説明

多層フィルムおよびそれから作られた造瘻製品

造瘻袋またはパウチに用いるための、7層の塩素を含まないフィルムであって、バリヤ層のコアを含んでいる。このバリヤ層は、塩素を含まない約65質量%〜約100質量%のアモルファスポリアミド樹脂および約0質量%〜約35質量%の無水マレイン酸変性オレフィンもしくはエポキシ変性オレフィンで形成されている。このバリヤ層は、悪臭誘発性化合物を実質的に透過しない。接合層が、このバリヤ層のそれぞれの面に接触している。接合層は、無水マレイン酸グラフト樹脂である。内側層は、それぞれの接合層に接触している。外側層は、それぞれの内側層に接触している。このフィルムは、高い引裂き強度および低いノイズレベルを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データの相互参照
本願は、2009年11月6日出願の、名称が「多層フィルムおよびそれから作られた造瘻製品」である米国仮出願第61/258,933号への優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、多層フィルム材料、そしてより具体的には、塩素を含まない多層フィルムならびにそれから作られた造瘻用途用の、袋(bags)およびパウチに関する。
【背景技術】
【0003】
ガスおよび臭気バリヤフィルムが知られており、そして医療および食品包装工業において広く用いられている。多くのそのようなフィルムは、塩素を含むバリヤ層を有しており、他のバリヤ層は塩素を含んでいない。塩素含有バリヤ層は、例えば、塩化ビニリデンと塩化ビニルの共重合体(VDC-VC共重合体)および塩化ビニリデン−メチルアクリレート共重合体(VDC-MA共重合体)を用いている。これらの塩素含有フィルムは、格別な悪臭誘発性化合物バリヤ特性を有しており、そして典型的には水分の存在によって悪影響を及ぼされない。塩素含有化合物の使用の1つの欠点は、これらの化合物が、通常は、廃棄、例えば使用後の焼却において環境問題を生じさせることである。他の欠点は、塩素化合物の腐食性のために、これらの材料の加工には、専用の設備が必要とされることである。
【0004】
塩素を含まない材料のバリヤ層としては、ビニルアルコール系ポリマー、例えば、エチレンビニルアルコール(EVOH)共重合体およびポリ(ビニルアルコール)(PVOH)が挙げられる。不幸にも、これらの材料は、水分の存在によってバリヤ性能が低下することが見出されている。
【0005】
造瘻製品および体液の貯蔵に関する他の用途は、高度に要求が厳しく、そして典型的にはそのような製品に用いられる材料を、高い水準の水分の影響下に置く。同時に、この材料の臭気バリヤ性が、その使用寿命を通して高く、そして高いまま維持されることが極めて重要である。更に、この材料の機械的強度もまた、その製品の長い使用期間において十分に長期間高く、そして高いまま維持されることが重要である。
【0006】
造瘻製品用途で更に考慮されなければならない他の因子および性質は、これらの製品は使用者の身体に隣接して装着されるので、材料の快適性、この材料が使用者の動作に適合するような、材料の可撓性、およびこのような製品の装着が、できるだけ音で知覚可能でないような、製品の静音性、である。これらの塩素含有材料は、これらの有益な性質および品質を有しているが、しかしながら、前述の廃棄および加工における環境問題を有している。
【0007】
VDC−VC、VDC−MAおよび他の塩素含有材料の有益な性質および特徴を有し、これらの塩素含有材料の有害な影響のないフィルムを提供するための努力の中で、種々の層化されたフィルムが、塩素を含有しない材料で作られてきた。1つの既知のフィルムは、独国公開特許第4100350号明細書中に開示されており、輸液用の包装材料用の、7層の塩素を含まないフィルムである。この材料は、エチレン−ビニルアルコール(EVOH)共重合体および2層のコーティングポリエチレン(PE)層から作られた共押出フィルムであるベース材料、その上に押出ラミネートされたPE層とEVOH共重合体層で構成されている。
【0008】
食品包装に用いられるフィルムが、欧州特許出願公開第0588667号明細書中に開示されており、多層フィルムの水分バリヤ材料であり、酸素バリヤ材料、例えばEVOH共重合体で作られたコア層、このコア層上に与えられた、プロピレン(PP)ポリマーもしくは共重合体またはポリマー接着剤、例えばカルボン酸もしくは無水マレイン酸変性ポリオレフィン、例えばポリプロピレン系カルボン酸または無水マレイン酸変性ポリオレフィンの2層の中間層、含んでいる。水分バリヤ層は、PPポリマーもしくは共重合体および炭化水素樹脂の混合物として提供され、そして外側の表面を被覆する最外層もまたPPポリマーもしくは共重合体である。
【0009】
国際公開第93/11938号中に開示されている造瘻パウチの製造に用いられたフィルムは、5層のバリヤ構造であり、ガスバリヤ層、2層の水分バリヤ層、およびそれらの間に配置された、所望による1層もしくは2層以上の接着剤層を有している。この水分バリヤ層は、中間層PP系材料であり、これは、ガスバリヤ層の一方の、または両方の面に接触している。このガスバリヤ層は、EVOH共重合体で作られている。
【0010】
米国特許第4,239,826号明細書および第4,254,169号明細書中に開示されているもののような他の多層フィルムであって、ビニルアルコールポリマーもしくは共重合体(例えば、PVOH、EVOH)で形成された酸素バリヤ層、および部分的に加水分解された酢酸ビニルポリマーもしくは共重合体、または改質ポリオレフィンで形成された水分バリヤ層を含んだ多層フィルム、もまた知られている。このようなフィルムは、食品包装容器の製造に有用であることが見出されている。
【0011】
5層の塩素を含まない造瘻パウチフィルムもまた知られている。このようなフィルムは、Gioriの、米国特許第7,270,860号明細書(これを参照することによって本明細書の一部とする)中に開示されており、アモルファスポリアミド、および無水物で変性されたオレフィンポリマーもしくは共重合体を含む混合物または配合物で形成された、コアの臭気バリヤ層を有している。また、このフィルムは、コア層の両面上の2層の接合層、および2層EVAもしくはEVA系表面層も含んでいる。
【0012】
更に他のフィルムが、欧州特許第0700777号明細書中に開示されており、塩素を含まない構成であって、実質的に酸素を透過しない塩素を含まない有機ポリマーのガスバリヤ層、2層の接合層であって、それぞれがこのバリヤ層の一方の面に接触している接合層、内側表面層、外側表面層、ならびに表面層と接合層との間に位置する2層の中間層、を有している。この中間層は、200MPa未満、好ましくは150MPa未満の曲げ弾性率(ASTM D−882に従って測定した)を有するエチレン−プロピレン共重合体である。
【0013】
これらのフィルムは、塩素を含まず、そして従って、環境の安全性の点では所望の目標を達成するが、これらは、水分および臭気バリヤ性、引裂き強度、快適性および「静音性」を含めた物理的性質の所望の組み合わせを完全には実現しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、悪臭誘発性化合物へのバリヤを与える、造瘻製品における使用のための、塩素を含まない、多層フィルムへの要求が存在する。望ましくは、そのようなフィルムおよびそれから作られる製品は、高湿度の用途においてさえも、長時間に亘り、高いバリヤ性能の特徴を維持する。なお更に望ましくは、そのようなフィルムおよびそれから作られる製品は、高い引裂き強度を示し、そしてその製品は、使用中に「静音性」を示す。
【課題を解決するための手段】
【0015】
種々の態様による多層フィルムは、塩素を含まないフィルムであり、これは、造瘻袋用の塩素含有フィルムの臭気バリヤ、引裂き強度、および静音性に匹敵する、またはそれよりも良好な、臭気バリヤ、引裂き強度、および静音性を与えることができる。更に、驚くべきことに、本多層フィルムは、選択された内側層を含み、そして、バリヤ層へのより低い接着性を有する特別な接合層配合を用いることによって、Gioriの米国特許第7,270,860号明細書中に開示されたような、従来の塩素を含まない多層フィルムよりも、向上した引裂き強度、および向上した外観と組織構造上の(「外観と感触」)品質を与えることができる。
【0016】
1つの態様では、多層の、塩素を含まないフィルムは、造瘻袋またはパウチの製造に用いられる。このフィルムは、第1および第2の面を有するバリヤ層、接合層、内側層ならびに外側層を含んでいる。このバリヤ層は、バリヤ層中に約65質量%〜約100質量%の濃度で存在する、塩素を含有しないアモルファスポリアミド樹脂ならびに、バリヤ層中に約0質量%〜約35質量%の濃度で存在する、無水マレイン酸変性オレフィンもしくはエポキシ変性オレフィン、から形成される。更に、バリヤ層は、実質的に、悪臭誘発性化合物を透過しない。第1および第2の接合層は、無水マレイン酸グラフト樹脂で形成されており、この樹脂は、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、エチレン−オクテンポリマーおよびスチレンブロック共重合体の1種もしくは2種以上である。それぞれの接合層は、バリヤ層の表面に接触している。第1および第2の内側層は、エチレンプロピレン共重合体(ポリプロピレンエラストマー)系樹脂、エチレン−オクテン系樹脂、およびそれらの混合物の1つで形成される。それぞれの内側層は、それぞれの接合層に接触している。第1および第2の外側層は、エチレンビニルアセテートまたはエチレンメチルアクリレート共重合体およびそれらの混合物、ならびにプロピレン系樹脂およびそれらの混合物、で形成されている。外側層は、それぞれの内側層と接触している。
【0017】
他の態様では、塩素を含まない、多層フィルムは、バリヤ層、少なくとも1層の接合層、少なくとも1層の内側層、および少なくとも1層の外皮層を含んでいる。バリヤ層は、バリヤ層の約65質量%〜約100質量%の濃度で存在するアモルファスポリアミド樹脂、およびバリヤ層の約0質量%〜約35質量%の濃度で存在する無水マレイン酸変性もしくはグリシジルメタクリレートグラフト樹脂で形成される。バリヤ層は、悪臭誘発性化合物を実質的に透過しない。少なくとも1層の内側層は、エチレンプロピレン共重合体(ポリプロピレンエラストマー)系樹脂、エチレン−オクテン系樹脂およびそれらの混合物の1つで形成される。少なくとも1層の接合層は、バリヤ層と少なくとも1層の内側層の間に配置されて、バリヤ層と少なくとも1層の内側層との間の接着を促進する。少なくとも1層の接合層は、無水マレイン酸変性樹脂またはグリシジルメタクリレートグラフト樹脂で形成され、この樹脂は、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、エチレン−オクテンポリマーおよびスチレンブロック共重合体の1種もしくは2種以上である。最後に、少なくとも1層の外皮層は、少なくとも1層の内側層に隣接して配置される。少なくとも1層の内側層は、エチレンビニルアセテートもしくはエチレンメチルアクリレート共重合体およびそれらの混合物、ならびにポリプロピレン系樹脂およびそれらの混合物から形成される。
【0018】
更に他の態様では、バリヤ層、少なくとも1層の外皮層、および少なくとも1層の接合層を含んだ、塩素を含まない多層フィルムが提供される。バリヤ層は、悪臭誘発性化合物を実質的に透過せず、バリヤ層の約65質量%〜約100質量%の濃度で存在するアモルファスポリアミド樹脂、およびバリヤ層の約0質量%〜約35質量%の濃度で存在する無水マレイン酸変性もしくはグリシジルメタクリレートグラフト樹脂で形成される。少なくとも1層の外皮層は、エチレンビニルアセテートもしくはエチレンメチルアクリレート共重合体およびそれらの混合物、ならびにポリプロピレン系樹脂およびそれらの混合物を含んでいる。少なくとも1層の接合層は、約0.030質量%〜約0.080質量%の範囲の無水マレイン酸含有量を含む無水マレイン酸変性樹脂で形成され、この樹脂は、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、エチレン−オクテンポリマー、およびスチレンブロック共重合体の1種もしくは2種以上である。少なくとも1層の接合層は、バリヤ層と少なくとも1層の外皮層との間に配置される。幾つかの態様では、本フィルムはまた、少なくとも1層の接合層と少なくとも1層の外皮層との間に配置された少なくとも1層の内側層を含むことができる。エチレンプロピレン共重合体(ポリプロピレンエラストマー)系樹脂、エチレン−オクテン系樹脂およびそれらの混合物を含んだ、少なくとも1層の内側層。このような態様では、少なくとも1層の接合層が、バリヤ層と少なくとも1層の内側層との接着を促進する。
【0019】
バリヤ層、少なくとも1層の接合層、および少なくとも1層の外皮層を有する上記の多層フィルムのいずれか1つは、外皮層/接合層/バリヤ層/接合層/外皮層を含んだ5層フィルム構造を有することができる。バリヤ層、少なくとも1層の接合層、少なくとも1層の内側層、および少なくとも1層の外皮層を有する上記の多層フィルムのいずれかの1つは、外皮層/接合層/バリヤ層/接合層/内側層を含んだ5層フィルム構造を有することができる。態様によっては、多層フィルムは、内側層/接合層/バリヤ層/接合層/内側層を含んだ5層構造を有することができる。更に、上記の多層フィルムのいずれか1つは、外皮層/内側層/接合層/バリヤ層/接合層/内側層/外皮層を含んだ7層フィルム構造を有することができる。
【0020】
上記の態様のいずれか1つによる多層フィルムは、ASTM D19222−09によって測定された、機械方向で、少なくとも約200g/ミルのエルメンドルフ引裂き強さを有している。
【0021】
更に、上記の多層フィルムのいずれか1つは、約75質量%〜約95質量%の範囲のアモルファスポリアミド、および約5質量%〜約25質量%の無水マレイン酸グラフトエチレンエチルアクリレート共重合体の混合物から形成されたバリヤ層;ならびに、エチレン−プロピレンゴムとポリプロピレンとの無水マレイン酸がグラフトされた混合物から形成された少なくとも1層の接合層を含むことができる。このような多層フィルムの接合層は、約0.030質量%〜約0.080質量%の範囲の無水マレイン酸含有量を有することができる。
【0022】
更に、上記の多層フィルムのいずれか1つは、エチレンプロピレン共重合体およびポリプロピレン−エラストマーの混合物で形成された内側層、ならびにエチレンビニルアセテートおよびPP−エラストマーを含む混合物で形成された外皮層を含むことができる。
【0023】
更に、上記の多層フィルムのいずれか1つは、外皮層/内側層/接合層/バリヤ層/接合層/内側層/外皮層の構造を有する7層フィルムであることができる。多層フィルムは、約30μm〜約130μmの範囲の総厚さを有することができ、2層の外皮層および2層の内側層の厚さは、このフィルムの総厚さの約70%〜約95%の範囲である。多層フィルムは、約75質量%〜約95質量%の範囲のアモルファスポリアミドと、約5質量%〜約25質量%の範囲の無水マレイン酸グラフトエチレンエチルアクリレート共重合体もしくは無水マレイン酸グラフトエチレンメチルアクリレート共重合体もしくは無水マレイン酸グラフトスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体とを含む混合物から形成されるバリヤ層;エチレン−プロピレンゴムおよびポリプロピレンの無水マレイン酸グラフト混合物、または無水マレイン酸グラフトエチレンメチルアクリレート共重合体、あるいはエチレン−プロピレンゴムおよびポリプロピレンの無水マレイン酸グラフト混合物または無水マレイン酸グラフトエチレンメチルアクリレート共重合体を含む混合物、で形成された接合層;エチレンオクテン(EO)−プラストマー−もしくはPP−エラストマーまたはEO−プラストマーもしくはPP−エラストマーを含む混合物で形成される内側層;ならびにエチレンビニルアセテートまたはエチレンビニルアセテートを含む混合物で形成された外皮層、を含むことができる。
【0024】
更に、上記の多層フィルムのいずれか1つは、バリヤ層に関して対称的であることができる。この多層フィルムは、約2μm〜約6μmの範囲の厚さを有するバリヤ層;それぞれが約2μm〜約6μmの範囲の同じ厚さを有する接合層;それぞれが約6μm〜約24μmの範囲の同じ厚さを有する内側層;それぞれが約6μm〜約30μmの範囲の同じ厚さを有する外皮層、を含むことができる。
【0025】
更に他の態様では、身体排泄物用の造瘻パウチまたは収集用具が、上記の多層フィルムのいずれか1つで形成される。造瘻パウチは、それぞれは、多層フィルムで形成されている2つの側壁、およびこの側壁の1つ上の瘻孔を受け入れる開口部を含んでいる。この2つの側壁は、側壁の周辺端部に沿って互いに熱シールされていて、造瘻パウチを形成する。
【0026】
他の態様、目的および利点は、添付の図面と併せた以下の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
【0027】
本態様の利益および利点が、以下の詳細な説明および添付の図面を精査することによって当業者に、より容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、1つの態様による多層フィルムの断面図である。
【図2】図2は、例示的な造瘻パウチの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書の開示では、種々の形態の態様が可能であるが、この開示は、例示と考えるべきであって、この開示を、例示した具体的な態様に限定することを意図してはいないことを理解した上で、図面が示され、そしてこれ以降に目下の好ましい態様が記載される。
【0030】
図面、特には図1を参照すると、1つの態様による塩素を含まない多層フィルム10が示されている。フィルム10は、塩素を含まないポリマーから形成されたガスバリヤ層12を含んでおり、これは造瘻パウチが通常遭遇する悪臭誘発性化合物を実質的に透過しない。そのような悪臭誘発性化合物としては、硫黄含有化合物およびインドールを挙げることができる。硫黄含有化合物の例としては、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジエチルジスルフィド、硫化水素、およびメチルメルカプタンが挙げられる。インドールおよび他の悪臭誘発性化合物の例としては、3−メチルインドールおよびメタンチオールが挙げられる。他の化合物も、当業者は把握することができるであろう。
【0031】
フィルム10は、図1中に示されているように、7層のフィルムである。バリヤ層12の両面上に、接合層14、16がある。接合層は、バリヤ層の、フィルム構造の残りとの接着を促進する。第1および第2の内側層18、20は、接合層14、16のそれぞれに隣接して存在している。内側層は、フィルムに、引裂き強度を与え、一方で、同時に、「静音性の」、例えば低dB(A)水準のフィルム、を達成することを促進させる。最外層は、シールおよび外皮層22、24であり、これらは第1および第2の内側層18、20にそれぞれ隣接している。シールおよび外皮層は、良好な熱シール性を与え(パウチまたは袋を形成するため)、そしてまた使用者の皮膚に対する適用において快適である。従って、フィルムは、ABCDCBA構造を有しており、ここでAは、外皮/シール層を表し、Bは、第1および第2の内側層を表し、Cは、接合層を表し、そしてDは、バリヤ層を表す。この態様のフィルム10は、7つの層を含んでいるけれども、他の態様では、多層バリヤフィルムは、7層超または7層未満を含むことができる。例えば、本明細書の開示による多層フィルムは、バリヤ層、2層の接合層、内側層、および2層の外皮層(すなわち、ABCDCA)を含む6層のフィルム、あるいは、バリヤ層、2層の接合層および2層の外側層(すなわち、ACDCA、BCDCBまたはACDCB)を含む5層のフィルムであることができる。
【0032】
<バリヤ層>
バリヤ層12は、種々の材料から形成することができる。好適なバリヤ層材料としては、樹脂、例えば、アモルファスポリアミド(ナイロン)樹脂、および無水物変性オレフィン系ポリマーもしくは共重合体、またはエポキシ変性オレフィンポリマーもしくは共重合体が挙げられる。このようなアモルファスポリアミドは、部分的に芳香族系の構造を有しており、そして典型的には、脂肪族ジアミンの芳香族二塩基酸との縮合、または二塩基酸の、用いられたジアミンとのモル等量での組み合わせによって生成される。部分的に芳香族系のナイロン、例えば6I/6T、MXDI/6I、MXD6/MXDI(ここで、Iはイソフタル酸であり、Tはテレフタル酸であり、6はヘキサメチレンジアミン、およびMXDはメタキシレンジアミンである)が好適である。種々のアモルファスポリアミド樹脂を用いることができることが信じられるけれども、DuPont Companyから、Selar(登録商標)として市販されているポリアミド樹脂、例えば、Selar(登録商標)PA3426で、効果的な結果が得られている。Selar(登録商標)PA3426は、約1.19g/cm(g/cc)の密度および約127℃のガラス転移温度(乾燥)を備えた、実質的に無定形であると理解されている。これは、高い溶融強度を有しており、そして慣用の結晶性ナイロンよりも、広い範囲の加工条件下で用いることができる。
【0033】
同様の性質を有する代替のアモルファスナイロンとしては、EMS-Chemie(サウスカロライナ州、サムター)から商業的に入手可能な、Grivory(登録商標)、例えばGrivory(登録商標)G21がある。Grivory(登録商標)G21は、約1.18g/cm(g/cc)の密度、および約128℃のガラス転移温度(乾燥)を有している。他の代替のアモルファスナイロン樹脂としては、Grivory(登録商標)HB5299があり、これは、約1.2g/ccの密度および約95℃のガラス転移温度(乾燥)、および約219℃の融点温度を有している。
【0034】
バリヤ層12は、エチレンプロピレンゴム(EPR)およびポリプロピレン(PP)の無水マレイン酸グラフト混合物(例えば、三菱のZelas(登録商標)MC721 AP);または、無水マレイン酸をグラフトした、もしくは共重合した、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)または他のポリオレフィン(例えば、ArkemaのLotader(登録商標)4720、DuPontのBynel(登録商標)、LyondellbassellのPlexar(登録商標));または、グリシジルメタクリレート(GMA)グラフトポリエチレン(PE)、EMA、または他のオレフィン(例えば、ArkemaのLotader(登録商標);または無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体もしくは他のスチレンブロック共重合体、と配合もしくは混合された、アモルファスポリアミド樹脂で形成することができる。好ましい態様の1つでは、バリヤ層12は、アモルファスポリアミドと無水物変性オレフィンポリマーもしくは共重合体との混合物で形成される。そのような態様では、アモルファスポリアミド樹脂は、この混合物の主要な構成物質であり、この混合物の約65質量%〜約100質量%、好ましくは約75質量%〜約95質量%を構成する。無水物変性オレフィン系ポリマーもしくは共重合体は、バリヤ層の、約0質量%〜約35質量%、好ましくは約5質量%〜約25質量%を構成する。
【0035】
無水物変性オレフィン系ポリマーもしくは共重合体は、約0.01質量%〜約2質量%の不飽和カルボン酸無水物(相溶化剤として作用)で変性した(グラフトした、または共重合した)、エチレンと少なくとも1種のエステルを含有したコモノマーとの共重合体、またはそれらの混合物、であることができる。また、無水物変性オレフィン系ポリマーもしくは共重合体は、約0.01%~約2%のそのような無水物でグラフト、もしくは共重合された、エチレンおよびアルファ−オレフィンの共重合体、あるいはそれらの混合物であることができる。
【0036】
オレフィン系ポリマーまたは共重合体は、不飽和カルボン酸無水物との共重合またはグラフト化によって官能化することができる。他の不飽和カルボン酸無水物を、官能基を与えるために用いることができると信じられるけれども、無水マレイン酸は、この目的に特に効果的であると考えられる。オレフィン系ポリマーを官能化するのに必要な無水マレイン酸の水準は、極めて低く、通常は、約2質量%未満である。
【0037】
無水物変性共重合体の1つの例は、約0.01質量%〜約2質量%の範囲の不飽和カルボン酸無水物をグラフトされた、もしくは共重合された、エチレンおよび少なくとも1種のエステル含有コモノマー、またはそれらの混合物から形成され、この無水物含有量は、好ましくは約0.5質量%未満である。このエステル含有コモノマーは、好ましくはアルキルアクリレート、最も好ましくはエチルアクリレートである。このようなコモノマーの1つは、フランスのArkema, Inc.から、Lotader(登録商標)4720の名称で、入手可能である。Lotader(登録商標)4720は、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体であり、0.944g/ccの密度、約30質量%のエチルアクリレート含有量および約0.3質量%の無水マレイン酸含有量を備えている。他のそのような無水マレイン酸グラフト共重合体としては、Arkemaから、Lotader(登録商標)4603として入手可能な、エチレンメチルアクリレート−無水マレイン酸ポリマーがある。
【0038】
同様な性能が、匹敵する低密度を共有する共重合体の、他の無水物変性オレフィン系ポリマー、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、および三元共重合体(EPM、EMAおよびEPDM)で達成することができる。EPMおよびEPDMは、0.85〜0.86g/ccの範囲の密度を有しており、全てが無水マレイン酸での変性に好適である。
【0039】
また、アモルファスナイロンと無水マレイン酸(MAH)がグラフトされたスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体(無水マレイン酸がこの共重合体の約1.0%の濃度で存在する)との混合物が、バリヤ層には好適であることが見出された。このような混合物では、アモルファスナイロンは、バリヤ層の約85質量%の比率で存在しており、そしてMAHグラフトSEBS共重合体は、約15質量%の濃度で存在する。このような樹脂は、所望の悪臭バリヤ性および引裂き強度を与える。例示的なSEBS共重合体としては、Kraton Polymers US, LLCから商業的に入手可能な、Kraton(登録商標)FG1924があり、そしてアモルファスナイロンは、例えば、上記のSelar(登録商標)PA3246であることができる。
【0040】
また、MAH以外の官能基も、バリヤ層の樹脂中に用いることができることが信じられる。例えば、エチレンおよび他のモノマーと共重合された、グリシジルメタクリレート(GMA)などのエポキシ官能性ゴムを用いることができる。このような樹脂としては、ArkemaからLotader(登録商標)AX8920として入手可能なエチレン−メチルアクリレートグリシジルメタクリレート(E−MA−GMA)、およびこれもArkemaからLotader(登録商標)AX8840として入手可能なエチレン−グリシジルメタクリレート(E−GMA)がある。
【0041】
<接合層>
接合層14、16は、同じ材料または異なる材料で形成することができる。図1の態様では、接合層14、16は、同じ材料から配合されている。接合層のために好適な材料としては、EPRおよびPPのMAHグラフト混合物(例えば、三菱のZelas(登録商標)MC721 AP);MAHがグラフトもしくは共重合されたEMA、EVA、EBA、EEAまたは他のポリオレフィン(例えば、ArkemaのLotader(登録商標)、DuPontのBynel(登録商標)、LyondellbassellのPlexar(登録商標));MAHグラフトポリプロピレン(PP)濃縮物(例えば、DuPontのBynel(登録商標))の、エチレン−プロピレン−共重合体(PP−エラストマー)(例えば、ExxonのVistamaxx(登録商標)、DowのVersify(登録商標)),エチレン−オクテン(EO)プラストマー(例えば、ExxonのExact(登録商標)、DowのAffinity(登録商標))、EMA(例えば、ArkemaのLotryl(登録商標))、または他のポリオレフィンとの混合物;あるいは、GMAがグラフトされたPE、EMAまたは他のポリオレフェイン(例えば、ArkemaのLotader(登録商標))、が挙げられるが、それらには限定されない。オレフィン系熱可塑性エラストマー(EPRゴム)、MAHグラフトEMA共重合体、EMAとMAHがグラフトされた直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、PE、EVA共重合体との混合物、または官能性無水物基で変性されたエチレン、が特に好適であると信じられる。
【0042】
接合層として好適な材料の1つとしては、共重合体の約18.5質量%で存在するメチルアクリレートを有する、約80%のEMA共重合体、およびMAH−LLDPEポリマーの約0.8%〜1.1%で存在する無水マレイン酸を有する、約20%の、MAHがグラフトされた直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の混合物がある。このようなEMAポリマーの1つは、Arkema Inc.からLotryl(登録商標)18MA02として入手可能である。この樹脂は、87℃の融点温度および25のショア硬度を有する。MAHグラフトLLDPEの1つは、DuPont CompanyからBynel(登録商標)CXA41E710の名称で入手可能である。
【0043】
更に他の好適な材料としては、樹脂の約0.3%で存在する無水マレイン酸および約20%で存在するメチルアクリレートを有する、MAHがグラフトされたエチレンメチルアクリレート共重合体(EMA)がある。そのような材料の1つが、Arkema Inc.から、Lotader(登録商標)4503として入手可能であり、そして78℃の融点温度および25のショアD硬度を有している。
【0044】
接合層のための他の好適な材料としては、Mitsubishi Chemical Co.から、Zelas(登録商標)MC721 APとして入手可能な、EPRとPPのMAHがグラフトされた混合物がある。この樹脂は、158℃の融点温度、75のショアA硬度、および0.89の比重を有している。この樹脂は、高い機械的強度を与え、そしてバリヤ層を、内側層および外皮/シール層へと接合または接着するように作用する。
【0045】
好適であると予想される更に他の材料としては、エポキシ官能性ゴム、例えばエチレンおよび他のモノマーと共重合された上記のグリシジルメタクリレート(GMA)、例えば、E−MA−GMA(Lotader(登録商標)AX8920)およびE−GMA(Lotader(登録商標)AX8840)がある。
【0046】
<内側層>
第1および第2の内側層18、20は、同じ材料または異なる材料から配合することができる。図1の態様では、第1および第2の内側層18、20の両方が、同じ材料で形成されている。内側層18、20は、フィルム10に機械的(引裂き)強度を与え、そしてまたフィルム10に静音性を与える。エチレン系ポリマー、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)共重合体、エチレン−オクテン(EO)プラストマー、およびエチレン−プロピレン(EP)共重合体(PP−エラストマー)は、内側層のための好適なフィルム形成材料である。好適な材料としては、約8%〜30%、そして好ましくは約10%〜約25%のビニルアセテート含有量、約86℃の融点温度、および約91のショアA硬度を有する、エチレンビニルアセテート(EVA)共重合体、例えばExxonMobil Corporationから入手可能なEscorene(登録商標)FL00218がある。
【0047】
他の好適な材料としては、約95℃の融点温度および約0.902の比重を有するEOプラスター、例えば、これもまたExxonMobil Corporationから入手可能なExact(登録商標)0203樹脂があり、これは約0.88の比重および約95のショアA硬度を有している。この樹脂は、単層および多層共押出キャストフィルム用途用に設計されており、そして強靭さおよび熱シール性能を必要とされる用途に好適である。典型的な用途としては、工業用包装用のフィルムが挙げられる。
【0048】
更に他の好適な樹脂としては、エチレン−プロピレン共重合体(PP−エラストマー)樹脂があり、これは低い溶融流れ速度を示し、これをフィルム用途および熱シールに好適なものとしている。エチレン−プロピレン共重合体は、低い弾性率を有し、そして従って、低ノイズ特性を示す。そのような材料の1つが、Dow Chemicalから、Versify(登録商標)2200として入手可能である。エチレン−プロピレン共重合体は、PPおよびPEと優れた相溶性を有している。この樹脂は、約82℃の融点、94のショアA硬度、および42のショアD硬度を有している。この樹脂は、0.878の比重を有している。種々のPP共重合体樹脂の混合物もまた、好適であることが見出され、例えば、Versify(登録商標)2200とVersify(登録商標)3400との混合物であり、後者は同様のPP共重合体樹脂であるが、しかしながら約97℃のより高い融点、72のショアA硬度、および22のショアD硬度、および約0.865の比重を有している。好適な混合物は、この混合物の約50質量%〜約75質量%のVersify(登録商標)2200の比率を有している。PP−エラストマー、例えばDowのVersify(登録商標)、ExxonのVistamaxx(登録商標)、およびMitsuiのNotio(登録商標)もまた好適である。
【0049】
<シール/外皮層>
シールおよび外皮層22、24は、同様に、同じまたは異なる材料で形成することができる。図1の態様では、シール/外皮層22、24は、同じ材料で形成されている。これらの層は、典型的には、エチレン系ポリマーもしくは共重合体で形成される。好適な樹脂としては、例えば、エチレンのビニルエステルとの共重合体、例えばビニルアセテート共重合体(EVA)およびエチレンメチルアクリレートの共重合体(EMA)が挙げられる。EVA共重合体は、この共重合体の、約10質量%〜35質量%、より好ましくは約18質量%のビニルアセテートを含んでいる。材料の1つが、ExxonMobilから、Escorene(登録商標)Ultra FL00218として入手可能である。このような材料は、86℃の融点温度および約91のショアA硬度を有している。EVA系材料は、この材料から作られた造瘻パウチを用いる人に、向上した快適性を提供する。また、EVAは、他のEVA部材と、熱シールによって接合するために必要な特徴を示していて、接合またはシールにおいて、気密の、液密のシールを与える。EVA材料は、成形およびフィルム押出しを促進するように混合することができる。例えば、EVA混合物は、EVA担体中に、約2%のブロッキング防止およびスリップ添加剤を備えた、約98質量%のEVAを有することができる。好適な添加剤の1つが、A. Schulman Inc.からPolybatch(登録商標)SAB-1982VAとして入手可能である。
【0050】
EMA共重合体は、この共重合体の、約10質量%〜約35質量%のメチルアクリレート、そして好ましくは約18.5質量%〜約30質量%のメチルアクリレートを含んでいる。そのようなEMA共重合体は、典型的には、約85℃〜87℃の融点温度および約73のショアA硬度および約20〜25のショアD硬度を有している。好適な材料が、Arkema Inc.から、Lotryl(登録商標)18AM02として、DuPontからElvaloy(登録商標)1330ACとして入手可能である。また、EMA樹脂は、EVA担体中のブロッキング防止およびスリップ添加剤と混合することができる。混合に好適な材料の1つは、前述のPolybatch(登録商標)SAB-1982VAである。このような混合物は、例えば、約2%のPolybatch(登録商標)SAB-1982VAブロッキング防止およびスリップ添加剤を備えた、約98質量%のEMAを有することができる。
【0051】
上記で説明したように、他の好適なシールおよび外皮層が、EVA共重合体(49%で存在するEscorene(登録商標)FL00218)およびPP−エラストマー(49%で存在するVersify(登録商標)2200)と、ブロッキング防止およびスリップ添加剤との混合物、ならびにEMA(49%で存在するElvaloy(登録商標)1330AC)およびPP−エラストマー(49%で存在するVersify(登録商標)2200)と、これもまたブロッキング防止およびスリップ添加剤との混合物として形成される。PP−エラストマー、例えば、DowのVersify(登録商標)、ExxonのVistamaxx(登録商標)、MitsuiのNotio(登録商標)もまた好適である。
【0052】
<多層フィルム>
多層フィルム、例えばフィルム10は、対称型のフィルムであることができる。すなわち、バリヤ層の対峙する面上の層、すなわち接合層、内側層ならびにシールおよび外皮層は同じである。また、種々の層の厚さは同じであることができる。好ましいバリヤ層は、約2ミクロン〜約6ミクロン(μm)の厚さを有しており;好ましい接合層は、約2μm~約6μmの厚さを有しており;好ましい内側層は、約6μm〜約24μmの厚さを有しており;そして好ましいシール/外皮層は、約6μm〜約30μmの厚さを有している。従って、全体のフィルムは、約30μm〜約126μmの厚さを有している。1つの態様では、フィルム10は、約3μm〜5μmの範囲、好ましくは約4μmの厚さを有するバリヤ層12;それぞれの接合層は約2μm〜約5μmの範囲、好ましくは約3μm〜約4μmの範囲の厚さを有している接合層14、16;それぞれの内側層は、約10μm〜約17μmの範囲、好ましくは約13μm〜約15μmの範囲の厚さを有している内側層18、20;ならびにそれぞれの外皮/シール層は、約12μm〜約22μmの範囲、好ましくは約18μm〜約19μmの範囲の厚さを有している外皮/シール層22、24、を含んでいる。従って、この態様のフィルム10は、約51μm〜約93μmの範囲、好ましくは約72μm〜約80μmの範囲の厚さを有している。
【0053】
本フィルムは、共押出シートとして形成される。バリヤ層12、2層の接合層14、16、内側層18、20、ならびにシールおよび外皮層22、24に用いられる異なる熱可塑性樹脂は、それぞれの押出機中に連続的に供給され、その押出機中で溶融し、そしてフィードブロックまたは結合アダプタからダイ中へと移送され、ここでは異なるポリマーが、1つの層が他の層の上に、かつ接着して、ダイの隙間から排出される。このような共押出プロセスまたはそのようなフィルムを形成する他のプロセスは、当業者には理解されるであろう。
【0054】
フィルム10は、例えば造瘻袋またはパウチ100、例えば図2中に示されたものを作るのに用いることができる。このパウチは、フィルムの2枚のシートから形成され、それらは、熱もしくは他のやり方で、例えば102で互いにシールされて、気密の、液密のパウチを形成する。このパウチの開口部104が、例えば外科的に形成された瘻孔(示されてはいない)への、排泄物のパウチ中への流入のための、適応を可能とさせる。このようなパウチの構成は、前記のGioriの米国特許第7,270,860号明細書が開示するところによることができる。これらのパウチまたは他のよう基の他の構成、ならびに他の用途が、当業者には認識されるであろう。
【実施例】
【0055】
<例および試験結果>
<多層フィルム>
幾つかの異なる7層フィルムの試料を、バリヤ層、接合層、内側層、およびシール/外皮層について樹脂の種々の組み合わせを用いて作製した。機械方向(MD)のエルメンドルフ引裂き強度(g/ミル)および、フィルムの、8〜16000Hzの範囲のノイズスペクトルに亘るノイズレベル(音圧レベル)(デシベル)(平均)を測定した。試料の試験の結果を、下記のテーブル1に示した。
【0056】
対照のフィルムでは、バリヤ層は、アモルファスナイロン(Selar(登録商標)PA3426を85質量%)およびエチレンエチルアクリレート無水マレイン酸共重合体(Lotader(登録商標)4720を15質量%)の混合物から配合した。接合層は、EMA(Lotryl(登録商標)18MA02を80質量%)およびMAHグラフトLLDPE(Bynel(登録商標)CXA41E710を20質量%)の混合物から配合した。内側層は、EVA(Escorene(登録商標)FL00218)から配合され、そしてシール/外皮層は、EVA(Escorene(登録商標)FL00218が98質量%)のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)との混合物から配合した。
【0057】
試料1では、バリヤ層は、アモルファスナイロン(Grivory(登録商標)HB5299が85質量%)とSEBS共重合体(Kraton(登録商標)FG1924が15質量%)との混合物から形成し、接合層は、単体の、MAHをグラフトしたEMA共重合体(Lotader(登録商標)4503)から配合し、内側層は、EOプラストマー(Exact(登録商標)0203)から配合し、そしてシール/外皮層は、EMA共重合体(Lotryl(登録商標)18AM02が98質量%)ならびにEVA担体中のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)の混合物から配合した。
【0058】
試料2では、バリヤ層は、アモルファスナイロン(Grivory(登録商標)HB5299が75質量%)とエチレンエチルアクリレート無水マレイン酸共重合体(Lotader(登録商標)4720が25質量%)との混合物から形成し、接合層は、単体の、MAHをグラフトしたEMA共重合体(Lotader(登録商標)4503)であり、内側層は、EOプラストマー(Exact(登録商標)0203)であり、そしてシール/外皮層は、EMA共重合体(Lotryl(登録商標)18AM02が98質量%)ならびにEVA担体中のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)の混合物であった。
【0059】
試料3では、バリヤ層は、アモルファスナイロン(Grivory(登録商標)G21が85質量%)とSEBS共重合体(Kraton(登録商標)FG1924の15質量%)との混合物から形成し、接合層は、単体の、MAHをグラフトしたEMA共重合体(Lotader(登録商標)4503)であり、内側層は、EOプラストマー(Exact(登録商標)0203)であり、そしてシール/外皮層は、EMA(Escorene(登録商標)FL00218が98質量%)のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)との混合物であった。
【0060】
試料4では、バリヤ層は、アモルファスナイロン(Grivory(登録商標)G21が85質量%)とSEBS共重合体(Kraton(登録商標)FG1924が15質量%)との混合物から形成し、接合層は、EPRとPPとの、MAHをグラフトした、単体の混合物(Zelas(登録商標)MC721AP)であり、内側層は、単体の、PP−エラストマー(Versify(登録商標)2200)であり、そしてシール/外皮層は、EMA(Escorene(登録商標)FL00218が98質量%)のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)との混合物であった。
【0061】
試料5では、バリヤ層は、混合されたアモルファスナイロン(Selar(登録商標)PA3426が85質量%)およびエチレンエチルアクリレート無水マレイン酸共重合体(Lotader(登録商標)4720が15質量%)であり、接合層は、EMA(Lotryl(登録商標)18MA02が80質量%)とMAHグラフトLLDPE(Bynel(登録商標)CXA41E710が20質量%)との混合物であり、内側層は、単体のEOプラストマー(Exact(登録商標)0203)であり、そしてシール/外皮層は、EMA(Escorene(登録商標)FL00218が98質量%)のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)との混合物であった。
【0062】
試料6では、バリヤ層は、混合されたアモルファスナイロン(Selar(登録商標)PA3426が75質量%)およびMAHグラフトEMA共重合体(Lotader(登録商標)4603が25質量%)であり、接合層は、単体の、MAHグラフトEMA(Lotader(登録商標)4603)であり、内側層は、単体のEOプラストマー(Exact(登録商標)0203)であり、そしてシール/外皮層は、EMA(Escorene(登録商標)FL00218が98質量%)のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)との混合物であった。
【0063】
試料7では、バリヤ層は、混合されたアモルファスナイロン(Selar(登録商標)PA3426が80質量%)およびMAHグラフトEMA共重合体(Lotader(登録商標)4603が20質量%)であり、接合層は、EPRとPPとの、MAHがグラフトされた、単体の混合物(Zelas(登録商標)MC721AP)であり、内側層は、単体のPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200)であり、そしてシール/外皮層は、EMA(Escorene(登録商標)FL00218が98質量%)のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)との混合物であった。
【0064】
試料8では、バリヤ層は、混合されたアモルファスナイロン(Selar(登録商標)PA3426が80質量%)およびエチレンエチルアクリレート無水マレイン酸共重合体(Lotader(登録商標)4720が20質量%)であり、接合層は、EPRとPPとの、MAHがグラフトされた、単体の混合物(Zelas(登録商標)MC721AP)であり、内側層は、単体のPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200)であり、そしてシール/外皮層は、EMA(Elvaloy(登録商標)1330ACが49質量%)ならびにPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200が49質量%)ならびにEVA担体中のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)であった。
【0065】
試料9では、バリヤ層は、混合されたアモルファスナイロン(Selar(登録商標)PA3426が80質量%)およびMAHグラフトEEA共重合体(Lotader(登録商標)4720が20質量%)であり、接合層は、EPRとPPとの、MAHがグラフトされた、単体の混合物(Zelas(登録商標)MC721AP)であり、内側層は、単体のPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200)であり、そしてシール/外皮層は、EMA(Escorene(登録商標)FL00218が49質量%)とPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200が49質量%)のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)との混合物であった。
【0066】
試料10では、バリヤ層は、混合されたアモルファスナイロン(Selar(登録商標)PA3426が70質量%)およびMAHグラフトEMA共重合体(Lotader(登録商標)4603が25質量%)であり、接合層は、EPRとPPとの、MAHがグラフトされた、単体の混合物(Zelas(登録商標)MC721AP)であり、内側層は、単体のPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200)であり、そしてシール/外皮層は、EMA(Escorene(登録商標)FL00218が98質量%)のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VAが2%)との混合物であった。
【0067】
エルメンドルフ引裂き試験を、ASTM D1922−09、プラスチックフィルムおよび薄いシートの振子法による引裂き伝播抵抗の標準試験法によって測定したエルメンドルフ引裂き性能によって、行なった。
【0068】
フィルムは、3.5インチ×3.5インチの試料を円筒形にして、そしてそれを試験用取付具上に装着し、そこで円筒形の1端を固定し、そして他端を円筒形の軸の周りを、15度の角度で、70サイクル/分で回転させることによって、静音性を試験した。フィルムの曲げによって生じたノイズ発生を、デジタル音量計システムで解析した。比較のために、同じ試験を、塩素化したバリヤを備えた市販の造瘻フィルムで行なった。結果を下記のテーブル1に、dB(A)で測定されたノイズSPLとして示した。このテーブルの中で、dB(A)は、全体的な周波数範囲に亘るノイズの人間の知覚を考慮した重み付き平均であるが、8Hz〜16kHzオクターブ帯域でのdB値は、より高い周波数範囲におけるノイズを示しており、そしてノイズのクリスプ性を表している
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
テーブル1中の結果から分かるように、対照フィルムおよび試料5のフィルムの他は、多層フィルム全てが、比較的に高い引裂き強度213〜513g/ミルおよび比較的に低いノイズレベル(対照および試料5のフィルムを含めて)を示した。EO共重合体およびPP系内側層を有するフィルム(再度、試料5のフィルムを除いて)の性能では、全てが許容できる引裂き強度およびノイズレベルを示した。
【0072】
<単層フィルム>
また、単層フィルムの10個の試料(試料11〜20)を、引裂き強度(機械方向(MD)および横方向(TD)での、g/ミルでのエルメンドルフ引裂き強度)を測定するために試験し、そしてこのフィルムの、8〜16000Hzの範囲のノイズスペクトルに亘る、デシベル(平均)でのノイズレベル(音圧レベル)を測定した。これら単層試料の試験の結果を、下記のテーブル2中に与えた。
【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
試験した単層フィルムを形成するのに用いた樹脂は、7層フィルムについてテーブル1中に列挙した樹脂を含んでおり、更に、多くのエチレン−オクテン(EO)プラストマー、例えばAffinity(登録商標)PL 1880G(99℃の融点温度、0.902の比重)、およびAffinity(登録商標)EG8100G(55℃の融点温度、74のショアA硬度、0.872の比重)を含み、この両方は、Dow Chemicalから入手可能であり;直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、例えば、Nova Chemicalsから入手可能な、Sclair(登録商標)FP-120C(0.922の比重);ならびに、スチレンブロック共重合体、例えば、BASF Corporationから入手可能なStyroflex(登録商標)2G66(65%のスチレンおよびショアA硬度を有する)、を含んでいる。これらの樹脂は、単層フィルム中の混合物中に混合されて、これらのフィルムの引裂き強度を高め、そしてノイズレベルを低下させて、フィルムとしての使用におけ有効性を決定する。
【0076】
試料19および20の単層フィルムでは、ブロッキング防止およびスリップ添加剤(Polybatch(登録商標)SAB-1982VA、2質量%)が、Polybatch SPER6SC(1質量%)、ポリプロピレンホモポリマースリップ剤およびPolybatch ABPP10SC(1質量%)、ホモポリマーPPブロッキング防止剤中の合成シリカ(10%)に置き換えられている。
【0077】
多層フィルムの試験と同様に、単層フィルムの引裂き強度を、ASTM D1922−09、プラスチックフィルムおよび薄いシートの振子法による引裂き伝播抵抗の標準試験法に従って、測定したエルメンドルフ引裂き性能を用いて試験した。また、多層フィルムと同様に、単層フィルムを、3.5インチ×3.5インチの試料を円筒形にして、そしてそれを試験用取付具上に装着し、そこで円筒形の1端を固定し、そして他端を円筒形の軸の周りを、15度の角度で、70サイクル/分で回転させることによって、静音性を試験した。フィルムの曲げによって生じたノイズ発生を、デジタル音量計システムで解析した。比較のために、同じ試験を、塩素化したバリヤを備えた市販の造瘻フィルムで行なった。結果を上記のテーブル2中に、dB(A)で測定されたノイズSPLとして示した。このテーブルの中で、dB(A)は、全体的な周波数範囲に亘るノイズの人間の知覚を考慮した重み付き平均であるが、8〜16kHzオクターブ帯域でのdB値は、より高い周波数範囲におけるノイズを示しており、そしてノイズのクリスプ性を表している。
【0078】
<向上した引裂き強度を有する多層フィルム>
接合層とバリヤ層の間により低い接着力を有する接合層を含んだ多層フィルムの幾つかは、驚くべきことに、接合層とバリヤ層の間により比較的により高い接着性を有する多層フィルムに比べて、より高いエルメンドルフ引裂き強度を示した。それぞれが異なる接着強度を有する、異なる接合層の配合を含む、4つの多層フィルム試料を調整し、そしてエルメンドルフ引裂き強度を試験した。4つの多層フィルムの全てが、図1のフィルム10と同様のフィルム構成を有する7層のフィルムであった。多層フィルム試料のそれぞれは、約85質量%のアモルファスポリアミド(Selar(登録商標)PA3426R)および約15質量%のMAHグラフトEEA共重合体(Lotader(登録商標)4720)の混合物から形成された、約4μmの厚さを有するバリヤ層;2層の接合層、それぞれの接合層は、EPRおよびPPのMAHがグラフトされた混合物から形成され、約3μmの厚さを有しており、ここで接合層配合中のMAHの量は、それぞれの試料で異なっている;2層の内側層、それぞれの内側層は、約65質量%のPPエラストマー(Vistamaxx(登録商標)3980FL)および約35質量%のプロピレンエチレン共重合体(Adflex(登録商標)Q100F)から形成され、約15μmの厚さを有している;2層の外皮/シール層、それぞれの外皮/シール層は、約48.5質量%のEVA(Escorene(登録商標)FL00218)、約48.5質量%のPPエラストマー(Vistamaxx(登録商標)3980FL)、約2質量%のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Schulman(登録商標)SAB 1982VA)、ならびに約1質量%の加工助剤(Schulman(登録商標)AMF705)から形成され、約18μmの厚さを有している、を含んでいた。これらの試料の機械方向(MD)のエルメンドルフ引裂き強度試験の結果を、下記のテーブル3中に示した。
【0079】
【表5】

【0080】
テーブル3中に示したように、フィルム試料R5074は、EPRとPPのMAHがグラフトされた混合物で形成された接合層を含んでおり、ここで接合層配合中のMAHの量は、約0.030質量%であった。同様に、フィルム試料R5076、R5075およびR5061は、EPRとPPのMAHがグラフトされた混合物で形成された接合層を含んでおり、ここで接合層配合中のMAHの量は、それぞれ約0.045質量%、約0.060質量%、約0.080質量%であった。これらの接合層の配合では、接合層とバリヤ層の間の接着性は、MAHの量が増加するに従って増大した(すなわち、約0.080質量%のMAHを含む試料R5061の接合層配合は、接合層とバリヤ層の間の最も強い接着力を有しており、一方で、約0.030質量%のMAHを含む試料R5074の接合層配合は、接合層とバリヤ層の間の最も弱い接着力を有していた)。驚くべきことに、テーブル3中に示したように、7層フィルム試料の機械方向のエルメンドルフ引裂き強度は、接合層中のMAH量の減少と共に、そして接合層の接着強度の低下と共に、増加した。EPRとPPのMAHがグラフトされた混合物の接合層配合は、約0.080質量%未満の量のMAHを含んでおり、そして特には、約0.030質量%〜約0.080質量%の範囲のMAH量、そしてより好ましくは約0.030質量%〜約0.050質量%の範囲のMAH量が、これらの配合物が向上したフィルム引裂き強度を与えるので、好ましい。
【0081】
他の7層フィルム構造を、機械方法のエルメンドルフ引裂き強度について試験し、その結果を下記のテーブル4中に示した。
【0082】
【表6】

【0083】
テーブル4中の全てのフィルム試料は、図1のフィルム10と同様に、対称的な7層フィルムであった。それぞれのフィルム試料は、それぞれの接合層が、同じ厚みを有し、そして同じ材料で形成され、それぞれの内側層が、同じ厚さを有し、そして同じ材料で形成され、そしてそれぞれのシール/外皮層が、同じ厚さを有し、そして同じ材料で形成されるように、構成された。
【0084】
試料フィルム260−2は、約76μmの総厚さを有する7層フィルムであった。このフィルムは、約85質量%のアモルファスポリアミド(Selar(登録商標)PA3426R)および約15質量%のMAHがグラフトされたEEA共重合体(Lotader(登録商標)4720)の混合物で形成された4μmの厚さのバリヤ層;2層の接合層、それぞれは約4μmの厚さを有し、そしてEPRとPPのMAHがグラフトされた混合物(Zelas(登録商標)MC721 AP)で形成されている;ならびに、2層の内側層、それぞれが約13μmの厚さを有し、そしてPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200)で形成されている;ならびに2層の外皮/シール層、それぞれが約19μmの厚さを有し、そして約48.5質量%のEMA(Escorene(登録商標)FL00218)、約48.5質量%のPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200)、約2質量%のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Schulman(登録商標)SAB 1982VA)、および約1質量%の加工助剤(Schulman(登録商標)AMF705)で形成されている、を含んでいた。試料フィルム260−3は、接合層配合が、接合層とバリヤ層の間の接着力を低下させるように変えられた以外は、試料フィルム260−2と同様に構成されていた。試料260−3の接合層のそれぞれは、EPRとPPの配合品のMAHがグラフトされた2種の異なる混合物の混合物(50質量%のZelas(登録商標)MC721APおよび50質量%のZelas(登録商標)7023)で形成された。テーブル4中に示されているように、低減された接着力の接合層配合を含んだ試料260−3は、機械方向で、239g/ミルのエルメンドルフ引裂き強度をもたらし、これは22g/ミルを有する試料260−2よりも有意に大きかった。
【0085】
試料フィルム264−2もまた、約76μmの総厚さを有する7層フィルムであった。このフィルムは、85質量%のアモルファスポリアミド(Selar(登録商標)PA3426R)および15質量%のMAHをグラフトされたEEA共重合体(Lotader(登録商標)4720)の混合物で形成された4μmの厚さのバリヤ層;2層の接合層、それぞれは、約3μmの厚さを有し、そしてEPRとPPのMAHがグラフトされた混合物(Zelas(登録商標)MC721 AP)で形成されている;ならびに、2層の内側層、それぞれは、約15μmの厚さを有し、そして65質量%のPP−エラストマー(Vistamaxx(登録商標)3980FL)および35質量%のプロピレンエチレン共重合体(Adflex(登録商標)Q100F)で形成されている;ならびに、2層の外皮/シール層、それぞれは、約18μmの厚さを有し、そして48.5質量%のEMA(Escorene(登録商標)FL00218)、48.5質量%のPP−エラストマー(Vistamaxx(登録商標)3980FL)、2質量%のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Schulman(登録商標)SAB 1982VA)、および1質量%の加工助剤(Schulman(登録商標)AMF705)で形成されている、を含んでいる。試料フィルム264−3は、試料264−3の接合層のそれぞれが、75質量%の、EPRとPPのMAHがグラフトされた混合物(Zelas(登録商標)MC721AP)、および25質量%のPP−エラストマー(Vistamaxx(登録商標)3980FL)で形成されている以外は、試料フィルム264−2と同様に構成されている。テーブル4中に示されているように、試料フィルム264−3の接合層およびバリヤ層の間の接着力は、試料フィルム264−2のそれよりも低かった。従って、試料フィルム264−3は、試料フィルム264−3の機械方向のエルメンドルフ引裂き強度よりも有意に高い機械方向のエルメンドルフ引裂き強度を有していた。
【0086】
<パネル試験>
7層フィルムを、商業的に入手可能な造瘻パウチ用の他のフィルムとともに、試験パネルによって、定性的な「外観および感触」について評価した。試験パネルは、9人によって構成されており、それらの人達は、造瘻患者に接して働いている看護士または造瘻患者のニーズや要望に詳細な知識を備えたマーケティングの専門家であった。
【0087】
パネルメンバーのそれぞれは、PVDC共重合体バリヤ層を含む慣用の造瘻パウチフィルムの試料;PVDC共重合体バリヤ層を含む他の造瘻パウチフィルム試料、これは「静音性の」フィルムとして商業的に入手可能である;米国特許第7,270,860号明細書中に開示された塩素を含まないフィルムの試料、これは本願譲受人を通して商業的に入手可能である;ならびに本発明の7層フィルムの試料、を提供された。この7層フィルムの試料は、図1のフィルム10と同様の構成を有しており、そして85質量%のアモルファスポリアミド(Selar(登録商標)PA3426R)および15質量%のMAHがグラフトされたEEA共重合体(Lotader(登録商標)4720)で形成された4μmの厚さのバリヤ層;2層の接合層、それぞれは、約4μmの厚さを有し、そしてEPRとPPのMAHがグラフトされた混合物(Zelas(登録商標)MC721AP)で形成されている;ならびに、2層の内側層、それぞれは、約13μmの厚さを有し、そしてPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200)で形成されている;ならびに、2層の外皮/シール層、それぞれは、約19μmの厚さを有しており、そして48.5質量%のEMA(Escorene(登録商標)FL00218)、48.5質量%のPP−エラストマー(Versify(登録商標)2200)、2質量%のブロッキング防止およびスリップ添加剤(Schulman(登録商標)SAB 1982VA)、および1質量%の加工助剤(Schulman(登録商標)AMF705)で形成されている、を含んでいた。
【0088】
それぞれの試料は、8.5インチ×11インチのシートに切断し、試料番号を印したが、その出所は識別されていなかった(すなわち、パネルメンバーは、それぞれの試料の構成や出所は知らなかった)。パネルメンバーは、それぞれの試料を、テーブル5中に示した外観と感触の項目について評価し、そしてそれぞれの資料を1〜10の尺度(1は劣る、そして10は良好である)を用いて等級付けするように求められた。このパネル評価の結果を、下記の表5中に示した。
【0089】
【表7】

【0090】
テーブル5中に示したように、本発明の7層フィルムは、PVDCバリヤ層を含んだ「静音性の」フィルムと匹敵する点数であり、そしてPVDCバリヤ層を含む慣用の造瘻パウチフィルムまたは米国特許第7,270,860号明細書に従ったフィルム(米国特許第7,270,860号明細書に従ったフィルムは、この試料がエンボス加工されていないので、エンボス深さは評価していない)よりも有意に良好な点数であった。しかしながら、仮にエンボスの項目のそれぞれに最も高い点の10点が与えられたとしても、米国特許第7,270,860号明細書に従ったフィルムの合計点数は最大で43点であり、本発明の7層フィルムの合計点数よりも、なお有意に低い。
【0091】
本明細書で参照した全ての特許は、本明細書の本文内に、具体的に示したか否かに拘わらず、参照することによってその全てを本明細書の一部とする。
【0092】
本明細書において、用語「a」または「an」は、単数と複数の両方を含むと理解されなければならない。反対に、複数の品目へのいずれの言及も、適切な場合には、単数をも含んでいる。
【0093】
前述の事項から、本発明の真の精神および新規な概念の範囲から逸脱することなく、多くの修正および変更を実施することができることが認められるであろう。例示した具体的な態様について、如何なる限定も意図されておらず、または意味されてはいないことが理解されなければならない。添付の特許請求の範囲によって、この開示が、そのような修正を、この特許請求の範囲の範囲内に入るように、包含することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造瘻袋もしくはパウチ用の多層の、塩素を含まないフィルムであって、
第1および第2の面を有するバリヤ層、該バリヤ層は、該バリヤ層の約65質量%〜約100質量%の濃度で存在する塩素を含まないアモルファスポリアミド樹脂、および該バリヤ層の約0質量%〜約35質量%の濃度で存在する無水マレイン酸変性オレフィンもしくはエポキシ変性オレフィンで形成され、該バリヤ層は、悪臭誘発性化合物を実質的に透過しない;
第1および第2の接合層、該接合層は、無水マレイン酸がグラフトされた樹脂であり、該樹脂は、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、エチレン−オクテンポリマーおよびスチレンブロック共重合体の1種もしくは2種以上であり、それぞれの接合層は、該バリヤ層の一方の面に接触している;
第1および第2の内側層、該内側層は、エチレンプロピレン共重合体(ポリプロピレンエラストマー)系樹脂、エチレン−オクテン系樹脂およびそれらの混合物の1種であり、それぞれの内側層はそれぞれの接合層に接触している;ならびに
第1および第2の外側層、それぞれの外側層は、エチレンビニルアセテートまたはエチレンメチルアクリレート共重合体およびそれらの混合物、ならびにポリプロピレン系樹脂およびそれらの混合物であり、該外側層は、それぞれの内側層に接触している、
を含んでなるフィルム。
【請求項2】
前記フィルムが、前記バリヤ層に関して対称的である、請求項1記載のフィルム。
【請求項3】
前記バリヤ層が、アモルファスナイロン混合物である、請求項1または2記載のフィルム。
【請求項4】
前記混合物が、アモルファスナイロンおよび無水マレイン酸変性エチレンエチルアクリレート共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項5】
前記アモルファスナイロンが、前記バリヤ層の約75質量%〜約95質量%の濃度で存在する、請求項1〜4のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項6】
前記多層フィルムが、ASTM D19222−09によって測定した、少なくとも約200g/ミルの機械方向のエルメンドルフ引裂き強度を有している、請求項1〜5のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項7】
前記接合層のそれぞれが、エチレン−プロピレンゴムおよびポリプロピレンの無水マレイン酸がグラフトされた混合物で形成され、無水マレイン酸の量が、前記接合層の約0.030質量%〜約0.080質量%の範囲である、請求項1〜6のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項8】
前記バリヤ層が、約75質量%〜約95質量%の範囲のアモルファスポリアミド、および約5質量%〜約25質量%の範囲の無水マレイン酸がグラフトされたエチレンエチルアクリレート共重合体もしくは無水マレイン酸がグラフトされたエチレンメチルアクリレート共重合体、もしくは無水マレイン酸がグラフトされたスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体を含む混合物から形成され;前記接合層のそれぞれが、エチレン−プロピレンゴムおよびポリプロピレンの無水マレイン酸がグラフトされた混合物または無水マレイン酸がグラフトされたエチレンメチルアクリレート共重合体あるいは無水マレイン酸がグラフトされたエチレン−プロピレンゴムが充填されたポリプロピレン共重合体または無水マレイン酸がグラフトされたエチレンメチルアクリレート共重合体を含む混合物で形成され;前記内側層のそれぞれが、EO−プラストマーまたはPP−エラストマーまたはEO−プラストマーもしくはPP−エラストマーを含む混合物で形成され;かつ外皮層のそれぞれが、エチレンビニルアセテートまたはエチレンビニルアセテートを含む混合物で形成される、請求項1〜7のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項9】
前記フィルムが、約30μm〜約130μmの範囲の総厚さを有し、2層の前記外皮層および2層の前記内側層の厚さが、前記フィルムの総厚さの約70%〜約95%の範囲を構成する、請求項1〜8のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の多層フィルムで形成される造瘻パウチであって、
2つの側壁、ここで、該側壁のそれぞれは、請求項1〜9のいずれか1項記載の多層フィルムで形成されている、
該側壁の1つにある瘻孔を受け入れる開口部、
を含んでおり、かつ該2つの側壁は、該側壁の周辺端部に沿って互いに熱シールされている、造瘻パウチ。
【請求項11】
塩素を含まない多層フィルムであって、
バリヤ層の約65質量%〜約100質量%の濃度で存在するアモルファスポリアミド樹脂および、該バリヤ層の約0質量%〜約35質量%の濃度で存在する無水マレイン酸変性もしくはグリシジルメタクリレートグラフト樹脂で形成されたバリヤ層;
少なくとも1層の内側層、該少なくとも1層の内側層は、エチレンプロピレン共重合体(ポリプロピレンエラストマー)系樹脂、エチレン−オクテン系樹脂およびそれらの混合物を含んでいる;
該バリヤ層と該少なくとも1層の内側層との間に配置された少なくとも1層の接合層、該少なくとも1層の接合層は、該バリヤ層と該少なくとも1層の内側層の間の接着を促進させ、該少なくとも1層の接合層は、無水マレイン酸変性樹脂またはグリシジルメタクリレートグラフト樹脂で形成されており、該樹脂は、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、エチレン−オクテンポリマーおよびスチレンブロック共重合体の1種もしくは2種以上である;ならびに
前記少なくとも1層の内側層に隣接して配置された少なくとも1層の外皮層、該少なくとも1層の外皮層は、エチレンビニルアセテートまたはエチレンメチルアセテート共重合体およびそれらの混合物、ならびにプロピレン系樹脂およびそれらの混合物を含んでいる、
を含んでなるフィルム。
【請求項12】
前記フィルムが、ASTM D19222−09によって測定した、少なくとも約200g/ミルの機械方向のエルメンドルフ引裂き強度を有している、請求項11項記載のフィルム。
【請求項13】
前記バリヤ層が、約75質量%〜約95質量%の範囲のアモルファスポリアミド、および約5質量%〜約25質量%の範囲の無水マレイン酸がグラフトされたエチレンエチルアクリレート共重合体の混合物から形成され;前記少なくとも1層の接合層が、エチレン−プロピレンゴムおよびポリプロピレンの無水マレイン酸がグラフトされた混合物で形成された、請求項11または12記載のフィルム。
【請求項14】
前記接合層が、約0.030質量%〜約0.080質量%の範囲の無水マレイン酸含有量を有している、請求項11〜13のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項15】
前記少なくとも1層の内側層が、プロピレンエチレン共重合体およびポリプロピレン−エラストマーの混合物で形成された、請求項11〜14のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項16】
前記少なくとも1層の外皮層が、エチレンビニルアセテートおよびPP−エラストマーを含む混合物で形成された、請求項11〜15のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項17】
前記フィルムが、外皮層/内側層/接合層/バリヤ層/接合層/内側層/外皮層の構造を有する7層フィルムであり、該フィルムが約30μm〜約130μmの範囲の総厚さを有しており、2層の前記外皮層の厚さおよび2層の前記内側層の厚さが、前記フィルムの総厚さの約70%〜約95%を構成である、請求項11〜16のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項18】
前記バリヤ層が、約75質量%〜約95質量%の範囲のアモルファスポリアミドと、約5質量%〜約25質量%の範囲の無水マレイン酸グラフトエチレンエチルアクリレート共重合体または無水マレイン酸グラフトエチレンメチルアクリレート共重合体または無水マレイン酸グラフトスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体とを含む混合物で形成され;前記接合層のそれぞれが、エチレン−プロピレンゴムおよびポリプロピレンの無水マレイン酸がグラフトされた混合物または無水マレイン酸グラフトエチレンメチルアクリレート共重合体あるいは無水マレイン酸グラフトエチレン−プロピレンゴムが充填されたポリプロピレン共重合体または無水マレイン酸グラフトエチレンメチルアクリレート共重合体を含む混合物、で形成され;前記内側層のそれぞれが、EO−プラストマーまたはPP−エラストマーまたはEO−プラストマーもしくはPP―エラストマーを含む混合物で形成され;かつ前記外皮層のそれぞれがエチレンビニルアセテートまたはエチレンビニルアセテートを含む混合物で形成される、請求項11〜17のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項19】
前記フィルムが、前記バリヤ層に関して対称的であり、前記バリヤ層が、約2μm〜約6μmの範囲の厚さを有しており、前記接合層のそれぞれが、約2μm〜約6μmの範囲の同じ厚さを有しており、前記内側層のそれぞれが約6μm〜約24μmの範囲の同じ厚さを有しており、かつ前記外皮層のそれぞれが約6μm〜約30μmの範囲の同じ厚さを有している、請求項11〜18のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項20】
塩素を含まない多層フィルムで形成された造瘻パウチであって、該多層フィルムが、
バリヤ層の約65質量%〜約100質量%の濃度で存在するアモルファスポリアミドと、該バリヤ層の約0質量%〜約35質量%の濃度で存在する無水マレイン酸変性もしくはグリシジルメタクリレートグラフト樹脂とで形成されたバリヤ層、該バリヤ層は悪臭誘発性化合物を実質的に透過しない;
少なくとも1層の内側層、該少なくとも1層の内側層は、エチレンプロピレン共重合体(ポリプロピレンエラストマー)系樹脂、エチレン−オクテン系樹脂およびそれらの混合物の1つである;
該バリヤ層および該少なくとも1層の内側層の間の接着を促進する、該バリヤ層および該少なくとも1層の内側層の間の少なくとも1層の接合層、該少なくとも1層の接合層は、無水マレイン酸変性樹脂またはグリシジルメタクリレートグラフト樹脂から形成され、該樹脂は、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、エチレン−オクテンポリマーおよびスチレンブロック共重合体の1種もしくは2種以上である;ならびに、
該少なくとも1層の内側層に隣接する少なくとも1層の外皮層、該少なくとも1層の内側層は、エチレンビニルアセテートまたはエチレンメチルアクリレート共重合体およびそれらの混合物、ならびにポリプロピレン系樹脂およびそれらの混合物である、
を含んでなる、造瘻パウチ。
【請求項21】
塩素を含まない多層フィルムであって、
バリヤ層の約65質量%〜約100質量%の濃度で存在するアモルファスポリアミドと、該バリヤ層の約0質量%〜約35質量%の濃度で存在する無水マレイン酸変性もしくはグリシジルメタクリレートグラフト樹脂とで形成されたバリヤ層、該バリヤ層は悪臭誘発性化合物を実質的に透過しない;
少なくとも1層の外皮層、該少なくとも1層の外皮層は、エチレンビニルアセテートまたはエチレンメチルアクリレート共重合体およびそれらの混合物、ならびにポリプロピレン系樹脂およびそれらの混合物を含み;ならびに
該バリヤ層および該少なくとも1層の外皮層の間に配置された少なくとも1層の接合層、該少なくとも1層の接合層は、無水マレイン酸変性樹脂であり、該樹脂は、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、エチレン−オクテンポリマーおよびスチレンブロック共重合体の1種もしくは2種以上であり、該少なくとも接合層は、約0.030質量%〜約0.080質量%の範囲の無水マレイン酸含有量を有している、
を含んでなる、フィルム。
【請求項22】
前記少なくとも1層の接合層と前記少なくとも1層の外皮層の間に配置された少なくとも1層の内側層を更に含み、該少なくとも1層の内側層は、エチレンプロピレン共重合体(ポリプロピレンエラストマー)系樹脂、エチレン−オクテン系樹脂およびそれらの混合物を含み、前記少なくとも1層の接合層は、前記バリア層と前記少なくとも1層の内側層の間の接着を促進する、請求項21記載のフィルム。
【請求項23】
前記フィルムが、ASTM D19222−09によって測定した、少なくとも約200g/ミルの機械方向のエルメンドルフ引裂き強度を有している、請求項21または22項記載のフィルム。
【請求項24】
前記バリヤ層が、約75質量%〜約95質量%の範囲のアモルファスポリアミド、および約5質量%〜約25質量%の無水マレイン酸グラフトエチレンエチルアクリレート共重合体で形成され、かつ少なくとも1層の接合層が、エチレン−プロピレンゴムとポリプロピレンの無水マレイン酸がグラフトされた混合物から形成された、請求項21〜23のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項25】
前記フィルムが、外皮層/内側層/接合層/バリヤ層/接合層/内側層/外皮層の構造を有する7層フィルムである、請求鋼21〜24のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項26】
前記フィルムが、外皮層/接合層/バリヤ層/接合層/外皮層の構造または、外皮層/接合層/バリヤ層/接合層/内側層の構造、または内側層/接合層/バリヤ層/接合層/内側層の構造を有する5層フィルムである、請求項21〜24のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項27】
前記フィルムが、約30μm〜約130μmの範囲の総厚さを有し、前記少なくとも1層の外皮層および/または該少なくとも1層の内側層の厚さが、前記フィルムの総厚さの約70%〜約95%の範囲である、請求項21〜26のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項28】
前記バリヤ層が、約75質量%〜約95質量%の範囲のアモルファスポリアミドと、約5質量%〜約25質量%の範囲の無水マレイン酸グラフトエチレンエチルアクリレート共重合体または無水マレイン酸グラフトエチレンメチルアクリレート共重合体または無水マレイン酸グラフトスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体とを含む混合物で形成され;
前記少なくとも1層の接合層が、エチレン−プロピレンゴムおよびポリプロピレンの無水マレイン酸がグラフトされた混合物または無水マレイン酸グラフトエチレンメチルアクリレート共重合体あるいは無水マレイン酸グラフトエチレン−プロピレンゴムが充填されたポリプロピレン共重合体または無水マレイン酸グラフトエチレンメチルアクリレート共重合体を含む混合物で形成され;
前記少なくとも1層の内側層が、EO−プラストマーまたはPP−エラストマーまたはEO−プラストマーもしくはPP−エラストマーの混合物で形成され;かつ
前記少なくとも1層の外皮層が、エチレンビニルアセテートまたはエチレンビニルアセテートを含む混合物で形成された、請求項22〜27のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項29】
2つの側壁、該側壁のそれぞれが、請求項21〜28のいずれか1項記載の多層フィルムで形成されており、
該側壁の1つにある瘻孔を受け入れる開口部、
を含み、かつ
前記2つの側壁が、前記側壁の周辺端部に沿って互いに熱シールされている、
請求項21〜28のいずれか1項記載の多層フィルムで形成された造瘻パウチ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−509913(P2013−509913A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537212(P2012−537212)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/055286
【国際公開番号】WO2011/056861
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(511100486)ホリスター インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】