の実施形態と同様に、中間連結部50は、継手構造を有することで回動中心Oを中心にして、1関節で傾動動作を行うことができるため、例えば、複数の節輪を回動可能に連結した多関節の湾曲機構によって同じ傾動角を得る場合に比べて、軸方向の長さを短縮することができ、外套管90の長さの短縮を図ることができる。
また、上記第1の実施形態と同様に、先端側管部材4を、基端側管部材2に対して回動中心Oを中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、先端側管部材4および基端側管部材2の各挿通路4a、2aを連絡させる中間連結部50を設けたため、体表102から浅い位置にある被処置部104aに対しても、簡単な操作で作業スペースSを広く確保することができる。
【0074】
[第3変形例]
次に、本実施形態の変形例(第3変形例)について説明する。
図8(a)は、本発明の第2の実施形態の変形例(第3変形例)に係る中間連結部の構成を示す模式的な部分断面図である。図8(b)は、本発明の第2の実施形態の変形例(第3変形例)に係る中間連結部の傾動時の様子を示す模式的な部分断面図である。図9は、本発明の第2の実施形態の変形例(第3変形例)の駆動部の構成を示す模式的な平面図である。
【0075】
本変形例は、上記第2の実施形態の外套管90の中間連結部50、駆動部51に代えて、中間連結部50A、駆動部51Aを備える。
中間連結部50Aは、駆動機構として、リンク機構を採用したもので、図8(a)に示すように、内枠部19を駆動対象とする上記第2の実施形態の中間連結部50のプーリー21、ワイヤー23に代えて、リンク部材35、駆動ロッド36を備える。同様に、中間枠部材16を駆動対象とする中間連結部50のプーリー20、ワイヤー22に代えて、リンク部材35と同様のリンク部材(不図示)、駆動ロッド36と長さが異なるのみの駆動ロッド43(図9参照)を備えているが、これらは駆動対象が異なるだけで構造等は、容易に理解されるため説明を省略する。
【0076】
リンク部材35は、駆動対象である内枠部19に、回動支軸18回りの力のモーメントを伝達する棒状部材であり、一端側が、内枠部19の外周において回動支軸18と平行に設けられた回転支点38を介して、内枠部19に回動可能に連結されている。
リンク部材35の他端側には、回動支軸18と平行な回転支点39を介して、駆動ロッド36の先端側に回動可能に連結されている。
駆動ロッド36は、貫通孔16cの内周面の近傍に軸方向に沿って進退可能に配置された棒状部材であり、進退時に座屈しないように管状部材37の内部に挿通して基端側管部材2の挿通路2aに導かれている。
駆動ロッド36の材質は、可撓性を有する金属や合成樹脂などの材質を採用することができる。
【0077】
管状部材37は、駆動ロッド36の外径と略同じ内径を有し、駆動ロッド36を内部に摺動可能に保持するとともに、駆動ロッド36の進退によって軸方向の長さが変化することのない可撓性を有する部材であり、上記第1の実施形態の管状部材24と同様の構成、材質を採用することができる。
駆動ロッド36は、挿通路2a内で、管状部材37に挿通されて配回され、外套管90における管状部材24と同様、中間枠部材16を駆動対象とする駆動ロッド43が挿通された他の管状部材37とまとめられて可撓管25に挿通され、基端側管部材2の外部の駆動部51Aに導かれている。
【0078】
駆動部51Aは、図9に示すように、上記第2の実施形態の駆動部51の管状部材固定板26b、駆動プーリー28、29に代えて、それぞれ1対の管状部材固定板26d、ピニオンギヤ40、および駆動部材41を備える。
管状部材固定板26dは、駆動ロッド36(43)が挿通された管状部材37の他端部が固定された固定部材42を支持板26aに固定する部材であり、固定部材42を外周側から保持した状態で支持板26aに固定されている。
固定部材42は、図9に示すように、内部に、管状部材37の他端を挿入して、例えば、接着や半田付けなどによって固定する管状部材取付穴42aと、管状部材取付穴42aの内径より小径の内径を有し管状部材取付穴42aの底部から軸方向に貫通する駆動ロッドガイド孔42bとを備える筒状部材である。
【0079】
ピニオンギヤ40は、駆動ロッド36(43)に駆動力を供給するもので、支持板26aに固定されたモーター29(27)の回転軸29a(27a)にそれぞれ固定されている。
【0080】
駆動部材41は、ピニオンギヤ40の回転運動を直線運動に変換して、駆動ロッド36(43)に伝達するもので、先端が駆動ロッド36(43)の他端側に接続されるとともに駆動ロッドガイド孔42bの内部に挿入された駆動軸41cと、駆動軸41cの後端に接続された平面視L字状の駆動ブロック41aとからなる。駆動軸41cの外径は、駆動ロッドガイド孔42bの内径よりもわずかに小径とされ、駆動ロッドガイド孔42bの内部で軸方向に進退できるようになっている。
また、駆動ブロック41aのうち、駆動軸41cと平行に延ばされた部位には、ピニオンギヤ40と噛み合ってピニオンギヤ40の回転運動を直線運動に変換するラック41bが設けられている。
【0081】
本変形例の駆動部51Aによれば、駆動部51と同様に、操作部33を操作すると、操作量に応じて、モーター27、29が回転され、回転軸27a、29aに固定されたピニオンギヤ40によってラック41bが直動駆動される。
このため、駆動部材41の駆動軸41cが、駆動ロッドガイド孔42b内で軸方向に進退され、駆動軸41cに固定された駆動ロッド36、43が、軸方向に進退される。
例えば、駆動ロッド36が軸方向の先端側に進出された場合、図8(b)に示すように、駆動ロッド36の先端が中間枠部材16の先端側に移動し、リンク部材35を介して連結された内枠部19に、回動支軸18回りの力のモーメントが作用する。このため、内枠部19および内枠部19に接続された接続管部4fが、図示反時計回り方向に回動支軸18回りに回動される。この結果、先端側管部材4が基端側管部材中心軸Aに対して、図示反時計回りに傾動される。
同様にして、モーター27を回転させることによって、中間枠部材16を回動支軸17回りに回動させて、中間枠部材16に内枠部19を介して連結された先端側管部材4を、回動支軸17回りに傾動させることができる。
【0082】
このように、本変形例は、駆動機構としてリンク機構と、棒状部材である駆動ロッド36、43を用いても、プーリーとワイヤーとを用いた場合と同様に、先端側管部材4を傾動させることができる例となっている。
本変形例の場合、駆動力伝達部は、駆動ロッド36、43によって構成されるので、ワイヤー22、23を採用する場合のように、プーリー20、21に掛け回したり、張力を調整したりするといった作業が不要となり、組立やメンテナンスがより容易となる。
【0083】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る外套管について説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態に係る外套管の主要部の構成を示す模式的な斜視図である。図11(a)は、図10におけるE視の部分断面図である。図11(b)は、図10におけるF視の部分断面図である。図11(c)は、図11(b)におけるH−H断面図である。図12は、図10におけるG−G断面図である。
【0084】
本実施形態の外套管91は、図10に示すように、上記第2の実施形態の外套管90の中間連結部50、駆動部51に代えて、中間連結部52、駆動部51A(図9参照)を備え、先端側管部材4が上記第2の実施形態の外套管90と同様に、基端側管部材2の基端側管部材中心軸Aに対して、基端側管部材中心軸A上の回動中心Oを中心として2軸方向に傾動できるようにしたものである。以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0085】
中間連結部52は、図11(a)、(b)、(c)、図12に示すように、雌型連結部46、雄型連結部47、管状部45、第1移動規制部材48(移動規制部材)、ピニオンギヤ62(駆動機構)、第2移動規制部材49(移動規制部材)、およびピニオンギヤ63(駆動機構)を備える。
以下では、簡単のため、特に断らない限り、先端側管部材4の先端側管部材中心軸Aが基端側管部材中心軸Aに整列している場合、すなわち傾動していない状態での位置関係について説明する。また、回動中心Oを原点として、基端側管部材中心軸Aに整列されたz軸(z軸の負方向は、基端側管部材2の基端側とする)と、直交するx軸、y軸とからなるxyz座標系を用いている相対的な位置関係を説明する場合がある。
【0086】
雌型連結部46は、先端側管部材4の基端面4dに接続された管状部46a(被駆動部)と、管状部46aの基端側に接続された部分球殻状の雌継手部46bとを備える。
管状部46aの内部には、先端側管部材4の基端側の挿通路4aと同径の内径を有する貫通孔46dが形成されている。
また、管状部46aの外形は、本実施形態では先端側管部材中心軸Aを中心軸とする四角柱状とされ、x軸方向、y軸方向の幅がそれぞれW、Wとされている。
【0087】
雌継手部46bの内側には、貫通孔46dの内径よりも大きい内径を有する部分球面である凹係合面46cが設けられている。
また、雌継手部46bの基端側には、先端側管部材中心軸Aを中心として、貫通孔46dの内径よりも大きな円孔状の開口部46eが形成されている。
【0088】
雄型連結部47は、基端側管部材2の挿通路2aと連通する貫通孔47dを中心部に有する管状部47a(支持部)と、管状部47aの先端側に接続された部分球殻状の雄継手部47bとを備える。
なお、図10に示すように、管状部47aは、その中心軸が基端側管部材2の基端側管部材中心軸Aと一致するように配置され、貫通孔47dの内周面が基端側管部材2の挿通路2aの内周面と整列する状態で、基端側管部材2と接続されている。
雄継手部47bの外周面は、図11(c)に示すように、雌型連結部46の凹係合面46cに摺動可能に内嵌する部分球面である凸係合面47cが設けられ、凸係合面47cの中心が回動中心Oと一致するように配置されている。
また、雄継手部47bの内部には、基端側で管状部47aの貫通孔47dと連通する球面状の空孔部47fが形成されている。
また、雄継手部47bの先端側には、基端側管部材中心軸Aを中心とし、貫通孔46dの内径よりも大きい内径を有する円孔状の開口部47eが形成されている。
【0089】
このような構成により、雌型連結部46の雌継手部46bの内部には、図11(c)に示すように、雄型連結部47の雄継手部47bが内嵌されている。これにより、雌型連結部46と雄型連結部47とは、それぞれ凹係合面46cおよび凸係合面47cで互いに摺動可能に係合されている。
このため、雄型連結部47は、凹係合面46cおよび凸係合面47cの共通の曲率中心である回動中心Oを中心として、管状部47aの外形と開口部46eの内縁部とが接する範囲の間で、自由に回動できるようになっている。
これにより、雌型連結部46に接続された先端側管部材4は、回動中心Oを傾動中心として基端側管部材中心軸Aに対して、傾動できるように連結されている。
このように、雌型連結部46および雄型連結部47は、上記第1の実施形態の中間連結部3の雌型連結部6および雄型連結部7と同様に2軸方向に傾動可能なボール継手であり、支持部が雄継手部47bに接続され、被駆動部が雌継手部46bに接続された場合の例になっている。
雌型連結部46、雄型連結部47の材質は、雌型連結部6、雄型連結部7と同様の材質を採用することができる。
【0090】
また、雄型連結部47の内部の空孔部47fおよび貫通孔47dは、それぞれ挿通路2aに連通されている。また、開口部47eは、雄型連結部47がどのような回動状態であっても雌型連結部46の貫通孔46dに向けて開口されている。このため、挿通路4aは、貫通孔46d、空孔部47f、および貫通孔47dを介して挿通路2aと連通されており、これにより外套管91の内部に軸方向に貫通する挿通路が形成されている。
【0091】
管状部45は、基端側管部材2の段状部2cから先端側に、基端側管部材中心軸Aと同軸に設けられ、内部に貫通孔45aが貫通された円環状の突起部である。
貫通孔45aの内径は、図12に示すように、後述する第1移動規制部材48の外径より大きな径に設定される。
管状部45の側面には、雌型連結部46および雄型連結部47の回動中心Oを通り基端側管部材中心軸Aに直交する面内で、x軸方向(図12の水平方向)、y軸方向(図12の鉛直方向)に沿って、厚さ方向に貫通する4つの孔部45bが設けられている。本実施形態では、x軸、y軸は、それぞれ、段状部2cの矩形状の外形の長辺、短辺にそれぞれ略沿う方向に配置されている。
【0092】
第1移動規制部材48は、雌型連結部46および雄型連結部47の傾動中心である回動中心Oからz軸正方向に離間された位置で管状部46aの側部のx軸方向の位置を規制する部材である。
本実施形態では、図11(a)、(b)、(c)、図12に示すように、側面視(F視)形状がU字状でx軸方向に離間して配置され、y軸方向の中心面に対して面対称の形状に設けられたU字状アーム部48c、48dと、U字状アーム部48c、48dの基端側でU字の開口部同士をそれぞれx軸方向に接続する板状の梁部48a、48bと、梁部48a、48bの長手方向(x軸方向)の中間部においてそれぞれy軸正方向側(図12の図示上側)、y軸負方向側(図12の図示下側)に向かって立設された、y軸と同軸の1対の回動支軸60とを備える枠体状部材からなる。
【0093】
U字状アーム部48c、48dのU字状の湾曲部分は、図11(a)、(c)に示すように、それぞれU字状の直線部分に比べてx軸方向に厚肉とされ、それぞれの内側には保持面部48e、48fが形成されている。保持面部48e、48fの間のx軸方向の距離は、管状部46aのx軸方向の幅Wと略同じ大きさとされ管状部46aを摺動可能に挟持できるようになっている。
本実施形態では、第1移動規制部材48は、管状部46aの姿勢を規制する必要はなく、管状部46aのx軸方向に沿う位置を規制できればよいため、保持面部48f、48eの管状部46aに対する接触幅は狭くてもよい。例えば、対向方向に凸の円弧断面を有する形状など、管状部46aに線接触する形状でもよい。
【0094】
各回動支軸60は、管状部45のy軸方向に対向する1対の孔部45bに回動可能に連結されている。このとき、保持面部48e、48fは、基端側管部材中心軸Aおよびy軸を含む平面に関して面対称の位置関係に配置されている。
【0095】
ピニオンギヤ62は、第1移動規制部材48を駆動するための駆動機構であり、梁部48a上の回動支軸60の根元側に固定されている。
ピニオンギヤ62の側方には、ピニオンギヤ62と係合するラック部64aが設けられた駆動ロッド64が配置され、z軸方向に沿って進退可能に設けられている。
駆動ロッド64は、基端側管部材2の外部から遠隔操作して、ピニオンギヤ62に駆動力を伝達する駆動力伝達部を構成する部材であり、上記第2の実施形態の変形例(第3変形例)の駆動ロッド36と同様に、管状部材37に挿通されて基端側管部材2の内部に配回され、図10に示すように、基端側管部材2の基端側から外部に延出されている。
【0096】
第2移動規制部材49は、回動中心Oからz軸正方向に離間された位置で管状部46aの側部のy軸方向の位置を規制する部材である。
本実施形態では、図11(a)、(b)、(c)、図12に示すように、平面視(E視)の外形が先端側(z軸正方向側)で丸められた板状部材がy軸方向に離間して配置され、x軸方向の中心面に対して面対称の形状に設けられた丸先アーム部49c、49dと、丸先アーム部49c、49dの基端部をそれぞれy軸方向に接続する板状の梁部49a、49bと、梁部49a、49bの長手方向(y軸方向)の中間部においてそれぞれx軸正方向側(図12の図示右側)、x軸負方向側(図12の図示左側)に向かって立設された、x軸と同軸の1対の回動支軸61とを備える枠体状部材からなる。
また、第2移動規制部材49の外形寸法は、丸先アーム部49c、49dのx軸方向の各外形幅が、第1移動規制部材48のU字状アーム部48c、48dの内側の幅よりも小さく、丸先アーム部49c、49dのy軸方向の外幅寸法が、第1移動規制部材48のU字状アーム部48c、48dのx軸方向の対向間隔よりも小さく、さらに、丸先アーム部49c、49dの先端部は、第2移動規制部材49の回動時に、第1移動規制部材48のU字状アーム部48c、48dの内側と干渉しない大きさとされている。
これにより、第2移動規制部材49の可動領域は、第1移動規制部材48の可動領域の内部側に配置されている。ここで、可動領域とは、第1移動規制部材48、第2移動規制部材49の回動時にそれぞれが掃く空間領域の全体を意味する。
【0097】
丸先アーム部49c、49dの先端側は、図11(b)に示すように、丸められた外縁部に沿う円弧状の厚肉部が形成され、それぞれの内側には保持面部49e、49fが形成されている。保持面部49e、49fの間のy軸方向の距離は、管状部46aのy軸方向の幅Wと略同じ大きさとされ管状部46aを摺動可能に挟持できるようになっている。
本実施形態では、第2移動規制部材49は、管状部46aの姿勢を規制する必要はなく、管状部46aのy軸方向に沿う位置を規制できればよいため、保持面部49f、49eの管状部46aに対する接触幅は狭くてもよい。例えば、対向方向に凸の円弧断面を有する形状など、管状部46aに線接触する形状でもよい。
【0098】
各回動支軸61は、管状部45のx軸方向に対向する1対の孔部45bに回動可能に連結されている。このとき、保持面部49e、49fは、基端側管部材中心軸Aおよびx軸を含む平面に関して面対称の位置関係に配置されている。
【0099】
ピニオンギヤ63は、第2移動規制部材49を駆動するための駆動機構であり、梁部49a上の回動支軸61の根元側に固定されている。
ピニオンギヤ63の側方には、ピニオンギヤ63と係合するラック部65aが設けられた駆動ロッド65が配置され、z軸方向に沿って進退可能に設けられている。
駆動ロッド65は、基端側管部材2の外部から遠隔操作してピニオンギヤ63に駆動力を伝達する駆動力伝達部を構成する部材であり、駆動ロッド64と同様に構成され、管状部材37に挿通されて基端側管部材2の内部に配回され、図10に示すように、基端側管部材2の基端側から外部に延出されている。
【0100】
駆動ロッド64、65が挿通された管状部材37は、図9に示すように、上記第2の実施形態の変形例(第3変形例)の駆動部51Aに接続されている。
その際、駆動ロッド64、65は、駆動部51Aの駆動部材41に連結され、それぞれモーター27、29によって各管状部材37内で進退駆動されるようになっている。
【0101】
次に、本実施形態の外套管91の動作について、上記第2の実施形態およびその変形例と異なる点を中心に説明する。
本実施形態によれば、操作部33を操作すると、操作量に応じて、駆動部51Aによって、上記第2の実施形態の変形例と同様にして、モーター27、29が回転され、各駆動軸41cに固定された駆動ロッド64、65が、モーター27、29の回転量に応じて軸方向に進退される。
例えば、駆動ロッド64が軸方向の先端側に進出された場合、駆動ロッド64のラック部64aが、z軸正方向に移動し、ピニオンギヤ62が、図11(a)の図示反時計回りに回転されることで、ピニオンギヤ62が固定された回動支軸60が回転駆動され、第1移動規制部材48が、回動支軸60を中心として図示反時計回りに回動される。この結果、回動支軸60から離間した位置で保持面部48e、48fで挟持された管状部46aが基端側管部材中心軸Aに対して、回動中心Oを中心としてy軸回りに傾動される。このため、管状部46aに接続された先端側管部材4も同様に傾動される。このとき、管状部46aの側部のx軸方向の位置は、第2移動規制部材49の保持面部49e、49fによって位置規制されている。
また、第1移動規制部材48が移動しても、第2移動規制部材49は、第1移動規制部材48の可動領域の内部側に収まっているため、第1移動規制部材48と干渉することはない。
駆動ロッド64が軸方向の基端側に後退された場合は、これと逆方向の傾動動作が行われる。
【0102】
同様にして、例えば、駆動ロッド65が軸方向の先端側に進出された場合、駆動ロッド65のラック部65aが、z軸正方向に移動し、ピニオンギヤ63が、図11(b)の図示反時計回りに回転されることで、ピニオンギヤ63が固定された回動支軸61が回転駆動され、第2移動規制部材49が、回動支軸61を中心として図示反時計回りに回動される。この結果、回動支軸61から離間した位置で保持面部49e、49fで挟持された管状部46aが基端側管部材中心軸Aに対して、回動中心Oを中心としてx軸回りに傾動される。このため、管状部46aに接続された先端側管部材4も同様に傾動される。このとき、管状部46aの側部のy軸方向の位置は、第1移動規制部材48の保持面部48e、48fによって位置規制されている。
また、第2移動規制部材49が移動しても、同様に、第2移動規制部材49が第1移動規制部材48と干渉することはない。
駆動ロッド65が軸方向の基端側に後退された場合は、これと逆方向の傾動動作が行われる。
【0103】
駆動ロッド64、65が同時に進退された場合には、それぞれの進退量に応じて、第1移動規制部材48、第2移動規制部材49の回動位置が一義的に決まるため、管状部46aは、それぞれ第1移動規制部材48で規制されるy軸方向の位置と、第2移動規制部材49で規制されるx軸方向の位置と、回動中心Oとを結ぶ方向に傾動される。
【0104】
このように、本実施形態の外套管91は、本変形例は、基端側管部材2に対して回動可能に連結され、継手構造の傾動中心から離間された位置で被駆動部である管状部46aの側部の位置を規制する第1移動規制部材48、第2移動規制部材49と、これら第1移動規制部材48、第2移動規制部材49を駆動することにより、支持部である基端側管部材2に連結された管状部47aに対して管状部46aを傾動させるピニオンギヤ62、63を駆動機構として備えることで、上記第2の実施形態と同様の回動中心Oを中心とする2軸方向に傾動動作を行うことができる。
ここで、第1移動規制部材48の保持面部48e、48f(第2移動規制部材49の保持面部49e、49f)は、被駆動部の側部を第1移動規制部材48(第2移動規制部材49)の回動円の周方向に挟持するスリットを構成している。
したがって、上記第2の実施形態と同様に、中間連結部52は、例えば、複数の節輪を回動可能に連結した多関節の湾曲機構によって同じ傾動角を得る場合に比べて、軸方向の長さを短縮することができ、外套管91の長さの短縮を図ることができる。
また、中間連結部52を設けたため、体表から浅い位置にある被処置部に対しても、簡単な操作で作業スペースを広く確保することができる。
【0105】
[第4変形例]
次に、本実施形態の変形例(第4変形例)について説明する。
図13(a)は、本発明の第3の実施形態の変形例(第4変形例)に係る中間連結部の主要部の構成を示す模式的な断面図である。図13(b)は、本発明の第3の実施形態の変形例(第4変形例)に係る中間連結部の傾動時の様子を示す模式的な断面図である。
【0106】
本変形例は、上記第3の実施形態の外套管91の中間連結部52に代えて、中間連結部52Aを備える。
中間連結部52Aは、上記第3の実施形態の中間連結部52の移動規制部材、駆動機構の変形例であり、図13(a)に示すように、第1移動規制部材48、第2移動規制部材49、回動支軸60、61、およびピニオンギヤ62、63を削除し、管状部45、駆動ロッド64(65)に代えて、それぞれ管状部45A、駆動ロッド64Aを備え、さらに、弾性部材67を追加したものである。以下、上記第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0107】
管状部45Aは、管状部45の孔部45bを削除した円筒部材の先端側に、径方向内側かつ先端側に向かってわずかに傾斜して移動案内部45cと、移動案内部45cの内縁部から基端側管部材中心軸Aに沿って先端側に延ばされた先端円環部45eとを備える全体として先端側に縮径する管状部である。
雌型連結部46および雄型連結部47の回動中心Oは、管状部45Aの内部の先端側管部材中心軸A上に配置されている。
また、先端円環部45eは、管状部45Aより小径で貫通孔46dの外形よりも大きく、内部に雌型連結部46の管状部46aが挿通した状態で、上記第3の実施形態と同様に雌型連結部46を傾動させることができる程度の大きさの先端開口45fを有している。
また、移動案内部45cの内周面には、基端側管部材中心軸Aを中心軸として、軸方向先端側に縮径する円錐面状の移動案内面45dが形成されている。
【0108】
駆動ロッド64Aは、上記第3の実施形態の駆動ロッド64(65)のラック部64a(65a)に代えて、側部押圧部66を備えるもので、駆動ロッド64、65に対応してそれぞれ2つ設けられており、駆動ロッド64、65と同様に管状部材37に挿通され、基端側の端部が駆動部51Aに接続されている(図9参照)。
2つの駆動ロッド64Aは、2軸方向に沿う傾動を行うため、x軸、y軸に沿って同様に配置されている。
【0109】
側部押圧部66は、駆動ロッド64Aの先端部において、基端側管部材中心軸Aに向かって2段階に屈曲された屈曲部であり、移動案内面45dと同様な傾斜角で傾斜して屈曲され、移動案内面45dと摺動可能に当接するスライド面66bと、スライド面66bの先端部から、x軸またはy軸に沿って延ばされ、延出方向の先端において管状部46aの側部と当接する押圧面66aとを備える。
【0110】
弾性部材67は、各押圧面66aが当接された管状部46aの側部の反対側の側部を、移動案内部45c側から弾性力を付勢する部材であり、例えば、圧縮コイルばね、板ばねなどの適宜のばね部材や、ゴムを棒状、蛇腹状などの適宜形状に加工した弾性部材などを採用することができる。
【0111】
このような構成により、駆動ロッド64Aが、一定の位置に進出された状態では、側部押圧部66は、スライド面66bが移動案内面45dに密着して当接することで、位置決めされ、押圧面66aが基端側管部材中心軸Aから一定距離離れた位置に配置される。
一方、この押圧面66aの対向する側では、弾性部材67に付勢された管状部46aが、押圧面66a側に押圧されるため、管状部46aの側部の位置が、押圧面66aによって位置決めされる。
例えば、図13(a)では、基端側管部材中心軸Aと先端側管部材中心軸Aとが整列する位置関係に管状部46aが位置決めされている。
【0112】
本変形例による中間連結部52Aの動作について説明する。
上記第3の実施形態と同様に操作部33を駆動して、駆動ロッド64Aを進退させると、側部押圧部66のスライド面66bは、移動案内面45dに沿って移動されるため、駆動ロッド64Aの軸方向の移動量に応じて、押圧面66aと基端側管部材中心軸Aとの間の距離が変化される。
例えば、図13(b)に示すように、図13(a)の状態から、駆動ロッド64Aを先端側に進出させると、側部押圧部66は、移動案内面45dに沿って先端側に結果、押圧面66aと基端側管部材中心軸Aとの間の距離が狭まるため、管状部46aが、より基端側管部材中心軸A側(図示下方側)に押圧される。この結果、管状部46aは、回動中心Oを中心に回動し、図示反時計回りに傾動される。
同様に、駆動ロッド64Aを後退させると、押圧面66aと基端側管部材中心軸Aとの距離が増大し、弾性部材67に付勢された管状部46aは、その側部が押圧面66aと当接した状態を保って、押圧面66aとともに移動される。このため、管状部46aは、回動中心Oを中心に回動し、図示時計回りに傾動される。
図示しないもう一方の駆動ロッド64Aによる動作も同様であり、これにより、上記第3の実施形態と同様に、先端側管部材4を2軸方向に傾動させることができる。
【0113】
このように、本変形例の側部押圧部66は、被駆動部の側面に当接されるとともに、基端側管部材2の軸方向に沿って進退可能に設けられており、移動案内面45dを有する移動案内部45cは、側部押圧部66の軸方向の位置に応じて、側部押圧部66の軸方向に直交する方向における位置を変化させるものである。
このため、側部押圧部66および移動案内部45cは、基端側管部材2に設けられ、継手構造の傾動中心から離間された位置で被駆動部の側部の位置を規制する移動規制部材を構成している。
また、このうち、側部押圧部66は、駆動ロッド64、65と同様に駆動力伝達部を構成する駆動ロッド64Aに一体に設けられている。
【0114】
本変形例によれば、移動規制部材として、先端側管部材4に固定された移動案内部45cと駆動ロッド64Aに一体化された側部押圧部66とを用いるため、上記第3の実施形態のように、第1移動規制部材48や第2移動規制部材49などを用いる場合に比べて簡素な構成とすることができ、省スペースな構成とすることができる。
【0115】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る外套管について説明する。
図14は、本発明の第4の実施形態に係る外套管の主要部の構成を示す模式的な斜視図である。図15(a)は、本発明の第4の実施形態に係る外套管の中間管部材の構成を示す模式的な斜視図である。図15(b)は、図15(a)におけるK−K断面図である。図16は、図14におけるJ−J断面図である。図17は、本発明の第4の実施形態に係る駆動部の構成を示す模式的な平面図である。なお、図14では、見易さのため、回動中心Oを原点として描かれるべきxyz軸の位置をずらして描いている。また、図15(a)、(b)では、見易さのため、中間管部材以外の部材を適宜省略している。
【0116】
本実施形態の外套管92は、図14〜17に示すように、上記第2の実施形態の外套管90の中間連結部50、駆動部51に代えて、中間連結部53、駆動部51Bを備え、先端側管部材4が、上記第2の実施形態の外套管90と同様に、基端側管部材2の基端側管部材中心軸Aに対して、基端側管部材中心軸A上の回動中心Oを中心として2軸方向に傾動できるようにしたものである。以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0117】
中間連結部53は、管状部46a、可撓管70、回動支持部73、第1保持部材71、第2保持部材72、および回転伝達シャフト74、75(駆動機構、駆動力伝達部)を備える。
【0118】
管状部46aは、上記第3の実施形態と同様の構成からなり中間連結部53の被駆動部を構成するものである。
管状部46aの先端側は、図15(a)、(b)に示すように、上記第3の実施形態と同様に先端側管部材4の基端面4dに接続されている。また、管状部46aの基端側は、可撓管70が接続されている。
可撓管70は、先端側管部材4および基端側管部材2の挿通路4a、2aを連通させるための可撓性の中間管部材であり、先端側が管状部46aの基端側に接続され、基端側が段状部2cに接続されている。可撓管70の内部には、貫通孔46dと同程度の大きさを有する挿通路70aが形成されており、これにより、挿通路4a、4aが連通されている。
可撓管70の構成としては、湾曲または屈曲されても挿通路70aが潰れない程度に可撓性を有する適宜の軟性チューブ、例えば、ゴムや合成樹脂製の軟性チューブを採用することができる。本実施形態では、蛇腹状に加工された合成樹脂チューブを採用している。
可撓管70の接続位置は、先端側では先端側管部材中心軸Aと略同軸とされ、基端側では基端側管部材中心軸Aと略同軸とされる。
ただし、可撓管70は、一定の湾曲中心や屈曲中心を有しない可撓性を備えるため、可撓管70で接続されたのみでは、先端側管部材中心軸Aおよび基端側管部材中心軸Aの位置関係は確定されない。
【0119】
回動支持部73は、中間連結部53の支持部を構成するもので、図16に示すように段状部2c上において、基端側管部材中心軸Aと同軸に設けられた四角柱状外形を有する管状部である。本実施形態では、回動支持部73の矩形状の外形の各辺が、段状部2cの外形をなす4辺にそれぞれ略平行となるように配置されている。
回動支持部73の軸方向の位置は、段状部2cから可撓管70を略覆う範囲に設けられている。
回動支持部73の側面には、基端側管部材中心軸Aに直交する平面上で、各側面および基端側管部材中心軸Aに直交する2軸の一方であるy軸(図16の鉛直軸)を中心として1対の貫通孔である孔部73bが設けられている。また、2軸の他方であるx軸(図16の水平軸))を中心として1対の貫通孔である孔部73cが設けられている。
【0120】
第1保持部材71は、図14、16に示すように、側面視(x軸方向視)の形状がU字状でx軸方向に離間して配置され、x軸方向の中心面に対して面対称の形状に設けられたU字状アーム部71c、71dと、U字状アーム部71c、71dの基端側でU字の開口部同士をそれぞれx軸方向に接続する板状の側板部71a、71bと、側板部71a、71bの長手方向(x軸方向)の中間部においてそれぞれy軸負方向側(図16の図示下側)、y軸正方向側(図16の図示上側)に向かって立設された、y軸と同軸の1対の回動支軸71gとを備える枠体状部材からなる。
ここで側板部71a、71bの位置関係は、側板部71aがy軸正方向側に配置されている。
【0121】
U字状アーム部71c、71dのU字状の湾曲部分において互いに対向する部分には、それぞれ互いに平行な平面からなる保持面部71e、71fが形成されている。保持面部71e、71fの間のx軸方向の距離は、管状部46aのx軸方向の幅Wと略同じ大きさとされ、管状部46aを、回動支軸71gの中心軸から離れた位置で、摺動可能に挟持できるようになっている。
保持面部71e、71fは、いずれの位置でも、管状部46aに面接触する大きさとされ、先端側管部材中心軸Aが保持面部71e、71fに対して平行を保つように、管状部46aを挟持することができるようになっている。
【0122】
各回動支軸71gは、回動支持部73の外周側から、各孔部73bに回動可能に嵌合されている。このため、第1保持部材71は、回動支軸71gと孔部73bとによって、回動支持部73に対して、y軸回りに回動可能に連結されている。
また、側板部71aのy軸正方向側の側面には、後述する回転伝達シャフト74の連結部74aを係合させるための回転伝達溝部71hが、回動支軸71gと同軸に設けられている。
回転伝達溝部71hの平面視形状は、連結部74aの形状に応じて適宜の形状とすることができるが、本実施形態では、一例として正六角形状としている。
【0123】
第2保持部材72は、平面視(y軸方向視)の形状がU字状でy軸方向に離間して配置され、y軸方向の中心面に対して面対称の形状に設けられたU字状アーム部72c、72dと、U字状アーム部72c、72dの基端部をそれぞれy軸方向に接続する板状の側板部72a、72bと、板状の側板部72a、72bの長手方向(y軸方向)の中間部においてそれぞれx軸負方向側(図16の図示左側)、x軸正方向側(図16の図示右側)に向かって立設された、x軸と同軸の1対の回動支軸72gとを備える枠体状部材からなる。
ここで側板部72a、72bの位置関係は、側板部72aがx軸正方向側に配置されている。
また、第2保持部材72の外形寸法は、U字状アーム部72c、72dのU字の内側に、第1保持部材71のU字状アーム部71c、71dが収まる大きさとされ、さらに、第1保持部材71がy軸回りに回動しても、U字状アーム部71c、71dが、U字状アーム部72c、72dの内側と干渉しない大きさとされている。
これにより、第1保持部材71の可動領域は、第2保持部材72の可動領域の内部側に配置されている。ここで、可動領域とは、第1保持部材71、第2保持部材72の回動時にそれぞれが掃く空間領域の全体を意味する。
【0124】
U字状アーム部72c、72dのU字状の湾曲部分において互いに対向する部分には、それぞれ互いに平行な平面からなる保持面部72e、72fが形成されている。保持面部72e、72fの間のy軸方向の距離は、管状部46aのy軸方向の幅Wと略同じ大きさとされ管状部46aを、回動支軸72gの中心軸から離れた位置で、摺動可能に挟持できるようになっている。
保持面部72e、72fの幅は、管状部46aに面接触する大きさとされ、先端側管部材中心軸Aが保持面部72e、72fに対して平行を保つように、管状部46aを挟持することができるようになっている。
【0125】
各回動支軸72gは、回動支持部73の外周側から各孔部73cに回動可能に嵌合されている。このため、第1保持部材71は、回動支軸72gと孔部73cとによって、回動支持部73に対してx軸回りに回動可能に連結されている。
このような構成により、第1保持部材71、第2保持部材72は、回動支持部73に対してそれぞれy軸回り、x軸回りに回動可能に連結されている。このため、x軸、y軸の交点である回動中心Oを通る2軸方向に回動可能とされている。
また、側板部72aのx軸正方向側の側面には、後述する回転伝達シャフト75の連結部75aを係合させるための回転伝達溝部72hが、回動支軸72gと同軸に設けられている。
回転伝達溝部72hの平面視形状は、連結部75aの形状に応じて適宜の形状とすることができるが、本実施形態では、一例として正六角形状としている。
【0126】
回転伝達シャフト74(75)は、第1保持部材71(第2保持部材72)を回動支軸71g(72g)回りに回動駆動するため、駆動力伝達部を兼ねた駆動機構である。
回転伝達シャフト74(75)の構成は、適宜の可撓性を有し、回転を伝達できるシャフト部材であれば、特に限定されないが、本実施形態では、適宜の複数の鋼線を重ねてコイル巻きしてなるフレキシブルシャフトを採用している。
回転伝達シャフト74(75)の端部には、図16に示すように、トルク伝達を行うための連結部74a(75a)が設けられている。
また、回転伝達シャフト74(75)は、回転時に他の部材との接触を防止するため、外周側が被覆チューブ76によって被覆されている。
【0127】
回転伝達シャフト74(75)の一端側の連結部74a(75a)は、側板部71a(72a)の回転伝達溝部71h(72h)に連結されるとともに、側板部71a(72a)に沿って、段状部2c上に立設された平板状の駆動機構保持板77(78)に設けられた軸受78を介して回転可能に保持されている。
また、被覆チューブ76の一端側は、駆動機構保持板77(78)に固定されている。
回転伝達シャフト74(75)および被覆チューブ76の基端側は、図17に示すように、駆動部51Bに連結されている。
【0128】
駆動部51Bは、図17に示すように、上記第2の実施形態の駆動部51の管状部材固定板26b、駆動プーリー28、30を削除し、モーター27、29の回転を減速する1対の減速機構80と、回転伝達シャフト74、75の他端側をそれぞれ1対の減速機構80の出力側に連結する1対の固定筐体81とを備える。
減速機構80の構成としては、例えば、モーター27、29の回転軸27a、29aと、回転伝達シャフト74、75の連結部74a、75aとの間に設けられたギヤ列による減速機構を採用することができる。
【0129】
次に、本実施形態の外套管92の動作について、中間連結部53の動作を中心に説明する。
中間連結部53によれば、第1保持部材71が、基端側管部材中心軸Aに直交する第1の回動軸であるy軸と同軸に設けられた回動支軸71gによって、回動支持部73および回動支持部73が設けられた基端側管部材2に対して、回動可能に連結されている。また、第2保持部材72が、基端側管部材中心軸Aおよびy軸に回動中心Oで直交する第2の回動軸であるx軸回りに回動可能に連結されている。
また、第1保持部材71の保持面部71e、71f(第2保持部材72の保持面部72e、72f)は、被駆動部の側部である管状部46aを、第1の回動軸(第2の回動軸)から離間した位置で第1保持部材71(第2保持部材72)の回動円の周方向に挟持するスリットを構成している。
その際、保持面部71e、71f(72e、72f)は、管状部46aに面接触することによって、回動中も先端側管部材中心軸Aと平行な位置関係が保たれて。管状部46aが回転軸Oを中心として、2軸方向に傾動される。このとき、管状部46aと基端側管部材2とは、可撓管70を介して連結されているため、管状部46aの傾動状態にならって可撓管70が回動支持部73内で撓み、挿通路70aによって先端側管部材4と基端側管部材2との挿通路4a、2aを連通させた状態で傾動動作を行うことができる。
【0130】
したがって、本実施形態は、先端側管部材4と基端側管部材2とが、回動中心Oを有す継手構造で連結されることがなくても、第1保持部材71、第2保持部材72の作用によって、回動中心Oを中心として、先端側管部材4を基端側管部材2に対して2軸方向に傾動できるようにした例となっている。
中間連結部53によれば、1点を中心に傾動させるために複雑な構成を有する継手構造を設けることなく、簡素な構成の可撓管70によって、1点を中心に2軸方向に傾動可能な外套管93を構成することができる。
【0131】
なお、上記の第2〜4の実施形態の説明では、駆動機構、駆動力伝達部が、2軸方向に傾動を行うため、2つの駆動系と2系統の伝達系が設けられている場合の例で説明したが、1軸方向に沿う傾動のみの駆動機構、駆動力伝達部を備え、他の1軸方向は、傾動自在または傾動角度固定としてもよい。
【0132】
また、上記第2の実施形態の変形例の説明では、棒状部材を進退させる駆動部として、ピニオンギヤとラックとを用いた構成の例で説明したが、棒状部材を進退させることができれば、駆動部はこれには限定されない。例えば、ねじ送り機構など採用してもよい。
【0133】
また、上記第2〜第4の実施形態の説明では、駆動力伝達部に駆動力を供給する駆動力供給部を基端側管部材の外部に備える場合の例で説明したが、駆動力供給部は、中間連結部に内蔵してもよい。例えば、小型モーターを中間連結部に内蔵してもよい。
また、駆動力供給部は、モーターを採用した場合の例で説明したが、手動によって駆動力を供給する構成としてもよい。例えば、駆動部51の駆動プーリー28、30にハンドルなどを設けて手動によって駆動プーリー28、30を回転できるようにしてもよい。また、駆動部51Aの駆動部材41を手動で進退させる構成としてもよい。
【0134】
また、上記第3の実施形態の変形例では、側部押圧部66と弾性部材67との組合せからなる駆動機構の場合の例で説明したが、弾性部材67に代えて、側部押圧部66を設け、1対の側部押圧部66によって管状部46aを挟持する構成とし、それぞれの側部押圧部66の対向間隔が一定となるように、それぞれを逆方向に進退させることで、管状部46aを傾動させるようにしてもよい。
【0135】
また、上記の説明では、継手構造を有する場合、例えば、ボール継手のように、内部に連通する貫通孔が設けられ、これにより先端側管部材および基端側管部材が連通されている構成と、例えば、ユニバーサル継手、ジンバル継手のように、中間連結部の内部に複数の貫通孔が連続することなく隣接している構成の例を挙げて説明した。このように、中間連結部は、先端側管部材および基端側管部材の挿通路を医療用器具が挿通できる開口が軸方向に確保されるという意味で、連絡させることができればよい。
ただし、ユニバーサル継手、ジンバル継手を用いる場合でも、例えば、上記第4の実施形態の可撓管70のような中間管部材を備えることで、中間連結部の内部で連続する管状の挿通路を形成するようにしてもよい。
【0136】
また、上記の各実施形態、各変形例で説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
例えば、上記第1の実施形態に説明した各継手構造は、第2、第3の実施形態の外套管の継手構造として好適に採用することができる。
また、例えば、上記第4の実施形態に説明した継手構造を含まない場合において、上記第1の実施形態と同様に、駆動機構、駆動力伝達部を削除して実施することができる。
また、例えば、上記第4の実施形態の駆動機構および駆動力伝達部である回転伝達シャフトは、上記第2、第3の実施形態の駆動機構および駆動力伝達部として好適に適用することができる。
【0137】
また、上記第1の実施形態の説明では、継手構造の支持部および被駆動部が、基端側管部材および先端側管部材とそれぞれ一体に設けられている場合の例で説明したが、例えば、上記第2の実施形態の内枠部19のように、先端側管部材4とは別部材で構成して連結したように、基端側管部材に対して支持部を別部材としたり、先端側管部材に対して被駆動部を別部材としたりして、それぞれを連結、固定した構成としてもよい。
【0138】
また、上記に説明したボール継手は、継手構造であって、
凸球面状の係合面を有し、支持部および被駆動部のうちの一方の端部の外周側に設けられた雄継手部と、
該雄継手部の前記凸球面状の係合面に摺動可能に係合する凹球面状の係合面を有し、前記支持部および前記被駆動部のうちの他方の端部の外周側に設けられた雌継手部と
を備え、
前記雄継手部および前記雌継手部の内部には、前記支持部および前記被駆動部の各挿通路と連通する貫通孔が設けられたことを特徴とするものである。
【0139】
また、上記に説明したユニバーサル継手は、継手構造であって、
貫通孔が中心部に形成され、支持部の内側および被駆動部の内側に配置された枠部材と、
該枠部材の外周部と前記被駆動部とを、前記枠部材の中心を通り前記枠部材の前記貫通孔の中心軸に直交する第1の回動軸回りに回動可能に連結する第1の回動部と、
前記枠部材の外周部と前記支持部とを、前記枠部材の中心を通り前記枠部材の前記貫通孔の中心軸および第1の回動軸に直交する第2の回動軸回りに回動可能に連結する第2の回動部とを備え、
前記先端側管部材および前記基端側管部材の各挿通路は、前記貫通孔を介して連絡されたことを特徴とするものである。
【0140】
また、上記に説明したジンバル継手は、継手構造であって、
支持部および被駆動部は、それぞれ前記挿通路と同軸に設けられた枠形状を有し、前記支持部および前記被駆動部のうちの一方は、前記支持部および前記被駆動部のうちの他方の外側に配置可能な外枠部とされ、
前記支持部および前記被駆動部のうちの他方は、前記支持部および前記被駆動部のうちの一方の内側に配置可能な内枠部とされ、
前記継手構造は、
前記外枠部の内側、かつ前記内枠部の外側に配置された中間枠部材と、
該中間枠部材と前記外枠部とを、前記中間枠部材の中心軸に直交する平面上に設けられた第1の回動軸回りに回動可能に連結する外側回動部と、
前記中間枠部材と前記内枠部を、前記第1の回動軸と直交するように前記中間枠部材の中心軸に直交する平面上に設けられた第2の回動軸回りに回動可能に連結する内側回動部とを備えることを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0141】
1、1A、1B、90、91、92 外套管
2 基端側管部材
2a、4a 挿通路
3、3A、3B、50、50A、52、52A 中間連結部
4 先端側管部材
5 医療用鉗子
6、46 雌型連結部
6a、47a 管状部(支持部)
6b、46b 雌継手部
6c、46c 凹係合面
6d、7d、10a、12a、15a、16c、46d、47d 貫通孔
7、47 雄型連結部
7a、46a 管状部(被駆動部)
7b、47b 雄継手部
7c、47c 凸係合面
8 気密弁
10 管状支持部(支持部)
12 枠部材
12c、12d、17、18、60、61 回動支軸
13 突片部(被駆動部)
15 外枠部(支持部)
16 中間枠部材(継手構造における可動な部材))
19 内枠部(被駆動部)
19a 接続孔
20、21 プーリー(駆動機構)
22、23 ワイヤー(駆動力伝達部)
24、37 管状部材
27、29 モーター(駆動力供給部)
32 駆動制御部
33 操作部
35 リンク部材
36、43 駆動ロッド(駆動力伝達部)
45、45A 管状部
45c 移動案内部
48 第1移動規制部材(移動規制部材)
48e、48f、49e、49f 保持面部
49 第2移動規制部材(移動規制部材)
51、51A 駆動部
62、63 ピニオンギヤ(駆動機構)
64、64A、65 駆動ロッド(駆動力伝達部)
64a、65a ラック部(駆動機構)
66 側部押圧部
67 弾性部材
70 可撓管(中間管部材)
71 第1保持部材
72 第2保持部材
73 回動支持部(支持部)
74、75 回転伝達シャフト(駆動機構、駆動力伝達部)
102 体表
103 体腔
104 臓器
104a 被処置部
基端側管部材中心軸
先端側管部材中心軸
O 回動中心
S 作業スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側を体腔内に挿入して、基端側から医療用器具を体腔内に導入する挿通路を確保する外套管であって、
前記先端側に前記挿通路を形成する先端側管部材と、
前記基端側に前記挿通路を形成する基端側管部材と、
前記先端側管部材を、前記基端側管部材に対して1点を中心とする2軸方向に傾動可能に連結するとともに、前記先端側管部材および前記基端側管部材の各挿通路を連絡させる中間連結部と
を備えることを特徴とする外套管。
【請求項2】
前記中間連結部は、
前記基端側管部材における先端側に設けられた支持部と、
前記先端側管部材における基端側に設けられた被駆動部と、
前記被駆動部を、前記支持部に対して1点を中心として2軸方向に傾動可能に連結する継手構造と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の外套管。
【請求項3】
前記継手構造は、内部に貫通孔を有するボール継手からなることを特徴とする請求項2に記載の外套管。
【請求項4】
前記継手構造は、内部に貫通孔を有するユニバーサル継手からなることを特徴とする請求項2に記載の外套管。
【請求項5】
前記継手構造は、内部に貫通孔を有するジンバル継手からなることを特徴とする請求項2に記載の外套管。
【請求項6】
前記中間連結部は、
前記継手構造における可動な部材または前記被駆動部からなる駆動対象を駆動することにより、前記支持部に対して前記被駆動部を傾動させる駆動機構を備え、
該駆動機構には、
前記基端側管部材の外部から遠隔操作して駆動力を伝達する駆動力伝達部が接続されたことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の外套管。
【請求項7】
前記駆動機構は、
前記駆動対象に固定されるとともに、傾動の中心軸に直交する軸上に回動可能に支持されたプーリーを備え、
前記駆動力伝達部は、
前記プーリーに巻き掛けられたワイヤーを備えることを特徴とする請求項6に記載の外套管。
【請求項8】
前記駆動機構は、
前記駆動対象に固定されるとともに、傾動の中心軸上に回動可能に支持されたピニオンギヤを備え、
前記駆動力伝達部は、
前記ピニオンギヤに係合されたラックと、該ラックを一定方向に進退させる棒状部材とを備えることを特徴とする請求項6に記載の外套管。
【請求項9】
前記駆動機構は、
一端が前記駆動対象に固定されるとともに、他端が前記駆動力伝達部に連結されたリンク機構を備え、
前記駆動力伝達部は、
前記リンク機構の他端側のリンク部材を一定方向に進退させる棒状部材を備えることを特徴とする請求項6に記載の外套管。
【請求項10】
前記中間連結部は、
前記基端側管部材に設けられ、前記継手構造の傾動中心から離間された位置で前記被駆動部の側部の位置を規制する移動規制部材と、
該移動規制部材を駆動することにより、前記支持部に対して前記被駆動部を傾動させる駆動機構とを備え、
該駆動機構には、
前記基端側管部材の外部から遠隔操作して駆動力を伝達する駆動力伝達部が接続されたことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の外套管。
【請求項11】
前記移動規制部材は、
前記基端側管部材に対して回動可能に連結され、前記被駆動部の側部を回動円の周方向に挟持するスリットを備えることを特徴とする請求項10に記載の外套管。
【請求項12】
前記移動規制部材は、
前記被駆動部の側面に当接されるとともに、前記基端側管部材の軸方向に沿って進退可能に設けられた側部押圧部と、
該側部押圧部の前記軸方向の位置に応じて、前記側部押圧部の前記軸方向に直交する方向における位置を変化させる移動案内部とを備え、
前記駆動力伝達部は、
前記側部押圧部を前記軸方向に沿って進退させる棒状部材を備えることを特徴とする請求項10に記載の外套管。
【請求項13】
前記駆動機構は、
前記支持部に対して、前記被駆動部を前記2軸方向にそれぞれ独立に傾動させる2つの駆動系からなり、
前記駆動力伝達部は、
前記2軸方向のそれぞれ独立に駆動力を伝達する2系統の伝達系からなることを特徴とする請求項6に記載の外套管。
【請求項14】
前記駆動力伝達部に駆動力を供給する駆動力供給部を前記基端側管部材の外部に備えることを特徴とする請求項6に記載の外套管。
【請求項15】
前記中間連結部は、
前記先端側管部材および前記基端側管部材の各挿通路を連通させる可撓性の中間管部材と、
前記基端側管部材に対して、前記基端側管部材の中心軸に直交する第1の回動軸回りに回動可能に連結されるとともに、前記先端側管部材の基端部の側部を前記第1の回動軸回りに傾動可能に保持する第1保持部材と、
前記基端側管部材に対して、前記基端側管部材の中心軸および前記第1の回動軸に1点で直交する第2の回動軸回りに回動可能に連結されるとともに、前記先端側管部材の基端部の側部を前記第2の回動軸回りに傾動可能に保持する第2保持部材と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の外套管。
【請求項16】
前記第1保持部材および前記第2保持部材を、それぞれ前記基端側管部材に対して回動駆動する駆動機構を備え、
該駆動機構には、
前記基端側管部材の外部から遠隔操作して駆動力を伝達する駆動力伝達部が接続されたことを特徴とする請求項15に記載の外套管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−172787(P2011−172787A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40005(P2010−40005)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】