説明

多孔質シリカ系蛍光体およびその製造方法

【課題】本発明は、安定性の優れた多孔質シリカ系蛍光体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の多孔質シリカ系蛍光体は、多孔質シリカ系微粒子を含むマトリクスからなる多孔質シリカ系蛍光体であって、該多孔質シリカ系微粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲にあり、比表面積が100〜1000m/gの範囲にあり、該マトリクス100質量%に対して炭素原子換算で0.01〜0.6質量%の賦活剤が含まれてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質シリカ系蛍光体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機系の蛍光体としては、ハロリン酸カルシウム、アルカリハライド、酸化物、酸素酸塩、フッ化物等の各種化合物があり、賦活剤としてマンガンまたはアンチモンを添加した賦活型蛍光体も知られている。
【0003】
これらの蛍光体およびその製造方法については、既に多くの技術が知られている。たとえば、酸化亜鉛とシリカとを含有する蛍光体としては、特許文献1に、短い減衰時間を有するマンガンをドープした珪酸亜鉛に基づく蛍光材料に関する発明が開示されており、その蛍光材料は酸化亜鉛、シリカゲル及び炭酸マンガンからなる水性懸濁液を乾燥させ、得られた乾燥物をオーブン中で処理する方法で製造できることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、低速電子線励起蛍光体として使用される発光輝度が高くなるZnO:Zn蛍光体において、金属亜鉛粉末微粒子の表面に、シリカを被着した金属亜鉛粉末を、ZnO:Zn蛍光体に混合又は付着させることが開示されている。
【0005】
以上のとおり、シリカを含有する蛍光体およびその製造方法についても、既に各種のものが提案されているが、それらの方法は製造プロセスが煩雑であり、また、特殊な限られた用途においては、使用が可能であっても、汎用の無機蛍光体として使用するに至っていない。
【0006】
そのため粉体特性や経済性に優れ、様々な用途において使用可能な無機蛍光体の開発が望まれていた。
特許文献3には、シリカ系無機多孔質の細孔内に、窒素が含有される酸化亜鉛微粒子を内包したことを特徴とする窒素ドープ酸化亜鉛−シリカ系無機多孔質蛍光体に関する発明が開示されている。シリカ系無機多孔質体の細孔内に、窒素が含有された酸化亜鉛粒子を内包したことにより、蛍光体は、安定性、ハンドリング性等の粉体特性や経済性に優れ、様々な用途において使用可能な無機蛍光体のひとつとして開示されている。また、アミノ基を有するシラン化合物により改質されたシリカ系無機多孔質体の細孔内に亜鉛イオン又は亜鉛化合物を導入した後、加熱焼成することを特徴とする製造方法が記載されている。
【0007】
このシリカ系無機多孔質体は、窒素吸着測定による平均細孔径が1nm以上、より望ましくは3nm以上であることがよい旨が記載されている。
特許文献4には、平均ポアサイズが5〜500nmの多孔質無機粒子に蛍光性錯体を含有することを特徴とする発光物質に関する発明が開示されており、特定の細孔径を有する多孔質無機粒子に蛍光性錯体を含有物質が、発光強度が高く、かつ、演色性が高い、または、色再現範囲が広い発光物質およびそれを用いた発光装置等、様々な装置に用いることができることが記載されている。特に、多孔質無機粒子がシリカ粒子であり、該シリカ粒子の平均粒子径が1〜300μmの範囲にあり、かつ比表面積が50〜800m/g、細孔容積が0.6〜1.6ml/gである粒子がハンドリングや劣化に対して有利であることについて記載がある。得られた蛍光体は、オプエレクトロニクス分野をはじめ、特殊塗料、インキ、化粧品、紙等の機能性填料や顔料等として有効に活用できることが記載されている。
【0008】
特許文献5には、生理学的に許容可能な媒体中に、a)少なくとも2のアスペクト比を
有するシリカベースの多孔質粒子、及びb)前記多孔質粒子に内包された光学的活性物質を含有することを特徴とする化粧品組成物についての発明が開示されており、該シリカベースの多孔質粒子については、1〜100μmの平均粒径を持つものであり、該光学的活性物質が、紫外線遮蔽物質、蛍光物質、フォトクロミック物質から選択されるものである旨の記載がある。
【0009】
特許文献6には、化学物質に対して吸着能を有する物質の粉末、セルロース繊維、微細フィブリル化セルロースおよび蛍光剤を含有し、抄紙によりシート化されていることを特徴とする化学物質吸着シートに関する発明について記載があり、前記化学物質に対して吸着能を有する物質が、多孔性セラミックスであり、その例として多孔性のシリカである場合が挙げられている。
【0010】
特許文献7には、発光ダイオードの少なくとも一部分を隠蔽している多孔質マトリックス、及び該ダイオードによって放射される励起発光と相互作用するときに応答発光を放射する、 該多孔質マトリックス中に充填された物質を含む半導体ベースの発光デバイスに
関する発明が開示されており、該多孔質マトリクスについてはゾルゲル材料である旨が記載されている。
【0011】
特許文献8には、機能物質が吸着されたもしくは非吸着の多孔質粒子およびその粒子表面に固定された水溶性高分子鎖セグメントをベースとするポリマー分子を含んでなるコンジュゲートに関する発明が開示されており、多孔質粒子については、平均粒子径10nm〜10mmを有し、かつ、10μm〜1nmの孔径の細孔を有する有機または無機粒子であり、シリカから構成される場合がある旨が規定されている。
【0012】
以上のように、近年、無機系の蛍光体としての用途が急速に拡大しているため、様々な用途に対応できる安定性の優れた無機系の蛍光体、特に、微小な無機系の蛍光体の開発が望まれていた。
【特許文献1】特許第3195054号公報
【特許文献2】特開平5−117654号公報
【特許文献3】特開2005−132964号公報
【特許文献4】特開2005−41942号公報
【特許文献5】特開2005−53846号公報
【特許文献6】特許第3734517号公報
【特許文献7】特表2006−518111号公報
【特許文献8】国際公開WO2005/005548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、安定性に優れた多孔質シリカ系蛍光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の多孔質シリカ系蛍光体は、多孔質シリカ系微粒子を含むマトリクスからなる多孔質シリカ系蛍光体であって、該多孔質シリカ系微粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲にあり、比表面積が100〜1000m/gの範囲にあり、該マトリクス(100質量%)中に炭素原子換算で0.01〜0.6質量%の賦活剤が含まれてなることを特徴としている。
【0015】
前記マトリクスは、多孔質シリカ系微粒子の凝集体であることが好ましい。
また、前記多孔質シリカ系蛍光体の平均粒子径が0.1μm〜100μmの範囲にあることが好ましい。
【0016】
前記多孔質シリカ系微粒子は、珪素ならびに周期律表の第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族および第VIa族の元素からなる群から選ばれる珪素以外の元素を含む複合酸化物微粒子から、珪素以外の一部を除去して得られることが好ましい。
【0017】
本発明の多孔質シリカ系蛍光体の製造方法は、平均粒子径が5〜100nmの範囲にあり、比表面積が100〜1000m/gの範囲にある多孔質シリカ系微粒子を分散媒に分散させてなる多孔質シリカ系ゾルに、炭素または有機化合物を添加して混合物を調製し、該混合物を100〜150℃で乾燥し、更に300〜700℃で焼成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の多孔質シリカ系蛍光体は、炭素または有機化合物で賦活された多孔質シリカ系微粒子を含むマトリクスからなり、多孔質シリカ系微粒子の内部に賦活剤が分散しているため、蛍光体としての安定性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の多孔質シリカ系蛍光体およびその製造方法を、さらに詳細に説明する。<多孔質シリカ系蛍光体>
本発明の多孔質シリカ系蛍光体は、乾式の蛍光体であって、多孔質シリカ系微粒子を含むマトリクスからなり、該マトリクス中に、炭素または有機化合物を分散させたことを特徴とする蛍光体である。
<多孔質シリカ系微粒子>
多孔質シリカ系微粒子の平均粒子径は5〜100nm、好ましくは25〜80nmであり、比表面積は100〜1000m/g、好ましくは300〜800m/gである。
【0020】
多孔質シリカ系微粒子の平均粒子径および比表面積が上記範囲であれば、該微粒子の孔内に炭素または有機化合物を充分に分散させることができる傾向にある。
多孔質シリカ系微粒子の平均粒子径が100nmを超える場合は、多孔質シリカ系微粒子が大きいため、凝集体の場合、全体の比表面積が低下し、多孔質微粒子が小さい場合と比較して相対的に炭素または有機化合物の分散性が低下する傾向にある。
【0021】
一方、多孔質シリカ系微粒子の平均粒子径が5nm未満の場合は、多孔質シリカ系微粒子が極めて小さいため、多孔質シリカ系微粒子に対する炭素または有機化合物の分散性が低くなる傾向にある。これについては、多孔質シリカ微粒子の細孔が、炭素または有機化合物が侵入するには小さくなり過ぎることによるものと推測される。
【0022】
多孔質シリカ系微粒子の比表面積が100m/g未満の場合は、炭素または有機化合物の分散性および残留性が低くなるため、多孔質シリカ系蛍光体としての安定性が低下する。
【0023】
なお、前記平均粒子径の値および比表面積の値は、それぞれ後述する実施例に記載の方法で測定された場合の値である。
なお、本発明で用いられる多孔質シリカ系微粒子としては、珪素ならびに周期律表の第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族および第VIa族の元素からなる群から選ばれる珪素以外の元素を含む複合酸化物微粒子から、該珪素以外の元素の一部を除去して得られる微粒子が好ましい。
<賦活剤>
本発明で用いられる賦活剤は、水溶性のものであれば好適に使用することができる。例
としては、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸等を挙げることができるがこれらに限定されるわけではない。
【0024】
炭素の例としては、親水性の置換基を付与されたカーボン粉末を挙げることができる。
有機化合物の他の例としては、一塩基カルボン酸または多塩基カルボン酸が挙げられる。一塩基カルボン酸としては、通常炭素数1〜24の脂肪酸が用いられ、その脂肪酸は直鎖状であっても分岐を有していてもよく、また飽和であっても不飽和であってもよい。具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、直鎖状もしくは分岐状のブタン酸、直鎖状もしくは分岐状のペンタン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘキサン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘプタン酸、直鎖状もしくは分岐状のオクタン酸、直鎖状もしくは分岐状のノナン酸、直鎖状もしくは分岐状のデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のウンデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のドデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のトリデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のテトラデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のペンタデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘプタデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のオクタデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のノナデカン酸、直鎖状もしくは分岐状のイコサン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘンイコサン酸、直鎖状もしくは分岐状のドコサン酸、直鎖状もしくは分岐状のトリコサン酸または直鎖状もしくは分岐状のテトラコサン酸等の飽和脂肪酸が挙げられる。
【0025】
さらに、アクリル酸、直鎖状もしくは分岐状のブテン酸、直鎖状もしくは分岐状のペンテン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘキセン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘプテン酸、直鎖状もしくは分岐状のオクテン酸、直鎖状もしくは分岐状のノネン酸、直鎖状もしくは分岐状のデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のウンデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のドデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のトリデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のテトラデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のペンタデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘプタデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のオクタデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のノナデセン酸、直鎖状もしくは分岐状のイコセン酸、直鎖状もしくは分岐状のヘンイコセン酸、直鎖状もしくは分岐状のドコセン酸、直鎖状もしくは分岐状のトリコセン酸または直鎖状もしくは分岐状のテトラコセン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
多塩基カルボン酸としては、二塩基酸、クエン酸またはトリメリット酸等が挙げられる。二塩基酸は鎖状二塩基酸または環状二塩基酸のいずれであってもよい。また、鎖状二塩基酸の場合、直鎖状もしくは分岐状のいずれであってもよく、または、飽和もしくは不飽和のいずれであってもよい。
【0027】
鎖状二塩基酸としては、炭素数2〜16の鎖状二塩基酸が好ましい。具体的には例えば、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状もしくは分岐状のブタン二酸、直鎖状もしくは分岐状のペンタン二酸、直鎖状もしくは分岐状のヘキサン二酸、直鎖状もしくは分岐状のヘプタン二酸、直鎖状もしくは分岐状のオクタン二酸、直鎖状もしくは分岐状のノナン二酸、直鎖状もしくは分岐状のデカン二酸、直鎖状もしくは分岐状のウンデカン二酸、直鎖状もしくは分岐状のドデカン二酸、直鎖状もしくは分岐状のトリデカン二酸、直鎖状もしくは分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状もしくは分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状もしくは分岐状のヘキサデカン二酸、直鎖状もしくは分岐状のヘキセン二酸、直鎖状もしくは分岐状のヘプテン二酸、直鎖状もしくは分岐状のオクテン二酸、直鎖状もしくは分岐状のノネン二酸、直鎖状もしくは分岐状のデセン二酸、直鎖状もしくは分岐状のウンデセン二酸、直鎖状もしくは分岐状のドデセン二酸、直鎖状もしくは分岐状のトリデセン二酸、直鎖状もしくは分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状もしくは分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状もしくは分岐状のヘキサデセン二酸またはこれらの混合物等が挙げられる。また、環状二塩基酸としては、1、2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0028】
これらの炭素または有機化合物の中でも、入手の容易さなどから、クエン酸などのカルボン酸化合物が好ましい。
前記マトリクス(100質量%)中に含まれる炭素または有機化合物が賦活された賦活剤の濃度は、炭素原子換算で0.01〜0.6質量%、好ましくは0.03〜0.5質量%である。0.01質量%未満では、充分な発光を達成できない場合がある。0.6質量%を超えると、濃度消光現象により発光強度が低下する傾向がある。
<マトリクス>
本発明の多孔質シリカ系蛍光体は、前記多孔質シリカ系微粒子を含むマトリクスからなる。
【0029】
マトリクスの形態としては、前記多孔質シリカ系微粒子の凝集体または粉体が挙げられる。
このマトリクスは前記多孔質シリカ系微粒子の凝集体であることが好ましい。
【0030】
この凝集体からなるマトリクスは、平均粒子径5〜100nmの範囲にある微小な多孔質シリカ微粒子の凝集体であるから、炭素または有機化合物を多孔質シリカ微粒子の孔内を始めとして、マトリクス中に充分に分散させ、賦活させることができる。この結果、安定性の優れた多孔質シリカ系蛍光体が得られる。
【0031】
[多孔質シリカ系蛍光体の製造方法]
本発明の多孔質シリカ系蛍光体の製造方法を以下に述べる.
<多孔質シリカ系微粒子の製造>
前記多孔質シリカ系微粒子は、公知の製造方法により製造することができ、例えば、次の第1工程および第2工程からなる製造方法を挙げることができる。
【0032】
はじめに、第1工程について説明する。
多孔質シリカ系微粒子中の珪素の原料であるアルカリ水溶液(以下「原料水溶液a1」ともいう)および珪素以外の元素の原料であるアルカリ水溶液(以下「原料水溶液a2」ともいう)をそれぞれ調製し、これらの調製した水溶液を、同時に、pH10以上のアルカリ水溶液中に撹拌しながら徐々に添加し、反応液(以下「反応液a」ともいう)を得る。または、多孔質シリカ系微粒子中の珪素の原料および珪素以外の元素の原料を含むアルカリ水溶液(以下「原料水溶液b」ともいう)を調製し、この調製したアルカリ水溶液を、pH10以上のアルカリ水溶液中に撹拌しながら徐々に添加し、反応液(以下「反応液b」ともいう)を得る。
【0033】
反応液を限外濾過膜で濾過して洗浄すると、複合酸化物前駆体ゾルが得られる。
珪素の原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基の珪酸塩が用いられる。アルカリ金属の珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)や珪酸カリウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることができる。アンモニウムの珪酸塩または有機塩基の珪酸塩としては、珪酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物などを添加したアルカリ性溶液も含まれる。
【0034】
また、珪素以外の元素の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物が用いられる。たとえば、周期律表の第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、Va族、第Vb族、第VIa族から選ばれる金属もしくは非金属のオキソ酸の、アルカリ金属塩もしく
はアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。好ましくは、第IIIa族である。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
【0035】
前記原料水溶液a1、a2またはbの添加と同時に反応液aまたはbのpH値は変化するが、本発明ではこのpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。最終的な反応液aまたはbのpH値は、原料の種類とその混合割合とによって定まる。このpH値を所定の範囲に制御するためには、例えば、反応液aまたはbに酸を添加してもよい。この場合、添加された酸により複合酸化物の原料の金属の塩が生成するためゾルの安定性が低下することがある。なお、このときの水溶液の添加速度には格別の制限はない。
【0036】
この複合酸化物前駆体ゾルの製造方法では、シード粒子の分散液を出発原料とすることも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、たとえば、SiO2、Al23、TiO2もしくはZrO2等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用い
られる。通常、シード粒子の分散液として、これらのゾルを用いるが、前記製造方法によって得られたゾルでもよい。
【0037】
このpH10以上に調整したシード粒子分散液中に前記原料水溶液a1、a2またはbを、上記したアルカリ水溶液中に添加する方法と同様にして、撹拌しながら添加する。本発明では、分散液のpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。このように、シード粒子を核として複合酸化物粒子を成長させると、成長粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
【0038】
上述した珪素の原料および珪素以外の元素の原料はアルカリ側で溶解度が高くなる。しかしながら、この溶解度が高いpH領域で両者を混合すると、珪酸イオンおよびアルミン酸イオンなどのオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、あるいは、シード粒子上に析出して粒子成長が起こる。従って、微粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
【0039】
第1工程における珪素および珪素以外の元素の複合割合(珪素(mol)/珪素以外の元素(mol))は、好ましくは0.5〜20の範囲内である。この範囲内において、珪素の割合が少なくなる程、複合酸化物微粒子は多孔質になり比表面積が大きくなる。しかしながら、このモル比が0.5未満になると、複合酸化物微粒子の比表面積は殆ど増加しなくなる傾向にある。他方、このモル比が20を越えると、細孔容積が少なくなるため、比表面積が低下する傾向にある。
【0040】
次に、第2工程について説明する。
第1工程で得られた複合酸化物前駆体ゾルの複合酸化物微粒子から、珪素以外の元素の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、鉱酸もしくは有機酸を用いる溶解除去または、陽イオン交換樹脂と接触させるイオン交換除去が挙げられる。
【0041】
第1工程で得られた複合酸化物前駆体ゾルの複合酸化物微粒子は、珪素と珪素以外の元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このような複合酸化物微粒子から珪素以外の元素を除去することにより、一層多孔質で比表面積の大きい多孔質シリカ系微粒子を得ることができる。しかし、過度に除去すると多孔質シリカ系微粒子の強度が弱くなり、遂にはその形状を保持することができなくなる。従って、最終的な珪素以外の元素に対する珪素の複合割合(モル比)は、おおよそ1000以下にすることが望ましい。
<多孔質シリカ系蛍光体の製造>
前工程で得られた多孔質シリカ系微粒子を水系溶媒に分散させることにより多孔質シリカ系ゾルが得られる。得られた多孔質シリカ系ゾルに、炭素または有機化合物を添加する。
【0042】
前記多孔質シリカ系微粒子に対する、炭素または有機化合物の添加量については、多孔質シリカ系蛍光体における炭素原子含有量が0.01〜0.6質量%の範囲となるように添加される限り、格別限定されるものではない。
【0043】
通常は、水系の多孔質シリカ系ゾルに水溶性の有機化合物を添加して混合物を調製する。
さらに、この混合物を100〜150℃、好ましくは100〜120℃で乾燥させ、更に300〜700℃、好ましくは400〜600℃で焼成することにより多孔質シリカ系微粒子の凝集体が得られる。
【0044】
炭素または有機化合物と多孔質シリカ系微粒子とを水系で混合するため、賦活剤は多孔質シリカ系微粒子の孔内部に充分に分散することができる。
前記乾燥温度については、100℃未満では、乾燥効率が低く、実用的ではない。150℃を超える温度は、必ずしも必要とされない。前記焼成温度については、上記の範囲であれば、良好な性状の多孔質シリカ系微粒子の凝集体を得ることができる。ここで良好な性状とは、例えば、多孔質シリカ微粒子表面に炭素が付着していないことを意味する。多孔質シリカ微粒子表面に炭素が付着した場合、蛍光体粒子が黒色化する傾向が強まる。焼成温度が300℃未満の場合は、凝集体が生じ難い場合がある。700℃を超える温度で加熱することは構わないが、実用上は700℃以下で行うことが、経済的に望ましい。
【0045】
得られた多孔質シリカ系蛍光体は、実用に供する際には、通常は、粉砕され、更に加圧成型される。成型形状については格別に制限されないが、たとえば円盤状または板状などに成型される。加圧成型時の圧力は、格別に制限されないが、例えば5〜15KPaの範囲である。粉砕方法についても格別に制限されるものではなく、ミキサー、ミルあるいは乳鉢などが使用できる。
【0046】
粉砕された多孔質シリカ系蛍光体の粒子径を揃えるために、篩またはフィルターなどを使用することが可能である。
本発明の多孔質シリカ系蛍光体の平均粒子径は、多孔質シリカ系微粒子の平均粒子径、焼成温度および焼成時間により異なるが、数μmから数百μmまで調整することが可能である。通常は、上記のように粉砕、篩などの手段で0.1μm〜100μmの範囲に調整することが好ましい。
【0047】
なお、用途に応じて、粉砕して得られた多孔質シリカ系蛍光体をそのまま使用してもよく、また、他の硬化性組成物に配合して使用しても構わない。
<多孔質シリカ系蛍光体の特性>
本発明の多孔質シリカ系蛍光体は、例えば、光源の波長が200〜380nmの近紫外線領域の紫外線を照射されると発光する。例えば、254nm又は365nmの紫外線を照射されると青白色〜白色に発光する。光源が320nmの紫外線を照射されると発光スペクトルが観測される。
[実施例]
[1]窒素吸着法による比表面積測定及び平均粒子径の算定
シリカゾル50mlをHNOでpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から
、BET1点法により比表面積を測定した。
【0048】
具体的には、試料0.5gを測定セルに入れ、窒素30容量%とヘリウム70容量%の混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、シリカゾルの比表面積を測定した。
【0049】
シリカゾルの平均粒子径については、下記(1)式から算定した。
D=6000/(ρ×SA)・・・(1)
(D:平均粒子径(nm)、ρ:試料の密度(g/cm3)、SA:比表面積(m2/g)

[2]C(炭素)の含有量測定
多孔質シリカ系蛍光体中の炭素含有量は、EMIA−320V(株式会社堀場製作所製)で測定した。分析原理は、酸素気流中高周波加熱燃焼―赤外線吸収法による。最小読取感度は0.01ppm、分析時間は30〜60秒、陽極出力は2.3kW、周波数は18MHzにて測定した。なお、燃焼炉方式は燃焼コントロール機能付高周波誘導加熱炉方式とした。
[3]紫外線照射装置
アズワン社製 Handy UV Lamp SLUV−6 (発光波長254nm/365nm可変式)を使用した。
[4]発光スペクトル測定
パーキンエルマー社製(Perkin Elmer)LS50B分光蛍光光度計を用いた。試料としては、多孔質シリカ系蛍光体の粉体を10〜11Kpaの圧力にて円盤状に成型したものを使用した。測定波長範囲は、300〜800nmであった。
【実施例1】
【0050】
(第1工程)
平均粒子径が5nmのシリカゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドSI−550、SiO2 :20質量%、水:80質量%)100gと純水1900gとの混合物を80℃に加温し、反応母液を得た。
【0051】
この反応母液のpHは10.5であった。この反応母液に、SiO2 に換算して1.5質量%の珪素を含む珪酸ナトリウム水溶液9000gとAl2 3 に換算して0.5質量%のアルミニウムを含むアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加し、反応液を得た。その間、反応液の温度を80℃に保持した。添加直後、反応液のpHは12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で濾過して洗浄することにより固形分濃度が20質量%のSiO2 ・Al2 3 複合酸化物前駆体ゾル(A)を得た。
(第2工程)
上記第一工程で得られたSiO2 ・Al2 3 複合酸化物前駆体ゾル(A)500gに純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られた珪酸液(シリカ濃度:3.5質量%)3,000gを添加した。このゾルを限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になったゾル500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5質量%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10リットルと純水5リットルを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、一部のアルミニウムが除去されたSiO2 ・Al2 3 複合酸化物前駆体ゾル(B)を得た。
【0052】
このSiO2 ・Al2 3 複合酸化物前駆体ゾル(B)に含まれる多孔質シリカ系微粒
子の平均粒子径は30nm、比表面積は600m2/gであった。
上記第2工程で得られたSiO2 ・Al2 3複合酸化物前駆体ゾル(B)100g(
シリカ濃度:5質量%)にクエン酸1水和物0.05gを加えて、室温で撹拌し、110℃で12時間乾燥させた。その乾燥品を500℃で1時間の焼成を行い、乳鉢で粉砕し、篩により粒子径を90μm以下にして、カーボンドープした多孔質シリカ粒子の粉末を得た。この粉末について、前記[3]C(炭素)の含有量測定により炭素含有量を測定したところ0.04質量%であることが確認された。
【0053】
上記で得られた粉末を10〜11KPaの圧力をかけて円盤状(直径5cm、厚さ1cm)に成型した。この成型体に254nmまたは365nmの紫外線を照射すると青白色に発光していることが確認できた。また、励起光波長を320nmとした場合の発光スペクトルでは、520nmにピークを有していることがわかった。
【実施例2】
【0054】
実施例1の第2工程で調製したものと同様のSiO2 ・Al2 3複合酸化物前駆体ゾ
ル(B)100g(シリカ濃度:5質量%)にクエン酸1水和物0.5gを加えて、室温で撹拌し、110℃で12時間乾燥させた。その乾燥品を500℃で1時間の焼成を行い、乳鉢で粉砕し、篩により粒子径を90μm以下にして、カーボンドープした多孔質シリカ粒子の粉末を得た。この粉末について、前記[3]C(炭素)の含有量測定により炭素含有量を測定したところ0.10質量%であることが確認された。
【0055】
上記で得られた粉末を10〜11MPaの圧力をかけて円盤状(直径5cm、厚さ1cm)に成型した。この成型体に254nmまたは365nmの紫外線を照射すると、白色に発光していることが確認できた。また、励起光波長を320nmとした場合の発光スペクトルでは、520nmにピークを有していることがわかった。
【0056】
また、上記カーボンドープした多孔質シリカ粒子の粉末を室温で6ヶ月保存し、上記と同様に発光特性を測定したところ、上記と同様の発光特性が確認された。
【実施例3】
【0057】
実施例1の第2工程で調製したものと同様のSiO2 ・Al2 3複合酸化物前駆体ゾ
ル(B)100g(シリカ濃度:5質量%)にクエン酸1水和物1.0gを加えて、室温で撹拌し、110℃で12時間乾燥させた。その乾燥品を500℃で1時間の焼成を行い、乳鉢で粉砕し、篩により粒子径を90μm以下にして、カーボンドープした多孔質シリカ粒子の粉末を得た。この粉末について、前記[3]C(炭素)の含有量測定により炭素含有量を測定したところ0.14質量%であることが確認された。
【0058】
上記で得られた粉末を10〜11MPaの圧力をかけて円盤状(直径5cm、厚さ1cm)に成型した。この成型体に254nmまたは365nmの紫外線を照射すると僅かに発光していることが確認できた。また、励起光波長を320nmとした場合の発光スペクトルでは、520nmにピークを有していなかった。
【実施例4】
【0059】
実施例1の第2工程で調製したものと同様のSiO2 ・Al2 3複合酸化物前駆体ゾ
ル(B)100g(シリカ濃度:5質量%)にクエン酸1水和物5gを加えて、室温で撹拌し、110℃で12時間乾燥させた。その乾燥品を500℃で1時間の焼成を行い、乳鉢で粉砕し、篩により粒子径を90μm以下にして、カーボンドープした多孔質シリカ粒子の粉末を得た。この粉末について、前記[3]C(炭素)の含有量測定により炭素含有量を測定したところ炭素含有量:0.17質量%であることが確認された。
【0060】
上記で得られた粉末を10〜11MPaの圧力をかけて円盤状(直径5cm、厚さ1cm)に成型した。この成型体に254nmまたは365nmの紫外線を照射すると僅かに発光していることが確認できた。また、励起光波長を320nmとした場合の発光スペクトルでは、520nmにピークを有していなかった。
【0061】
[比較例1]
実施例1の第2工程で調製したものと同様のSiO2 ・Al2 3複合酸化物前駆体ゾ
ル(B)100g(シリカ濃度:5質量%)にクエン酸1水和物10gを加えて、室温で撹拌し、110℃で12時間乾燥させた。その乾燥品を500℃で1時間の焼成を行い、乳鉢で粉砕し、篩により粒子径を90μm以下にして、カーボンドープした多孔質シリカ粒子の粉末を得た。この粉末について、前記[3]C(炭素)の含有量測定により炭素含有量を測定したところ0.68質量%であることが確認された。
【0062】
上記で得られた粉末を10〜11MPaの圧力をかけて円盤状(直径5cm、厚さ1cm)に成型した。この成型体に254nmまたは365nmの紫外線を照射すると発光していないことが確認された。また、励起光波長を320nmとした場合の発光スペクトルでは、520nmにピークを有していなかった。
【0063】
[比較例2]
実施例1の第2工程で調製したものと同様のSiO2 ・Al2 3複合酸化物前駆体ゾ
ル(B)100g(シリカ濃度:5質量%)を、110℃で12時間乾燥させた。その乾燥品を500℃で1時間の焼成を行い、乳鉢で粉砕し、篩により粒子径を90μm以下にした多孔質シリカ粒子の粉末を得た(炭素含有量:0.00質量%)。
【0064】
上記で得られた粉末を10〜11MPaの圧力をかけて円盤状(直径5cm、厚さ1cm)に成型した。この成型体に254nmまたは365nmの紫外線を照射すると発光していないことが確認された。また、励起光波長を320nmとした場合の発光スペクトルでは、520nmにピークを有していなかった。
【0065】
[比較例3]
平均粒子径が25nmのシリカゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドSI−50、SiO2 :20質量%、水:80質量%、比表面積90m/g)100gにクエン酸一水和物0,05gを加え、室温で攪拌し、110℃で12時間乾燥させた。そして更に、500℃で1時間焼成を行い、乳鉢で粉砕し、篩により粒子径を90μm以下にして、カーボンドープした非多孔質シリカ粒子の粉末を得た。この粉末について、前記[3]C(炭素)の含有量測定により炭素含有量を測定したところ、0.001質量%以下であることが確認された。
【0066】
上記で得られた粉末を10〜11MPaの圧力をかけて円盤状(直径5cm、厚さ1cm)に成型した。この成型体に254nmまたは365nmの紫外線を照射すると発光していないことが確認された。また、励起光波長を320nmとした場合の発光スペクトルでは、520nmにピークを有していなかった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の多孔質シリカ蛍光体は、照明用、陰極線管用、印刷用、エックス線増感用、蛍光表示管用として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質シリカ系微粒子を含むマトリクスからなる多孔質シリカ系蛍光体であって、該多孔質シリカ系微粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲にあり、比表面積が100〜1000m/gの範囲にあり、該マトリクス100質量%に対して炭素原子換算で0.01〜0.6質量%の賦活剤が含まれてなることを特徴とする多孔質シリカ系蛍光体。
【請求項2】
前記マトリクスが、多孔質シリカ系微粒子の凝集体であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質シリカ系蛍光体。
【請求項3】
平均粒子径が0.1μm〜100μmの範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の多孔質シリカ系蛍光体。
【請求項4】
前記多孔質シリカ系微粒子が、珪素ならびに周期律表の第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族および第VIa族の元素からなる群から選ばれる珪素以外の元素を含む複合酸化物微粒子から、該珪素以外の元素の一部を除去して得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質シリカ系蛍光体。
【請求項5】
平均粒子径が5〜100nmの範囲にあり、比表面積が100〜1000m/gの範囲にある多孔質シリカ系微粒子を分散媒に分散させてなる多孔質シリカ系ゾルに、炭素または有機化合物を添加して混合物を調製し、該混合物を100〜150℃で乾燥し、更に300〜700℃で焼成することを特徴とする多孔質シリカ系蛍光体の製造方法。

【公開番号】特開2009−7536(P2009−7536A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172708(P2007−172708)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】