説明

多層光記録媒体

【課題】入射光を反射し得る界面をN個(N≧5)有する多層光記録媒体に関して、迷光により生じる実用上問題となる多重干渉の防止を図る。
【解決手段】N個の界面から選出したM個(M≦N)の各界面をLi(i=0,1,...,M、このときiの数値が小であるほど光入射面としての最上面からみてより下層側に形成される界面であるとする)と定義し、j<k≦l<m≦Mとおいたとき、界面Ljを対象として波長λによる光が開口数NAの対物レンズで集光された場合にLk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射による迷光を生ぜしめる界面Lk、界面Lm、界面Llと、上記界面Ljとに関して、上記界面Ljと上記界面Lkとの間に形成されるスペーサの厚さの総和Sj〜kと、上記界面Llと上記界面Lmとの間に形成されるスペーサの厚さの総和Sl〜mとの差|Sj〜k−Sl〜m|が、nλ/NA2(nは上記スペーサの屈折率)よりも大であるという条件を満たすようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を反射し得る界面をN個(N≦5)有する多層光記録媒体に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2010−009685号公報
【背景技術】
【0003】
例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などの光記録媒体が広く普及している。
【0004】
このような光記録媒体うち、記録膜を有する記録可能型の光記録媒体については、記録容量の増大化を図るために、記録膜を多数設けるということが行われている。特に近年では、記録膜を3以上有する多層光記録媒体の開発が進んでいる。
【0005】
しかしながら、多層光記録媒体としたときは、いわゆる層間迷光が生じ、多重干渉の発生が問題となる。多重干渉とは、ここでは多層光記録媒体において入射光を反射し得る界面を1回以上反射した異なる2つの光波が干渉し、ディテクタ上で光強度変動を引き起こすことを指し、未記録の領域を含む界面からも発生する。
当然のことながらこのような多重干渉は、再生性能の低下の防止を図るべくその発生防止が図られることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば記録膜の数が3つである3層光記録媒体については、各記録膜間に形成されるスペーサの厚さを異ならせることで、多重干渉の発生を防止することができる。
このことは、3層光記録媒体において、記録膜L0〜L1間のスペーサ(L0は最下層の記録膜であるとする)、記録膜L1〜L2間のスペーサの厚さが同じとされた状態で、上記記録膜L0を再生する場合を想定すれば理解できる。つまりこの場合には、記録膜L0に集光し反射される光(再生光:被干渉光)の光路長と、記録膜L1→記録膜L2(下面側)→記録膜L1の順で反射される光(迷光)の光路長とが等しくなるので、ディテクタ上でこれらの光が干渉して多重干渉を生じさせる。
従って3層光記録媒体の場合には、上記のように各記録膜間に形成されるスペーサの厚さを異ならせることで、被干渉光と迷光との光路長を一致させないようにでき、多重干渉の発生を防止できる。
【0007】
しかしながら、より多層化を進めた光記録媒体、すなわち記録膜を4以上有する多層光記録媒体については、単に各スペーサの厚さを異ならせるだけでは、多重干渉の発生防止を図ることはできないものとなる。
本発明は、このような点に鑑み為されたものであり、入射光を反射し得る界面をN個(N≧5)有する多層光記録媒体に関して、多重干渉による再生性能の低下の防止を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明では、多層光記録媒体として以下のように構成することとした。
すなわち、本発明の多層光記録媒体は、入射光を反射し得る界面をN個(N≧5)有する多層光記録媒体であって、
上記N個の界面から選出したM個(M≦N)の各界面をLi(i=0,1,...,M、このときiの数値が小であるほど光入射面としての最上面からみてより下層側に形成される界面であるとする)と定義し、j<k≦l<m≦Mとおいたとき、界面Ljを対象として波長λによる光が開口数NAの対物レンズで集光された場合にLk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射による迷光を生ぜしめる界面Lk、界面Lm、界面Llと、上記界面Ljとに関して、上記界面Ljと上記界面Lkとの間に形成されるスペーサの厚さの総和Sj〜kと、上記界面Llと上記界面Lmとの間に形成されるスペーサの厚さの総和Sl〜mとの差|Sj〜k−Sl〜m|が、nλ/NA2(nは上記スペーサの屈折率)よりも大であるという条件を満たすものである。
【0009】
ここで、多重干渉を引き起こし得る迷光は、再生の対象とされる界面(界面Lj)に集光し反射された光(被干渉光)と同様に装置側に戻される光であり、従って奇数回反射の迷光となる。
このとき、入射光を反射し得る界面をN個(N≧5)有する多層光記録媒体においては、奇数回反射の迷光として5回以上反射の迷光も生じ得るものとなるが、それら5回以上反射の迷光は、界面での反射ごとにその光強度が減衰されるため、実用上問題となる多重干渉を生じさせる迷光とはならないと見なすことができる。
また、迷光のうち、再生対象とされる界面よりも下層側に形成された界面で反射されたものは、その光路長が必ず被干渉光よりも大となるため、それらの迷光についても実用上問題となる多重干渉を引き起こす迷光から除外できる。
本発明ではこれらの点に基づき、上記のようにLk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射による迷光(再生対象の界面Ljより上層側で3回反射する迷光)を生ぜしめる界面Lk、界面Lm、界面Llと、上記界面Ljとに関して、上記界面Ljと上記界面Lkとの間に形成されるスペーサの厚さの総和Sj〜kと、上記界面Llと上記界面Lmとの間に形成されるスペーサの厚さの総和Sl〜mとの差|Sj〜k−Sl〜m|が、nλ/NA2(つまり対物レンズにより集光される光の記録媒体内での焦点深度)よりも大であるという条件を満たすようにしている。すなわち、被干渉光が通過するスペーサの厚さと、上記3回反射の迷光(実用上問題となる多重干渉を生じさせる虞のある迷光)が通過するスペーサの厚さとに、焦点深度nλ/NA2よりも大となる差を与えるようにしているものである。
ここで仮に、被干渉光が通過するスペーサの厚さと上記3回反射の迷光が通過するスペーサの厚さとの差が焦点深度nλ/NA2以内であると、ディテクタ上における被干渉光と干渉光(3回反射光)との広がりはほぼ変わらないと見なせ、単位面積当たりの振幅強度も低下しないために実用上問題となる多重干渉が生じてしまう。そこで、上記のように被干渉光が通過するスペーサの厚さと上記3回反射の迷光が通過するスペーサの厚さとに焦点深度nλ/NA2よりも大きな差を与えるものとすることで、ディテクタ上における3回反射迷光の単位面積当たりの振幅強度を低下させることができ、実用上問題となる多重干渉の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0010】
上記のようにして本発明によれば、入射光を反射し得る界面をN個(N≧5)有する多層光記録媒体において、実用上問題となる多重干渉の発生を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態の多層光記録媒体の断面構造を示した図である。
【図2】実施の形態の多層光記録媒体についてのサーボ制御の一例について説明するための図である。
【図3】実施の形態の多層光記録媒体の記録再生を行うための光学系の概要を示した図である。
【図4】実用上問題となる多重干渉の発生を防止するための条件について考察するための図である。
【図5】実施の形態の多層光記録媒体の各スペーサの厚さの設定例と、再生対象とする記録膜ごとの干渉による光強度の変動についてのシミュレーション結果とを示した図である。
【図6】実施の形態としての条件を満たさない多層光記録媒体の各スペーサの厚さの設定例と、再生対象とする記録膜ごとの干渉による光強度の変動についてのシミュレーション結果とを示した図である。
【図7】変形例としての多層光記録媒体の断面構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお説明は以下の順序で行うものとする。

<1.多層光記録媒体の断面構造及び記録/再生について>
<2.多重干渉防止のためのスペーサ厚の設定>
<3.変形例>
【0013】
<1.多層光記録媒体の断面構造及び記録/再生について>

図1は、本発明の一実施形態としての多層光記録媒体(多層光記録媒体1とする)の断面構造を示した図である。
本実施の形態の多層光記録媒体1は、ディスク状の光記録媒体とされ、回転駆動される多層光記録媒体1に対するレーザ光照射が行われてマーク記録(情報記録)が行われる。また、記録情報の再生としても、回転駆動される多層光記録媒体1に対してレーザ光を照射して行われる。
なお光記録媒体とは、光の照射により情報の記録/再生が行われる記録媒体を総称したものである。
【0014】
図1に示されるように、バルク型記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、選択反射膜3が形成されると共に、その下層側には、スペーサ4と記録膜Lrcとが繰り返し積層された構造を有する記録層が形成され、さらにその下層側に基板5が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、情報の記録/再生のための光が入射する側の面を上面としたときの上層側を指す。
【0015】
多層光記録媒体1において、上記カバー層2は、例えばポリカーボネートやアクリルなどの樹脂で構成され、図示するようにその下面側には、記録/再生位置を案内するための位置案内子として、グルーブやピット列などの形成に伴う案内溝が形成されることで、凹凸の断面形状が与えられている。この案内溝は、スパイラル状、或いは同心円状に形成されている。
例えば案内溝がピット列で形成される場合、ピットとランドの長さの組み合わせにより位置情報(絶対位置情報:ディスク上での回転角度位置を表す情報としての回転角度情報や、半径位置情報など)が記録される。或いは、案内溝がグルーブとされる場合、当該グルーブを周期的に蛇行(ウォブル)させて形成することで、該蛇行の周期情報により位置情報の記録が行われる。
カバー層2は、例えばこのような案内溝(凹凸形状)が形成されたスタンパを用いた射出成形などにより生成される。
【0016】
また、上記ピット列が形成された上記カバー層2の下面側には、選択反射膜3が成膜される。
なお、この選択反射膜3については後述する。
【0017】
上述のように選択反射膜3の下層側には、記録層が形成される。
該記録層において、スペーサ4は、例えば紫外線硬化樹脂などの接着材料で構成される。
【0018】
また記録膜Lrcは、レーザ光が集光されることでマークが形成され且つ入射光を反射可能に構成された膜となる。例えばこの場合の記録膜Lrcは、反射膜上に相変化膜や色素変化膜などの記録材料が積層されて形成されている。
なお、反射膜を焼き切るなどして反射率を低下させた部分をマーク部分とする記録手法を採られる場合、記録膜Lrcとしては反射材料のみで構成することができるが、その場合も記録膜Lrcとしては入射光を反射し得るものであることに変わりはない。
【0019】
本実施の形態において、記録層内には、Lrc0〜Lrc7までの計8つの記録膜Lrcが形成される。このとき、最下層に形成される記録膜Lrc0には入射光を全反射するように構成された全反射記録膜が用いられ、該記録膜Lrc0を除く記録膜Lrc1〜Lrc7には、入射光の一部を透過するように構成された半透明記録膜が用いられる。
【0020】
また、基板5は、例えばポリカーボネートやアクリルなどの樹脂で構成されている。
【0021】
図1に示すような構造による多層光記録媒体1は、例えば以下のようなプロセスで製造することができる。
先ず、基板5上に、記録膜Lrc0としての全反射記録膜を成膜する。その上で、該記録膜Lrc0上に、スペーサ4→半透明記録膜の繰り返し積層を行って、記録膜Lrc7までを形成する。
一方で、上述したスタンパを用いた射出成形などにより位置案内子の形成に伴う凹凸断面形状の与えられたカバー層2を生成し、該カバー層2の上記凹凸断面形状の与えられた面側に選択反射膜3を成膜する。
このように選択反射膜3が形成されたカバー層2を、上記記録膜Lrc7の上面側に対し、上記選択反射膜3の形成面が対向するように、スペーサ4としての紫外線硬化樹脂を用いて接着する。具体的には、例えば上記記録膜Lrc7上に紫外線硬化樹脂を例えばスピンコート法などにより塗布し、そこにカバー層2の選択反射膜3の形成された面を押し当てた状態で紫外線照射を行うことで、図中に示すように選択反射膜3と記録膜Lrc7とがスペーサ4を隔てて形成された状態を得る。
【0022】
ここで、上記により説明した多層光記録媒体1において、注意すべきは、各記録膜Lrcには位置案内子が形成されていないという点である。
すなわち、現状において普及している2層ディスクなどでは、記録膜ごとに位置案内子を形成するものとされているが、本例の多層光記録媒体1では、位置案内子は記録層とは別の層位置に1つのみ形成するものとしている。
このような構造とすることで、記録膜Lrcごとに位置案内子を形成する構造とする場合のように記録膜Lrcの増加に伴い位置案内子の形成プロセスも増加してしまうという点を解消でき、従って多層化を進めるほど製造プロセスの簡素化、製造コストの削減の面で有利とできる。
【0023】
但し、このように位置案内子の形成層を1つのみとする構造を採った場合には、単純に対物レンズを介して記録/再生のためのレーザ光(以下、録再用レーザ光とも称する)を照射したのみでは、各記録膜Lrcに対する記録時において所定位置にマークを記録することができなくなってしまう。
【0024】
そこで、図1に示すような構造を有する多層光記録媒体1に対しては、次の図2に示されるように、録再用レーザ光と共に、位置制御用のレーザ光としてのサーボ用レーザ光を、共通の対物レンズ16を介して別途照射するようにされる。
【0025】
このとき、仮に、上記サーボ用レーザ光が記録膜Lrcに到達してしまうと、マーク記録に悪影響を与える虞がある。このため、上記サーボ用レーザ光としては、録再用レーザ光と波長帯の異なるレーザ光を用いるものとし、且つ、位置案内子が形成される反射膜としては、サーボ用レーザ光(所定波長帯による光)は反射し、録再用レーザ光(上記所定波長帯以外の波長による光)は透過するという波長選択性を有するように構成された選択反射膜3を用いるものとしている。
【0026】
上記の前提を踏まえた上で、多層光記録媒体1についてのサーボ制御の一例について説明する。
先ず、トラッキングサーボ制御については、記録時と再生時とで異なる手法を採ることになる。
具体的に、マークが未だ形成されていない記録時においては、録再用レーザ光の記録膜Lrcからの反射光に基づいてトラッキングサーボをかけることができないので、記録時における対物レンズ16のトラッキングサーボ制御は、サーボ用レーザ光の選択反射膜3からの反射光に基づき、当該サーボ用レーザ光のスポット位置が位置案内子に追従するようにして行うことになる。
このことで、各記録膜Lrcに位置案内子が形成されていなくとも、記録膜Lrc上の所定の位置(位置案内子としてのトラックの直下となる位置)にマークを記録することができる。
【0027】
一方で、記録膜Lrcに既にマーク列が形成されている再生時においては、記録済みのマーク列を対象としてトラッキングサーボをかけることができる。従って再生時においては、録再用レーザ光の記録膜Lrcからの反射光に基づき、録再用レーザ光のスポット位置が記録済みマーク列に追従するように対物レンズ16のトラッキングサーボ制御を行うことになる。
【0028】
ここで、上記説明からも理解されるように、位置案内子を有する選択反射膜3の形成面は、サーボ用レーザ光に基づく録再用レーザ光の位置制御を行うにあたっての基準となる反射面となる。この意味で、以下、選択反射膜3の形成面のことを、基準面Refと称する。
【0029】
また、フォーカスサーボ制御に関しては、以下の点に留意する。
ここで、記録時には、上記のように基準面Refに形成された位置案内子に基づく対物レンズ17のトラッキングサーボ制御を行うために、サーボ用レーザ光としては基準面Refに合焦している必要がある。また、当然のことながら記録時には、録再用レーザ光は記録対象とする記録膜Lrcに合焦させる必要がある。
このようにして記録時には、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とに関し、それぞれ異なる層位置を対象として別々にフォーカスサーボをかける必要がある。この点より、多層光記録媒体1についての記録再生を行う装置では、対物レンズ16の位置制御を行う2軸アクチュエータとは別途に、録再用レーザ光の合焦位置を独立して制御するための録再光用フォーカス機構を設けることになる。
【0030】
ここで、このような録再光用レーザ光の合焦位置を独立して制御するための機構を含めた、多層光記録媒体1の記録再生を行うための光学系の概要を図3に示しておく。
図3において、図2にも示した対物レンズ16は、図中の2軸アクチュエータ17によって多層光記録媒体1の半径方向(トラッキング方向)、及び多層光記録媒体1に接離する方向(フォーカス方向)に変位可能に保持されている。
【0031】
この図3において、録再用レーザ光の合焦位置を独立して制御するための録再光用フォーカス機構10は、図のように固定レンズ11と、可動レンズ12と、レンズ駆動部13とを備えて成る。レンズ駆動部13は、図示は省略した制御部からの駆動信号に基づき、可動レンズ12を録再用レーザ光の光軸に平行な方向に変位させる。このように可動レンズ12が録再用レーザ光の光軸に平行な方向に駆動されることで、対物レンズ16に入射する録再用レーザ光のコリメーションが変化し、それにより録再用レーザ光の合焦位置をサーボ用レーザ光とは独立して変化させることができる。
【0032】
また、前述のように録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長帯が異なるものとされているので、これに対応しこの場合の光学系では、図中のダイクロイックプリズム15により、録再用レーザ光、サーボ用レーザ光の多層光記録媒体1からの反射光がそれぞれの系に分離されるように(つまりそれぞれの反射光検出を独立して行えるように)している。
また、往路光で考えた場合、上記ダイクロイックプリズム15は、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とを同一軸上に合成して対物レンズ16に入射させる機能を有する。具体的にこの場合、録再用レーザ光は、図示するように録再光用フォーカス機構10(固定レンズ11→可動レンズ12)を介しミラー14で反射された後、上記ダイクロイックプリズム15の選択反射面で反射されて対物レンズ16に対して入射する。一方、サーボ用レーザ光は、上記ダイクロイックプリズム15の選択反射面を透過して対物レンズ16に入射する。
【0033】
このような光学系の構成の下で、フォーカスサーボ制御は以下のようにして行う。
すなわち、サーボ用レーザ光の反射光に基づく対物レンズ16のフォーカスサーボ制御により、サーボ用レーザ光の合焦位置を基準面Refに追従させるようにすると共に、録再用レーザ光の反射光に基づく録再光用フォーカス機構10(レンズ駆動部13)のフォーカスサーボ制御を行うことで、録再用レーザ光の合焦位置を、記録対象とする記録膜Lrc上に追従させるようにする。
【0034】
なお、前述もしたように再生時のトラッキングサーボ制御に関しては、記録済みマーク列を対象として録再用レーザ光の反射光に基づき対物レンズ16を駆動することで行われるので、再生時においては、サーボ用レーザ光を基準面Refに合焦させる必要性はない。この点に鑑み、再生時における対物レンズ16のフォーカスサーボ制御は、録再用レーザ光の反射光に基づき行うようにすることもできる。この場合、録再光用フォーカス機構10は、記録膜Lrcのおおよその選択を行う用途、すなわち録再用レーザ光の合焦位置を大まかに動かす用途で用いるものとすればよい。
【0035】
説明を図1に戻す。
この図1に示される多層光記録媒体1において、入射光を反射し得る界面Liとしては、図中の括弧内に示すようにL0〜L9の計10個を有していることになる。つまり図1に示す多層光記録媒体1は、入射光を反射し得る界面として、N=10の界面を有するものである。
本明細書において、「入射光を反射し得る界面」とは、光を反射する薄膜が形成されている以外に、屈折率がそれぞれ異なる媒質の界面も含まれ、従って多層光記録媒体1の表面sfも、界面Liに包含される。
【0036】
<2.多重干渉防止のためのスペーサ厚の設定>

ここで、本実施の形態では、実用上問題となる多重干渉の発生を防止することができるように、入射光を反射し得る界面間に形成される層(スペーサ)の厚さが設定されることになる。
以下では先ず、図4を参照し、実用上問題となる多重干渉の発生を防止するための条件について考察する。
なお、以下の説明を行うにあたり、次のような定義を行う。
先ず、入射光を反射し得る各界面をLi(i=0,1,...,N)とする。このとき、iの数値が小であるほど下層側に形成される界面であるとする。
また、界面Li-1と界面Liとの間に形成される層の厚さ(スペーサ厚さ)をSi(i=0,1,...,N)とする。
【0037】
以上を踏まえた上で、図4について説明していく。
図4において、図4(a)は、多層光記録媒体1における界面L6(記録膜Lrc6)と界面L7(記録膜Lrc7)との間のスペーサ厚さS7と界面L7と界面L8(基準面Ref)との間のスペーサ厚さS8との和(S7+S8)が、界面L0(記録膜Lrc0)と界面L1(記録膜Lrc1)との間のスペーサ厚さS1と界面L1と界面L2(記録膜Lrc2)との間のスペーサ厚さS2との和(S1+S2)と等しい場合において、界面L0(記録膜Lrc0)を対象とした再生を行う場合に生じることとなる多重干渉を生じさせる迷光(干渉光)を例示している。
また図4(b)は、界面L2(記録膜Lrc2)と界面L3(記録膜Lrc3)との間のスペーサ厚さS3と、界面L3と界面L4(記録膜Lrc4)との間のスペーサ厚さS4とが等しい場合において、界面L2を対象とした再生時に生じる干渉光を例示している。
確認のため述べておくと、図4においては、太実線による矢印が再生対象とする界面Liに集光し反射される光(被干渉光とする)を表し、細線(図4(a)においては細実線及び細破線)による矢印が多重干渉を発生させる干渉光を表している。
【0038】
先ず前提として、実用上問題となる多重干渉の発生を防止するための条件を導くためには、干渉光を生じさせる層範囲が、どこまでかを定める必要がある。具体的に、図1に示したような断面構造を有する多層光記録媒体1であれば、基準面Ref、表面sfを、対象層範囲に含めるか否かを定める必要がある。
【0039】
ここで、前述もしたように基準面Ref(選択反射膜3)としては、記録膜Lrcに対する記録/再生を行うための録再用レーザ光(記録膜Lrcに集光される光)については透過し、サーボ用レーザ光は反射するように構成されるものとなるが、現状において、選択反射膜3の波長選択性は100%とすることが非常に困難であり、実際上は録再用レーザ光は当該選択反射膜3において僅かながら反射されることになる。
この点を踏まえ、本実施の形態では、基準面Refについても対象層範囲に含めるものとしている。
【0040】
また、表面sfにおける反射光成分の光強度は、絶対的には非常に微少なものとなるが、例えば記録膜Lrcを数十個程度に増やした場合には、下層側に形成される記録膜Lrcの反射光ほど表面sfの反射光との相対的な光強度差が小となり、多重干渉の発生防止にあたり、表面sfを経由する迷光が無視できないものとなる可能性が高まる。
記録膜Lrcの数が8である本例の多層光記録媒体1においては、最下層の記録膜Lrc0の反射光の光強度は、表面sfを経由する迷光の光強度に対し十分に大であるものとし、従って本例において、表面sfについては多重干渉防止のためのスペーサ厚さの設定にあたって考慮すべき層範囲からは除外するものとしている。
【0041】
以上の点より本例においては、多層光記録媒体1に形成される入射光を反射し得るN個の界面のうちから、表面sfのみを除いたN−1=M個の界面を選出し、該M個の界面を、実用上問題となる多重干渉の発生防止を図る上で考慮に入れるべき界面に定める。
【0042】
説明を図4に戻す。
先ず、実用上問題となる多重干渉の発生防止を図るにあたっては、3回反射の迷光のみを考慮すればよい。
すなわち、多重干渉を生じさせる可能性の有る迷光としては、必ず奇数回反射の光となるが、それらのうち5回以上反射の迷光については、界面での反射ごとにその光強度が減衰するため、再生信号を得るためのディテクタ上においては実用上問題となる多重干渉を生じさせる光強度には達しないものと見なすことができる。従ってこの点より、実用上問題となる多重干渉の発生防止にあたっては、3回反射の迷光のみを考慮に入れる。
【0043】
また、再生対象とする界面よりも下層側に形成された界面を経由する迷光は、その光路長が必ず被干渉光よりも大となる。このため、3回反射の迷光であっても、このように再生対象とする界面より下層側の界面を経由する迷光については、実用上問題となる多重干渉を引き起こす迷光からは除外することができる。
【0044】
これらの点からも理解されるように、実用上問題となる多重干渉の発生を防止するにあたっては、少なくとも、再生対象とする界面(以下、これを界面Ljとする)よりも上層側に形成された界面を経由する3回反射の迷光の全てについて、それらの光路長が被干渉光の光路長に一致しないように各界面間のスペーサ厚さSを設定すればよいこととなる。
【0045】
ここで、実用上問題となる3回反射の迷光について具体的に考察してみる。
先ず、図4(a)のケースでは、該当する迷光は、図のように界面L6→界面L8→界面L2を反射する迷光(細実線矢印)と、界面L2→界面L8→界面L6を反射する迷光(細破線矢印)となる。
この図4(a)のケースでは、再生対象の界面Ljが界面L0とされ、スペーサ厚さS1+S2=S7+S8となっているので、上記2つの3回反射の迷光の光路長が、被干渉光の光路長と等しくなり、多重干渉を生じさせることになる。
【0046】
このとき、3回反射の迷光が経由する界面を下層側から順にLk、Ll、Lmとおくと、図4(a)のケースにおける3回反射の迷光は、Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)の3つの界面を経由して生じるものと表現できる。
【0047】
一方、図4(b)のケースのように、連続する3つの界面Li-1、Li、Li+1の個々の間隔が等しい(つまり3つの界面Li-1、Li、Li+1の個々の間のスペーサ厚さSi、Si+1が等しい)場合に、上記3つの界面Li-1、Li、Li+1のうちで最も下層側の界面Li-1を対象とした再生を行うときには、実用上問題となる多重干渉を生じさせる迷光としては、界面Liと界面Li+1の2つの界面間で3回反射する迷光(Li→Li+1→Liの経由)も生じ得る。
つまり、実用上問題となる多重干渉の発生防止を図る上では、このようなLi→Li+1→Li経由の3回反射の迷光も生じることを考慮に入れて、各スペーサ厚を設定すべきことになる。
【0048】
ここで、図4(b)のケースのように2つの界面Lを経由する3回反射の迷光は、図4(a)のケースのように3つの異なる界面Lを経由する3回反射の迷光「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)」に当て嵌めて捉えると、界面Lkと界面Llとが同一になったものと捉えることができる。
この点に基づき、本明細書においては、実用上問題となる多重干渉の防止を図る上で考慮に入れるべき迷光としての、図4(a)のような3界面を経由する3回反射の迷光と、図4(b)のような2界面のみを経由する3回反射の迷光との双方を包括する表現として、以下のような表現を用いる。
すなわち、
「k≦l<m」とおいた上で、「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射の迷光」とする表現である。
上記のように「k≦l<m」とおくことで、上記「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射の迷光」としては、Lk→Lm→Lkを経由する3回反射の迷光も包含するものとなり、従って図4(b)のケースのような2つの界面間で3回反射する迷光も包含することになる。
【0049】
このとき、実用上問題となる多重干渉の発生防止のために考慮に入れるべき3回反射の迷光は、前述のように再生対象とする界面Ljよりも上層側の界面Lを経由する迷光のみである。従ってこの点も考慮すると、

「j<k≦l<m」

とおくことになる。
【0050】
また、前述のように、本例においては、表面sfに関しては実用上問題となる多重干渉の発生防止を図る上で考慮に入れるべき界面からは除外するものとし、N−1=M個の界面Lを選出するものとしている。この点を考慮すると、本例の場合における、実用上問題となる多重干渉の発生防止を図る上で考慮に入れるべき対象層範囲は、

「j<k≦l<m≦M」

と表現することができる。
【0051】
ここで、実用上問題となる多重干渉の発生防止にあたり考慮に入れるべき3回反射の迷光、すなわち再生対象の界面Ljよりも上層側の界面を経由する3回反射の迷光を、前述のように「j<k≦l<m」とおいた上で「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射の迷光」と表現としたときに、界面Ljと界面Lkとの間に形成される各界面の間のスペーサ厚さの総和を「Sj〜k」と表記する。また、界面Llと界面Lmとの間に形成される各界面の間のスペーサ厚さの総和を「Sl〜m」と表記する。
このとき、これらSj〜kとSl〜mとの差Sj〜k−Sl〜m(絶対値とする)がゼロであるとすると(つまり図4(a)や図4(b)に示す状態であるとすると)、上記「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射の迷光」の光路長と、界面Ljを経由する被干渉光との光路長差が等しくなり、実用上問題となる多重干渉が生じるものとなる。
【0052】
また、仮に、上記Sj〜kとSl〜mとに差があったとしても、その差が多層光記録媒体1内での録再用レーザ光の焦点深度以内であると、ディテクタ上における被干渉光と干渉光との広がりはほぼ変わらないと見なせ、単位面積当たりの振幅強度も低下しないために、実用上問題となる多重干渉が生じることになってしまう。
【0053】
そこで、本実施の形態では、上記Sj〜kとSl〜mとに、多層光記録媒体1内での録再用レーザ光の焦点深度よりも大きな差を与えることとする。すなわち、界面Ljにて反射される被干渉光が通過するトータルのスペーサの厚さと、界面Ljより上層側の界面を経由する3回反射の迷光が通過するトータルのスペーサの厚さとに、上記焦点深度よりも大きな差を与えるものである。
このようにすることで、ディテクタ上における上記3回反射の迷光の単位面積当たりの振幅強度を低下させることができ、結果、実用上問題となる多重干渉の発生を防止することができる。
【0054】
なお確認のために述べておくと、多層光記録媒体1内での録再用レーザ光の焦点深度は、対物レンズ16の開口数(録再用レーザ光についての開口数)をNA、録再用レーザ光の波長をλ、界面間に形成されるスペーサの屈折率をnとしたとき、

「nλ/NA2

で表されるものである。
この点を踏まえると、実用上問題となる多重干渉の発生防止にあたっては、

|Sj〜k−Sl〜m|>nλ/NA2 ・・・(式1)

による条件を少なくとも満たすようにして、界面L0〜界面LMまでの間の各界面間のスペーサ厚を設定すればよいことになる。
例えば本例の場合は、NA=0.85、λ=0.405nm、n=1.6であり、nλ/NA2=0.9μmとなる。従って|Sj〜k−Sl〜m|はおよそ1μmよりも大とすればよい。
【0055】
これまでの説明からも理解されるように、入射光を反射し得る界面をN個(N≦5)有する多層光記録媒体について実用上問題となる多重干渉の発生を防止するにあたっては、N個の界面のうちから選出したM個の界面に関して、少なくとも上記(式1)による条件が満たされるようにして各界面間のスペーサ厚さを設定することが最小限の要件となる。
【0056】
ここで、実用上問題となる多重干渉の発生防止を図る上では、選出したM個の界面(L0〜LM)のうちの各界面間のスペーサ厚さのうち、任意の2つのスペーサ厚さの差に着目することもできる。
すなわち、上記選出したM個の界面についての各界面間のスペーサ厚さのうちの任意の2つのスペーサ厚さをスペーサ厚さSa,スペーサ厚さSb(1≦a≠b≦M)としたとき、それらスペーサ厚さSa,Sbの差が上記焦点深度よりも大であれば、実用上問題となる多重干渉は発生しないことになる。
【0057】
この点に鑑み本実施の形態では、上記(式1)の条件を満たすスペーサ厚さの設定として、具体的に以下のような設定を行うものとしている。すなわち、上記スペーサ厚さSa,Sbの差を|Sa−Sb|としたとき、

|Sa−Sb|>nλ/NA2 ・・・(式2)

による条件を満たすように各スペーサ厚さを設定するものである。
【0058】
ここで、上記(式2)の条件を満たす場合、記録層のトータルの厚さ(つまり記録膜Lrc0〜Lrc8までの層範囲の厚さ)Stotは、以下のように表すことができる。すなわち、記録層内における界面(記録膜Lrc)の総数をXとし、それら各界面の間に形成される各スペーサの厚さをSiとし、さらに上記厚さSiのうち最も小さい値をSminとしたとき、

Stot>Smin×(X−1)+(nλ/NA2)×(X−2)2/2 ・・・(式3)

である。これは、記録層内に形成されるX−1個の各スペーサについて、それらの厚さSiを表す棒グラフをSiの値が小さい順に配列したとき形成される三角形の面積「(nλ/NA2)×(X−1)2/2」に由来するものである。
このとき、トータルのスペーサの厚さが過大であると、各記録膜Lrcを対象とした記録/再生時に球面収差を適正に行うことが非常に困難となってしまう。そこで、トータルのスペーサの厚さを表すStotは、(式3)を満たしつつ可能な限り小であることが望ましい。
【0059】
図5は、上記により説明した(式1)及び(式2)を満たすように設計した、多層光記録媒体1の各スペーサの厚さの設定例(図5(a))と、再生対象とする記録膜Lrc(この場合は界面L0〜L7)ごとの干渉による光強度の変動についてのシミュレーション結果(図5(b))とを示している。
また比較として、図6には、(式1),(式2)の何れの条件も考慮せずに各スペーサの厚さを設定した場合における各スペーサの厚さの設定例(図6(a))と、再生対象とする記録膜Lrcごとの干渉による光強度の変動のシミュレーション結果とを示している。
【0060】
先ず図6(a)の例では、各スペーサの厚さSiに関して、S1=15μm、S2=19μm、S3=11μm、S4=15μm、S5=19μm、S6=11μm、S7=15μm、S8=19μmと設定している。また、カバー層2の厚さは45μmである。
【0061】
図6(b)を参照すると、図6(a)のスペーサ厚さの設定とした場合には、界面L7やL6(記録膜Lrc7,Lrc6)といった上層側の再生時には干渉による光強度の変動が防止されているが、それよりも下層側の再生時に比較的大きな光強度変動が生じており、再生対象とする記録膜Lrcが下層側となるに従って光強度変動が大となる傾向とされる。
【0062】
これに対し、本例においては、(式1)及び(式2)の条件を満たす各スペーサの厚さSiの設定として、図5(a)に示すようにS1=32μm、S2=13μm、S3=29μm、S4=15μm、S5=20μm、S6=18μm、S7=25μm、S8=11μmを設定するものとしている。ちなみに、カバー層2の厚さは41μmである。
【0063】
このような(式1),(式2)の条件を満たすスペーサ厚さの設定とすることで、図5(b)の結果が示すように、各記録膜Lrcにおいて、干渉による光強度変動が生じないようにできる。つまりこの結果からも、本実施の形態としてのスペーサ厚さの設定により実用上問題となる多重干渉の発生を防止できることが分かる。
【0064】
<3.変形例>

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明としてはこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、表面sfを経由する3回反射の迷光は除外して(つまりM=N−1として)多重干渉の発生防止のための各スペーサ厚さの設定を行うものとしたが、もちろん、表面sfを経由する3回反射の迷光も考慮に入れて(つまりM=Nとして)多重干渉の発生防止のためのスペーサ厚さの設定を行うこともできる。
或いは、選択反射膜3による波長選択性がほぼ100%に近く基準面Refを経由する3回反射の迷光を除外できる場合には、該基準面Refを経由する3回反射の迷光は考慮せずに多重干渉発生防止のためのスペーサ厚さの設定を行うこともできる。
【0065】
また、これまでの説明では、記録膜Lrcの数が8個である場合を例示したが、記録膜Lrcの個数はこれに限定されるべきものではない。
図7は、例えば記録膜Lrcの個数を20とした多層光記録媒体20の断面構造を示している。図示するように多層光記録媒体20としては、基板5上に形成された最下層の記録膜Lrc0から、選択反射膜3にスペーサ4を介して接着された最上層の記録膜Lrc19までの計20の記録膜Lrcが、それぞれの記録膜Lrcの間にスペーサ4を挟むようにして形成される。
【0066】
また、記録膜Lrcの数以外の部分についてもこれまでで例示したものに限定されるべきものでなく、多層光記録媒体の構造としては実際の実施形態に応じて適宜最適とされる構造が採られればよい。
例えば、各記録膜Lrcにグルーブ等の位置案内子を形成する構造とすることもできる。その場合、基準面Ref(選択反射膜3)は省略することができる。
本発明の多層光記録媒体としては、入射光を反射し得る界面をN個(N≧5)有するように構成されたものであればよい。
【符号の説明】
【0067】
1,20 多層光記録媒体、2 カバー層、3 選択反射膜、4 スペーサ、Lrc0〜Lrc19 記録膜、5 基板、sf 表面、Ref 基準面、L0〜L9 界面、10 録再光用フォーカス機構、11 固定レンズ、12 可動レンズ、13 レンズ駆動部、14 ミラー、15 ダイクロイックプリズム、16 対物レンズ、17 2軸アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を反射し得る界面をN個(N≧5)有する多層光記録媒体であって、
上記N個の界面から選出したM個(M≦N)の各界面をLi(i=0,1,...,M、このときiの数値が小であるほど光入射面としての最上面からみてより下層側に形成される界面であるとする)と定義し、j<k≦l<m≦Mとおいたとき、界面Ljを対象として波長λによる光が開口数NAの対物レンズで集光された場合にLk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射による迷光を生ぜしめる界面Lk、界面Lm、界面Llと、上記界面Ljとに関して、上記界面Ljと上記界面Lkとの間に形成されるスペーサの厚さの総和Sj〜kと、上記界面Llと上記界面Lmとの間に形成されるスペーサの厚さの総和Sl〜mとの差|Sj〜k−Sl〜m|が、nλ/NA2(nは上記スペーサの屈折率)よりも大であるという条件を満たす
多層光記録媒体。
【請求項2】
M個の界面のうちの界面Li-1と界面Liとの間に形成されるスペーサの厚さをSi(i=1,2,...,M)としたとき、任意の二つのスペーサの厚さSa,Sb(1≦a≠b≦M)の差|Sa−Sb|が、nλ/NA2よりも大であるという条件を満たす
請求項1に記載の多層光記録媒体。
【請求項3】
上記界面のうちの一つの界面が、位置案内子の形成された反射膜の反射面とされている請求項1に記載の多層光記録媒体。
【請求項4】
上記反射膜は、所定の波長帯による光を透過し上記所定の波長帯以外の波長による光を反射するように構成されている請求項3に記載の多層光記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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