説明

多くの印刷物から形成され、接着された印刷製品を製造するための方法および装置

【課題】 本発明の課題は、複雑さがごくわずかな場合に必要な機能性が得られる装置を提供することである。
【解決手段】 本発明の課題は、ルーズなブックブロック(12)が、集積区間(5)に後続している第一搬送装置(3)の搬送区間(11)において、搬送方向(F)に対して横方向で、第一搬送装置(3)の搬送ユニット(6)から同じ方向に回動している第二搬送装置(4)の搬送ユニット(7)へ摺動することにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くの印刷物から形成され、かつ接着された印刷製品を製造するための装置と方法であって、
印刷物が等間隔で設けられた搬送ユニットから形成された回動する第一搬送装置の集積区間において、集積区間に沿って次々に並んで位置決めされた給紙装置により、搬送ユニットの担持面上でルーズなブックブロックに対して平らな状態で置かれて丁合いされ、引続いて第一搬送装置と同期して回動しており、かつ接着装置に所属している第二搬送装置に供給される装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小冊子、カタログ、電話帳、小型本等、すなわち印刷物の工業製造は、大抵の場合、接着に従って行われる。この目的で、まず第一に個々の印刷全紙が集積機械内で正確な順序で集められ、引続いて接着バインダ内に移送され、この接着バインダにより結合される。従来技術による集積機械は、案内軌道部内で回動するように案内される搬送装置を備えており、この搬送装置は多数の順番に並んで設けられた搬送ユニットにより形成されていて、印刷物はルーズなブックブロックに対して集積区間内で集積される。搬送ユニット上において、印刷物の背縁部は小口での搬送方向で、かつ搬送方向に対して横方向に整向されている。搬送ユニットは例えば実質的に傾斜した台と第二対して垂直に起立している、印刷物を収容するためのストッパから成る。案内軌道部に沿って設けられた給紙装置は、搬送ユニットに印刷物を供給するので、集積区間の端部において、搬送ユニットは完全でかつルーズなブックブロックを含んでおり、この搬送ユニットは各々ストッパに従って搬送ユニットに沿って整向されている。ブックブロックと共に供給すべき、軌道内で回動している、後ろに接続する接着装置の搬送クランプは、集積区間での搬送装置の搬送ユニットよりも大きな中心間距離を備えている。従って、ブックブロックは集積区間と大きな中心間距離を形成するための接着装置の間の搬送区間で供給され、かつ直立するので、ブックブロックは搬送方向に対してほぼ平行に整向された状態で置かれており、かつこの状態から持ち上げられて接着装置の搬送クランプ内に移送される。
【0003】
特許文献1には、搬送ユニットの搬送方向に対して横方向でかつ搬送方向に抗した傾斜した背姿勢で丁合いされる印刷物、あるいは搬送ユニット間で大きな中心間距離を形成するためのブックブロックが、別の搬送区間で加速され、ブックブロックの側方縁部が搬送方向に対してほぼ平行な姿勢で置かれている様式で旋回運動により直立され、前記姿勢からルーズなブックブロックは接着装置の搬送クランプ内へ持ち上げられることが提案されている。少なくとも別の搬送装置上で、ブックブロックは平らな側面で作用する力により搬送ユニットに固定され、従ってブックブロックは加速している間、そして搬送ユニット内で直立している間、その姿勢を維持する。さらにブックブロックを接着装置の搬送クランプ内へ持ち上げられるように、搬送ユニットには昇降装置が設けられている。
【0004】
特許文献2では、第一搬送区間で搬送方向に対して横方向で搬送方向とは逆方向に傾斜した背姿勢で丁合いされるルーズなブックブロックを大きな中心間距離を形成するための別の搬送区間で加速し、かつこの姿勢から接着装置の搬送クランプを下方から供給できるように、側方縁部が搬送方向に対してほぼ平行な姿勢で置かれている様式で旋回運動により直立させることが提案されている。
【0005】
説明したように、これらの公知の装置の場合、搬送ユニットはいずれにせよ稼動に際し多くの数量で構成しなければならない。さらに高い機能性から生じる搬送ユニットの複雑さにより、構成部品のコストが相応するように高いことが問題である。同じように、搬送ユニットの量が給紙装置の数量と、あるいは集積されるべき印刷物の数量と比例して増大するという重要な問題に陥り、その際さらにほぼ同様に多くの空の、還流中の搬送ユニットがあることも考慮しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1886832号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1886833号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、複雑さがごくわずかな場合に必要な機能性が得られる装置を提供することである。さらに、欠陥製品の排出が集積領域に続いて実行できねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によればこの課題は、ルーズなブックブロックが、集積区間に後続している第一搬送装置の搬送区間において、搬送方向に対して横方向で、第一搬送装置の搬送ユニットから同じ方向に回動している第二搬送装置の搬送ユニットへ摺動することにより解決される。
【0009】
引続いて、提案された装置は、明細書に説明されていない詳細すべてに関連して指示された図と従来技術に関して実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による装置の概略説明図である。
【図2】図1の搬送区間あるいは摺動区間の一部を拡大した説明図である。
【図3】搬送区間あるいは摺動区間における図1に示した装置の横断面図である。
【図4】代替え的な形態での、搬送区間あるいは摺動区間における図1に示した装置の横断面図である。
【図5】給紙装置を備えた本発明による装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
図1には、印刷物2が公知の様式に従ってルーズなブックブロック12に丁合される集積区間5を備えた、多くの印刷物2から形成され、かつ接着された背を備えた印刷製品を製造するための装置1と、ブックブロック12が第一搬送装置3から第二搬送装置4向かって移動される、前記集積区間に引続く搬送区間11が示してある。多数の印刷物2から形成され、かつ接着された印刷製品は、回動していて、かつ等間隔で設けられた搬送ユニット6から形成された第一搬送装置の集積区間5で、集積区間5に沿って順番に位置決めされた給紙装置8により搬送ユニット6の担持面9でルーズなブックブロック12に対して平らな状態で置かれて丁合いされ、引続いて第一搬送装置3に並んで同期して回動していて、接着装置に所属しており、かつ搬送方向Fで一定に間隔をおいて設けられた搬送ユニット7を備えた第二搬送装置4に供給される。第一搬送装置3と第二搬送装置4は、第一搬送装置の集積区間5に後続している共有区間、すなわち摺動区間11を形成するように互いに設けられており、この区間では図2に示したように、ルーズなブックブロック12は搬送方向Fに対して横方向に作用し、搬送ユニット6,7と同期して方向Vに可動な摺動装置13を用いて、第一搬送装置3の搬送ユニット6から同じ方向に回動している第二搬送装置4の搬送ユニット7に向かって摺動する。摺動装置13は搬送ユニット6の片側に設けられ、かつ搬送方向Fに対して横方向に可動な摺動部材15を備えており、これらの摺動部材は等間隔で、回動する牽引機構14に固定された少なくとも1つの案内機構20と接続している。案内機構20は牽引機構14に沿って固定された案内棒状体22を形成しており、これらの棒状体には摺動部材と接続している摺動スリーブ23が摺動可能に設けられている。さらに摺動装置13には摺動区間11に沿って、第二搬送装置4に所属している、摺動装置13のベルト駆動側16において摺動部材15に作用する制御装置18が所属している。第一搬送装置3の搬送ユニット6と第二搬送装置4の搬送ユニット7は、ブックブロック12の摺動に対して規定された搬送区間11、あるいは摺動区間で平行にかつ同期して並んで回動している。ベルト駆動側16に所属している制御装置18は、搬送方向Fで摺動区間にわたり第一搬送装置3から第二搬送装置4へと斜めに延びている制御軌道部25を備えており、この制御軌道部は切換え装置26として形成された前側端部を有している(図2参照)。
【0012】
図示した制御部31に接続した、切換え装置舌状部分が二つの端部位置間の軸線30を中心に旋回可能に支承されている切換え装置26により、第一搬送装置3の搬送ユニット6が例えば選択的に選択されるブックブロック12は第二搬送装置4の搬送ユニット7上で摺動することができる。摺動部材15が偏向される切換え部材26の活動状態の制御位置aは、図2では実線で示してあり、非活動状態の制御位置pは破線で示してある。ベルト駆動側16の上方に延びている、摺動装置13の下側ベルト被駆動側17には、摺動部材15を出口位置へ戻すようにずらす別の制御装置19が所属しており、この
制御装置は、摺動方向Vとは逆に作用し、かつ第一搬送装置3を介して斜めに延びている制御軌道部27を備えている(図1参照)。
【0013】
ベルト駆動側16の領域内には、摺動方向でブックブロック12に作用する面24により形成された摺動部材15が固定されている。この摺動部材には牽引機構14が下方に向かって延在している。摺動方向Vにおいて、第一搬送装置の担持面9と第二搬送装置の担持面10は、ほぼ水平に延びている。
【0014】
図3による、別の好ましい実施形態において、第二搬送装置4の搬送ユニット7の担持面10は、摺動方向Vで滑らかに上り勾配を形成して延びている。さらに第一搬送ユニット9の担持面9が摺動方向Vで上り勾配を形成するように構成できるのが有利である。この場合、ブックブロック12あるいはその一部を摺動区間11に達する前に、第一搬送装置3の搬送ユニット6の担持面9に固定するストッパあるいは支持手段を設けるべきである。如何なる場合においても、第一搬送装置3の搬送ユニット6の担持面9は、大きくても第二搬送装置4の搬送ユニット7の担持面10と同じ勾配を有する。すなわち図4に示したように傾斜角αは傾斜角βよりも常に大きいかあるいは同じである。第二搬送装置4の搬送ユニット7の担持面10で印刷物2が横滑りするのを防ぐために、搬送ユニット7の担持面10には、ブックブロック12を搬送ユニット7に達した後に固定するために、図示していない保持手段が設けられている。
【0015】
他の有利な実施形態においては、図5に示したように、集積区間5と摺動区間11の間に、例えば欠陥のあるブックブロックを選択的に排出するための排出区間28が設けられている。動作モードは第一搬送ユニット6の担持面9から第二搬送ユニット7の担持面10へブックブロック12を摺動させる動作モードと同じである。第二搬送装置4の代わりに、排出区間28内には排出されるブックブロック12のための収容部材29、例えば受容器あるいは簡易的な搬送ベルトが設けられている。第二摺動装置13の代わりに、牽引機構14が摺動区間11にわたるだけでなく排出区間28にもわたって延在するように延びていてもよい。この場合、制御装置18とほぼ同じ長さの別の制御装置21が設けられていてもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多くの印刷物(2)から形成され、かつ接着された印刷製品を製造するための方法であって、
印刷物(2)が等間隔で設けられた搬送ユニット(6)から形成された回動する第一搬送装置(3)の集積区間(5)において、集積区間(5)に沿って次々に並んで位置決めされた給紙装置(8)により、搬送ユニット(6)の担持面(9)上でルーズなブックブロック(12)に対して平らな状態で置かれて丁合いされ、引続いて第一搬送装置(3)と同期して回動しており、かつ接着装置に所属している第二搬送装置(4)に供給される方法において、
ルーズなブックブロック(12)が、集積区間(5)に後続している第一搬送装置(3)の搬送区間(11)において、搬送方向(F)に対して横方向で、第一搬送装置(3)の搬送ユニット(6)から同じ方向に回動している第二搬送装置(4)の搬送ユニット(7)へ摺動することを特徴とする方法。
【請求項2】
ブックブロック(12)を摺動させるために規定された搬送区間(11)上で、第一および第二搬送装置(3,4)が互いに平行に延びていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
ブックブロック(12)の摺動が、第二搬送装置(4)の搬送ユニット(7)の担持面上で滑らかに上り勾配を形成するように行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第一搬送装置(3)の搬送ユニット(6)の担持面(9)上での摺動が、第二搬送装置(4)の搬送ユニット(7)担持面(10)上とせいぜい同じ勾配でもって行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
ブックブロック(12)あるいはその一部が、搬送区間(11)に達する前に、第一搬送装置(3)の搬送ユニット(6)の担持面(9)上で力一体的にあるいは形状一体的に固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
ブックブロック(12)が第二搬送装置(4)の搬送ユニット(7)の担持面(10)に達した後、力一体的にあるいは形状一体的に固定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
搬送方向(F)で見て、搬送区間(11)の手前に欠陥のあるブックブロック(12)のための排出区間(28)が接続していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
ブックブロック(12)あるいはその一部が、第一搬送装置(3)の搬送ユニット(6)から第二搬送装置(4)の搬送ユニット(7)上へ選択的に選択された状態で摺動することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
多くの印刷物(2)から形成され、かつ接着された背を備えた印刷製品を製造するための装置であって、
搬送方向(F)で等間隔で設けられた、搬送ユニット(6)から形成された、ルーズなブックブロック(12)に対して平ら状態で置かれて丁合いされた印刷物(2)を搬送するための回動する第一搬送装置(3)と、
第一搬送装置(3)と同期して回動していて、接着装置に所属しており、搬送方向(F)で等間隔で設けられ搬送ユニット(7)から形成された第二搬送装置とを備えた装置において、
第一および第二搬送装置(3,4)が、共通の搬送区間、あるいは摺動区間(11)を形成しており、この摺動区間において、搬送方向(F)に対して横方向に作用し、同期して帯動する摺動装置(13)を用いて、第一搬送装置(3)の搬送ユニット(6)から第二搬送装置(4)の搬送ユニット(7)に摺動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項記載の装置。
【請求項10】
摺動装置(13)が少なくとも一つの牽引機構(14)において、等間隔で設けられ、搬送方向(F)に対して横方向で摺動可能な摺動部材(15)を備えており、第一搬送装置(3)に所属していて、搬送区間あるは摺動区間(11)を形成している摺動装置(13)のベルト駆動側において、摺動部材(15)に働きかけ摺動作用を行う制御装置(18)を備えていることを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
ベルト駆動側(16)の上方で延びている摺動装置(13)のベルト被駆動側(17)に、摺動部材(15)を出口位置へ戻すようにずらす別の制御装置(19)が所属していることを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
摺動部材(15)が搬送方向(F)に対して横方向に延びている案内機構(20)と接続していることを特徴とする請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
案内機構(20)が牽引機構(14)に沿って固定された案内装置(22)を備えており、この案内装置に摺動部材(15)と接続した摺動スリーブ(23)が摺動可能に支承されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
摺動部材(15)がベルト駆動側(16)の領域内で牽引機構(14)に沿って下方へと延びるように固定されていることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
摺動部材(15)がブックブロック(12)に作用している面(24)により形成されていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ベルト駆動側(16)に所属している制御装置(18)が、搬送区間(11)あるいは摺動区間の上方で搬送方向(F)で、第一搬送装置(3)から第二搬送装置(4)まで傾斜した状態で延びている制御軌道部(25)を備えていることを特徴とする請求項10〜15のいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
制御軌道部(25)が切換え装置(26)として形成された前側端部を有していることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
摺動装置(13)のベルト被駆動側(17)に所属している別の制御装置(19)が、摺動方向(V)とは逆の方向へ第一搬送装置(3)を介して傾斜して延びている制御軌道部(27)を備えていることを特徴とする請求項11〜17のいずれか一つに記載の装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−214950(P2010−214950A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55360(P2010−55360)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(502200092)ミュラー・マルティニ・ホルディング・アクチエンゲゼルシヤフト (51)
【Fターム(参考)】