説明

多孔質キャンディ及びその製造方法

【課題】口当たりが軽やかで、かつ舐め心地に優れ、更には簡易に製造できる多孔質のハードキャンディ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】微細な多くの独立気泡を含み、比重が0.4〜0.9であることを特徴とする多孔質ハードキャンディ。前記独立気泡の平均粒径は70〜150μmであることが好ましい。前記多孔質ハードキャンディは、平均粒径500μm以下の微粉砕された炭酸塩と酸味料とを1:15〜5:1の比率に混合する工程、前記炭酸塩と酸味料との混合物をハードキャンディ生地に添加し、練り込む工程を経て得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口当たりが軽く舐め心地に優れた多孔質ハードキャンディ、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハードキャンディは、砂糖と水飴を煮詰めることで作られる砂糖菓子の1種として広く親しまれており、果汁や乳等の原料を組み合わせたり、煮詰める条件を変えることで様々な味わいのハードキャンディが作られている。更に、近年では、生活習慣の多様化により、ハードキャンディにおいても多様なキャンディが求められている。例えば、タブレットやキシリトールの結晶等、ハードキャンディ以外の別の食品と、いわゆるハードキャンディとを組み合わせる等、味や食感に更なる工夫がなされた新しいハードキャンディが人気を博しており、その他にも数多くの商品が存在する。
【0003】
従来より、ハードキャンディの食感を変えるための方法の1つとして、ハードキャンディの比重を下げ、口当たりを良くするという試みが数多く成されてきた。この試みは大きく分けて4つの方法に分けることができる。
【0004】
第1例としては、引き飴と呼ばれる従来の技術がある。これは炊き上げ後のハードキャンディに酸味料や香料等の添加物を混合する際や、冷却板で冷やす際に、ハードキャンディ中に敢えて気泡を含ませることで、比重を下げる技術である。しかしながら、この方法ではキャンディ中に練りこめる空気の量に限度があり、比重については、いわゆる一般的なハードキャンディとの間に優位な差を見出すことは難しい。
【0005】
第2例としては、引き飴の別手段として、ハードキャンディを幾層にも折りたたむ方法がある。この方法は、ハードキャンディ同士の接着を防止するために、キャンディ表面に固形油脂等を降り掛け、ハードキャンディを何回も折りたたむことでミルフィーユ状の食感を表現することもできる。しかし、この方法で作ったハードキャンディは、軽やかな口当たりを有するものの、ハードキャンディ本来の食し方である「舐める」という観点から見ると、層状に伸びたハードキャンディの縁が尖っていて口腔内にチクチク当たり、舐め心地が優れているとは言い難い。
【0006】
また、第3例としては、口当たりの軽いハードキャンディとして、綿飴がある。綿飴は「ザラメ」と呼ばれる砂糖を高温で熱し、糸状にしたものを箸などで絡めとることで作られる。また、ハードキャンディを綿飴状に加工するという方法(特許文献1参照。)も知られている。これらの方法で作られたキャンディは非常に軽やかな口当たりを有しているものの、口溶けがあまりにも早く、ハードキャンディ本来の目的にはそぐわない。
【0007】
更に、第4例としては、細かい気泡を混入したハードキャンディを減圧下に置き膨化させる方法がある。この方法としては、種結晶をハードキャンディ生地に練りこみ、減圧下に置くことで、膨化させる方法(特許文献2、3等参照。)や、アミロペクチンからなる澱粉をソフトキャンディに練り込み、減圧乾燥することで膨化させる方法(特許文献4参照。)が知られている。これらの方法で試作したハードキャンディは口当たりも軽く、キャンディ本来の「舐める」という点から鑑みても、優れた食感を有している。しかしながら、気泡の形状や大きさをコントロールすることが困難であるため、大きな気泡ができやすく、その気泡を取り囲む飴が鋭利に尖っているため安定した舐め心地は得られない。また、この方法では減圧・乾燥に時間がかかってしまい、実用的な方法とは言えない。
【0008】
一方、ソフトキャンディやグミキャンディ、マシュマロにおいては、ゼラチンや重曹等の気泡剤を練りこみ、場合によっては熱をかけることでキャンディ生地を膨化させる方法(特許文献5、6等参照。)が発明されている。しかしながら、この方法は、前記ソフトキャディ等が7〜20%重量という高水分であるからこそなせる方法であり、水分値が1.5〜5%重量であるハードキャンディには向かない。
【0009】
上記のように、従来においては、口当たりが軽やかで、かつ、舐め心地に優れ、更には簡易に作成できる、多孔質のハードキャンディの誕生が望まれている。
【特許文献1】特許第3399446号公報
【特許文献2】特公昭50−11981号公報
【特許文献3】特開昭63−287443号公報
【特許文献4】特開昭63−24854号公報
【特許文献5】特許第2791142号公報
【特許文献6】特開平03−183443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のような従来の低比重ハードキャンディの事情に鑑みてなされたものであり、口当たりが軽やかで、かつ舐め心地に優れ、更には簡易に製造できる多孔質のハードキャンディ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、
[1] 微細な多くの独立気泡を含み、比重が0.4〜0.9であることを特徴とする多孔質ハードキャンディ、
[2] 前記独立気泡の平均粒径が70〜150μmである前記[1]記載の多孔質ハードキャンディ、
[3] 平均粒径500μm以下の微粉砕された炭酸塩と酸味料とを1:15〜5:1の比率に混合する工程、前記炭酸塩と酸味料との混合物をハードキャンディ生地に添加し、練り込む工程を有することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の多孔質ハードキャンディを製造する方法
に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の多孔質キャンディは、個々に独立した気泡を多く含むことで、その比重が0.4〜0.9と小さく、口当たりが軽やかで、かつ舐め心地に優れた従来にない全く新規な多孔質のハードキャンディである。また、本発明の製造方法によれば、前記のような全く新規な多孔質ハードキャンディを簡易に生産性よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の多孔質ハードキャンディは、微細なほぼ均一な大きさの多くの気泡を含むハードキャンディであって、前記気泡が個々に独立しており、かつ比重が0.4〜0.9であることを特徴としている。なお、本発明における多孔質ハードキャンディの比重とは、株式会社エー・アンド・デイ製の比重測定キットAD-1653により測定した値である。
【0015】
キャンディ生地の比重を下げるための方法としては、既述のように様々な方法があった。しかし、いずれも、キャンディを「舐める」という点や、生産性を考えると、課題が残る。これに対し、本発明では、ハードキャンディ生地中に微粉砕した炭酸塩と酸味料を練り込み、反応させるという簡単な工程を行うだけで、細かな気泡がキャンディ中に分散し、今までに味わうことが難しかった、口当たりが軽やかで、かつ、舐め心地に優れた食感を楽しむことができる多孔質ハードキャンディの製造が可能となる。
【0016】
本発明に使用するハードキャンディは一般的な糖類が主要構成成分であり、その水分値は、通常、5重量%以下である。主要構成成分である糖類の例として、砂糖、水飴、ぶどう糖、果糖などの糖類や、マルチトール、パラチニット、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが挙げられる。これらの糖類の使用量は、所望するキャンディの性質に基づいて適宜選択すればよい。また、このハードキャンディには、果汁や、乳成分、植物油脂、食塩などを適宜添加してもよいし、酸味料や香料、着色料等の添加物を任意に添加することも可能である。
【0017】
上記ハードキャンディ生地中に練り込む炭酸塩と酸味料の比率は1:15〜5:1であり、好ましくは1:5〜2:1であり、更に好ましくは1:3〜1:1である。炭酸塩と酸味料の混合比で炭酸塩の占める量が1:15よりも少なくなると、十分な発泡量が得られない、もしくは、酸味が強すぎておいしく食べられないといった傾向にある。また、両者の混合比で炭酸塩の占める量が5:1よりも大きくなると、反応できずに残った炭酸塩独特のえぐさが味に現れてしまい好ましくない。更に、炭酸塩と酸味料の添加量は、ハードキャンディに対して15重量%以下、より好ましくは1〜8重量%である。これらの添加量は得られる発泡量によって任意にコントロールできる。
【0018】
本発明で用いる炭酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の正塩、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、炭酸水素アンモニウムの酸性塩等が挙げられるが、その他の炭酸塩を使用しても何ら問題はない。
【0019】
上記炭酸塩の結晶粒子のサイズとしては、平均粒径が500μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは20μm以下が望ましい。そのサイズが500μmより大きいと、ハードキャンディ中で酸味料と反応できずに結晶のまま残ってしまい、十分な発泡が得られないだけでなく、炭酸塩の結晶のせいで非常にざらついた舐め心地のハードキャンディになってしまい好ましくない。また、目的とする気泡を得るために、炭酸塩の結晶粒子のサイズをコントロールすることで、気泡のサイズを任意に調整することが可能である。例えば、20μmの重炭酸ナトリウムを用いると、多孔質ハードキャンディ中に70〜150μm程の微細な気泡を得ることが可能である。なお、本発明で前記炭酸塩の平均粒径と、前記気泡径は、株式会社日立製作所製のS-200 Scanning Electron Microscopeにより得られた電子顕微鏡像を用いて測定した値である。
具体的には、炭酸塩の平均粒径は、前記電子顕微鏡像で任意に選んだ視野中にある40〜60個程度の粒子の粒径を測定し、その平均値を計算することで測定する。
また、多孔質ハードキャンディ中の気泡径は、多孔質ハードキャンディを任意の位置で割断し、その断面の電気顕微鏡像を前記装置で撮影した後、得られた電子顕微鏡像で任意に選んだ視野中にある40〜60個程度の気泡の長径を測定し、その平均値を計算することで測定する。
【0020】
また、本発明で用いる酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フマル酸等のカルボン酸が挙げられるが、食用であれば、その他の酸味料を使用しても何ら問題はない。
【0021】
本発明の製造方法としては、まず、常法により炭酸塩の微粉砕を行う。例えば、セイシン企業株式会社製のCO-JET SYSTEMα MARK-III等の機械を用いて、炭酸塩を500μm以下に粉砕できる。なお、既製の炭酸塩として平均粒径が500μm以下のサイズの結晶粒子を用いても、何ら問題はない。次に、炭酸塩と酸味料とを上記比率にて混合する。この工程においては、寿工業株式会社製のボーレコンテナーミキサー容器回転型混合機等を用いて炭酸塩と酸味料とを混合できる。更に、常法により炊き上げたハードキャンディ生地に、香料等の添加物を混ぜ合わせる際に、炭酸塩と酸味料の混合物を練り込む。この後は、サイジングやスタンピングといった通常のハードキャンディの成型が可能である。また、両者を練り込む際の、温度域としては50〜200℃、更に好ましくは70〜100℃である。50℃以下ではハードキャンディ生地が硬すぎて、添加物をうまく練り込むことが困難である。また、200℃以上ではハードキャンディ生地自身が熱により劣化してしまうおそれがある。
【0022】
以上のようにして得られる本発明の多孔質ハードキャンディは、製造が容易であり、かつ、口当たりが軽やかで、更には、舐め心地に優れた食感を楽しむことができる。
【実施例】
【0023】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載中、「部」は重量基準である。また、実施例の記載に先立ち、炭酸塩の粒径と多孔質ハードキャンディの比重の測定方法を記す。
[炭酸塩の粒径の測定法]
炭酸塩の粒径は電子顕微鏡(株式会社日立製作所製 S-200 Scanning Electron Microscope)を用いて炭酸塩の粒径の大きさと個数を計測し、この値を元に炭酸塩の平均粒径を測定した。

[多孔質ハードキャンディの比重の測定法]
比重の測定は比重測定キット(株式会社エー・アンド・デイ製 AD-1653)を用いて行った。なお、このキットでは以下の数式により、多孔質ハードキャンディの比重を算出している。
ρ=A/(A−B)×(ρ0−d)+d
ρ:試料の密度
A:空気中の重さ
B:液体中の重さ
ρ0:液体の密度
d:空気の密度(約0.001g/cm3
【0024】
(実施例1)
砂糖500部、水飴425部、グレープ果汁10部を水に混合溶解し、真空釜にて濃縮し、グレープ香料を少量加えて水分値4重量%のグレープキャンディ生地を得た。これに、更に2:3の比率からなる平均粒径20μmの重炭酸ナトリウムと酸味料としてのクエン酸との混合物3重量%を添加、混成し、スタンピングしたところ、単量2.0g、比重0.7、気泡の平均粒径が85μmの軽やかな口あたりのグレープ風味の多孔質キャンディが得られた。なお、炭酸塩と酸味料を添加した際の飴の温度は90℃であった。
【0025】
(実施例2)
砂糖42部、水飴42部を混合溶解し、地釜にて150℃に煮詰めた後、キウイ香料を少量加えて水分値4重量%のキウイキャンディ生地を得た。これに、更に2:3の比率からなる平均粒径20μmの重炭酸ナトリウムと酸味料としてのクエン酸との混合物4重量%を添加、混成し、スタンピングしたところ、単量2.0g、比重0.6、気泡の平均粒径が81μmの軽やかな口あたりのキウイ風味の多孔質キャンディが得られた。なお、炭酸塩と酸味料を添加した際の飴の温度は85℃であった。
【0026】
(実施例3)
還元パラチノース1000部とハーブエキス10部を水に混合溶解し、真空釜にて濃縮し、メントール香料とレモン香料を少量加えて水分値2.5重量%のハーブキャンディ生地を得た。これに、更に1:2の比率からなる平均粒径50μmの重炭酸ナトリウムと酸味料としてのリンゴ酸との混合物3重量%を添加、混成し、スタンピングしたところ、単量2.0g、比重0.8、気泡の平均粒径が107μmの非常に軽やかな口あたりのレモン風味の多孔質ハーブキャンディが得られた。なお、炭酸塩と酸味料を添加した際の飴の温度は80℃であった。
【0027】
(実施例4)
マルチトースシラップ1000部を、真空釜にて濃縮し、リンゴエキスとリンゴ香料を少量加えて水分値2.5重量%のリンゴキャンディ生地を得た。これに、更に4:5の比率からなる平均粒径80μmの重炭酸ナトリウムと酸味料としての酒石酸との混合物2.5重量%を添加、混成し、スタンピングしたところ、単量2.0g、比重0.7、気泡の平均粒径が118μmの軽やかな口あたりのリンゴ風味の多孔質ハーブキャンディが得られた。なお、炭酸塩と酸味料を添加した際の飴の温度は80℃であった。
【0028】
(比較例1)
実施例1と同様に、水分値4重量%のグレープキャンディ生地を得た。これに、更に1:17の比率からなる平均粒径20μmの重炭酸ナトリウムと酸味料としてのクエン酸との混合物3重量%を添加、混成し、スタンピングしたところ、単重2.0g、比重が1.6、気泡の平均粒径が82μmとなり、実施例1と比較して、口あたりが軽やかでなく、いわゆる砂糖を主要原料として作ったハードキャンディと大差がなかった。なお、炭酸塩と酸味料を添加した際の飴の温度は90℃であった。
【0029】
(比較例2)
実施例1と同様に、水分値4重量%のグレープキャンディ生地を得た。これに、更に6:1の比率からなる平均粒径20μmの重炭酸ナトリウムと酸味料としてのクエン酸との混合物5重量%を添加、混成し、スタンピングしたところ、単重2.0g、比重が1.2、気泡の平均粒径が88μmとなり、いわゆるハードキャンディと比べ軽やかな食感は得られる物の、炭酸塩のえぐみが強く、おいしくハードキャンディを食するという面では、実施例1で得られた多孔質ハードキャンディと比べ劣っていた。なお、炭酸塩と酸味料を添加した際の飴の温度は90℃であった。
【0030】
(比較例3)
実施例1と同様に、水分値4重量%のグレープキャンディ生地を得た。これに、更に2:3の比率からなる平均粒径1000μmの重炭酸ナトリウムと酸味料としてのクエン酸との混合物3重量%を添加、混成し、スタンピングしたところ、単重2.0g、比重が1.7、気泡の平均粒径が160μmとなり、実施例1と比較して軽やかな食感が得られないだけでなく、非常にざらついた舐め心地であった。なお、炭酸塩と酸味料を添加した際の飴の温度は90℃であった。
【0031】
(比較例4)
実施例2と同様に、水分値4重量%のキウイキャンディ生地を得た。これに平均粒径35μmの微粉糖12部を混和して、生地中の糖類を結晶化させた。このキャンディ生地がまだ流動状態にあるうちに真空76cmHgで発泡させて、比重が0.7で気泡が連なった多孔質ハードキャンディを得た。得られたキャンディは実施例1と同等の軽やかな食感が得られたものの、気泡が大きく、舐めるということに関しては実施例1に劣っていた。
【0032】
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた多孔質ハードキャンディの評価(口当たりの軽さ、食感、味)を表1に示す。なお、表1における評価基準は以下のとおり。
[食感]
「◎」いわゆるハードキャンディと比較して、口当たりの軽やかさが顕著で、食べやすい。
「○」いわゆるハードキャンディと比較して、口当たりが軽やかで、食べやすい。
「×」いわゆるハードキャンディとの間に差が感じられない。
[舐め心地]
「◎」いわゆるハードキャンディと比較して、遜色のない舐め心地。
「○」いわゆるハードキャンディと比較して、キャンディにざらつきが感じられる。
「×」いわゆるハードキャンディと比較して、キャンディにざらつきが特にひどく感じられる。
[味]
「◎」いわゆるハードキャンディと比較して、遜色のない味。
「○」いわゆるハードキャンディと比較して、多少不快な雑味が感じられる。
「×」炭酸塩のえぐみが強く、不快な味。
【0033】
【表1】

【0034】
表1の結果より、実施例1〜4で得られた多孔質ハードキャンディはいずれも食感、舐め心地、及び、味に優れたものであることがわかる。
【0035】
(試験例1)
実施例2と比較例4の多孔質ハードキャンディ表面の電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S-200 Scanning Electron Microscope)像を図1〜3に示す。図1〜3の結果より、本発明で得られた多孔質ハードキャンディ(図1にキャンディ断面の電子顕微鏡像を示す)は、減圧下で膨化させることで得られた比較例4の多孔質キャンディ(図2にキャンディ断面の電子顕微鏡像を示す)と比べ、キャンディ中の気泡が微細で、しかも個々に独立していることが確認できる。なお、図3は実施例2及び比較例4で得られたハードキャンディ生地の断面の電子顕微鏡像である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例2の多孔質ハードキャンディ断面の電子顕微鏡像。
【図2】比較例4の多孔質ハードキャンディ断面の電子顕微鏡像。
【図3】実施例2及び比較例4で得られたハードキャンディ生地の断面の電子顕微鏡像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細な多くの独立気泡を含み、比重が0.4〜0.9であることを特徴とする多孔質ハードキャンディ。
【請求項2】
前記独立気泡の平均粒径が70〜150μmである請求項1記載の多孔質ハードキャンディ。
【請求項3】
平均粒径500μm以下の微粉砕された炭酸塩と酸味料とを1:15〜5:1の比率に混合する工程、前記炭酸塩と酸味料との混合物をハードキャンディ生地に添加し、練り込む工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質ハードキャンディを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−124791(P2010−124791A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304739(P2008−304739)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】