説明

多価および/または複数特異的RANKL結合性構築物

本発明は、RANKLアンタゴニストとVEGFアンタゴニストとの組み合わせに関し、かつ、1つ以上のエピトープ結合ドメインに連結したタンパク質足場を含む、RANKLに結合する抗原結合性構築物、それら構築物の製造方法及びその使用を提供する。この抗原結合性構築物は少なくとも2つの抗原結合部位を有し、そのうちの少なくとも1つはエピトープ結合ドメインに由来し、少なくとも1つはペアード(対になった)VH/VLドメイン由来する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
抗体を治療用途に用いることは周知である。
【0002】
抗体は、少なくとも2つの重鎖と2つの軽鎖を含むヘテロ多量体糖タンパク質である。IgMを除いて、通常、インタクト抗体は約150Kdaのヘテロテトラマー糖タンパク質であり、2つの同じ軽鎖(L)と2つの同じ重鎖(H)により構成される。通常、各軽鎖は1つの共有結合性ジスルフィド結合により重鎖と結合するが、免疫グロブリンアイソタイプによって重鎖間のジスルフィド結合の数は変化する。それぞれ重鎖と軽鎖は鎖内ジスルフィド架橋も有している。各重鎖には、一端に可変ドメイン(VH)があり、続いていくつかの定常領域がある。各軽鎖は、可変ドメイン(VL)と、他端に定常領域を有する。軽鎖の定常領域は重鎖の最初の定常領域と並び、また、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと並んでいる。ほとんどの脊椎動物種由来の抗体の軽鎖は、定常領域のアミノ酸配列に基づいて、カッパとラムダと呼ばれる2つのタイプの1つに割り当てられる。ヒト抗体は、重鎖の定常領域のアミノ酸配列によって、5つの異なるクラス、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMに割り当てられる。IgGとIgAは、さらにサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、およびにIgA1、IgA2に細分化することができる。種変異体はマウスとラットで認められ、少なくともIgG2aとIgG2bがある。可変ドメインは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる特別の変異性を示す特定の領域によって、抗体に結合特異性を付与する。可変領域の中で、より保存される領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。インタクトな重鎖と軽鎖の可変ドメインはそれぞれ3つのCDRによって連結されている4つのFRを含む。各鎖の中のCDRはFR領域によって互いに接近して置かれ、他方の鎖のCDRと共に抗体の抗原結合性部位の形成に寄与する。定常領域は、抗体の抗原への結合に直接関係しないが、抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)への関与、Fcγ受容体への結合による食作用、新生児のFc受容体(FcRn)による半減期/クリアランス速度、および補体カスケードのC1qコンポーネントによる補体依存性細胞毒性、等種々のエフェクター機能を示す。
【0003】
2つの抗原結合性部位があり、その両方が同じエピトープに特異的であるのが、IgG抗体の構造の特徴である。従って、それらは一重特異性である。
【0004】
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性がある抗体である。そのような抗体を作る方法は、当業者には既知である。本来、二重特異性抗体の組み換え産生は、2つのH鎖が異なる結合特異性を有する2つの免疫グロブリンH鎖L鎖ペアの同時発現に基づいている。Millstein et al, Nature 305 537-539 (1983), WO93/08829 and Traunecker et al EMBO, 10, 1991, 3655-3659参照。HとL鎖の任意組み合わせが可能なために、組み合わせ可能な10種の異なる抗体構造の混合物が産生され、その内の1つだけが所望の結合特異性を有する。別のアプローチでは、少なくともヒンジ部、CH2およびCH3領域の一部を含む重鎖定常領域に、所望の結合特異性を備えた可変ドメインを融合させる方法が含まれる。軽鎖結合に必要な部位を含んでいるCH1領域が、少なくとも1つの融合体中に存在するのが好ましい。DNAコードしたこれらの融合体、また、所望ならそのL鎖を、別々の発現ベクターに挿入し、適切な宿主生物へ同時導入する。しかし2つあるいは3つすべての鎖のコード配列を1つの発現ベクトルに挿入することも可能である。1つのアプローチでは、二重特異性抗体は、1つのアーム中に一つ目の結合特異性を有するH鎖と、他方のアーム中に二つ目の結合特異性を提供するH−L鎖ペアとで構成される。WO94/04690参照。また、Suresh et al Methods in Enzymology 121, 210, 1986も参照のこと。別のアプローでチは、単一ドメイン結合部位を含む抗体分子を含んでいる(WO2007/095338に記述)。
【0005】
RANKL(核内転写因子カッパB配位子の受容体活性化因子)は腫瘍壊死ファミリーのメンバーで、破骨細胞形成と骨吸収に関係する。RANKおよびそのリガンドRANK−Lは、骨吸収を調節するために共同で作用するが、これは骨再構築であり通常の生理機能の一部である。通常の生理機能では、RANKは破骨細胞前駆物質上で発現する。しかし、RANKLは骨芽ストローマ細胞およびT細胞上で発現する。骨芽細胞とT細胞は破骨細胞形成と骨吸収を生ずる破骨細胞の成長を促進する。RANKLは、骨粗鬆症、治療誘発骨喪失、慢性関節リウマチ等の一連の疾患における骨破壊に重要な役割を果たすと考えられ、転移性疾患と多発性骨髄腫における骨破壊や腫瘍成長という悪循環を増幅させる。
【0006】
VEGF/VEGF受容体は腫瘍増殖に関わる別の経路の一部を形成し、正常な生理機能の下では血管新生を制限するが、癌の場合には血管新生により腫瘍の増殖を促進する。さらに重要なことは、VEGF/VEGFR経路は、バイスタンダー(間質)細胞上のRANKの発現増加を促進し、RANK−Lを経由して破骨細胞形成を促進し得ることが明らかになったことである。この結果は、骨吸収の増加、および腫瘍細胞浸潤、成長および生存のための微小環境の生成を意味する。
【0007】
関節骨侵食は、軟骨退化と共に、関節リウマチと変形性関節症で起こる2つの構造変化である。RANKLは破骨細胞の形成、機能および生存に不可欠な要因である。関節では、RANK−Lは、RA患者の滑膜中のT細胞および繊維芽細胞様滑膜細胞上で発現する。関節滑膜中のRANK−Lが、滑膜のパンヌス軟骨/軟骨下骨境界で見つかった成熟した破骨細胞の成長を促進しており、この細胞が慢性関節リウマチ患者の局所的骨侵食の原因であることが研究により実証された。
【発明の概要】
【0008】
本発明は治療に使用されるRANKLアンタゴニストとVEGFアンタゴニストの組み合わせに関する。
【0009】
本発明は、特に、1つまたは複数のエピトープ結合ドメインにリンクされたタンパク質足場を含む抗原結合性構築物に関し、この抗原結合性構築物は少なくとも2つの抗原結合性部位を有し、その内の少なくとも1つがエピトープ結合ドメインに由来し、少なくとも1つがペアード(対になった)VH/VLドメインに由来し、また、抗原結合性部位の少なくとも1つがRANKリガンドに結合する。
【0010】
また、本発明は、本明細書記載のうちのいずれかの抗原結合性構築物の重鎖をコードしたポリヌクレオチド配列、および本明細書記載のうちのいずれかの抗原結合性構築物の軽鎖をコードしたポリヌクレオチドを提供する。このポリヌクレオチドは、等価のポリペプチド配列に対応するコード配列を示すが、このポリヌクレオチド配列を、開始コドン、適切なシグナル配列および停止コドンと共に発現ベクターに挿入することができることは理解されるであろう。本発明はさらに組み換え型の形質転換または形質移入した宿主細胞を提供し、この宿主細胞は本明細書記載のいずれかの抗原結合性構築物の重鎖、および軽鎖をコードした1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む。
【0011】
さらに、本発明は本明細書記載のいずれかの抗原結合性構築物の産生方法を提供し、この方法は、第1および第2のベクターを含む宿主細胞を適切な培地、例えば無血清培地中で培養するステップを含み、前記第1のベクターが本明細書記載のいずれかの抗原結合性構築物の重鎖をコードしたポリヌクレオチドを含み、前記第2のベクターが本明細書記載のいずれかの抗原結合性構築物の軽鎖をコードしたポリヌクレオチドを含む。本発明はさらに本明細書記載の抗原結合性構築物および製薬上許容可能な担体を含む医薬品組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】抗原結合性構築物の例を示す。
【図2】抗原結合性構築物の例を示す。
【図3】抗原結合性構築物の例を示す。
【図4】抗原結合性構築物の例を示す。
【図5A】抗原結合性構築物の例を示す。
【図5B】抗原結合性構築物の例を示す。
【図5C】抗原結合性構築物の例を示す。
【図6】抗原結合性構築物の模式図を示す。
【図7】VEGF及びRANKLブリッジングELISAの結果を示す。BPC1844はRANKL及びVEGF両方への結合を示すことを確認した。BPC2609、BPC1633及びネガティブコントロール抗体は両方の標的への結合を示さない。
【0013】
定義
本明細書で使われる用語「タンパク質足場」は、限定されるものではないが、免疫グロブリン(Ig)足場、例えば、IgG足場を含み、これは4鎖または2鎖抗体であってもよく、または抗体のFc領域のみを含んでもよく、あるいは1つまたは複数の抗体由来の定常領域を含んでもよい。また、この定常領域は、ヒトまたは霊長類起源であっても、ヒトまたは霊長類定常領域の人工キメラであってもよい。このようなタンパク質足場は、1つまたは複数の定常領域の他に抗原結合性部位を含んでもよい。例えば、タンパク質足場がIgG全体を含む場合もある。このようなタンパク質足場は、他のタンパク質ドメイン、例えばエピトープ結合ドメインまたはScFvドメイン、等の抗原結合性部位を有するタンパク質ドメインに結合可能である。
【0014】
「ドメイン」は、他のタンパク質とは独立した三次構造を有する折り畳まれたタンパク質構造である。通常、ドメインは領域タンパク質の多様な機能特性の原因であり、多くの場合、タンパク質および/またはドメインの残りの部分の機能を失うことなく、他のタンパク質に付加、除去または移動可能である。「抗体単一可変領域」は、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含む、折り畳みポリペプチド領域である。従って、これは完全抗体可変ドメイン、および、例えば、1つまたは複数のループが抗体可変ドメインの特徴を有しない配列、または切断された抗体可変ドメインやNやC末端延長部を含む抗体可変ドメインにより置換された修飾可変ドメイン、並びに少なくとも全長領域の結合活性と特異性を保持している可変ドメインの折り畳まれた断片を含む。
【0015】
語句「免疫グロブリン単一可変ドメイン」は、別の可変領域またはドメインとは独立に、抗原またはエピトープに特異的に結合する抗体可変ドメイン(V、VHH、V)を指す。免疫グロブリン単一可変ドメインは、他の異なる可変領域または可変ドメインと共に、ある種のフォーマット(例えば、ホモまたはヘテロ多量体)で存在できる。この場合、他の領域またはドメインは、単一免疫グロブリン可変ドメインによる抗原結合には要求されていない(すなわち、免疫グロブリン単一可変ドメインは新たな可変ドメインとは独立に抗原に結合する)。本明細書で使われる場合、「ドメイン抗体」または「dAb」は、抗原に結合が可能な「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。免疫グロブリン単一可変ドメインは、ヒト抗体可変ドメインであってもよいが、例えばげっ歯類(例はWO00/29004で開示)、テンジクザメおよびラクダのVHHdAb、等他の種由来の単一抗体可変ドメインを含んでもよい。ラクダVHHはラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ、およびグアナコ等の種由来の免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドであり、これは元々軽鎖の欠けた重鎖抗体を産生する。このVHH領域は、当業者に利用可能な標準的な方法によりヒト化されてもよく、この領域も本発明による「ドメイン抗体」と考えられる。本明細書で使われる「V」はラクダVHHドメインを含む。NARVは、テンジクザメを含む軟骨魚類で特定された別のタイプの免疫グロブリン単一可変ドメインである。また、これらの領域は、新規抗原受容体可変領域(通常、V(NAR)またはNARVと省略)としても知られる。詳細は、Mol. Immunol. 44, 656-665 (2006)および US20050043519A参照。
【0016】
用語「エピトープ結合ドメイン」は、別の可変領域またはドメインとは独立に、抗原またはエピトープに特異的に結合するドメインを指す。これは、ドメイン抗体(dAb)、例えばヒト、ラクダまたはサメの免疫グロブリン単一可変ドメインであってもよく、または下記を含む群から選択された足場の誘導体であってもよい:CTLA−4(Evibody);リポカリン;プロテインA由来分子、例えばプロテインAのZ−領域(アフィボディ、SpA)、A−領域(アビマー/マキシボディ(Maxibody));熱ショックタンパク質、例えばGroELとGroES;トランスフェリン(トランスボディ(Trans−body));アンキリンリピートタンパク質(DARPin);ペプチドアプタマー;C−タイプレクチン領域(テトラネクチン);ヒトγクリスタリンおよびヒトユビキチン(affilin);PDZドメイン;ヒトプロテアーゼ阻害剤のスコーピオントキシンクニッツタイプドメイン;およびフィブロネクチン(アドネクチン(adnectin));これらは天然のリガンド以外のリガンドに結合させるためにタンパク質工学による操作が行われたものである。
【0017】
CTLA−4(細胞毒性Tリンパ球関連抗原4)は主にCD4+T細胞上に発現するCD28ファミリー受容体である。その細胞外ドメインは可変ドメイン様Ig折畳を有する。抗体のCDRに対応するループは、異種の配列と置換することにより異なる結合特性を付与することができる。異なる結合特異性を有するように操作されたCTLA−4分子は、Evibodyとして知られている。詳細は、Journal of Immunological Methods 248 (1-2), 31-45 (2001)を参照のこと。
【0018】
リポカリンは細胞外タンパク質ファミリー で、ステロイド, ビリン, レチノイドおよび脂質、等の小さな疎水性の分子を輸送する。これらは、円錐形構造の開口端に多くのループがある強固なβ−シート二次構造を有し、これは別の標的抗原に結合するように操作できる。アンチカリンはサイズが160−180アミノ酸で、リポカリン由来である。詳細は、Biochim Biophys Acta 1482: 337-350 (2000), US7250297B1 およびUS20070224633を参照のこと。
【0019】
アフィボディは、黄色ブドウ球菌のプロテインA由来の足場で、抗原結合するように操作できる。このドメインは約58のアミノ酸からなる3つのらせん状束で構成される。ライブラリは表面残基の無作為化により生成されている。詳細は、Protein Eng.Des.Sel.17, 455-462 (2004) および EP1641818A1を参照のこと。
【0020】
アビマーは、A−ドメイン足場ファミリー由来の多ドメインタンパク質である。約35アミノ酸の未変性ドメインは、明確なジスルフィド結合構造をとっている。多様性は、A−ドメインファミリー中の天然突然変異の混ぜ合わせにより生成されている。詳細は、Nature Biotechnology 23(12), 1556 - 1561 (2005) and Expert Opinion on Investigational Drugs 16(6), 909-917 (June 2007)を参照のこと。
【0021】
トランスフェリンは、単量体血清輸送糖タンパク質である。トランスフェリンは許容表面ループに挿入する操作により別の標的抗原に結合させることができる。操作したトランスフェリン足場の例には、トランスボディがある。詳細は、J. Biol.Chem 274, 24066-24073 (1999)参照。
【0022】
設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)は、膜内在性タンパク質の細胞骨格への連結を媒介するタンパク質ファミリーであるアンキリン由来である。アンキリンの一つの繰り返し単位は33残基のモチーフで、2つのα−螺旋とβ−回転とで構成される。これらは、各繰り返し中の一つ目のα−らせんとβ−回転の残基を無作為化することにより標的抗原に結合するよう操作できる。これらの結合面は、分子の数を増やすことにより増加させることができる(親和性成熟の方法)。詳細は、J. Mol. Biol. 332, 489-503 (2003), PNAS 100(4), 1700-1705 (2003)とJ. Mol. Biol. 369, 1015-1028 (2007) および US20040132028A1参照。
【0023】
フィブロネクチンは、抗原に結合させるように操作可能な足場である。アドネクチンは、ヒトIII型フィブロネクチン(FN3)における15繰り返し単位の内の10番目のドメインの天然アミノ酸配列骨格からなる。β−サンドイッチの一端の3つのループは操作によりアドネクチンに特異的に治療標的を認識させることができる。詳細は、Protein Eng. Des. Sel. 18, 435-444 (2005), US20080139791, WO2005056764 および US6818418B1参照。
【0024】
ペプチドアプタマーはコンビナトリアル認識分子で、定常性足場タンパク質で構成され、このタンパク質の典型的例には、活性部位に挿入された制限付き可変ペプチドループを含むチオレドキシン(TrxA)がある。詳細は、Expert Opin.Biol. Ther. 5, 783-797 (2005)参照。
【0025】
ミクロボディは、長さ25−50アミノ酸の自然発生のマイクロタンパク質由来で、3−4システインブリッジを含む。マイクロタンパク質の例には、KalataB1、コノトキシンおよびノッティンがある。マイクロタンパク質は、ループを有し、これは、マイクロタンパク質全体の折り畳みに影響を与えないで25アミノ酸まで含有するように操作できる。操作されたノッティンドメインの詳細については、WO2008098796参照。
【0026】
他のエピトープ結合ドメインには、別の標的抗原の結合特性を操作するための足場として使われてきたタンパク質、例えばヒトγ−クリスタリンおよびヒトユビキチン(affilin)、ヒトプロテアーゼ阻害剤のkunitzタイプドメイン、Ras−結合タンパク質AF−6のPDZドメイン、サソリ毒(カリブドトキシン)、C−タイプレクチンドメイン(テトラネクチン)がある(これらは、Handbook of Therapeutic Antibodies (2007, edited by Stefan Dubel) の7章Non-Antibody ScaffoldsおよびProtein Science 15:14-27 (2006)でレビューされている)。本発明のエピトープ結合ドメインは、これらの代替タンパク質ドメインに由来してもよい。
【0027】
本明細書で使われる用語「ペアードVドメイン」、「ペアードVドメイン」、および「ペアードV/Vドメイン」は、それらのパートナー可変ドメインペアとペアの場合のみ抗原に特異的に結合する抗体可変ドメインを指す。いずれの対形成でも常に1つのVと1つのVがあり、用語「ペアードVドメイン」はVパートナーを指し、用語「ペアードVドメイン」はVパートナーを指し、用語「ペアードV/Vドメイン」は2つのドメインを一緒に表す。
【0028】
本発明の一実施形態では、抗原結合性部位は、少なくとも、Kd値1mMで抗原に結合し、例えばBiacore(登録商標)で測定してKd値10nM、1nM、500pM、200pM、100pM、で各抗原に結合する。
【0029】
本明細書で使われる用語「抗原結合性部位」は、抗原に特異的に結合可能な構築物上の部位を指し、単一ドメイン、例えばエピトープ結合ドメインであっても、標準的抗体上に認められるペアードV/Vドメインであってもよい。本発明の一部の態様では、単一鎖Fv(ScFv)ドメインは抗原結合性部位を提供できる。
【0030】
用語「mAb/dAb」および「dAb/mAb」は、本明細書では本発明の抗原結合性構築物を指す。この2つの用語は、本明細書では相互に置き換え可能な使い方が可能で、同じ意味が意図されている。
【0031】
用語「定常重鎖1」は本明細書では、免疫グロブリン重鎖のCH1ドメインを指す。
【0032】
用語「定常軽鎖」は本明細書では、免疫グロブリン軽鎖の定常ドメインを指す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明はRANKLアンタゴニストとVEGFアンタゴニストを含む組成物を提供する。また、本発明は治療に使用するためのRANKLアンタゴニストとVEGFアンタゴニストの組み合わせを提供する。本発明はまたRANKLアンタゴニストをVEGFアンタゴニストと併用して投与することにより疾患を治療する方法を提供する。RANKLアンタゴニストとVEGFアンタゴニストを別々に投与しても、順次投与しても、同時に投与してもよい。
【0034】
RANK−LとVEGFの標的化は、RANKの上方調節と破骨細胞形成の増大を防止し、骨を再構築して腫瘍の増殖を調節することにより骨転移の進展を抑制する大きな効果があるはずである。さらに、VEGFの抑制は血管新生を防ぐ。また、これはAMLのような癌にも大きな効果があると思われる。AMLの進行は、i)高増殖性を有する白血病幹細胞への悪性転換、および、ii)微小疾患から臨床疾患への進展を促進する骨髄血管新生、に依存している。
【0035】
このようなアンタゴニストは、抗体であっても、エピトープ結合ドメイン、例えばdAbであってもよい。アンタゴニストは、別々の分子の混合物として、一緒に投与(すなわち同時投与)してもよいし、あるいは互いを例えば20時間以内、または15時間以内、または12時間以内、または10時間以内、または8時間以内、または6時間以内、または4時間以内、または2時間以内、または1時間以内、または30分以内などのように24時間以内に投与してもよい。
【0036】
さらなる実施形態では、アンタゴニストは2つ以上の抗原に結合できる1つの分子として存在する。例えば、本発明はRANKLとVEGFに結合可能な、またはRANKLおよびVEGFR2に結合可能な二重標的化分子を提供する。
【0037】
本発明はタンパク質足場を含む抗原結合性構築物を提供する。この足場は1つまたは複数のエピトープ結合ドメインに結合する。当該抗原結合性構築物は少なくとも2つの抗原結合性部位を有し、少なくともその内の1つがエピトープ結合ドメインに由来し、少なくとも1つがペアードV/Vドメインに由来し、またこの抗原結合性部位の少なくとも1つがRANKリガンドに結合する。
【0038】
このような抗原結合性構築物は、タンパク質足場を含み、この足場は、例えばIgG等のIg足場、例えば1つまたは複数のエピトープ結合ドメインに結合するモノクローナル抗体、例えばドメイン抗体を含み、結合構築物は少なくとも2つの抗原結合性部位を有し、その内の少なくとも1つがエピトープ結合ドメインに由来し、また抗原結合性部位の少なくとも1つがRANKリガンドに結合している。また、本発明はこれを産生する方法およびその使用、特に治療での使用に関する。
【0039】
本発明による抗原結合性構築物の一部の例を図1〜5に示す。
【0040】
本発明の抗原結合性構築物はmAbdAbとも呼ばれる。
【0041】
一実施形態では、本発明の抗原結合性構築物のタンパク質足場は、Ig足場、例えばIgG足場またはIgA足場である。IgG足場は、抗体の全てのドメイン(すなわち、CH1、CH2、CH3、V、V)を含んでもよい。本発明の抗原結合性構築物はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはIgG4PEから選択されたIgG足場を含んでもよい。
【0042】
本発明の抗原結合性構築物は少なくとも2つの抗原結合性部位を有し、例えば2つの結合部位の内、一つ目の結合部位は抗原上の第1のエピトープに特異性を有し、二つ目の結合部位は同じ抗原上の第2のエピトープに特異性を有する。さらなる実施形態では、4つの抗原結合性部位、または6つの抗原結合性部位、または8つの抗原結合性部位、または10個以上の抗原結合性部位が存在する。一実施形態では、抗原結合性構築物は2つ以上の抗原、例えば2つの抗原、または3つの抗原、または4つの抗原に対して特異性を有する。
【0043】
別の態様では、本発明は、2つ以上の式Iの構造を含むホモ二量体の少なくとも1つを含むRANKLに結合可能な抗原結合性構築物に関する:
【化1】

【0044】
式中、Xは、定常重鎖ドメイン2および定常重鎖ドメイン3を含む定常抗体領域を表し;
、R、RおよびRはエピトープ結合ドメインから独立に選択されたドメインを表し;
は、定常重鎖1、およびエピトープ結合ドメインからなる群から選択されたドメインを表し;
は、ペアードVおよびエピトープ結合ドメインからなる群から選択されたドメインを表し;
は、定常軽鎖、およびエピトープ結合ドメインからなる群より選択されたドメインを表し;
は、ペアードVおよびエピトープ結合ドメインからなる群から選択されたドメインを表し;
nは、0、1、2、3および4から独立に選択された整数を表し;
mは、0および1から独立に選択された整数を表し、
定常重鎖1および定常軽鎖ドメインが会合しており、
少なくとも1つのエピトープ結合ドメインが存在し、
さらに、RがペアードVドメインを表す場合は、RはペアードVドメインを表して、2つのドメインが一緒になって抗原に結合できるようにする。
【0045】
一実施形態では、RはペアードVを表し、RはペアードVを表す。
【0046】
さらなる実施形態では、RとRのどちらか、または両方がエピトープ結合ドメインを表す。
【0047】
またさらなる実施形態では、RとRのどちらか、または両方がエピトープ結合ドメインを表す。
【0048】
一実施形態では、Rが存在する。
【0049】
一実施形態では、R、RおよびRはエピトープ結合ドメインを表す。
【0050】
一実施形態では、R、R、RおよびRはエピトープ結合ドメインを表す。
【0051】
一実施形態では、(R、(R、(Rおよび(R=0、すなわち存在せず、RはペアードVドメインであり、RはペアードVドメインであり、RはVdAbであり、およびRはVdAbである。
【0052】
別の実施形態では、(R、(R、(Rおよび(Rは0、すなわち存在せず、RはペアードVドメインであり、RはペアードVドメインであり、RはVdAbであり、および(R=0すなわち存在しない。
【0053】
別の実施形態では、(Rおよび(Rは0、すなわち存在せず、RはdAbであり、RはdAbであり、RはペアードVドメインであり、RはペアードVドメインであり、(Rと(R=0、すなわち存在しない。
【0054】
本発明の一実施形態では、エピトープ結合ドメインはdAbである。
【0055】
本明細書記載の抗原結合性構築物はいずれも1つまたは複数の抗原を中和することができ、例えばRANKLの中和およびVEGFの中和も可能であることは、理解されるであろう。
【0056】
本発明の抗原結合性構築物に関連して本明細書で使われる用語「中和する」およびその文法的変形体は、本発明の抗原結合性構築物の存在下、このような抗原結合性構築物の無い場合の標的の活性に比較して、全体的または部分的に標的の生物活性が低下することを意味する。限定されないが、中和は、リガンドのブロッキング、受容体を活性化するリガンドの阻害、受容体の発現低下、またはエフェクター機能への作用のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0057】
中和のレベルはいくつかの方法、例えば、下記の実施例、例えば、実施例4に記載の受容体に対するリガンドの結合の阻害を測定するアッセイ、で示されるような任意のアッセイの使用により測定可能である。このアッセイでは、VEGFの中和は、中和作用のある抗原結合性構築物の存在下でリガンドとその受容体の間の結合性の低下を評価することにより測定される。
【0058】
中和を評価する他の方法、例えば中和する抗原結合性構築物の存在下、リガンドとその受容体間の結合低下を評価することにより測定する方法は、当業者には既知であり、例えばBiacore(商標)アッセイがある。
【0059】
本発明の別の態様では、少なくとも実質的に本明細書で例示されているものと等価な中和活性を有する抗原結合性構築物が提供される。
【0060】
本発明の抗原結合性構築物はRANKLに対して特異性を有し、例えばRANKLに結合可能なエピトープ結合ドメイン、および/またはRANKLに結合するペアードV/Vを含む。抗原結合性構築物はRANKLに結合可能な抗体を含んでもよい。抗原結合性構築物はRANKLに結合可能なdAbを含んでもよい。
【0061】
一実施形態では、本発明の抗原結合性構築物は、例えばRANKLおよびVEGFに結合可能な場合のように2つ以上の抗原に対し特異性を有する。一実施形態では、本発明の抗原結合性構築物はRANKLおよびVEGFに同時に結合可能である。
【0062】
本明細書記載の抗原結合性構築物はいずれも、例えば実施例5に記載されたような適切なアッセイを使った化学量論的解析により測定することにより、同時に2つ以上の抗原に結合可能であってもよいことは理解されよう。
【0063】
このような抗原結合性構築物の例には、RANKLアンタゴニストであるエピトープ結合ドメインを有するVEGF抗体、重鎖のC末端やN末端または軽鎖のC末端やN末端に結合した抗RANKLdAb、または重鎖のC末端やN末端または軽鎖のC末端やN末端に結合したRANKLナノボディがある。実施例には、配列番号44の重鎖配列および/または配列番号45の軽鎖配列を含み、重鎖と軽鎖の片方または両方がRANKLに結合する1つまたは複数のエピトープ結合ドメインをさらに含む抗原結合性構築物、例えば配列番号47または配列番号48のナノボディ、例えば、配列番号50または52に示される重鎖配列、および/または配列番号51で示される軽鎖配列を有する抗原結合性構築物、または配列番号50または52に示される重鎖配列、および配列番号44で示される軽鎖配列を有する抗原結合性構築物、または配列番号44または49に示される重鎖配列、および配列番号51で示される軽鎖配列を有する抗原結合性構築物が含まれる。
【0064】
一実施形態では、抗原結合性構築物は、RANKLアンタゴニストであるエピトープ結合ドメインに結合した抗VEGF抗体を含み、この抗VEGF抗体は配列番号53の可変重鎖配列および配列番号54の可変軽鎖配列を有する抗体と同じCDR、または配列番号44または49の可変重鎖配列および配列番号45の可変軽鎖配列を有する抗体と同じCDRを有する。
【0065】
このような抗原結合性構築物の例には、VEGFアンタゴニストであるエピトープ結合ドメインを有するRANKL抗体、例えば、重鎖のC末端やN末端、または軽鎖のC末端やN末端に結合した抗VEGF dAbがある。例えば、配列番号1にリンクした配列番号24、25、30、31、32または36の重鎖配列、および/または配列番号1にリンクした配列番号26、27、28、29、33、34、35または37の軽鎖配列を含む。
【0066】
このような抗原結合性構築物の例には、VEGFアンタゴニストであるエピトープ結合ドメインを有するRANKL抗体、例えば、重鎖のC末端やN末端、または軽鎖のC末端やN末端に結合した抗VEGF dAb、配列番号38で示される重鎖配列および/または配列番号39で示される軽鎖配列、または配列番号40または42で示される重鎖配列および/または配列番号41または43で示される軽鎖配列、または配列番号55で示される重鎖配列および配列番号26で示される軽鎖配列、または配列番号55で示される重鎖配列および配列番号41または43で示される軽鎖配列を有する抗原結合性構築物がある。
【0067】
このような抗原結合性構築物の他の例には、抗VEGFアンチカリンを有し、重鎖のC末端またはN末端、または軽鎖のC末端またはN末端に結合したRANKL抗体が含まれ、例えば、配列番号2にリンクした配列番号24、25、30、31、32または36で示される重鎖配列および/または配列番号2にリンクした配列番号26、27、28、29、33、34、35または37に示された軽鎖配列を含む抗原結合性構築物が含まれる。
【0068】
このような抗原結合性構築物の他の例には、抗VEGFR2アドネクチンを有し、重鎖のC末端またはN末端、または軽鎖のC末端またはN末端に結合したRANKL抗体が含まれ、例えば、配列番号46にリンクした配列番号24、25、30、31、32または36で示される重鎖配列および/または配列番号46にリンクした配列番号26、27、28、29、33、34、35または37に示された軽鎖配列を含む抗原結合性構築物が含まれる。
【0069】
一実施形態では、抗原結合性構築物にはVEGFアンタゴニストであるエピトープ結合ドメインに結合した抗RANKL抗体が含まれ、この抗RANKL抗体は配列番号24、25、30、31、32または36の重鎖配列および配列番号26、27、28、29、33、34、35または37の軽鎖配列を有する抗体と同じCDRを有する。
【0070】
このような抗原結合性構築物の他の例には、抗VEGFエピトープ結合ドメイを有し、重鎖のC末端またはN末端、または軽鎖のC末端またはN末端に結合した抗RANKL抗体が含まれ、このVEGFエピトープ結合ドメインは、WO2007080392(参照により本明細書に組み込まれる)に記述されたいずれかの、特に配列番号117、119、123、127〜198、539および540で示されたVEGF dAb配列から選択されたVEGF dAb、またはWO2008149146(参照により本明細書に組み込まれる)に記述されたいずれかの、特にDOM15−26−501、DOM15−26−555、DOM15−26−558、DOM15−26−589、DOM15−26−591、DOM15−26−594およびDOM15−26−595と記載されたVEGF dAb配列から選択されたVEGF dAbである。
【0071】
これらの具体的配列およびWO2007080392とWO2008149146の開示は、本明細書の請求項に組み込むために開示するという明白な意図を有し、しかも本発明を応用するための可変ドメインとアンタゴニストの実施例として、あたかも本明細書に明示的に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
また、このような抗原結合性構築物は、同じまたは異なる抗原特異性を有し、重鎖のC末端および/またはN末端、および/または、軽鎖のC末端および/またはN末端に結合した1つまたは複数の追加のエピトープ結合ドメインをさらに有してもよい。
【0073】
本発明の一実施形態では、ADCCおよび/または補体活性化またはエフェクター機能を低減させるような抗体となる、定常領域を含み本明細書記載の発明に従った抗原結合性構築物が提供される。このような一実施形態では、重鎖定常領域は、IgG2またはIgG4アイソタイプの本来の無効化定常領域または変異IgG1定常領域を含んでもよい。適切な修飾の例は、EP0307434に記載されている。一例では、位置235および237(EUインデックスナンバリング、すなわち、kabatナンバリング)のアラニン残基の置換が含まれる。
【0074】
一実施形態では、本発明の抗原結合性構築物は、例えばADCCおよびCDC活性の1つまたは両方が可能なFc機能を保持する。このような抗原結合性構築物は、軽鎖上、例えば、軽鎖のC末端上にエピトープ結合ドメインを含んでもよい。
【0075】
また、本発明は、エピトープ結合ドメインを抗体の軽鎖上、特に、エピトー結合ドメインを軽鎖のC末端上に配置することにより抗原結合性構築物のADCCおよびCDC機能を維持する方法を提供する。
【0076】
本発明は、また、エピトープ結合ドメインを抗体の重鎖上、特に、エピトー結合ドメインを重鎖のC末端上に配置することにより抗原結合性構築物のCDC機能を低減させる方法を提供する。
【0077】
一実施形態では、抗原結合性構築物は、ドメイン抗体(dAb)であるエピトープ結合ドメインを含む。例えば、エピトープ結合ドメインは、ヒトVまたはヒトVであっても、ラクダVHHまたはサメdAb(NARV)であってもよい。
【0078】
一実施形態では、抗原結合性構築物は、下記の群から選択された足場誘導体であるエピトープ結合ドメインを含む:CTLA−4(Evibody);リポカリン;プロテインA由来分子例えばプロテインAのZドメイン(アフィボディ、SpA)、Aドメイン(アビマー/マキシボディ);GroELやGroES等の熱ショックタンパク質;トランスフェリン(トランスボディ);アンキリンリピートタンパク質(DARPin);ペプチドアプタマー;C−タイプレクチンドメイン(テトラネクチン);ヒトγクリスタリンおよびヒトユビキチン(affilin);PDZドメイン;ヒトプロテアーゼ阻害剤のスコーピオントキシンクニッツタイプドメイン;およびフィブロネクチン(アドネクチン);これは天然のリガンド以外のリガンドに結合させるためにタンパク質工学による操作が行われたものである。
【0079】
本発明の抗原結合性構築物は、アドネクチンであるエピトープ結合ドメインに結合したタンパク質足場、例えば、重鎖のC末端に結合したアドネクチンを有するIgG足場を含んでもよく、またはアドネクチンに結合したタンパク質足場、例えば、重鎖のN末端に結合したアドネクチンを有するIgG足場を含んでもよく、または、アドネクチンに結合したタンパク質足場、例えば、軽鎖のC末端に結合したアドネクチンを有するIgG足場を含んでもよく、または、アドネクチンに結合したタンパク質足場、例えば、軽鎖のN末端に結合したアドネクチンを有するIgG足場を含んでもよい。
【0080】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばCTLA−4であるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したCTLA−4を有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したCTLA−4を有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したCTLA−4を有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したCTLA−4を有するIgG足場を含んでもよい。
【0081】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばリポカリンであるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したリポカリンを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したリポカリンを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したリポカリンを有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したリポカリンを有するIgG足場を含んでもよい。
【0082】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばSpAであるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したSpAを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したSpAを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したSpAを有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したSpAを有するIgG足場を含んでもよい。
【0083】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばアフィボディであるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したアフィボディを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したアフィボディを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したアフィボディを有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したアフィボディを有するIgG足場を含んでもよい。
【0084】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばaffimerであるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したaffimerを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したaffimerを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したaffimerを有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したaffimerを有するIgG足場を含んでもよい。
【0085】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばGroELであるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したGroELを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したGroELを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したGroELを有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したGroELを有するIgG足場を含んでもよい。
【0086】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばトランスフェリンであるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したトランスフェリンを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したトランスフェリンを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したトランスフェリンを有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したトランスフェリンを有するIgG足場を含んでもよい。
【0087】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばGroESであるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したGroESを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したGroESを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したGroESを有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したGroESを有するIgG足場を含んでもよい。
【0088】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばDARPinであるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したDARPinを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したDARPinを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したDARPinを有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したDARPinを有するIgG足場を含んでもよい。
【0089】
他の実施形態では、抗原結合性構築物は、タンパク質足場、例えばペプチドアプタマーであるエピトープ結合ドメインに結合したIgG足場、例えば、重鎖のN末端に結合したペプチドアプタマーを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、重鎖のC末端に結合したペプチドアプタマーを有するIgG足場を含んでもよく、または、例えば、軽鎖のN末端に結合したペプチドアプタマーを有するIgG足場を含んでもよく、または、軽鎖のC末端に結合したペプチドアプタマーを有するIgG足場を含んでもよい。
【0090】
本発明の一実施形態では、4つのエピトープ結合ドメイン、例えば4つのドメイン抗体があり、2つのエピトープ結合ドメインが同じ抗原に対し特異性を有してもよく、あるいは抗原結合性構築物中に存在する全てのエピトープ結合ドメインが同じ抗原に対し特異性を有してもよい。
【0091】
本発明のタンパク質足場は、リンカーを使ってエピトープ結合ドメインに連結してもよい。適切なリンカーの例は、1アミノ酸〜150アミノ酸の長さ、または1アミノ酸〜140アミノ酸、例えば、1アミノ酸〜130アミノ酸、または1〜120アミノ酸、または1〜80アミノ酸、または1〜50アミノ酸、または1〜20アミノ酸、または1〜10アミノ酸、または5〜18アミノ酸のアミノ酸配列であってもよい。このような配列は、それ自身の三次構造を有してもよく、例えば、本発明のリンカーが単一可変ドメインを含んでもよい。一実施形態では、リンカーのサイズは、単一可変ドメインと同等である。適切なリンカーは、サイズが1〜20オングストロームであってもよく、例えば、15オングストローム未満、または10オングストローム未満、または5オングストローム未満であってもよい。
【0092】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのエピトープ結合ドメインは、1〜150アミノ酸、例えば、1〜20アミノ酸、例えば1〜10アミノ酸からなるリンカーで、Ig足場に直接結合している。このようなリンカーは、配列番号3〜8で示されるもののいずれか1つから選択することができ、例えば、リンカーは「TVAAPS」であってもよく、またはリンカーは「GGGGS」であってもよく、または、これらリンカーの複合であってもよい。本発明の抗原結合性構築物で使用するリンカーは、単体でも他のリンカーとの組み合わせでも、1つまたは複数のGS残基のセット、例えば、「GSTVAAPS」または「TVAAPSGS」または「GSTVAAPSGS」またはこれらのリンカーの複合であってもよい。
【0093】
一実施形態では、エピトープ結合ドメインは、リンカー「(PAS)(GS)」によりIg足場に結合している。別の実施形態では、エピトープ結合ドメインは、リンカー「(GGGGS)(GS)」によりIg足場に結合している。別の実施形態では、エピトープ結合ドメインは、リンカー「(TVAAPS)(GS)」によりIg足場に結合している。別の実施形態では、エピトープ結合ドメインは、リンカー「(GS)(TVAAPSGS)」によりIg足場に結合している。別の実施形態では、エピトープ結合ドメインは、リンカー「(GS)(TVAAPS)(GS)」によりIg足場に結合している。別の実施形態では、エピトープ結合ドメインは、リンカー「(PAVPPP)(GS)」によりIg足場に結合している。別の実施形態では、エピトープ結合ドメインは、リンカー「(TVSDVP)(GS)」によりIg足場に結合している。別の実施形態では、エピトープ結合ドメインは、リンカー「(TGLDSP)(GS)」によりIg足場に結合している。この全ての実施形態で、n=1〜10、およびm=0〜4、およびp=2〜10である。
【0094】
このようなリンカーの例には、(PAS)(GS)(ここでn=1およびm=1(配列番号64))、(PAS)(GS)(ここでn=2およびm=1(配列番号65))、(PAS)(GS)(ここでn=3およびm=1(配列番号66))、(PAS)(GS)(ここでn=4およびm=1)、(PAS)(GS)(ここでn=2およびm=0)、(PAS)(GS)(ここでn=3およびm=0)、(PAS)(GS)(ここでn=4およびm=0)がある。
【0095】
このようなリンカーの例には、(GGGGS)(GS)(ここでp=2およびm=0(配列番号67))、(GGGGS)(GS)(ここでp=3およびm=0(配列番号68)(、(GGGGS)(GS)(ここでp=4およびm=0)がある。
【0096】
このようなリンカーの例には、(GS)(TVAAPS)(ここでp=1およびm=1)、(GS)(TVAAPS)(ここでp=2およびm=1)、(GS)(TVAAPS)(ここでp=3およびm=1)、(GS)(TVAAPS)(ここでp=4およびm=1))、(GS)(TVAAPS)(ここでp=5およびm=1)、または(GS)(TVAAPS)(ここでp=6およびm=1)がある。
【0097】
このようなリンカーの例には、(TVAAPS)(GS)(ここでp=2およびm=1(配列番号82))、(TVAAPS)(GS)(ここでp=3およびm=1(配列番号83))、(TVAAPS)(GS)(ここでp=4およびm=1)、(TVAAPS)(GS)(ここでp=2およびm=0)、(TVAAPS)(GS)(ここでp=3およびm=0)、(TVAAPS)(GS)(ここでp=4およびm=0)がある。
【0098】
このようなリンカーの例には、(GS)(TVAAPSGS)(ここでp=1およびm=0(配列番号8))、(GS)(TVAAPSGS)(ここでp=2およびm=1(配列番号59))、(GS)(TVAAPSGS)(ここでp=3およびm=1(配列番号60))、または(GS)(TVAAPSGS)(ここでp=4およびm=1(配列番号61))、(GS)(TVAAPSGS)(ここでp=5およびm=1(配列番号62))、(GS)(TVAAPSGS)(ここでp=6およびm=1(配列番号63))がある。
【0099】
このようなリンカーの例には、(TVAAPSGS)(GS)(ここでp=2およびm=1)、(TVAAPSGS)(GS)(ここでp=3およびm=1)、(TVAAPSGS)(GS)(ここでp=4およびm=1)、(TVAAPSGS)(GS)(ここでp=2およびm=0)、(TVAAPSGS)(GS)(ここでp=3およびm=0)、(TVAAPSGS)(GS)(ここでp=4およびm=0)がある。
【0100】
このようなリンカーの例には、(PAVPPP)(GS)(ここでn=1およびm=1(配列番号69))、(PAVPPP)(GS)(ここでn=2およびm=1(配列番号70))、(PAVPPP)(GS)(ここでn=3およびm=1(配列番号71))、(PAVPPP)(GS)(ここでn=4およびm=1)、(PAVPPP)(GS)(ここでn=2およびm=0)、(PAVPPP)(GS)(ここでn=3およびm=0)、(PAVPPP)(GS)(ここでn=4およびm=0)がある。
【0101】
このようなリンカーの例には、(TVSDVP)(GS)(ここでn=1およびm=1(配列番号72))、(TVSDVP)(GS)(ここでn=2およびm=1(配列番号73))、(TVSDVP)(GS)(ここでn=3およびm=1(配列番号74))、(TVSDVP)(GS)(ここでn=4およびm=1)、(TVSDVP)(GS)(ここでn=2およびm=0)、(TVSDVP)(GS)(ここでn=3およびm=0)、(TVSDVP)(GS)(ここでn=4およびm=0)がある。
【0102】
このようなリンカーの例には、(TGLDSP)(GS)(ここでn=1およびm=1(配列番号75))、(TGLDSP)(GS)(ここでn=2およびm=1(配列番号76))、(TGLDSP)(GS)(ここでn=3およびm=1(配列番号77))、(TGLDSP)(GS)(ここでn=4およびm=1)、(TGLDSP)(GS)(ここでn=2およびm=0)、(TGLDSP)(GS)(ここでn=3およびm=0)、(TGLDSP)(GS)(ここでn=4およびm=0)がある。
【0103】
別の実施形態では、エピトープ結合ドメイン、例えばdAb、およびIg足場の間にはリンカーが存在しない。別の実施形態では、エピトープ結合ドメイン、例えばdAb、はリンカー「TVAAPS」によりIg足場に結合する。別の実施形態では、エピトープ結合ドメイン、例えばdAb、はリンカー「TVAAPSGS」によりIg足場に結合する。別の実施形態では、エピトープ結合ドメイン、例えばdAb、はリンカー「GS」によりIg足場に結合する。
【0104】
一実施形態では、本発明の抗原結合性構築物は、少なくとも1つの抗原結合性部位、例えばヒト血清アルブミンに結合可能な少なくとも1つのエピトープ結合ドメインを含む。
【0105】
一実施形態では、少なくとも3つの抗原結合性部位があり、例えば4または5または6または8または10抗原結合性部位があり、この抗原結合性構築物は少なくとも3または4または5または6または8または10抗原に結合可能であり、例えば、3または4または5または6または8または10抗原に同時に結合可能である。
【0106】
また、本発明は医薬品への使用、例えば、骨髄性白血病、乳癌、肺癌, 前立腺癌, 結腸癌, 胃癌, 膀胱癌, 子宮癌, 腎臓癌および多発性骨髄腫などの癌の治療薬の製造における使用のための抗原結合性構築物を提供する。これらは全て骨への高い腫瘍転移性を有する癌である。治療可能な他の疾患には、パンヌス形成の間に血管新生が増加する慢性関節リュウマチのような関節炎疾患が挙げられる。
【0107】
本発明は、癌、例えば、急性骨髄性白血病, 乳癌, 肺癌, 前立腺癌, 結腸癌, 胃癌, 膀胱癌, 子宮癌, 腎臓癌, 多発性骨髄腫または慢性関節リウマチ等の関節炎疾患の患者の治療方法を提供し、この方法には、本発明の抗原結合性構築物を治療量投与するステップを含む。
【0108】
本発明の抗原結合性構築物は、癌、急性骨髄性白血病, 乳癌, 肺癌, 前立腺癌, 結腸癌, 胃癌, 膀胱癌, 子宮癌, 腎臓癌, 多発性骨髄腫および慢性関節リウマチ等の関節炎疾患またはRANK−Lおよび/またはVEGFの過剰産生に関連した他の任意の疾患の治療に使用可能である。
【0109】
本発明の抗原結合性構築物は、何らかのエフェクター機能を有しうる。例えば、タンパク質足場がエフェクター機能を有する抗体由来のFc領域を含む場合、タンパク質足場がIgG1由来のCH2およびCH3を含む場合などである。エフェクター機能のレベルは、既知の技術、例えば、CH2ドメインの変異により変えてもよい。例えば、IgG1 CH2ドメインが239および332および330から選択された位置に1つまたは複数の変異を有する場合、その抗体が強化されたエフェクター機能を有するように、例えば、その変異はS239DおよびI332EおよびA330Lから選択され、および/または、例えば、本発明の抗原結合性構築物のグリコシレーションプロファイルを変えてFc領域のフコシル化を減少させるように変えることができる。
【0110】
本発明に使われるタンパク質足場は、抗体の全てのドメインを含む全モノクローナル抗体足場を含み、または、本発明のタンパク質足場は、一価抗体のような従来にない構造を含んでもよい。このような一価抗体は、重鎖のヒンジ部がホモ二量体化しないように修飾されたペアード重鎖と軽鎖を含んでもよい(このような一価抗体は、WO2007059782に記述されている)。他の一価抗体は、機能的可変領域とCH1領域が欠けた第2の重鎖と二量体化するペアード重鎖/軽鎖を含んでもよい。この場合、ホモ二量体よりもヘテロ二量体を形成するように第1と第2の重鎖を修飾して、2つの重鎖と1つの軽鎖を有する一価抗体ができる(このような一価抗体は、WO2006015371に記載されている)。このような一価抗体は、本発明のエピトープ結合ドメインが結合できるタンパク質足場を提供可能である。
【0111】
本発明に使われるエピトープ結合ドメインは、別の可変領域またはドメインと独立して、抗原またはエピトープに特異的に結合するドメインであり、これは、ドメイン抗体であっても、または下記の群から選択された足場の誘導体であるドメインであってもよい:CTLA−4(Evibody);リポカイン;プロテインA誘導分子、例えばプロテインAのZドメイン(アフィボディ、SpA)、Aドメイン(アビマー/マキシボディ);熱ショックタンパク質、例えばGroELおよびGroES;トランスフェリン(トランスボディ);アンキリンリピートタンパク質(DARPin);ペプチドアプタマー;Cタイプレクチンドメイン(テトラネクチン);ヒトγクリスタリンおよびヒトユビキチン(affilin);PDZドメイン;ヒトプロテアーゼ阻害剤のスコーピオントキシンクニッツタイプドメイン;およびフィブロネクチン(アドネクチン);これは天然のリガンド以外のリガンドに結合させるためにタンパク質工学による操作が行われたものである。一実施形態では、これはドメイン抗体であってもよく、また他の適切なドメイン、例えば、CTLA−4、リポカリン、SpA、アフィボディ、アビマー、GroEL、トランスフェリン、GroESおよびフィブロネクチンからなる群から選択されたドメインであってもよい。一実施形態では、これはdAb、アフィボディ、アンキリンリピートタンパク質(DARPin)およびアドネクチンから選択されてもよい。別の実施形態では、これは、アフィボディ、アンキリンリピートタンパク質(DARPin)およびアドネクチンから選択されてもよい。別の実施形態では、これは、ドメイン抗体、例えば、ヒト、ラクダまたはサメ(NARV)のドメイン抗体から選択されたドメイン抗体であってもよい。
【0112】
エピトープ結合ドメインは、1つまたは複数の位置でタンパク質足場に結合可能である。これらの位置には、タンパク質足場のC末端およびN末端、例えば、IgGの重鎖のC末端および/または軽鎖のC末端、または例えばIgGの重鎖のN末端および/または軽鎖のN末端が挙げられる。
【0113】
一実施形態では、第1のエピトープ結合ドメインがタンパク質足場に結合し、第2のエピトープ結合ドメインが第1のエピトープ結合ドメインに結合する。例えばタンパク質足場がIgG足場の場合は、第1のエピトープ結合ドメインはIgG足場の重鎖のC末端に結合してもよく、そのエピトープ結合ドメインがそのC末端の位置で第2のエピトープ結合ドメインに結合してもよい。または例えば、第1のエピトープ結合ドメインは、IgG足場の軽鎖のC末端に結合してもよく、その第1のエピトープ結合ドメインは、そのC末端の位置で第2のエピトープ結合ドメインにさらに結合してもよい。または例えば、第1のエピトープ結合ドメインは、IgG足場の軽鎖のN末端に結合してもよく、その第1のエピトープ結合ドメインはそのN末端の位置で第2のエピトープ結合ドメインにさらに結合してもよい。または例えば、第1のエピトープ結合ドメインは、IgG足場の重鎖のN末端に結合してもよく、その第1のエピトープ結合ドメインは、そのN末端の位置で第2のエピトープ結合ドメインにさらに結合してもよい。
【0114】
エピトープ結合ドメインがドメイン抗体である場合は、一部のドメイン抗体が足場内の特定の位置に適合することがある。
【0115】
本発明で使用するドメイン抗体は、通常のIgGの重鎖および/または軽鎖のC末端で結合可能である。さらに、一部のdAbは、通常の抗体の重鎖および軽鎖の両方のC末端に結合できる。
【0116】
dAbのN末端が抗体定常ドメイン(C3またはCのいずれか)に融合している構築物の場合は、ペプチドリンカーは、dAbが抗原に結合するのを支援することができる。事実、dAbのN末端は、抗原結合活性に関わる相補性決定領域(CDRS)の近傍に配置される。従って、短いペプチドリンカーは、エピトープ結合ドメインおよびタンパク質足場に対する定常ドメインの間のスペーサーとして作用し、これによりdAb CDRをより容易に抗原に近づけることができ、従って高い親和性での結合が可能となる。
【0117】
dAbがIgGに結合する環境は、融合しようとする抗体鎖によって異なる:
IgG足場の抗体軽鎖のC末端で融合する場合は、各dAbが抗体ヒンジとFc部の近くに配置されることが期待される。このようなdAbは相互に大きく離れていると思われる。通常の抗体では、Fab断片間の角度、および各Fab断片とFc部間の角度は非常に大きく変動する。mAbdAbの場合はFab断片間の角度は大きくは異ならないが、一方、各FabとFc部間の角度には、ある程度の角度制約が観察されることがある。
【0118】
IgG足場の抗体重鎖のC末端で融合した場合、各dAbはFc部のC3ドメインの近くに配置されることが期待される。これはFc受容体(例えば、FcγRI、II、IIIおよびFcRn)へのFc結合特性に影響することは期待できない。理由は、これらの受容体が、C2ドメイン(FcγRI、IIおよびIIIクラスの受容体の場合)またはC2およびC3ドメイン間のヒンジ(例えば、FcRn受容体の場合)と結合しているからである。このような抗原結合性構築物の別の特徴は、両dAbが相互に空間的に接近していることが期待され、適切なリンカーにより与えられた柔軟性があるという条件下、これらのdAbはホモ二量体さえ形成でき、従って、Fc部の「ジップド(zipped)」四次構造化を促進し、この構築物の安定性を高めることができる。
【0119】
このような構造の考察は、エピトープ結合ドメインに結合する最も適切な位置、例えば、dAbのタンパク質足場(例えば、抗体)上の位置、の選択の助けとなり得る。
【0120】
抗原のサイズ、その局在化(血液中または細胞表面上)、その四次構造(単量体または多量体)は変動可能である。通常の抗体は、ヒンジ部が存在することによりアダプター構築物として機能するように元々設計されているが、Fab断片の先端での2つの抗原結合性部位の方向は大きく変動でき、従って抗原の分子特性とその環境への適応が可能である。対照的に、抗体または他のタンパク質足場に結合したdAb、例えばヒンジ部を有しない抗体を含むタンパク質足場は、直接的あるいは間接的に構造的柔軟性に乏しい場合がある。
【0121】
dAbの溶液中結合状態と方法の理解も有益である。インビトロでdAbは単量体での存在が多く、溶液中ではホモ二量体か多量体が多いという根拠が蓄積されてきた(Reiter et al. (1999) J Mol Biol 290 p685-698; Ewert et al (2003) J Mol Biol 325, p531-553, Jespers et al (2004) J Mol Biol 337 p893-903; Jespers et al (2004) Nat Biotechnol 22 p1161-1165; Martin et al (1997) Protein Eng. 10 p607-614; Sepulvada et al (2003) J Mol Biol 333 p355-365)。これはIgドメインに関してインビボで観察された多量体発生、例えば、ベンスジョーンズタンパク質(免疫グロブリン軽鎖の二量体 (Epp et al (1975) Biochemistry 14 p4943-4952; Huan et al (1994) Biochemistry 33 p14848-14857; Huang et al (1997) Mol immunol 34 p1291-1301)およびアミロイド線維 (James et al. (2007) J Mol Biol. 367:603-8)を強く想起させる。
【0122】
例えば、溶液中では二量体化する傾向のドメイン抗体を軽鎖のC末端よりもFc部のC末端に結合させることが望ましいという可能性もある。Fc部のC末端への結合により本発明の抗原結合性構築物との関連で、これらのdAbが二量体化するからである。
【0123】
本発明の抗原結合性構築物は、単一抗原に特異的な抗原結合性部位を含んでもよく、2つ以上の抗原または単一抗原上の2つ以上のエピトープに対し特異的な抗原結合性部位を有してもよく、また、抗原結合性部位のそれぞれが同じまたは異なる抗原上の別々のエピトープに対し特異的であってもよい。
【0124】
特に、本発明の抗原結合性構築物は、RANKLまたはVEGFの関連疾患、例えば、癌または関節炎慢性関節リウマチ、びらん性関節炎、乾癬性関節炎、リウマチ性多発筋痛症、強直性脊椎炎、若年性慢性関節リウマチ、パジェット病、骨形成不全症、骨粗鬆症、運動や他の原因による膝、足首、手、股関節部、肩または脊椎の損傷、背部痛、狼瘡(特に関節)および骨関節炎、等の関節炎の治療に有用であり得る。このような治療が有用と思われる癌のタイプの例には、AML、乳癌、前立腺癌、肺癌、結腸癌、胃癌、膀胱癌、子宮癌、腎臓癌および多発性骨髄腫を含む骨髄腫がある。
【0125】
本発明の抗原結合性構築物は、本発明の抗原結合性構築物のためのコード配列を含む発現ベクターを有する宿主細胞の形質移入により産生可能である。発現ベクターまたは組換えプラスミドは、宿主細胞での複製および発現、および/または宿主細胞からの分泌を制御できる通常の制御配列の操作環境にこれらのコード配列を置くことにより産生可能である。調節配列には、プロモータ配列、例えば、CMVプロモータ、および他の既知抗体から得られるシグナル配列が含まれる。同様にして、相補的抗原結合性構築物の軽鎖または重鎖をコードしたDNA塩基配列を有する第2の発現ベクターを産生できる。特定の実施形態では、この第2の発現ベクターは、コード配列と選択可能なマーカーに関することを除いて第1の発現ベクターに同じであり、従って各ポリペプチド鎖が機能的に発現していることを可能な限り確実にする。
【0126】
あるいは、抗原結合性構築物のための重鎖と軽鎖コード配列を単一のベクター上、例えば、同じベクター中の2つの発現カセットに置いてもよい。
【0127】
選択された宿主細胞は、第1と第2のベクターの両方を使って通常の技術により同時形質移入され(または、単純に単一のベクターで形質移入され)、組換えまたは合成された軽鎖と重鎖の両方を含む本発明の形質移入した宿主細胞が作られる。この形質移入した細胞は、次に通常の技術により培養され本発明の操作された抗原結合性構築物が産生される。組換え重鎖および/または軽鎖の会合を含む抗原結合性構築物はアッセイ、例えば、ELISAやRIA、により培養物からスクリーニングされる。同様の通常の技術を採用して、他の抗原結合性構築物を構築することが可能である。
【0128】
本方法で採用されたクローニングおよびサブクローニングステップのための適切なベクター、および、本発明の組成物の作成は当業者により選択されうる。例えば、通常のクローニングベクターのpUCシリーズを使用可能である。1つのベクター、pUC19、は市販品で、Amersham(バッキンガムシャー州、英国)またはPharmacia(ウプサラ、スウェーデン)、等のサプライハウスから入手可能である。
【0129】
さらに、容易に複製可能で、多くのクローニングサイトおよび選択可能な遺伝子(例えば、抗生物質耐性)を有し、容易に操作できる、いずれのベクターもクローニングの目的に使用可能である。従って、クローニングベクターの選択は本発明における制約因子では
ない。
【0130】
また、発現ベクターを、異種のDNA塩基配列、例えば哺乳動物のジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(DHFR)の発現を増幅するするのに適した遺伝子により特徴づけることができる。他の好ましいベクター配列には、ポリAシグナル配列、例えば、ウシ成長ホルモン(BGH)由来の配列、およびβ‐グロビンプロモータ配列(betaglopro)が含まれる。本明細書で使える発現ベクターは、当業者にはよく知られた技術により合成してもよい。
【0131】
このようなベクターの構成要素、例えば、レプリコン、選択遺伝子、エンハンサー、プロモータ、シグナル配列、等、は市販または天然の入手源から入手してもよく、また、選択宿主中の組換えDNAの生成物の発現および/または分泌の誘導に使用される既知手順により合成してもよい。哺乳動物、細菌、昆虫、酵母、および真菌の発現に関して当業界で既知の多くのタイプの他の適切な発現ベクターもこの目的に選択してもよい。
【0132】
また本発明は、本発明の抗原結合性構築物のコード配列を含む組換えプラスミドを形質移入された細胞株を包含する。これらクローニングベクターのクローニングと他の操作に有用な宿主細胞もまた従来からあるものである。しかし、種々の大腸菌株由来の細胞は、本発明の抗原結合性構築物作成におけるクローニングベクターや他のステップの複製に使うことができる。
【0133】
本発明の抗原結合性構築物の発現のための適切な宿主細胞または細胞株には、哺乳動物細胞、例えば、NS0、Sp2/0、CHO(例えば、DG44)、COS、HEK、繊維芽細胞(例えば、3T3)、および骨髄細胞が含まれる。例えば、これはCHOまたは骨髄細胞中で発現させてもよい。ヒト細胞を使って、分子をグリコシレーションパターンで修飾させてもよい。あるいは、他の真核細胞株を採用してもよい。哺乳動物宿主細胞の選択および形質転換、培養、増幅、スクリーニングと生成物産生および精製の方法は、当
業者には既知である。例えば、前述のSambrook et alを参照。
【0134】
細菌細胞は、組換えFabの発現のため、または本発明の他の実施形態のために適切な宿主細胞として有用であり得る(例えば、Plueckthun, A., Immunol. Rev., 130:151-188 (1992)参照)。しかし、細菌細胞で発現したタンパク質は、折り畳まれていないまたは不適切に折り畳まれた形式または非グリコシル化形式になる傾向があるため、細菌細胞中で産生されたいずれの組換えFabも抗原結合能力の保持の観点でスクリーニングしなければならなくなる。細菌細胞で発現された分子が正しく折り畳まれた形式で産生された場合は、その細菌細胞は望ましい宿主となるだろう。あるいは、別の実施形態で、分子が細菌宿主中で発現され、その後再折畳みが可能である。例えば、発現に使われる種々の大腸菌株は、バイオテクノロジーの分野で宿主細胞としてよく知られている。種々の枯草菌、ストレプトマイセス属、他の桿菌等の株もまたこの方法に採用できる。
【0135】
所望の場合は、当業者に既知の酵母細胞株もまた、昆虫細胞、例えば、ショウジョウバエと鱗翅類、およびウイルス発現システムと同様に、宿主細胞として入手可能である。例えば、Miller et al., Genetic Engineering, 8:277-298, Plenum Press (1986)、および本明細書に引用の文献を参照のこと。
【0136】
ベクターが作成される一般的な方法、本発明の宿主細胞を産生するために必要な形質移入方法、およびこのような宿主細胞から本発明の抗原結合性構築物を産生するために必要な培養方法は全て従来からの技術であってもよい。典型的には、本発明の培養方法は無血清培養方法で、通常細胞を無血清懸濁液中で培養する。同様に、本発明の抗原結合性構築物を一度産生した後、細胞培養内容物を当分野の標準的手法、例えば、硫安塩析法、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフイー、ゲル電気泳動法等により精製してもよい。このような技術は、当該分野の技術の範囲内にあり本発明を制限するものではない。例えば、改変抗体の調製に関しては、WO 99/58679 および WO 96/16990に記載されている。
【0137】
抗原結合性構築物のさらに別の発現法では、遺伝子組み換え動物中での発現を使用してもよい。この例は、U.S. Patent No.4,873,316に記載されている。これは、動物カゼインプロモータを使った発現システムであり、このプロモータは、遺伝子導入で哺乳動物に取り込んだ場合、雌のミルク中に所望の組換えタンパク質を産生させる。
【0138】
本発明のさらなる態様では、本発明の抗体を産生する方法を提供し、この方法は本発明の抗体の軽鎖および/または重鎖をコードしたベクターで形質転換または形質移入した宿主細胞を培養し、これにより産生された抗体を回収するステップを含む。
【0139】
本発明に従って、本発明の抗原結合性構築物を産生する方法が提供され、この方法は、
(a)抗原結合性構築物の重鎖をコードした第1のベクターを提供するステップ;
(b)抗原結合性構築物の軽鎖をコードした第2のベクターを提供するステップ;
(c)哺乳動物宿主細胞(例えば、CHO)を前記第1と第2のベクターで形質転換するステップ;
(d)抗原結合性構築物を前記宿主細胞から前記培地へ分泌を促す条件下で、ステップ(c)の宿主細胞を培養するステップ;
(e)分泌されたステップ(d)の抗原結合性構築物を回収するステップ、
を含む。
【0140】
所望の方法で発現された後、抗原結合性構築物のインビトロ活性を適切なアッセイにより調査する。現在よく使われるELISAアッセイ方式を採用し、標的に対する抗原結合性構築物の定性および定量評価を行う。さらに、他のインビトロアッセイを使って、通常のクリアランス機序にも拘らず体の中に残留している抗原結合性構築物を評価するために実施されるヒトの臨床試験の前に中和性能を確認してもよい。
【0141】
治療の用量と持続時間は、ヒトの循環系における本発明の分子の相対的持続時間に関係しており、治療条件と患者の全体的健康状態に基づいて当業者により調節可能である。最大の治療効果を得るためには、長期間にわたる(例えば、4〜6ヶ月間)反復投薬(例えば、週一回または2週間に一回)が必要となる場合があることが想定される。
【0142】
本発明の治療薬の投与方法は、宿主に薬剤を送達する任意の適切なルートであってよい。本発明の抗原結合性構築物、および医薬品組成物は、非経口投与、すなわち、皮下(s.c.)、髄腔内、腹腔内、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、または鼻腔内の投与に特に有用である。
【0143】
本発明の治療薬は、有効量の本発明の抗原結合性構築物を製薬上許容可能な担体中の有効成分として含む医薬品組成物として調製されてもよい。本発明の予防薬としては、好ましくは生理的pHに緩衝され注射の準備ができた形の、抗原結合性構築物を含む水性懸濁液または水溶液が好ましい。非経口投与用組成物は、通常、本発明の抗原結合性構築物の溶液、または製薬上許容可能な担体、好ましくは水性担体、に溶解したその混合溶液を含む。種々の水性担体、例えば、0.9%食塩水、0.3%グリシン等を用いてもよい。これらの溶液は、無菌状態で、通常、粒子状物質の無い状態にされる。これらの溶液は、通常のよく知られた滅菌技術(例えば、濾過)により無菌にされる。組成物は、適切な生理学的条件に必要とされるpH調節剤および緩衝剤等のような製薬上許容可能な補助物質を含んでもよい。このような製剤処方での本発明の抗原結合性構築物の濃度は様々であってよく、すなわち、重量%で約0.5%未満、通常、約1%または少なくとも約1%から15〜20%までになり、また選択された具体的な投与方法に従って主に流体容量、粘性、等に基づいて選択される。
【0144】
従って、本発明の筋肉内注射用医薬品組成物は、1mLの無菌緩衝水、および約1ng〜約200mg、例えば、約50ng〜約30mg、または、より好ましくは、約5mg〜約25mg、の本発明の抗原結合性構築物を含むように調製され得る。同様に、本発明の点滴静注用医薬品組成物は、約250mlの無菌リンゲル液、および約1〜約30mg、好ましくは5mg〜約25mgの1ml当たりのリンゲル液中の本発明の抗原結合性構築物を含むように調製され得る。非経口投与組成物を調製する実際の方法は既知で、当業者には明らかであり、詳細は、例えば、Remington's Pharmaceutical Science, 15th ed., Mack Publishing Company, イーストン、ペンシルベニア州、に記載されている。本発明の静脈内投与可能な抗原結合性構築物製剤の調製については、Lasmar U and Parkins D “The formulation of Biopharmaceutical products", Pharma. Sci. Tech. today, page 129-137, Vol.3 (3rd April 2000), Wang, W "Instability, stabilisation and formulation of liquid protein pharmaceuticals", Int. J. Pharm 185 (1999) 129-188, Stability of Protein Pharmaceuticals Part A and B ed Ahern T.J., Manning M. C., New York, NY: Plenum Press (1992), Akers, M. J."Excipient-Drug interactions in Parenteral Formulations", J. Pharm Sci 91 (2002) 2283-2300, Imamura, K et al "Effects of types of sugar on stabilization of Protein in the dried state", J Pharm Sci 92 (2003) 266-274,Izutsu, Kkojima, S."Excipient crystalinity and its protein-structure-stabilizing effect during freeze-drying", J Pharm. Pharmacol, 54 (2002) 1033-1039, Johnson, R, "Mannitol-sucrose mixtures-versatile formulations for protein lyophilization", J. Pharm. Sci, 91 (2002) 914-922, Ha, E Wang W, Wang Y. j. "Peroxide formation in polysorbate 80 and protein stability", J. Pharm Sci, 91, 2252-2264,(2002)、を参照のこと。この全内容は参照により本明細書に組み込まれ、具体的に参照される。
【0145】
医薬品として用いる場合、本発明の治療薬はユニット剤形として存在することが好ましい。適切な治療有効量は当業者には容易に決定可能である。適切な用量は患者の体重により計算され、例えば、0.01〜20mg/kg、例えば0.1〜20mg/kg、例えば1〜20mg/kg、例えば10〜20mg/kgまたは例えば1〜15mg/kg、例えば10〜15mg/kgの範囲であってもよい。本発明を使用してヒトを有効に治療する条件は、適切な用量は0.01〜1000mg、例えば0.1〜1000mg、例えば0.1〜500mg、例えば500mg、例えば0.1〜100mg、または0.1〜80mg、または0.1〜60mg、または0.1〜40mg、または例えば1〜100mg、または1〜50mg、の範囲内の本発明の抗原結合性構築物であってもよく、これらは非経口、例えば、皮下、静脈内、または筋肉内に投与できる。このような用量は必要なら、医師により選択された適切な時間間隔で反復してもよい。
【0146】
本明細書記載の抗原結合性構築物は、貯蔵用に冷凍乾燥が可能で、使用に先立ち適切な担体中で再構成できる。この技術は、通常の免疫グロブリンで有効であることが示されており、既知技術の凍結乾燥と再構成技術を用いることができる。
【0147】
当技術分野で既知のいくつかの方法を使って本発明に使われるエピトープ結合ドメインを見つけることが可能である。
【0148】
用語「ライブラリ」は、異種のポリペプチドまたは核酸の混合物を指す。ライブラリは、それぞれ単一ポリペプチドまたは核酸配列を有するメンバーからなる。この点で、「ライブラリ」は「レパートリー」と同義である。ライブラリメンバー間の配列の差異は、ライブラリ中に存在する多様性の原因である。ライブラリはポリペプチドまたは核酸の単純な混合物の形を取ってもよく、また、核酸のライブラリで形質転換された生命体または細胞の形、例えば、細菌、ウイルス、動物、または植物等の形であってもよい。一実施例では、それぞれの生命体または細胞は1つのみまたは限られた数のライブラリメンバーを含む。核酸によってコードされたポリペプチドを発現させるためには、核酸が発現ベクターの中に組み込まれるのが好ましい。従って一態様では、ライブラリは宿主生物の集合体の形を取ることができ、各生命体は、対応するポリペプチドメンバーを産生するように発現可能な核酸形式で単一ライブラリメンバーを含む発現ベクターのコピーを1つまたは複数を含んでもよい。従って、この宿主生物の集合体は多様なポリペプチドの大きなレパートリーをコードする可能性を有している。
【0149】
「ユニバーサルフレームワーク」は、Kabatの定義(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”, 米国保健社会福祉省)の配列中に保存された抗体領域に対応する単一抗体フレームワーク配列、またはChothiaとLeskの定義(Chothia and Lesk, (1987) J. Mol. Biol. 196:910-917)によるヒト生殖細胞系列免疫グロブリンレパートリーまたは構造に対応する単一抗体フレームワーク配列である。これは、単一フレームワークでも、これらのフレームワークの集合体であってもよく、たとえ高頻度可変領域のみの変異であっても、実質的にあらゆる結合特異性の誘導も許容することが認められてきた。
【0150】
本明細書で定義された、アミノ酸およびヌクレオチド配列の整合性と相同性、類似性または同一性は、一実施形態では、デフォルトのパラメーターを使ってBLAST2 Sequenceアルゴリズムにより調製および測定される(Tatusova, T. A. et al., FEMS Microbiol Lett, 174:187-188 (1999))。
【0151】
ディスプレイシステム(例えば、核酸のコード化機能、および、核酸によりコードされたペプチドまたはポリペプチドの機能特性とリンクしたディスプレイシステム)が、本明細書記載の方法中、例えば、dAbまたは他のエピトープ結合ドメインの選択において使われた場合、選択されたペプチドまたはポリペプチドをコードした核酸のコピー数を増幅または増大することは、好都合なことが多い。これは、本明細書記載の方法や他の適切な方法を使って追加のラウンドのため、あるいは、追加のレパートリー(例えば、親和性成熟レパートリー)を調製するために、十分な量の核酸および/またはペプチドまたはポリペプチドを得る効率的な手段を提供する。 従って、一部の実施形態では、エピトープ結合ドメイン選択方法は、ディスプレイシステム(例えば、ファージディスプレイのような、核酸のコーディング機能および核酸によりコードされたペプチドまたはポリペプチドの機能特性とリンクしたディスプレイ)の使用を含み、選択されたペプチドまたはポリペプチドをコードした核酸のコピー数を増幅または増大するステップをさらに含む。核酸は、任意の適切な方法、例えば、ファージ増幅、細胞増殖またはポリメラーゼ連鎖反応、を使って増幅可能である。
【0152】
一実施例では、この方法は核酸のコーディング機能および核酸によりコードされたポリペプチドの物理的、化学的、および/または機能的特性にリンクしたディスプレイシステムを用いる。このようなディスプレイシステムは、複数の複写可能な遺伝子パッケージ(genetic package)、例えば、バクテリオファージまたは細胞(細菌)を含むことができる。ディスプレイシステムは、ライブラリ、例えば、バクテリオファージディスプレイライブラリを含んでもよい。バクテリオファージディスプレイはディスプレイシステムの一例である。
【0153】
多くの適切なバクテリオファージディスプレイシステム(例えば、一価のディスプレイおよび多価のディスプレイシステム)が記載されている(例えばGriffiths et al., U.S. Patent No. 6,555,313 B1(参照により本明細書に組み込まれる);Johnson et al., U.S. Patent No. 5,733,743 (参照により本明細書に組み込まれる); McCafferty et al., U.S. Patent No. 5,969,108 (参照により本明細書に組み込まれる); Mulligan-Kehoe, U.S. Patent No. 5,702,892 (参照により本明細書に組み込まれる); Winter, G. et al., Annu. Rev. Immunol. 12:433-455 (1994); Soumillion, P. et al., Appl. Biochem. Biotechnol. 47(2-3):175-189 (1994); Castagnoli, L. et al., Comb. Chem. High Throughput Screen, 4(2):121-133 (2001)、参照)。バクテリオファージディスプレイシステムで表示されるペプチドまたはポリペプチドは、あらゆる適切なバクテリオファージ、例えば、線状ファージ(例えば、fd、M13、F1)、溶菌ファージ(例えば、T4、T7、ラムダ)、またはRNAファージ(例えば、MS2)、上でも表示可能である。
【0154】
通常、適切なファージコートタンパク質(例えば、fd pIIIタンパク質)との融合タンパク質としてペプチドまたはファージポリポリペプチドのレパートリーを表示するファージライブラリが作成または提供される。融合タンパク質は、ペプチドまたはポリペプチドファージコートタンパク質の先端、または所望なら内部位置にペプチドまたはポリペプチドを表示できる。例えば、表示されたペプチドまたはポリペプチドは、pIIIのアミノ末端からドメイン1まで存在可能である(pIIIのドメイン1はN1とも呼ばれる)。表示されたポリペプチドは、直接pIIIに(例えば、pIIIのドメイン1のN末端)またはリンカーを使ってpIIIに融合可能である。所望なら、融合体はタグ(例えば、mycエピトープ、Hisタグ)をさらに含むこともできる。ファージコートタンパク質との融合タンパク質として表示されたペプチドまたはポリペプチドのレパートリーを含むライブラリは、任意の適切な方法を用いて制作可能である。例えば、表示されたペプチドまたはポリペプチドをコードしたファージベクターライブラリやファージミドベクターを、適切な宿主細菌中に導入し、その結果得られた細菌を培養して(例えば、適切なヘルパーファージを使って、または必要ならプラスミドを補完して)ファージを産生する。ファージライブラリは、培養物から任意の適切な方法、例えば、沈降法および遠心分離法、により回収可能である。
【0155】
ディスプレイシステムは任意の多様な所望量を含むペプチドまたはポリペプチドのレパートリーを含むこともできる。例えば、このレパートリーは生命体、生命体のグループ、所望組織または所望細胞型により発現された自然発生のポリペプチドに対応するアミノ酸配列のペプチドまたはポリペプチドを含むことも、または、ランダムなアミノ酸配列またはランダム化されたアミノ酸配列を有するペプチドまたはポリペプチドを含むこともできる。希望するなら、このポリペプチドは、共通のコアまたは足場を共有することができる。例えば、レパートリーまたはライブラリ中の全ポリペプチドが、プロテインA、プロテインL、プロテインG、フィブロネクチンドメイン、アンチカリン、CTLA4、所望の酵素(例えば、ポリメラーゼ、セルラーゼ)、または免疫グロブリンスーパーファミリー由来のポリペプチド、例えば、抗体または抗体断片(例えば、抗体可変ドメイン)から選択された足場をベースにすることも可能である。このようなレパートリーやライブラリ中のポリペプチドは、ランダムなアミノ酸配列またはランダム化されたアミノ酸配列の規定領域および共通アミノ酸配列の領域を含むことができる。特定の実施形態では、レパートリー中の全てまたは実質的に全てのポリペプチドが所望のタイプ、例えば、所望の酵素(例えば、ポリメラーゼ)または所望の抗体の抗原結合性断片(例えば、ヒトVまたはヒトV)、である。一部の実施形態では、ポリペプチドディスプレイシステムはポリペプチドのレパートリーを含み、その中の各ポリペプチドは抗体可変ドメインを含む。例えば、レパートリー中の各ポリペプチドはV、VまたはFv(例えば、単鎖Fv)を含んでもよい。
【0156】
アミノ酸配列の多様性を、任意の適切な方法を使って、ペプチドまたはポリペプチドまたは足場の任意の所望の領域に導入可能である。例えば、アミノ酸配列の多様性は、任意の適切な変異誘発性(例えば、低忠実性PCR、オリゴヌクレオチド媒介または部位特異的変異、NNKコドンを使った多様化)または任意の他の適切な方法を使って、多様化ポリペプチドをコードした核酸ライブラリを調製することにより、標的部位、例えば抗体可変ドメインの相補性決定領域または疎水性ドメインに導入可能である。所望なら、多様化すべきポリペプチドの領域をランダム化できる。
【0157】
レパートリーを構成するポリペプチドのサイズは、概して選択可能であり、均一なポリペプチドサイズは必要ではない。レパートリー中のポリペプチドは、少なくとも三次構造を有する(少なくとも1つのドメインを形成する)ことができる。
【0158】
選択/単離/回収
エピトープ結合ドメインまたはドメインの集合体は、適切な方法を使って、レパートリーまたはライブラリ(例えば、ディスプレイシステム中の)から選択、単離、および/または回収可能である。例えば、ドメインは選択可能な特性(例えば、物理的特性、化学的特性、機能特性)に基づいて選択または単離される。適切な選択可能な特性には、レパートリー中のペプチドまたはポリペプチドの生物活性、例えば、一般的リガンド(例えば、スーパー抗原)に対する結合性、標的リガンド(例えば、抗原、エピトープ、基質)に対する結合性、抗体に対する結合性(例えば、ペプチドまたはポリペプチド上に発現したエピトープ経由)、および触媒能力が含まれる(例えば、Tomlinson et al., WO 99/20749; WO 01/57065; WO 99/58655参照)。
【0159】
一部の実施形態では、実質的に全てのドメインが共通の選択可能特性を共有するペプチドまたはポリペプチドのライブラリまたはレパートリーから、プロテアーゼ耐性ペプチドまたはポリペプチドが選択および/または単離される。例えば、ドメインは、実質的に全てのドメインに共通の一般的リガンドに結合するライブラリまたはレパートリー、共通の標的リガンドに結合するライブラリまたはレパートリー、共通の抗体に結合する(またはそれによって結合される)ライブラリまたはレパートリー、または共通の触媒能力を有するライブラリまたはレパートリーから選択することができる。このタイプの選択は、所望の生物活性を有する親ペプチドまたはポリペプチドに基づいたレパートリーまたはドメインを調製する際、例えば免疫グロブリン単一可変ドメインの親和性成熟を行う場合、特に有用である。
【0160】
共通の一般的リガンドにへの結合性に基づいた選択では、元のライブラリまたはレパートリーの要素である全てまたは実質的に全てのドメイを含むドメインコレクションまたは集合体が得られる。例えば、標的リガンドまたは一般的リガンドに結合しているドメイン、例えばプロテインA、プロテインLまたは抗体は、パニングまたは適切な親和性マトリックスを使って選択、単離、および/または回収できる。パニングは、リガンド(例えば、一般的リガンド、標的リガンド)の溶液を適切な容器(例えば、チューブ、ペトリ皿)に加え、リガンドを容器の壁表面上に沈着または被覆させることにより達成できる。過剰リガンドを洗い流し、ドメインを容器に加え、この容器をペプチドまたはポリペプチドが固定化されたリガンドと結合するのに適した条件下で維持する。非結合ドメインは、洗い流され、結合ドメインは、任意の適切な方法、例えば、削り取りやpHを下げることによって回収できる。
【0161】
適切なリガンド親和性マトリックスは、通常、固体担体またはビーズ(例えば、アガロース)を含み、これにリガンドを共有結合的または非共有結合的に連結させる。親和性マトリックスは、ドメインがマトリックス上のリガンドに結合するための適切な条件下、バッチプロセス、カラムプロセスまたは任意の他の適切なプロセスを使って、ペプチドまたはポリペプチド(例えば、プロテアーゼとインキュベートされたレパートリー)と結合させることができる。親和性マトリックスと結合しないドメインは洗い流し、結合したドメインは、低pHバッファー、マイルドな変性剤(例えば、尿素)、またはリガンドとの結合で競合するペプチドまたはドメインで溶出等の任意の適切な方法で溶出し、回収できる。一実施例では、ビオチン化した標的リガンドは、レパートリー中のドメインが標的リガンドに結合するための適切な条件下、レパートリーと結合する。結合ドメインは、固定化されたアビジンストレプトアビジン(例えば、ビーズ上の)を使って回収される。
【0162】
一部の実施形態では、一般的または標的リガンドは、抗体またはその抗体の抗原結合性断片である。ライブラリまたはレパートリーのペプチドまたはポリペプチド中で実質的に保存されたペプチドまたはポリペプチドの構造的特徴と結合する抗体または抗原結合断片は、特に一般的リガンドとして有用である。プロテアーゼ耐性ペプチドまたはポリペプチドの単離、選択および/または回収のためのリガンドとしての使用に適した抗体と抗原結合性断片は、モノクローナルまたはポリクローナルであってもよく、任意の適切な方法で調製できる。
【0163】
ライブラリ/レパートリー
プロテアーゼエピトープ結合ドメインをコードおよび/または含むライブラリは、任意の適切な方法を使って調製または入手可能である。ライブラリは、目的のドメインまたは足場(例えば、ライブラリから選択されたドメイン)に基づいてドメインをコードするように設計することも、本明細書記載の方法を使って別のライブラリから選択することも可能である。例えば、ドメインが豊富なライブラリは、適切なポリペプチドディスプレイシステムを使って調製可能である。
【0164】
所望のタイプのドメインのレパートリーをコードしたライブラリは、任意の適切な方法を使って容易に作成可能である。例えば、所望のタイプのポリペプチド(例えば、免疫グロブリン可変ドメイン)をコードした核酸配列を得ることができ、例えば、エラープローンポリメラーゼ連鎖反応(PCR)システムを使ってまたは化学的変異誘発により(Deng et al., J. Biol. Chem., 269:9533 (1994)) 、または細菌の突然変異誘発株を使って(Low et al., J. Mol. Biol., 260:359 (1996)) 核酸を増幅することにより、それぞれが1つまたは複数の変異を含む核酸のコレクションが調整可能である。
【0165】
他の実施形態では、核酸の特定の領域を多様化の標的にすることができる。選択位置を変異させる方法も当業者にはよく知られており、これには、例えば、PCRを使ってまたは使わないで、ミスマッチなオリゴヌクレオチドまたは変性オリゴヌクレオチドを使用する場合が含まれる。例えば、合成抗体ライブラリは、抗原結合ループに対する変異を標的にして作られている。ランダム化または半ランダム化抗体H3およびL3領域を、生殖細胞系列免疫グロブリンV遺伝子セグメントに付加して、変異フレームワーク領域を有する大ライブラリが構築されている(Hoogenboom and Winter (1992) supra; Nissim et al. (1994) supra; Griffiths et al. (1994) supra; DeKruif et al. (1995) supra)。このような多様化は、他の抗原結合ループを一部または全て含むまでに拡張されている(Crameri et al. (1996) Nature Med., 2:100; Riechmann et al. (1995) Bio/Technology, 13:475; Morphosys, WO 97/08320, supra)。他の実施形態では、核酸の特定の領域を多様化の標的にでき、例えば、2段階PCR戦略では1回目のPCR生成物を「メガプライマー」として用いる(例えば、Landt, O. et al., Gene 96:125-128 (1990)参照)。標的の多様化は、例えば、SOE PCRを使っても達成できる(例えば、Horton, R.M. et al., Gene 77:61-68 (1989) 参照)。
【0166】
選択位置での配列多様性は、ポリペプチドの配列を特定するコード配列を変え、多くのアミノ酸(例えば20全部またはそのサブセット)をその位置に組み込むことにより得ることができる。IUPAC命名法を使って説明すると、最も用途の広いコドンはNNKであり、これはTAG停止コドン並びに全アミノ酸をコードする。NNKコドンは、必要な多様性を導入するために使用可能である。同じ目的を有する他のコドン例えばNNNも使用でき、これは追加の停止コドンTGAとTAAを作成する。このような標的化手法は、標的領域中の全配列空間を調査対象にすることができる。
【0167】
一部のライブラリは、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであるドメイン(例えば、抗体またはその一部)を含む。例えば、ライブラリは既知の主鎖構造を有するドメインを含むことができる(例えば、Tomlinson et al.,WO99/20749参照)。ライブラリは適切なプラスミドまたはベクター中で調製できる。本明細書で使われるベクターは、異種のDNAを細胞の中に導入し、その発現および/または複製をするのに使われる個別要素を指す。任意の適切なベクターを使うことができ、これにはプラスミド(例えば、細菌性プラスミド)、ウイルスまたはバクテリオファージベクター、人工染色体、およびエピソームベクターが含まれる。このようなベクターは、単純クローニングおよび突然変異生成のために使うことができ、または、発現ベクターは、ライブラリの発現を促進するために使うことができる。ベクターおよびプラスミドは、通常1つまたは複数のクローニング部位(例えば、ポリリンカー)、複製開始点、および少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子を含む。発現ベクターは、ポリペプチドの転写と翻訳を促進するエレメント、例えば、エンハンサー、プロモータ、転写終結信号、シグナル配列、等をさらに含むことができる。これらのエレメントは、かかる発現ベクターが発現に適切な条件下で維持された場合(例えば、適切な宿主細胞中で)に、ポリペプチドが発現し、産生されるように、ポリペプチドをコードしたクローン化挿入断片に作動可能にリンクして配置することが可能である。
【0168】
クローニングおよび発現ベクターは、通常、1つまたは複数の選択宿主細胞中でベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。典型的には、クローニングベクター中では、これは、ベクターが宿主染色体DNAとは独立に複製するのを可能にし、しかも複製開始点または自己複製配列を含む配列である。このような配列は、種々の細菌、酵母およびウイルスでよく知られている。プラスミドpBR322由来の複製開始点は、大抵のグラム陰性細菌に対し適切で、2ミクロンプラスミド開始点は、酵母に適切であり、また種々のウイルス開始点(例えば、SV40、アデノウイルス)は、哺乳動物細胞中のクローニングベクターに有用である。コス細胞のような高レベル複製が可能な哺乳動物細胞で使われるのでなければ、通常、複製開始点は哺乳類の発現ベクターには必要でない。
【0169】
クローニングまたは発現ベクターは、選択可能マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含むことができる。このようなマーカー遺伝子は、選択培養培地中で成長した形質転換宿主細胞の生存または成長に必要なタンパク質をコードしている。従って、選択遺伝子を含むベクターで形質転換されなかった宿主細胞は、その倍地中で生存しないことになる。典型的な選択遺伝子は、抗生物質と他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサイクリンに耐性を付与し、栄養要求性欠如を補完し、または成長培地中で得られない重要な栄養素を補給するタンパク質をコードしている。
【0170】
適切な発現ベクターは多くの要素を含むことができる。例えば、複製開始点、選択可能マーカー遺伝子、1つまたは複数の発現調節エレメント、例えば、転写調節エレメント(例えば、プロモータ、エンハンサー、ターミネーター)および/または1つまたは複数の翻訳信号、シグナル配列またはリーダー配列、等を含むことができる。発現調節エレメントおよび信号またはリーダー配列は、もしそれが存在するならば、ベクターまたは他のソースから供給を受けることができる。例えば、抗体鎖をコードしたクローン化核酸の転写および/または翻訳調節配列は、発現促進に使用可能である。
【0171】
プロモータは、所望の宿主細胞中での発現のために組み込んでもよい。プロモータは、構成的であっても誘導可能であってもよい。例えば、プロモータは、核酸の転写を命令できるように、抗体、抗体鎖またはその一部をコードした核酸に作動可能にリンクされてもよい。種々の適切な原核生物用プロモータ(例えば、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーターシステム、アルカリフォスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモータシステム、大腸菌用のlac、T3、T7プロモータ)および真核生物(例えば、シミアンウイルス40初期または後期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列プロモータ、サイトメガロウイルスプロモータ、アデノウイルス後期プロモーター、EG−1aプロモータ)宿主が入手可能である。
【0172】
さらに、発現ベクターは、通常、ベクターを保持している宿主細胞の選択に用いる選択可能マーカーを含み、複製可能な発現ベクターの場合には、複製開始点を含む。抗生物質または薬剤耐性を付与する産物をコードした遺伝子は、共通の選択可能マーカーであり、原核生物(例えば、β−ラクタマーゼ遺伝子(アンピシリン耐性)、テトラサイクリン耐性用Tet遺伝子)および真核細胞(例えば、ネオマイシン(G418またはジェネテシン)、gpt(ミコフェノール酸)、アンピシリン、またはヒグロマイシン耐性遺伝子)で使用可能である。ジヒドロ葉還元酵素標識遺伝子は、種々の宿主中でメトトレキサートの選択を可能にする。宿主の栄養要求性マーカーの遺伝子産物をコードした遺伝子(例えば、LEU2、URA3、HIS3)は、酵母中の選択可能マーカーとして使われることが多い。ウイルス(例えば、バキュロウイルス)またはファージベクター、および宿主細胞のゲノムに統合可能なベクター、例えば、レトロウイルスベクター、の使用もまた意図されている。
【0173】
原核生物(例えば、大腸菌等の細菌細胞)または哺乳動物細胞中での発現に適切な発現ベクターには、例えば、pETベクター(例えば、pET−12a、pET−36、pET−37、pET−39、pET−40、Novagen他)、ファージベクター(例えば、pCANTAB5E、Pharmacia)、pRIT2T(プロテインA融合ベクター、Pharmacia)、pCDM8、pCDNA1.1/amp、pcDNA3.1、pRc/RSV、pEF−1(Invitrogen、Carlsbad、CA)、pCMV−SCRIPT、pFB、pSG5、pXT1 (Stratagene, La Jolla, CA), pCDEF3 (Goldman, L.A., et al., Biotechniques, 21:1013-1015 (1996)),pSVSPORT(Gibco BRL、Rockville、MD)、pEF−Bos(Mizushima, S., et al., Nucleic Acids Res., 18:5322 (1990)) 等、が挙げられる。種々の発現宿主、例えば、原核細胞(大腸菌)、昆虫細胞(Drosophila Schneider S2細胞、Sf9)、酵母(P.methanolica、P.pastoris、S.cerevisiae)および哺乳動物細胞(例えば、コス細胞)での使用に適切な発現ベクターが入手可能である。
【0174】
ベクターのいくつかの例は、ポリペプチドライブラリメンバーに対応するヌクレオチド配列の発現を可能とする発現ベクターである。従って、一般的および/または標的リガンドの選択は、ポリペプチドライブラリメンバーを発現する単一クローンの別々の増殖と発現により行われる。上述のように、具体的な選択ディスプレイシステムは、バクテリオファージディスプレイである。従って、ファージまたはファージミドベクターは使用可能である。例えば、ベクターは大腸菌複製開始点(二本鎖複製用)および、ファージ複製起点(一本鎖DNAの産生用)を有するファージミドベクターであってもよい。このようなベクターの操作および発現は、当業者にはよく知られている (Hoogenboom and Winter (1992) supra; Nissim et al. (1994) supra)。簡単に述べれば、ベクターは、ファージミドおよび発現カセット上流のラックプロモーターに選択性を付与するβ−ラクタマーゼ遺伝子を含むことができる。この遺伝子は、適切なリーダー配列、多重クローニング部位、1つまたは複数のペプチドタグ、1つまたは複数のTAG停止コドンおよびファージタンパク質pIIIを含むことができる。従って、ベクターは、大腸菌の種々の抑制因子および非抑制因子株を使って、また、グルコース、イソ−プロピルチオ−β−Dガラクトシド(iso−propylthio−β−D−galactoside)(IPTG)またはVCSM13等のヘルパーファージを添加して、発現のないプラスミドとして複製することができ、大量のポリペプチドライブラリメンバーのみ、または産物ファージ(この内の一部はポリペプチド−pIII融合体で、その表面に少なくとも1つのコピーを含む)、を産生することができる。
【0175】
抗体可変ドメインは、標的リガンド結合部位および/または一般的リガンド結合部位を含んでもよい。特定の実施形態では、一般的リガンド結合部位は、プロテインA、プロテインLまたはプロテインG等のスーパー抗原のための結合部位である。可変ドメインは、任意の所望の可変ドメイン、例えば、ヒトVH(例えば、V1a、V1b、V2、V3、V4、V5、V6)、ヒトVλ(例えば、Vλl、Vλll、Vλlll、VλlV、VλV、VλVIまたはVκ1)またはヒトVK(例えば、Vκ2、Vκ3、Vκ4、Vκ5、Vκ6、Vκ7、Vκ8、Vκ9またはVκ10)に基づくものであってもよい。
【0176】
またさらなる技術カテゴリーには、人工区分によるレパートリーの選択が含まれ、これは遺伝子とその遺伝子産物との結びつきを可能にする。例えば、所望の遺伝子産物をコードした核酸が油中水乳剤を使って形成されたマイクロカプセル中で選択できる選択システムが、WO99/02671, WO00/40712 および Tawfik & Griffiths (1998) Nature Biotechnol 16(7), 652-6に記載されている。所望の活性を有する遺伝子産物をコードした遺伝因子がマイクロカプセル中に区分けされ、次に、転写、および/または翻訳されてそれぞれの遺伝子産物(RNAまたはタンパク質)をマイクロカプセル内に産生する。引き続き、所望の活性を有する遺伝子産物を産生する遺伝因子が選別される。この手法によって、種々の方法で所望の活性を検出することにより目的の遺伝子産物を選択できる。
【0177】
エピトープ結合ドメインの特徴づけ
ELISAを含む当業者に周知の方法によって、特異的抗原又はエピトープへのドメインの結合を試験することができる。一例として、結合は、モノクローナルファージELISAを用いて試験される。
【0178】
ファージELISAは、任意の適切な手順に従って行われ得る。例示的なプロトコルを以下に説明する。
【0179】
各選別で産出したファージ集団は、「ポリクローナル」ファージ抗体を同定するため、選択した抗原又はエピトープへの結合についてELISAによってスクリーニングすることができる。これら集団由来の単一の感染バクテリアコロニーからのファージを、「モノクローナル」ファージ抗体を同定するため、ELISAによってスクリーニングすることができる。抗原又はエピトープへの結合に関して可溶性抗体断片のスクリーニングもまた所望され、これもまた、例えばC−又はN−末端タグに対する試薬を用いてELISAによって実施することができる(例えばWinter et al.(1994)Ann.Rev.Immunology 12、433〜55及びそこで引用された文献を参照のこと)。
【0180】
PCR産物のゲル電気泳動(Marks et al.1991、上記;Nissim et al.1994、上記)、プロービング(Tomlinson et al.、1992 J.Mol.Biol.227、776)又はベクターDNAのシークエンスにより、選択したファージモノクローナル抗体の多様性を評価することができる。
【0181】
dAbの構造
dAbが、本明細書に記載したファージディスプレイ技術に用いて選択したV遺伝子レパートリーから選択される場合には、これらの可変ドメインは普遍的なフレームワーク領域を含み、本明細書で定義したような特定の一般的リガンドによって認識されるようになる。普遍的なフレームワーク、一般的リガンドなどの使用については国際公開第99/20749に記載されている。
【0182】
V遺伝子レパートリーが使用される場合には、ポリペプチド配列における多様性が可変ドメインの構造的ループ内に局在する場合もある。それぞれの可変ドメインとその相補対との相互作用を高めるために、DNAシャッフリング又は変異生成によって、各可変ドメインのポリペプチド配列を変化させてもよい。DNAシャッフリングは当業者に周知であり、例えばStemmer、1994、Nature、370:389〜391及び米国特許第6、297、053号に記載され、この両方は引用することにより本明細書に組み入れられる。突然変異生成のその他の方法もまた当業者に周知である。
【0183】
dAb構築物作成で使用される足場
i.主鎖構造の選択
免疫グロブリンスーパーファミリーの全てのメンバーは、ポリペプチド鎖について類似した折り畳み部分を共有する。例えば、抗体はそれらの一次配列に関しては高度に多様化しているが、配列の比較及び結晶学的な構造は予想に反して、6つの抗体の抗原結合ループのうちの5つ(H1、H2、L1、L2、L3)が限られた数の主鎖構造、又は標準的な構造をとることを明らかにした(Chothia and Lesk(1987)J.Mol.Biol.、196:901;Chothia et al.(1989)Nature、342:877)。ループ長及び鍵となる残基の解析はさらに、大部分のヒト抗体に見られるH1、H2、L1、L2及びL3の主鎖構造の予測を可能にした(Chothia et al.(1992)J.Mol.Biol.、227:799;Tomlinson et al.(1995)EMBO J.、14:4628;Williams et al.(1996)J.Mol.Biol.、264:220)。H3領域は、(Dセグメントの使用により)配列、長さ及び構造においてはより多様であるが、ループ及び抗体フレームワークの鍵となる位置における特定の残基の長さ及び存在又は残基の型次第では、短いループ長においてはH3領域もまた限られた数の主鎖構造を形成する(Martin et al.(1996)J.Mol.Biol.、263:800;Shirai et al.(1996)FEBS Letters、399:1)。
【0184】
dAbはVドメインライブラリ及び/又はVドメインライブラリなどのドメインライブラリから有利に構築される。1つの態様においては、メンバーの主鎖構造が分かるように特定のループ長及び鍵となる残基を選択して、ドメインライブラリを設計する。都合の良いことに、これらは天然に見られる免疫グロブリンスーパーファミリーの実際の構造であり、上記で議論されたような機能を果たさない可能性を最小限にする。生殖細胞系V遺伝子セグメントは、抗体又はT細胞受容体ライブラリを構築するための1つの好適な基礎フレームワークとして機能するが、その他の配列もまた有用である。変異も低頻度で生じ得るが、機能性メンバーの少数が、その機能に影響を及ぼさない程度に変化した主鎖構造を有する可能性がある程度である。
【0185】
標準的な構造の理論も、リガンドによってコードされる異なる主鎖構造の数の評価、リガンド配列に基づく主鎖構造の予測、及び標準的な構造に影響を及ぼさない多様化のための残基の選択に役立つ。ヒトVκドメインにおいては、L1ループは4つの標準的な構造のうちの1つをとることができ、L2ループは単一の標準的な構造を有し、ヒトVκドメインの90%がL3ループのために4つまたは5つの標準的な構造のうちの1つをとることができることが知られている(Tomlinson et al.(1995)上記);従って、Vκドメインのみにおいて、異なる標準的な構造が結合し、異なる種類の主鎖構造を作り出すことが可能である。VλドメインがL1、L2及びL3ループの異なる種類の標準的な構造をコードし、Vκ及びVλドメインがH1及びH2ループのいくつかの標準的な構造をコードする任意のVドメインと対合することが可能なので、これら5つのループで見られる標準的な構造の組み合わせの数は非常に多くなる。このことは、様々な種類の結合特異性を生産するためには、主鎖構造の多様性の生成が必須である可能性を示唆する。しかしながら、予想に反し、実質的に全ての抗原を標的とするのに十分な多様性を生成するには、主鎖構造における多様性は必要ではないことが、単一の既知の主鎖構造に基づいて抗体ライブラリを構築することにより見いだされた。さらに驚くべきことに、単一の主鎖構造はコンセンサス構造である必要もなく、単一の天然に生じる構造を全ライブラリの基礎として用いることが可能である。従って、一つの特定の態様においては、dAbは単一の既知の主鎖構造を有する。
【0186】
選択された単一の主鎖構造が、問題となる免疫グロブリンスーパーファミリータイプの分子間ではありふれたものであってもよい。その構造をとる膨大な数の天然に生じる分子が観察される場合、その構造はありふれたものとなる。従って、1つの態様においては、天然に生じる免疫グロブリンドメインのそれぞれの結合ループについて異なる主鎖構造を個別に検討し、その後、主鎖構造の所望の組み合わせを有する天然に生じる可変ドメインが異なるループのために選択される。何も得られかった場合には、最も近似した等価物を選択することができる。異なるループにおける主鎖構造の所望の組み合わせは、所望の主鎖構造をコードする生殖細胞系遺伝子セグメントを選択することにより作成できる。一例として、選択した生殖細胞系遺伝子セグメントは、天然にしばしば発現するものであり、特に、全ての天然の生殖細胞系遺伝子セグメント中で最も頻繁に発現するものであってもよい。
【0187】
ライブラリの設計においては、6つの抗原結合ループそれぞれについて異なる主鎖構造の頻度を個別に検討してもよい。H1、H2、L1、L2及びL3においては、天然に生じる分子の抗原結合ループの20%から100%の範囲の特定の構造が選択される。典型的には、その観察される頻度は35%超(すなわち35%から100%の間)、理想的には、50%超又は65%超である。H3ループの大部分が標準的な構造を有さないため、標準的な構造を示すかかるループ間でありふれた主鎖構造を選択するのが好ましい。従って、ループのそれぞれにおいては、天然のレパートリーにおいて最も頻繁に観察される構造が選択される。ヒト抗体においては、それぞれのループにおける最も一般的な標準的な構造(CS)は以下の通りである:H1−CS1(発現レパートリーの79%)、H2−CS3(46%)、L1−VκのCS2(39%)、L2−CS1(100%)、L3−VκのCS1(36%)(計算ではκ:λ率が70:30であると推定される。Hoodet al.(1967)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.、48:133)。標準的な構造を有するH3ループについては、94番の残基から101番の残基である塩橋を有する7つの残基のCDR3の長さ(Kabat et al.(1991)Sequences of proteins of immunological interest、U.S.Department of Health及びHuman Services)が最も一般的であることが見いだされた。EMBLデータライブラリには、この構造を形成するために必要とされる長さのH3及び鍵となる残基を有するヒト抗体配列が少なくとも16あり、及びタンパク質データバンク中には、抗体モデリングの基礎として使用可能な少なくとも2つの結晶学的な構造が存在する(2cgr及び1tet)。最も頻繁に発現する生殖細胞系遺伝子セグメントの標準的な構造の組み合わせは、Vセグメント3−23(DP−47)、JセグメントJH4b、VκセグメントO2/O12(DPK9)及びJκセグメントJκ1である。VセグメントDP45及びDP38もまた適している。これらのセグメントをさらに、所望の単一の主鎖構造を有するライブラリを構築するための基礎として、組み合わせることによって使用することができる。
【0188】
また別の方法としては、単離において、それぞれの結合ループについて天然に生じる異なる主鎖構造の頻度に基づいて単一の主鎖構造を選択する代わりに、天然に生じる主鎖構造の組み合わせの頻度が、単一の主鎖構造を選択するための基礎として使用される。抗体の場合には、例えば、任意の2つ、3つ、4つ、5つ、6つの抗原結合ループについて、天然に生じる標準的な構造の組み合わせの頻度を決定することができる。ここで、選択される構造は天然に生じる抗体においてありふれたものであってもよく、かつ、天然のレパートリーにおいて最も頻繁に見られるものであってもよい。従って、ヒト抗体においては、例えば、5つの抗原結合ループであるH1、H2、L1、L2及びL3の天然の組み合わせについて検討する場合には、最も頻繁にみられる標準的な構造の組み合わせを決定し、その後、単一の主鎖構造を選択するための基礎として、H3ループにおける最も一般的な構造とそれを組み合わせる。
【0189】
標準的な配列の多様化
選択された複数の既知の主鎖構造又は単一の既知の主鎖構造を選択したので、分子の結合部位を多様化することによりdAbを構築し、構造的及び/又は機能的多様性を有するレパートリーを生成することができる。このことは、構造及び/又機能の面で十分な多様性を有する変異が生成され、幅のある活性を提供することができることを意味する。
【0190】
所望の多様性は、典型的には、1つ以上の位置において選択した分子を多様化することにより生成される。変化させる位置は、ランダムであってもよいし、又は選択してもよい。多様化は、内在性アミノ酸を任意のアミノ酸又は、天然若しくは合成のアナログにより置換し、ランダム化によって非常に膨大な数の変異を生成するか、又は内在性アミノ酸を1つ以上の定義されたアミノ酸サブセットにより置換し、限定数の変異を生成することにより達成できる。
【0191】
それらの変異を導入する様々な方法が報告されている。分子をコードする遺伝子中にランダムな突然変異を導入するためには、変異性PCR(Hawkins et al.(1992)J.Mol.Biol.、226:889)、化学的突然変異生成(Deng et al.(1994)J.Biol.Chem.、269:9533)又はバクテリアの突然変異誘発遺伝子株(Low et al.(1996)J.Mol.Biol.、260:359)を用いることができる。選択した位置に変異を導入するための方法も当該分野においては周知であり、これらにはPCRの使用を介した又は介さない、ミスマッチオリゴヌクレオチド又は変性オリゴヌクレオチドの使用が含まれる。例えば、複数の合成抗体ライブラリが抗原結合ループに対するターゲティング突然変異によって作出された。ヒト破傷風トキソイド結合FabのH3領域が、新しい種類の結合特性を作出するためにランダム化された(Barbas et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4457)。変異のないフレームワーク領域を有する巨大ライブラリを生産するために、H3及びL3領域のランダム化又はセミランダム化が生殖細胞系V遺伝子セグメントに付加された(Hoogenboom&Winter(1992)J.Mol.Biol.、227:381;Barbas et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4457;Nissim et al.(1994)EMBOJ.、13:692;Griffiths et al.(1994)EMBOJ.、13:3245;De Kruif et al.(1995)J.Mol.Biol.、248:97)。それらの変異は、いくつか又は全てのその他の抗原結合ループを含むように拡大された(Crameri et al.(1996)Nature Med.、2:100;Riechmann et al.(1995)Bio/Technology、13:475;Morphosys、国際公開第97/08320号、上記)。
【0192】
ループランダム化はH3だけで約1015を超える構造を作り出し、その他の5つのループについても類似した数の変異を生成する可能性があるため、全ての可能な組み合わせを発現するライブラリを構築するのに現在の形質転換技術を用いることも、無細胞系を用いることさえも適してはいない。例えば、これまでに構築された最も巨大なライブラリのうちの1つにおいては、この設計のライブラリにおいて可能な多様性のただ1つの画分である、6x1010の異なる抗体が生成された(Griffiths et al.(1994)上記)。
【0193】
1つの実施形態においては、分子の所望の機能を作り出す又は変化させることに直接関係している残基のみが多様化される。多くの分子においては、その機能は標的に結合させることであり、従って多様性は、分子の全体的パッキング又は選択した主鎖構造の維持にとって重要な残基を変化させるのを避けながら、標的結合部位に集中させる必要がある。
【0194】
1つの態様においては、抗原結合部位におけるそれらの残基のみが多様化されたdAbライブラリが使用される。これらの残基は特にヒト抗体レパートリーにおいて多様であり、かつ、高品質な抗体/抗原複合体と接触することが知られている。例えば、L2においては、50及び53番目の位置は天然に生じる抗体で多様であり、抗原との結合が観察されることが知られている。これとは対照的に、標準的な方法では、Kabat et al.(1991、上記)によって定義された対応する相補性決定領域(CDR1)において全ての残基、すなわちライブラリにおいて2つが変化したのに対し7残基余りを多様化させなければならないだろう。これは、抗原結合特性の範囲を作り出すのに必要な機能的多様性の面で、大幅な改善である。
【0195】
天然においては、抗体の多様性は、生殖細胞系V、D及びJ遺伝子セグメントの体細胞組換えによるナイーブ初代レパートリーの作成(いわゆる生殖細胞系及び接合多様性)、並びにその結果生じた再構成V遺伝子の体細胞超変異という2つの過程の結果である。ヒト抗体配列の解析により、初代レパートリーにおける多様性が抗原結合部位の中心に集中していること、一方で体細胞超変異は初代レパートリーにおいて高度に保存される抗原結合部位の末端の領域にまで多様性を広げることが示された(Tomlinson et al.(1996)J.Mol.Biol.、256:813を参照のこと)。この相補性はおそらく配列間隔を探すための効果的な方法として発展したものであろう。これは明かに抗体に特有なものではあるが、他のポリペプチドレパートリーに対しても容易に適用可能である。多様化した残基は、標的への結合部位を形成する残基のサブセットである。標的結合部位における異なる(重複を含む)残基のサブセットは、必要に応じて選択の異なる段階において多様化される。
【0196】
抗体レパートリーの例においては、初代「ナイーブ」レパートリーは、抗原結合部位のいくつかの(しかし全てではない)残基が多様化された場合に作り出される。この文脈で本明細書で使用される場合、「ナイーブ」又は「ダミー」という用語は、予め決められた標的を有さない抗体分子を意味する。これらの分子は、多様な抗原刺激に曝されていない胎児及び新生児患者の場合と同様に、免疫多様化を受けていない患者の免疫グロブリン遺伝子によってコードされる分子に類似する。このレパートリーはその後、抗原又はエピトープの種類によって選択される。必要に応じて、さらなる多様性をその後、最初のレパートリーにおいて多様化された領域の外側に導入することができる。この成熟したレパートリーは、改変した機能、特異性又は親和性用に選択できる。
【0197】
本明細書において記載された配列は、実質的に同一な配列、例えば少なくとも90%同一な配列、本明細書で記載された配列と例えば少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%同一な配列を含むことを理解されたい。
【0198】
核酸については、「実質的な同一性」という用語は、2つの核酸又はその指示された配列を、最適にアラインメント又は比較した場合に、適切なヌクレオチドの挿入又は欠損を含めて、少なくとも約80%のヌクレオチドが、通常は少なくとも約90%から95%、及びより好ましくは少なくとも約98%から99.5%のヌクレオチドが同一であることを示す。また、実質的な同一性は、選択的なハイブリダイゼーションの条件下でセグメントが相補鎖にハイブリダイズする場合にも存在する。
【0199】
ヌクレオチド及びアミノ酸配列については、「同一」という用語は、適切な挿入又は欠損を含めて最適にアラインメント及び比較した場合の2つの核酸又はアミノ酸配列の同一性の度合いを意味する。また、実質的な同一性は、選択的なハイブリダイゼーションの条件下でDNAセグメントが相補鎖にハイブリダイズする場合にも存在する。
【0200】
2つの配列間の同一性のパーセンテージは、その2つの配列を最適にアライメントするために導入が必要とされるギャップ及びそれぞれのギャップの長さを考慮した場合に、その配列が共有している同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の数/全位置の数x100)。2つの配列間の配列の比較及び同一性のパーセンテージの決定は、以下の限定しない実施例に記載した数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。
【0201】
2つのヌクレオチド配列間の同一性のパーセンテージは、NWSgapdna.CMPマトリックス並びに40、50、60、70、又は80のギャップウェート及び1、2、3、4、5、又は6の長さウェートを使用してGCGソフトウェア中のGAPプログラムを用いて決定することができる。2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の同一性のパーセンテージもまたALIGNprogram(version 2.0)に組み込まれたE.Meyers及びW.Miller(Comput.Appl.Biosci.、4:11〜17(1988))のアルゴリズムを用い、PAM120ウェート残基表、12のギャップ長ペナルティ及び4のギャップペナルティを使用して決定することができる。加えて、2つのアミノ酸配列間の同一性のパーセンテージはGCGソフトウェア中のGAPプログラム中に組み込まれたNeedleman及びWunsch(J.Mol.Biol.48:444〜453(1970))のアルゴリズムを用い、Blossum62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか及び16、14、12、10、8、6、又は4のギャップウェートと1、2、3、4、5、又は6の長さウェートを使用して決定することができる。
【0202】
一例として、本発明のポリペプチド配列は、配列番号38によってコードされる参照配列と100%同一であってもよく、又は同一性のパーセンテージが100%未満になるように、参照配列と比較した特定の整数までのアミノ酸変異を含んでもよい。それらの変異は、少なくとも1つのアミノ酸欠損、保存的置換及び非保存的置換を含む置換、又は挿入からなる群より選択される。ここで前記変異は、参照配列若しくは参照配列中の1つ以上の隣接したグループのアミノ酸中に個別に散在して、参照ポリペプチド配列のアミノ又はカルボキシ末端又はそれら末端位置の間の任意の位置に生じてもよい。指定された同一性のパーセンテージにおけるアミノ酸変異の数は、配列番号38によってコードされるポリペプチド配列中のアミノ酸の総数とそれぞれの同一性のパーセンテージの数字上のパーセンテージ(100で割る)とを掛け、その後、配列番号38によってコードされるポリペプチド配列中のアミノ酸の数から得られた積を引くことによって決定する、又は:
【数1】

であり、
式中naはアミノ酸変異の数、xaは配列番号38によってコードされるポリペプチド配列中のアミノ酸の総数、及びyは、例えば70%の場合には0.70、80%の場合には0.80、85%の場合には0.85などであり、並びにここでxa及びyの数値がいずれの整数でもない場合には、xaから引く前に、最も近い整数まで切り捨てる。
【実施例】
【0203】
実施例1:抗RANKL/抗VEGF抗原結合性構築物の構築
この実施例は予測上のものである。
【0204】
抗RANKL/抗VEGF抗原結合性構築物の設計
本明細書中で記載した抗VEGF抗原結合性構築物は、抗RANKL抗体の重鎖又は軽鎖を任意選択のリンカーを介して抗VEGFエピトープ結合ドメインに結合させること、又は抗VEGF抗体の重鎖又は軽鎖を任意選択のリンカーを介して抗RANKLエピトープ結合ドメインに結合させることによって生成する。
【0205】
抗原結合性構築物の実施例を示す模式図を図6に示した。
【0206】
本発明に役立つ様々な抗RANKL抗体可変重鎖及び可変軽鎖ドメインのアミノ酸配列の例を配列番号10〜23に示した。完全な抗体重鎖又は軽鎖を形成するために、これらを好適な定常領域と結合させることができる。
【0207】
本発明に役立つ様々な抗RANKL抗体の完全長重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列の例を配列番号24〜37に示した。
【0208】
配列番号22及び23の可変重鎖及び可変軽鎖ドメイン配列、及び配列番号36及び37の完全長重鎖及び軽鎖を含む本発明に役立つ抗体の詳細については国際公開第2003002713号において記載されている。
【0209】
抗RANKL可変ドメイン配列のさらなる例を表1に示した。
【0210】
【表1】

【0211】
好適なリンカー配列の例を配列番号3〜8に示した。又はそれらの代わりに、CH3ドメイン又はCLドメインとエピトープ結合ドメインとの間に十分な結合を提供できる、任意の天然に生じる又は合成のリンカー配列が使用可能である。
【0212】
抗VEGFエピトープ結合ドメインの例を配列番号1と2に示す。
【0213】
抗VEGFR2エピトープ結合ドメインの例を配列番号46に示す。
配列番号1の抗VEGFエピトープ結合ドメインを含む重鎖または軽鎖抗原結合性構築物配列の例を配列番号38〜43に示す。
【0214】
これらの例では、抗VEGFエピトープ結合ドメインが重鎖か軽鎖のどちらかのC末端で融合している。全ケースにおいて、抗体のCH3ドメインまたはCLドメインとエピトープ結合ドメインの間のリンカーは下線で示す(TVAAPSGS)。
【0215】
本発明で使用する抗VEGF抗体の完全長の重鎖と軽鎖のアミノ酸配列を配列番号44と49(重鎖)および配列番号45(軽鎖)に示す。
【0216】
配列番号48の抗RANKLエピトープ結合ドメインを含む重鎖または軽鎖抗原結合性構築物配列の例を配列番号50、51および52に示す。これらの例では、抗VEGFエピトープ結合ドメインは、重鎖または軽鎖のいずれかのC末端で融合している。全てのケースについて、抗体のCH3ドメインまたはCkドメインとエピトープ結合ドメインの間のリンカーを下線で示す(TVAAPSGS)。
【0217】
本発明に役立つ抗RANKLエピトープ結合ドメイン(抗RANKLナノボディの例において)の例を配列番号47及び48に示した。
【0218】
抗RANKL/抗VEGF抗原結合性構築物配列の例を表2に示す。
【表2】

【0219】
分子生物学及び発現
抗RANKL抗原結合性構築物の重鎖又は軽鎖をコードしているDNA発現ベクターは、PCRによる重複するオリゴヌクレオチドからのデノボ構築、又は重複PCR技術、又は部位特異的突然変異生成、又は制限酵素を使用したクローニング、又はその他の組換え技術(例えばGatewayクローニングなど)を含む標準的な分子生物学的技術によって生成することができる。
【0220】
これらのタンパク質を発現させるためには、N末端に直接シグナルペプチド配列を付加して融合タンパク質を分泌させる必要がある。好適なシグナルペプチド配列の例を配列番号9に示した。DNA配列を得るために、シグナルペプチド配列を含む完全長融合タンパク質を逆翻訳してDNA配列を得ることができる。いくつかの例では、発現を改良するため、DNA配列におけるコドンの最適化が有効な場合がある。発現を促進するために、コザック配列及び停止コドンが付加される。クローニングを促進するためには、制限酵素を5’及び3’末端に含ませることができる。同様に、いくつかの例においては制限酵素部位を調節するためにアミノ酸配列を修正することが必要な場合があるが、ドメインのシャッフリングを促進するため、制限酵素部位を操作してコード配列に変えることもできる。
【0221】
抗RANKL抗体の重及び軽鎖をコードしている有効な配列のクローンを同時形質移入し、そしてE.coli又はCHO−K1、CHO−e1A、HEK293、HEK293−6Eなどの真核細胞株又はその他の一般的な発現細胞株などの様々な発現系において発現させることができる。
【0222】
哺乳類の発現系においては、抗原結合性構築物は上清から回収することができ、そしてプロテインAセファロースなどの標準の精製技術によって精製することができる。
【0223】
その後、抗原結合性構築物をRANKL及びVEGFへの結合及び生物学的活性を評価する数多くのアッセイにおいて試験することができる。様々なアッセイには、当業者に周知の競合ELISA、受容体中和ELISA、BIAcoreなどのELISA又は細胞を用いたアッセイが含まれる。
【0224】
実施例2:RANKL二重特異性抗体の設計及び構築
可変重鎖(VH)ポリヌクレオチド配列を、抗VEGF dAb DOM15−26−593に融合したヒトIgG1定常領域をコードしている哺乳類発現ベクター中にクローニングした。このことは、抗VEGF dAbがTVAAPSGSリンカー(配列番号56及び55、BPC1844の重鎖のDNA及びタンパク質配列)を介して抗RANKL mAb重鎖のC末端に融合することを可能にした。
【0225】
BPC1844(配列番号56および57)をコードしている発現プラスミドを、293fectin(Invitrogen、12347019)を用いてHEK293−6E細胞中に一過的に形質移入した。表3はこれら配列の詳細を示す。
【0226】
24時間後、細胞培養に栄養としてトリプトンを添加した。4〜5日後に上清を回収し、この上清を実施例3に記載した結合アッセイに用いた。
【0227】
【表3】

【0228】
実施例3:VEGF及びRANKLブリッジングELISA法
96ウェル高結合プレートを1μg/mLのhVEGF165(内製材料、バッチEC071127−3)でコーティングし、+4℃で一晩インキュベートした。このプレートを0.05%のTween20を含むトリス緩衝食塩水で2回洗った。200μLのブロッキング溶液(DPBS緩衝液中に5%BSA)をそれぞれのウェルに加え、そしてこのプレートを室温で少なくとも1時間インキュベートした。その後、再び洗浄工程を行った。希釈していない上清(BPC1844)又は2μg/mLの精製した抗体(対照抗体:BPC1633、BPC2609、およびSigma IgG)から、プレート全体に亘って、BPC1844、BPC1633(抗IL4及び抗VEGF二重特異性抗体)、BPC2609(抗IL4及び抗RANKL二重特異性抗体)及びネガティブコントロール抗体(Sigma IgG1、I5154)をブロッキング溶液中で連続して希釈した。1時間インキュベートした後、プレートを洗った。ビオチン化RANKL(0.22mg/mL、バッチ:N14081−10、12/11/09)をブロッキング溶液中で500倍に希釈し、そして50μLをそれぞれのウェルに加えた。プレートをさらに1時間インキュベートし、その後再度洗浄した。Extravidin−ペルオキシダーゼ(Sigma、E2886)をブロッキング溶液中で1000倍に希釈し、そして50μLをそれぞれのウェルに加えた。プレートを1時間インキュベートした。再度洗浄工程を行った後、50μlのOPDSigmaFast基質溶液をそれぞれのウェルに加え、そして15分後に、50μLの2M硫酸を加えることによって反応を停止させた。VersaMax Tunable Microplate Reader(Molecular Devices)を利用し、標準的なエンドポイントプロトコールを用いて490nmで吸光度を測定した。
【0229】
図7はVEGF及びRANKLブリッジングELISAの結果を示し、BPC1844がRANKL及びVEGFの両方と同時に結合することができることを確認するものである。BPC2609、BPC1633及びネガティブコントロール抗体は両方の標的への結合を示さない。
【0230】
実施例4:VEGF受容体結合アッセイ
この実施例は予測上のものである。
【0231】
このアッセイは、VERF165のVEGF R2(VEGF受容体)に対する結合性およびこの反応を阻止する試験分子の能力を測定する。ELISAプレートを一晩VEGF受容体(R&D Systems、CatNo:357−KD−050)(0.2M炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム中最終濃度0.5μg/ml、pH9.4)、でコートし、2%BSAのPBS溶液でブロッキングを行う。VEGF(R&D Systems、CatNo:293−VE−050)と試験分子(0.05%Tween 20(登録商標)PBS中の0.1%BSAで希釈)を1時間プレインキュベートした後、プレートに添加する(VEGF最終濃度:3ng/ml)。VEGFのVEGF受容体への結合はビオチン化抗VEGF抗体(最終濃度0.5μg/ml)(R&D Systems、CatNo:BAF293)およびペルオキシダーゼ複合化抗ビオチン2次抗体(1:5000希釈)(Stratech、CatNo:200−032−096)を使って検出し、等容積の1M HClで反応を停止した後、発色基質(Sure Blue TMBペルオキシダーゼ基質、KPL)を使ってOD450で可視化する。
【0232】
実施例5:抗原結合性構築物の化学量論性評価(Biacore(商標)を用いる)
この実施例は予測上のものである。
【0233】
抗ヒトIgGを、最初にアミンカップリングによってCM5バイオセンサーチップ上に固定化する。抗原結合性構築物をこの表面上に補足する。その後、単一濃度のRANKL又はVEGFを通過させる。この濃度は、結合表面及び観察される結合シグナルを最大のR−maxに達するまで飽和させるのに十分な濃度である。その後、化学量を下記の式を用いて算出する:
化学量=Rmax*Mw(リガンド)/Mw(被分析物)*R(固定化又は補足されたリガンド)。
【0234】
同時に1つ以上の被分析物の結合について化学量を算出する場合には、異なる抗原を飽和抗原濃度で順番に通過させ、その後上述の通りに化学量を算出する。この試験はBiacore3000を利用し、HBS−EPランニングバッファーを用いて25℃で行うことができる。
配列
【0235】
【表4】

【0236】

【0237】

【0238】

【0239】
配列番号1(抗VEGF dAb DOM15−26−593)
EVQLLVSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFKAYPMMWVRQAPGKGLEWVSEISPSGSYTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDPRKLDYWGQGTLVTVSS
【0240】
配列番号2(抗VEGFアンチカリン)
DGGGIRRSMSGTWYLKAMTVDREFPEMNLESVTPMTLTLLKGHNLEAKVTMLISGRCQEVKAVLGRTKERKKYTADGGKHVAYIIPSAVRDHVIFYSEGQLHGKPVRGVKLVGRDPKNNLEALEDFEKAAGARGLSTESILIPRQSETCSPG
【0241】
配列番号3(G4Sリンカー)
GGGGS
【0242】
配列番号4(リンカー)
TVAAPS
【0243】
配列番号5(リンカー)
ASTKGPT
【0244】
配列番号6(リンカー)
ASTKGPS
【0245】
配列番号7(リンカー)
GS
【0246】
配列番号8(リンカー)
TVAAPSGS
【0247】
配列番号9(実施例 シグナルペプチド 配列)
MGWSCIILFLVATATGVHS
【0248】
配列番号10(ヒト化重鎖可変領域配列HZVH2A4−2(86)直線的グラフト)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYGMSWVRQAPGKGLEWVSTISSGGSYIYYPDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLDGYNYRWYFDVWGQGTMVTVSS
【0249】
配列番号11(ヒト化重鎖可変領域配列HZVH2A4−1S49A(87))
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYGMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGSYIYYPDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLDGYNYRWYFDVWGQGTMVTVSS
【0250】
配列番号12(ヒト化軽鎖可変領域配列HZLC2A4−2直線的グラフト)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYSSPRTFGGGTKVEIKRT
【0251】
配列番号13(ヒト化軽鎖可変領域配列HZLC2A4−3Q3V(90))
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYSSPRTFGGGTKVEIKRT
【0252】
配列番号14(ヒト化軽鎖可変領域配列HZLC2A4−1Q3V、S60D(88)) DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYSSPRTFGGGTKVEIKRT
【0253】
配列番号15(ヒト化軽鎖可変領域配列HZLC2A4−4S60D(89))
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYSSPRTFGGGTKVEIKRT
【0254】
配列番号16−ヒト化重鎖可変配列HZ19H22−2(93)Y27F、T30K、R66K、A71T、93T、94T
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFTFKGTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPANGNTKYDPKFQGKVTITTDTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTTQFHYYGYGGVYWGQGTMVTVSS
【0255】
配列番号17−ヒト化重鎖可変配列HZ19H22−4(94)Y27F、T28N、F29I、T30K、A71T、93T、94T
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKGTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPANGNTKYDPKFQGRVTITTDTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTTQFHYYGYGGVYWGQGTMVTVSS
【0256】
配列番号18−ヒト化重鎖可変配列HZ19H22−5(95)V2I、Y27F、T28N、F29I、T30K、R66K、V67A、A71T、T75P、S76N、93T、94T
QIQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKGTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPANGNTKYDPKFQGKATITTDTSPNTAYMELSSLRSEDTAVYYCTTQFHYYGYGGVYWGQGTMVTVSS
【0257】
配列番号19−ヒト化軽鎖可変領域配列HZK19H22−4(98)直線的グラフト
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCSASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSNFPLTFGQGTKVEIKRT
【0258】
配列番号20−ヒト化軽鎖可変領域配列HZK19H22−2(96)I58V、F71Y
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCSASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLASGVPDRFSGSGSGTDYTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSNFPLTFGQGTKVEIKRT
【0259】
配列番号21−ヒト化軽鎖可変領域配列HZK19H22−3(97)F71Y
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCSASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLASGIPDRFSGSGSGTDYTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSNFPLTFGQGTKVEIKRT
【0260】
配列番号22−αOPGL−1重鎖可変領域(AMG−162VH)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGITGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDPGTTVIMSWFDPWGQGTLVTVSS
【0261】
配列番号23−αOPGL−1軽鎖可変領域(AMG−162VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVRGRYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVFYCQQYGSSPRTFGQGTKVEIKRT
【0262】
配列番号24−ヒト化重鎖配列HZVH2A4−2(86)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYGMSWVRQAPGKGLEWVSTISSGGSYIYYPDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLDGYNYRWYFDVWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0263】
配列番号25−ヒト化重鎖配列HZVH2A4−1(87)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYGMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGSYIYYPDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLDGYNYRWYFDVWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0264】
配列番号26(ヒト化軽鎖配列HZLC2A4−2(91))
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYSSPRTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0265】
配列番号27(ヒト化軽鎖配列HZLC2A4−3(90))
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYSSPRTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0266】
配列番号28(ヒト化配列HZLC2A4−1(88))
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYSSPRTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0267】
配列番号29(ヒト化軽鎖配列HZLC2A4−4(89))
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYSSPRTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0268】
配列番号30(ヒト化重鎖配列HZ19H22−2(93))
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFTFKGTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPANGNTKYDPKFQGKVTITTDTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTTQFHYYGYGGVYWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0269】
配列番号31(ヒト化重鎖配列HZ19H22−4(94))
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKGTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPANGNTKYDPKFQGRVTITTDTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTTQFHYYGYGGVYWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0270】
配列番号32(ヒト化重鎖配列HZ19H22−5(95))
QIQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKGTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPANGNTKYDPKFQGKATITTDTSPNTAYMELSSLRSEDTAVYYCTTQFHYYGYGGVYWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0271】
配列番号33(ヒト化軽鎖配列HZK19H22−4(98))
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCSASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSNFPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0272】
配列番号34(ヒト化軽鎖配列HZK19H22−2(96))
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCSASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLASGvPDRFSGSGSGTDyTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSNFPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0273】
配列番号35(ヒト化軽鎖配列HZK19H22−3(97))
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCSASSSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLASGIPDRFSGSGSGTDyTLTISRLEPEDFAVYYCQQWSNFPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0274】
配列番号36(αOPGL−1重鎖配列(AMG−162VH))
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGITGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDPGTTVIMSWFDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0275】
配列番号37(αOPGL−1軽鎖配列(AMG−162VL))
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVRGRYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVFYCQQYGSSPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0276】
配列番号38(αOPGL−1重鎖配列(AMG−162VH)+DOM15−26−593)

【0277】
配列番号39(αOPGL−1軽鎖配列(AMG−162VL)+DOM15−26−593)

【0278】
配列番号40(ヒト化重鎖配列HZ19H22−2(93)+DOM15−26−593)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFTFKGTYMHWVRQAPGQGLEWMGRIDPANGNTKYDPKFQGKVTITTDTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTTQFHYYGYGGVYWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKTVAAPSGSEVQLLVSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFKAYPMMWVRQAPGKGLEWVSEISPSGSYTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDPRKLDYWGQGTLVTVSS
【0279】
配列番号41(ヒト化軽鎖配列HZK19H22−2(96)+DOM15−26−593)

【0280】
配列番号42(ヒト化重鎖配列HZVH2A4−2ストレートグラフト(86)+DOM15−26−593)


【0281】
配列番号43(ヒト化軽鎖配列HZLC2A4−1(88)+DOM15−26−593)

【0282】
配列番号44(抗VEGF抗体重鎖)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTNYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPHYYGSSHWYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0283】
配列番号45(抗VEGF抗体軽鎖)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0284】
配列番号46(抗VEGFR2アドネクチン)
EVVAATPTSLLISWRHPHFPTRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPLQPPTATISGLKPGVDYTITVYAVTDGRNGRLLSIPISINYRT
【0285】
配列番号47(抗RANKLナノボディRANKL13)
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFRSYPMGWFRQAPGKEREFVASITGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLRPEDTAVYSCAAYIRPDTYLSRDYRKYDYWGQGTQVTVSS
【0286】
配列番号48(ヒト化抗RANKLナノボディRANKL13hum5)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYPMGWFRQAPGKGREFVSSITGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAAYIRPDTYLSRDYRKYDYWGQGTLVTVSS
【0287】
配列番号49(代替抗VEGF抗体重鎖)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTNYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPHYYGSSHWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0288】
配列番号50(抗VEGF抗体重鎖+ヒト化抗RANKLナノボディRANKL13hum5)

【0289】
配列番号51(抗VEGF抗体軽鎖+ヒト化抗RANKLナノボディRANKL13hum5)


【0290】
配列番号52(代替抗VEGF抗体重鎖+ヒト化抗RANKLナノボディRANKL13hum5)

【0291】
配列番号53(抗VEGF Y0317ヒト化抗体断片VH領域のポリヌクレオチド配列)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYDFTHYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTY
AADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPYYYGTSHWYFDVWGQGTL
【0292】
配列番号54(抗VEGF Y0317ヒト化抗体断片VL領域のポリヌクレオチド配列)
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIKRTV
【0293】
配列番号55(BPC1844重鎖のポリペプチド配列)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYGMSWVRQAPGKGLEWVSTISSGGSYIYYPDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLDGYNYRWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKTVAAPSGSEVQLLVSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFKAYPMMWVRQAPGKGLEWVSEISPSGSYTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDPRKLDYWGQGTLVTVSS
【0294】
配列番号56(BPC1844重鎖のポリヌクレオチド配列)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGAGCGGCGGCGGACTGGTGCAGCCCGGAGGCAGCCTGAGACTGTCTTGCGCTGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGATACGGCATGAGCTGGGTGAGGCAGGCCCCCGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTGTCAACCATCAGCAGCGGCGGCAGCTACATCTACTACCCCGACAGCGTCAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTCAGGGCCGAGGACACCGCCGTGTATTACTGCGCCAGGCTGGACGGCTACAACTACAGGTGGTACTTCGACGTCTGGGGCCAGGGCACACTAGTGACCGTGTCCAGCGCCAGCACCAAGGGCCCCAGCGTGTTCCCCCTGGCCCCCAGCAGCAAGAGCACCAGCGGCGGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTGAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACCGTGTCCTGGAACAGCGGAGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCCGCCGTGCTGCAGAGCAGCGGCCTGTACAGCCTGAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCAGCAGCAGCCTGGGCACCCAGACCTACATCTGTAACGTGAACCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAGGTGGAGCCCAAGAGCTGTGACAAGACCCACACCTGCCCCCCCTGCCCTGCCCCCGAGCTGCTGGGAGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCTAAGGACACCCTGATGATCAGCAGAACCCCCGAGGTGACCTGTGTGGTGGTGGATGTGAGCCACGAGGACCCTGAGGTGAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAATGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTACAACAGCACCTACCGGGTGGTGTCCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGATTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGTAAGGTGTCCAACAAGGCCCTGCCTGCCCCTATCGAGAAAACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGAGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCTAGCAGAGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCTGTGCTGGACAGCGATGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAAGCTGACCGTGGACAAGAGCAGATGGCAGCAGGGCAACGTGTTCAGCTGCTCCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAATCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGTCCCCTGGCAAGACCGTGGCCGCCCCCTCGGGATCCGAGGTGCAGCTCCTGGTCAGCGGCGGCGGCCTGGTCCAGCCCGGAGGCTCACTGAGGCTGAGCTGCGCCGCTAGCGGCTTCACCTTCAAGGCCTACCCCATGATGTGGGTCAGGCAGGCCCCCGGCAAAGGCCTGGAGTGGGTGTCTGAGATCAGCCCCAGCGGCAGCTACACCTACTACGCCGACAGCGTGAAGGGCAGGTTCACCATCAGCAGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACTCTCTGAGGGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAAGGACCCCAGGAAGCTGGACTATTGGGGCCAGGGCACTCTGGTGACCGTGAGCAGC
【0295】
配列番号57(配列番号26の抗RANKL軽鎖のポリヌクレオチド配列)
GATATCCAGATGACCCAGAGCCCCAGCAGCCTGAGCGCAAGCGTCGGAGACAGGGTGACCATCACCTGCAAGGCCAGCCAGGACGTGAGCACTGCCGTGGCCTGGTACCAGCAGAAACCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACAGCGCCAGCTACCGGTATACCGGCGTGCCCAGCAGGTTCTCTGGCAGCGGCTCTGGCACCGACTTCACCCTGACCATCAGCTCCCTCCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCAGCAGCACTACAGCAGCCCCAGGACCTTCGGCGGCGGCACCAAGGTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCCGCCCCCAGCGTGTTCATCTTCCCCCCCAGCGATGAGCAGCTGAAGAGCGGCACCGCCAGCGTGGTGTGTCTGCTGAACAACTTCTACCCCCGGGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAATGCCCTGCAGAGCGGCAACAGCCAGGAGAGCGTGACCGAGCAGGACAGCAAGGACTCCACCTACAGCCTGAGCAGCACCCTGACCCTGAGCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGTGAGGTGACCCACCAGGGCCTGTCCAGCCCCGTGACCAAGAGCTTCAACCGGGGCGAGTGC
【0296】
配列番号58
GSTVAAPSGS
【0297】
配列番号59
GSTVAAPSGSTVAAPSGS
【0298】
配列番号60
GSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGS
【0299】
配列番号61
GSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGS
【0300】
配列番号62
GSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGS
【0301】
配列番号63
GSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGSTVAAPSGS
【0302】
配列番号64
PASGS
【0303】
配列番号65
PASPASGS
【0304】
配列番号66
PASPASPASGS
【0305】
配列番号67
GGGGSGGGGS
【0306】
配列番号68
GGGGSGGGGSGGGGS
【0307】
配列番号69
PAVPPPGS
【0308】
配列番号70
PAVPPPPAVPPPGS
【0309】
配列番号71
PAVPPPPAVPPPPAVPPPGS
【0310】
配列番号72
TVSDVPGS
【0311】
配列番号73
TVSDVPTVSDVPGS
【0312】
配列番号74
TVSDVPTVSDVPTVSDVPGS
【0313】
配列番号75
TGLDSPGS
【0314】
配列番号76
TGLDSPTGLDSPGS
【0315】
配列番号77
TGLDSPTGLDSPTGLDSPGS
【0316】
配列番号78
PAS
【0317】
配列番号79
PAVPPP
【0318】
配列番号80
TVSDVP
【0319】
配列番号81
TGLDSP
【0320】
配列番号82
TVAAPSTVAAPSGS
【0321】
配列番号83
VAAPSTVAAPSTVAAPSGS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のエピトープ結合ドメインに連結したタンパク質足場を含む抗原結合性構築物であって、該抗原結合性構築物は少なくとも2つの抗原結合部位を有し、そのうちの少なくとも1つはエピトープ結合ドメインに由来し、少なくとも1つはペアードVH/VLドメインに由来する該抗原結合部位の少なくとも1つがRANKLに結合することが可能な、抗原結合性構築物。
【請求項2】
少なくとも1つのエピトープ結合ドメインがdAbである、請求項1に記載の抗原結合性構築物。
【請求項3】
該dAbがヒトdAbである、請求項2に記載の抗原結合性構築物。
【請求項4】
該dAbがラクダ科dAbである、請求項2に記載の抗原結合性構築物。
【請求項5】
該dAbがサメdAb(NARV)である、請求項2に記載の抗原結合性構築物。
【請求項6】
少なくとも1つのエピトープ結合性ドメインが、CTLA−4(Evibody);リポカリン;プロテインAのZドメイン(Affibody、SpA)、Aドメイン(Avimer/Maxibody)などのプロテインA由来分子;GroEL及びGroESなどの熱ショックタンパク質;トランスフェリン(trans−body);アンキリンリピートタンパク質(DARPin);ペプチドアプタマー;C型レクチンドメイン(Tetranectin);ヒトγクリスタリン及びヒトユビキチン(affilins);PDZドメイン;ヒトプロテアーゼインヒビターのスコーピオントキシンクニッツ(scorpiontoxinkunitz)型ドメイン;並びにフィブロネクチン(アドネクチン)より選択される足場に由来する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物。
【請求項7】
該エピトープ結合ドメインがAffibody、アンキリンリピートタンパク質(DARPin)及びアドネクチンより選択される足場に由来する、請求項6に記載の抗原結合性構築物。
【請求項8】
該結合構築物が2つ以上の抗原に対する特異性を有する、前述の請求項1〜7のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項9】
少なくとも1つのペアードVH/VLドメインがRANKLに結合可能な、前述の請求項1〜8のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項10】
少なくとも1つのエピトープ結合ドメインがRANKLに結合可能な、前述の請求項1〜9のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項11】
該抗原結合性構築物がRANKL及びVEGFに結合可能な、請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物。
【請求項12】
該タンパク質足場がIg足場である、前述の請求項1〜11のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項13】
該Ig足場がIgG足場である、請求項12に記載の抗原結合性構築物。
【請求項14】
該IgG足場がIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4より選択される、請求項13に記載の抗原結合性構築物。
【請求項15】
該タンパク質足場が一価抗体を含む、請求項14に記載の抗原結合性構築物。
【請求項16】
該IgG足場が抗体の全てのドメインを含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物。
【請求項17】
4つのエピトープ結合ドメインを含む、前述の請求項1〜16のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項18】
該エピトープ結合ドメインのうちの2つが同じ抗原に対する特異性を有する、請求項17に記載の抗原結合性構築物。
【請求項19】
該エピトープ結合ドメインの全てが同じ抗原に対する特異性を有する、請求項18に記載の抗原結合性構築物。
【請求項20】
該エピトープ結合ドメインのうちの少なくとも1つが1〜150のアミノ酸を含むリンカーを介して該Ig足場に直接連結される、前述の請求項1〜19のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項21】
該エピトープ結合ドメインのうちの少なくとも1つが1〜20のアミノ酸を含むリンカーを介して該Ig足場に直接連結される、請求項20に記載の抗原結合性構築物。
【請求項22】
該エピトープ結合ドメインのうちの少なくとも1つが配列番号3〜8に示されたいずれかの配列又はその組み合わせより選択されたリンカーを介して該Ig足場に直接連結される、請求項21に記載の抗原結合性構築物。
【請求項23】
該エピトープ結合ドメインのうちの少なくとも1つがヒト血清アルブミンに結合する、前述の請求項1〜22のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項24】
軽鎖のN末端で該Ig足場と連結したエピトープ結合ドメインを含む、請求項12〜23のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物。
【請求項25】
重鎖のN末端で該Ig足場と連結したエピトープ結合ドメインを含む、請求項12〜23のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物。
【請求項26】
軽鎖のC末端で該Ig足場に連結したエピトープ結合ドメインを含む、請求項12〜23のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物。
【請求項27】
重鎖のC末端で該Ig足場に連結したエピトープ結合ドメインを含む、請求項12〜23のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物。
【請求項28】
4つの抗原結合部位を有し、同時に4つの抗原に結合することが可能な、前述の請求項1〜27のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項29】
医療における使用のための、前述の請求項1〜28のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項30】
癌、例えばAML、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌、胃癌、膀胱癌、子宮癌、腎臓癌または多発性骨髄腫、または慢性関節リウマチ若しくは骨関節炎等の関節炎疾患の治療のための医薬の製造における使用のための、前述の請求項1〜29のいずれかに記載の抗原結合性構築物。
【請求項31】
治療的な量の、請求項1〜28のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物を投与することを含む、癌、例えばAML、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌、胃癌、膀胱癌、子宮癌、腎臓癌または多発性骨髄腫、または慢性関節リウマチ若しくは骨関節炎等の関節炎疾患に罹患した患者の治療方法。
【請求項32】
癌、例えばAML、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌、胃癌、膀胱癌、子宮癌、腎臓癌または多発性骨髄腫、または慢性関節リウマチ若しくは骨関節炎等の関節炎疾患の治療のための、請求項1〜28のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物。
【請求項33】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物の重鎖をコードする、ポリヌクレオチド配列。
【請求項34】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物の軽鎖をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項35】
前述の請求項1〜34のいずれかに記載の抗原結合性構築物の重鎖及び軽鎖をコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列を含む、形質転換又はトランスフェクトされた組換え宿主細胞。
【請求項36】
請求項35に記載の宿主細胞を培養して前記抗原結合性構築物を単離する工程を含む、請求項1〜28に記載の抗原結合性構築物の生産方法。
【請求項37】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の抗原結合性構築物及び製薬上許容可能な担体を含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−518400(P2012−518400A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550603(P2011−550603)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052304
【国際公開番号】WO2010/097394
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】