説明

外観検査装置及び外観検査方法

【課題】 光源や光学素子などの不具合成分に起因する擬似欠陥と基板自体の真の欠陥とを識別可能な外観検査装置及びこれを用いた外観検査方法を提供する。
【解決手段】 基板6表面6aに照射した照明光の反射光を観察することにより基板6の検査を行う外観検査装置1の、光源2及び光源2から出射された光の方向を偏向する反射ミラー3、4や偏向された光を収束するフレネルレンズ5などの光学素子のうち、少なくとも1つを、周期的もしくはランダムに揺動又は湾曲させて光軸方向又は焦点位置を変位させることで、照明光学系の不具合成分に起因して基板6上に出現する擬似欠陥を揺れ動かし、擬似欠陥と基板6自体に生じた真の欠陥とを識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ等に用いられるガラス基板の外観検査装置及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ガラス基板等の検査では、基板表面に光を照射し、その反射光の光学的変化を観察者が目視により観察して、表面に塗布されたレジストの膜むら、ピンホールなどの欠陥や、塵埃付着の有無などを確認している。この種の検査に用いられる外観検査装置には、光源から照射された光を偏向するためのミラーと、ミラーにより偏向された光を収束し基板表面に照射させる、例えばフレネルレンズなどの収束レンズと、収束レンズにより収束されたマクロ照明光が基板表面に照射されるように基板を保持する基板ホルダとからなるものがある(例えば、特許文献1参照。)。この外観検査装置では、基板表面に照射されたマクロ照明光が、欠陥部において微小な散乱光を生じつつ反射されるため、観察者は、乱反射した反射光(散乱光)を目視で観察することにより、基板表面の欠陥を検査することができる。
【特許文献1】特開2000−97864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の外観検査装置では、レンズやミラーなどの光学素子(照明光学系)に歪みや細かな傷、塵埃付着などの不具合が生じている場合に、この不具合成分によって乱された照明光が基板表面に照射されてしまう。観察者は、照明光が照射された基板表面を目視して基板表面上の欠陥を検知しているため、基板表面に発現した光の変化が、基板自体の欠陥によるものか、照明光学系の不具合成分に起因するものかを識別することができないという問題があった。このため、照明光学系の不具合成分に起因する擬似欠陥像(擬似欠陥)を基板自体の真の欠陥と誤認するという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑み、光源や光学素子などの不具合成分に起因する擬似欠陥と基板自体の真の欠陥とを識別可能な外観検査装置及びこれを用いた外観検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0006】
本発明は、光源と、該光源から出射される照明光に対してマクロ検査に適した角度に基板を保持する基板ホルダとを備え、前記基板表面からの反射光を観察することにより前記基板の検査を行う外観検査装置において、前記光源及び該光源から出射された照明光の光軸方向又は焦点位置を変位可能な少なくとも1つの光学素子のうち、少なくとも1つを揺動させて光軸方向又は焦点位置を変位させる駆動手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、光源と、該光源から出射される照明光に対してマクロ検査に適した角度に基板を保持する基板ホルダとを備え、前記基板表面からの反射光を観察することにより前記基板の検査を行う外観検査装置において、前記光源と、該光源から出射される照明光を前記基板に向けて偏向する反射ミラーと、該反射ミラーにより反射される照明光を収束させて前記基板面に照射するフレネルレンズからなるマクロ照明光学系を備え、前記フレネルレンズ又は前記反射ミラーの板状光学素子を揺動させて前記照明光学系の光軸方向又は焦点位置を変位させる駆動手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、基板ホルダに保持された基板の表面に対して光源から出射される照明光を所定の入射角度で照射し、前記基板の表面からの反射光を目視観察することにより前記基板上の欠陥を検査する外観検査方法において、前記光源又は該光源から出射された照明光の光軸方向を変位可能な少なくとも1つの光学素子のうち、少なくとも1つを前記照明光軸と交差する方向に揺動させて前記照明光を前記基板表面に照射することにより、前記照明光学系に起因する擬似欠陥像を前記基板表面で揺らして、擬似欠陥と、前記基板表面上に固定して出現する真の欠陥とを識別可能とすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、基板ホルダに保持された基板の表面に対して光源から出射される照明光を所定の入射角度で照射し、前記基板の表面からの反射光を目視観察することにより前記基板上の欠陥を検査する外観検査方法において、前記光源又は該光源から出射された照明光の焦点位置を変位可能な少なくとも1つの光学素子のうち、少なくとも1つを光軸方向に揺動させて前記照明光の焦点位置を変位させながら前記基板表面に照射することにより、前記照明光学系に起因する擬似欠陥像を前記基板表面でピント状態を変化させ、擬似欠陥と、前記基板表面上に固定して出現する真の欠陥とを識別可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る外観検査装置によれば、光源と、光学素子のうち、少なくとも1つを揺動させて、光軸方向又は焦点位置を変位させることができる。これにより、目視によって検出された欠陥のうち、光軸方向又は焦点位置の変位に従動して揺れ動く基板上に投影された擬似欠陥と、基板自体に生じている真の欠陥とを識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る外観検査装置および外観検査方法について説明する。
【0012】
本発明の第1実施形態は、図1に示すような、例えば液晶ガラス基板の検査に用いられる外観検査装置1であり、この外観検査装置1は、例えばメタルハライドランプなどの光源2と、光源2から出射される光を第2のミラー(第2の反射ミラー)3側に偏向する第1のミラー4(光学素子)と、第1のミラー(第1の反射ミラー)4により偏向された光を収束レンズ5側に偏向する第2のミラー3(光学素子)と、第2のミラー3により偏向された光を収束させて基板6の表面6aの全面あるいは一部の広い検査領域に照射させる収束レンズ5(光学素子)と、収束レンズ5の下方に配置され、検査対象となる基板6として、例えばFPD用のガラス基板を保持する基板ホルダ7とから構成されている。ここで、光源2と、第1のミラー4と、第2のミラー3と、収束レンズ5と、基板ホルダ7とは、観察者8が基板6の表面6aを目視観察できるよう一側面9aの一部を開口させた矩形箱状の装置外郭体9に納められている。
【0013】
第1のミラー4は、矩形薄板状に形成され、光源2の出射光軸上に設けられるとともに、鏡面4aが第2のミラー3側に向くように斜設され、光源2から出射される照明光を装置外郭体9の上方に配された第2のミラー3に向け反射(偏向)させる。また、第1のミラー4は、例えばモータなどの回転駆動手段10が取り付けられており、装置外郭体9の開口側に設けられた操作部11の駆動スイッチ11aの操作によって、回転駆動手段10の軸線O1中心に所定の回転角度の範囲で正転、反転(揺動)を繰り返して行えるものとされている。例えば、第1のミラー4を周期的に±数度の微小角度で回転させることにより、第2のミラー3で反射され基板6に照射される照明光の光軸O2は、光軸O2の直交方向に周期的に変位可能とされる。ここで、第1のミラー4の周期的な回動は、光軸O2が基板6の表面6aで10mm〜100mm程度変位できる微小な角度で回動させるように行われるものであり、観察者8の検査効率の観点から好ましくは平面距離で30mm〜70mm、より好ましくは平面距離で50mm程度変位させるように周期運動されるものである。
【0014】
第2のミラー3は、矩形薄板状に形成され、光源2よりも上方の第1のミラー3の反射光軸上に配されているとともに、鏡面3aが収束レンズ5に向くように斜設されている。また、第2のミラー3は、装置外郭体9の観察者8側の一側面9aに平行に延設された回転軸3bに回転可能に支持されており、この回転軸3bは、モータなどの回転駆動手段12に接続されている。この回転駆動手段12は、第2のミラー3を回転制御して、収束レンズ5を通して照射される照明光の基板6の表面6aに対する照射範囲を変えるためのもので、例えば第2のミラー3を±30°と大きな角度で回転させる。
【0015】
収束レンズ5は、例えば矩形板状に形成されたフレネルレンズからなり、第2のミラー3を反射した光を収束させて基板6の表面6aを照射させるためのものである。本実施形態では、収束レンズ5を、光源2から出射された拡散光を平行光束に変換する第1のフレネルレンズと、この第1のフレネルレンズに近接して配置し、平行光束を収束させる第2のフレネルレンズで構成しているが、1枚のフレネルレンズで構成することも可能である。以降、この収束レンズ5をフレネルレンズと呼ぶことにする。このフレネルレンズ5は、第2のミラー3の下方で、第1のミラー4の照明光の光束に干渉しない位置に固定さている。
【0016】
基板ホルダ7は、矩形板状に形成され、その上面7aで基板6を吸着手段により支持可能とされている。また、フレネルレンズ5により収束された照明光が基板6の表面6aに照射されるようフレネルレンズ5の下方に配されている。さらに、基板ホルダ7は、装置外郭体9の観察者8側の一側面9aに平行に延設された回転軸7bに回転可能に支持されている。この回転軸7bには、モータなどの回転駆動手段13が接続され、操作部11の駆動スイッチ11aの操作により、照明光下において基板ホルダ7が水平姿勢からマクロ検査に適した所定の傾斜角に傾動、または裏面検査のために反転される。
【0017】
ついで、上記の構成からなる外観検査装置1を用い基板6の検査を行う方法について説明する。
【0018】
はじめに、基板ホルダ7の上面7aの基準位置に基板6を載置し、基板6の原点座標の取得を行い、基板ホルダ7を所定の傾斜角に立ち上げる。ついで、光源2から出射された照明光を、第1のミラー4と第2のミラー3とフレネルレンズ5を介して、基板ホルダ7に載置された基板6に照射させる。図1に示すように、基板ホルダ7に載置された基板6が大きく、フレネルレンズ5により収束された照明光が基板6全面を照射できない場合には、第2のミラー3を回転駆動し、第2のミラー3で反射した照明光を基板6上で、観察者8に対して前後方向に走査する。基板6の表面6aに照射された光の反射光を観察者8が観察し、基板6の表面6a上の欠陥の有無を検査する。ここで、基板6の表面6aに、例えば傷が生じている場合には、照射された照明光はその欠陥で乱反射し、他の正常な部分とは異なって見える。
【0019】
このマクロ検査の際、観察者8は操作部11のジョイスティック11bを操作して回転駆動手段13を正反転させ、照明下において基板6上の欠陥が見えやすい傾斜角度に基板ホルダ7を回動させる。基板ホルダ7を観察者8の観察に適した傾斜角度に設定した後、ジョイスティック11bを前後方向に微動させて基板ホルダ7を前後に揺動させることにより、基板6の表面6aに生じている欠陥を良好に検出することが可能となる。
【0020】
この目視観察により基板6の表面6aに欠陥が検出された場合、観察者8は、基板ホルダ7の微動を停止させる。この段階で、第1のミラー4に取り付けられた回転駆動手段10を駆動させ、第1のミラー4を所定の角度範囲内で周期的に回転(微小に揺動)させる。この第1のミラー4の周期的な揺動運動により、基板6の表面6aに照射される照明光の光軸O2の方向は、揺動運動に従動され光軸O3から光軸O4までの範囲内で変位する。観察者8は、この光軸方向の周期変位に伴い、目視観察により検出した欠陥が基板6の表面6a上で移動されているか、固定されているかを観察する。つまり、基板6自体に生じた真の欠陥であれば、光軸の方向が変位してもその位置は変化しないのに対して、照明光学系の不具合成分(例えば光学素子の表面に付着したゴミ)によって基板6の表面6aに投影された擬似欠陥の場合には、その擬似欠陥は光軸方向の変位により基板6上で揺れ動く。よって、目視により検出された欠陥が周期的に揺れ動いている場合には、照明光学系の不具合成分による擬似欠陥であるものと判断し、基板6上の真の欠陥と識別することができる。一方、光軸方向の周期変位に従動せず、目視により検出された欠陥が移動しない場合には、この検出された欠陥は、基板6自体の真の欠陥と判断し、例えばレーザーポインターなどを用いてこの真の欠陥の位置座標を取得(登録)する。
【0021】
検査される基板6が大きく、全面に光を照射できず、検査範囲を分割して検査を行っているときには、第2のミラー3の角度を調整して各分割範囲に照明光を照射させ、前述と同様の操作を繰り返し行い、基板6全面の検査を実施する。
【0022】
したがって、上記の構成からなる外観検査装置1においては、第1のミラー4に回転駆動手段10を設けることにより、回転駆動手段10の軸線O1中心に正転、反転(揺動)を周期的に繰り返して、第1のミラー4を微小角度で回転させることができ、フレネルレンズ5により収束され基板6の表面6aに照射される照明光の光軸方向を、光軸O3から光軸O4までの範囲内で周期的に変位させることができる。これにより、目視によって検出された欠陥のうち、光軸O2の周期変位に従動されて周期的に揺れ動く照明光学系の不具合成分に起因する擬似欠陥と、基板6自体に生じた真の欠陥とを識別することができる。
【0023】
上記の構成からなる外観検査装置1を用いた外観検査方法によれば、従来の方法ではできなかった照明光学系の不具合成分に起因する擬似欠陥と、基板6自体の真の欠陥とを確実に識別することができ、外観検査における欠陥の検出精度を向上させることができる。このようにして照明光学系に起因する擬似欠陥を識別して無くすことにより、例えば、次工程で行う顕微鏡などを用いた欠陥の詳細観察の手間を低減することができ、基板検査に要する時間を低減することができる。
【0024】
なお、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、基板6の表面6aに照射される照明光の光軸O2の方向を周期的に変位させる手段として、第1のミラー4の他に、第2のミラー3や、光源2の近くに配置されたレンズや、フレネルレンズ5などの照明光学系に配置される光学素子の少なくとも1つを変位させればよい。例えば第1のミラー4や第2のミラー3やフレネルレンズ5などの板状光学素子の周辺を周期的に押圧して湾曲させ、照明光の光軸方向又は焦点位置を変位させたり、照明光学系を構成する少なくとも1つの光学素子を光軸O2と交差する平面内で一方向又は他方向に、連続又は間欠的に移動させて照明光の光軸方向を変位させてもよい。また、回転駆動手段10により各光学素子を周期的に揺動するものとしたが、照明光学系に起因して基板6上に出現する擬似欠陥が観察者8の目で認識できれば、周期的に揺動させる必要はなくランダムに揺動させてもよい。また、第1実施形態では、第1のミラー4と第2のミラー3を用いて光源2から出射される照明光を偏向する構成としているが、第1のミラー4を使用せずに光源2からの照明光を直接第2のミラー3に照射させる構成としてもよい。これらの構成において、照明光学系を構成する少なくとも1つの光学素子を揺動させ、基板6に照射される照明光の光軸方向を変位させたり、照明光の焦点位置を変位させる駆動手段を設けることにより、照明光学系の不具合成分に起因した擬似欠陥か否かを識別することが可能である。
【0025】
ついで、図2を参照し、本発明の第2実施形態に係る外観検査装置および外観検査方法について説明する。
【0026】
本発明の第2実施形態は、図1に示した第1実施形態と同様、例えばFPD用のガラス基板の検査に用いられる外観検査装置20に関するものである。ここで、第1実施形態に係る外観検査装置1と同様の構成については、同一符号を付し詳細な説明を省略するものとする。
【0027】
図2に示す外観検査装置20は、第1実施形態と異なり、光源2から出射される光の光軸方向を偏向するためのミラーは設けられていない。一方、基板6の表面6aに照明光を照射可能とするために所定の角度で固定された2つのフレネルレンズ5と、それぞれのフレネルレンズ5に光を照射させる2つの光源2とが設けられている。また、それぞれの光源2は、フレネルレンズ5に対向して設けられ、フレネルレンズ5よりも装置外郭体9の上方位置に配置されている。さらに、光源2には、例えば直動アクチュエータなどの駆動手段21が取り付けられており、この駆動手段21により光源2がX方向(光軸方向)に往復移動されて、周期的に微動するものとされている。ここで、光源2の周期的な微動は、フレネルレンズ5の焦点位置が光軸O2線上で、例えば50mmから150mm程度変位させるように行われるものであり、観察者の検査効率の観点から好ましくは焦点位置の変位距離として100mm程度変位させるように光源2を光軸O2線上に沿って周期的に往復運動されるものである。
【0028】
ついで、上記の構成からなる外観検査装置20を用い基板6の検査を行う方法について説明する。
【0029】
それぞれの光源2から光を出射させ、フレネルレンズ5を介して基板ホルダ7に載置された基板6に光を照射させる。基板ホルダ7に載置された基板6には、2つのフレネルレンズ5により収束された照明光が照射される。光源2に取り付けられた駆動手段21を駆動させないときのフレネルレンズ5による照明光の収束位置は、それぞれ焦点位置Bとされている。
【0030】
ついで、基板ホルダ7を観察に適した傾斜角度に回転駆動させた状態で、基板6の表面6aを照明光下で観察し、欠陥が検出された場合には、それぞれの光源2に取り付けられた駆動手段21を駆動し、光源2を光軸O2線上で周期的に揺動させ、且つ微小な範囲で往復移動させる。この光源2の往復移動により、基板6の表面6aに照射される照明光の焦点位置Bは、光軸O2の方向を保ちつつ焦点位置Cまで変位する。観察者は、この焦点位置Bから焦点位置Cの周期変動に伴い、基板6上に出現した欠陥が基板6の表面6a上で、例えば大小変化(拡大、縮小)したり、鮮明度の変化などピント状態が変化しているか、全くもしくはほとんど変化が無いかを観察する。変化が認められる場合には、照明光学系の光学素子の不具合成分により基板上に投影された擬似欠陥であるものと判断する。一方、光源2の往復移動に従動せずに、目視により検出した欠陥が基板6の表面6a上で変化しない場合には、この目視で検出された欠陥は基板6上の真の欠陥であると判断し、例えばレーザーポインターなどを用いて真の欠陥の位置座標を取得(登録)する。
【0031】
したがって、上記の構成からなる外観検査装置20においては、光源2に駆動手段21を設け、光軸上で往復移動を周期的に繰り返すことにより、フレネルレンズ5により収束される照明光の焦点位置をBとCの間で周期的に変動させることができる。これにより、基板6の表面6aに出現した欠陥のうち、焦点位置の周期変動に従動して変化する照明光学系の不具合成分による擬似欠陥と、従動されずに変化しない基板6自体に生じた真の欠陥とを識別することができる。
【0032】
なお、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、基板6の表面6aに照射される光の焦点位置(焦点距離)を周期的に変動させる手段として、光源2に駆動手段21を設けるものとしたが、光源2のレンズ2aやフレネルレンズ5を光軸O2方向に往復移動させて、照明光の焦点位置を変動させたり、光軸O2方向を保ちつつフレネルレンズ5を湾曲変位させて、照明光の焦点位置を変動させてもよいものである。また、第2実施形態では、光源2とフレネルレンズ5を複数備える構成としているが、それぞれの数量は特に限定されるものではない。さらに、光源2から出射される照明光を偏向させるためのミラーを備え、このミラーを光軸方向に往復移動または湾曲変位させて焦点位置を変動させてもよいものである。また、第2実施形態では、照明光学系を構成する少なくとも1つの光学素子を移動させて照明光の焦点位置を周期的に変位させることに限定されるものではなく、観察者が照明光学系の不具合成分に起因する擬似欠陥を識別できるように焦点位置が変位されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る外観検査装置を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る外観検査装置を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 外観検査装置
2 光源
3 第2の反射ミラー(光学素子)
4 第1の反射ミラー(光学素子)
5 レンズ(フレネルレンズ)(光学素子)
6 基板
6a 基板の表面
7 基板ホルダ
8 観察者
9 装置外郭体
10 回転駆動手段(駆動手段)
11 操作部
20 外観検査装置
21 駆動手段
O2 光軸
O3 光軸
O4 光軸
A 焦点位置
B 焦点位置
C 焦点位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源から出射される照明光に対してマクロ検査に適した角度に基板を保持する基板ホルダとを備え、前記基板表面からの反射光を観察することにより前記基板の検査を行う外観検査装置において、
前記光源及び該光源から出射された照明光の光軸方向又は焦点位置を変位可能な少なくとも1つの光学素子のうち、少なくとも1つを揺動させて光軸方向又は焦点位置を変位させる駆動手段を備えたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の外観検査装置において、
前記駆動手段は、前記光源又は前記少なくとも1つの光学素子のうち、少なくとも1つを前記照明光の光軸と交差する方向に揺動させ前記照明光学系の前記光軸方向を変位させることを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
請求項1記載の外観検査装置において、
前記駆動手段は、前記光源又は前記少なくとも1つの光学素子のうち、少なくとも1つを前記光軸方向に揺動させ前記焦点位置を変位させることを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の外観検査装置において、
前記駆動手段は、前記光源又は前記少なくとも1つの光学素子のうち、少なくとも1つを周期的に微動させることを特徴とする外観検査装置。
【請求項5】
光源と、該光源から出射される照明光に対してマクロ検査に適した角度に基板を保持する基板ホルダとを備え、前記基板表面からの反射光を観察することにより前記基板の検査を行う外観検査装置において、
前記光源と、該光源から出射される照明光を前記基板に向けて偏向する反射ミラーと、該反射ミラーにより反射される照明光を収束させて前記基板面に照射するフレネルレンズからなるマクロ照明光学系を備え、
前記フレネルレンズ又は前記反射ミラーの板状光学素子を揺動させて前記照明光学系の光軸方向又は焦点位置を変位させる駆動手段を備えたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項6】
請求項5記載の外観検査装置において、
前記反射ミラーは、前記光源と前記収束レンズの間に配置され、前記マクロ照明光学系の光軸を折り返す小さな第1反射ミラーと大きな第2反射ミラーからなり、前記駆動手段は、前記第1及び第2の反射ミラーの一方を揺動させることを特徴とする外観検査装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の外観検査装置において、
前記駆動手段は、前記照明光の反射角度が変位するように前記反射ミラーを所定の回転角度の範囲内で回転させることを特徴とする外観検査装置。
【請求項8】
請求項5記載の外観検査装置において、
前記駆動手段は、前記板状光学素子の1つを周期的に湾曲させて前記焦点位置を変位させることを特徴とする外観検査装置。
【請求項9】
基板ホルダに保持された基板の表面に対して光源から出射される照明光を所定の入射角度で照射し、前記基板の表面からの反射光を目視観察することにより前記基板上の欠陥を検査する外観検査方法において、
前記光源又は該光源から出射された照明光の光軸方向を変位可能な少なくとも1つの光学素子のうち、少なくとも1つを前記照明光軸と交差する方向に揺動させて前記照明光を前記基板表面に照射することにより、前記照明光学系に起因する擬似欠陥像を前記基板表面で揺らして、擬似的欠陥と、前記基板表面上に固定して出現する真の欠陥とを識別可能とすることを特徴とする外観検査方法。
【請求項10】
基板ホルダに保持された基板の表面に対して光源から出射される照明光を所定の入射角度で照射し、前記基板の表面からの反射光を目視観察することにより前記基板上の欠陥を検査する外観検査方法において、
前記光源又は該光源から出射された照明光の焦点位置を変位可能な少なくとも1つの光学素子のうち、少なくとも1つを光軸方向に揺動させて前記照明光の焦点位置を変位させながら前記基板表面に照射することにより、前記照明光学系に起因する擬似欠陥像を前記基板表面でピント状態を変化させ、擬似的欠陥と、前記基板表面上に固定して出現する真の欠陥とを識別可能とすることを特徴とする外観検査方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−234721(P2006−234721A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52799(P2005−52799)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】