説明

多孔質ポリイソシアネート重付加生成物

a)イソシアネートを(b)イソシアネートに対して反応性の化合物と溶剤(f)の存在で反応させることによって多孔質ポリイソシアネート重付加生成物を製造する方法であって、(b)イソシアネートに対して反応性の化合物として少なくとも6のイソシアネートに対する官能価および少なくとも1000g/molの分子量を有する化合物を使用するによって特徴付けられる、多孔質ポリイソシアネート重付加生成物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質ポリイソシアネート重付加生成物、有利にポリウレタンおよび/またはポリ尿素、特に有利に場合によっては尿素構造を含有していてよいポリウレタン、有利にポリウレタン成形体、殊にポリウレタンをベースとするエーロゲル状構造を有するポリウレタン成形体を、(a)イソシアネートを(b)イソシアネートに対して反応性の化合物と有利にイソシアネートに対して不活性の溶剤の存在で反応させ、引続き有利にポリウレタンから溶剤(f)を除去することによって製造する方法に関する。更に、本発明は、このようにして得られた多孔質ポリイソシアネート重付加生成物、有利にポリウレタンおよび/またはポリウレタン尿素、特に有利にポリウレタン、有利にポリウレタン成形体、特に有利にポリウレタンをベースとするエーロゲル状構造を有するポリウレタン成形体、殊に少なくとも6、有利に6〜100、特に有利に10〜60の、イソシアネート、有利にヒドロキシル基に対する官能価および少なくとも1000g/mol、有利に1500g/mol〜10000g/mol、特に有利に1500g/mol〜6000g/mol、殊に2000g/mol〜6000g/molの分子量を有する、イソシアネートに対して反応性の化合物(b)をベースとする30kg/m3〜500kg/m3の密度およびDIN 66131による窒素収着測定によって測定された50m2/gを上廻る固有表面積を有する多孔質ポリウレタンに関する。
【0002】
溶剤の存在で製造される多孔質ポリイソシアネート重付加生成物ならびにこの生成物の製造は、一般に公知である。即ち、米国特許第3574150号明細書には、少なくとも50%の多孔度および100〜500kg/m3の密度を有する連続気泡型ポリウレタンが記載されているが、しかし、この連続気泡型ポリウレタンは、沈殿法によって球状の粒子状構造をマイクロメートル範囲内に含有し、かつポリアリール−ポリアルキレン−ポリイソシアネート(ポリマー−MDI)をベースとする。WO 96/36654、WO 96/37539およびWO 98/44028には、イソシアヌレートをベースとするエーロゲルが開示されている。WO 95/03358には、一般にイソシアネートをベースとするエーロゲルが記載されている。前記刊行物の範囲内での"エーロゲル"は、それぞれ乾燥工程で液体が超臨界状態でゲル体から除去されていることを意味する。WO 98/44013およびWO 00/24799には、イソシアヌレートをベースとするエーロゲル状化合物、即ち主にイソシアネートの三量化によって得られるゲルの製造が記載されており、このゲルの乾燥のためには、超臨界条件は強制的には必要とされない。更に、この刊行物には、イソシアネートの三量化と共に、イソシアネート反応性基を含有するコポリマー、殊にスチレンとヒドロキシアクリレートとのコポリマーを使用しうることが記載されている。
【0003】
公知技術水準から公知の前記多孔質生成物の欠点は、超臨界液体を使用しなければならず(WO 95/03358、WO 96/36654、WO 96/37539、WO 98/44028)、このことは、高い圧力または高い温度を意味し(例えば、CO2c=31℃;pc=74バール)、したがって高価であるか、または多大にイソシアヌレートをベースとする生成物が得られることである。前記化合物種が高い脆性を示し、したがって機械的挙動に関連して、イソシアネート基の大多数が反応してウレタン基に変化された、イソシアネートをベースとした材料と比較して不利であることは、公知である。更に、イソシアヌレート結合をベースとした網状組織の欠点は、イソシアヌレートへのイソシアネート基の完全な変換が長い反応時間によってのみ実現させることができることである。
【0004】
従って、本発明の課題は、多孔質ポリイソシアネート重付加生成物、有利にポリウレタン、有利にポリウレタン成形体、殊にポリウレタンをベースとするエーロゲル状材料を、(a)イソシアネートを(b)イソシアネートに対して反応性の化合物と有利にイソシアネートに対して不活性の溶剤(f)の存在で反応させことによって製造する方法であって、簡単で安価に再現可能であり、それによって極めて良好に物質的性質、殊に機械的性質を使用する生成物を得ることができる前記製造方法を開発することであった。殊に、できるだけ高い多孔度を同時にできるだけ小さい粒度で使用する多孔質生成物を開発することであった。この場合、多孔質生成物は、簡単に再現可能であるように得ることができるはずである。
【0005】
この課題は、(b)イソシアネートに対して反応性の化合物として、少なくとも6、有利に6〜100、特に有利に10〜60の、イソシアネート、有利にヒドロキシル基に対する官能価および少なくとも1000g/mol、有利に1500g/mol〜10000g/mol、特に有利に1500g/mol〜6000g/molの分子量、有利に質量平均分子量を有する化合物を使用することによって解決することができた。
【0006】
本発明による方法の特殊な利点、ひいては本発明による生成物の特殊な利点は、溶剤の存在での製造処理中ならびに乾燥中および乾燥後の機械的安定性にある。その上、本発明による生成物は、所望のように僅かな脆性を有する。高い分子量を組合せて高い官能価を示し、超枝分れした鎖とも呼称することができるかまたはデンドリマー構造を含有する、本発明によるイソシアネート反応性成分を使用することに基づく。イソシアネート反応性成分の高い枝分れ度に応じて、ポリウレタンエーロゲル中で硬質の網状組織が達成され、この網状組織は、乾燥時に超臨界条件を省略することを可能にし、同時に僅かな脆性の材料を製造することを可能にする。
【0007】
イソシアネートに対して反応性の化合物(b)中でイソシアネートに対して反応性の基として、少なくとも1個の活性水素原子を使用するものが適している。このような基の例は、ヒドロキシル基および/または第1アミノ基および/または第2アミノ基、有利にヒドロキシル基である。従って、本発明によれば、イソシアネートに対して反応性の化合物(b)としては、ポリエーテルポリアルコール、ポリエステルポリアルコール、ポリエーテル−ポリエステルアルコール、ポリチオエーテルポリオール、ヒドロキシル基含有ポリアセタールおよびヒドロキシル基含有脂肪族ポリカーボネートまたは記載されたポリオールの少なくとも2つからなる混合物がこれに該当する。好ましいのは、イソシアネートに対して反応性の化合物(b)としてエーテルおよび/またはエステルおよび/またはエステルおよびエーテル構造を含有する化合物である。この種の化合物は、一般に公知であり、公知のエステル化および/またはアルコキシル化によって製造されうる。
【0008】
本発明によれば、イソシアネートに対して反応性の化合物は、好ましくは少なくとも100mg KOH/g、特に有利に150mg KOH/g〜550mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。従って、本発明により本質的なパラメーター官能価および分子量に加えて特に好ましいポリオールの特に好ましい超枝分れした構造を示すポリオールのヒドロキシル価は、適当である。
【0009】
"超枝分れした"とは、本発明に関連して、この枝分かれ度(Degree of Branching、DB)、即ち一分子当たりの樹枝状結合部の平均数および末端基の平均数が、10〜99.9%、有利には20〜99%、特に有利に20〜95%であることが理解される。
【0010】
"デンドリマーの"とは、本発明との関連で、枝分かれ度が99.9〜100%であると解釈される。"枝分かれ度"の定義に関しては、H. Frey et al., Acta Polym., 1997, 48, 30を参照。ガラス温度は、特に−50℃〜140℃、殊に−50℃〜100℃である(DIN 53765により測定された、DSCによる)。また、超枝分かれしたポリマーに関しては、H. Frey et al., Chem. Eur. J. 2000, 6, No. 14. 2499に指摘されている。超枝分かれしたポリアルコールの製造は、例えば欧州特許出願公開第1501882号明細書および欧州特許出願公開第1537166号明細書中に記載されている。
【0011】
特に好ましくは、イソシアネートに対して反応性の化合物として著しく枝分かれしたエステル基を含有するポリオールが使用される。この種の樹枝状ポリエステロールは、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(ビス−MPA)から得られる縮合生成物であり、これは、Perstorp AB社からBoltorn(登録商標)、例えばBoltorn(登録商標)H20、H30およびH40の商標で販売されている。
【0012】
多孔質ポリウレタンの製造は、冒頭に記載された公知技術水準から一般に公知である。
【0013】
好ましいのは、(a)イソシアネートと(b)イソシアネートに対して反応性の化合物との反応をイソシアネート基を活性化する触媒(d)、但し、この触媒は後記に例示的に記載されているものとし、の存在で実施するような方法であり、この場合好ましいのは、ウレタン形成を促進する触媒、有利に錫有機化合物および/またはチタン有機化合物および/または適当なアミン、特に有利に錫塩またはアミノ塩基、有利に第3アミン、殊に有利にジブチル錫塩または第3脂肪族アミンである。触媒は、有利にイソシアネートに対して反応性の化合物(b)と一緒に溶剤(f)中に溶解される。ゲル化は、イソシアネート反応性成分の触媒含有溶液を化学量論的量のイソシアネートと合わせることによって開始される。触媒(d)の含量は、有利に多孔質ポリウレタンの全質量に対して0.02〜3質量%、特に有利に0.1〜2質量%である。触媒は、強力な溶剤交換によってポリマーから除去されることができる。触媒量および溶剤の濃度を選択することによって、ゲル化時間は、数分間ないし数時間の範囲内で調節することができる。
【0014】
本発明による多孔質ポリウレタンは、ゲル体の乾燥の際に溶剤を臨界未満の状態で、有利に軽く真空を印加することによって除去することができる(p<pc、T<Tc)ことによって傑出している。多孔度を調節するために、同様に溶剤の交換は、ポリウレタン体のゲル化後に行なわれてよい。出発溶剤と比較してよりいっそう低い表面張力の溶剤の乾燥を行なうことは、好ましい。
【0015】
しかし、重合は、生じるポリウレタンの網状組織が機械的に、重大な収縮なしに臨界未満の乾燥物の毛管力に耐えるように頑強であるという性質を有する溶剤中で最初から行なわれる。好ましいのは、最初に反応成分が均一に溶解されうるが、しかし、これから得られるポリウレタンの網状組織は、できるだけ僅かしか可塑化されていない。更に、高い固有の連鎖剛性(Kettensteifheit)を有する反応成分、殊に高い官能価および枝分かれ度を有するイソシアネートおよびイソシアネートに対して反応性の化合物が好ましい。
【0016】
溶剤(f)の存在でイソシアネートと成分(b)および場合によっては(c)との反応が行なわれるような場合の溶剤(f)としては、公知技術水準から一般に公知の溶剤を使用することができ、この場合この溶剤は、有利にイソシアネートに対して不活性である。この種の溶剤は、WO 00/24799、第3頁、第28行〜第5頁、第14行に記載されている。好ましくは、溶剤(f)として、使用されるイソシアネートおよびイソシアネートに対して反応性の成分が298Kで混合物の全質量に対して少なくとも1質量%溶解するかまたは分散可能であり、(a)イソシアネートと(b)イソシアネートに対して反応性の化合物との反応によって、沈殿された反応生成物の含量が混合物の全質量に対して1質量%未満であるゲル体を生じるような溶剤が使用される。沈殿された生成物の量は、反応混合物をゲル点前に適当な濾過装置を介して濾過することにより重量測定される。特に好ましくは、溶剤(f)として脂肪族ケトンおよびエステルが使用され、好ましくは、ブタノン、プロパノン、エチルアセテート、ブチルアセテートまたは脂肪族エーテル、有利にテトラヒドロフラン、テトラヒドロピランが使用される。
【0017】
特に好ましくは、本発明による方法は、イソシアネート(a)とイソシアネートに対して反応性の化合物を別々に同じかまたは異なる、有利に同じ溶剤(f)中に溶解し、引続き2つの成分(a)および(b)をそれぞれ溶剤(f)中に溶解して混合することによって反応させるようにして行なわれる。
【0018】
溶剤を含めてポリウレタンフォームの製造の際に使用される成分の全質量に対する溶剤(f)の質量含量は、有利に50質量%〜99質量%、特に有利に60質量%〜95質量%である。上記したように成分(a)と(b)を別々にそれぞれ溶剤(f)中に溶解した場合には、それぞれの成分中の溶剤の質量は、それぞれ(a)または(b)ならびにそれぞれ溶剤(f)を含有するそれぞれの混合物の全質量に対して有利に50質量%〜99質量%、特に有利に60質量%〜95質量%である。
【0019】
イソシアネート(a)とイソシアネートに対して反応性の化合物(b)ならびに場合によっては(c)との反応後に、溶剤(f)は、反応生成物から除去される。これは、異なる一般に公知の方法、例えば過剰量の溶剤を乾燥させるかまたは流去し、引続き乾燥させることによって行なうことができる。乾燥は、有利に0.01ミリバール〜1バールの圧力および−20℃〜60℃の温度で通常0.5時間〜10時間の期間で実施される。同様に、溶剤の除去のために凍結乾燥が使用されてよい。
【0020】
好ましくは、反応生成物の変換後に溶剤または溶剤混合物の1回以上の交換が行なわれてよい。殊に、200g/l未満の密度を有する本発明によるポリウレタンを製造する場合には、溶剤交換を行うことは、好ましい。溶剤を選択する場合には、それぞれ2つの視点に注目することができる:
1)表面張力は、できるだけ僅かであるべきであり、したがって炭化水素および(部分)ハロゲン化された炭化水素は、有利な溶剤であり;
2)溶剤は、乾燥条件下(有利に−20〜60℃)での収縮を回避させるために、ポリマー網状組織をできるだけ僅かしか可塑化しない、即ちポリマーのための"沈殿剤"である。このような液体は、イソシアネートおよびイソシアネートに対して反応性の化合物からのポリウレタン網状組織の合成のためには明らかに不適当であるので、最初に網状組織を膨潤させる液体中で網状組織化を行ない、引続き僅かな膨潤能を有する液体と交換することは、好ましい。
【0021】
好ましくは、イソシアネート(a)とイソシアネートに対して反応性の化合物(b)との反応後に、有利に乾燥中に溶剤の臨界的圧力より小さい圧力および使用される溶剤の臨界的温度より低い温度が選択されるような乾燥によって溶剤(f)は、除去される。
【0022】
イソシアネート(a)とイソシアネートに対して反応性の化合物(b)および連鎖延長剤(c)との反応は、通常の特性値、有利に10未満の特性値で行なうことができる。この特性値は、全体的に反応の際に使用される、成分(a)のイソシアネート基と成分(b)および(c)の、イソシアネートに対して反応性の基、即ち反応性水素との比によって定義される。1000の特性値の場合には、成分(a)のイソシアネート基に対して、成分(b)および(c)の活性水素原子、即ちイソシアネートに対して反応性の官能基が使用される。1000を上廻る特性値の場合には、複数のイソシアネート基は、OH基として存在する。特に有利には、イソシアネートとイソシアネートに対して反応性の基ならびに場合によっては連鎖延長剤および/または架橋剤(c)との反応は、950〜1050の特性値で実施される。
【0023】
ポリウレタンの製造方法は、一般に公知である。例えば、熱可塑性ポリウレタンは、(a)イソシアネートを(b)500〜10000の分子量を有する、イソシアネートに対して反応性の化合物および場合によっては(c)50〜499の分子量を有する連鎖延長剤と場合によっては(d)触媒および/または(e)通常の助剤の存在で反応させることによって製造されてよい。
【0024】
次に、例示的に出発成分および有利な多孔質ポリウレタンの製造方法を示す。多孔質ポリウレタンの製造の際に通常使用される成分(a)および(b)、および有利に(c)ならびに有利に(d)および場合によっては(e)は、次に例示的に記載される:
a)有機イソシアネート(a)として、少なくとも2個、特に有利に2〜4個のイソシアネート基を有する、一般に公知の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、環状脂肪族イソシアネートおよび/または芳香脂肪族イソシアネート、有利に芳香族イソシアネート、例えば2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4−トルイレンジイソシアネートおよび/または2,6−トルイレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネートおよび/またはフェニレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネートおよび/またはオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート−1,5、2−エチルブチレンジイソシアネート−1,4、ペンタメチレンジイソシアネート−1,5、ブチレンジイソシアネート−1,4、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン(イソホロン−ジイソシアネート、IPDt)、1,4−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサンおよび/または1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン(HXDf)、1,4−シクロヘキサン−ジイソシアネート、1−メチルー2,4−シクロヘキサン−ジイソシアネートおよび/または1−メチルー2,6−シクロヘキサン−ジイソシアネートおよび/または4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、特に有利にトルオールジイソシアネート(TDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、ナフタリンジイソシアネート(NDI)、TDI、NDIおよび/またはPPDIから三価アルコールおよび多価アルコールとの反応によって得ることができる、少なくとも3の官能価を有するイソシアネート、TDIおよび/またはPPDIの三量化によって得ることができる三価イソシアネート、殊にTDIから三価アルコールとの反応によって得ることができるイソシアネートを使用することができる。
【0025】
b)イソシアネートに対して反応性の化合物(b)としては、場合によっては冒頭に記載された化合物に加えて、この目的のために一般に公知の他の化合物、例えば500〜12000g/mol、有利に600〜6000g/mol、殊に800〜4000g/molの分子量および有利に1.8〜5の平均官能価を有する、通常"ポリオール"の概念に含まれるポリエステロール、ポリエーテロールおよび/またはポリカーボネートジオールが使用されてよい。好ましくは、専らイソシアネートに対して反応性の本発明による化合物が使用される。
【0026】
c)連鎖延長剤および/または架橋剤(c)としては、50〜499の分子量および2〜10の官能価を有する一般に公知の脂肪族化合物、芳香脂肪族化合物、芳香族化合物および/または環状脂肪族化合物、例えば2〜14個、特に4〜10個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、環状脂肪族ジオールおよび/または芳香脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール−1,3、デカンジオール−1,10、o−ジヒドロキシシクロヘキサン、m−ジヒドロキシシクロヘキサン、p−ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよび特にブタンジオール−1,4、ヘキサンジオール−1.6およびビス−(2−ヒドロキシエチル)−ヒドロキノン、トリオール、例えば1,2,4−トリヒドロキシ−シクロヘキサン、1,3,5−トリヒドロキシ−シクロヘキサン、グリセリンおよびトリメチロールプロパン、エチレンオキシドおよび/または1,2−プロピレンオキシドをベースとする低分子量のヒドロキシル基含有ポリアルキレンオキシドおよび開始剤分子および/またはジアミンとしての前記ジオールおよび/またはトリオール、例えばジエチルトルエンジアミンおよび/または3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンが使用されてよい。ポリウレタンの製造のために連鎖延長剤、架橋剤またはその混合物を使用する場合には、これらの薬剤は、有利に全体的に使用されるイソシアネートに対して反応性の化合物(b)および(c)の質量に対して0〜30質量%、特に1〜30質量%の量で使用される。
【0027】
d) 殊にジイソシアネート(a)のNCO基と構成成分(b)および(c)のイソシアネートに対して反応性の基、殊にヒドロキシル基および/またはアミノ基との間の反応を促進する適当な触媒は、公知技術水準により公知でかつ通常の第三アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)−エタノール、ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタン等、ならびに殊に有機金属化合物、例えばチタン酸エステル、鉄化合物、例えば鉄(III)−アセチルアセトネート、錫化合物、例えば二酢酸錫、ジオクタン酸錫、ジラウリン酸錫または脂肪族カルボン酸の錫ジアルキル塩、例えばジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等である。
【0028】
e) 触媒(d)と共に、構成成分(a)〜(c)には通常の助剤(e)を添加することもできる。例えば、界面活性物質、難燃剤、成核剤、酸化安定剤、滑剤および離型助剤、染料および顔料、安定剤、例えば加水分解、光、熱または変色に対する安定剤、無機充填剤および/または有機充填剤、補強剤が挙げられる。
【0029】
f)溶剤(f)の存在でイソシアネートと成分(b)および場合によっては(c)との反応が行なわれるような溶剤(f)は、既に冒頭に記載された。
【0030】
上記の助剤および添加剤に関する詳細な記載は、専門文献、例えばPlastics Additive Handbook, 第5版, H. Zweifel編, Hanser Publishers社刊, Muenchen, 2001から確認することができる。前記刊行物中に記載された全ての分子量は、単位[g/mol]を有する。
【0031】
本発明による製造可能な多孔質ポリウレタンは、有利に断熱および防音のための遮断材料として使用される。
【0032】
実施例
第1表中に記載された、イソシアネートに対して反応性の混合物を、閉鎖された容器中で室温および1000の特性値で、それぞれ第2表中に記載された、イソシアネートを含有する混合物と反応させた。
【0033】
【表1】

【0034】
Boltorn(登録商標)H20:樹枝状ポリエステルアルコール、Mw:2100g/mol、多分散度:1.3、Tg:30℃、OH価:490〜530mg KOH/g、酸価:9mg KOH/g最大、
Boltorn(登録商標)H30:樹枝状ポリエステルアルコール、Mw:3500g/mol、多分散度:1.5、Tg:35℃、OH価:480〜510mg KOH/g、酸価:10mg KOH/g最大、樹枝状ポリエステルアルコール、Mw:5100g/mol、多分散度:1.8、Tg:40℃、OH価:470〜500mg KOH/g、酸価:11mg KOH/g最大、
Boltorn(登録商標)H40:
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート。
【0035】
【表2】

【0036】
Basonat(登録商標)TU 75E(BASF AG社):酢酸エチル中の75質量%の質量含量を有する多官能価TDI付加物;NCO含量13.3%
約3日後、相応するポリウレタンゲルを反応容器から取り出し、ペンタンと一緒に1つの容器中に移した。ペンタンとポリウレタンゲルとの体積比は、約10:1であった。2日後、ペンタンを同量の新しいペンタンに代えた。更に、2日後、ゲルを取り出し、最初に3日間常圧で、引続き2日間60℃の温度および100ミリバールの圧力で乾燥させた。
【0037】
例1〜5の生成物は、第3表中に記載の性質を有していた。
【0038】
【表3】

【0039】
ガス比重測定法(DIN 66137)によって測定された密度、窒素収着(DIN 66134)によって測定された孔径、BET(DIN 66131)により測定された比表面積、Hg注入(DIN 66133)によって測定された多孔度。
【0040】
第3表中の細孔分析は、第1表および第2表中に記載の成分から製造されたゲルが臨界未満の乾燥後にナノ多孔質材料であることを示す。殊に、Hg注入と窒素収着との比較は、1μm未満の細孔含量が95%を上廻ることを示す。50〜150nmの平均孔径は、前記材料にとって断熱への遮断材料としての使用のために特に有利である。全ての材料は、高い機械的安定性および僅かな脆性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)イソシアネートを(b)イソシアネートに対して反応性の化合物と溶剤(f)の存在で反応させることによって多孔質ポリイソシアネート重付加生成物を製造する方法において、(b)イソシアネートに対して反応性の化合物として少なくとも6のイソシアネートに対する官能価および少なくとも1000g/molの分子量を有する化合物を使用することを特徴とする、多孔質ポリイソシアネート重付加生成物を製造する方法。
【請求項2】
イソシアネートに対して反応性の化合物として少なくとも100mg KOH/gのヒドロキシル価を有する化合物を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
イソシアネートに対して反応性の化合物としてエステル基を含有するポリオールを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2個のイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
(a)イソシアネートと(b)イソシアネートに対して反応性の化合物との反応をイソシアネート基を活性化する触媒(d)の存在で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
溶剤(f)として、使用されるイソシアネートおよびイソシアネートに対して反応性の成分が298Kで混合物の全質量に対して少なくとも1質量%溶解するかまたは分散可能であり、(a)イソシアネートと(b)イソシアネートに対して反応性の化合物との反応によって、沈殿された反応生成物の含量が混合物の全質量に対して1質量%未満であるゲル体を生じるような溶剤を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
反応生成物の反応後に溶剤または溶剤混合物の1回以上の交換を行なう、請求項1記載の方法。
【請求項8】
溶剤(f)として脂肪族ケトンおよびエステルを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
溶剤を含めてポリウレタンフォームの製造の際に使用される成分の全質量に対する溶剤(f)の質量含量は、50質量%〜99質量%ある、請求項1記載の方法。
【請求項10】
イソシアネート(a)とイソシアネートに対して反応性の化合物(b)との反応後に、乾燥中に溶剤(f)の臨界的圧力より小さい圧力および使用される溶剤(f)の臨界的温度より低い温度を選択することにより溶剤(f)を除去する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
イソシアネート(a)とイソシアネートに対して反応性の化合物(b)のイソシアネートに対して反応性の基ならびに連鎖延長剤および/または架橋剤(c)との反応を950〜1050の特性値で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法により得られる多孔質ポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項13】
少なくとも6のイソシアネートに対する官能価および少なくとも1000g/molの分子量を有する、イソシアネートに対して反応性の化合物(b)をベースとする、30kg/m3〜500kg/m3の密度およびDIN 66131による窒素収着測定によって測定された50m2/gを上廻る固有の表面積を有する多孔質ポリイソシアネート重付加生成物。

【公表番号】特表2008−542490(P2008−542490A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514096(P2008−514096)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062728
【国際公開番号】WO2006/128872
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】