説明

多層抄きインクジェット用はがき用紙及びその製造方法

【課題】本発明は、古紙パルプの配合割合を高くしても、宛名面は、夾雑物が少なく、かつ、印字後の滲みがなく、かつ、筆記性に優れ、かつ、蛍光によるバーコード読み取りの問題を生じさせず、更には、印刷部と接する箇所の変色が少なく、印刷適性が良好な多層抄きインクジェット用はがき用紙を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙は、インク受容層を設けた表面層、1層以上の中間層及び裏面層からなる3層以上であり、基紙全体の古紙パルプの配合割合が40質量%以上であり、中間層の古紙パルプの配合割合が80%以上であり、裏面層の古紙パルプの配合割合が20%未満であり、基紙若しくはインク受容層のいずれか一方又は両方に、有機酸又は有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有し、有機酸は、ジカルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸のいずれか一方又は両方であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙パルプを配合した多層抄きインクジェット用はがき用紙に関するものであり、宛名面の夾雑物が少なく、宛名面の水性ペンでの筆記性に優れ、古紙パルプの配合割合を高くしても蛍光によるバーコード読み取りの問題を生じさせず、更には油性インキによる変色が少なく、印刷強度などの印刷適性が良好な多層抄きインクジェット用はがき用紙及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録方式が一般大衆へ普及するに伴い、はがきにも採用されるようになってきており、インクジェット記録用のはがきに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1又は2を参照。)。
【0003】
はがきには、通常、郵便番号枠、切手貼り付け枠などが宛名面側に印刷されるが、近年、印刷速度の高速化に伴い、宛名面の表面強度をはじめとする印刷適性への要求が大きくなっている。
【0004】
また、近年、紙製品での環境配慮としてのリサイクル、すなわち、古紙パルプを多く配合することが重要であり、ユーザーからの要求も大きくなっている。
【0005】
古紙パルプを配合したインクジェット用紙に関する技術が開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0006】
さらに、多層抄きインクジェット用紙とした技術も開示されている(例えば、特許文献4,5、6又7を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−297148号公報
【特許文献2】特開2005−67166号公報
【特許文献3】特開平10−278416号公報
【特許文献4】特開2002−127592号公報
【特許文献5】特開2003−291515号公報
【特許文献6】特開2001−187486号公報
【特許文献7】特開2010−47894号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「情報用紙’95」、紙業タイムス社、1995年4月20日発行、p.176
【非特許文献2】http://www.post.japanpost.jp/whats_new/2008/0822_02_c01.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
古紙パルプの配合割合が高くしたとき、次のような弊害が発生する。
1.古紙パルプに含まれる残留インキ又は除去しきれないゴミなどの影響によって夾雑物が増加すること。
2.リサイクルが進むと繊維の角質化、短繊維化などの影響によって各種強度(例えば、紙力、内部結合強度、引張強度、引裂強度、破裂強度)が低下すること。
3.前記2を解消するために、過度な紙力増強剤の使用、過度なパルプの叩解が必要となるが、結果としてインクジェット印字適性が低下すること。
4.古紙処理工程で使用する脱墨剤などの界面活性剤が残留するため、基紙が剥き出しである宛名面に印字したときにはフェザリングが発生すること(フェザリングとは、非特許文献1に記載のとおり、いわゆるインク受容層を特別に設けない紙基材表面での滲みを表現するものである。)。
5.はがきは、その宛名面に自動区分機を通るときに無色透明の蛍光染料インク(不可視インク)によってバーコードを印字するが(郵便番号と宛名住所とを同時に読み取り、その読み取った住所情報をバーコード化してはがきに印字する。)、市場にある古紙の大半が蛍光染料を使用したものであるため、当然これを使用すると蛍光強度の高いはがき用紙となるので、このバーコードを読み取ることができず、後に自動区分する(はがきを配達順に並べ替える(道順組立))ときに支障をきたすこと(非特許文献2を参照。)。
6.郵便番号枠、切手貼り付け枠などを宛名面に油性インキを使用して印刷機で印刷した場合において、複数枚を積み重ねて保管することがある。この時、通信面のうち宛名面の印刷部と接した箇所が変色すること。
【0010】
古紙パルプを用いた基紙の夾雑物を少なくする対策として、通信面にインク受容層を設ける方法がある。しかし、宛名面については、古紙パルプ中の夾雑物の影響がそのまま出てしまう。古紙パルプ中の夾雑物を減少させる対策としては、古紙処理工程を設ける方法がある。しかし、古紙処理工程の除塵強化がなされ、また脱墨薬品及び漂白薬品の増加を伴うこととなるので、古紙パルプ繊維を傷め、劣化させてしまう。痛んだ古紙パルプは、リサイクルに不適となる。特に脱墨剤の増加は、水性ペンの滲み、フェザリングなどのインクジェット適性に悪影響を与える。
【0011】
印刷強度を上げる対策として、表面強度を高くする方法があり、その手段として被覆性の高いポリビニルアルコールなどの塗布が挙げられる。しかし、インクジェット用インクの吸収が悪くなり、滲みが大きくなる。また、パルプの叩解を進め強度を向上させる方法もあるが、基紙が緻密になるため、同様にインクジェット用インクの吸収が悪くなり、滲みが大きくなる。
【0012】
また、インク受容層の塗工量が適性でないと、インクジェット印字したときの画像が損なわれるだけでなく、高価になり、更に宛名面の印刷時にも悪影響をもたらす。
【0013】
油性インキとの接触による通信面の変色を少なくする対策として、古紙パルプ中の残留灰分、特に、炭酸カルシウムなどのアルカリ性資材を残留させない方法がある。古紙パルプ中にアルカリ性資材を残留させない方法としては、古紙処理工程での洗浄などが挙げられるが、残留量の減少には限界がある。近年では、塗工量が多いコート紙が多く入荷されているため、更に状況は悪化している。
【0014】
最近では、インクジェットプリンターの普及及び高解像度化に伴い、通信面側には写真ライクな高精細な画像が望まれている。
【0015】
前述したように、はがきに要求される特性は多岐に渡り、従来技術では、これらの特性を十分に満足させるまでには至っていなかった。
【0016】
特許文献3に記載されているパルプの種類及びその繊維長などに着目した技術では、前記特性を十分に満足させるという課題を解決することができない。
【0017】
さらに、特許文献4、5又は6に記載された多層抄きインクジェット用紙は、古紙パルプの各層への配合割合については触れておらず、この製造方法では、前記特性を十分に満足させるという課題を解決することができない。
【0018】
また、特許文献7に記載された再生葉書用紙は、多層抄きで一部にインクジェット用としての付与についても記載されているが、油性インキによる変色に関しては触れておらず、対応も取られていない。
【0019】
したがって、本発明は、このような従来の技術が解決するに至っていない問題を解決しようとするものであり、古紙パルプを配合した多層抄きインクジェット用はがき用紙に関し、古紙パルプの配合割合を高くしても、宛名面は、夾雑物が少なく、かつ、インクジェットプリンター印字後の滲みがなく、かつ、水性ペンでの筆記性に優れ、かつ、蛍光によるバーコード読み取りの問題を生じさせず、更には、郵便番号枠、切手貼り付け枠などを油性インキで印刷した場合に、通信面のうち印刷部と接する箇所の変色が少なく、印刷強度などの印刷適性が良好な多層抄きインクジェット用はがき用紙及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは鋭意検討の結果、基紙全体での古紙パルプの配合割合を40質量%以上とした場合において、基紙を表面層、中間層及び裏面層からなる多層抄きとし、片面側だけインク受容層を設け、中間層の古紙パルプの配合割合が80質量%以上であり、かつ、特定の有機酸又はそのマグネシウム塩を使用することで、宛名面の夾雑物が少なく、宛名面の水性ペンでの筆記性に優れ、古紙パルプの配合割合を高くしても蛍光によるバーコード読み取りの問題を生じさせず、更には油性インキによる変色度合いが小さく、印刷強度などの印刷適性が良好なインクジェット用はがき用紙を完成するに至った。具体的には、本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙は、3層以上の多層抄きの基紙の片面側に顔料を主体として含有するインク受容層を設け、前記基紙の反対面側にはインク受容層を設けずに基紙を剥き出しの状態とし、かつ、前記基紙全体の古紙パルプの配合割合が40質量%以上である多層抄きインクジェット用はがき用紙において、前記基紙の層のうち、前記インク受容層と接する層を表面層、反対側の層を裏面層、該表面層と該裏面層との中間に位置する層を中間層とそれぞれ表記したとき、(1)前記中間層が1層以上で形成され、(2)前記中間層の古紙パルプの配合割合が80質量%以上であり、(3)前記裏面層の古紙パルプの配合割合が20質量%未満であり、(4)前記基紙若しくは前記インク受容層のいずれか一方又は両方に、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有し、(5)前記有機酸は、ジカルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸のいずれか一方又は両方である、ことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙では、前記有機酸は、前記ジカルボン酸として(1)マロン酸、前記ヒドロキシカルボン酸として(2)リンゴ酸、(3)クエン酸、(4)酒石酸、(5)タルトロン酸、の(1)〜(5)のうち少なくとも1種以上であることが好ましい。油性インキによる変色を抑制する効果がより高まる。
【0022】
本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙では、前記有機酸及び該有機酸のマグネシウム塩の合計含有量が、はがき用紙全体のうち10〜1000ppmであることが好ましい。油性インキによる変色を抑制する効果と印刷強度及び印刷作業性とをバランスよく両立することができる。
【0023】
本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙では、前記表面層、前記裏面層及び前記中間層が、いずれも古紙パルプを含有し、かつ、前記基紙全体の古紙パルプの配合割合が、55質量%以上であることが好ましい。古紙を再利用し、リサイクル率を高め、環境に配慮するという本発明の目的の達成度をより高めることができ、更に、全層に古紙パルプを配合して古紙パルプの配合割合を高くしても、裏面層を宛名面としたとき、宛名面における蛍光によるバーコード読み取り不良がなく、良好な印刷適性を付与することができる。
【0024】
本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙では、前記基紙若しくは前記インク受容層のいずれか一方又は両方が、更に無機酸のマグネシウム塩若しくは強酸と弱塩基とからなる塩のいずれか一方又は両方を含有することが好ましい。基紙の紙面pHが酸性側安定となるため、油性インキによる変色を抑制する効果をより高めることができる。
【0025】
本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙では、前記インク受容層が、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有することが好ましい。油性インキによる変色を抑制する効果をより高めることができる。
【0026】
本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙の製造方法は、3層以上の多層抄きの基紙の片面側に顔料を主体として含有するインク受容層を設け、前記基紙の反対面側にはインク受容層を設けずに基紙を剥き出しの状態とし、かつ、前記基紙全体の古紙パルプの配合割合が40質量%以上である多層抄きインクジェット用はがき用紙の製造方法において、前記基紙の層のうち、前記インク受容層と接する層を表面層、反対側の層を裏面層、該表面層と該裏面層との中間に位置する層を中間層とそれぞれ表記したとき、前記中間層を1層以上で形成し、かつ、前記中間層の古紙パルプの配合割合を80質量%以上とし、かつ、前記裏面層の古紙パルプの配合割合を20質量%未満として前記基紙を抄造する基紙作製工程と、(1)有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を添加したサイズ液を塗布する工程、(2)有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上の水溶液を前記基紙のいずれかの層間に噴霧する工程、(3)有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を添加したインク受容層を形成するための塗工液を用いて前記インク受容層を形成する工程、の(1)〜(3)のうち少なくともいずれか一つの工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、前記の構成によって、古紙パルプを配合した多層抄きインクジェット用はがき用紙に関し、古紙パルプの配合割合を40質量%以上にした場合においても、宛名面は、夾雑物が少なく、かつ、インクジェットプリンター印字後の滲みがなく、かつ、水性ペンでの筆記性に優れ、かつ、蛍光によるバーコード読み取りの問題を生じさせず、更には、郵便番号枠、切手貼り付け枠などを油性インキで印刷した場合に、通信面のうち印刷部と接する箇所の変色が少なく、印刷強度などの印刷適性が良好な多層抄きインクジェット用はがき用紙及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0029】
本実施形態に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙は、3層以上の多層抄きの基紙の片面側に顔料を主体として含有するインク受容層を設け、前記基紙の反対面側にはインク受容層を設けずに基紙を剥き出しの状態とし、かつ、前記基紙全体の古紙パルプの配合割合が40質量%以上である多層抄きインクジェット用はがき用紙において、前記基紙の層のうち、前記インク受容層と接する層を表面層、反対側の層を裏面層、該表面層と該裏面層との中間に位置する層を中間層とそれぞれ表記したとき、(1)前記中間層が1層以上で形成され、(2)前記中間層の古紙パルプの配合割合が80質量%以上であり、(3)前記裏面層の古紙パルプの配合割合が20質量%未満であり、(4)前記基紙若しくは前記インク受容層のいずれか一方又は両方に、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有し、(5)前記有機酸は、ジカルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸のいずれか一方又は両方である。なお、本実施形態に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙では、インク受容層が設けられた表面層側を通信面とし、裏面層側を宛名面とする。
【0030】
基紙全体の古紙パルプの配合割合は、40質量%以上である。より好ましくは、55質量%以上である。基紙全体の古紙パルプの配合割合が40質量%未満であると、古紙を再利用し、リサイクル率を高め、環境に配慮するという本発明の目的を達成しにくくなる。基紙全体の古紙パルプの配合割合は、高いほうが環境配慮とすることができる。しかし、夾雑物が少なく、インクジェット印字後の滲みがなく、宛名面における毛筆、水性ペンなどでの筆記性に優れ、古紙パルプを含ませたときに増加する蛍光によるバーコード読み取りの不良が無く、油性インキによる変色が少なく、印刷強度などの印刷適性が良好な印刷適性を付与するためには、後述するとおり、基紙全体の古紙パルプの配合割合は、上限値を80質量%とすることが好ましい。
【0031】
表面層、中間層及び裏面層に均一に古紙パルプを配合した場合又は単層抄きの場合には、夾雑物は古紙パルプの配合割合に相関して多くなってしまう。さらに、表面層及び裏面層への古紙パルプの配合割合が高くなれば、更に夾雑物は増加する。夾雑物が増加すると見た目が悪くなるだけでなく、宛名面では、郵便番号が自動区分機で読み取れなくなる。さらには、住所が読み取り難くなるなどの弊害が発生する。そこで、中間層の古紙パルプの配合割合を80質量%以上とする。より好ましくは、100質量%とする。さらに、中間層の古紙パルプの配合割合を表面層又は裏面層よりも高めることが好ましい。基紙全体の古紙パルプの配合割合を高くする場合には、褪色の弊害を少なくする観点からも、中間層により多くの古紙パルプを配合することが好ましい。中間層は1層以上で形成される。ここで、中間層の古紙パルプの配合割合は、例えば、中間層を3層形成した場合には、該3層の全体に対する古紙パルプの配合割合である。中間層を2層以上形成した場合には、中間層全体の古紙パルプの配合割合が80質量%であれば、いずれの中間層に古紙パルプを配合するかは本実施形態では特に限定されない。例えば、中間層のうち、裏面層と接する中間層には古紙パルプを配合せず、裏面層と接しない中間層だけに古紙パルプを配合してもよいし、中間層の全層に古紙パルプを配合してもよい。古紙パルプを含ませたときに増加する蛍光によるバーコード読み取りの不良の問題を生じさせないためには、より内側である中間層に古紙パルプを使用することが好ましい。
【0032】
なお、古紙パルプの配合割合は、数1によって算出する。
(数1)古紙パルプの配合割合(%)=古紙パルプ配合量÷(バージンパルプ配合量+古紙パルプ配合量)×100
【0033】
また、生産時には自己回流損紙が発生するが、この自己回流損紙を使用しても支障は無い。ただし、自己回流損紙は、古紙パルプ配合量に含めないにもかかわらず古紙パルプを実質含むため、基紙の表裏に出ないように中間層で使用することが好ましい。さらには、オンマシンでインク受容層を塗工する場合は、インク受容層塗工済みの自己回流損紙を使用するので、プレスパート及びドライヤー汚れを軽減するために中間層で使用することがより好ましくなる。以上のことから単層抄きの場合は、夾雑物の面だけでなく抄紙機上の工程汚れの面でも不利となる。
【0034】
表面層、中間層及び裏面層に均一に古紙パルプを配合した場合又は単層抄きの場合には、印刷強度は古紙パルプの配合割合に相関して低下してしまう。さらに、裏面層への古紙パルプの配合割合が高くなれば、印刷強度は更に低下する。印刷強度が低下すると、紙剥け、ピッキングなどの品質上の問題だけでなく、ブランケットへのパイリングなども発生し印刷作業性に支障をきたす。
【0035】
中間層だけに古紙パルプを配合することによって、所望の、基紙全体に対する古紙パルプの配合割合を達成することができる場合には、表面層及び裏面層には、古紙パルプを配合せずともよい。
【0036】
基紙全体に対する古紙パルプの配合割合を更に高くしたい場合、すなわち、中間層だけに古紙パルプを配合しただけでは所望の配合割合に到達しない場合には、表面層にも古紙パルプを配合することができる。例えば、基紙全体に対する古紙パルプの配合割合を45質量%以上にしたい場合である。その場合、中間層で配合しきれない古紙パルプを表面層へ配合する。表面層への古紙パルプの配合割合は、100質量部まで配合してもよいが、中間層の古紙パルプの配合割合が表面層の古紙パルプの配合割合より高くなる方針で配合を決める。
【0037】
基紙全体に対する古紙パルプの配合割合を更に高くしたい場合、すなわち、中間層及び表面層に古紙パルプを配合しただけでは所望の配合割合に到達しない場合は、更に裏面層にも古紙パルプを配合することができる。例えば、基紙全体に対する古紙パルプの配合割合を55質量%以上にしたい場合である。その場合、裏面層への古紙パルプの配合割合は20質量%未満とする。より好ましくは15質量%未満となるように古紙パルプを配合する。ここで、裏面層への古紙パルプの配合割合が20質量%未満とすることの他に、中間層、表面層の順に古紙パルプの配合割合を高くする方針で配合割合を決定する。裏面層の古紙パルプの配合割合が20質量%以上では、夾雑物が多く見た目が悪くなるだけでなく、宛名面として使用される場合、郵便番号が自動区分機で読み取れなくなる、お年玉付き年賀はがきの抽選番号などが読み取れなくなる、住所が読み取り難くなるなどの弊害が発生する。また、古紙パルプに残留する脱墨剤の影響によって、基紙表面へのサイズ性付与が困難となり、水性ペンでの筆記性の低下、インクジェット印字時のフェザリング発生などの弊害が発生する。また、褪色の弊害が出やすい。
【0038】
なお、前記説明においては、中間層に古紙パルプを多く含ませることで、表面層及び裏面層に含ませる古紙パルプを少なくする形態を示したが、表面層及び裏面層に悪影響が出ない範囲で、古紙パルプを配合し、その残りを中間層に配合してもよい。実操業では自己回流損紙の使用、各層のバランスを考慮すると、中間層だけに古紙パルプを配合する場合の好適な基紙全体の古紙パルプの配合割合は、20〜35質量%となる。この場合、本発明の目的としている基紙全体の古紙パルプの配合割合を40質量%以上とすることは達成することができない。中間層及び表面層、又は中間層及び裏面層に古紙パルプを配合する場合の好適な基紙全体の古紙パルプの配合割合は30〜65質量%となる。この場合、本発明の目的としている基紙全体の古紙パルプの配合割合を40質量%以上とすることは一部達成することができる。表面層、中間層及び裏面層のすべての層に古紙パルプを配合する場合の好適な基紙全体の古紙パルプの配合割合は55〜80質量%となる。この場合、本発明の目的としている基紙全体の古紙パルプの配合割合を40質量%以上とすることが達成できる。本実施形態に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙では、表面層、裏面層及び中間層が、いずれも古紙パルプを含有し、かつ、前記基紙全体の古紙パルプの配合割合が、55質量%以上であることが好ましい。古紙を再利用し、リサイクル率を高め、環境に配慮するという本発明の目的の達成度をより高めることができる。また、基紙全体の古紙パルプの配合割合よりも中間層の古紙パルプの配合割合を高くすることが好ましい。
【0039】
本実施形態に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙は、基紙若しくはインク受容層のいずれか一方又は両方に、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有する。油性インキが接することによって通信面が変色する機構は、解明できていないが、おそらくは、油性インキには酸化防止剤としてBHT(ブチルヒドロキシトルエン)又はその2量体、ヒドロキノン、メチル化ヒドロキノンなどを使用しているため、これらの酸化防止剤が通信面のインク受容層に含有されている資材と何らかの反応、吸着などをすることによって変色するものと推測する。有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩を含有させることによって、変色を防止できる機構は不明だが、おそらくは、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩が、変色の原因となる成分に配位して、キレート的に作用し、酸化防止剤とインク受容層の資材とが反応、吸着などをするのを防止すると推測される。例えば、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩を基紙のインク受容層又は表面層に含有させる場合には、積み重ね保管時に油性インキの変色の原因となる成分が揮発して、インク受容層又は表面層に浸透したときに、当該成分を取り込んで低活性とし、変色を防止できると推測される。また、基紙の裏面層に含有させる場合には、印刷された油性インキの変色の原因となる成分を取り込んで低活性として、放出を防止し、又は放出しても、接触する通信面の変色を防止することができると推測される。
【0040】
また、BHTは、昇華しやすく環境中の窒素酸化物(NOx)などの作用によっていくつかの誘導体が生成される。この誘導体の一部には、酸性環境下では無色であるが、アルカリ性環境下では黄色となるものがあるため、紙面pHは酸性であることが好ましい。有機酸及びそのマグネシウム塩を含有することによって、紙面pHは酸性となるため、中間層だけでなく表面層及び裏面層にも古紙の配合割合を高くすることができる。
【0041】
本実施形態に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙では、有機酸及び該有機酸のマグネシウム塩の合計含有量が、はがき用紙全体のうち10〜1000ppm(0.001〜0.100質量%)であることが好ましい。より好ましくは、20〜700ppmであり、特に好ましくは、50〜550ppmである。10ppm未満では、油性インキとの接触による通信面の変色を抑制する効果が劣る場合がある。1000ppmを超えると、基紙の表面又は塗工層の強度が弱くなり、粉落ちなどの弊害が発生する場合がある。
【0042】
前記有機酸は、ジカルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸のいずれか一方又は両方である。ジカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸には分子量の大きいものがあるが、水への溶解性、酸解離定数の観点から、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、マロン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、タルトロン酸、マレイン酸、フマル酸などが効果的である。この中で、有機酸は、前記ジカルボン酸として(1)マロン酸、前記ヒドロキシカルボン酸として(2)リンゴ酸、(3)クエン酸、(4)酒石酸、(5)タルトロン酸、の(1)〜(5)のうち少なくとも1種以上であることがより好ましい。油性インキによる変色を抑制する効果を更に高めることができる。
【0043】
本実施形態に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙では、基紙若しくはインク受容層のいずれか一方又は両方が、更に無機酸のマグネシウム塩若しくは強酸と弱塩基とからなる塩のいずれか一方又は両方を含有が好ましい。無機酸のマグネシウム塩を別途補助的に加えることで変色抑制効果を更に高めることができる。さらに、強酸と弱塩基とからなる塩を別途補助的に加えることで、酸性側安定となるため、変色抑制効果が更に高まる。紙面pHを酸性側に、更に安定とさせることができる点で、無機酸のマグネシウム塩及び強酸と弱塩基とからなる塩を併用することが特に好ましい。なお、無機酸のマグネシウム塩を補助的に添加する場合には、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩100質量部に対して、20〜300質量部とすることが好ましい。より好ましくは、50〜200質量部である。また、強酸と弱塩基とからなる塩を補助的に添加する場合には、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩100質量部に対して、20〜300質量部とすることが好ましい。より好ましくは、50〜200質量部である。無機酸のマグネシウム塩及び強酸と弱塩基とからなる塩を併用して添加する場合には、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩100質量部に対して、合計質量で、20〜300質量部とすることが好ましい。より好ましくは、50〜200質量部である。無機酸のマグネシウム塩は、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムが挙げられる。この中で、塩化マグネシウムがより好ましい。強酸と弱塩基とからなる塩は、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムが挙げられる。この中で、塩化アンモニウムがより好ましい。
【0044】
本実施形態に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙の製造方法では、基紙又はインク受容層に有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩を含有させる方法として、(1)有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を添加したサイズ液を塗布する工程、(2)有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上の水溶液を前記基紙のいずれかの層間に噴霧する工程、(3)有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を添加したインク受容層を形成するための塗工液を用いて前記インク受容層を形成する工程、のうち少なくともいずれか一つの工程を有する。本実施形態に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙の製造方法では、前記(1)の工程、(2)の工程又は(3)の工程のうち少なくともいずれか一つの工程を有する。すなわち、(1)の工程、(2)の工程又は(3)の工程のいずれか一つの工程だけを行う形態、(1)の工程、(2)の工程及び(3)の工程の全ての工程を行う形態、(1)の工程及び(2)の工程だけを行う形態、(2)の工程及び(3)の工程だけを行う形態、(1)の工程及び(3)の工程だけを行う形態を選択することができる。この中で、少なくとも(3)の工程を含むことが、特に好ましい。インク受容層中に有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有させることによって、変色の原因となる成分を効率的に取り込むことができ、変色抑制効果を更に高めることができる。
【0045】
(2)の層間に噴霧する方法は、ワイヤーパート出口の各層が重なる箇所でスプレーを用いて噴霧することができる。噴霧する層間には、表面層と中間層との間、中間層と裏面層との間、更に中間層が2層以上である場合は、中間層と中間層との間があるが、この中で、表面層と中間層との間に噴霧することが、通信面側の紙面pHを下げることによって、高い変色抑制効果が得られる点でより好ましい。有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上の水溶液の濃度は、0.03〜2.00質量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.09〜1.60質量%である。この範囲にすることで、基紙に含有させる有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上の合計含有量を所望の範囲に調整しやすくなる。
【0046】
基紙に用いる各層のパルプの離解フリーネスは、いずれもCSF350ml以上CSF600ml以下とすることが好ましい。より好ましくは、CSF400ml以上CSF570ml以下とする。CSF350ml未満では、基紙が緻密となりインクジェットプリンター適性が悪化する場合がある。また、CSF600mlを超えると、繊維間の結合が弱くなり、紙力が低下し、印刷に耐えうることができず支障をきたす場合がある。ここで、離解フリーネスは、基紙を各層に分離し、Tappi離解機(JIS P 8220:1998に準拠)を用いて固形分濃度1質量%とし、25分間離解調製したスラリーをカナダ標準形ろ水度試験機(JIS P 8121:1995に準拠)で測定することによって得られる。
【0047】
本実施形態では、基紙に用いる古紙パルプは、未叩解の古紙パルプ又は未叩解の古紙パルプのフリーネスを基準としてフリーネスの差異値がCSF100ml以内に叩解した古紙パルプであることが好ましい。叩解した古紙パルプを用いる場合には、未叩解のフリーネスと叩解によるフリーネスとの差異値(以下、「フリーネス差異値」と略す。)をCSF100ml以内とすることが好ましい。より好ましくはCSF80ml以内とする。古紙パルプは、少なくとも1回以上離解、叩解及び乾燥を経ているため、バージンパルプよりも短繊維化・角質化が進んでいる。このため、過度な叩解を施した古紙パルプは、急激に基紙を緻密にすると推測され、古紙パルプのフリーネス差異値がCSF100mlを超えると、インクジェットの印字適性が低下するおそれがある。
【0048】
基紙に用いる古紙パルプは、大きく上質系、中質系に分けられるが、褪色を避けるために上質系古紙パルプを使用することが好ましい。上質系古紙パルプとしては、上白、罫白、カード、模造、色上、ケント、白アート、ミルクカートンなどの古紙から調製されたパルプが挙げられる。本実施形態で使用される古紙パルプは、離解及び除塵処理だけでなく、脱墨、漂白、インク分散、洗浄などの各工程を経た後の古紙パルプを使用することが好ましい。特に、多層抄きの場合、抄き合わせ後にプレスパートで加圧脱水するときに、微細なインクは別の層へ移動することがある。したがって、古紙処理工程には微細インクを除去できる洗浄装置を設置し、当該装置による洗浄工程を経ることがより好ましい。また、残留灰分、特に、炭酸カルシウムのようなアルカリ性物質を減ずることにも繋がり、結果として基紙の紙面pHを下げることができ、油性インキによる変色を軽減することができる。
【0049】
中質系古紙パルプの代表として、新聞、雑誌、切付、中質反古、茶模造、段ボール、台紙・地券、ボール紙などから調製されるパルプが挙げられる。
【0050】
基紙に用いるパルプとしては、古紙パルプの他に、バージンパルプとして広葉樹漂白サルファイトパルプ(LBSP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、機械パルプ(GP、TMP、BCTMP)などを有利に用いることができる。また、必要に応じて、木材パルプ以外に、非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維などを適宜用いてもよい。
【0051】
本実施形態においては、基紙に填料を添加してもよい。具体的には、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミノケイ酸塩、焼成クレー、合成樹脂填料などの公知の填料を併用することができる。この中で、紙面pHを上げないために、タルク、カオリン、チタン、焼成クレーが特に好ましい。
【0052】
所定のフリーネスに叩解されたパルプスラリーは、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機などの公知の抄紙機によって3層以上の多層で抄紙される。これらの抄紙機のコンビーネーションでもかまわない。この場合、パルプスラリーには、必要に応じて分散助剤、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、硫酸バンド、pH調節剤、染料、有色顔料、蛍光増白剤などの助剤を適宜添加することが可能である。ここで、硫酸バンド、希硫酸などのpH調節剤を多く使用すると、基紙の紙面pHが下がるため、油性インキによる変色の軽減になり得るが、過剰に添加すると、パルプ自身が褪色(変色)して悪化するため注意が必要である。硫酸バンドの添加率は、絶乾パルプに対して、1.0〜5.0質量%の範囲とすることが好ましい。
【0053】
パルプの叩解方法は、本実施形態では限定されない。バージンパルプと古紙パルプとを混合してから叩解するいわゆる混合叩解を行う方法、又はバージンパルプと古紙パルプとを別々に叩解するいわゆる単独叩解を行ってから混合する方法のどちらでもよい。
【0054】
表面層、中間層及び裏面層を設けた3層以上の多層で抄紙されるが、各層の坪量は均等である必要はなく、例えば中間層の坪量を、表面層の坪量及び裏面層の坪量よりも相対的に大きくすることも可能である。さらに、表面層及び裏面層を各1層とし、中間層を2層以上にすることも可能である。
【0055】
本実施形態に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙の製造方法では、中間層を1層以上で形成し、かつ、中間層の古紙パルプの配合割合を80質量%以上とし、かつ、裏面層の古紙パルプの配合割合を20質量%未満として基紙を抄造する基紙作製工程を有する。さらに、該基紙作製工程は、表面層、裏面層及び前記中間層のすべての層に古紙パルプを配合して各々抄紙する工程を含み、かつ、前記基紙全体の古紙パルプの配合割合を55質量%以上とすることが好ましい。
【0056】
本実施形態では、前記のようにして多層抄き合せによって抄造された基紙の表面に必要に応じてサイズ液を塗布することが好ましい。基紙の表面としては、インク受容層を設ける予定の表面層の表面及びその裏面である裏面層の表面である。サイズ液は、具体的には、酸化澱粉、自家変成澱粉、尿素リン酸化澱粉、ポリアクリルアマイド、ポリビニルアルコールなどの表面サイズ剤、pH調節剤、染料、有色顔料、蛍光増白剤などの公知の資材を使用することができる。本実施形態では、サイズ液に、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を添加して塗布することによって、基紙に有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有させることができる。サイズ液に有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を添加する場合には、サイズ液中の濃度を0.04〜1.20質量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.12〜0.80質量%である。この範囲にすることで、基紙に含有させる有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上の合計含有量を所望の範囲に調整しやすくなる。
【0057】
サイズ液の塗布方式は、本実施形態では特に限定されない。フィルムトランスファー方式のサイズプレス、エアナイフコーター、ロッドコーター、サイザーなどの片面だけに塗布できる塗布機を用いて片面だけに塗布してもよいし、ゲートロールサイズプレス、コンベンショナルサイズプレスなどの両面へ同時に塗布するタイプの塗布機を用いて両面に塗布してもよい。ただし、通信面側の紙面pHを下げることによって、油性インキによる変色を抑制する効果がより高くなるため、少なくとも表面層の表面には、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有したサイズ液を塗布することが好ましい。
【0058】
このようにして製造した基紙(紙支持体)に直接インク受容層を設けてもよいが、基紙の表面を平滑化する目的で、予めマシンカレンダー、ソフトカレンダー、熱キャレンダー、ラスタープレスなどの処理を施すことが好ましい。
【0059】
インク受容層に用いる顔料としては、例えば、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイトなどの白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの有機顔料を使用することができる。この中で、コスト及び高いインク吸収性の点から、合成非晶質シリカが好ましく用いられる。
【0060】
インク受容層には、顔料の他に、バインダーを用いる。バインダーは、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレン酢酸ビニル、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、でんぷん、変性でんぷん、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、カゼイン、ゼラチン、テルペンなどの水溶性バインダー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリビスクロロメチルオキサシクロブタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリ−p−キシリレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル共重合体などのエマルジョン型バインダー、エマルジョン型であるウレタン樹脂バインダーを例示することができる。これらのバインダーの重合度、ケン化度、ガラス転移温度、最低造膜温度は、本実施形態では限定されない。また、これらの分子鎖中に架橋性の官能基を付加しても構わない。
【0061】
インク受容層には、インクジェットインクの定着性及び発色性を向上させるために、カチオン性高分子を主成分とするインク定着剤を用いることが好ましい。カチオン性高分子としては、例えば、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他第4級アンモニウム塩類、ポリアミンが用いられる。
【0062】
インク受容層は、前記の顔料、バインダーなどインク受容層に含有される各種成分を配合し、適当な固形分濃度に調整したインク受容層用塗工液を基紙の表面層上に塗工後、乾燥して設けることができる。インク受容層用塗工液には、必要に応じて分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、保水剤、増粘剤、架橋剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、ワックス、導電防止剤、帯電防止剤、サイズ剤、耐水化剤、可塑剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料、還元剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、脱臭剤などの助剤を適宜選定して添加することができる。また、助剤を添加する場所、方法についても限定されず、シリカスラリーに含有させる、バインダーに含有させるなどとすることができる。本実施形態では、インク受容層用塗工液に、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を添加することによって、インク受容層に有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有させることができる。
【0063】
インク受容層用塗工液の塗工方式は、本実施形態では特に限定されず、一般の塗工機、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、リップコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ダイコーター、チャンブレックスコーター、チップブレードコーターで塗工することができる。また、塗工は、オフマシン又はオンマシンであることを問わない。
【0064】
インク受容層の乾燥塗工量は、4〜15g/mとすることが好ましい。より好ましくは5〜13g/mの範囲で塗工する。乾燥塗工量が4g/m未満では、インクジェット印字品質が低下する場合がある。乾燥塗工量が15g/mを超えると、インクジェットプリンター内で塗工層が脱落し、印字汚れが発生する場合がある。また、宛名面の印刷時には、はがき用紙のエッジ部からの粉落ちが発生する場合がある。当然に、薬品の費用も掛かるので、コスト面でも不利となる。
【0065】
塗工後の乾燥方式としては、熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などが挙げられるが、本実施形態においては、特に限定されるものではない。
【0066】
また、必要に応じてインク受容層の乾燥後に一定の平滑性を出すために、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって処理することが可能である。本実施形態においては、処理方式は特に限定されるものではない。
【0067】
はがき用紙全体に含有されている有機酸、有機酸のマグネシウム塩、無機酸のマグネシウム塩又は強酸と弱塩基との塩の含有量は、イオンクロマトグラフィを用いて定量することができる。有機酸の含有量を定量する方法として、例えば、サプレッサ方式のイオンクロマトグラフィ(ダイオネクスQIC、サンプルループ50μL、日本ダイオネクス社製)を用いて、分離カラムを有機酸用カラム(HPICE ASI、日本ダイオネクス社製)とし、溶離液を1.0mMオクタンスルフォン酸とし、流量を1.0mL/分(目盛55)とし、サプレッサをAMMS for ICE(再生液5.0mMテトラブチルアンモニウムヒドロキシド)とし、検出器を電気伝導度として測定することができる。塩素イオン(Cl)、硫酸イオン(SO2−)などの陰イオンの含有量を定量する方法として、例えば、サプレッサ方式のイオンクロマトグラフィ(ダイオネクスQIC、サンプルループ50μL、日本ダイオネクス社製)を用いて、分離カラムを陰イオン用カラム(IonPac AS4A、日本ダイオネクス社製)とし、溶離液を1.8mM炭酸水素ナトリウム(NaHCO)及び1.7mM炭酸ナトリウム(NaCO)とし、流量を1.5mL/分(目盛80)とし、サプレッサをAMMS−1(再生液0.025M硫酸)とし、検出器を電気伝導度として測定することができる。アンモニウムイオン(NH)、マグネシウムイオン(Mg2+)などの陽イオンの含有量を定量する方法として、例えば、ノンサプレッサ方式の高速液体クロマトグラフィ(TRI ROTAR−II、日本分光社製)を用いて、分離カラムを陽イオン用カラム(Shdex IC YF−521、35℃、昭和電工社製)とし、溶離液を5.0mM酒石酸及び1.0mMジコピリン酸とし、流量を1.0mL/分とし、検出器を電気伝導度として測定することができる。なお、イオンクロマトグラフィを用いて定量する場合には、まず、試料を蒸留水で抽出する。その後、得られた抽出液を有機酸又は陰イオンの含有量を定量する場合は、0.22μmのフィルターで濾過を行い、また、陽イオンの含有量を定量する場合は、0.45μmのメンブランフィルターで濾過を行い測定することができる。
【実施例】
【0068】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、配合において示す部数は、実質成分の数量である。なお、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩の含有量は、前述のイオンクロマトグラフィを用いる方法で定量した。作製したはがき用紙から絶乾1gを5mm角に裁断し、該試料を20mlの蒸留水で冷水抽出を常温で一昼夜行った。得られた抽出液を0.22μmのフィルターで濾過して、濾過液中の有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩の濃度を、有機酸成分の濃度として前述のイオンクロマトグラフィ装置及び測定条件で定量した。以下、有機酸を単独で使用する場合、有機酸のマグネシウム塩を単独で使用する場合又は有機酸と有機酸のマグネシウム塩とを併用する場合のいずれにおいても、表記上は、有機酸の合計含有量とする。
【0069】
(実施例1)
<基紙の作製>
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ40.0部と未叩解上質系古紙パルプ60.0部(表面層の離解フリーネスCSF500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ20.0部と未叩解上質系古紙パルプ80.0部(中間層の離解フリーネスCSF500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(裏面層の離解フリーネスCSF500ml)とし、各層のパルプ原料に対して、表面層、中間層及び裏面層共通でカチオン化澱粉(ネオタック40T、日本食品加工社製)を1.00部と、酸性ロジンサイズ剤(AL1212、星光PMC製)0.10部と、液体硫酸バンド2.00部と、灰分5%になるよう添加量を調整したタルク(NTL、日本タルク社製)と、を配合して紙料を得た。中間層の紙料には、該坪量の1/2に当たる40g/m分の自己回流損紙を更に配合して紙料とした。この紙料を各々長網抄紙機にて抄造し、表面層坪量50g/m、中間層坪量80g/m、裏面層坪量50g/mの3層を抄き合わせ、180g/mの紙匹を得た。
【0070】
<サイズ液の塗布・表面処理>
酸化澱粉(王子エースA、王子コーンスターチ社製)を8%含む糊液をサイズ液とし、前記紙匹の両面に乾燥塗工量が片面当たり1g/mとなるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。その後、スチールカレンダーを用いて、線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行い、基紙とした。
【0071】
<インク受容層用塗工液の調製>
合成非晶質シリカ(ニップジェルBY400、東ソーシリカ社製)100部と、水と、pH調整剤として酢酸0.50部と、を配合し、カウレス分散機で固形分濃度が28%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA−117、クラレ社製)15.0部及びポリエチレン酢酸ビニルバインダー(スミカフレックス450、住友化学社製)35.0部と、インク定着剤としてカチオン性高分子(SR1001、田岡化学社製)15.0部と、有機酸としてリンゴ酸(リンゴ酸フソウ、扶桑化学工業社製)3.00部と、を添加・攪拌し、更に水を添加して固形分濃度が20%のインク受容層用塗工液を得た。
【0072】
<インク受容層の形成>
得られたインク受容層用塗工液を前記基紙の表面層上に、乾燥塗工量が8g/mとなるようにエアナイフコーターで塗工し、エアドライヤーで熱風乾燥した。さらに、ソフトカレンダーを用いて線圧30kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行い、多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は161ppmとなった。
【0073】
(実施例2)
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ20.0部と未叩解上質系古紙パルプ80.0部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ0部と未叩解上質系古紙パルプ100部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は57%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は155ppmとなった。
【0074】
(実施例3)
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ0部と未叩解上質系古紙パルプ100部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ0部と未叩解上質系古紙パルプ100部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は64%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は153ppmとなった。
【0075】
(実施例4)
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ0部と未叩解上質系古紙パルプ100部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ0部と未叩解上質系古紙パルプ100部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ85部と未叩解上質系古紙パルプ15部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は70%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は148ppmとなった。
【0076】
(実施例5)
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ5部と未叩解上質系古紙パルプ95部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ0部と未叩解上質系古紙パルプ100部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ90部と未叩解上質系古紙パルプ10部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は66%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は145ppmとなった。
【0077】
(実施例6)
表面層の坪量50g/mとし、中間層の坪量100g/mとし、裏面層の坪量30g/mとし、中間層には、1/2に当たる50g/m分の自己回流損紙を使用した以外は、実施例4に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は80%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は138ppmとなった。
【0078】
(実施例7)
インク受容層用塗工液に添加するリンゴ酸の添加量を1.50部とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は71ppmとなった。
【0079】
(実施例8)
インク受容層用塗工液に添加するリンゴ酸の添加量を10.0部とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は540ppmとなった。
【0080】
(実施例9)
インク受容層用塗工液に塗工するリンゴ酸の添加量を0.50部とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は26ppmとなった。
【0081】
(実施例10)
インク受容層用塗工液に添加するリンゴ酸の添加量を15.0部とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は815ppmとなった。
【0082】
(実施例11)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸をクエン酸(精製クエン酸、扶桑化学工業社製)に変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は163ppmとなった。
【0083】
(実施例12)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸を有機酸のマグネシウム塩であるリンゴ酸マグネシウムに変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は155ppmとなった。
【0084】
(実施例13)
インク受容層用塗工液に添加した有機酸のリンゴ酸3.00部に加えて、更に有機酸のマグネシウム塩としてリンゴ酸マグネシウム3.00部を添加した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は321ppmとなった。
【0085】
(実施例14)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸をリンゴ酸1.50部とクエン酸1.50部(精製クエン酸、扶桑化学工業社製)とに変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は153ppmとなった。
【0086】
(実施例15)
インク受容層用塗工液に添加した有機酸のリンゴ酸3.00部に加えて、更に有機酸であるクエン酸3.00部(精製クエン酸、扶桑化学工業社製)を添加した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は332ppmとなった。
【0087】
(実施例16)
インク受容層用塗工液にリンゴ酸を無添加とし、サイズ液に有機酸としてリンゴ酸を0.2%添加し、リンゴ酸の乾燥塗工量が片面当たり0.1g/mとなるように塗布した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は361ppmとなった。
【0088】
(実施例17)
インク受容層用塗工液にリンゴ酸を無添加とし、サイズ液に有機酸としてリンゴ酸を0.4%添加し、リンゴ酸の乾燥塗布量が片面当たり0.2g/mとなるように塗布した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は735ppmとなった。
【0089】
(実施例18)
インク受容層用塗工液にリンゴ酸を無添加とし、表面層と中間層との間に0.7%のリンゴ酸水溶液を、リンゴ酸の乾燥塗布量が0.2g/mとなるように噴霧した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は357ppmとなった。
【0090】
(実施例19)
インク受容層用塗工液にリンゴ酸を無添加とし、表面層と中間層との間に1.4%のリンゴ酸水溶液を、リンゴ酸の乾燥塗布量が0.4g/mとなるように噴霧した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は721ppmとなった。
【0091】
(実施例20)
インク受容層用塗工液に、更に塩化マグネシウム3.00部と塩化アンモニウム3.00部とを添加した以外は、実施例3に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は64%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は166ppmとなった。
【0092】
(実施例21)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸をマロン酸に変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は159ppmとなった。
【0093】
(実施例22)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸をマロン酸マグネシウムに変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は151ppmとなった。
【0094】
(実施例23)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸をクエン酸マグネシウムに変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は158ppmとなった。
【0095】
(実施例24)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸を酒石酸に変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は160ppmとなった。
【0096】
(実施例25)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸を酒石酸マグネシウムに変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は154ppmとなった。
【0097】
(実施例26)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸をタルトロン酸に変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は159ppmとなった。
【0098】
(実施例27)
インク受容層用塗工液に添加する有機酸をタルトロン酸マグネシウムに変更した以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は161ppmとなった。
【0099】
(実施例28)
表面層の坪量30g/mとし、中間層を3層としその各々の坪量40g/mとし、裏面層の坪量30g/mとし、中間層には各々1/2に当たる20g/m分の自己回流損紙を使用した以外は、実施例2に準じて5層から構成される多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は70%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は135ppmとなった。
【0100】
(比較例1)
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ0部と未叩解上質系古紙パルプ100部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部と未叩解上質系古紙パルプ0部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ75.0部と未叩解上質系古紙パルプ25.0部(裏面層の離解フリーネス500ml)とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は165ppmとなった。
【0101】
(比較例2)
インク受容層用塗工液のリンゴ酸を無添加とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は、44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は検出限界以下となった。
【0102】
(比較例3)
パルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ56.0部と未叩解上質系古紙パルプ44.0部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、180g/mの基紙を単層抄きで製造した以外は、実施例1に準じて単層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は44%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は157ppmとなった。
【0103】
(比較例4)
表面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ75.0部と未叩解上質系古紙パルプ25.0部(表面層の離解フリーネス500ml)とし、中間層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ0部と未叩解上質系古紙パルプ100部(中間層の離解フリーネス500ml)とし、裏面層のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ100部(裏面層の離解フリーネスCSF500ml)とした以外は、実施例1に準じて多層抄きインクジェット用はがき用紙を作製した。ここでの基紙全体の古紙パルプの配合割合は38%、はがき用紙全体の有機酸の合計含有量は163ppmとなった。
【0104】
以上のようにして得られた実施例の多層抄きインクジェット用はがき用紙、及び比較例の多層抄きインクジェット用はがき用紙及び単層抄きインクジェット用はがき用紙について、23℃−50%RHの恒温恒湿室で24時間調湿後、同環境下でそれぞれ次に示す方法によって、評価を行い、評価結果を表1に、裏面層の表面(以下、宛名面と称す。)の夾雑物評価、宛名面のインクジェット印字適性、宛名面のペン書きサイズ度評価、宛名面の印刷適性(印刷強度及び作業性)及び通信面の油性インキとの接触部の変色度合い評価を示した。また、表2に実施例の多層抄きインクジェット用はがき用紙、及び比較例の多層抄きインクジェット用はがき用紙及び単層抄きインクジェット用はがき用紙について、古紙パルプの配合割合を示す。
【0105】
<夾雑物測定及び視感評価>(宛名面の夾雑物)
紙塵測定装置(DF1000 Ver3.00、王子計測機器社製)を用いて、宛名面の夾雑物の合計面積を測定した。なお、測定条件として、M.D.A.(minimum detection area)=0.05mm、しきい値を34とした。
【0106】
前記結果及び視感評価を基に次に示す要領によって記述することにした。
◎…夾雑物の視感が非常に少なく、夾雑物の合計面積が3.0mm/m未満(実用レベル)、○…夾雑物の視感が少なく、夾雑物の合計面積が3.0mm/m以上10.0mm/m未満(実用レベル)、△…夾雑物の視感がやや多く、夾雑物の合計面積が10.0mm/m以上20.0mm/m未満(実用下限レベル)、×…夾雑物の視感が非常に多く、夾雑物の合計面積が20.0mm/m以上(実用に適さない)。
【0107】
<インクジェット印字適性>(宛名面のIJ適性)
市販のフルカラーインクジェットプリンター(PM−900C、セイコーエプソン社製)を用いて、宛名面にブラックインクだけで文字を印字し、フェザリングなどを目視観察してインクジェット印字適性を評価した。
【0108】
前記インクジェット印刷適性の評価は、次に示す要領によって記述することにした。
◎…優れている(実用レベル)、○…良い(実用レベル)、△…やや劣る(実用下限レベル)、×…劣る(実用に適さない)。
【0109】
<ペン書きサイズ度評価>(宛名面のペン書きサイズ度)
J TAPPI紙パルプ試験方法No12−76で規定する測定方法に従い、宛名面のペン書きサイズ度を測定し評価した。
【0110】
前記試験方法に従って、0から6等級で報告したものを、次に示す要領によって記述することにした。
6(実用レベルであり、良好)、5(実用下限)、4以下(実用に適さない)。
【0111】
<印刷適性評価>(宛名面の印刷適性)
実機枚葉印刷機(リョービ3302M、リョービ社製)を用いて、郵便番号枠、切手貼り付け枠及びテストパターンを印刷し、白抜け部(ピック)及び/又は剥けの有無によって印刷強度を評価した。また、ブランケットの汚れ及び/又は版汚れの程度によって作業性を評価した。
【0112】
前記印刷強度及び作業性の評価は、次に示す要領によって記述することにした。なお、印刷強度は印刷面のピック、剥けを、作業性はブランケット汚れ、版汚れを目視評価した。
◎…実用レベル以上、○…実用レベル、△…やや支障あり(実用下限)、×…印刷不可(実用に適さない)。
【0113】
<変色度合い評価>(通信面の油性インキによる変色)
さらに、印刷適性評価で印刷した後の印刷山(枚葉印刷機で印刷物を積み重ねた物)を23℃−50%RH環境下で一週間放置した後の通信面のうち印刷インキと接した部分の変色度合いを評価した。なお、印刷インキは、油性インキ(ValuesG紅、DIC社製)を使用した。
【0114】
前記通信面のうち印刷インキと接した部分の変色度合いの評価は、次に示す要領によって記述することにした。JIS P 8150:2004で規定する該通信面の明度指数L、知覚色度指数a及びbから算出する方法を用いて、印刷インキが接した部分と接していない部分とのΔEで変色度合いを評価した。ΔEは、数2から求めた。n数は、5とした。
【数2】

なお、数2において、印刷インキが接していない部分の値をLx、ax、bxと表記し、印刷インキが接した部分の値をL、a、bと表記する。また、測定機器は、色彩色差計(PF−10、日本電色工業社製)を用いて測定した。
【0115】
前記印刷インキによる変色度合いを、次に示す要領によって記述することにした。
◎…ΔEの平均値が1.0以下(実用レベル)、○…ΔEの平均値が1.0を超え2.0未満(実用レベル)、△…ΔEの平均値が2.0以上4.0以下(実用下限)、×…ΔEの平均値が4.0を超える(実用に適さない)。
【0116】
【表1】

【0117】
【表2】

【0118】
表1に示すとおり、実施例1〜28で得られた多層抄きインクジェット用はがき用紙は、いずれも古紙パルプの配合割合が40質量%以上であり、宛名面は、夾雑物が少なく、かつ、インクジェットプリンター印字後の滲みがなく、かつ、水性ペンでの筆記性に優れ、かつ、蛍光によるバーコード読み取りの問題を生じさせず、更には、郵便番号枠、切手貼り付け枠などを油性インキで印刷した場合に、通信面のうち印刷部と接する箇所の変色が少なく、印刷強度などの印刷適性が良好な多層抄きインクジェット用はがき用紙であった。
【0119】
一方、比較例1は、裏面層の古紙パルプの配合割合が過剰であったために、通信面及び宛名面の夾雑物が多く、インクジェット印刷適性に劣り、水性ペンでの筆記性にも劣った。さらに、各種印刷適性にも劣った。比較例2は、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩を添加しなかったため、通信面のうち印刷部と接する箇所に変色が見られた。比較例3は、単層抄きであったため、通信面及び宛名面の夾雑物が多く、インクジェット印刷適性、水性ペンでの筆記性及び各種印刷適性が劣った。さらに、通信面のうち印刷部と接する箇所に変色が見られた。比較例4は、通信面及び宛名面の夾雑物、水性ペンでの筆記性、各種印刷適性及び通信面の変色度合いは実用範囲内である。しかし、古紙を再利用し、リサイクル率を高め環境に配慮するという本発明の目的を達成できたとはいい難い。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙は、古紙パルプを多量に含有させても、宛名面の夾雑物が少なく、宛名面の水性ペンでの筆記性に優れ、古紙を含ませたときの増加する蛍光によるバーコード読み取りの問題を生じさせず、更には油性インキによる変色、印刷強度などの印刷適性が良好であり、すべてバージンパルプを用いたはがき用紙と同等の性能を得ることができた。したがって、本発明に係る多層抄きインクジェット用はがき用紙は、古紙パルプを配合したはがきへの利用可能性を有する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
3層以上の多層抄きの基紙の片面側に顔料を主体として含有するインク受容層を設け、前記基紙の反対面側にはインク受容層を設けずに基紙を剥き出しの状態とし、かつ、前記基紙全体の古紙パルプの配合割合が40質量%以上である多層抄きインクジェット用はがき用紙において、
前記基紙の層のうち、前記インク受容層と接する層を表面層、反対側の層を裏面層、該表面層と該裏面層との中間に位置する層を中間層とそれぞれ表記したとき、
(1)前記中間層が1層以上で形成され、
(2)前記中間層の古紙パルプの配合割合が80質量%以上であり、
(3)前記裏面層の古紙パルプの配合割合が20質量%未満であり、
(4)前記基紙若しくは前記インク受容層のいずれか一方又は両方に、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有し、
(5)前記有機酸は、ジカルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸のいずれか一方又は両方である、
ことを特徴とする多層抄きインクジェット用はがき用紙。
【請求項2】
前記有機酸は、前記ジカルボン酸として(1)マロン酸、前記ヒドロキシカルボン酸として(2)リンゴ酸、(3)クエン酸、(4)酒石酸、(5)タルトロン酸、の(1)〜(5)のうち少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の多層抄きインクジェット用はがき用紙。
【請求項3】
前記有機酸及び該有機酸のマグネシウム塩の合計含有量が、はがき用紙全体のうち10〜1000ppmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層抄きインクジェット用はがき用紙。
【請求項4】
前記表面層、前記裏面層及び前記中間層が、いずれも古紙パルプを含有し、かつ、前記基紙全体の古紙パルプの配合割合が、55質量%以上であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の多層抄きインクジェット用はがき用紙。
【請求項5】
前記基紙若しくは前記インク受容層のいずれか一方又は両方が、更に無機酸のマグネシウム塩若しくは強酸と弱塩基とからなる塩のいずれか一方又は両方を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の多層抄きインクジェット用はがき用紙。
【請求項6】
前記インク受容層が、有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の多層抄きインクジェット用はがき用紙。
【請求項7】
3層以上の多層抄きの基紙の片面側に顔料を主体として含有するインク受容層を設け、前記基紙の反対面側にはインク受容層を設けずに基紙を剥き出しの状態とし、かつ、前記基紙全体の古紙パルプの配合割合が40質量%以上である多層抄きインクジェット用はがき用紙の製造方法において、
前記基紙の層のうち、前記インク受容層と接する層を表面層、反対側の層を裏面層、該表面層と該裏面層との中間に位置する層を中間層とそれぞれ表記したとき、
前記中間層を1層以上で形成し、かつ、前記中間層の古紙パルプの配合割合を80質量%以上とし、かつ、前記裏面層の古紙パルプの配合割合を20質量%未満として前記基紙を抄造する基紙作製工程と、
(1)有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を添加したサイズ液を塗布する工程、
(2)有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上の水溶液を前記基紙のいずれかの層間に噴霧する工程、
(3)有機酸又は該有機酸のマグネシウム塩のうち少なくとも1種以上を添加したインク受容層を形成するための塗工液を用いて前記インク受容層を形成する工程、
の(1)〜(3)のうち少なくともいずれか一つの工程と、を有することを特徴とする多層抄きインクジェット用はがき用紙の製造方法。



【公開番号】特開2011−212990(P2011−212990A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83910(P2010−83910)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000241810)北越紀州製紙株式会社 (196)
【Fターム(参考)】