説明

外装部材取付けユニット、外装部材取付け構造及び外装部材取付けユニットの使用方法

【課題】 ルーフに対するモールの取付け作業性を向上させることができる取付けユニットを提供する。
【解決手段】当該取付けユニット7(8)は、モール9に着脱可能とされるクリップ14と、ねじ部28を有するブラケット15とを一体化したものとされている。この取付けユニット7(8)を用いれば、クリップ14を利用してモール9を予め保持しておくことができ、その上で、その取付けユニット7(8)のねじ部28を、ルーフ1に予め形成された挿通孔6に挿通することができることになる。このため、この後、そのねじ部28に対してルーフ1内面側から螺合するだけで、モール9がルーフ1に取付けられることになり、作業性が向上することになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モール等の外装部材をルーフに取付けるための外装部材取付けユニット、外装部材取付け構造及び外装部材取付けユニットの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、そのルーフの幅方向両側においてルーフ溝が形成され、そのルーフ溝がモール等の外装部材により覆われたものがある。そのようなものにおいては、一般に、特許文献1に示すように、ルーフ溝の底部にブラケットを取付け、そのブラケットに外装部材をクリップを介して取付けたものとなっている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−328492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記外装部材の取付けにおいては、最終的に外装部材がルーフ溝開口を覆うことから、そのルーフ溝の開口が覆われる前に、ルーフ溝底部に対してブラケットの取付けを行い(ボルトによる固定作業)、その上で、そのブラケットにクリップを介して外装部材を取付けなければならず、ブラケットの取付け作業と外装部材の取付けとは別個独立の作業となっている。このため、具体的には、(i)ルーフ溝底部へのブラケットの配置作業(ii)ブラケット及びルーフ溝底部(挿通孔)に対するボルトの挿通作業(iii)その挿通されたボルトに対するナットの螺合作業(ブラケットの固定作業)(iv)クリップが予め取付けられた外装部材を該クリップをもってブラケットに組み付ける作業の各作業を行わなければならず、ルーフに対する外装部材の取付け作業は、作業工程数が少ないとは言えず、必ずしも良好な状況にはない。
【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたもので、その第1の技術的課題は、ルーフに対する外装部材の取付け作業性を向上させることができる外装部材取付けユニットを提供することにある。
第2の技術的課題は、上記外装部材取付けユニットを用いた外装部材取付け構造を提供することにある。
第3の技術的課題は、上記外装部材取付けユニットを用いた外装部材取付けユニットの使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
長尺な外装部材をルーフに取付けるための外装部材取付けユニットであって、
前記外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われる第1部品と、
前記第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、
前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用しつつ前記外装部材をルーフに取付けるねじ部と、を備えている構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2〜10の記載の通りとなる。
【0007】
前記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項11に係る発明)にあっては、
車両のルーフ溝に外装部材が覆うように配設された外装部材取付け構造において、
前記ルーフ溝の底部に、所定配置個所において挿通孔が形成され、
前記外装部材と前記ルーフ溝の底部との間に、前記挿通孔が存在する個所において外装部材取付けユニットが配設され、
前記外装部材取付けユニットが、前記外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われる第1部品と、該第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用しつつ前記外装部材をルーフに取付けるねじ部と、を備え、
前記ねじ部が前記挿通孔に挿通されていると共に、そのねじ部に対して、ルーフの内側においてナットが螺合されている構成としてある。この請求項11の好ましい態様としては、請求項12〜14の記載の通りとなる。
【0008】
前記第3の技術的課題を達成するために本発明(請求項15に係る発明)にあっては、
外装部材取付けユニットとして、外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われる第1部品と、該第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用するねじ部と、を備えるものを用意し、
先ず、前記外装部材取付けユニットの第1部品を外装部材に保持し、
次に、外装部材を保持した外装部材取付けユニットにおけるねじ部を、ルーフに予め形成されている挿通孔に挿通し、
次に、前記ねじ部に、前記ルーフの内側においてナットを螺合する、
ことを特徴とする外装部材取付けユニットの使用方法とした構成としてある。
【0009】
前記第3の技術的課題を達成するために本発明(請求項16に係る発明)にあっては、
外装部材取付けユニットとして、外装部材と、該外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われている第1部品と、該第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用するねじ部と、を備えるものを用意し、
先ず、前記外装部材取付けユニットにおけるねじ部を、ルーフに予め形成されている挿通孔に挿通し、
次に、前記ねじ部に、前記ルーフの内側においてナットを螺合する、
ことを特徴とする外装部材取付けユニットの使用方法とした構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された発明によれば、外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われる第1部品と、第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用しつつ外装部材をルーフに取付けるねじ部と、を備えていることから、当該外装部材取付けユニットの第1部品を外装部材に取付けた上で、当該外装部材取付けユニットにおけるねじ部を、ルーフ上に予め形成されている挿通孔に挿通して、その挿通孔を挿通されたねじ部に対して、ルーフ内面側からナットを螺合すれば、外装部材を当該外装部材取付けユニットを介してルーフに固定できることになる。このため、当該外装部材取付けユニットを用いることにより、ルーフ上に固定する部材全てを予め一体化でき、その一体化物をルーフに取付けるに際して、ルーフ(挿通孔)に対して当該外装部材取付けユニットのねじ部を通すことと、その通されたねじ部にナットを螺合するだけで足りることになり、ルーフに対する外装部材の取付け作業性を向上させることができることになる。
しかも、第2部品により第1部品の補強を図って、当該外装部材取付けユニットの強度(剛性)を高めることができるばかりか、第2部品を座板として利用することにより、ルーフに対する外装部材取付けユニットの取付けを確実なものとすることができることになる。
【0011】
請求項2に記載された発明によれば、第1部品が、外装部材に対して該外装部材の延び方向にスライド可能な構造とされていることから、外装部材に対して当該外装部材取付けユニットを所定の取付け位置に厳密に取付けなくても、ルーフに対する外装部材の取付けに際して、当該外装部材取付けユニットを外装部材に対して相対的に移動させることができることになり、ルーフに対して外装部材を正規の状態に簡単に取付けることができることになる。このため、外装部材に対する当該取付けユニットの位置決めが不要となり、ルーフに対する外装部材の取付け作業性を向上させることができることになる。
【0012】
請求項3に記載された発明によれば、外装部材が、該外装部材の延び方向に延びる天板部と、該天板部の幅方向両側に該天板部の幅方向側方を囲むようにして設けられる一対の包被部と、を有することを前提として、第1部品の両側部に、一対の包被部に係合するための係合手段が拡縮可能に設けられていることから、一対の包被部に対する第1部品の嵌め込みにより、該第1部品を一対の包被部に保持できると共に、該第1部品を一対の包被部に対してスライド可能に保持できることになる。このため、前記請求項2に係る外装部材取付けユニットを具体化したものを提供できることになる。
【0013】
請求項4に記載された発明によれば、第1部品が、厚板状の帯状片として延びる第1部品本体部を備え、第2部品が、第1部品本体部の下面に沿いつつ延びる帯板状の第2部品本体部を備え、ねじ部が、第2部品本体部の下面から下方に延びていることから、外装部材に当該外装部材取付けユニットが取付けられたときには、その第1,第2部品の両本体部は、その長手方向全体に亘って積層された状態をもって外装部材の内部空間を埋めることになり、当該外装部材取付けユニットが存在する比較的長い領域において、外装部材の補強が効果的に図られることになる。このため、外装部材が外力によって変形することを、当該外装部材取付けユニットの形状、強度等を利用して有効に防止できることになる。
【0014】
請求項5に記載された発明によれば、第1部品本体部に差し込み孔が形成され、その差し込み孔に第2部品本体部の一端部が保持され、第2部品本体部の一端部よりも他端側部分が、第1部品本体部の下面に固定されていることから、第1部品と第2部品とを一体化できることは勿論、第1部品本体部に差し込み孔を形成して、それに第2部品本体部の一端部を差し込むだけで、その第2部品本体部の一端部を保持できることになり、第2部品本体部の一端部を第1部品本体部に保持するために特別に取付け手段を用意する必要はなくなる。このため、部品点数の減少を図ることができることになる。
【0015】
請求項6に記載された発明によれば、第1部品に差し込み孔が形成され、その差し込み孔に第2部品の一部が嵌合保持され、第2部品の他部が第1部品から遠のくように延ばされ、第2部品の他部にねじ部が一体的に設けられていることから、前記請求項1と同様の作用効果を得ることができるばかりか、第2部品本体部を第1部品本体部に保持するために特別に取付け手段を用意する必要がなくなり、部品点数の減少を図ることができることになる。
【0016】
請求項7に記載された発明によれば、第1部品本体部に、第2部品本体部の一部を外部に露出させるための開口が形成され、第2部品本体部に、その開口に臨むようにして、後付け部材を取付けるための取付け部が形成されていることから、当該外装部材取付けユニットを用いることにより、外装部材をルーフに取付けることができるだけでなく、その外装部材に開口を形成することを条件として、ルーフキャリア等の後付け部材をも簡単に取付けることができることになる。
しかも、当該外装部材取付けユニットにおける板状の第1,第2部品が積層された状態でルーフ溝底部に配置されることになり、後付け部材の荷重を受け止める付近の比較的広い範囲で実質上の板厚を厚くして、補強を図ることができることになる。このため、後付け部材を取付けることに基づいて作用する荷重に対して十分に強度を示すことができることになり、後付け部材の取付け部材として、信頼性の高いものを提供できることになる。
【0017】
請求項8に記載された発明によれば、第2部品に、該第2部品の一部とねじ部との間において、後付け部材を取付けるための取付け部が形成されていることから、第1部品に、開口を特別に設けなくても、第2部品の取付け部を外部に現れるようにすることができることになり、その取付け部により後付け部材を取付けることができることになる。
しかも、第2部品の一部よりも他端側が第1部品の外側にあることか、第2部品を、第1部品に干渉させることなく曲げ加工を行って、取付け部の形状を使い勝手のよいものにすることができることになる。
【0018】
請求項9に記載された発明によれば、ルーフに取付けるための外装部材が、第1部品に保持されていることから、外装部材を含めたものが外装部材取付けユニットとなり、この外装部材取付けユニットにおいても、前記請求項1〜8と同様の作用効果を得ることができることになる。
【0019】
請求項10に記載された発明によれば、第1部品が合成樹脂により形成され、第2部品が金属により形成されていることから、第1部品を、外装部材に対する着脱可能な取付け性等を確保する観点から好ましいものとすることができ、第2部品を、ルーフに対する取付け強度、当該外装部材取付けユニットの全体としての強度を担保する観点から好ましいものとすることができることになる。
【0020】
請求項11に記載された発明によれば、ルーフ溝の底部に、所定配置個所において挿通孔が形成され、外装部材とルーフ溝の底部との間に、挿通孔が存在する個所において外装部材取付けユニットが配設され、外装部材取付けユニットが、外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われる第1部品と、該第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用しつつ外装部材をルーフに取付けるねじ部と、を備え、ねじ部が第2部品を座板として利用しつつ挿通孔に挿通されていると共に、そのねじ部に対して、ルーフの内側においてナットが螺合されていることから、前記請求項1に係る取付けユニットを用いた外装部材取付け構造を提供できることになる。
【0021】
請求項12に記載された発明によれば、第1部品が、厚板状の帯状片として延びる第1部品本体部を備え、第2部品が、第1部品本体部の下面に沿いつつ延びる帯板状の金属製第2部品本体部を備え、ねじ部が、第2部品本体部の板面から前記挿通孔へと延びていることから、第1,第2部品の両本体部は、その長手方向全体に亘って積層された状態をもって外装部材の内部空間を埋めることになり、当該外装部材取付けユニット(第1,第2部品の両本体部)が存在する比較的長い領域において、外装部材の補強を効果的に図ることができることになる。このため、外装部材が外力によって変形することを、外装部材取付けユニットを利用して有効に防止できることになる。
【0022】
請求項13に記載された発明によれば、第1部品本体部に差し込み孔が形成され、差し込み孔に第2部品本体部の一端部が保持され、第2部品本体部の一端部よりも他端側部分が、第1部品本体部の下面に固定されていることから、第1部品と第2部品とを一体化できることは勿論、第1部品本体部に差し込み孔を形成して、それに第2部品本体部の一端部を差し込むだけで、その第2部品本体部の一端部を保持できることになり、第2部品本体部の一端部を第1部品本体部に保持するために特別に取付け手段を用意する必要はなくなる。このため、部品点数の減少を図ることができることになる。
【0023】
請求項14に記載された発明によれば、外装部材及び前記第1部品本体部に、第2部品本体部の一部を外部に露出させるための開口がそれぞれ形成され、第2部品本体部に、両開口に臨むようにして、後付け部材を取付けるための取付け部が形成されていることから、ルーフキャリア等の後付け部材を簡単に取付けることは勿論、板状の第1,第2部品が積層された状態でルーフ溝底部に配置されことになり、後付け部材の荷重を受け止める付近の比較的広い範囲で実質上の板厚を厚くして、補強を図ることができることになる。このため、後付け部材を取付けることに基づいて作用する荷重に対して十分に強度を示すことができることになり、後付け部材の取付け部材として、信頼性の高い外装部材取付け構造を提供できることになる。
【0024】
請求項15に記載された発明によれば、外装部材取付けユニットとして、外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われる第1部品と、該第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用するねじ部と、を備えるものを用意し、それを使用することにより、外装部材をルーフに取付けることができることになる。このため、請求項1に係る外装部材取付けユニットを使用するための使用方法を提供できることになる。
【0025】
請求項16に記載された発明によれば、外装部材取付けユニットとして、外装部材と、該外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われている第1部品と、該第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用するねじ部と、を備えるものを用意し、それを使用することにより、外装部材をルーフに取付けることができることになる。このため、請求項9に係る外装部材取付けユニットを使用するための使用方法を提供できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1において、符号1はルーフで、このルーフ1の幅方向両側にはルーフ溝(図1においては一方のみ図示)2が車体前後方向に延びるようにして形成されている。各ルーフ溝2は、ルーフ1の構成要素であるルーフパネル3の段差状の端部と、同じくルーフ1の構成要素であるルーフサイドパネル4の段差状の端部とにより区画されており、これら端部は、そのルーフ溝2の底部5を形成すべく、重ねた状態で接合されている。このルーフ溝2は、本実施形態においては、断面形状がやや浅めの溝を形成しており(図4参照)、そのルーフ溝2の底部5には、複数の配置個所S1,S2(図1〜図3においては2個所だけを示す)において挿通孔6が形成されている。この各挿通孔6は、ルーフ1を上下に貫通することになっており、各配置個所S1,S2おいては、2つの挿通孔6を一組として、その2つの挿通孔6は所定間隔だけ離間されている。
【0027】
前記各ルーフ溝2内には、図1〜図4に示すように、前記各配置個所S1,S2において外装部材取付けユニット(以下、取付けユニットと称す)7,8がそれぞれ設けられ、その各取付けユニット7(8)には、外装部材としてのモール9が取付けられている。
【0028】
前記モール9は、図1〜図4に示すように、本実施形態においては、一つの長尺部材として形成されており、その長尺なモール9は、ルーフ溝2の上部開口を覆っている。具体的には、モール9は、天板部10と、一対の包被部11a,11bとを備えている。天板部10は、ルーフ溝2の溝幅と略同じないしはやや短めの幅をもってモール9の延び方向に延び、その天板部10がルーフ溝2の上部開口を覆うことになっている。一対の包被部11a,11bは、天板部10の幅方向両側に設けられて天板部10同様、モール9の延び方向にそれぞれ延ばされている。この各包被部11a(11b)は、いずれも天板部10から該天板部10の内面側に垂下されると共に該天板部10の幅方向内方側に曲げられて、該天板部10と協働して該天板部10の延び方向に延びる溝12を形成している。その包被部11a、11bのうち特に、ルーフ1の幅方向内方側に配置されるべき包被部11bに関しては、天板部10の幅方向内方側に曲げられた後、さらに天板部10に向けて折り返されて、係合端部13が形成されている(図4参照)。
【0029】
前記各配置個所S1,S2は、本実施形態においては、配置個所S1がルーフ溝2における車体前側位置とされ、配置個所S2がルーフ溝2における車体後側位置とされている。そして、配置個所S1には、一方の取付けユニット7が配置され、配置個所S2に他方の取付けユニット8がされることになっている。
【0030】
先ず、一方の取付けユニット7について説明する。一方の取付けユニット7は、図5〜図7に示すように、第1部品としてのクリップ14と、該クリップ14に取付けられる第2部品としてのブラケット15と、該ブラケット15に一体的に設けられるねじ部28とを備えている。
【0031】
前記クリップ14は、図8〜図10に示すように、厚板状の帯状片として延びるクリップ本体部(第1部品本体部)16と、そのクリップ本体部16の幅方向一方側に設けられる係合手段としての2組の一対の可撓片部17と、そのクリップ本体部16の幅方向他方側に設けられる係合手段としての複数の係合爪部18とからなっており、これらは、合成樹脂により一体的に成形されている。
【0032】
前記クリップ本体部16は、基本的に、上面部19と、その上面部19の幅方向両側から垂下する側壁部20とにより厚板状の帯状片としての外形形状が構成され、その両側壁部20間においてクリップ本体部16の延び方向に延びつつ上面部19から垂下する脚壁部21と、その脚壁部21と側壁部20との間に跨る複数の補強リブ63(一部のものについては図示略)とにより、クリップ本体部16の強度が担保されている。このため、クリップ本体部16を、その下面をもって安定してルーフ溝底部5に載置できると共に上面部19から下面側に外力を加えても、クリップ本体部16は、容易には変形しないことになっている。このクリップ本体部16には、その延び方向一方側(図8中、左側)から他方側(図8中、右側)に向けて順に、ねじ孔22、貫通孔23、差し込み孔24が形成されている。ねじ孔22は、ブラケット15を取付けるためにねじ25(図6,図7参照)がねじ込まれるものであり、そのねじ孔22は、クリップ本体部16の延び方向中央部よりも延び方向一方側に形成されている。貫通孔23は、クリップ本体部16の略中央部に形成されており、貫通孔23は、クリップ本体部16を上下に貫通することになっている。差し込み孔24は、クリップ本体部16の延び方向他方側に形成されており、この差し込み孔24もクリップ本体部16を上下に貫通することになっている。この差し込み孔24は、クリップ本体部16の上面部19部分における開口がクリップ本体部16の延び方向他方側に拡張されており、これにより、差し込み孔24内には、段差面26が形成されている。
【0033】
また、前記クリップ本体部16には、図1,図5,図7,図8,図10,図24に示すように、その延び方向両端部において、可撓板部60が設けられている。この各可撓板部60は、上面部19の幅方向一方側において、その上面部19の延び方向両端部にスリット61を平行に形成することにより構成されており、この各可撓板部60は、その上面部19の幅方向一方側におけるクリップ本体部16の内部空間を利用することにより撓むことができることになっている。この各可撓板部60の先端部上面には突起部62が、可撓板部60の幅方向全体に亘って形成されており、この突起部62は、上面部19の上面よりも若干、上方に突出されることになっている。このため、このクリップ14(クリップ本体部16)をモール9に装着する場合においては、モール9内面に可撓板部60の突起部62を押し付けることによりスラスト力を発生させることができ(可撓板部60を撓ませること)、このスラスト力により、モール9に対するクリップ14の摺動抵抗が高められることになっている(図24参照)。
【0034】
前記2組の一対の可撓片部17は、図8〜図10に示すように、クリップ本体部16の幅方向一方側において該クリップ本体部16の延び方向に所定間隔をあけて配設されている。各一対の可撓片部17は、クリップ本体部16の幅方向一方側における側壁部20から外方に突き出すように設けられており、その両可撓片部17の間隔は、クリップ本体部16の側壁部20から離れるに従って次第に離間することになっている。これにより、この一対の可撓片部17は、それ自体が撓むことによりクリップ本体部16の幅方向において拡縮できることになっている。
【0035】
前記複数の係合爪部18は、図8〜図10に示すように、クリップ本体部16の幅方向他方側においてクリップ本体部16の延び方向に間隔をあけて配設されている。各係合爪部18は、クリップ本体部16の幅方向に拡縮(基端部を中心として揺動)すると共に、その各係合爪部18の先端部には、前記モール9の係合端部13に係合するための爪部18aが形成されている。
【0036】
前記ブラケット15は、図5〜図7に示すように、ブラケット本体部(第2部品本体部)27を備えている。ブラケット本体部27は、金属製帯材をもって略真っ直ぐに延びており、その延び方向長さは、このブラケット15が用いられる一方の取付けユニット7に関し、クリップ本体部16の延び方向長さよりも長くされている。このブラケット本体部27には、その延び方向一端部(図6中、右側端部)から他端側(図6中、左側端部)に向けて順に、差し込み構造29、後付け部材の取付け部30、ねじ挿通孔31が形成されている。差し込み構造29としては、前記クリップ本体部16における差し込み孔24への差し込みと段差面26等に対する係合を考慮して、ブラケット本体部27の延び方向一端部において、クリップ本体部16の段差面26に係合するための差し込み端部と32、その差し込み端部32と他の構成部との間で段差をもたせて差し込み孔24の内周縁部に当接するストッパ部33とが形成されている。後付け部材の取付け部30は、本実施形態においては、ブラケット本体部27の板面に金属製筒部34が一体的に植立され、その筒部34内に雌ねじ35が形成されたものとなっており、その筒部34は、ブラケット本体部27の一端部を差し込み孔24に差し込んで該ブラケット本体部27とクリップ本体部16と重ねた状態としたとき、クリップ本体部16の貫通孔23を貫通して、クリップ本体部16の上面部19から若干、突出することになっている。この取付け部30が取付ける後付け部材としては、雌ねじ35に螺合できるものであれば種々のものに対応することができるが、本実施形態においては、ルーフキャリア等の荷物を保持するもの(荷重が作用するもの)が想定されている。ねじ挿通孔31は、前記クリップ本体部16のねじ孔22にねじ25をねじ込ませる際に、そのねじ25を挿通させるために用いられるものであり、このねじ挿通孔31は、ブラケット本体部27の一端部を差し込み孔24に差し込んで該ブラケット本体部27とクリップ本体部16と重ねた状態としたとき、クリップ本体部16のねじ孔22に合わさることになっている。
【0037】
前記ねじ部28は、本実施形態においては、2本のボルトを用いて構成されている。各ねじ部28は、ブラケット本体部27の板面から、前記筒部34とは反対方向に突出され、それら2本のねじ部28は、前記クリップ14にブラケット15を介して一体化すべく、ブラケット本体部27に一体的に取付けられている。この2本のねじ部28のうち、一方のねじ部28は、ブラケット本体部27にその一端部と筒部34との間に位置され、他方のねじ部28は、ブラケット本体部27の延び方向他端部に位置されている。
【0038】
前記クリップ14と前記ブラケット15とは、図5〜図7に示すように一体化されている。この一体化は、ブラケット15(ブラケット本体部27)の延び方向一端部をクリップ本体部16の差し込み孔24に差し込んで、その差し込み端部32をクリップ本体部16の段差面に係合させると共にストッパ部33を差し込み孔24の内周縁部に当接させる一方、ねじ25を、ブラケット15のねじ挿通孔6を経てクリップのねじ孔22にねじ込ませることにより行われている。これにより、ブラケット15は、クリップ14の下面に対して沿うように保持され、その一部(延び方向他端側)は、クリップ14の延び方向一方側外方に延出することになっている。このとき、クリップ14の内部空間の一部が、ブラケット15の配設空間、ねじ25の頭部の配設空間として利用されており、クリップ14とブラケット15との一体化物は、積層状態にありながらも、その下面は、面一の状態とされている(図6参照)。
【0039】
前記他方の取付けユニット8は、図13〜図15に示すように、基本的には、前記一方の取付けユニット7と同じ構成とされ、ブラケット15が短くされてクリップ14から延出していない点、一つのねじ部28の位置が異なっている点だけが異なっている。このため、他方の取付けユニット8に関し、一方の取付けユニット7と同一構成要素について同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
前記一方の取付けユニット7は、図1,3,11に示すように、配置個所S1において、ルーフ溝底部5に固定され、前記他方の取付けユニット8は、配置個所S2において、ルーフ溝底部5に固定されている。この各取付けユニット7(8)の固定は、ルーフ溝底部5の配置個所S1(S2)に形成される2つの挿通孔6に、取付けユニット7(8)のブラケットの2つのボルト28が挿通され、その各ボルト28に対してルーフ1内面側からナット30をそれぞれ螺合することにより行われている。
【0041】
このような各取付けユニット7(8)には、該各取付けユニット7(8)のクリップ14をもって前記モール9が取付けられ、モール9はルーフ溝2の上部開口を覆うことになっている。この取付けは、各クリップ14をモール9内に嵌着させることにより行われており、各クリップ14の2組の一対の可撓片部17は、一方の包被部11aに多少撓んだ状態で当接し、複数の係合爪部18は、他方の包被部11bに当接すると共にその爪部18aが包被部11bの係合端部13に係合することになっている。この場合、当初、各取付けユニット7(8)は、モール9を保持すると共に、モール9に対して相対的に摺動可能となるが、モール9を正規の状態でルーフ1に取付けた後は、取付けユニット7(8)に対するモール9の移動は、図外の規制手段により規制される。
【0042】
前記モール9には、図12に示すように、前記各取付けユニット7(8)の位置に対応して、開口37が形成されている。開口37は、ルーフ1にモール9が正規の状態に取付けられた状態において、後付け部材を取付けるための取付け部30を外部に露出させるように設定されており、その開口37は、取付け部30を使用しないときには、蓋体38により施蓋されることになっている(図11においては省略)。
【0043】
次に、このような取付けユニット7(8)を用いて、モール9をルーフ1に取付ける方法(取付けユニット7(8)の使用方法)について説明する。
【0044】
先ず、ルーフ溝2の配置個所S1,S2を想定して、モール9に取付けユニット7(8)が取付けられる。この各取付けには、各取付けユニット7(8)が備えるクリップ14が用いられることになっており、その取付け作業においては、クリップ14の上面部19をモール9の内面側に向けつつ、そのクリップ14の幅方向一方側をモール9の幅方向一方側における溝12内に差し込み、その状態で、クリップ14の幅方向他方側がモール9内に向けて押し込まれる。これにより、クリップ14における各係合爪部18及び各一対の可撓片部17が撓んで、クリップ14がモール9内に入り込むことになり、その後は、各係合爪部18及び一対の可撓片部17は、モール9の一対の包被部11a、11bに係合することになる。この結果、クリップ14は、モール9の一対の包被部11a、11b間から外れることが防止されると共に、可撓板部60のスラスト力に基づく適度な摺動抵抗の下で(図24参照)、モール9に対して摺動可能な状態となる。尚、モール9から取付けユニット7(8)を外す場合には、モール9に対してクリップ14を摺動させて、モール9の端部から引き抜くことになる。
【0045】
次に、図1に示すように、モール9を取付けた状態で、取付けユニット7(8)におけるブラケット15のねじ部28が、ルーフ溝底部5の各挿通孔6に挿通される。このとき、各取付けユニット7(8)におけるクリップ14が、モール9に対して摺動可能となっていることから、それを利用して、適宜、位置合わせ調整が行われる。
【0046】
そしてこの後、取付けユニット7(8)のねじ部28に対して、ブラケット15を座板(座金)として利用しつつ、ルーフ1の内側からナット36が螺合され、取付けユニット7(8)がルーフ1に固定される。これにより、モール9は、取付けユニット7(8)を介してルーフ1に取付けられることになり、モール9は、ルーフ溝2の開口を覆うことになる。
【0047】
したがって、取付けユニット7(8)に予めモール9を取付けて、ルーフ1に取付けるものを予め一体化物としておくことができ、取付けに際して、そのうちの取付けユニット7(8)のねじ部28を、ルーフ1の挿通孔6に挿通すれば、その後は、そのねじ部28に対してルーフ1内面側からナット締め作業を行うだけですむことになる。このため、モール取付けに際して、作業工数を少なくすることができることになり、モール9の取付け作業性を向上させることができることになる。
【0048】
このようにして、ルーフ1にモール9を取付けた後には、後付け部材として、スキー、荷物等を乗せるルーフキャリアを、取付けユニット7(8)を利用してルーフ1に取付けることができる。その場合には、モール9における蓋体38が外され、取付け部30が外部に現れるようにされる。その上で、取付け部30を構成する筒部34内の雌ねじ35を利用してルーフキャリア(取付け部)が取付けられる。このとき、ルーフキャリアをモール9ではなく、取付けユニット7(8)により受け止めることになることから、モール9が変形することを防止でき、しかも、取付けユニット7(8)を構成するクリップ14が厚板状、ブラケット15が帯板状に形成されて、ルーフキャリアを受け止める付近の実質的な板厚が厚くされて補強が図られていることから、ルーフキャリア側からの荷重に対して十分に抗することができることになる。勿論この場合、ブラケット15が金属製であることが補強効果を一層、高めることは言うまでもない。
【0049】
図16〜図23、図25〜図28は他の実施形態を示すものである。この他の実施形態において、前記実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
この実施形態は、図16に示すように、モール9とルーフラック41とをルーフ1(ルーフ溝底部5)に取付ける場合を示している。
本実施形態においては、モール9は、前側モール54、中間モール42、後側モール43に分割されており、前側モール54と中間モール42との間、中間モール42と後側モール43との間に一定の間隔がそれぞれ形成されている。このうち、中間モール43は、前記実施形態に係る取付けユニット8を用いてルーフ1に取付けられている一方、前側モール54は、その後端部が取付けユニット55を用いてルーフ1に取付けられ、後側モール43は、その前端部が取付けユニット40を用いてルーフ1に取付けられている。
【0051】
前記取付けユニット40は、図17,図18に示すように、後側モール43の前端部に嵌着される合成樹脂製クリップ44(第1部品)と、そのクリップ44に着脱可能に取付けられて後側モール43の延び方向外方に延びる金属製ブラケット45(第2部品)と、該ブラケット45に一体的に取付けられるねじ部28とからなっている。クリップ44は、図19に示すように、前記実施形態に係るクリップ14を半分にした構成とされ、モールに対する嵌着、摺動、スラスト力発生(可撓板部60)に関する構成については、両クリップ44,14は、基本的に同じ構成とされている(前記実施形態と同一構成要素については同一符号を付す)。また、このクリップ44には、図19,図20に示すように、差し込み孔46が形成されており、その差し込み孔46には係合爪部47が臨むことになっている。
【0052】
前記ブラケット45は、図21、図22に示すように、金属帯材を折り曲げ加工することにより、その延び方向中間部がその延び方向両端部に対して膨出するように加工されており、その延び方向中間部には膨出部48が形成されている。この膨出部48の上部には、ルーフラック41の取付け端部が取付けられるようにすべく、平坦な座部49が形成されており、その座部49には、ルーフラック41を取付けるための取付け孔50が形成されている。また、ブラケット45の延び方向一端部は、前記クリップ44の差し込み孔46に差し込み可能な幅に形成されていると共に、その延び方向一端部には、クリップ44における係合爪部47が係合するための係合孔51が形成されている。
【0053】
前記ねじ部28は、前記ブラケット45の延び方向他端部にボルトを一体的に取付けることにより構成されている。このねじ部28は、ブラケット45の延び方向中間部の膨出方向とは反対方向に突出されることになっている。
【0054】
前記クリップ44と前記ブラケット45とは、図19,図20に示すように、一体化されている。この一体化は、ブラケット45の延び方向一端部を、膨出部48の膨出方向が上方に向くようにしつつ、クリップ44の差し込み孔46に差し込んで、クリップ44の係合爪部47をブラケット45の係合孔51に係合させることにより行われる。これにより、取付けユニット40が構成されることになる。
【0055】
前記取付けユニット55は、図16,図25〜図28に示すように、前側モール54の後端部に嵌着される合成樹脂製クリップ56(第1部品)と、そのクリップ56に着脱可能に取付けられて前側モール54の延び方向外方に延びる金属製ブラケット57(第2部品)と、クリップ56に取付けられるねじ部28とからなっている。
【0056】
前記クリップ56は、前側モール54に嵌着する構成に関して、前記クリップ44と同じ構成とされているが、ブラケット57、ねじ部28の保持に関して、若干、異なる構成となっている。クリップ56には、図27,図28に示すように、前記可撓片部17と係合爪部18との間に配置されるクリップ本体部58の側面58aにおいて、ブラケット取付け部58bが一体的にそれぞれ備えられている。この各ブラケット取付け部58bは、クリップ本体部58から離間するように延びており、その先端部には抜け止め用爪部58cが設けられている。このクリップ本体部58には、平面視長方形状の凹所58dが形成されており、その凹所58dの底部58eには、貫通孔58fと一対の係合爪部58gとが設けられている。貫通孔58fは、クリップ本体部58の表面側(凹所底部58e)とクリップ本体部58の裏面側とが貫通することになっており、一対の係合爪部58gは、貫通孔58fを挟んで立設されている。
【0057】
前記ブラケット57は、一端部57aと他端部57bとが段差をもつように金属帯材を折り曲げ加工されて形成されており、その一端部57aと他端部57bとの間には段差部57cが一体的に介在されている。このブラケット57の段差部57には取付け孔57dが形成されており、その取付け孔57dには前記ブラケット取付け部58cが通されている。この場合、取付け孔57dには、ブラケット取付け部58bの爪部58c先端を入れた後、回し込むようにして該ブラケット取付け部58bが挿入されることになっており、その挿入後は、そのブラケット取付け部58bの爪部58cと取付け孔57d周縁部との係合に基づき、ブラケット57は、クリップ56から外そうとしても容易には外れないことになっている(ブラケットの取付け)。この場合、ブラケット57は、使用態様に応じて、一対のブラケット取付け部58bのいずれかが選択され、そのブラケット取付け部58bにブラケット57が取付けられることになる。ブラケット57の一端部は、上述の取付けにおいて、クリップ56の裏面側に配置されることになっている。このブラケット57の一端部には、貫通孔57eが形成されており、前記ブラケット57の段差部57cをクリップ56の側面58aに当接させたとき、その貫通孔57eはクリップ56の貫通孔58fに重なり、その両貫通孔57e,58fはボルト挿通孔としての機能を果たすことになっている。ブラケット57の他端部57bは、上述のように、ブラケット57をブラケット取付け部58bに取付けた状態においては、クリップ本体部58の表面よりも上側に位置してクリップ56から離間する方向に延びることになっている。このブラケット57の他端部は、片持ち状態の平坦な座部49を形成することになっており、この座部49には、ルーフラック41を取付けるための取付け孔50が形成されている。
【0058】
前記ねじ部28は、取付けユニット55に関し、前記クリップ56に保持されている。このねじ部28は、平面視長方形状の頭部59を有しており、そのねじ部28を前記貫通孔58f,57eに挿通させた状態で、頭部59を前記凹所58d内の一対の係合爪部58g間に押し込むことにより、頭部59は係合爪部58gと凹所底部58eとにより挟持されることになっている。これにより、ねじ部28は、クリップ56に一体化すると共に、ブラケット57の一端部57aがブラケット取付け部58bを支点として回動することを規制して、ブラケット57がねじ部28の座金として円滑に利用できることになっている。またこの場合、ねじ部28が、その軸心を中心として空回りすることを規制すべく、ねじ部28が少し回転すると、頭部59と凹所58d内壁とが係合して、それ以上の回転が規制されることになっている。
【0059】
このような取付けユニット40,55は、次のように使用される。取付けユニット40については、先ず、図17、図18に示すように、そのクリップ44が後側モール43の前端部内部に嵌着される。この嵌着は、前記実施形態と同様の方法により行われることになり、後側モール43の前端部外方には、ブラケット45の膨出部48、ねじ部28が位置することになる。
また、後側モール43の後側には、上記取付けユニット40の取付けに前後して、別の取付けユニット52が取付けられることになり、その取付けユニット52により、後側モール43の後側においてもねじ部28が植立されることになっている(図17、図18参照)。
【0060】
次に、図23に示すように、後側モール43を取付けた取付けユニット40、52のねじ部28が、ルーフ溝底部5の所定の配置個所に予め形成された挿通孔6に挿通され、それらのねじ部28に対して、ブラケット45の延び方向他端部を座金としてナット36がルーフ1の内側から螺合される。これにより、後側モール43は、所定の配置個所に取付けられて、ルーフ溝2の上部開口を覆うことになる。
【0061】
一方、取付けユニット55については、図25,図26に示すように、前記取付けユニット40と同様の方法により前側モール54の後端部に嵌着される。これにより、前側モール54の前端部外方には、ブラケット57の座部49が位置することになる(図16参照)。また、前側モール54においても、別の取付けユニット52が取付けられることになり、その取付けユニット52により、前側モール54の前側においてもねじ部28が植立されることになっている(図25、図26参照)。
【0062】
次に、前側モール54を取付けた取付けユニット55、52のねじ部28が、ルーフ溝底部5の所定の配置個所に予め形成された挿通孔6に挿通され、それらのねじ部28に対して、ブラケット57を座金としてナット36がルーフ1の内側から螺合される。これにより、前側モール43は、所定の配置個所に取付けられて、ルーフ溝2の上部開口を覆うことになる。
【0063】
この後、図16に示すように、ルーフラック41の取付け後端部が取付けユニット40における座部49に載せられると共に、ルーフラック41の取付け前端部が取付けユニット55における座部49に載せられ、その各座部49に対してルーフラック41の取付け端部が取付け具(図示略)によりそれぞれ固定される。
【0064】
尚、本実施形態にあっては、取付けユニット55において、後付け部材としてのルーフラック41を取付けるためにブラケット57を備えるものとしたが、後付け部材を取付けないときには、取付けユニット55を、クリップ56(第1部品)と、ねじ部28とだけをもって構成し、それを、前側モール54,中間モール42,後側モール43の取付けユニットとして用いてもよい。
【0065】
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或いは利点として載されたものに対応したものを提供することをも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態に係るモール取付け構造を説明する説明図。
【図2】実施形態に係るモール取付け構造を示す平面図。
【図3】図2のX3−X3線断面図。
【図4】実施形態に係るモール取付け構造を示す拡大縦断面図。
【図5】実施形態に係る一方の取付けユニットを示す斜視図。
【図6】図5のX6−X6線断面図。
【図7】実施形態に係る一方の取付けユニットの下面側の状態を示す斜視図。
【図8】実施形態に係るクリップを示す平面図。
【図9】図8の正面図。
【図10】図8の底面図。
【図11】図3のX11−X11線拡大断面図。
【図12】一方の取付けユニットが存在する付近のモールの状態を示す平面図。
【図13】実施形態に係る他方の取付けユニットを示す斜視図。
【図14】実施形態に係る他方の取付けユニットの下面側の状態を示す斜視図。
【図15】実施形態に係る他方の取付けユニットに用いられるブラケットを示す斜視図。
【図16】他の実施形態を説明する説明図。
【図17】他の実施形態において、後側モールに取付けユニットを取付けた状態を示す斜視図。
【図18】他の実施形態において、後側モールの裏側の状態を示す斜視図。
【図19】他の実施形態に係る後側モール用取付けユニットのクリップを示す斜視図。
【図20】図19のX20−X20線拡大断面図。
【図21】他の実施形態に係る後側モール用取付けユニットのブラケットを示す平面図。
【図22】他の実施形態に係る後側モール用取付けユニットのブラケットを示す正面図。
【図23】図16のX23−X23線拡大断面図。
【図24】図1のX24−X24線拡大断面図。
【図25】他の実施形態において、前側モールに取付けユニットを取付けた状態を示す斜視図。
【図26】他の実施形態において、前側モールの裏側の状態を示す斜視図。
【図27】他の実施形態に係る前側モール用取付けユニットの組立を説明する説明図。
【図28】他の実施形態に係る前側モール用取付けユニットを示す斜視図。
【符号の説明】
【0067】
1 ルーフ
2 ルーフ溝
5 ルーフ溝底部
6 挿通孔
7 一方の取付けユニット(外装部材取付けユニット)
8 他方の取付けユニット(外装部材取付けユニット)
9 モール(外装部材)
10 天板部
11a 包被部
11b 包被部
14 クリップ(第1部品)
15 ブラケット(第2部品)
16 クリップ本体部(第1部品本体部)
17 可撓片部(係合手段)
18 係合爪部(係合手段)
19 クリップの上面部
23 貫通孔
24 差し込み孔
27 ブラケット本体部(第2部品本体部)
28 ねじ部
29 差し込み構造
30 後付け部材の取付け部
34 筒部(後付け部材の取付け部)
35 雌ねじ(後付け部材の取付け部)
36 ナット
37 モールの開口
38 蓋体
40 取付けユニット
41 ルーフラック(後付け部材)
43 後側モール
45 ブラケット(第2部品)
46 差し込み孔
49 座部(後付け部材の取付け部)
50 取付け孔(後付け部材の取付け部)
54 前側モール
55 取付けユニット
56 クリップ(第1部品)
57 ブラケット(第2部品)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な外装部材をルーフに取付けるための外装部材取付けユニットであって、
前記外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われる第1部品と、
前記第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、
前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用しつつ前記外装部材をルーフに取付けるねじ部と、を備えている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1部品が、前記外装部材に対して該外装部材の延び方向にスライド可能な構造とされている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記外装部材が、該外装部材の延び方向に延びる天板部と、該天板部の幅方向両側に該天板部の幅方向側方を囲むようにして設けられる一対の包被部と、を有することを前提として、前記第1部品の両側部に、前記一対の包被部に係合するための係合手段が拡縮可能に設けられている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1部品が、厚板状の帯状片として延びる第1部品本体部を備え、
前記第2部品が、前記第1部品本体部の下面に沿いつつ延びる帯板状の第2部品本体部を備え、
前記ねじ部が、前記第2部品本体部の下面から下方に延びている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1部品本体部に差し込み孔が形成され、
前記差し込み孔に前記第2部品本体部の一端部が保持され、
前記第2部品本体部の一端部よりも他端側部分が、前記第1部品本体部の下面に固定されている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1部品に差し込み孔が形成され、
前記差し込み孔に前記第2部品の一部が嵌合保持され、
前記第2部品の他部が前記第1部品から遠のくように延ばされ、
前記第2部品の他部に前記ねじ部が一体的に設けられている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項7】
請求項4において、
前記第1部品本体部に、前記第2部品本体部の一部を外部に露出させるための開口が形成され、
前記第2部品本体部に、前記開口に臨むようにして、後付け部材を取付けるための取付け部が形成されている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項8】
請求項6において、
前記第2部品に、該第2部品の一部と前記ねじ部との間において、後付け部材を取付けるための取付け部が形成されている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかにおいて、
ルーフに取付けるための外装部材が、前記第1部品に保持されている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記第1部品が合成樹脂により形成され、
前記第2部品が金属により形成されている、
ことを特徴とする外装部材取付けユニット。
【請求項11】
車両のルーフ溝に外装部材が覆うように配設された外装部材取付け構造において、
前記ルーフ溝の底部に、所定配置個所において挿通孔が形成され、
前記外装部材と前記ルーフ溝の底部との間に、前記挿通孔が存在する個所において外装部材取付けユニットが配設され、
前記外装部材取付けユニットが、前記外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われる第1部品と、該第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用しつつ前記外装部材をルーフに取付けるねじ部と、を備え、
前記ねじ部が前記挿通孔に挿通されていると共に、そのねじ部に対して、ルーフの内側においてナットが螺合されている、
ことを特徴とする外装部材取付け構造。
【請求項12】
請求項11において、
前記第1部品が、厚板状の帯状片として延びる第1部品本体部を備え、
前記第2部品が、前記第1部品本体部の下面に沿いつつ延びる帯板状の金属製第2部品本体部を備え、
前記ねじ部が、前記第2部品本体部の板面から前記挿通孔へと延びている、
ことを特徴とする外装部材取付け構造。
【請求項13】
請求項12において、
前記第1部品本体部に差し込み孔が形成され、
前記差し込み孔に前記第2部品本体部の一端部が保持され、
前記第2部品本体部の一端部よりも他端側部分が、前記第1部品本体部の下面に固定されている、
ことを特徴とする外装部材取付け構造。
【請求項14】
請求項12において、
前記外装部材及び前記第1部品本体部に、前記第2部品本体部の一部を外部に露出させるための開口がそれぞれ形成され、
前記第2部品本体部に、前記両開口に臨むようにして、後付け部材を取付けるための取付け部が形成されている、
ことを特徴とする外装部材取付け構造。
【請求項15】
外装部材取付けユニットとして、外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われる第1部品と、該第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用するねじ部と、を備えるものを用意し、
先ず、前記外装部材取付けユニットの第1部品を外装部材に保持し、
次に、外装部材を保持した外装部材取付けユニットにおけるねじ部を、ルーフに予め形成されている挿通孔に挿通し、
次に、前記ねじ部に、前記ルーフの内側においてナットを螺合する、
ことを特徴とする外装部材取付けユニットの使用方法。
【請求項16】
外装部材取付けユニットとして、外装部材と、該外装部材に着脱可能に保持されて上面側が該外装部材により覆われている第1部品と、該第1部品に着脱可能に保持される第2部品と、前記第1部品に対して着脱可能に保持されて前記第2部品を座板として利用するねじ部と、を備えるものを用意し、
先ず、前記外装部材取付けユニットにおけるねじ部を、ルーフに予め形成されている挿通孔に挿通し、
次に、前記ねじ部に、前記ルーフの内側においてナットを螺合する、
ことを特徴とする外装部材取付けユニットの使用方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−69467(P2006−69467A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258271(P2004−258271)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【出願人】(000240949)片山工業株式会社 (42)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】