多孔質複合体物品
多孔質複合体は、貫通する多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜、その多孔質膜に取り付けられて気体透過性領域と気体不透過性領域を形成する非多孔質不連続表面層および前記多孔質複合体上に配置されてその複合体の少なくとも一部を疎油性にするコーティングを含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの囲いには、その内容積と外気の間の圧力差を除くための外気への通気が必要である。このような通気は、中に入っている液体の温度の変動、高さの変化および蒸気圧に起因して必要な場合がある。通気孔は、気体を流動させて、液体や粒子の汚染物の侵入を防止しながら圧力を均等にする。多孔質の材料を通気孔として使用する市場としては、限定されないが、自動車、電子機器、工業、医療および包装の市場がある。延伸PTFE(ePTFE)は、これら諸用途で既に知られている通気孔用多孔質材料である。しかし、これら通気孔材料は、低表面張力の粘性流体に暴露されると、気体透過性の低下が見られることがある。通気孔用材料上に残っている残留液体の被膜または液滴は、気体を流動させるのに利用できる通気面積を制限することがある。上記液体は、通気孔材料の表面で乾燥し硬化して表面全体に不透過性被膜層を残し、気体透過性を失わせることによって、通気孔を作動不能にするおそれがある。用語「気体透過性」は、本願で使用する場合、材料を横切って気体の差圧がその材料に与えられたとき、第一の側から第二の側に気体を移動させる二つの側を有する材料の特性を意味する。例えば、空気透過性はガーレイ数によって特徴付けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
流体に暴露された後、特に通気孔が低表面張力の粘性流体に暴露された場合に、適切に空気が流動する多孔質材料が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一側面において、囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を備えた通気装置が提供される。その通気装置は、液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を有し、その多孔質複合体通気要素は、貫通する多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜および非多孔質の不連続表面コーティングを有している。その非多孔質の不連続表面コーティングは、少なくともいくつかの細孔を閉塞し、その結果、その多孔質複合体の表面は、気体透過性の領域と気体不透過性の領域を有している。
【0004】
もう一つの側面で、貫通する多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜を備えた多孔質複合体が提供される。非多孔質の不連続表面層が、前記多孔質膜に取り付けられ、その非多孔質の不連続表面層は裂け目を有し、その結果、気体透過性の表面領域と気体不透過性の表面領域が形成されている。その多孔質複合体は、表面の少なくとも一部分を疎油性にするコーティングを有している。
【0005】
さらに別の側面で、通気装置が提供され、その通気装置は、囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を備え、そして液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を有している。その多孔質複合体通気要素は、貫通する多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜およびその多孔質膜に取り付けられた非多孔質の不連続表面層を備えている。その非多孔質不連続表面層は裂け目を有し、その結果、その裂け目に対応する気体透過性領域を有している。
【0006】
さらに別の側面で、囲いの通気を行う開口を有する通気装置が提供される。その囲いは内側空間と外側空間を画定し、そしてその通気装置は、内側空間と外側空間の間を液体が通過するのを防止する。この通気装置は、前記開口の液密で気体透過性のシールを形成する多孔質複合体通気要素を備えている。その多孔質複合体通気要素はその液体に隣接する液体面(liquid face)を有している。その多孔質複合体通気要素は、貫通する多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜およびその多孔質膜の液体面の少なくとも一部分を覆う非多孔質不連続表面を有している。その非多孔質不連続表面は、前記細孔の少なくともいくつかを閉塞しかつ開口を有し、気体透過性の表面領域と気体不透過性の領域を作り出す。
【0007】
別の側面で、通気装置は、囲いの通気を行う開口を有し、かつ液体の通過を防止する。その通気装置は、液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を備えている。その多孔質複合体通気要素は、第一面およびその第一面の反対側に第二面を有する多孔質膜を有し、そして非多孔質の表面層が、多孔質膜の第一面に取り付けられて、液体暴露面を形成する。前記多孔質複合体通気要素の液体暴露側が液体に暴露された後の空気流回復率は、前記多孔質複合体通気要素の第二面が液体に暴露された後の空気流回復率より勝っている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】通気装置の断面図を示す。
【図2】液密囲いの開口に取り付けられた多孔質複合体の断面図を示す。
【図3】支持層に疎油性コーティングを取り付けた多孔質複合体の断面図を示す。
【図4】例1で製造した多孔質複合体の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図5】例2で製造した多孔質複合体の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図6】例1で製造した多孔質複合体の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図7】例5で製造した多孔質複合体の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図8】非多孔質不連続表面層の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図9】多孔質膜の両面に非多孔質不連続表面層を有する多孔質複合体の断面図を示す。
【図10】液密囲いの開口の上に取り付けられた多孔質複合体の断面図を示す。
【図11】空気流回復率の試験装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載の多孔質複合体物品は、通気用材料として有用である。これらの物品は、低表面張力の粘性流体に暴露された後でも、空気を流動させる。用語「低表面張力の粘性流体」は、本明細書で使用する場合、粘度が50 cP(センチポワズ)より大で表面張力が35 mN/m未満の流体を意味する。かような流体を含む用途では、これらの多孔質複合体物品が、既知の通気材料の欠点を克服する。
【0010】
いくつかの通気の用途では、多孔質複合体が、低表面張力の粘性液体に暴露された後、気体透過性であることが必要である。液体に暴露された後の空気の流動は、以後、空気流の回復と呼称する。かような液体に暴露された後の空気流の回復が大きい材料は特に有益である。本明細書に記載されている多孔質複合体物品は、低表面張力の粘性液体に暴露された後に、優れた空気流の回復を示す。
【0011】
上記多孔質複合体物品は通気装置に利用することができる。通気装置は通気を可能にする開口を有する通気本体を備えていてよい。その本体に多孔質複合体を取り付けて、開口に液密で気体透過性のシールを形成することができる。通気装置は液密の囲いにも利用できる。用語「液密」は、本願で使用する場合、少なくとも0.5 psiの水浸入圧に漏洩することなく耐えることができるシールまたは囲いを意味する。その例としては、液体を封入する容器、またはコンピュータのディスクドライブ、自動車のエンジン制御装置もしくは自動車のヘッドランプの電子機器囲いがある。
【0012】
図1に示すように、通気装置40は、気体の流路45と通気要素43を有する通気本体42を備えていてよい。その通気要素43は流路45の気体透過性液密シールを形成することができる。
【0013】
通気本体42は、差込み部品、キャップ部品または成形部品の形状であってもよい。別の面では、図2に示すように、囲いに、通気本体が組み込まれていてもよい。簡単な形状では、囲いは、多孔質複合体通気材料でシールされた開口を備えていて、通気が行われてもよい。
【0014】
通気本体は、好ましくはポリマー材料で構築され、その結果、多孔質複合体物品を本体にヒートシールすることを含む工程を容易に簡単なものにする。この通気本体は、各種の形状で構築されて、囲いに対していずれの方向に(垂直の、水平のまたは角度をなして傾斜した方向)設置されてもよい。通気本体を囲いに取り付ける手段は、意図する通気用途によって決まる。代表的な取り付け手段としては、締り嵌め、ねじまたは接着剤がある。したがって、通気本体に、突刺、ねじなどを組み入れて取り付けを改善できる。
【0015】
図3に見られるように、その多孔質複合体物品20は、細孔23を有する多孔質膜22、その多孔質膜に取り付けられた非多孔質不連続表面層24および疎油性を付与するコーティング28で構成されていてよい。その非多孔質不連続表面層24は、多孔質膜の細孔23の少なくともいくつかを閉塞するが、気体透過性の領域を提供する離れて分布した開口29を有する。その非多孔質不連続表面層によって、低表面張力の粘性流体に暴露された後の、複合体の空気流回復率が改善される。この多孔質複合体は、その複合体のオイルレイティング(oil rating)が約2より大きくなるようなポリマーコーティング28を適用することによって疎油性にすることができる。
【0016】
図4〜7は、代表的な多孔質複合体の走査型電子顕微鏡の写真(SEM)である。その多孔質膜22は多数の細孔23を含む構造を有している。その多孔質膜は、その膜を気体透過性にする細孔を有するいかなる多孔質材料であってもよい。多孔質膜としては、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、酢酸セルロース、ポリカーボネート、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、および好ましくは延伸PTFEの膜が挙げられる。Goreの米国特許第3,953,566号の教示に従って製造される延伸PTFE膜が特に有用である。これらの多孔質膜は、一軸方向、二軸方向または半径方向に延伸することができる。
【0017】
非多孔質不連続表面層24は、多孔質膜22に取り付けられて、多孔質膜22の細孔23の少なくともいくつかを、膜の表面において閉鎖する不連続表面を提供することができ、その結果、その多孔質複合体の表面は、気体透過性の領域と気体不透過性の領域を有している。非多孔質不連続表面層24は、限定されないが、熱可塑性材料、熱硬化性材料およびエラストマー材料を含む広範囲の材料で作ることができる。熱可塑性材料が好ましく、熱可塑性材料としては、限定されないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロアルキルビニルエーテルのコポリマー(PFA)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、およびTHV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンのポリマー)が挙げられる。FEPまたはPFAなどのフッ素化熱可塑性材料が特に好ましい。
【0018】
図4と5に示す一実施態様では、非多孔質不連続表面層24は、PTFEテープに積層され次いで同時に延伸されたフッ素化熱可塑性材料である。そのフッ素化熱可塑性材料は、延伸されると、破断して多数の不連続の裂け目26を形成する。図8に示す別の実施態様では、非多孔質不連続表面層24は、小孔25を有する非多孔質被膜27を含んでいる。この孔あき被膜を多孔質膜層に取り付けて、多孔質複合体を形成する。
【0019】
図7に示す別の実施態様では、非多孔質不連続表面層24は、熱可塑性材料のコーティングを含んでいる。そのコーティングは、多孔質膜22上に開口29を有する非多孔質不連続表面層24を形成している。このコーティングはいくつかの細孔23を閉塞して、多孔質複合体の表面に気体不透過性の領域を生成する。
【0020】
その多孔質複合体は、疎油性にすることができるので、低表面張力の粘性流体に対する耐性を必要とするいくつかの通気用途に利用できる。この用途に使用する場合、用語「疎油性」は、AATCC Test Method 118-2002のオイルレイティングが約2より大きい物品を意味する。例えば、多孔質複合体は、米国特許第5,116,650号に記載されているようなペルフルオロジオキソールポリマーの溶液でコートできる。このコーティングは、多孔質複合体の要素の少なくとも一つに、これら要素を合わせて取り付ける前に適用してもよい。例えば、多孔質膜は、この膜に非多孔質不連続層を取り付けるかまたは適用する前に、コーティング溶液で処理して疎油性を付与することができる。
【0021】
非多孔質表面層は、積層し次いで同時に延伸する方法で形成できる。非多孔質熱可塑性被膜を、PTFEに積層し次いで延伸して、ePTFE膜およびフッ素化熱可塑性材料を含む非多孔質不連続表面層の複合体を形成できる。この方法では、熱可塑性被膜の破断が起こって、図4と5に示すような裂け目26を作ることができる。この熱可塑性材料は、ePTFEとその熱可塑性材料を、熱可塑性材料の溶融温度を超えて加熱したローラーまたはプレートなどの表面を通過させて結合させることによって、ePTFEに積層できる。次に、これら結合させた層を一軸方向、二軸方向または半径方向に延伸して熱可塑性表面に裂け目を形成させることができる。この実施態様におけるポリマーの非多孔質不連続表面層24は、厚さが0.5マイクロメートルと薄くてもよい。好ましい実施態様では、FEPをPTFEに積層し次いでその積層体を延伸して多孔質複合体を形成する。
【0022】
図8によれば、非多孔質不連続表面層24は、非多孔質被膜に小孔をあけ次いでそれを多孔質膜に結合させることによって形成することもできる。この好ましい非多孔質不連続表面層はポリマー層であり、FEPまたはPFAなどのフッ素化熱可塑性被膜層を含んでいてもよい。その非多孔質ポリマー被膜層は、限定されないが、機械的穿孔法またはレーザードリリング法を含む従来法を使って小孔をあけることができる。好ましい方法はレーザードリリング法である。次いで、その小孔をあけられた非多孔質不連続表面層は、限定されないが、ホットロール積層法、接着結合法または超音波結合法を含む従来法によって、多孔質膜に取り付けることができる。別の一面では、小孔をあけた非多孔質被膜をPTFEに取り付けて、次に延伸することができる。
【0023】
図8に示す実施態様では、厚さが12.5マイクロメートルのFEPシートに、Universal Laser Systems Inc.(米国アリゾナ州スコッツデール所在)の50 Wのレーザー機械を使用して小孔をあけた。その小孔25は直径が0.76 mmで、その小孔の中心間距離は1.02 mmであった。次いで、その小孔をあけたFEP層を、多孔質ePTFE膜に結合させて多孔質複合体を形成できる。
【0024】
形状または製造方法の如何にかかわらず、上記非多孔質不連続表面層は、多孔質膜層の上に表面を形成し、多孔質膜の細孔のいくつかが閉塞される。したがって、その非多孔質不連続表面層は開口付きの不連続表面を有し、その結果、多孔質複合体は気体透過性の領域と気体不透過性の領域を有する。非多孔質不連続表面層の開口の大きさと形状は様々に変えることができる。
【0025】
多孔質複合体物品は、通気囲いの通気要素として使用できる。その通気要素は、液体を入れるかまたは除くため、囲いに液密シールを形成するのに有利に使用できる。この通気要素は、気体の膨張、化学薬剤の脱ガスなどのために必要な気体透過性を提供する。図2に示すように、通気装置40は、液体暴露側41とその反対側47を有するように構築することができる。非多孔質不連続表面層24は、多孔質膜22の上に配置されて、多孔質複合体20の液体暴露側41を形成してもよい。その液体暴露側41は、液体38が入っている囲い32の内部に向けることができる。液体が入っているこれらの用途(例えば液体洗剤の容器)では、その多孔質複合体は気体透過性を提供する。その気体透過性によって、熱サイクルが原因の囲いの変形または破裂を防止でき、あるいは液体の脱ガスを実施できる。液体の侵入を防止しなければならない図10に示す別の実施態様では、液体暴露側41は、囲い32の外側に向けることができる。反対側47は、囲いの内側に向いている。かような用途(例えば電子機器の囲いまたは照明の囲い)では、多孔質複合体は、液体が囲いに侵入するのを防ぎながら気体透過性を提供できる。図9に図式的に示すさらに別の構造では、多孔質複合体の両側を、液体暴露側として構築することができる。
【0026】
好ましくは、液体暴露側の空気流回復率は、反対側の空気流回復率より少なくとも1.1%高い。より好ましくは、液体暴露側の空気流回復率は、反対側の空気流回復率より少なくとも5%高い。多孔質複合体が二つの液体暴露側を有している実施態様では、多孔質複合体の空気流回復率は、多孔質膜単独の空気流回復率より少なくとも約5%高いことが好ましい。
【0027】
一実施態様では、多孔質疎油性複合体の空気流回復率は、複合体の液体暴露側が低表面張力の粘性流体に暴露されたときに少なくとも約33%とすることができる。この複合体の空気流回復率は、反対側が同じ低表面張力の粘性流体に暴露されたときに0%である。より好ましくは、多孔質複合体の空気流回復率は、その液体暴露側が低表面張力の粘性流体に暴露されたときに少なくとも約50%である。この複合体の空気流回復率は、反対側が同じ低表面張力の粘性流体に暴露されたときに0%である。
【0028】
別の実施態様では、多孔質複合体の空気流回復率は、その液体暴露側が低表面張力の粘性流体に暴露されたときに4%である。多孔質複合体の空気流回復率は、反対側が同じ低表面張力の粘性流体に暴露されたときに0.4%である。より好ましくは、多孔質複合体の空気流回復率は、その複合体の液体暴露側が低表面張力の粘性流体に暴露されたときに12%である。多孔質複合体の空気流回復率は、反対側が同じ低表面張力の粘性流体に暴露されたときに0.1%である。
【0029】
多孔質複合体は積層体として構築できる。その積層体は、図3に示すように、多孔質複合体20を支持層30の上に支持することによって、製造することができる。支持層30は、図10に示すように、構造を支持しており、さらに、多孔質複合体20を通気囲い32に取り付けるのにも役立つ場合もある。適切な支持層は、編物、不織布、スクリム、メルトブローン、織布、メッシュ、フォーム、多孔質ePTFE膜などの空気透過性媒体の形態であってよい。支持層は、例えば、ホットロール積層法、接着剤または超音波接合法によって、多孔質複合体に取り付けることができる。支持層は、多孔質複合体の両面に取り付けることもできる。
【0030】
本発明を、さらに、下記の非限定の諸実施例について説明する。
【0031】
試験方法
密度
2.54 cm×15.24 cmの長方形断片に打ち抜いた試料の質量(Mettler-Toledo analytical balance model AG204を使用)と厚さ(Kafer FZ1000/30 snap guageを使用)を測定した。これらのデータを利用し、下記式で密度を計算した。
ρ=m/(w×l×t)
上記式中、ρ=密度(g/cc);m=質量(g);w=幅(cm);l=長さ(cm);およびt=厚さ(cm)である。
【0032】
多孔率
多孔率は、百分率で表現し、物品の密度(先に記載)をPTFEのかさ密度で割り算して得た商を1から引き算し、その値に100%を掛け算することによって決定した。この計算を行うため、PTFEのかさ密度を2.2 g/ccにした。
【0033】
空気流回復率
図11と11aは空気流回復率の試験に使用する装置を示す。通気材料100を、上プレート102と下プレート104の間に封止する。各プレートは、直径2.54 cmのオリフィスを有している。上プレートには、液体ウエル106が組み込まれている。通気材料100は、ガスケット108とちょうねじ110を使って、これらプレート間に固定する。次に、上記組み付けたプレートを、アダプター300に、クランプ302、ちょうねじ304およびガスケット306によって固定する。アダプター300は、空気チャンバー301とこのチャンバーに空気を送るチャネル310を備えている。Telydyne Genuine Gurley(商標)tester(Model Number 4110)を、アダプター300の入口312に、ガスケット308を使って取り付ける。
【0034】
試料に、100 cm3の空気を、水圧12.4 cmで送り、流動時間を秒で記録する。この測定値は、流体が接触する前のガーレイ数(秒)である。
【0035】
次いで、プレートをアダプターから取り外し、次にその通気材料の全表面が試験流体で覆われるように液体ウエル106を満たすことによって、試験流体に暴露させる。これは、全量ピペットを使って、試験流体約2〜3 cm3をウエル106に添加することによって実施できる。60秒後、そのプレート組立て物を、90°傾ける。通気材料から、液体を60秒間排出させる。次にそのプレートをTelydyne Genuine Gurley(商標)tester(Model Number 4110)に取り付けられているアダプター300に固定する。
【0036】
100 cm3の空気を、試料を通じて水圧12.4 cmで流動させて、流動時間を秒で記録する。この測定値は流体が接触した後のガーレイ数(秒)である。この試験で10分後に空気の流動が始まらなかった場合は、試験を中止して、試料は回復しないとみなし空気流動が回復しないとしてNRで表す。次いで、空気流回復率を、下記式を使って決定する。
空気流回復率(%)=[流体が接触する前のガーレイ数(秒)
/流体が接触した後のガーレイ数(秒)]×100
【0037】
水浸入圧
用語「水浸入圧」は、本願で使用する場合、本明細書に含まれている試験法に記載されているように、膜などの材料を通じて水を移動させるのに必要な圧力を意味する。水侵入圧は、膜または通気本体を通過する水の浸入の試験方法を提供する。膜(または通気本体)を、器具の中に入れて水で加圧する。加圧されてない側の膜(または通気本体)の頂部に、一枚のpH試験紙を、水浸入の証拠を示すものとして配置してもよい。次いで試料をpH試験紙の色の変化が水浸入の最初の兆候を示すまで少しずつ圧力を増やしながら加圧する。漏出時すなわち侵入時の水圧を、水浸入圧として記録する。
【0038】
バブルポイント
バブルポイントと平均流動孔サイズは、Capillary Flow Porometer(米国ニューヨーク州イサカ所在のPorous Materials Inc.のModel CFP 1500 AEXL)を使用して、ASTM F31 6-03の一般的教示に従って測定した。試料の膜を、試料チャンバー内に入れて、表面張力が19.1ダイン/cmのSilWick Silicone Fluid(Porous Materials Inc.から入手できる)で濡らした。試料チャンバーの下部クランプは、直径が2.54 cm、厚さが3.175 mmの多孔質金属ディスクインサート(米国コネティカット州ファーミントン所在のMott Metallurgical、40マイクロメートル多孔質金属ディスク)を有し、そして試料チャンバーの上部クランプには直径が3.175 mmの穴があった。Capwin software version 6.62.1を使用して、下記パラメータを、下記表に記載したように設定した。バブルポイントおよび平均流動細孔サイズとして示された値は、二つの測定値の平均値である。
【0039】
【表1】
【0040】
オイルレイティング
オイルレイティングの試験を、AATCC Test Method 118-2002に従って実施した。膜のオイルレイティング値は、膜の両面を試験して得た二つのレイティング値のうち小さい方である。
【0041】
表面張力
被検流体の表面張力は、Whilhelmy plate methodを利用し、Kruss K12 tensiometerを使って測定した。Kruss Laboratory Desktop Software Version 2.13aを使用した。Whilhelmy plateの浸漬は、火炎処理ガラスのカバースリップ(flamed glass cover slips)を用いソフトウェアの初期設定の浸漬パラメータで実施した。
【0042】
粘度
粘度はUL小容積スピンドルとチューブアクセサリー付きのBrookfield DVII+viscometerを使って測定した。温度22.5℃、30 RPMおよびせん断速度36.7 second-1における粘度を、センチポワズ(cp)の単位で報告してある。トルクで許容される最大RPMで予め回転させた試料を30 RPMで5分間回転させた後に、粘度を読み取った。
【0043】
被検流体
二つの代表的な被検流体を配合し、流体暴露後の空気流回復率の試験に利用した。これら流体の特性は下記表に列挙してある。被検流体Iは、オイルレイティング値が約2より大きい疎油性物品に使用した。被検流体IIは、疎水性物品に使用した。
【0044】
被検流体Iは下記方法で調製した。
PVP(ポリビニルピロリドン、Sigma-Aldrich Chemical, Catalog Number 437190-500G, 分子量=1,300,000, CAS Number 9003-39-8)を脱イオン水に溶解した溶液を、これら成分を混合し、一夜、撹拌することによって調製した。Tergitol(登録商標)TMN6(Dow Chemical, CAS Number 60828-78-6)を添加し、その溶液を約1時間撹拌した後、直ちに試験に使用した。
【0045】
被検流体IIは下記方法で調製した。
Tween(登録商標)(Mallinckrodt Baker, Inc., Catalog Number X257-07, CAS number 9005-65-6)を脱イオン水に溶解した溶液を、これら2成分を混合して一夜撹拌することによって調製した。グリセリン(Ultra Pure Grade, MP Biomedicals, Catalog Number 800688)を添加し、その溶液を約1時間撹拌した後、直ちに試験に使用した。
【0046】
【表2】
【実施例】
【0047】
例1
PTFEポリマーの微粉末(米国ニューヨーク州オレンジバーグ所在のDaikin Industries, Ltd.)を、この微粉末1 g当たり0.25 gの比率のIsopar K(米国バージニア州フェアファックス所在のExxon Mobil Corp.)と混合した。その潤滑にされた粉末をシリンダー中に圧入してペレットを製造し、25℃に設定したオーブン中に約24時間入れた。圧縮され加熱されたペレットをラム押出しして、幅が約29 cmで厚さが0.635 mmのテープを製造した。次いでそのテープを、圧縮ロール間で圧延して厚さ0.20 mmにした。次いでそのテープを、250℃に設定したオーブン内で乾燥した。その乾燥PTFEテープと厚さ12.5μmのFEPフィルムを重ねて、300℃の温度に設定した二つの加熱プレート上のロールのバンク間で縦方向に延伸した。ロールの第二バンクとロールの第一バンクの間の速度比、したがって、第一プレート上の延伸比は1.15:1であった。ロールの第三バンクとロールの第二バンクの間の速度比、したがって第二プレート上の延伸比は1.15:1であった。次に、そのFEPを積層されたPTFEの複合体テープを、320℃の温度に設定された熱風オーブンに通して、5:1の比率で縦方向に延伸した。PTFEテープに結合されたFEPフィルムは、溶融してその二つの層が延伸されると、FEPフィルムに裂け目が生成した。次に、その縦方向に延伸された複合体を、360℃の温度に設定された熱風オーブンに通して熱処理した。次いで、その複合体を、約370℃の温度で横方向に、約7:1の比率で延伸し、次に、370℃に設定したオーブン中に約24秒間滞留させて熱処理した。
【0048】
このようにして製造した多孔質複合体は、バブルポイントが6.9 psiであった。この複合体の両面の、被検流体IIに対する空気流回復率を試験した。試験結果を表Iに示す。
【0049】
上記複合体を、下記手順に従って処理して疎油性にした。0.25質量%のTeflon(登録商標) AF 1600(米国デラウエア州ウイルミントン所在のDupont Fluoroproducts)をPF-5070 Brand Performance Fluid(CAS Number 86508-42-1, 3M)に添加し、その流体を一夜混合することによって、溶液を調製した。複合体の試料を、丸枠(直径15.2 cm)にぴんと張って保持した。次に、ピペットを使って、上記溶液5〜6 cm3を、複合体試料の液体暴露側に塗布した。複合体試料を傾斜させ回転させて、前記溶液を試料に完全に飽和させた。この時点で、試料は透明になり、全体が濡れて見えた。その丸枠を、直ちにフード中に垂直に吊り下げて、一夜乾燥させた。次に、その疎油性複合体の両面の空気流回復率を、被検流体Iを使って試験した。得られた試験結果を表Iに示す。オイルレイティングの測定値は5であった。
【0050】
【表3】
【0051】
例2
PTFEポリマーの微粉末(米国ニューヨーク州オレンジバーグ所在のDaikin Industries, Ltd.)を、この微粉末1 g当たり0.196 gの比率のIsopar K(米国バージニア州フェアファックス所在のExxon Mobil Corp.)と混合した。その潤滑にされた粉末をシリンダー中に圧入してペレットを製造して、70℃に設定したオーブン中に約12時間入れた。圧縮され加熱されたペレットをラム押出しして、幅が約15.2 cmで厚さが0. 73 mmのテープを製造した。テープの別個の二つのロールを作製し、これらテープを圧縮ロール間で重ねて厚さ0.254 mmにした。そのテープを、次に、横方向に56 cm(すなわち3.7:1の比率で)延伸し、次いで250℃に設定したオーブン中で乾燥した。その乾燥したテープを、温度340℃に設定した加熱プレート上のロールのバンク間で縦方向に延伸した。前記PTFEテープに厚さ12.5マイクロメートルのFEPフィルムを重ねた後に、上記プレート上で延伸した。ロールの第二バンクとロールの第一バンクの間の速度比、したがって延伸比は14:1であった。PTFEテープに結合させたFEPフィルムを溶融させて二つの層を延伸すると、FEPフィルムに裂け目が生成した。この縦方向に延伸された複合体を、次に、約350℃の温度にて、約20:1の比率で横方向に延伸し、次いで380℃に設定したオーブン中で約24秒間滞留させて加熱した。
【0052】
このようにして、製造した多孔質複合体は、バブルポイントが30 psiであった。その複合体の両面について、被検流体IIに対する空気流回復率を試験した。試験結果を表IIに示す。
【0053】
上記複合体を、以下の手順に従って処理して疎油性にした。0.25質量%のTeflon(登録商標) AF 1600(米国デラウエア州ウイルミントン所在のDupont Fluoroproducts)をPF-5070 Brand Performance Fluid(CAS Number 86508-42-1, 3M)に添加し、その流体を一夜混合することによって、溶液を調製した。複合体の試料を、丸枠(直径15.2 cm)にぴんと張って保持した。次に、ピペットを使って、上記溶液5〜6 cm3を、複合体試料の液体暴露側に塗布した。複合体試料を傾斜させ回転させて、前記溶液を試料に完全に飽和させた。この時点で、試料は透明になり、全体が濡れて見えた。その丸枠を、直ちにフード中に垂直に吊り下げて、一夜乾燥させた。次に、その疎油性複合体の両面の空気流回復率を、被検流体Iを使って試験した。得られた試験結果を表IIに示す。オイルレイティングの測定値は6であった。
【0054】
【表4】
【0055】
例3
PTFEポリマーの微粉末(米国ニューヨーク州オレンジバーグ所在のDaikin Industries, Ltd.)を、この微粉末1 g当たり0.25 gの比率のIsopar K(米国バージニア州フェアファックス所在のExxon Mobil Corp.)と混合した。その潤滑にされた粉末をシリンダー中に圧入してペレットを製造し、25℃に設定したオーブン中に約24時間入れた。圧縮され加熱されたペレットをラム押出しして、幅が約29 cmで厚さが0. 635 mmのテープを製造した。次いでそのテープを、圧縮ロール間で圧延して厚さ0.20 mmにした。次いでそのテープを、250℃に設定したオーブン内で乾燥した。その乾燥PTFEテープと厚さ12.5μmのPFAフィルムを重ねて、320℃の温度に設定した二つの加熱プレート上のロールのバンク間で縦方向に延伸した。ロールの第二バンクとロールの第一バンクの間の速度比、したがって第一プレート上の延伸比は1.15:1であった。ロールの第三バンクとロールの第二バンクの間の速度比、したがって第二プレート上の延伸比は1.15:1であった。次に、そのPFA/PTFEテープ積層体を320℃の温度に設定された熱風オーブンに通して、8:1の比率で縦方向に延伸した。次に、その縦方向に延伸された複合体を、360℃の温度に設定された熱風オーブンに通して熱処理した。その複合体を、次いで、約380℃の温度で横方向に、約2.4:1の比率で延伸し、次に、380℃に設定したオーブン中に約24秒間滞留させて熱処理した。
【0056】
このようにして製造した多孔質複合体は、バブルポイントが0.5 psiであった。この複合体の両面の、被検流体IIに対する空気流回復率を試験した。試験結果を表III に示す。
【0057】
上記複合体を、下記手順に従って処理して疎油性にした。0.25質量%のTeflon(登録商標) AF 1600(米国デラウエア州ウイルミントン所在のDupont Fluoroproducts)をPF-5070 Brand Performance Fluid(CAS Number 86508-42-1, 3M)に添加し、その流体を一夜混合することによって、溶液を調製した。前記複合体の試料を、丸枠(直径15.2 cm)にぴんと張って保持した。次に、ピペットを使って、上記溶液5〜6 cm3を、複合体試料の表面の液体暴露側に塗布した。その複合体試料を傾斜させ回転させて、前記溶液を試料に完全に飽和させた。この時点で、試料は透明になり、全体が濡れて見えた。その丸枠を、直ちにフード中に垂直に吊り下げて、一夜乾燥させた。次に、その疎油性複合体の両面の被検流体Iに対する空気流回復率を検査した。得られた試験結果を表III に示す。オイルレイティングの測定値は6であった。
【0058】
【表5】
【0059】
例4
厚さ12.5マイクロメートルのFEPシートに、Universal Laser Systems Inc.(米国アリゾナ州スコッツデール所在)由来の50 Wレーザー機を使って小孔をあけた。その小孔の大きさは直径0.76 mmで、小孔の中心間距離は1.02 mmであった。この小孔をあけたFEPシートを、ePTFE膜(厚さ22.8マイクロメートル、密度0.39 g/cm3およびバブルポイント8 psi)に、コポリエステルのウエブ(Spunfab, Inc., Product Number PE2900-0.6-45W)を接着剤層として使用し積層した。これらの材料は、次の条件すなわち160℃、60 psi、3秒間をで、ヒートプレス(米国マサチューセッツ州所在のGeo. Knight & Co.)内で積層した。この複合体について、被検流体IIを使って空気流回復率を評価した。試験結果を表IVに示す。
【0060】
【表6】
【0061】
例5
5 gのFEP粉末(DuPontのProduct Number 532-8000)を、47.5 gの2-プロパノール(IPA)と47.5 gのHFE-7500(3M NOVEC(商標)Engineered Fluid)の混合物に添加した。その分散液を、透明溶液が生成するまで、数時間撹拌した。厚さ106マイクロメートル、多孔率64%および密度0.78 g/ccのePTFE膜を、連続浸漬コーティング法を利用して、上記溶液でコートした。この工程において、前記ePTFE膜を、第一ローラーに通し、次に第二浸漬ローラーを使って、前記コーティング溶液が入っている浴に通した。このコーティングステップの後、その膜を換気フード内で、室温にて4時間乾燥した。その膜の表面にFEP粒子の薄い層を乗せた。その粒子を溶融させるため、そのコートされた膜をテンターフレーム(tenter frame)に固定して、温度320℃の焼結オーブン中に5分間入れた。このようにして製造された多孔質複合体は、図7に示すような非多孔質不連続表面層を備えていた。溶媒PF-5070(CAS Number 86508-42-1, 3M)に0.75質量%のTeflon(登録商標) AF 1600(DuPont Fluoroproducts、米国デラウエア州ウイルミントン所在)を溶解して得た溶液でコートすることによって、上記多孔質複合体を疎油性にし、次いで換気フード内で室温にて6時間乾燥した。
【背景技術】
【0001】
多くの囲いには、その内容積と外気の間の圧力差を除くための外気への通気が必要である。このような通気は、中に入っている液体の温度の変動、高さの変化および蒸気圧に起因して必要な場合がある。通気孔は、気体を流動させて、液体や粒子の汚染物の侵入を防止しながら圧力を均等にする。多孔質の材料を通気孔として使用する市場としては、限定されないが、自動車、電子機器、工業、医療および包装の市場がある。延伸PTFE(ePTFE)は、これら諸用途で既に知られている通気孔用多孔質材料である。しかし、これら通気孔材料は、低表面張力の粘性流体に暴露されると、気体透過性の低下が見られることがある。通気孔用材料上に残っている残留液体の被膜または液滴は、気体を流動させるのに利用できる通気面積を制限することがある。上記液体は、通気孔材料の表面で乾燥し硬化して表面全体に不透過性被膜層を残し、気体透過性を失わせることによって、通気孔を作動不能にするおそれがある。用語「気体透過性」は、本願で使用する場合、材料を横切って気体の差圧がその材料に与えられたとき、第一の側から第二の側に気体を移動させる二つの側を有する材料の特性を意味する。例えば、空気透過性はガーレイ数によって特徴付けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
流体に暴露された後、特に通気孔が低表面張力の粘性流体に暴露された場合に、適切に空気が流動する多孔質材料が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一側面において、囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を備えた通気装置が提供される。その通気装置は、液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を有し、その多孔質複合体通気要素は、貫通する多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜および非多孔質の不連続表面コーティングを有している。その非多孔質の不連続表面コーティングは、少なくともいくつかの細孔を閉塞し、その結果、その多孔質複合体の表面は、気体透過性の領域と気体不透過性の領域を有している。
【0004】
もう一つの側面で、貫通する多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜を備えた多孔質複合体が提供される。非多孔質の不連続表面層が、前記多孔質膜に取り付けられ、その非多孔質の不連続表面層は裂け目を有し、その結果、気体透過性の表面領域と気体不透過性の表面領域が形成されている。その多孔質複合体は、表面の少なくとも一部分を疎油性にするコーティングを有している。
【0005】
さらに別の側面で、通気装置が提供され、その通気装置は、囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を備え、そして液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を有している。その多孔質複合体通気要素は、貫通する多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜およびその多孔質膜に取り付けられた非多孔質の不連続表面層を備えている。その非多孔質不連続表面層は裂け目を有し、その結果、その裂け目に対応する気体透過性領域を有している。
【0006】
さらに別の側面で、囲いの通気を行う開口を有する通気装置が提供される。その囲いは内側空間と外側空間を画定し、そしてその通気装置は、内側空間と外側空間の間を液体が通過するのを防止する。この通気装置は、前記開口の液密で気体透過性のシールを形成する多孔質複合体通気要素を備えている。その多孔質複合体通気要素はその液体に隣接する液体面(liquid face)を有している。その多孔質複合体通気要素は、貫通する多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜およびその多孔質膜の液体面の少なくとも一部分を覆う非多孔質不連続表面を有している。その非多孔質不連続表面は、前記細孔の少なくともいくつかを閉塞しかつ開口を有し、気体透過性の表面領域と気体不透過性の領域を作り出す。
【0007】
別の側面で、通気装置は、囲いの通気を行う開口を有し、かつ液体の通過を防止する。その通気装置は、液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を備えている。その多孔質複合体通気要素は、第一面およびその第一面の反対側に第二面を有する多孔質膜を有し、そして非多孔質の表面層が、多孔質膜の第一面に取り付けられて、液体暴露面を形成する。前記多孔質複合体通気要素の液体暴露側が液体に暴露された後の空気流回復率は、前記多孔質複合体通気要素の第二面が液体に暴露された後の空気流回復率より勝っている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】通気装置の断面図を示す。
【図2】液密囲いの開口に取り付けられた多孔質複合体の断面図を示す。
【図3】支持層に疎油性コーティングを取り付けた多孔質複合体の断面図を示す。
【図4】例1で製造した多孔質複合体の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図5】例2で製造した多孔質複合体の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図6】例1で製造した多孔質複合体の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図7】例5で製造した多孔質複合体の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図8】非多孔質不連続表面層の表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図9】多孔質膜の両面に非多孔質不連続表面層を有する多孔質複合体の断面図を示す。
【図10】液密囲いの開口の上に取り付けられた多孔質複合体の断面図を示す。
【図11】空気流回復率の試験装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載の多孔質複合体物品は、通気用材料として有用である。これらの物品は、低表面張力の粘性流体に暴露された後でも、空気を流動させる。用語「低表面張力の粘性流体」は、本明細書で使用する場合、粘度が50 cP(センチポワズ)より大で表面張力が35 mN/m未満の流体を意味する。かような流体を含む用途では、これらの多孔質複合体物品が、既知の通気材料の欠点を克服する。
【0010】
いくつかの通気の用途では、多孔質複合体が、低表面張力の粘性液体に暴露された後、気体透過性であることが必要である。液体に暴露された後の空気の流動は、以後、空気流の回復と呼称する。かような液体に暴露された後の空気流の回復が大きい材料は特に有益である。本明細書に記載されている多孔質複合体物品は、低表面張力の粘性液体に暴露された後に、優れた空気流の回復を示す。
【0011】
上記多孔質複合体物品は通気装置に利用することができる。通気装置は通気を可能にする開口を有する通気本体を備えていてよい。その本体に多孔質複合体を取り付けて、開口に液密で気体透過性のシールを形成することができる。通気装置は液密の囲いにも利用できる。用語「液密」は、本願で使用する場合、少なくとも0.5 psiの水浸入圧に漏洩することなく耐えることができるシールまたは囲いを意味する。その例としては、液体を封入する容器、またはコンピュータのディスクドライブ、自動車のエンジン制御装置もしくは自動車のヘッドランプの電子機器囲いがある。
【0012】
図1に示すように、通気装置40は、気体の流路45と通気要素43を有する通気本体42を備えていてよい。その通気要素43は流路45の気体透過性液密シールを形成することができる。
【0013】
通気本体42は、差込み部品、キャップ部品または成形部品の形状であってもよい。別の面では、図2に示すように、囲いに、通気本体が組み込まれていてもよい。簡単な形状では、囲いは、多孔質複合体通気材料でシールされた開口を備えていて、通気が行われてもよい。
【0014】
通気本体は、好ましくはポリマー材料で構築され、その結果、多孔質複合体物品を本体にヒートシールすることを含む工程を容易に簡単なものにする。この通気本体は、各種の形状で構築されて、囲いに対していずれの方向に(垂直の、水平のまたは角度をなして傾斜した方向)設置されてもよい。通気本体を囲いに取り付ける手段は、意図する通気用途によって決まる。代表的な取り付け手段としては、締り嵌め、ねじまたは接着剤がある。したがって、通気本体に、突刺、ねじなどを組み入れて取り付けを改善できる。
【0015】
図3に見られるように、その多孔質複合体物品20は、細孔23を有する多孔質膜22、その多孔質膜に取り付けられた非多孔質不連続表面層24および疎油性を付与するコーティング28で構成されていてよい。その非多孔質不連続表面層24は、多孔質膜の細孔23の少なくともいくつかを閉塞するが、気体透過性の領域を提供する離れて分布した開口29を有する。その非多孔質不連続表面層によって、低表面張力の粘性流体に暴露された後の、複合体の空気流回復率が改善される。この多孔質複合体は、その複合体のオイルレイティング(oil rating)が約2より大きくなるようなポリマーコーティング28を適用することによって疎油性にすることができる。
【0016】
図4〜7は、代表的な多孔質複合体の走査型電子顕微鏡の写真(SEM)である。その多孔質膜22は多数の細孔23を含む構造を有している。その多孔質膜は、その膜を気体透過性にする細孔を有するいかなる多孔質材料であってもよい。多孔質膜としては、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、酢酸セルロース、ポリカーボネート、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、および好ましくは延伸PTFEの膜が挙げられる。Goreの米国特許第3,953,566号の教示に従って製造される延伸PTFE膜が特に有用である。これらの多孔質膜は、一軸方向、二軸方向または半径方向に延伸することができる。
【0017】
非多孔質不連続表面層24は、多孔質膜22に取り付けられて、多孔質膜22の細孔23の少なくともいくつかを、膜の表面において閉鎖する不連続表面を提供することができ、その結果、その多孔質複合体の表面は、気体透過性の領域と気体不透過性の領域を有している。非多孔質不連続表面層24は、限定されないが、熱可塑性材料、熱硬化性材料およびエラストマー材料を含む広範囲の材料で作ることができる。熱可塑性材料が好ましく、熱可塑性材料としては、限定されないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロアルキルビニルエーテルのコポリマー(PFA)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、およびTHV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンのポリマー)が挙げられる。FEPまたはPFAなどのフッ素化熱可塑性材料が特に好ましい。
【0018】
図4と5に示す一実施態様では、非多孔質不連続表面層24は、PTFEテープに積層され次いで同時に延伸されたフッ素化熱可塑性材料である。そのフッ素化熱可塑性材料は、延伸されると、破断して多数の不連続の裂け目26を形成する。図8に示す別の実施態様では、非多孔質不連続表面層24は、小孔25を有する非多孔質被膜27を含んでいる。この孔あき被膜を多孔質膜層に取り付けて、多孔質複合体を形成する。
【0019】
図7に示す別の実施態様では、非多孔質不連続表面層24は、熱可塑性材料のコーティングを含んでいる。そのコーティングは、多孔質膜22上に開口29を有する非多孔質不連続表面層24を形成している。このコーティングはいくつかの細孔23を閉塞して、多孔質複合体の表面に気体不透過性の領域を生成する。
【0020】
その多孔質複合体は、疎油性にすることができるので、低表面張力の粘性流体に対する耐性を必要とするいくつかの通気用途に利用できる。この用途に使用する場合、用語「疎油性」は、AATCC Test Method 118-2002のオイルレイティングが約2より大きい物品を意味する。例えば、多孔質複合体は、米国特許第5,116,650号に記載されているようなペルフルオロジオキソールポリマーの溶液でコートできる。このコーティングは、多孔質複合体の要素の少なくとも一つに、これら要素を合わせて取り付ける前に適用してもよい。例えば、多孔質膜は、この膜に非多孔質不連続層を取り付けるかまたは適用する前に、コーティング溶液で処理して疎油性を付与することができる。
【0021】
非多孔質表面層は、積層し次いで同時に延伸する方法で形成できる。非多孔質熱可塑性被膜を、PTFEに積層し次いで延伸して、ePTFE膜およびフッ素化熱可塑性材料を含む非多孔質不連続表面層の複合体を形成できる。この方法では、熱可塑性被膜の破断が起こって、図4と5に示すような裂け目26を作ることができる。この熱可塑性材料は、ePTFEとその熱可塑性材料を、熱可塑性材料の溶融温度を超えて加熱したローラーまたはプレートなどの表面を通過させて結合させることによって、ePTFEに積層できる。次に、これら結合させた層を一軸方向、二軸方向または半径方向に延伸して熱可塑性表面に裂け目を形成させることができる。この実施態様におけるポリマーの非多孔質不連続表面層24は、厚さが0.5マイクロメートルと薄くてもよい。好ましい実施態様では、FEPをPTFEに積層し次いでその積層体を延伸して多孔質複合体を形成する。
【0022】
図8によれば、非多孔質不連続表面層24は、非多孔質被膜に小孔をあけ次いでそれを多孔質膜に結合させることによって形成することもできる。この好ましい非多孔質不連続表面層はポリマー層であり、FEPまたはPFAなどのフッ素化熱可塑性被膜層を含んでいてもよい。その非多孔質ポリマー被膜層は、限定されないが、機械的穿孔法またはレーザードリリング法を含む従来法を使って小孔をあけることができる。好ましい方法はレーザードリリング法である。次いで、その小孔をあけられた非多孔質不連続表面層は、限定されないが、ホットロール積層法、接着結合法または超音波結合法を含む従来法によって、多孔質膜に取り付けることができる。別の一面では、小孔をあけた非多孔質被膜をPTFEに取り付けて、次に延伸することができる。
【0023】
図8に示す実施態様では、厚さが12.5マイクロメートルのFEPシートに、Universal Laser Systems Inc.(米国アリゾナ州スコッツデール所在)の50 Wのレーザー機械を使用して小孔をあけた。その小孔25は直径が0.76 mmで、その小孔の中心間距離は1.02 mmであった。次いで、その小孔をあけたFEP層を、多孔質ePTFE膜に結合させて多孔質複合体を形成できる。
【0024】
形状または製造方法の如何にかかわらず、上記非多孔質不連続表面層は、多孔質膜層の上に表面を形成し、多孔質膜の細孔のいくつかが閉塞される。したがって、その非多孔質不連続表面層は開口付きの不連続表面を有し、その結果、多孔質複合体は気体透過性の領域と気体不透過性の領域を有する。非多孔質不連続表面層の開口の大きさと形状は様々に変えることができる。
【0025】
多孔質複合体物品は、通気囲いの通気要素として使用できる。その通気要素は、液体を入れるかまたは除くため、囲いに液密シールを形成するのに有利に使用できる。この通気要素は、気体の膨張、化学薬剤の脱ガスなどのために必要な気体透過性を提供する。図2に示すように、通気装置40は、液体暴露側41とその反対側47を有するように構築することができる。非多孔質不連続表面層24は、多孔質膜22の上に配置されて、多孔質複合体20の液体暴露側41を形成してもよい。その液体暴露側41は、液体38が入っている囲い32の内部に向けることができる。液体が入っているこれらの用途(例えば液体洗剤の容器)では、その多孔質複合体は気体透過性を提供する。その気体透過性によって、熱サイクルが原因の囲いの変形または破裂を防止でき、あるいは液体の脱ガスを実施できる。液体の侵入を防止しなければならない図10に示す別の実施態様では、液体暴露側41は、囲い32の外側に向けることができる。反対側47は、囲いの内側に向いている。かような用途(例えば電子機器の囲いまたは照明の囲い)では、多孔質複合体は、液体が囲いに侵入するのを防ぎながら気体透過性を提供できる。図9に図式的に示すさらに別の構造では、多孔質複合体の両側を、液体暴露側として構築することができる。
【0026】
好ましくは、液体暴露側の空気流回復率は、反対側の空気流回復率より少なくとも1.1%高い。より好ましくは、液体暴露側の空気流回復率は、反対側の空気流回復率より少なくとも5%高い。多孔質複合体が二つの液体暴露側を有している実施態様では、多孔質複合体の空気流回復率は、多孔質膜単独の空気流回復率より少なくとも約5%高いことが好ましい。
【0027】
一実施態様では、多孔質疎油性複合体の空気流回復率は、複合体の液体暴露側が低表面張力の粘性流体に暴露されたときに少なくとも約33%とすることができる。この複合体の空気流回復率は、反対側が同じ低表面張力の粘性流体に暴露されたときに0%である。より好ましくは、多孔質複合体の空気流回復率は、その液体暴露側が低表面張力の粘性流体に暴露されたときに少なくとも約50%である。この複合体の空気流回復率は、反対側が同じ低表面張力の粘性流体に暴露されたときに0%である。
【0028】
別の実施態様では、多孔質複合体の空気流回復率は、その液体暴露側が低表面張力の粘性流体に暴露されたときに4%である。多孔質複合体の空気流回復率は、反対側が同じ低表面張力の粘性流体に暴露されたときに0.4%である。より好ましくは、多孔質複合体の空気流回復率は、その複合体の液体暴露側が低表面張力の粘性流体に暴露されたときに12%である。多孔質複合体の空気流回復率は、反対側が同じ低表面張力の粘性流体に暴露されたときに0.1%である。
【0029】
多孔質複合体は積層体として構築できる。その積層体は、図3に示すように、多孔質複合体20を支持層30の上に支持することによって、製造することができる。支持層30は、図10に示すように、構造を支持しており、さらに、多孔質複合体20を通気囲い32に取り付けるのにも役立つ場合もある。適切な支持層は、編物、不織布、スクリム、メルトブローン、織布、メッシュ、フォーム、多孔質ePTFE膜などの空気透過性媒体の形態であってよい。支持層は、例えば、ホットロール積層法、接着剤または超音波接合法によって、多孔質複合体に取り付けることができる。支持層は、多孔質複合体の両面に取り付けることもできる。
【0030】
本発明を、さらに、下記の非限定の諸実施例について説明する。
【0031】
試験方法
密度
2.54 cm×15.24 cmの長方形断片に打ち抜いた試料の質量(Mettler-Toledo analytical balance model AG204を使用)と厚さ(Kafer FZ1000/30 snap guageを使用)を測定した。これらのデータを利用し、下記式で密度を計算した。
ρ=m/(w×l×t)
上記式中、ρ=密度(g/cc);m=質量(g);w=幅(cm);l=長さ(cm);およびt=厚さ(cm)である。
【0032】
多孔率
多孔率は、百分率で表現し、物品の密度(先に記載)をPTFEのかさ密度で割り算して得た商を1から引き算し、その値に100%を掛け算することによって決定した。この計算を行うため、PTFEのかさ密度を2.2 g/ccにした。
【0033】
空気流回復率
図11と11aは空気流回復率の試験に使用する装置を示す。通気材料100を、上プレート102と下プレート104の間に封止する。各プレートは、直径2.54 cmのオリフィスを有している。上プレートには、液体ウエル106が組み込まれている。通気材料100は、ガスケット108とちょうねじ110を使って、これらプレート間に固定する。次に、上記組み付けたプレートを、アダプター300に、クランプ302、ちょうねじ304およびガスケット306によって固定する。アダプター300は、空気チャンバー301とこのチャンバーに空気を送るチャネル310を備えている。Telydyne Genuine Gurley(商標)tester(Model Number 4110)を、アダプター300の入口312に、ガスケット308を使って取り付ける。
【0034】
試料に、100 cm3の空気を、水圧12.4 cmで送り、流動時間を秒で記録する。この測定値は、流体が接触する前のガーレイ数(秒)である。
【0035】
次いで、プレートをアダプターから取り外し、次にその通気材料の全表面が試験流体で覆われるように液体ウエル106を満たすことによって、試験流体に暴露させる。これは、全量ピペットを使って、試験流体約2〜3 cm3をウエル106に添加することによって実施できる。60秒後、そのプレート組立て物を、90°傾ける。通気材料から、液体を60秒間排出させる。次にそのプレートをTelydyne Genuine Gurley(商標)tester(Model Number 4110)に取り付けられているアダプター300に固定する。
【0036】
100 cm3の空気を、試料を通じて水圧12.4 cmで流動させて、流動時間を秒で記録する。この測定値は流体が接触した後のガーレイ数(秒)である。この試験で10分後に空気の流動が始まらなかった場合は、試験を中止して、試料は回復しないとみなし空気流動が回復しないとしてNRで表す。次いで、空気流回復率を、下記式を使って決定する。
空気流回復率(%)=[流体が接触する前のガーレイ数(秒)
/流体が接触した後のガーレイ数(秒)]×100
【0037】
水浸入圧
用語「水浸入圧」は、本願で使用する場合、本明細書に含まれている試験法に記載されているように、膜などの材料を通じて水を移動させるのに必要な圧力を意味する。水侵入圧は、膜または通気本体を通過する水の浸入の試験方法を提供する。膜(または通気本体)を、器具の中に入れて水で加圧する。加圧されてない側の膜(または通気本体)の頂部に、一枚のpH試験紙を、水浸入の証拠を示すものとして配置してもよい。次いで試料をpH試験紙の色の変化が水浸入の最初の兆候を示すまで少しずつ圧力を増やしながら加圧する。漏出時すなわち侵入時の水圧を、水浸入圧として記録する。
【0038】
バブルポイント
バブルポイントと平均流動孔サイズは、Capillary Flow Porometer(米国ニューヨーク州イサカ所在のPorous Materials Inc.のModel CFP 1500 AEXL)を使用して、ASTM F31 6-03の一般的教示に従って測定した。試料の膜を、試料チャンバー内に入れて、表面張力が19.1ダイン/cmのSilWick Silicone Fluid(Porous Materials Inc.から入手できる)で濡らした。試料チャンバーの下部クランプは、直径が2.54 cm、厚さが3.175 mmの多孔質金属ディスクインサート(米国コネティカット州ファーミントン所在のMott Metallurgical、40マイクロメートル多孔質金属ディスク)を有し、そして試料チャンバーの上部クランプには直径が3.175 mmの穴があった。Capwin software version 6.62.1を使用して、下記パラメータを、下記表に記載したように設定した。バブルポイントおよび平均流動細孔サイズとして示された値は、二つの測定値の平均値である。
【0039】
【表1】
【0040】
オイルレイティング
オイルレイティングの試験を、AATCC Test Method 118-2002に従って実施した。膜のオイルレイティング値は、膜の両面を試験して得た二つのレイティング値のうち小さい方である。
【0041】
表面張力
被検流体の表面張力は、Whilhelmy plate methodを利用し、Kruss K12 tensiometerを使って測定した。Kruss Laboratory Desktop Software Version 2.13aを使用した。Whilhelmy plateの浸漬は、火炎処理ガラスのカバースリップ(flamed glass cover slips)を用いソフトウェアの初期設定の浸漬パラメータで実施した。
【0042】
粘度
粘度はUL小容積スピンドルとチューブアクセサリー付きのBrookfield DVII+viscometerを使って測定した。温度22.5℃、30 RPMおよびせん断速度36.7 second-1における粘度を、センチポワズ(cp)の単位で報告してある。トルクで許容される最大RPMで予め回転させた試料を30 RPMで5分間回転させた後に、粘度を読み取った。
【0043】
被検流体
二つの代表的な被検流体を配合し、流体暴露後の空気流回復率の試験に利用した。これら流体の特性は下記表に列挙してある。被検流体Iは、オイルレイティング値が約2より大きい疎油性物品に使用した。被検流体IIは、疎水性物品に使用した。
【0044】
被検流体Iは下記方法で調製した。
PVP(ポリビニルピロリドン、Sigma-Aldrich Chemical, Catalog Number 437190-500G, 分子量=1,300,000, CAS Number 9003-39-8)を脱イオン水に溶解した溶液を、これら成分を混合し、一夜、撹拌することによって調製した。Tergitol(登録商標)TMN6(Dow Chemical, CAS Number 60828-78-6)を添加し、その溶液を約1時間撹拌した後、直ちに試験に使用した。
【0045】
被検流体IIは下記方法で調製した。
Tween(登録商標)(Mallinckrodt Baker, Inc., Catalog Number X257-07, CAS number 9005-65-6)を脱イオン水に溶解した溶液を、これら2成分を混合して一夜撹拌することによって調製した。グリセリン(Ultra Pure Grade, MP Biomedicals, Catalog Number 800688)を添加し、その溶液を約1時間撹拌した後、直ちに試験に使用した。
【0046】
【表2】
【実施例】
【0047】
例1
PTFEポリマーの微粉末(米国ニューヨーク州オレンジバーグ所在のDaikin Industries, Ltd.)を、この微粉末1 g当たり0.25 gの比率のIsopar K(米国バージニア州フェアファックス所在のExxon Mobil Corp.)と混合した。その潤滑にされた粉末をシリンダー中に圧入してペレットを製造し、25℃に設定したオーブン中に約24時間入れた。圧縮され加熱されたペレットをラム押出しして、幅が約29 cmで厚さが0.635 mmのテープを製造した。次いでそのテープを、圧縮ロール間で圧延して厚さ0.20 mmにした。次いでそのテープを、250℃に設定したオーブン内で乾燥した。その乾燥PTFEテープと厚さ12.5μmのFEPフィルムを重ねて、300℃の温度に設定した二つの加熱プレート上のロールのバンク間で縦方向に延伸した。ロールの第二バンクとロールの第一バンクの間の速度比、したがって、第一プレート上の延伸比は1.15:1であった。ロールの第三バンクとロールの第二バンクの間の速度比、したがって第二プレート上の延伸比は1.15:1であった。次に、そのFEPを積層されたPTFEの複合体テープを、320℃の温度に設定された熱風オーブンに通して、5:1の比率で縦方向に延伸した。PTFEテープに結合されたFEPフィルムは、溶融してその二つの層が延伸されると、FEPフィルムに裂け目が生成した。次に、その縦方向に延伸された複合体を、360℃の温度に設定された熱風オーブンに通して熱処理した。次いで、その複合体を、約370℃の温度で横方向に、約7:1の比率で延伸し、次に、370℃に設定したオーブン中に約24秒間滞留させて熱処理した。
【0048】
このようにして製造した多孔質複合体は、バブルポイントが6.9 psiであった。この複合体の両面の、被検流体IIに対する空気流回復率を試験した。試験結果を表Iに示す。
【0049】
上記複合体を、下記手順に従って処理して疎油性にした。0.25質量%のTeflon(登録商標) AF 1600(米国デラウエア州ウイルミントン所在のDupont Fluoroproducts)をPF-5070 Brand Performance Fluid(CAS Number 86508-42-1, 3M)に添加し、その流体を一夜混合することによって、溶液を調製した。複合体の試料を、丸枠(直径15.2 cm)にぴんと張って保持した。次に、ピペットを使って、上記溶液5〜6 cm3を、複合体試料の液体暴露側に塗布した。複合体試料を傾斜させ回転させて、前記溶液を試料に完全に飽和させた。この時点で、試料は透明になり、全体が濡れて見えた。その丸枠を、直ちにフード中に垂直に吊り下げて、一夜乾燥させた。次に、その疎油性複合体の両面の空気流回復率を、被検流体Iを使って試験した。得られた試験結果を表Iに示す。オイルレイティングの測定値は5であった。
【0050】
【表3】
【0051】
例2
PTFEポリマーの微粉末(米国ニューヨーク州オレンジバーグ所在のDaikin Industries, Ltd.)を、この微粉末1 g当たり0.196 gの比率のIsopar K(米国バージニア州フェアファックス所在のExxon Mobil Corp.)と混合した。その潤滑にされた粉末をシリンダー中に圧入してペレットを製造して、70℃に設定したオーブン中に約12時間入れた。圧縮され加熱されたペレットをラム押出しして、幅が約15.2 cmで厚さが0. 73 mmのテープを製造した。テープの別個の二つのロールを作製し、これらテープを圧縮ロール間で重ねて厚さ0.254 mmにした。そのテープを、次に、横方向に56 cm(すなわち3.7:1の比率で)延伸し、次いで250℃に設定したオーブン中で乾燥した。その乾燥したテープを、温度340℃に設定した加熱プレート上のロールのバンク間で縦方向に延伸した。前記PTFEテープに厚さ12.5マイクロメートルのFEPフィルムを重ねた後に、上記プレート上で延伸した。ロールの第二バンクとロールの第一バンクの間の速度比、したがって延伸比は14:1であった。PTFEテープに結合させたFEPフィルムを溶融させて二つの層を延伸すると、FEPフィルムに裂け目が生成した。この縦方向に延伸された複合体を、次に、約350℃の温度にて、約20:1の比率で横方向に延伸し、次いで380℃に設定したオーブン中で約24秒間滞留させて加熱した。
【0052】
このようにして、製造した多孔質複合体は、バブルポイントが30 psiであった。その複合体の両面について、被検流体IIに対する空気流回復率を試験した。試験結果を表IIに示す。
【0053】
上記複合体を、以下の手順に従って処理して疎油性にした。0.25質量%のTeflon(登録商標) AF 1600(米国デラウエア州ウイルミントン所在のDupont Fluoroproducts)をPF-5070 Brand Performance Fluid(CAS Number 86508-42-1, 3M)に添加し、その流体を一夜混合することによって、溶液を調製した。複合体の試料を、丸枠(直径15.2 cm)にぴんと張って保持した。次に、ピペットを使って、上記溶液5〜6 cm3を、複合体試料の液体暴露側に塗布した。複合体試料を傾斜させ回転させて、前記溶液を試料に完全に飽和させた。この時点で、試料は透明になり、全体が濡れて見えた。その丸枠を、直ちにフード中に垂直に吊り下げて、一夜乾燥させた。次に、その疎油性複合体の両面の空気流回復率を、被検流体Iを使って試験した。得られた試験結果を表IIに示す。オイルレイティングの測定値は6であった。
【0054】
【表4】
【0055】
例3
PTFEポリマーの微粉末(米国ニューヨーク州オレンジバーグ所在のDaikin Industries, Ltd.)を、この微粉末1 g当たり0.25 gの比率のIsopar K(米国バージニア州フェアファックス所在のExxon Mobil Corp.)と混合した。その潤滑にされた粉末をシリンダー中に圧入してペレットを製造し、25℃に設定したオーブン中に約24時間入れた。圧縮され加熱されたペレットをラム押出しして、幅が約29 cmで厚さが0. 635 mmのテープを製造した。次いでそのテープを、圧縮ロール間で圧延して厚さ0.20 mmにした。次いでそのテープを、250℃に設定したオーブン内で乾燥した。その乾燥PTFEテープと厚さ12.5μmのPFAフィルムを重ねて、320℃の温度に設定した二つの加熱プレート上のロールのバンク間で縦方向に延伸した。ロールの第二バンクとロールの第一バンクの間の速度比、したがって第一プレート上の延伸比は1.15:1であった。ロールの第三バンクとロールの第二バンクの間の速度比、したがって第二プレート上の延伸比は1.15:1であった。次に、そのPFA/PTFEテープ積層体を320℃の温度に設定された熱風オーブンに通して、8:1の比率で縦方向に延伸した。次に、その縦方向に延伸された複合体を、360℃の温度に設定された熱風オーブンに通して熱処理した。その複合体を、次いで、約380℃の温度で横方向に、約2.4:1の比率で延伸し、次に、380℃に設定したオーブン中に約24秒間滞留させて熱処理した。
【0056】
このようにして製造した多孔質複合体は、バブルポイントが0.5 psiであった。この複合体の両面の、被検流体IIに対する空気流回復率を試験した。試験結果を表III に示す。
【0057】
上記複合体を、下記手順に従って処理して疎油性にした。0.25質量%のTeflon(登録商標) AF 1600(米国デラウエア州ウイルミントン所在のDupont Fluoroproducts)をPF-5070 Brand Performance Fluid(CAS Number 86508-42-1, 3M)に添加し、その流体を一夜混合することによって、溶液を調製した。前記複合体の試料を、丸枠(直径15.2 cm)にぴんと張って保持した。次に、ピペットを使って、上記溶液5〜6 cm3を、複合体試料の表面の液体暴露側に塗布した。その複合体試料を傾斜させ回転させて、前記溶液を試料に完全に飽和させた。この時点で、試料は透明になり、全体が濡れて見えた。その丸枠を、直ちにフード中に垂直に吊り下げて、一夜乾燥させた。次に、その疎油性複合体の両面の被検流体Iに対する空気流回復率を検査した。得られた試験結果を表III に示す。オイルレイティングの測定値は6であった。
【0058】
【表5】
【0059】
例4
厚さ12.5マイクロメートルのFEPシートに、Universal Laser Systems Inc.(米国アリゾナ州スコッツデール所在)由来の50 Wレーザー機を使って小孔をあけた。その小孔の大きさは直径0.76 mmで、小孔の中心間距離は1.02 mmであった。この小孔をあけたFEPシートを、ePTFE膜(厚さ22.8マイクロメートル、密度0.39 g/cm3およびバブルポイント8 psi)に、コポリエステルのウエブ(Spunfab, Inc., Product Number PE2900-0.6-45W)を接着剤層として使用し積層した。これらの材料は、次の条件すなわち160℃、60 psi、3秒間をで、ヒートプレス(米国マサチューセッツ州所在のGeo. Knight & Co.)内で積層した。この複合体について、被検流体IIを使って空気流回復率を評価した。試験結果を表IVに示す。
【0060】
【表6】
【0061】
例5
5 gのFEP粉末(DuPontのProduct Number 532-8000)を、47.5 gの2-プロパノール(IPA)と47.5 gのHFE-7500(3M NOVEC(商標)Engineered Fluid)の混合物に添加した。その分散液を、透明溶液が生成するまで、数時間撹拌した。厚さ106マイクロメートル、多孔率64%および密度0.78 g/ccのePTFE膜を、連続浸漬コーティング法を利用して、上記溶液でコートした。この工程において、前記ePTFE膜を、第一ローラーに通し、次に第二浸漬ローラーを使って、前記コーティング溶液が入っている浴に通した。このコーティングステップの後、その膜を換気フード内で、室温にて4時間乾燥した。その膜の表面にFEP粒子の薄い層を乗せた。その粒子を溶融させるため、そのコートされた膜をテンターフレーム(tenter frame)に固定して、温度320℃の焼結オーブン中に5分間入れた。このようにして製造された多孔質複合体は、図7に示すような非多孔質不連続表面層を備えていた。溶媒PF-5070(CAS Number 86508-42-1, 3M)に0.75質量%のTeflon(登録商標) AF 1600(DuPont Fluoroproducts、米国デラウエア州ウイルミントン所在)を溶解して得た溶液でコートすることによって、上記多孔質複合体を疎油性にし、次いで換気フード内で室温にて6時間乾燥した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)貫通して延びる多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜、
(b)前記多孔膜に取り付けられ、気体透過性の領域を形成する裂け目を有する非多孔質不連続表面層、および
(c)その上に配置されたコーティング
を含む多孔質複合体であって、当該多孔質複合体の少なくとも一部が疎油性にされている、多孔質複合体。
【請求項2】
前記多孔質膜が延伸PTFEを含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項3】
前記微細多孔質膜がUHMWPEを含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項4】
前記不連続表面層の厚さが5μm未満である、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項5】
前記非多孔質不連続表面層が熱可塑性材料を含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項6】
前記非多孔質不連続表面層がフッ素プラスチックを含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項7】
前記非多孔質不連続層がFEPを含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項8】
オイルレイティングが約2より大きい、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項9】
支持層に積層されている、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項10】
前記支持層が不織布を含む、請求項9に記載の多孔質複合体。
【請求項11】
前記支持層が延伸PTFE膜を含む、請求項9に記載の多孔質複合体。
【請求項12】
囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を備え、かつ前記液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を含む通気装置であって、前記多孔質複合体通気要素が、
a)貫通して延びる多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜、および
b)前記多孔質膜に取り付けられ、かつ裂け目を有しその結果その裂け目に対応する気体透過性の領域を含む非多孔質不連続表面層
を有する、通気装置。
【請求項13】
通気要素が液体の方に向いた液体暴露側を有し、その液体暴露側が前記非多孔質不連続表面層を含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項14】
多孔質複合体通気要素が内側面と外側面を有し、その内側面と外側面が、前記非多孔質不連続表面層を含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項15】
前記多孔質膜が延伸PTFEを含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項16】
前記多孔質膜がUHMWPEを含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項17】
前記非多孔質不連続表面層が熱可塑性材料を含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項18】
前記非多孔質不連続表面層がフッ素プラスチックを含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項19】
前記非多孔質不連続表面層がFEPを含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項20】
前記多孔質複合体のオイルレイティング値が約2より大きい、請求項12に記載の通気装置。
【請求項21】
前記多孔質複合体が、支持層に積層されている、請求項12に記載の通気装置。
【請求項22】
囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を備え、かつ前記液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を含む通気装置であって、前記多孔質複合体通気要素が、
a)貫通して延びる多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜、および
b)前記多孔質膜をコートしかつ細孔の少なくともいくつかを閉塞する非多孔質不連続表面
を含み、その結果、多孔質複合体の表面が気体透過性領域と気体不透過性領域を有する、通気装置。
【請求項23】
前記非多孔質不連続表面層が熱可塑性材料を含む、請求項22に記載の多孔質複合体。
【請求項24】
前記非多孔質不連続表面層がフッ素プラスチックを含む、請求項22に記載の多孔質複合体。
【請求項25】
前記非多孔質不連続表面層がFEPを含む、請求項22に記載の多孔質複合体。
【請求項26】
内側空間と外側空間を画定する囲いの通気を行う開口を備え、その内側空間と外側空間の間の液体の通過を防止する通気装置であって、当該通気装置は、前記開口の液密で気体透過性のシールを形成しかつ液体に隣接する液体面を有する多孔質複合体通気要素を含み、前記多孔質複合体通気要素が、
a)貫通して延びる多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜、および
b)前記多孔質膜の液体面の少なくとも一部を覆い、細孔の少なくともいくつかを閉塞しかつ開口を有する非多孔質不連続表面
を含み、その結果、前記多孔質複合体の表面が気体透過性領域と気体不透過性領域を有する、通気装置。
【請求項27】
前記微細多孔質複合体通気要素が、さらに疎油性コーティングを含む、請求項26に記載の通気装置。
【請求項28】
前記微細多孔質膜層が延伸PTFEである、請求項26に記載の通気装置。
【請求項29】
前記微細多孔質膜層がUHMWPEである、請求項26に記載の通気装置。
【請求項30】
前記非多孔質不連続表面層が熱可塑性材料を含む、請求項26に記載の通気装置。
【請求項31】
前記非多孔質不連続表面層がフッ素ポリマーを含む、請求項26に記載の通気装置。
【請求項32】
前記非多孔質不連続表面層がFEPを含む、請求項26に記載の通気装置。
【請求項33】
前記多孔質複合体の表面が、気体透過性の領域と気体不透過性の領域を有し、気体透過性:気体不透過性の面積比率が0.2:1以下である、請求項26に記載の通気装置。
【請求項34】
前記非多孔質不連続表面層の厚さが5μm未満である、請求項26に記載の多孔質複合体。
【請求項35】
囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を有する通気装置であって、当該通気装置は、前記液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を含み、前記多孔質複合体通気要素が、第一面およびその第一面の反対側の第二面を有する多孔質膜と、その多孔質膜の第一面に取り付けられて複合体通気要素の液体暴露面を形成する非多孔質表面層とを含み、その結果、前記多孔質複合体通気要素の液体暴露面が液体に暴露された後の空気流回復率が、前記多孔質複合体通気要素の第二面が液体に暴露された後の空気流回復率より大きい、通気装置。
【請求項36】
前記複合体の液体暴露面が液体に暴露された後の空気流回復率が、前記複合体の第二面が液体に暴露された後の空気流回復率より5%を超えて大きい、請求項35に記載の通気装置。
【請求項1】
(a)貫通して延びる多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜、
(b)前記多孔膜に取り付けられ、気体透過性の領域を形成する裂け目を有する非多孔質不連続表面層、および
(c)その上に配置されたコーティング
を含む多孔質複合体であって、当該多孔質複合体の少なくとも一部が疎油性にされている、多孔質複合体。
【請求項2】
前記多孔質膜が延伸PTFEを含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項3】
前記微細多孔質膜がUHMWPEを含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項4】
前記不連続表面層の厚さが5μm未満である、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項5】
前記非多孔質不連続表面層が熱可塑性材料を含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項6】
前記非多孔質不連続表面層がフッ素プラスチックを含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項7】
前記非多孔質不連続層がFEPを含む、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項8】
オイルレイティングが約2より大きい、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項9】
支持層に積層されている、請求項1に記載の多孔質複合体。
【請求項10】
前記支持層が不織布を含む、請求項9に記載の多孔質複合体。
【請求項11】
前記支持層が延伸PTFE膜を含む、請求項9に記載の多孔質複合体。
【請求項12】
囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を備え、かつ前記液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を含む通気装置であって、前記多孔質複合体通気要素が、
a)貫通して延びる多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜、および
b)前記多孔質膜に取り付けられ、かつ裂け目を有しその結果その裂け目に対応する気体透過性の領域を含む非多孔質不連続表面層
を有する、通気装置。
【請求項13】
通気要素が液体の方に向いた液体暴露側を有し、その液体暴露側が前記非多孔質不連続表面層を含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項14】
多孔質複合体通気要素が内側面と外側面を有し、その内側面と外側面が、前記非多孔質不連続表面層を含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項15】
前記多孔質膜が延伸PTFEを含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項16】
前記多孔質膜がUHMWPEを含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項17】
前記非多孔質不連続表面層が熱可塑性材料を含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項18】
前記非多孔質不連続表面層がフッ素プラスチックを含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項19】
前記非多孔質不連続表面層がFEPを含む、請求項12に記載の通気装置。
【請求項20】
前記多孔質複合体のオイルレイティング値が約2より大きい、請求項12に記載の通気装置。
【請求項21】
前記多孔質複合体が、支持層に積層されている、請求項12に記載の通気装置。
【請求項22】
囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を備え、かつ前記液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を含む通気装置であって、前記多孔質複合体通気要素が、
a)貫通して延びる多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜、および
b)前記多孔質膜をコートしかつ細孔の少なくともいくつかを閉塞する非多孔質不連続表面
を含み、その結果、多孔質複合体の表面が気体透過性領域と気体不透過性領域を有する、通気装置。
【請求項23】
前記非多孔質不連続表面層が熱可塑性材料を含む、請求項22に記載の多孔質複合体。
【請求項24】
前記非多孔質不連続表面層がフッ素プラスチックを含む、請求項22に記載の多孔質複合体。
【請求項25】
前記非多孔質不連続表面層がFEPを含む、請求項22に記載の多孔質複合体。
【請求項26】
内側空間と外側空間を画定する囲いの通気を行う開口を備え、その内側空間と外側空間の間の液体の通過を防止する通気装置であって、当該通気装置は、前記開口の液密で気体透過性のシールを形成しかつ液体に隣接する液体面を有する多孔質複合体通気要素を含み、前記多孔質複合体通気要素が、
a)貫通して延びる多数の細孔を画定する構造を有する多孔質膜、および
b)前記多孔質膜の液体面の少なくとも一部を覆い、細孔の少なくともいくつかを閉塞しかつ開口を有する非多孔質不連続表面
を含み、その結果、前記多孔質複合体の表面が気体透過性領域と気体不透過性領域を有する、通気装置。
【請求項27】
前記微細多孔質複合体通気要素が、さらに疎油性コーティングを含む、請求項26に記載の通気装置。
【請求項28】
前記微細多孔質膜層が延伸PTFEである、請求項26に記載の通気装置。
【請求項29】
前記微細多孔質膜層がUHMWPEである、請求項26に記載の通気装置。
【請求項30】
前記非多孔質不連続表面層が熱可塑性材料を含む、請求項26に記載の通気装置。
【請求項31】
前記非多孔質不連続表面層がフッ素ポリマーを含む、請求項26に記載の通気装置。
【請求項32】
前記非多孔質不連続表面層がFEPを含む、請求項26に記載の通気装置。
【請求項33】
前記多孔質複合体の表面が、気体透過性の領域と気体不透過性の領域を有し、気体透過性:気体不透過性の面積比率が0.2:1以下である、請求項26に記載の通気装置。
【請求項34】
前記非多孔質不連続表面層の厚さが5μm未満である、請求項26に記載の多孔質複合体。
【請求項35】
囲いの通気を行いかつ液体の通過を防止する開口を有する通気装置であって、当該通気装置は、前記液体に対する気体透過性バリヤーを形成する多孔質複合体通気要素を含み、前記多孔質複合体通気要素が、第一面およびその第一面の反対側の第二面を有する多孔質膜と、その多孔質膜の第一面に取り付けられて複合体通気要素の液体暴露面を形成する非多孔質表面層とを含み、その結果、前記多孔質複合体通気要素の液体暴露面が液体に暴露された後の空気流回復率が、前記多孔質複合体通気要素の第二面が液体に暴露された後の空気流回復率より大きい、通気装置。
【請求項36】
前記複合体の液体暴露面が液体に暴露された後の空気流回復率が、前記複合体の第二面が液体に暴露された後の空気流回復率より5%を超えて大きい、請求項35に記載の通気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11a】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11a】
【公表番号】特表2010−524744(P2010−524744A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506233(P2010−506233)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/005182
【国際公開番号】WO2008/133875
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/005182
【国際公開番号】WO2008/133875
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
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