説明

多官能性アジリジンで架橋された針状シリカ粒子を含有する感圧性接着剤

(メタ)アクリレートコポリマー及び多官能性アジリジン架橋剤で架橋された針状シリカ粒子を含むエマルションポリマーを含有する接着剤組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
感圧性接着剤(PSA)は、次のものを含む性質を有することが知られている:(1)強力かつ恒久的粘着性、(2)指圧以下での粘着性、(3)被着体への十分な保持力、及び(4)被着体からきれいに除去するための十分な貼着力。PSAsとして良好に機能することが分かっている材料としては、必須の粘弾性特性を示し、粘着、剥離接着、及び剪断保持力の所望のバランスをもたらすように設計並びに処方されたポリマーが挙げられる。PSAは、通常は、室温(例えば、20℃)で粘着性であることを特徴とする。PSAsは、ただそれらがべたっとした又は表面に粘着するためだけということで組成物を抱持しない。
【0002】
米国再発行特許第24,906号(ウルリッチ(Ulrich))は、感圧性接着テープを開示しており、その接着層は、アクリル酸エステル及びアクリル酸などの共重合性モノマーのコポリマーを含み、その中で「アクリル感圧性接着テープ(acrylic pressure-sensitive adhesive tape)」として記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アクリル感圧性接着剤テープは、許容可能な強度と良好な接着性を提供することができるが、接着性、特に剥離強度を全く低下させることなく、特に高温における更に高い剪断強度に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、(メタ)アクリレートコポリマー、多官能性アジリジン架橋剤、及び高いアスペクト比を有するシリカナノ粒子を含む接着剤組成物を目的とする。好ましくは、シリカナノ粒子は針状(針様)である。別の実施形態では、本発明は、(メタ)アクリレートコポリマーとシリカナノ粒子の水性エマルションを提供し、これをコーティングし、乾燥して感圧性接着剤物品を製造してもよい。ナノ粒子を添加することにより、接着剤のオーバーラップ剪断特性の有意な向上がもたらされる。有利なことに、本明細書に記載したアクリル感圧性接着による剪断特性の増加を観察するのに僅か少量のナノ粒子(接着剤(メタ)アクリレートコポリマーの重量に対して1〜8重量%)が必要とされる。更に、出願者らは、本接着性ポリマーにより、同一の粒径を有する球形状シリカナノ粒子に対し、針状シリカナノ粒子は凝集傾向を低減することを確認した。
【0005】
更に、多官能性アジリジンと針状ナノ粒子との混合物は、ナノ粒子成分のみ、又はアジリジン成分のみを有する同一の接着ポリマー組成物と比較して、剪断力測定値において相乗効果を示せることが判明している。
【0006】
環境的な理由のため、コーティングプロセスでは、揮発性有機溶媒(VOC’s)の使用からは遠ざかり環境に調和した水系材料に向かうことが望ましく、そのため、本発明は、エマルション(メタ)アクリレートコポリマー及びナノ粒子シリカゾルを含む水性接着剤を提供する。水性系は、コスト、環境、安全、及び規制の理由のため望ましい。水性系は、容易にコーティングすることができ、乾燥したとき、感圧性接着剤をもたらす。
【0007】
本明細書で使用する時、
「エマルション」は、1つ以上の界面活性剤により懸濁液中に保持された2つ又はそれ以上の不混和性液体の安定混合物を指し、より詳細には、本発明の重合性モノマー混合物、又は得られたポリマー、及び水との安定混合物を指し、
「ラテックス」は、ポリマーの水性懸濁液又はエマルションを指し、より詳細には、本発明のポリマーの水性エマルションを指し、
「水中油型エマルション」は、水が連続層を形成し、モノマー(油)が不連続液滴である混合物を指し、
水中油型エマルション中の「油相」は、水相中でのその溶解度の限界を個々に超える処方中の全ての成分を指し、これらは一般に、蒸留水中で1%未満の溶解度を有する材料であるが、塩などの水相成分は、特定の油の溶解度を低下させ油相中への分配をもたらすことができ、
水中油型エマルション中の「水相」は、存在する水及び水溶性である成分(すなわち、水中でのその溶解度の限界を超えない)を指し、
「(メタ)アクリレートモノマー」は、アルコールのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルであり、
本明細書で使用する時、用語「シリカゾル」は、液体中、典型的には水中における分離性非晶質シリカ粒子の分散を指す。
【0008】
「疎水性」は、本明細書で、水に対する実質的な親和性を欠いている、すなわち、室温において実質的に吸着しない又は吸着しないモノマーを示すのに使用される。
【0009】
シリカナノ粒子の文脈で「親水性」は、容易に水に分散されるようなナノ粒子を指す。モノマーの文脈でそれは、水に対する実質的な親和性を有するモノマーを指す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、
(a)
(i)90〜99重量部の、好ましくは90〜95重量部の、非三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステル(該アルコールは1〜14個の炭素原子を有し、好ましくは炭素原子の平均個数が約4〜約12個である)と、
(ii)1〜10重量部の、好ましくは2〜7重量部の酸官能性モノマーと、
(iii)0〜10重量部の第2の非酸官能性極性モノマーと、
(iv)0〜5重量部のビニルモノマーと、
(v)任意に、0.01〜1重量部の多官能性アクリレートと、を含むポリマーと、
(b)100重量部のポリマー(a)を基準として0.001〜1重量部の多官能性アジリジン架橋剤と、
(c)100重量部のポリマーを基準として1〜8重量部の、好ましくは2〜5重量部の針状シリカナノ粒子と、を含む感圧性接着剤を提供する。好ましくは、粒子は、9〜25nmの平均粒径と40〜300nmの長さとを有する。
【0011】
本発明は、7を超えるpHを有し、70〜30重量パーセントの(a)、(b)、及び(c)、並びに30〜70重量パーセントの水相を含む、水性エマルションを更に提供する。より詳細には、エマルションは、
(a)
(i)90〜99重量部の、好ましくは90〜95重量部の、非三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステル(該アルコールは1〜14個の炭素原子を有し、好ましくは炭素原子の平均個数が約4〜約12個である)と、
(ii)1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部の酸官能性モノマーと、
(iii)0〜10重量部の第2の非酸官能性極性モノマーと、
(iv)0〜5重量部のビニルモノマーと、
(v)任意に、0.01〜1重量部の多官能性アクリレートと、
(vi)0〜0.5重量部の連鎖移動剤、の反応生成物を含み、
(i)〜(vi)の合計が100重量部であるポリマーと、
(b)100重量部のポリマー(a)を基準として0.001〜1重量部の多官能性アジリジン架橋剤と、
(c)100重量部のポリマーを基準として1〜8重量部の、好ましくは2〜5重量部の針状シリカナノ粒子と、を含む。ナノ粒子は、好ましくは9〜25nmの平均粒径と40〜300nmの長さとを有し、
(d)エマルションの総重量を基準として、0.5〜約8重量パーセントの界面活性剤、好ましくはアニオン性界面活性剤を含む、30〜70重量パーセントの水相と、を有する。
【0012】
水相を最低限にしてそれによりラテックス乾燥中のエネルギーを保存するため、保管及び輸送コストを最小限とするため、及び製造所での生産性を最大限にするために、エマルションは、エマルションの総重量を基準として、好ましくは約50〜約65重量パーセントの(a+b+c)及び約35〜約50重量パーセントの水相、最も好ましくは約55〜約62重量パーセントの(a+b+c)及び約38〜約45重量パーセントの水相を含む。エマルションは、コーティング及び乾燥され、感圧性接着剤を製造することができる。
【0013】
接着ポリマーを調製するのに有用なアクリレートエステルモノマーは、1〜14個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子の平均を含有する非三級アルコールの疎水性モノマー(メタ)アクリル酸エステルである。
【0014】
アクリレートエステルモノマーとして用いるのに好適なモノマーの例として、非三級アルコール、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、イソオクチルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノールなどと、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルが挙げられる。いくつかの実施形態では、好ましいアクリレートエステルモノマーは、ブチルアルコール、イソオクチルアルコール、又はそれらの組み合わせを有するアクリル酸のエステルであるが、2つ又はそれ以上の異なるアクリレートエステルモノマーの組み合わせが好適である。
【0015】
アクリレートエステルモノマーは、好ましくは、ポリマーを調製するのに使用される100重量部の総モノマー含量を基準として90〜99重量部の量で存在する(すなわち、上記組成物のiからvの合計)。より好ましくは、アクリレートエステルモノマーは、90〜95重量部の量で存在する。
【0016】
ポリマーは更に、酸官能性モノマーを含み、ここで酸官能基は、カルボン酸などの本質的に酸、又はアルカリ金属カルボン酸塩などのその塩であってもよい。有用な酸官能性モノマーとしては、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和ホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。このような化合物の例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されたものが挙げられる。更により強酸を所望の場合、酸性モノマーとしては、エチレン性不飽和スルホン酸及びエチレン性不飽和ホスホン酸が挙げられる。
【0017】
それらの入手可能性のため、本発明の酸官能性モノマーは一般に、エチレン性不飽和カルボン酸、すなわち(メタ)アクリル酸から選択される。酸官能性モノマーは一般に、100重量部の総モノマーを基準として1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部の量で使用される。
【0018】
接着剤の調製に有用な極性モノマーは、油溶性及び水溶性の両方の性質をある程度有し、エマルション重合中の水相及び油相間に、極性モノマーの分配をもたらす。有用な第2の極性モノマーは、非酸官能性である。使用されるとき、極性モノマーは、100重量部の総モノマーを基準として1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部を含む。
【0019】
好適な極性モノマーの代表的な例としては、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカプロラクタム;アクリルアミド;モノ−又はジ−N−アルキル置換アクリルアミド;t−ブチルアクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド;N−オクチルアクリルアミド;2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシエトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含むポリ(アルコキシアルキル)アクリレート;ビニルメチルエーテルを含むアルキルビニルエーテル;及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。好ましい極性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びN−ビニルピロリドンからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0020】
使用する場合、アクリレートポリマーに有用なビニルモノマーとしては、ビニルエステル(例えば、ビニルアセテート、及びビニルプロピオネート)、スチレン、置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン)、ハロゲン化ビニル、及びこれらの混合物が挙げられる。そのようなビニルモノマーは一般に、100重量部の総モノマーを基準として0〜5重量部、好ましくは1〜5重量部で使用される。
【0021】
コーティングされた接着剤組成物の凝集強度を増加させるため、多官能性アクリレートが、ブレンド又は重合性モノマーに組み込まれてもよい。多官能性アクリレートは特に、エマルション重合に有用である。有用な多官能性アクリレートの例としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリブタジエンジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、及びプロポキシル化グリセリントリアクリレート、並びにこれらの混合物などのジアクリレート、トリアクリレート、及びテトラアクリレートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】
多官能性アクリレートの量及び同一性は、接着剤組成物の適用により調整される。典型的に、多官能性アクリレートは、接着剤組成物の総乾燥重量を基準として5重量部未満の量で存在する。より詳細には、多官能性アクリレートは、接着剤組成物の総モノマー100重量部を基準として、0.01重量部〜1重量部の量で存在してもよい。
【0023】
感圧性接着剤は、接着剤の凝集強度を増加させるため、多官能性アジリジン架橋剤を更に含む。多官能性アジリジンは、平均2を超える官能基(アジリジン基)を有し、好ましくは、平均は少なくとも3である。多官能性アジリジンは、ポリマーのペンダントカルボン酸基とアジリジン基との間に結合を形成することにより、ポリマーを架橋する。多官能性アジリジンとナノ粒子との混合物は、ナノ粒子成分のみ、又はアジリジン成分のみを有する同一の接着ポリマー組成物と比較して、剥離力及び剪断力測定値において相乗効果を示すことが判明している。
【0024】
このような化学的架橋剤は、重合後にエマルションPSAに加えて、コーティングされた接着剤のオーブン乾燥中に、熱によって活性化することができる。アジリジン架橋剤は、アクリレートポリマー100重量部を基準として0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部の量で使用される。
【0025】
好適な多官能性アジリジンとして、例えば、米国特許第3,225,013号(フラム(Fram))、同第4,769,617号(キャンティ(Canty))、同第4,490,505号(ペンダグラス(Pendergrass))、及び同第5,534,391号(ワン(Wang))に開示されるものが挙げられる。好適な多官能性アジリジンの例として、米国特許第3,225,013号に開示されるものが挙げられる。好ましくは、多官能性アジリジンは三官能性アジリジンである。特定例は、トリメチロールプロパントリス[3−アジリジニルプロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3(2−メチル−アジリジニル)−プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[2−アジリジニルブチラート]、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド、トリス(2−メチル−1−アジリジニル)ホスフィンオキシド、ペンタエリスリトールトリス−3−(1−アジリジニルプロピオネート)、及びペンタエリスリトールテトラキス−3−(1−アジリジニルプロピオネート)である。
【0026】
多官能性アジリジンの1つの好ましい分類は、以下の一般式を有する。
【0027】
【化1】

【0028】
式中、
はポリオールの残基であり、
は−H又は−OHであり、
は−H又は−CHであり、
xは2を超え、好ましくは少なくとも3であり、
yは0〜3である。
【0029】
このような化合物は、アクリレート化ポリオールへのアジリジンのマイケル付加反応により調製してもよい。アジリジン化合物による更なる官能化に使用可能な平均2を超えるアクリレート基が存在するとき、ポリオールを完全に又は部分的にアクリレート化することができる。あるいは化合物は、三級アミン触媒の存在下で、ポリオールとメチル(1−アジリジニル)プロピオネートのエステル交換によって調製してもよい。レスラー(Roessler)ら著の「有機コーティングの進展(Progress in Organic Coatings)」50巻(2004年)1〜27頁を参照することも可能である。
【0030】
組成物は、一般には容易に沈殿又は疑集しないコロイド分散の形状で使用及び混合される、針状シリカナノ粒子を更に含む。針状コロイダルシリカ粒子は、40〜500nm(動的光散乱法による測定)の直径D、及び5〜30の伸長度D/Dを有することができ、ただし、米国特許第5,221,497号の明細書に開示されるように、Dは、等式D=2720/Sにより算出された直径(nm)を意味し、Sは、粒子の比表面積(m/g)を意味する。TEM解析に基づき、好ましくは粒子は、9〜25nmの平均粒径と40〜300nmの長さとを有する。
【0031】
米国特許第5,221,497号には針状シリカナノ粒子の製造法が開示されており、この方法では、水溶性カルシウム塩、マグネシウム塩、又はこれらの混合物を、平均粒径3〜30nmの活性ケイ酸又は酸性シリカゾルのコロイド水溶液に、シリカに対しCaO、MgO、又はその両方が0.15〜1.00重量%の量で添加し、次いで水酸化アルキル金属を、SiO/MO(M:アルカリ金属原子)のモル比が20〜300となるように添加し、得られた液体を60〜300℃で0.5〜40時間加熱する。この方法で得られたコロイダルシリカ粒子は伸長形のシリカ粒子であり、5〜40nmの範囲内の均一な厚さで、1平面のみに延びる伸長を有する。
【0032】
針状シリカゾルを、ワタナベ(Watanabe)らにより米国特許第5,597,512号に記載された方法で調製してもよい。簡単に言えば、この方法は、(a)水溶性カルシウム塩又はマグネシウム塩又は前記カルシウム塩と前記マグネシウム塩の混合物を含む水溶液を、1〜6%(w/w)のSiOを含有し、2〜5の範囲内のpHを有する活性ケイ酸のコロイド水溶液と、CaO又はMgO又はCaOとMgOとの混合物と活性ケイ酸のSiOの重量比として1500〜8500ppmの量で混合する工程、(b)水酸化アルキル金属又は水溶性有機塩基又は前記水酸化アルキル金属若しくは前記水溶性有機塩基の水溶性ケイ酸塩を、工程(a)で得られた水溶液と、モル比SiO/MOが20〜200で混合する工程(SiOは、活性ケイ酸由来のシリカ含量とケイ酸塩のシリカ含量の総量を表わし、Mは、アルカリ金属原子又は有機塩基分子を表わす)、及び(c)工程(b)で得られた混合物の少なくとも一部を60℃以上に加熱してヒール液を得て、工程(b)で得られた混合物の別の一部、又は工程(b)に従って別途調製された混合物を用いてフィード液を調製し、前記フィード液を前記ヒール液に添加し、添加中に混合物から水を蒸発させ、SiOが6〜30%(w/w)の濃度まで濃縮する工程を含む。工程(c)で製造されたシリカゾルのpHは、典型的には8.5〜11である。
【0033】
有用な針状シリカナノ粒子は、日産化学工業(Nissan Chemical Industries)(日本、東京)より商標名スノーテックス−UP(SNOWTEX-UP)の水性懸濁液として、入手できる。この混合物は、20〜21%(w/w)の針状シリカ、0.35%(w/w)未満のNaO、及び水からなる。粒子は、直径約9〜15ナノメートルであり、長さ40〜300ナノメートルである。懸濁液の粘度は、25℃において<100mPas、pHは約9〜10.5、及び比重は20℃において約1.13である。
【0034】
その他の有用なシリカナノ粒子は、日産化学工業(Nissan Chemical Industries)より商標名スノーテックス−PS−S(SNOWTEX-PS-S)及びスノーテックス−PS−M(SNOWTEX-PS-M)の水性懸濁液として得ることができ、真珠の数珠状の形態を有するこの混合物は、20〜21%(w/w)のシリカ、0.2%(w/w)未満のNaO、及び水からなる。スノーテックス−PS−M(SNOWTEX-PS-M)の粒子は、直径約18〜25ナノメートルであり、長さ80〜150ナノメートルである。動的光散乱法による粒径は、80〜150である。懸濁液の粘度は、25℃において<100mPas、pHは約9〜10.5、及び比重は20℃において約1.13である。スノーテックス−PS−S(SNOWTEX-PS-S)は、粒径10〜15nm、長さ80〜120nmである。
【0035】
組成物は、平均粒径20ナノメートル未満の球形状シリカナノ粒子を更に含んでもよい。すなわち、組成物は、1〜8重量部の針状シリカナノ粒子及び0〜8重量部の球形状シリカナノ粒子を、合計1〜8重量部で含んでもよい。いくつかの実施形態では、50%以下の針状シリカナノ粒子を、球形状ナノ粒子で置換してもよい。コロイダルシリカは、水性又は他の溶媒媒質中で実質的に球形状、サブミクロン寸法のシリカ(SiO)粒子の分散液である。本発明に使用されるナノ粒子は、酸安定化又は塩基安定化されてもよい。この組成物に使用されるコロイダルシリカは、水性中又は水/有機溶媒混合物中のサブミクロン寸法シリカ粒子の分散液であり、20ナノメートル未満、好ましくは10ナノメートル未満、及びより好ましくは5ナノメートル未満の平均粒子径を有する。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を使用して測定されてもよい。更に、ナノ粒子が一般に有する表面積は、約150m/gを超え、好ましくは200m/gを超え、及びより好ましくは400m/gを超える。剪断力値の最大限の改善のため、粒子は好ましくは、狭い粒径分布、すなわち2.0以下、好ましくは1.5以下の多分散性を有する。必要であれば、微量のより大きいシリカ粒子を添加してもよいが、そのような添加は、剪断力値の増加に寄与しない。
【0036】
水性媒質中の無機シリカゾルは、当該技術分野において周知であり、市販されている。水又は水−アルコール溶液中のシリカゾルは、ルドックス(LUDOX)(米国、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール社(E.I.duPont de Nemours and Co.,Inc.)により製造)、ニアコル(NYACOL)(マサチューセッツ州アシュランドのニアコル社(Nyacol Co.)から入手可能)又はナルコ(NALCO)(米国、イリノイ州オークブルック(Oak Brook)のオンデア・ナルコ・ケミカル社(Ondea Nalco Chemical Co.)により製造)のような商標名で市販されている。1つの有用なシリカゾルは、平均粒子サイズが5ナノメートル、pH10.5、及び固形分が15重量%のシリカゾルとして入手可能なナルコ2326である。
【0037】
非水性シリカゾル(シリカオルガノゾルとも呼ばれる)が使用されてもよく、液相が有機溶媒又は水溶性有機溶媒であるシリカゾル分散液である。この発明の実施において、シリカゾルは、その液相がエマルションと相溶し、典型的に水性又は水溶性有機溶媒であるように選択される。
【0038】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、表面改質されてもよい。表面改質されたナノ粒子は、粒子の表面に結合した表面基を含む粒子である。表面基は、粒子の疎水性特性又は親水性特性を改質する。いくつかの実施形態では、表面基は、ナノ粒子をより疎水性にする場合がある。いくつかの実施形態では、表面基は、ナノ粒子をより親水性にする場合がある。表面基は、統計的に平均化された無秩序に表面改質された粒子を提供するように選択してもよい。いくつかの実施形態では、表面基は、粒子の表面上に単層、好ましくは連続的な単層を形成するのに十分な量で存在する。一般に、利用可能な表面官能基(すなわちSi−OH基)の25%未満が、親水性と分散性を維持するために親水性表面改質剤で改質され、親水性表面改質剤で改質される。シリカナノ粒子は、酸安定化若しくは塩基安定化されてもよく、又は対イオンが交換されてもよいが、表面改質されないことが好ましい。
【0039】
種々の方法が、ナノ粒子の表面を改質するために利用可能であり、それらには、例えば、表面改質剤のナノ粒子への添加(例えば、粉末又はコロイド状分散液の形態)及び表面改質剤をナノ粒子と反応するのを可能にすることが挙げられる。その他の有用な表面改質方法は、例えば、米国特許第2,801,185号(アイラ(Iler))及び同第4,522,958号(ダス(Das)ら)に記載されている。
【0040】
接着剤組成物の性能を向上させるために、他の添加剤を加えることができる。例えば、レべリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、酸素阻害剤、湿潤剤、レオロジー変性剤、消泡剤、殺生物剤、染料などをこれに包含することができる。これらの添加剤及びその使用の全てが、当該技術分野において周知である。これらの化合物はいずれも、それらが接着特性に悪影響を及ぼさない限り使用できることが理解される。
【0041】
UV吸収剤及びヒンダードアミン光安定剤も本組成物に対する添加剤として有用である。UV吸収剤及びヒンダードアミン光安定剤は、最終硬化製品への紫外線の有害な影響を減少させるように作用し、それによりコーティングの亀裂、黄変及び層間剥離に対する耐候性すなわち耐性を強化させる。好ましいヒンダードアミン光安定剤は、ニューヨーク州ホーソン(Hawthorne)のチバガイギー社(CIBA-GEIGY Corporation)からチヌビン(Tinuvin)(商標)144として入手可能なビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ブチルプロパンジオエートである。
【0042】
総モノマー組成物の重量部よりも小さな濃度である下記のUV吸収剤及びこれらの組み合わせは、望ましい結果を生じ得る:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル1−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ブチルプロパンジオエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−ヒドロキシル−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシルフェニル)−1−オキソプロピル)−ω−ヒドロキシ、及び、BASFワイアンドット社(BASF Wyandotte Inc.)(ニュージャージー州、パーシッパニー(Parsippany))から販売されるユビナール(Uvinul)(登録商標)D−50及びMS−40。しかし、組成物の総重量を基準として1〜5重量%の範囲のUV吸収剤の濃度が好ましい。
【0043】
本明細書のポリマーを任意の従来のフリーラジカル重合法により調製してもよく、これには溶解、放射、バルク、分散、乳化、及び懸濁プロセスが含まれる。アクリレートポリマーは懸濁重合により調製してもよく、これは米国特許第3,691,140号(シルバー(Silver))、同第4,166,152号(ベイカー(Baker)ら)、同第4,636,432号(シバノ(Shibano)ら)、同第4,656,218号(キノシタ(Kinoshita))、及び同第5,045,569号(デルガード(Delgado))に開示されている。好ましくは、アクリレートポリマーは、フリーラジカル反応開始剤の存在下においてエマルション重合プロセスにより調製される。
【0044】
本発明に使用されるアクリレート接着ポリマーの調製に有用な水溶性及び油溶性反応開始剤は、熱に暴露すると混合物の(共)重合を開始するフリーラジカルを生成する反応開始剤である。水溶性反応開始剤は、エマルション重合によりアクリレートポリマーを調製するのに好ましい。好適な水溶性反応開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物、上記過硫酸塩とメタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムからなる群から選択されるものなどの還元剤との反応生成物などの酸化還元反応開始剤、並びに4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)及びその可溶性塩(例えば、ナトリウム、カリウム)からなる群から選択されるものが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい水溶性反応開始剤は、過硫酸カリウムである。好適な油溶性反応開始剤としては、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)から両方とも入手可能な、VAZO 64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))及びVAZO 52(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル))などのアゾ化合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましい油溶性熱反応開始剤は、(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))である。使用する場合、反応開始剤は、モノマー構成成分の100重量部を基準にして、約0.05重量部〜約1重量部、好ましくは約0.1重量部〜約0.5重量部で、感圧接着剤中に含まれてよい。
【0045】
共重合性エマルション混合物は、任意に連鎖移動剤を更に含んでもよく、得られたポリマーの分子量を制御する。有用な連鎖移動剤の例としては、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい連鎖移動剤は、チオグリコール酸イソオクチル、及び四臭化炭素である。エマルション混合物は、使用する場合、総モノマー混合物の100重量部に基づいて、約0.5重量部までの、典型的には約0.01重量部〜約0.5重量部の、好ましくは約0.05重量部〜約0.2重量部の連鎖移動剤を更に含んでよい。
【0046】
エマルション技術による重合は、乳化剤(emulsifier)(乳化剤(emulsifying agent)又は界面活性剤と呼ばれる場合もある)の存在を必要とする場合がある。本発明に有用なエマルション剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0047】
有用なアニオン性界面活性剤として、約C〜C12アルキル基、アルキルアリール基、及び/又はアルケニル基からなる群から選択される少なくとも1つの疎水部分、並びに、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ポリオキシエチレンスルフェート、ポリオキシエチレンスルホネート、ポリオキシエチレンホスフェートなどからなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性基、及びこのようなアニオン性基の塩で、前記塩が、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、第三級アミノ塩などからなる群から選択されるものを包含する分子構造を持つものが挙げられるが、これらに限定されない。有用なアニオン性界面活性剤の代表的な市販の例としては、ポリステップ(POLYSTEP)B−3としてステパン・ケミカル社(Stepan Chemical Co.)から入手可能なラウリル硫酸ナトリウム、ポリステップB−12としてステパン・ケミカル社から入手可能なラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びシポネート(SIPONATE)DS−10としてローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)から入手可能なドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0048】
有用な非イオン性界面活性剤としては、その分子構造が、エチレンオキシドなどの親水性アルキレンオキシドを有する有機脂肪族又はアルキル芳香族疎水部分の縮合生成物を含むものが挙げられるがこれらに限定されない。有用な非イオン性界面活性剤のHLB(親水性−親油性バランス)は、約10以上、好ましくは約10〜約20である。界面活性剤のHLBは、界面活性剤の親水性(好水性又は極性)基と親油性(好油性又は非極性)基の大きさ並びに強度のバランスの表現である。本発明に有用な非イオン性界面活性剤の市販の例としては、イゲパル(IGEPAL)CA又はCOシリーズとしてそれぞれローヌ−プーランから入手可能なノニルフェノキシ又はオクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール;テルギトール(TERGITOL)15−Sシリーズとしてユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能なC11〜C15二級−アルコールエトキシレート;及び界面活性剤のツウィーン(TWEEN)シリーズとしてICIケミカルズ(ICI Chemicals)から入手可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
有用なカチオン性界面活性剤としては、式C2n+1(CH(式中、Xは、OH、Cl、Br、HSO又はこれらの組み合わせであり、nは8〜22の整数である)、及び式C2n+1(C(式中、nは12〜18の整数である)を有するアルキルアンモニウム塩、ジェミニ界面活性剤、例えば、式:[C16H.33(CH2m+1]X(式中、mは2〜12の整数であり、Xは上記で定義される)を有するもの、例えば、ベンザルコニウム塩などのアラルキルアンモニウム塩、並びにセチルエチルピペリジニウム塩、例えば、C1633(C)(C10)X(式中、Xは上記で定義される)が挙げられる。
【0050】
あるいは、界面活性剤は、モノマー混合物と共重合可能なイオン性表面活性剤であってもよく、重合中にポリマー鎖内に組み込まれる。有用な共重合可能なイオン性表面活性剤の例としては、国際公開第89/12618号(タング(Tang)ら)に記載されたものが挙げられるがこれらに限定されない。そこに記載された界面活性剤は、α−βエチレン性不飽和を含有する疎水性部分、ポリ(アルキレンオキシ)セグメントを含有する親水性部分、及びイオン性セグメントを有する。
【0051】
国際公開第89/12618号によると、反応性界面活性剤は、エチレン性不飽和アルコールと所定量の第1の環状エーテル、例えばプロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はその混合物との連続縮合重合から生じ、続いて所定量のエチレンオキシドと縮合する。カチオン性又はアニオン性末端基官能性が、所望により末端ヒドロキシル基によって付加される。
【0052】
イオン性共重合性界面活性剤は、少なくとも1つの基、好ましくは共重合性モノマー混合物と反応可能な1つの基を有する。そのような反応性基としては、ビニル基、アクリレート基などのエチレン性不飽和基からなる群から選択されるものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0053】
商標名マゾンサム(MAZON SAM)−211を有する好ましい共重合性界面活性剤は、PPGインダストリーズ社(PPG Industries,Inc.)から入手可能であり、アルキレンポリアルコキシアンモニウムサルフェートとして記載され、アルコキシ基の数は、約5〜約25個であり、典型的な例では約15〜約20個のエトキシル基を有する。有用な共重合性界面活性剤の更なる例としては、アルキルアリルスルホスクシネート、例えば、ダイヤモンド・シャムロック社(Diamond Shamrock Company)から入手可能なトレム(TREM)−LF40が挙げられる。更なる有用な共重合性界面活性剤は、ケンダル社(The Kendall Company)に譲渡された米国特許第3,925,442号、及び同第3,983,166号に開示されている。
【0054】
本発明のエマルションを、上記イオン性共重合性界面活性剤の代わりに、上述の共重合性界面活性剤とラテックス重合の技術分野において周知の典型的なイオン性又は非イオン性の非共重合性界面活性剤との混合物を用いて製造可能であることも、考えられる。そのような非共重合性界面活性剤の例は、「エマルション重合:理論と実践(Emulsion Polymerization:theory and practice)」(D.C.ブラックレイ(Blackley))、ニューヨーク、J.ウィリー(J.Wiley)(1975年)に見出すことができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤混合物は、界面活性剤混合物の総重量を基準として約40〜約99.5重量%のイオン性共重合性界面活性剤及び約0.5〜約60重量%の非共重合性界面活性剤を含む。
【0055】
好ましくは、この発明のエマルション重合は、アニオン性界面活性剤の存在下で行われる。有用な乳化剤濃度の範囲は、エマルション感圧性接着剤の全てのモノマーの総重量を基準として約0.5〜約8重量パーセント、好ましくは約1〜約5重量パーセントである。
【0056】
本発明のエマルション感圧性接着剤はまた、1つ以上の従来の添加剤を含有してもよい。好ましい添加剤としては、粘着付与剤、可塑剤、染料、酸化防止剤、及びUV安定剤が挙げられる。このような添加剤を、エマルション感圧性接着剤の粘着性能に影響を及ぼさない場合に使用できる。
【0057】
粘着付与剤が使用される場合、合計の接着ポリマー及びシリカの乾燥重量を基準として約40重量%まで、好ましくは30重量%未満、及びより好ましくは5重量%未満が好適となる。いくつかの実施形態において、総接着剤成分の乾燥重量に対し、25〜約60phr(樹脂100重量部に対する重量部)も好適であろう。アクリレートエマルションと共に用いるのに好適な粘着付与剤として、ロジン酸、ロジンエステル、テルペンフェノール樹脂、炭化水素樹脂、及びクマロンインデン樹脂が挙げられる。粘着付与剤の種類及び量は、接触性、固着強度、耐熱性及び固有接着などの特性に影響を及ぼすことができる。粘着付与剤は一般に、水性分散液の形態で使用される。好適である市販の粘着付与剤としては、タコリン(TACOLYN)1070、5001及び5002(水性、低分子量熱可塑性樹脂を基準として55%固形分合成樹脂分散液、ハーキュレス社(Hercules Inc.)から入手可能)、SE1055(ロジンエステルの水性分散液、ハーキュレス社から入手可能)、エスコレズ(ESCOREZ)9271(脂肪族炭化水素樹脂エマルション、エクソン(Exxon)から入手可能)、ダーマルセン(DERMULSENE)82、ダーマルセン92、ダーマルセンDT又はダーマルセンDT50(改質テルペンフェノール樹脂の水性分散液、DRTから入手可能)及びアクアタック(AQUATAK)4188(改質ロジンエステル、アリゾナ・ケミカル社(Arizona Chemical Company)から入手可能)が挙げられる。
【0058】
アクリレートコポリマーを、エマルション重合プロセスにより調製してもよい。エマルション重合では、反応は、ミセル又は水性媒質中に懸濁されたエマルション微小液滴内で発生する。微小液滴又はミセル内で生成されたあらゆる熱は、周囲の水相の熱容量の影響によりただちに調整される。エマルション重合は、発熱反応がよりよく制御された状態で進行し、生じた接着剤組成物は、水性媒質が主要な構成成分であるので不燃性である。
【0059】
本発明の感圧性接着剤は、バッチプロセス、連続プロセス、又は半連続エマルション重合プロセスにより調製される。バッチ重合は、一般に、
(a)
(i)アクリル酸エステルと、
(ii)酸官能性モノマーと、
(iii)任意の極性モノマーと、
(iv)任意のビニルモノマーと、
(v)任意の多官能性アクリレートと、
(vi)任意の連鎖移動剤と、を含むモノマープレミックスを製造する工程と、
(b)
(i)水と、
(ii)アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤と、
(iii)フリーラジカル反応開始剤と、を含む水相と前記プレミックスとを混合する工程と、
(c)前記エマルションを撹拌しながら、温度約30℃〜約80℃まで加熱し、ポリマーラテックスが形成されるまで水中油型エマルション中の前記モノマーを重合させる工程と、を含む。その他の混合物が使用されてもよいことが理解されるであろう。例えば、酸官能性モノマー、又はその他の親水性モノマーが、水溶液に添加されてもよい。更に、一旦エマルション混合物が調製されると、モノマーは、それらのそれぞれの分配係数により油相及び水相の間を分割し得る。
【0060】
半連続プロセスでは、フラスコには、脱イオン(DI)水;界面活性剤;酸官能性モノマー;アクリレートエステルモノマー;任意の極性モノマー、ビニルモノマー、及び多官能性アクリレートを含む任意の共重合性モノマー;加えてあらゆる任意の連鎖移動剤;pH調節剤又は他の添加剤を含むシードモノマー混合物が投入される。混合物は、窒素ブランケットなどの不活性雰囲気下で攪拌及び加熱される。混合物が典型的に、約50〜70℃の誘導温度に到達すると、第1の反応開始剤が添加され重合を開始し、反応は、発熱される。シード反応が完了した後、バッチ温度をフィード反応温度である約70〜約85℃まで上昇させた。フィード反応温度において、DI水、界面活性剤、酸官能性モノマー、アクリレートエステルモノマー、任意の極性モノマーを含む任意の共重合性モノマー、連鎖移動剤又はその他添加剤を含むモノマープレエマルションを、一定時間、典型的には2〜4時間、温度を維持しながら撹拌されたフラスコに添加する。フィード反応の最後で使用する場合、第2の反応開始剤が反応に加えられエマルション中の残留モノマーを更に減少させる。追加の加熱時間の後、混合物を室温(約23℃)まで冷却し、評価のためエマルションを収集する。
【0061】
中和剤をこのポリマーの調製に用いてもよい。ポリマーの酸性基の全て又は一部を中和するのに十分な濃度で用いてもよい。中和は、水酸化アルカリ金属、又は水酸化アルカリ金属と少量の別の中和剤との混合物を用いることにより達成される。当業者に理解されるように、さまざまな中和剤を用いてもよい。別の中和剤の選定及び使用量を変え、所望の結果を達成してもよい。しかし、選択した種類及び量により、接着剤を非分散性にしてはならない。好ましくは、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが中和剤として用いられる。
【0062】
エマルションのpHは少なくとも7、典型的には約8〜12である。エマルションの酸性度を、ラテックス形成の後に、塩基性溶液(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウムなどの溶液)又は緩衝液(例えば、重炭酸ナトリウムなど)などのpH調節剤を用いて、所望のpHまで調節してもよい。ポリマーの酸基が塩基の添加によって中和されると、エマルションの安定性は増加するが、ポリマーの酸基とシリカナノ粒子との間の水素結合は減少する。更に、多官能性アジリジンを含む組成物は低pH(<7)で速やかにゲル化するため、エマルションがコーティングされ、硬化されて感圧性接着剤物品が製造されるためにはエマルションは望ましくは塩基性であることが判明している。
【0063】
針状シリカゾルを、様々な方法でアクリレート接着剤に組み込んでもよい。ある実施形態では、アクリレート接着剤のエマルションを針状シリカゾルに添加し、その後任意に水及び共溶媒(用いる場合)を蒸発により除去し、それにより、アクリレート接着剤中に針状シリカナノ粒子が分散した状態にする。あるいは、針状シリカゾルを、アクリレート接着剤のエマルションに添加してもよい。アクリレートエマルションの沈殿を防ぐため、針状シリカナノ粒子を低剪断力条件下でブレンドするのが好ましい。蒸発工程は、例えば、蒸留、回転蒸発、又はオーブン乾燥により達成可能である。乾燥前は、エマルションは一般に、感圧性接着剤性能を示さないため、5重量%未満の水、好ましくは1重量%未満の水まで乾燥することが望ましい。接着剤の水分含有量は、湿度により経時的に上昇し得ることが理解されるであろう。
【0064】
調製後、接着剤組成物をただちにコーティングすることが好ましい。組成物の粘度は、経時的に増加することが分かっており、この粘度増加は、シリカナノ粒子のアグロメレーションのためであると考えられている。
【0065】
エマルション(接着性ポリマー及び、好ましくは針状のシリカナノ粒子を含む)は、従来のコーティング技術により、好適な可撓性バッキング材上に容易にコーティングされ、接着剤でコーティングされたシート材を製造する。可撓性バッキング材は、テープバッキング、光学フィルム、又は任意のその他可撓性材料として従来利用される、任意の材料としてよい。接着剤組成物に有用であり得る従来のテープ裏材として使用される可撓性裏材の典型的な例としては、紙や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、酢酸セルロース、ポリラクチド、及びエチルセルロースなどのプラスチックフィルムから作製されるものが挙げられる。
【0066】
裏材はまた、綿、ナイロン、レーヨン、ガラス、セラミック材料などの合成若しくは天然材料の糸から形成される織布、又は天然、合成繊維若しくはそれらのブレンドのエアレイドウェブなどの不織布などの布地から調製されてもよい。裏材はまた、金属、金属化ポリマーフィルム、又はセラミックシート材料から形成されてもよく、ラベル、テープ、記号、カバー、マーキングしるしなどの感圧性接着剤組成物が利用されていることが従来から知られているあらゆる物品の形態を取ってもよい。
【0067】
上記組成物は、特定の基材に適するように調節された従来のコーティング技術を使用して基材にコーティングされる。例えば、これらの組成物は、ローラーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、及びダイコーティングなどの方法により、様々な個体基材に適用され得る。これらの種々のコーティング法は、組成物を可変の厚さで基材に定置することを可能にし、それにより組成物のより広い範囲の使用を可能にする。コーティングの厚さは、変えられてもよいが、2〜50マイクロメートル(乾燥厚)、好ましくは約25マイクロメートルのコーティングの厚さが意図される。エマルション(接着ポリマー、シリカナノ粒子及び水を含有する)は、続くコーティングのために任意の所望の濃度であってもよいが、典型的に30〜70重量%の水、より典型的には50〜65重量%の水である。所望の濃度は、更なるエマルションの希釈、又は部分的な乾燥により達成されてもよい。
【0068】
本発明の接着剤は、湿式ラミネート用途での使用に非常に適しているが、本接着剤は、乾燥ラミネート用途においても十分に性能を発揮し、得られるラミネートは、高温及び高湿条件にさらされる。
【0069】
まず、感圧性接着剤を、所望のコーティングの厚さで裏材にコーティングし、次に積層前に乾燥する。続いて、水を、時として水の表面張力を下げるため少量の界面活性剤と共にガラス又は他の基材にスプレーし、基材表面上で薄い水の層を得る。その後、フィルムを適切に基材上に位置決めし、ほとんどの過剰の水を搾り出し、基材/PSA/フィルムラミネートをもたらす。ラミネート内に残った水を、ラミネートに使用される材料によって数日で蒸発させる。
【0070】
乾燥積層の場合、PSAを所望のコーティング厚さでフィルム(裏材)にコーティングし、次に積層前に乾燥する。続いて、そのようなPSAコーティングされたフィルムを圧力及び/又は高温で基材表面に付着し、フィルムを基材表面に固着する。
【0071】
本発明の接着剤物品の可撓性支持体又は裏材として有用な好適な材料としては、紙、ラテックス飽和紙、ポリマーフィルム、酢酸セルロースフィルム、エチルセルロースフィルム、ポリラクチド、布(すなわち、合成又は天然材料から形成される織布又は不織布シート)、金属フォイル及びセラミックシートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0072】
可撓性支持体に含まれ得る材料の例として、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(アイソタクチックポリプロピレンを含む))、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(フッ化ビニリデン(vinylidine))などが挙げられる。本発明に有用な市販の裏材としては、クラフト紙(モナドノックペーパー社(Monadnock Paper,Inc.)から入手可能);セロファン(フレクセル社(Flexel Corp.)から入手可能);タイベック(Tyvek)(商標)及びタイパー(Typar)(商標)などのスパンボンドポリ(エチレン)並びにポリ(プロピレン)(デュポン社(DuPont,Inc.)から入手可能);テスリン(Teslin)(商標)(PPGインダストリーズ社(PPG Industries,Inc.)から入手可能)及びセルガード(Cellguard)(商標)(ヘキスト−セラニーズ(Hoechst-Celanese)から入手可能)などのポリ(エチレン)並びにポリ(プロピレン)から得られる多孔質フィルムが挙げられる。
【0073】
可撓性支持体はまた、剥離コーティング基材を含んでもよい。そのような基材は典型的に、接着移動テープが施される場合に使用される。剥離コーティングされた基材の例は、当該技術分野において周知である。それらには、例としてシリコーンコーティングされたクラフト紙などが挙げられる。本発明のテープはまた、低付着性バックサイズ(LAB)を組み込んでもよい。典型的に、このLABは、感圧性接着剤を有するものと反対側にあるテープ裏表面に塗布される。LABsは当該技術分野において既知である。
【0074】
この発明は、以下の実施例により更に説明されるが、本発明の範囲を限定するものではない。実施例において、全ての部分、割合、百分率は、他に指示がない限り重量である。以下の試験方法は、実施例でもたらされるエマルション感圧性接着剤を評価及び特徴付けるために使用された。材料は全て、他の指示又は記載がない限り、例えばアルドリッチケミカルズ社(Aldrich Chemicals)から市販されている。
【実施例】
【0075】
これらの実施例は単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した特許請求の範囲に限定することを意味するものではない。特に記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載されている部、百分率、比率等はすべて、重量による。
【0076】
【表1】

【0077】
試験方法
剥離接着試験
使用した試験方法は、ガラス基材がステンレス鋼の代わりに使用されたことを除いて、試験法ASTM D 3330−78と同様であった。テープ試料は、50.8マイクロメートル(2ミル)の厚さのポリエステルフィルムに接着剤をコーティングし、乾燥することにより調製し、約38マイクロメートル(1.5ミル)の接着剤の乾燥コーティングした厚さを設けた。これらのテープの2つの1.3cm(0.5インチ)ストリップを、2kg(4.5ポンド)ローラーをテープ上で転がすことによりガラスプレートに付着した。2つのテープ試料を平均した。圧盤速度は、229cm/分(90インチ/分)であった。剥離力を0.5インチ当たりのオンス単位で測定し、デシメートル当たりのニュートンに変換した。
【0078】
剪断強度試験
試験方法は、試験法ASTM D−3654−78、PSTC−7と同様であった。テープ試料は、50.8マイクロメートル(2ミル)の厚さのポリエステルフィルムに接着剤をコーティングし、乾燥することにより調製し、約38マイクロメートル(1.5ミル)の接着剤の乾燥コーティングした厚さを設けた。1.3cm(0.5インチ)幅のこれらのテープのストリップをステンレス鋼プレートに付着して切断し、1.3cm×1.3cm(0.5インチ×0.5インチ)正方形を鋼プレート上に残した。2kg(4.5ポンド)の重量を接着部分上で転がした。1,000gの重量を各試料に取り付け、試料が破壊するまで吊るした。破壊時間並びに破壊状態を書きとめた。試料は、3度試験し、平均した。試験は、23℃、50%相対湿度で行った。
【0079】
合成実施例1:PSA−3の調製
1リットルのステンレス鋼ワーニング(Waring)ブレンダー容器に、360gの脱イオン水、8gのローダカルDS−10、1.0gの水酸化リチウム、1.2gのトリエタノールアミン、344gの2−オクチルアクリレート(2−OA)、15gのアクリル酸(AA)、及び15gのメチルメタクリレート(MMA)を添加した。内容物をブレンダーにより低速度設定で2分間均質化し、その後温度計、テフロン(登録商標)インペラを備える機械的攪拌器、凝縮器及び窒素入口管を備えた2リットル樹脂フラスコに注いだ。続いて、0.8gの過硫酸カリウムを加えた。反応混合物を窒素ブランケット下で250rpmで攪拌し、62℃まで加熱した。攪拌及び窒素ブランケットを反応時間全体にわたって維持した。発熱が約90℃でピークに達した後、82gの脱イオン水を添加した。バッチを4時間にわたって75℃に維持し、冷却してチーズクロスによりろ過し、固形分47.3%、ブルックフィールド(Brookfield)粘度0.84パスカル秒(840cps)、及びpH4.3のラテックス接着剤を得た。平均粒径をコールター(Coulter)N4MD粒子分析器で測定すると、0.14マイクロメートルであった。
【0080】
比較例C1
PFAZ 322を、PSA−1エマルション接着剤に重量比0.05%で添加した。架橋剤を溶液内に混合すると、接着剤はゲル化し、コーティングや試験をすることができなかった。
【0081】
比較例C2
電磁攪拌器で攪拌中に濃水酸化アンモニウムを溶液に添加することにより、PSA−1のpHが上昇した。pHの上昇をpHメーターを用いて観測し、pHが9.0に達した時点で塩基の添加を中止した。この塩基性接着剤溶液は、0.05%のPFAZ 322添加によりゲル化しなかった。以下のPSA−1について言及する全てのものは、pHを9.0まで上昇させたものを指す。
【0082】
実施例1及び比較例C3
PSA−1を様々な濃度のスノーテックス・アップ(SNOWTEX UP)と混合した。表1に示すように、PFAZ 322添加及び無添加の接着剤溶液も調製した。PFAZ 322無添加の試料は比較例C3A〜C3Cである。比較例C2から比較試料も調製した。上記試験方法に記載したように、これらの接着剤エマルション溶液から調製されたテープの剥離接着及び剪断強度を測定した。記載した重量パーセントは乾燥ポリマーに対して算出される。比較例C8は、針状ナノ粒子を含まない多官能性アジリジン架橋剤の効果を示すために含める。
【0083】
【表2】

【0084】
表1のデータは、アジリジン架橋剤とシリカナノ粒子との混合により、最も高い剪断力値を有する接着剤がもたらされることを示す。
【0085】
実施例2及び比較例C4及びC5
PSA−2を様々な濃度のスノーテックス・アップ(SNOWTEX UP)と混合した。表2に示すように、PFAZ 322添加及び無添加の接着剤溶液も調製した。PFAZ 322無添加の試料は比較例C5A〜C5Cである。スノーテックス・アップ(SNOWTEX UP)を含まない比較試料も調製した(比較例C4)。上記試験方法に記載したように、これらの接着剤エマルション溶液から調製されたテープの剥離接着及び剪断強度を測定した。記載した重量パーセントは乾燥ポリマーに対して算出される。
【0086】
【表3】

【0087】
実施例3及び比較例C6及びC7
電磁攪拌器で攪拌中に濃水酸化アンモニウムを溶液に添加することにより、PSA−3のpHが上昇した。pHの上昇をpHメーターを用いて観測し、pHが9.0に達した時点で塩基の添加を中止した。この塩基性接着剤溶液は、0.05%のPFAZ 322添加によってゲル化しなかった。以下のPSA−3について言及する全てのものは、pHを9.0まで上昇させたものを指す。PSA−3を様々な濃度のスノーテックス・アップ(SNOWTEX UP)と混合した。表3に示すように、PFAZ322添加及び無添加の接着剤溶液も調製した。PFAZ 322無添加の試料は比較例C7A〜C7Bである。スノーテックス・アップ(SNOWTEX UP)を含まない比較試料も調製した(比較例C6)。上記試験方法に記載したように、これらの接着剤エマルション溶液から調製されたテープの剥離接着及び剪断強度を測定した。記載した重量パーセントは乾燥ポリマーに対して算出される。
【0088】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(i)90〜99重量部の、非三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステル(該アルコールは1〜14個の炭素原子を有し、好ましくは炭素原子の平均個数が約4〜約12個である)と、
(ii)1〜10重量部の酸官能性モノマーと、
(iii)0〜10重量部の第2の非酸官能性極性モノマーと、
(iv)0〜5重量部のビニルモノマーと、
(v)任意に、0.01〜1重量部の多官能性アクリレートと、を含むポリマーと、
(b)100重量部のポリマー(a)を基準として0.001〜1重量部の多官能性アジリジン架橋剤と、
(c)100重量部のポリマー(a)を基準として1〜8重量部の、9〜25nmの平均粒径と40〜300nmの長さとを有するシリカナノ粒子と、
を含む感圧性接着剤。
【請求項2】
前記シリカナノ粒子が針状である、請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項3】
前記針状シリカナノ粒子が表面改質されていない、請求項2に記載の感圧性接着剤。
【請求項4】
前記針状シリカナノ粒子が親水性表面改質剤で表面改質されている、請求項2に記載の感圧性接着剤。
【請求項5】
前記酸官能性モノマーの酸官能基がポリマー中で少なくとも部分的に中和されている、請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項6】
前記第2の極性モノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカプロラクタム;アクリルアミド;t−ブチルアクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド;N−オクチルアクリルアミド;2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシエトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含むポリ(アルコキシアルキル)アクリレート;ポリ(ビニルメチルエーテル);及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項7】
前記ポリマーが1〜5重量部のアクリル酸及び1〜5重量部の第2の極性モノマーを含む、請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項8】
前記ポリマーが水性エマルションポリマーとして調製される、請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項9】
前記酸官能性モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項10】
ビニルエステル、スチレン、置換スチレン、ビニルハロゲン化物、プロピオン酸ビニル、及びこれらの混合物から選択される1〜5重量部のビニルモノマーを含む、請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項11】
前記ポリマー成分がポリマーの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記非第三級アルコールの炭素原子の平均個数が約4〜約12個である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
0〜8重量部の、20ナノメートル以下の平均粒径を有する球形状シリカナノ粒子を更に含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
50重量%以下の前記針状シリカナノ粒子が、20ナノメートル以下の平均粒径を有する球形状シリカナノ粒子によって置換される、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
前記多官能性アジリジンが式
【化1】

であり、式中、
はポリオールの残基であり、
は−H又は−OHであり、
は−H又は−CHであり、
xは2を超え、好ましくは少なくとも3であり、
yは0〜3である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の感圧性接着剤、及び可撓性裏層を含む、接着剤物品。
【請求項17】
前記可撓性裏層が、紙、ラテックス含浸紙、高分子フィルム、ポリラクチド、酢酸セルロースフィルム、エチルセルロースフィルム、織布又は不織布、金属フォイル、及びセラミックシートから選択される、請求項16に記載の接着剤コーティングされたシート物品。
【請求項18】
(a)エマルションの総重量を基準として30〜約70重量パーセントの請求項1に記載の接着剤と、
(b)エマルションの総重量を基準として30〜70重量パーセントの、界面活性剤を含む水相と、
を含むエマルション。
【請求項19】
前記組成物のpHが7を超える、請求項18に記載のエマルション。

【公表番号】特表2010−519347(P2010−519347A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549660(P2009−549660)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/052552
【国際公開番号】WO2008/100713
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】