多心式光コネクタ
【課題】 細い多心式光コネクタを提供すること。
【解決手段】 多心式の光コネクタ10は、複数の光ファイバ21と、これら光ファイバ21を保持するフェルール31と、複数の光ファイバ51と、これら光ファイバ51を保持するフェルール61と、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合するようにフェルール31とフェルール61とを位置決めして保持するスリーブ91とを有している。フェルール31,61は、フェルール31,61がスリーブ91に挿入され、スリーブ91がフェルール31とフェルール61とを位置決め保持する際に、スリーブ91が嵌合する溝部39,69を複数有している。スリーブ本体部97の厚みW1は、溝部39,69の深さD1と同一か、または溝部39,69の深さD1よりも浅い。
【解決手段】 多心式の光コネクタ10は、複数の光ファイバ21と、これら光ファイバ21を保持するフェルール31と、複数の光ファイバ51と、これら光ファイバ51を保持するフェルール61と、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合するようにフェルール31とフェルール61とを位置決めして保持するスリーブ91とを有している。フェルール31,61は、フェルール31,61がスリーブ91に挿入され、スリーブ91がフェルール31とフェルール61とを位置決め保持する際に、スリーブ91が嵌合する溝部39,69を複数有している。スリーブ本体部97の厚みW1は、溝部39,69の深さD1と同一か、または溝部39,69の深さD1よりも浅い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光ファイバ同士を光結合する多心式光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、配線ケーブルの接続が可能となり、低廉化が要求されるホームネットワーク用の簡易接続型アダプタが開示されている。
【0003】
この特許文献1において、アダプタは、配線ケーブルを保持するフェルールと、1対のフェルールの端面同士が当接した際、フェルールを覆い、配線ケーブルのコアの位置を位置調整する割りスリーブと、割りスリーブを覆い、配線ケーブルをフェルールに固定するゴム管とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−164755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1において、割りスリーブがフェルールを覆ってしまい、また割りスリーブ自体も肉厚となっている。そのため全体が太くなってしまう。
【0006】
そのため本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、細い多心式光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は目的を達成するために、複数の第1の光ファイバと、前記第1の光ファイバを保持する第1の保持部材と、複数の第2の光ファイバと、前記第2の光ファイバを保持する第2の保持部材と、複数の前記第1の光ファイバと複数の前記第2の光ファイバとが光結合するように、第1の保持部材と第2の保持部材とを位置決めして保持する位置決め部材と、を具備し、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とは、それぞれの軸方向に沿って配設され、前記位置決め部材が前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを位置決め保持する際に、前記位置決め部材が嵌合する溝部を複数有し、前記位置決め部材の厚みW1は、前記溝部の深さD1と同一か、前記深さD1よりも浅いことを特徴とする多心式光コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、細い多心式光コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る光コネクタの分解斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1に示す光コネクタの概略側面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示す2B−2B線における断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aに示す2C−2C線における断面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示す2D−2D線における断面図である。
【図3】図3は、距離L1と距離L2との関係を示す図である。
【図4A】図4Aは、フェルールがスリーブに嵌合した際の光コネクタの概略側面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す4B−4B線における断面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aに示す4C−4C線における断面図である。
【図5A】図5Aは、3つの溝を有するフェルールの断面図である。
【図5B】図5Bは、2つの溝を有するフェルールの断面図である。
【図6A】図6Aは、第1の変形例における光コネクタの概略側面図である。
【図6B】図6Bは、組み立てたられた光コネクタの概略側面図である。
【図7】図7は、第2の変形例における光コネクタの概略側面図である。
【図8A】図8Aは、図7に示す8A−8A線における断面図である。
【図8B】図8Bは、図7に示す8B−8B線における断面図である。
【図8C】図8Cは、図7に示す8C−8C線における断面図である。
【図8D】図8Dは、図7に示す8D−8D線における断面図である。
【図8E】図8Eは、図7に示す8E−8E線における断面図である。
【図9】図9は、組み立てたられた光コネクタの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図2Cと図2Dと図3と図4Aと図4Bと図4Cとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、多心式の光コネクタ10は、複数の光ファイバ21と、これら光ファイバ21を保持する第1の保持部材であるフェルール31と、複数の光ファイバ51と、これら光ファイバ51を保持する第2の保持部材であるフェルール61と、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合するようにフェルール31とフェルール61とを位置決めして保持する位置決め部材であるスリーブ91とを有している。
【0011】
光ファイバ21は、光を出射する図示しない出射端面を光ファイバ21の一端部に有している。光ファイバ21は、例えばガラスやプラスチックなどによって形成されている。光ファイバ21は、例えば円柱形状を有している。
【0012】
フェルール31は、複数の光ファイバ21を直接保持する多心式のホルダ本体部である。フェルール31は、ジルコニアやガラスや金属などによって形成されている。この金属は、例えば、真鍮やニッケルなどである。
【0013】
図2Aに示すように、フェルール31は、光ファイバ21の出射端面がフェルール31の一端部33における一端面33aと同一平面上に配設されるように、光ファイバ21を保持する。フェルール31は、光ファイバ21を保持するために、光ファイバ21が長手方向に沿って挿入される挿入孔37を有している。挿入孔37は、長手方向に沿ってフェルール31を貫通している。挿入孔37は、例えば切削加工によって形成される。図2Bに示すように、挿入孔37は、光ファイバの数に対応するように、光ファイバと少なくとも同数以上配設されている。本実施形態では、例えば挿入孔37は4個配設され、例えば光ファイバ21は4本配設されている。1つの挿入孔37には、1本の光ファイバ21が挿入される。挿入孔37は光ファイバ21と同形状を有し、光ファイバ21は挿入孔37に嵌合する。各挿入孔37は、フェルール31の周方向において同心円上に配設されており、及びフェルール31の中心軸31aに近接している。
【0014】
図2Aに示すように、挿入孔37は、一端面33aにおいて開口している。一端面333aにおいて、挿入孔37の開口部周辺は、例えば平面として形成されている。またフェルール31の縁側の一端面33aは、第1の保持部材の軸方向において、フェルール31の他端部35における他端面35a側から一端面33a側に向かって縮径するように、テーパ形状に形成されている。つまり一端面33aは、平面部33bと斜面部33cとによって形成されている。言い換えると、フェルール31の一端部33は、フェルール31の軸方向において、フェルール31の他端面35a側からフェルール31の一端面33a側に向かって縮径している円錐台形状を有している。なお他端面35aは、フェルール31の他端部35に配設されており、平面として形成されている。また上述した挿入孔37は、平面部33bにおいて開口している。
【0015】
図2Aに示すように、フェルール31は、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合するために、スリーブ91に挿入されて、スリーブ91と嵌合し、スリーブ91によってフェルール61と共に位置決め保持される。フェルール31は、図2Aに示すように、フェルール31がスリーブ91に挿入され、スリーブ91がフェルール31とフェルール61とを位置決め保持する際に、スリーブ91が嵌合する図1に示すような溝部39を複数有している。図1に示すように、各溝部39は、フェルール31の軸方向に沿って配設されており、フェルール31の軸方向においてフェルール31を貫通するように配設されている。言い換えると、溝部39は、フェルール31の軸方向において一端面33aから他端面35aまで連続して配設されている。
【0016】
図2Bに示すように、溝部39は、フェルール31の径方向において、フェルール31の外周面31bからフェルール31の中心軸31aに向かって窪んでいる。そのため、溝部39は、フェルール31の径方向において、外部と連通している。このとき、溝部39は、フェルール31の径方向において、光ファイバ21のための挿入孔37とは連通しない。またこのとき、溝部39は、フェルール31の径方向において、フェルール31の外周面31bから斜面部33cにまで窪んでいてもよいし、フェルール31の外周面31bから斜面部33cを介して平面部33bにまで窪んでいても良い。
【0017】
また図1と図2Bとに示すように、各溝部39は、同心円上に配設されている。そのためフェルール31の周方向において、溝部39と溝部39との間には、スライド部41が形成される。スライド部41は、溝部39と同数配設されている。またフェルール31の径方向において、溝部39と溝部39との間、言い換えると、スライド部41とスライド部41との間は、フェルール31の軸部43として形成される。このように、フェルール31は、フェルール31の周方向において溝部39と溝部39との間に配設されているスライド部41と、フェルール31の径方向において溝部39と溝部39との間に配設されている軸部43とを有している。
【0018】
また、フェルール31が所望の強度を確保するために、所望の肉厚が挿入孔37と外周面31bとの間に必要となる。そのため溝部39は、肉厚を確保するために、フェルール31の径方向において挿入孔37(光ファイバ21)と同一直線上に配設されておらず、図2Bに示すようにフェルール31の周方向において挿入孔37と挿入孔37との間に配設されている。言い換えると、スライド部41は、フェルール31の径方向において挿入孔37(光ファイバ21)と同一直線上に配設されている。
【0019】
図3(A)に示すように、例えば、溝部39がフェルール31の径方向において挿入孔37と同一直線上に配設さている場合、挿入孔37と外周面31bとの距離をL1とする。この場合、外周面31bは、溝部39の底面に該当する。
また図3(B)に示すように、例えば、溝部39がフェルール31の周方向において挿入孔37と挿入孔37との間に配設され、スライド部41がフェルール31の径方向において挿入孔37と同一直線上に配設されている場合、挿入孔37と外周面31bとの距離をL2とする。この場合、外周面31bは、スライド部41の外周面に該当する。
このようにL2はL1よりも長くなり、肉厚が挿入孔37と外周面31bと間に確保され、フェルール31の強度が確保される。
【0020】
なお溝部39は、光ファイバ21と同数配設されていることが好適である。また溝部39は、フェルール31の径方向において、外部からフェルール31の中心軸31aに向かって狭まるように形成されていることが好適である。またこの場合、図3(B)に示すように、フェルール31の径方向において、スライド部41の両側面の延長線41a、言い換えると溝部39の側面の延長線とは、フェルール31の中心軸31aにおいて交差することが好適である。またこの場合、上述した肉厚確保と強度確保との観点から、図3(B)に示すように、フェルール31の周方向において、挿入孔37(光ファイバ21)は、溝部39における延長線の間に配設されておらず、スライド部41における延長線41aの間に配設されていることが、好適である。
【0021】
なおスライド部41は、溝部39と同数配設され、溝部39と同形状を有し、スリーブ91の径方向に複数配設されている。またスライド部41は、フェルール31の軸方向に沿って配設されている。言い換えると、スライド部41は、フェルール31の軸方向において一端面33aから他端面35aまで連続して配設されている。
【0022】
挿入孔37と溝部39と斜面部33cとは、例えば円柱部材が切削加工されることで、形成される。
【0023】
光ファイバ51は、光ファイバ21と同様の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。また光ファイバ51は、出射端面から出射された光が入射する入射端面を有している。また光ファイバ51は、光ファイバ21の一端部に対応する一端部を有している。
【0024】
またフェルール61は、フェルール31と同様の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。またフェルール61は、中心軸31a,外周面31b,一端部33,一端面33a,平面部33b,斜面部33c,他端部35,他端面35a,挿入孔37,溝部39,スライド部41,延長線41a,軸部43に対応する中心軸61a,外周面61b,一端部63,一端面63a,平面部63b,斜面部63c,他端部65,他端面65a,挿入孔67,溝部69,スライド部71,延長線71a,軸部73を有している。
【0025】
スリーブ91は、金属などによって形成されている。スリーブ91の長さは、図4に示すように、例えば、フェルール31の長さとフェルール61の長さとの和よりも長い。スリーブ91は、例えば円柱部材が図1に示すような挿入孔93とスリット95を有するように例えば切削されることで、形成されている。
【0026】
挿入孔93は、円柱部材の径方向において円柱部材の中心軸上に配設され、円柱部材の軸方向に沿って円柱部材を貫通する。挿入孔93は、軸部43,73と同形状を有している。そのためフェルール31とフェルール61とがスリーブ91に挿入された際、軸部43,73が挿入孔93に嵌合する。
【0027】
図1と図2Cとに示すように、スリット95は、円柱部材の径方向において挿入孔93よりも外側にて同心円上に配設されている。またスリット95は、円柱部材の軸方向に沿って配設されている。スリット95は、円柱部材の軸方向において、円柱部材を貫通せず、円柱部材の両端部から円柱部材の中央部まで配設されている。スリット95は、スリーブ91の径方向において、挿入孔93と連通している。スリット95は、スライド部41,71と同数配設されている。スリット95は、スライド部41,71と同形状を有している。そのためフェルール31とフェルール61とがスリーブ91に挿入された際、スライド部41,71は、後述するスリーブ本体部97の側面をスリーブ91の軸方向に沿って摺動(スライド)し、スリット95に嵌合する。1つのスライド部41,71が1つのスリット95に嵌合する。
【0028】
このように形成されているスリーブ91は、棒形状を有し溝部39,69全体にそれぞれ嵌合するスリーブ本体部97と、スリーブ91の周方向に沿って配設され、スリーブ本体部97と一体に形成され、スリーブ本体部97同士を連結する連結部99とを有している。
【0029】
図1に示すように、スリーブ本体部97は、スリーブ91の軸方向に沿って配設されている。図2Cに示すように、スリーブ本体部97は、スリーブ91の周方向においてスリット95の間に形成される。スリーブ本体部97は、溝部39,69と同数配設されている。スリーブ本体部97は、溝部39,69と同形状を有している。1本のスリーブ本体部97は、1つの溝部39,69に嵌合する。図2Cに示すように、スリーブ本体部97は、同心円上に配設されている。
【0030】
またスリーブ本体部97が例えば溝部39に嵌合する際、図4Aと図4Cとに示すように、フェルール31の径方向においてスリーブ本体部97が溝部39(フェルール31)から突出せず、スリーブ本体部97が溝部39に収容され、スリーブ91がフェルール31に収容されるように、スリーブ本体部97の厚みW1(図2Cと図4Cとを参照)が溝部39の深さD1(図2Bと図4Cとを参照)と同一か、または溝部39の深さD1よりも浅くなるように、円柱部材が切削されて、スリーブ本体部97は形成されている。このようにスリーブ91の厚みでスリーブ本体部97の厚みW1は、溝部39の深さD1と同一か、深さD1よりも浅い。言い換えるとスリーブ本体部97は、深さD1と同一か深さD1よりも浅い厚みW1を有している。
言い換えると、例えばフェルール31とスリーブ91とにおいて、図4Cに示すように、スリーブ本体部97が溝部39に嵌合された際、フェルール31の中心軸31aからスリーブ91(スリーブ本体部97)の外周面91bまでの距離L3は、フェルール31の中心軸31aからフェルール31の外周面31bまでの距離L4と同一か、距離L4よりも短い。
この点は、フェルール61とスリーブ91とについても同様である。
【0031】
そのため上述した溝部39,69とスリーブ本体部97との関係によって、スライド部41,71がスリット95に嵌合する際、フェルール31の径方向において、スライド部41,71はスリット95に収容される、またはスライド部41,71はスリット95から突出する。
【0032】
図1と図2Aとに示すように、連結部99は、スリーブ91の軸方向においてスリーブ91の中央部に配設されている。連結部99は、スリーブ91の軸方向においてスリット95の間に形成される。図2Dに示すように、連結部99は、スリーブ91の周方向において隣り合うスリーブ本体部97の間に配設されており、隣り合うスリーブ本体部97それぞれと一体であり、隣り合うスリーブ本体部97を連結している。
【0033】
図4Aに示すように、連結部99は、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合する際に、フェルール31の一端部33とフェルール61の一端部63とに当接する。詳細には、スリーブ91の軸方向の断面において、連結部99は、略三角形状を有している。連結部99の傾斜面99aの傾斜角は、斜面部33c,63cの傾斜角と同一である。傾斜面99aは、フェルール31とフェルール61とがスリーブ91に挿入された際、フェルール31とフェルール61とがスリーブ91に対して位置あわせされ、平面部33bと平面部33bとが当接し、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とが当接し、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合するように、斜面部33c,63cと当接する。傾斜面99aは、フェルール31とフェルール61とがスリーブ91から抜けることを防止する抜け止め面として機能する。
【0034】
次に本実施形態の製造方法について説明する。
光ファイバ21の出射端面が一端面33aと同一平面上に配設されるように、光ファイバ21がフェルール31の長手方向に沿って挿入孔37に挿入される。これにより、フェルール31は、光ファイバ21を保持する。
また光ファイバ51の入射端面が一端面63aと同一平面上に配設されるように、光ファイバ51がフェルール61の長手方向に沿って挿入孔67に挿入される。これにより、フェルール61は、光ファイバ51を保持する。
図2Aに示すように、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とが光結合するように、フェルール31はスリーブ91の一端部から挿入され、フェルール61はスリーブ91の他端部から挿入される。
【0035】
このときフェルール31において、軸部43はスリーブ本体部97の内周面をスリーブ91の軸方向に沿って摺動し、軸部43は挿入孔93に嵌合する。
またフェルール31において、スライド部41はスリーブ本体部97の側面をスリーブ91の軸方向に沿って摺動(スライド)し、スライド部41はスリット95に嵌合する。
またフェルール31において、溝部39スリーブ本体部97の側面をスリーブ91の軸方向に沿って摺動し、スリーブ本体部97が溝部39に嵌合する。
この点は、フェルール61の軸部73とスライド部71と溝部69とについても同様である。
【0036】
フェルール31とフェルール61とが互いに近接すると、図4Aに示すように、斜面部33c,63cは傾斜面99aと当接する。このとき、平面部33bと平面部33bとが当接し、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とが当接する。これにより、光ファイバ21と光ファイバ51とは、光結合する。またフェルール31(光ファイバ21)とフェルール61(光ファイバ51)とは、スリーブ91に対して、軸方向に位置決めされる。
【0037】
また上述した嵌合によって、図4Bに示すように、フェルール31(光ファイバ21)とフェルール61(光ファイバ51)は、スリーブ91に対して、スリーブ91の周方向と径方向とに位置決めされる。
【0038】
なお、このとき、距離L3は、距離L4と同一か、距離L4よりも短い。そのため、フェルール31とフェルール61とがスリーブ91に嵌合すると、図4Cに示すように、スリーブ本体部97は溝部39,69(フェルール31,61)から突出しない。そのため、スリーブ91の外周面91bは、光コネクタ10の径方向において、フェルール31,61の外周面31b,61bと同一平面上に配設される、またはフェルール31,61の外周面31b,61bよりもフェルール31,61の中心軸31a,61a側に配設される。
【0039】
このように、光コネクタ10の径方向において、スリーブ91は、フェルール31,61を覆わず、フェルール31,61からはみださず、フェルール31,61に収容される。そのため、光コネクタ10はフェルール31,61と同径になり、スリーブ91がフェルール31,61を覆う場合に比べて、光コネクタ10は、細くなる。
【0040】
また図1に示すように、スリーブ本体部97は、スリーブ91の軸方向に沿って配設され、スリーブ91の径方向に複数配設されている。またスライド部41,71は、フェルール31,61の軸方向に沿って配設され、フェルール31,61の径方向に複数配設されている。よってスリーブ本体部97が溝部39,69と嵌合し、スライド部41,71がスリット95と嵌合することで、光コネクタ10の強度は、確保される。
【0041】
また図3(B)に示すように、距離L2が距離L1よりも長くなるように、溝部39,69がフェルール31の周方向において挿入孔37,67と挿入孔37,67との間に配設され、スライド部41,71がフェルール31,61の径方向において挿入孔37,67と同一直線上に配設されている。そのため、フェルール31,61の肉厚が確保され、フェルール31,61の強度が確保され、結果的に、光コネクタ10の強度は確保される。
【0042】
このように本実施形態では、フェルール31,61が溝部39,69を有し、スリーブ91がスリーブ本体部97と連結部99とを有し、距離L3が距離L4と同一か、距離L4よりも短い。これにより本実施形態では、光コネクタ10の径方向において、スリーブ91は、フェルール31,61を覆わず、フェルール31,61からはみださず、フェルール31,61に収容される。そのため本実施形態では、光コネクタ10はフェルール31,61と同径になり、スリーブ91がフェルール31,61を覆う場合に比べて、光コネクタ10を細くできる。
【0043】
また本実施形態では、フェルール31,61の斜面部33c,63cと、連結部99の傾斜面99aとが当接することで、平面部33bと平面部33bとを当接でき、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とを当接でき、光ファイバ21と光ファイバ51とを光結合できる。またこれにより本実施形態では、フェルール31(光ファイバ21)とフェルール61(光ファイバ51)とをスリーブ91に対してスリーブ91の軸方向に位置決めできる。
【0044】
また本実施形態では、スライド部41,71と軸部43,73と溝部39,69と挿入孔93とスリット95とスリーブ本体部97とを軸方向に沿って配設し、軸部43,73が挿入孔93に嵌合し、スライド部41,71がスリット95に嵌合し、スリーブ本体部97が溝部39,69に嵌合する。よって本実施形態では、フェルール31(光ファイバ21)とフェルール61(光ファイバ51)とをスリーブ91に対してスリーブ91の周方向と径方向とに位置決めできる。
【0045】
また本実施形態では、スリーブ本体部97を、スリーブ91の軸方向に沿って配設し、スリーブ91の径方向に複数配設している。また本実施形態では、スライド部41,71を、フェルール31,61の軸方向に沿って配設し、フェルール31,61の径方向に複数配設している。よって本実施形態では、スリーブ本体部97が溝部39,69と嵌合し、スライド部41,71がスリット95と嵌合することで、光コネクタ10の強度を確保できる。
【0046】
また本実施形態では、距離L2が距離L1よりも長くなるように、溝部39,69をフェルール31,61の周方向において挿入孔37,67と挿入孔37,67との間に配設し、スライド部41,71をフェルール31,61の径方向において挿入孔37,67と同一直線上に配設している。そのため本実施形態では、フェルール31,61の肉厚を確保でき、フェルール31,61の強度を確保でき、結果的に、光コネクタ10の強度を確保できる。
【0047】
また本実施形態では、距離L2が距離L1よりも長くなることで、溝部39,69をより深く形成することができ、スリーブ91を、光コネクタ10の径方向において、外部よりもフェルール31,61の中心軸31a,61a側に配設でき、光コネクタ10をより細くできる。
【0048】
なお本実施形態では、スリーブ91の円柱部材は、フェルール31と同径か、またはフェルール31よりも細いことで、スリーブ91の切削の手間を削減することができる。また本実施形態では、円柱部材がフェルール31よりも太くても、距離L3が距離L4と同一か距離L4よりも短くなるように、外周面91bを切削すればよい。
【0049】
また本実施形態では、溝部39は、光ファイバ21の数に対応して4個配設されているが、数は特に限定されない。溝部39は、例えば光ファイバ21の数に対応して図5Aに示すように3個であっても、図5Bに示すように2個であってもよい。
【0050】
次に図6Aと図6Bとを参照して、本実施形態の第1の変形例について説明する。
本変形例のフェルール31において、一端部33は、円錐台形状を有しておらず、円柱形状を有している。また一端部33は、一端面33aからフェルール31の軸方向に沿って突出している凸部45aを有している。凸部45aは、一端面33aと一体であり、例えば四角柱形状を有している。凸部45aは、一端面33aから突出している平面部33eを有している。挿入孔37は、平面部33eにおいて開口している。
この点は、フェルール61についても同様である。なおフェルール61における凸部を凸部75a、平面部を平面部63eと称する。
【0051】
また本変形例の連結部99は、一端面33a,63aと当接するように平面状に形成されている側面99bを有している。側面99bは、スリーブ91の周方向に沿って配設されている。
【0052】
また連結部99は、フェルール31,61がスリーブ91に挿入される際、凸部45aの平面状の側面がスリーブ91の軸方向に沿って摺動する底面99cを有している。底面99cは、平面状に形成されており、スリーブ91の軸方向に沿って配設されている。
【0053】
このように連結部99は、凸部45aに対応するように、角柱形状を有している。
【0054】
図6Bに示すように、フェルール31はスリーブ91の一端部から挿入され、フェルール61はスリーブ91の他端部から挿入される。このとき平面部33eと平面部63eとは、当接する。また連結部99は、側面99bと底面99cとを介して凸部45a(凸部45a,75aの側面と第1の平面部33d)と当接する。これにより光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とは、光結合する。
【0055】
このように本変形例では、一端部33,63に凸部45a,75aを配設し、凸部45a,75aに対応するように連結部99を配設することで、一端部33,63と連結部99とを容易に加工することができる。
【0056】
次に図7と図8Aと図8Bと図8Cと図8Dと図8Eと図9とを参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7と図8Aと図8Bとに示すように、フェルール31の他端部35から突出している各光ファイバ21の他端部は、光ファイバ21を保護する樹脂製の被覆層25によって覆われている。この点は、光ファイバ51についても同様である。
【0057】
フェルール31の他端部35は、他端面35aから突出している凸部45cを有している。凸部45cは、他端面35bと一体であり、例えば角柱形状を有している。凸部45cと同様の凸部75cがフェルール61の他端部65に配設されている。
【0058】
スリーブ本体部97の一端部は、フェルール31がスリーブ91に嵌合した際、例えば周方向において凸部45cと同一直線上に配設される溝部100を有している。溝部100は、スリーブ91の周方向に沿って配設されている。図8Dに示すように、溝部100は、スリーブ91の周方向において、スリーブ本体部97を貫通しておらず、スリーブ本体部97の側面から凹んで形成されている。そのため溝部100は、スリット95と連通している。またスリーブ本体部97の一端部は、後述する挿入孔111bに配設されるように、中央部よりも細くなっている。この点は、スリーブ本体部97の他端部も同様である。
【0059】
また本実施形態の光コネクタ10は、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ21(入射端面)とを互いに押圧するように、フェルール31とフェルール61とを互いに向かって押圧する押圧機構110をさらに有している。押圧機構110は、フェルール31の凸部45c側と、フェルール61の凸部75c側とに配設されている。凸部45c側と凸部75c側とにおける押圧機構110は、同じ構成のため、凸部45c側を例に説明する。
【0060】
押圧機構110は、被覆層25によって覆われた光ファイバ21が押圧機構110の軸方向に沿って挿通する管部材111と、管部材111の縁部に配設され、溝部100と嵌合する嵌合爪部113と、被覆層25によって覆われた光ファイバ21を巻回するように管部材111に配設され、嵌合爪部113が溝部100と嵌合した際に凸部45cを介してフェルール31をフェルール61に向かって押圧する押圧部材115とを有している。
【0061】
図7に示すように、管部材111の外径は、フェルール31の外径と同等以下の大きさである。管部材111は、光ファイバ21が挿通し、互いに連通しており、径が異なる2つの挿入孔111a,111bを有している。図7と図8Aと図8Bとに示すように、挿入孔111aは、管部材111の軸方向において、挿入孔111bよりも凸部45c側に配設されており、挿入孔111bよりも太径である。
【0062】
嵌合爪部113は、挿入孔111a側に配設されている。図8Bに示すように、嵌合爪部113は、管部材111の周方向において、例えば4個配設されており、例えば等間隔離れて配設されている。嵌合爪部113は、軸方向から径方向に向かって折れ曲がっている。このような嵌合爪部113は、縁部が管部材111の周方向において等間隔に離れて軸方向から径方向に向かって折れ曲がることで、形成される。径方向において、嵌合爪部113同士の長さは、凸部45cが挿入孔111aに配設されるように、凸部45cの長さよりも長い。管部材111がスリーブ91に向かって移動する際、嵌合爪部113はスリーブ本体部97の側面を軸方向に沿って摺動可能である。
【0063】
押圧部材115は、挿入孔111bに配設されており、挿入孔111aよりも大きく、管部材111の内面と凸部45cとに当接する。押圧部材115は、例えば伸縮自在な巻きばねである。
【0064】
次に本実施形態の押圧方法について説明する。
第1の実施形態と同様に、フェルール31はスリーブ91の一端部から挿入され、フェルール61はスリーブ91の他端部から挿入される。
【0065】
フェルール31側において、押圧部材115は、光ファイバ21を巻回し、挿入孔111bに配設される。嵌合爪部113がスリーブ本体部97の側面を軸方向に沿って摺動するように、管部材111がスリーブ91に向かって移動する。このとき、押圧部材115は、凸部45cに当接する。次に管部材111がスリーブの周方向に回転することで、嵌合爪部113は、スリット95から溝部100に向かって移動し、溝部100に嵌合する。
この点は、フェルール61側についても同様である。
【0066】
嵌合爪部113は溝部100に嵌合すると、フェルール31側の押圧部材115は凸部45cをフェルール61に向かって押圧し、フェルール61側の押圧部材115は凸部45cをフェルール31に向かって押圧する。これにより、フェルール31とフェルール61とは互いに向かって押圧部材115によって押圧され、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とは互いに押圧される。
【0067】
このように本実施形態では、押圧機構110によって、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とを互いに押圧でき、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とを互いに当接させることができる。これにより本実施形態では、光結合効率を向上させることができる。
【0068】
また本実施形態では、嵌合爪部113が溝部100に嵌合し、この状態で、押圧部材115が押圧しているために、押圧状態と光結合状態とを常に維持できる。
【0069】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0070】
10…光コネクタ、21…光ファイバ、31…フェルール、31a…中心軸、31b…外周面、39…溝部、41…スライド部、51…光ファイバ、61…フェルール、61a…中心軸、61b…外周面、69…溝部、71…スライド部、91…スリーブ、93…挿入孔、95…スリット、97…スリーブ本体部、99…連結部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光ファイバ同士を光結合する多心式光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、配線ケーブルの接続が可能となり、低廉化が要求されるホームネットワーク用の簡易接続型アダプタが開示されている。
【0003】
この特許文献1において、アダプタは、配線ケーブルを保持するフェルールと、1対のフェルールの端面同士が当接した際、フェルールを覆い、配線ケーブルのコアの位置を位置調整する割りスリーブと、割りスリーブを覆い、配線ケーブルをフェルールに固定するゴム管とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−164755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1において、割りスリーブがフェルールを覆ってしまい、また割りスリーブ自体も肉厚となっている。そのため全体が太くなってしまう。
【0006】
そのため本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、細い多心式光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は目的を達成するために、複数の第1の光ファイバと、前記第1の光ファイバを保持する第1の保持部材と、複数の第2の光ファイバと、前記第2の光ファイバを保持する第2の保持部材と、複数の前記第1の光ファイバと複数の前記第2の光ファイバとが光結合するように、第1の保持部材と第2の保持部材とを位置決めして保持する位置決め部材と、を具備し、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とは、それぞれの軸方向に沿って配設され、前記位置決め部材が前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを位置決め保持する際に、前記位置決め部材が嵌合する溝部を複数有し、前記位置決め部材の厚みW1は、前記溝部の深さD1と同一か、前記深さD1よりも浅いことを特徴とする多心式光コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、細い多心式光コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る光コネクタの分解斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1に示す光コネクタの概略側面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示す2B−2B線における断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aに示す2C−2C線における断面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示す2D−2D線における断面図である。
【図3】図3は、距離L1と距離L2との関係を示す図である。
【図4A】図4Aは、フェルールがスリーブに嵌合した際の光コネクタの概略側面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す4B−4B線における断面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aに示す4C−4C線における断面図である。
【図5A】図5Aは、3つの溝を有するフェルールの断面図である。
【図5B】図5Bは、2つの溝を有するフェルールの断面図である。
【図6A】図6Aは、第1の変形例における光コネクタの概略側面図である。
【図6B】図6Bは、組み立てたられた光コネクタの概略側面図である。
【図7】図7は、第2の変形例における光コネクタの概略側面図である。
【図8A】図8Aは、図7に示す8A−8A線における断面図である。
【図8B】図8Bは、図7に示す8B−8B線における断面図である。
【図8C】図8Cは、図7に示す8C−8C線における断面図である。
【図8D】図8Dは、図7に示す8D−8D線における断面図である。
【図8E】図8Eは、図7に示す8E−8E線における断面図である。
【図9】図9は、組み立てたられた光コネクタの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図2Cと図2Dと図3と図4Aと図4Bと図4Cとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、多心式の光コネクタ10は、複数の光ファイバ21と、これら光ファイバ21を保持する第1の保持部材であるフェルール31と、複数の光ファイバ51と、これら光ファイバ51を保持する第2の保持部材であるフェルール61と、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合するようにフェルール31とフェルール61とを位置決めして保持する位置決め部材であるスリーブ91とを有している。
【0011】
光ファイバ21は、光を出射する図示しない出射端面を光ファイバ21の一端部に有している。光ファイバ21は、例えばガラスやプラスチックなどによって形成されている。光ファイバ21は、例えば円柱形状を有している。
【0012】
フェルール31は、複数の光ファイバ21を直接保持する多心式のホルダ本体部である。フェルール31は、ジルコニアやガラスや金属などによって形成されている。この金属は、例えば、真鍮やニッケルなどである。
【0013】
図2Aに示すように、フェルール31は、光ファイバ21の出射端面がフェルール31の一端部33における一端面33aと同一平面上に配設されるように、光ファイバ21を保持する。フェルール31は、光ファイバ21を保持するために、光ファイバ21が長手方向に沿って挿入される挿入孔37を有している。挿入孔37は、長手方向に沿ってフェルール31を貫通している。挿入孔37は、例えば切削加工によって形成される。図2Bに示すように、挿入孔37は、光ファイバの数に対応するように、光ファイバと少なくとも同数以上配設されている。本実施形態では、例えば挿入孔37は4個配設され、例えば光ファイバ21は4本配設されている。1つの挿入孔37には、1本の光ファイバ21が挿入される。挿入孔37は光ファイバ21と同形状を有し、光ファイバ21は挿入孔37に嵌合する。各挿入孔37は、フェルール31の周方向において同心円上に配設されており、及びフェルール31の中心軸31aに近接している。
【0014】
図2Aに示すように、挿入孔37は、一端面33aにおいて開口している。一端面333aにおいて、挿入孔37の開口部周辺は、例えば平面として形成されている。またフェルール31の縁側の一端面33aは、第1の保持部材の軸方向において、フェルール31の他端部35における他端面35a側から一端面33a側に向かって縮径するように、テーパ形状に形成されている。つまり一端面33aは、平面部33bと斜面部33cとによって形成されている。言い換えると、フェルール31の一端部33は、フェルール31の軸方向において、フェルール31の他端面35a側からフェルール31の一端面33a側に向かって縮径している円錐台形状を有している。なお他端面35aは、フェルール31の他端部35に配設されており、平面として形成されている。また上述した挿入孔37は、平面部33bにおいて開口している。
【0015】
図2Aに示すように、フェルール31は、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合するために、スリーブ91に挿入されて、スリーブ91と嵌合し、スリーブ91によってフェルール61と共に位置決め保持される。フェルール31は、図2Aに示すように、フェルール31がスリーブ91に挿入され、スリーブ91がフェルール31とフェルール61とを位置決め保持する際に、スリーブ91が嵌合する図1に示すような溝部39を複数有している。図1に示すように、各溝部39は、フェルール31の軸方向に沿って配設されており、フェルール31の軸方向においてフェルール31を貫通するように配設されている。言い換えると、溝部39は、フェルール31の軸方向において一端面33aから他端面35aまで連続して配設されている。
【0016】
図2Bに示すように、溝部39は、フェルール31の径方向において、フェルール31の外周面31bからフェルール31の中心軸31aに向かって窪んでいる。そのため、溝部39は、フェルール31の径方向において、外部と連通している。このとき、溝部39は、フェルール31の径方向において、光ファイバ21のための挿入孔37とは連通しない。またこのとき、溝部39は、フェルール31の径方向において、フェルール31の外周面31bから斜面部33cにまで窪んでいてもよいし、フェルール31の外周面31bから斜面部33cを介して平面部33bにまで窪んでいても良い。
【0017】
また図1と図2Bとに示すように、各溝部39は、同心円上に配設されている。そのためフェルール31の周方向において、溝部39と溝部39との間には、スライド部41が形成される。スライド部41は、溝部39と同数配設されている。またフェルール31の径方向において、溝部39と溝部39との間、言い換えると、スライド部41とスライド部41との間は、フェルール31の軸部43として形成される。このように、フェルール31は、フェルール31の周方向において溝部39と溝部39との間に配設されているスライド部41と、フェルール31の径方向において溝部39と溝部39との間に配設されている軸部43とを有している。
【0018】
また、フェルール31が所望の強度を確保するために、所望の肉厚が挿入孔37と外周面31bとの間に必要となる。そのため溝部39は、肉厚を確保するために、フェルール31の径方向において挿入孔37(光ファイバ21)と同一直線上に配設されておらず、図2Bに示すようにフェルール31の周方向において挿入孔37と挿入孔37との間に配設されている。言い換えると、スライド部41は、フェルール31の径方向において挿入孔37(光ファイバ21)と同一直線上に配設されている。
【0019】
図3(A)に示すように、例えば、溝部39がフェルール31の径方向において挿入孔37と同一直線上に配設さている場合、挿入孔37と外周面31bとの距離をL1とする。この場合、外周面31bは、溝部39の底面に該当する。
また図3(B)に示すように、例えば、溝部39がフェルール31の周方向において挿入孔37と挿入孔37との間に配設され、スライド部41がフェルール31の径方向において挿入孔37と同一直線上に配設されている場合、挿入孔37と外周面31bとの距離をL2とする。この場合、外周面31bは、スライド部41の外周面に該当する。
このようにL2はL1よりも長くなり、肉厚が挿入孔37と外周面31bと間に確保され、フェルール31の強度が確保される。
【0020】
なお溝部39は、光ファイバ21と同数配設されていることが好適である。また溝部39は、フェルール31の径方向において、外部からフェルール31の中心軸31aに向かって狭まるように形成されていることが好適である。またこの場合、図3(B)に示すように、フェルール31の径方向において、スライド部41の両側面の延長線41a、言い換えると溝部39の側面の延長線とは、フェルール31の中心軸31aにおいて交差することが好適である。またこの場合、上述した肉厚確保と強度確保との観点から、図3(B)に示すように、フェルール31の周方向において、挿入孔37(光ファイバ21)は、溝部39における延長線の間に配設されておらず、スライド部41における延長線41aの間に配設されていることが、好適である。
【0021】
なおスライド部41は、溝部39と同数配設され、溝部39と同形状を有し、スリーブ91の径方向に複数配設されている。またスライド部41は、フェルール31の軸方向に沿って配設されている。言い換えると、スライド部41は、フェルール31の軸方向において一端面33aから他端面35aまで連続して配設されている。
【0022】
挿入孔37と溝部39と斜面部33cとは、例えば円柱部材が切削加工されることで、形成される。
【0023】
光ファイバ51は、光ファイバ21と同様の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。また光ファイバ51は、出射端面から出射された光が入射する入射端面を有している。また光ファイバ51は、光ファイバ21の一端部に対応する一端部を有している。
【0024】
またフェルール61は、フェルール31と同様の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。またフェルール61は、中心軸31a,外周面31b,一端部33,一端面33a,平面部33b,斜面部33c,他端部35,他端面35a,挿入孔37,溝部39,スライド部41,延長線41a,軸部43に対応する中心軸61a,外周面61b,一端部63,一端面63a,平面部63b,斜面部63c,他端部65,他端面65a,挿入孔67,溝部69,スライド部71,延長線71a,軸部73を有している。
【0025】
スリーブ91は、金属などによって形成されている。スリーブ91の長さは、図4に示すように、例えば、フェルール31の長さとフェルール61の長さとの和よりも長い。スリーブ91は、例えば円柱部材が図1に示すような挿入孔93とスリット95を有するように例えば切削されることで、形成されている。
【0026】
挿入孔93は、円柱部材の径方向において円柱部材の中心軸上に配設され、円柱部材の軸方向に沿って円柱部材を貫通する。挿入孔93は、軸部43,73と同形状を有している。そのためフェルール31とフェルール61とがスリーブ91に挿入された際、軸部43,73が挿入孔93に嵌合する。
【0027】
図1と図2Cとに示すように、スリット95は、円柱部材の径方向において挿入孔93よりも外側にて同心円上に配設されている。またスリット95は、円柱部材の軸方向に沿って配設されている。スリット95は、円柱部材の軸方向において、円柱部材を貫通せず、円柱部材の両端部から円柱部材の中央部まで配設されている。スリット95は、スリーブ91の径方向において、挿入孔93と連通している。スリット95は、スライド部41,71と同数配設されている。スリット95は、スライド部41,71と同形状を有している。そのためフェルール31とフェルール61とがスリーブ91に挿入された際、スライド部41,71は、後述するスリーブ本体部97の側面をスリーブ91の軸方向に沿って摺動(スライド)し、スリット95に嵌合する。1つのスライド部41,71が1つのスリット95に嵌合する。
【0028】
このように形成されているスリーブ91は、棒形状を有し溝部39,69全体にそれぞれ嵌合するスリーブ本体部97と、スリーブ91の周方向に沿って配設され、スリーブ本体部97と一体に形成され、スリーブ本体部97同士を連結する連結部99とを有している。
【0029】
図1に示すように、スリーブ本体部97は、スリーブ91の軸方向に沿って配設されている。図2Cに示すように、スリーブ本体部97は、スリーブ91の周方向においてスリット95の間に形成される。スリーブ本体部97は、溝部39,69と同数配設されている。スリーブ本体部97は、溝部39,69と同形状を有している。1本のスリーブ本体部97は、1つの溝部39,69に嵌合する。図2Cに示すように、スリーブ本体部97は、同心円上に配設されている。
【0030】
またスリーブ本体部97が例えば溝部39に嵌合する際、図4Aと図4Cとに示すように、フェルール31の径方向においてスリーブ本体部97が溝部39(フェルール31)から突出せず、スリーブ本体部97が溝部39に収容され、スリーブ91がフェルール31に収容されるように、スリーブ本体部97の厚みW1(図2Cと図4Cとを参照)が溝部39の深さD1(図2Bと図4Cとを参照)と同一か、または溝部39の深さD1よりも浅くなるように、円柱部材が切削されて、スリーブ本体部97は形成されている。このようにスリーブ91の厚みでスリーブ本体部97の厚みW1は、溝部39の深さD1と同一か、深さD1よりも浅い。言い換えるとスリーブ本体部97は、深さD1と同一か深さD1よりも浅い厚みW1を有している。
言い換えると、例えばフェルール31とスリーブ91とにおいて、図4Cに示すように、スリーブ本体部97が溝部39に嵌合された際、フェルール31の中心軸31aからスリーブ91(スリーブ本体部97)の外周面91bまでの距離L3は、フェルール31の中心軸31aからフェルール31の外周面31bまでの距離L4と同一か、距離L4よりも短い。
この点は、フェルール61とスリーブ91とについても同様である。
【0031】
そのため上述した溝部39,69とスリーブ本体部97との関係によって、スライド部41,71がスリット95に嵌合する際、フェルール31の径方向において、スライド部41,71はスリット95に収容される、またはスライド部41,71はスリット95から突出する。
【0032】
図1と図2Aとに示すように、連結部99は、スリーブ91の軸方向においてスリーブ91の中央部に配設されている。連結部99は、スリーブ91の軸方向においてスリット95の間に形成される。図2Dに示すように、連結部99は、スリーブ91の周方向において隣り合うスリーブ本体部97の間に配設されており、隣り合うスリーブ本体部97それぞれと一体であり、隣り合うスリーブ本体部97を連結している。
【0033】
図4Aに示すように、連結部99は、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合する際に、フェルール31の一端部33とフェルール61の一端部63とに当接する。詳細には、スリーブ91の軸方向の断面において、連結部99は、略三角形状を有している。連結部99の傾斜面99aの傾斜角は、斜面部33c,63cの傾斜角と同一である。傾斜面99aは、フェルール31とフェルール61とがスリーブ91に挿入された際、フェルール31とフェルール61とがスリーブ91に対して位置あわせされ、平面部33bと平面部33bとが当接し、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とが当接し、光ファイバ21と光ファイバ51とが光結合するように、斜面部33c,63cと当接する。傾斜面99aは、フェルール31とフェルール61とがスリーブ91から抜けることを防止する抜け止め面として機能する。
【0034】
次に本実施形態の製造方法について説明する。
光ファイバ21の出射端面が一端面33aと同一平面上に配設されるように、光ファイバ21がフェルール31の長手方向に沿って挿入孔37に挿入される。これにより、フェルール31は、光ファイバ21を保持する。
また光ファイバ51の入射端面が一端面63aと同一平面上に配設されるように、光ファイバ51がフェルール61の長手方向に沿って挿入孔67に挿入される。これにより、フェルール61は、光ファイバ51を保持する。
図2Aに示すように、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とが光結合するように、フェルール31はスリーブ91の一端部から挿入され、フェルール61はスリーブ91の他端部から挿入される。
【0035】
このときフェルール31において、軸部43はスリーブ本体部97の内周面をスリーブ91の軸方向に沿って摺動し、軸部43は挿入孔93に嵌合する。
またフェルール31において、スライド部41はスリーブ本体部97の側面をスリーブ91の軸方向に沿って摺動(スライド)し、スライド部41はスリット95に嵌合する。
またフェルール31において、溝部39スリーブ本体部97の側面をスリーブ91の軸方向に沿って摺動し、スリーブ本体部97が溝部39に嵌合する。
この点は、フェルール61の軸部73とスライド部71と溝部69とについても同様である。
【0036】
フェルール31とフェルール61とが互いに近接すると、図4Aに示すように、斜面部33c,63cは傾斜面99aと当接する。このとき、平面部33bと平面部33bとが当接し、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とが当接する。これにより、光ファイバ21と光ファイバ51とは、光結合する。またフェルール31(光ファイバ21)とフェルール61(光ファイバ51)とは、スリーブ91に対して、軸方向に位置決めされる。
【0037】
また上述した嵌合によって、図4Bに示すように、フェルール31(光ファイバ21)とフェルール61(光ファイバ51)は、スリーブ91に対して、スリーブ91の周方向と径方向とに位置決めされる。
【0038】
なお、このとき、距離L3は、距離L4と同一か、距離L4よりも短い。そのため、フェルール31とフェルール61とがスリーブ91に嵌合すると、図4Cに示すように、スリーブ本体部97は溝部39,69(フェルール31,61)から突出しない。そのため、スリーブ91の外周面91bは、光コネクタ10の径方向において、フェルール31,61の外周面31b,61bと同一平面上に配設される、またはフェルール31,61の外周面31b,61bよりもフェルール31,61の中心軸31a,61a側に配設される。
【0039】
このように、光コネクタ10の径方向において、スリーブ91は、フェルール31,61を覆わず、フェルール31,61からはみださず、フェルール31,61に収容される。そのため、光コネクタ10はフェルール31,61と同径になり、スリーブ91がフェルール31,61を覆う場合に比べて、光コネクタ10は、細くなる。
【0040】
また図1に示すように、スリーブ本体部97は、スリーブ91の軸方向に沿って配設され、スリーブ91の径方向に複数配設されている。またスライド部41,71は、フェルール31,61の軸方向に沿って配設され、フェルール31,61の径方向に複数配設されている。よってスリーブ本体部97が溝部39,69と嵌合し、スライド部41,71がスリット95と嵌合することで、光コネクタ10の強度は、確保される。
【0041】
また図3(B)に示すように、距離L2が距離L1よりも長くなるように、溝部39,69がフェルール31の周方向において挿入孔37,67と挿入孔37,67との間に配設され、スライド部41,71がフェルール31,61の径方向において挿入孔37,67と同一直線上に配設されている。そのため、フェルール31,61の肉厚が確保され、フェルール31,61の強度が確保され、結果的に、光コネクタ10の強度は確保される。
【0042】
このように本実施形態では、フェルール31,61が溝部39,69を有し、スリーブ91がスリーブ本体部97と連結部99とを有し、距離L3が距離L4と同一か、距離L4よりも短い。これにより本実施形態では、光コネクタ10の径方向において、スリーブ91は、フェルール31,61を覆わず、フェルール31,61からはみださず、フェルール31,61に収容される。そのため本実施形態では、光コネクタ10はフェルール31,61と同径になり、スリーブ91がフェルール31,61を覆う場合に比べて、光コネクタ10を細くできる。
【0043】
また本実施形態では、フェルール31,61の斜面部33c,63cと、連結部99の傾斜面99aとが当接することで、平面部33bと平面部33bとを当接でき、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とを当接でき、光ファイバ21と光ファイバ51とを光結合できる。またこれにより本実施形態では、フェルール31(光ファイバ21)とフェルール61(光ファイバ51)とをスリーブ91に対してスリーブ91の軸方向に位置決めできる。
【0044】
また本実施形態では、スライド部41,71と軸部43,73と溝部39,69と挿入孔93とスリット95とスリーブ本体部97とを軸方向に沿って配設し、軸部43,73が挿入孔93に嵌合し、スライド部41,71がスリット95に嵌合し、スリーブ本体部97が溝部39,69に嵌合する。よって本実施形態では、フェルール31(光ファイバ21)とフェルール61(光ファイバ51)とをスリーブ91に対してスリーブ91の周方向と径方向とに位置決めできる。
【0045】
また本実施形態では、スリーブ本体部97を、スリーブ91の軸方向に沿って配設し、スリーブ91の径方向に複数配設している。また本実施形態では、スライド部41,71を、フェルール31,61の軸方向に沿って配設し、フェルール31,61の径方向に複数配設している。よって本実施形態では、スリーブ本体部97が溝部39,69と嵌合し、スライド部41,71がスリット95と嵌合することで、光コネクタ10の強度を確保できる。
【0046】
また本実施形態では、距離L2が距離L1よりも長くなるように、溝部39,69をフェルール31,61の周方向において挿入孔37,67と挿入孔37,67との間に配設し、スライド部41,71をフェルール31,61の径方向において挿入孔37,67と同一直線上に配設している。そのため本実施形態では、フェルール31,61の肉厚を確保でき、フェルール31,61の強度を確保でき、結果的に、光コネクタ10の強度を確保できる。
【0047】
また本実施形態では、距離L2が距離L1よりも長くなることで、溝部39,69をより深く形成することができ、スリーブ91を、光コネクタ10の径方向において、外部よりもフェルール31,61の中心軸31a,61a側に配設でき、光コネクタ10をより細くできる。
【0048】
なお本実施形態では、スリーブ91の円柱部材は、フェルール31と同径か、またはフェルール31よりも細いことで、スリーブ91の切削の手間を削減することができる。また本実施形態では、円柱部材がフェルール31よりも太くても、距離L3が距離L4と同一か距離L4よりも短くなるように、外周面91bを切削すればよい。
【0049】
また本実施形態では、溝部39は、光ファイバ21の数に対応して4個配設されているが、数は特に限定されない。溝部39は、例えば光ファイバ21の数に対応して図5Aに示すように3個であっても、図5Bに示すように2個であってもよい。
【0050】
次に図6Aと図6Bとを参照して、本実施形態の第1の変形例について説明する。
本変形例のフェルール31において、一端部33は、円錐台形状を有しておらず、円柱形状を有している。また一端部33は、一端面33aからフェルール31の軸方向に沿って突出している凸部45aを有している。凸部45aは、一端面33aと一体であり、例えば四角柱形状を有している。凸部45aは、一端面33aから突出している平面部33eを有している。挿入孔37は、平面部33eにおいて開口している。
この点は、フェルール61についても同様である。なおフェルール61における凸部を凸部75a、平面部を平面部63eと称する。
【0051】
また本変形例の連結部99は、一端面33a,63aと当接するように平面状に形成されている側面99bを有している。側面99bは、スリーブ91の周方向に沿って配設されている。
【0052】
また連結部99は、フェルール31,61がスリーブ91に挿入される際、凸部45aの平面状の側面がスリーブ91の軸方向に沿って摺動する底面99cを有している。底面99cは、平面状に形成されており、スリーブ91の軸方向に沿って配設されている。
【0053】
このように連結部99は、凸部45aに対応するように、角柱形状を有している。
【0054】
図6Bに示すように、フェルール31はスリーブ91の一端部から挿入され、フェルール61はスリーブ91の他端部から挿入される。このとき平面部33eと平面部63eとは、当接する。また連結部99は、側面99bと底面99cとを介して凸部45a(凸部45a,75aの側面と第1の平面部33d)と当接する。これにより光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とは、光結合する。
【0055】
このように本変形例では、一端部33,63に凸部45a,75aを配設し、凸部45a,75aに対応するように連結部99を配設することで、一端部33,63と連結部99とを容易に加工することができる。
【0056】
次に図7と図8Aと図8Bと図8Cと図8Dと図8Eと図9とを参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7と図8Aと図8Bとに示すように、フェルール31の他端部35から突出している各光ファイバ21の他端部は、光ファイバ21を保護する樹脂製の被覆層25によって覆われている。この点は、光ファイバ51についても同様である。
【0057】
フェルール31の他端部35は、他端面35aから突出している凸部45cを有している。凸部45cは、他端面35bと一体であり、例えば角柱形状を有している。凸部45cと同様の凸部75cがフェルール61の他端部65に配設されている。
【0058】
スリーブ本体部97の一端部は、フェルール31がスリーブ91に嵌合した際、例えば周方向において凸部45cと同一直線上に配設される溝部100を有している。溝部100は、スリーブ91の周方向に沿って配設されている。図8Dに示すように、溝部100は、スリーブ91の周方向において、スリーブ本体部97を貫通しておらず、スリーブ本体部97の側面から凹んで形成されている。そのため溝部100は、スリット95と連通している。またスリーブ本体部97の一端部は、後述する挿入孔111bに配設されるように、中央部よりも細くなっている。この点は、スリーブ本体部97の他端部も同様である。
【0059】
また本実施形態の光コネクタ10は、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ21(入射端面)とを互いに押圧するように、フェルール31とフェルール61とを互いに向かって押圧する押圧機構110をさらに有している。押圧機構110は、フェルール31の凸部45c側と、フェルール61の凸部75c側とに配設されている。凸部45c側と凸部75c側とにおける押圧機構110は、同じ構成のため、凸部45c側を例に説明する。
【0060】
押圧機構110は、被覆層25によって覆われた光ファイバ21が押圧機構110の軸方向に沿って挿通する管部材111と、管部材111の縁部に配設され、溝部100と嵌合する嵌合爪部113と、被覆層25によって覆われた光ファイバ21を巻回するように管部材111に配設され、嵌合爪部113が溝部100と嵌合した際に凸部45cを介してフェルール31をフェルール61に向かって押圧する押圧部材115とを有している。
【0061】
図7に示すように、管部材111の外径は、フェルール31の外径と同等以下の大きさである。管部材111は、光ファイバ21が挿通し、互いに連通しており、径が異なる2つの挿入孔111a,111bを有している。図7と図8Aと図8Bとに示すように、挿入孔111aは、管部材111の軸方向において、挿入孔111bよりも凸部45c側に配設されており、挿入孔111bよりも太径である。
【0062】
嵌合爪部113は、挿入孔111a側に配設されている。図8Bに示すように、嵌合爪部113は、管部材111の周方向において、例えば4個配設されており、例えば等間隔離れて配設されている。嵌合爪部113は、軸方向から径方向に向かって折れ曲がっている。このような嵌合爪部113は、縁部が管部材111の周方向において等間隔に離れて軸方向から径方向に向かって折れ曲がることで、形成される。径方向において、嵌合爪部113同士の長さは、凸部45cが挿入孔111aに配設されるように、凸部45cの長さよりも長い。管部材111がスリーブ91に向かって移動する際、嵌合爪部113はスリーブ本体部97の側面を軸方向に沿って摺動可能である。
【0063】
押圧部材115は、挿入孔111bに配設されており、挿入孔111aよりも大きく、管部材111の内面と凸部45cとに当接する。押圧部材115は、例えば伸縮自在な巻きばねである。
【0064】
次に本実施形態の押圧方法について説明する。
第1の実施形態と同様に、フェルール31はスリーブ91の一端部から挿入され、フェルール61はスリーブ91の他端部から挿入される。
【0065】
フェルール31側において、押圧部材115は、光ファイバ21を巻回し、挿入孔111bに配設される。嵌合爪部113がスリーブ本体部97の側面を軸方向に沿って摺動するように、管部材111がスリーブ91に向かって移動する。このとき、押圧部材115は、凸部45cに当接する。次に管部材111がスリーブの周方向に回転することで、嵌合爪部113は、スリット95から溝部100に向かって移動し、溝部100に嵌合する。
この点は、フェルール61側についても同様である。
【0066】
嵌合爪部113は溝部100に嵌合すると、フェルール31側の押圧部材115は凸部45cをフェルール61に向かって押圧し、フェルール61側の押圧部材115は凸部45cをフェルール31に向かって押圧する。これにより、フェルール31とフェルール61とは互いに向かって押圧部材115によって押圧され、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とは互いに押圧される。
【0067】
このように本実施形態では、押圧機構110によって、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とを互いに押圧でき、光ファイバ21(出射端面)と光ファイバ51(入射端面)とを互いに当接させることができる。これにより本実施形態では、光結合効率を向上させることができる。
【0068】
また本実施形態では、嵌合爪部113が溝部100に嵌合し、この状態で、押圧部材115が押圧しているために、押圧状態と光結合状態とを常に維持できる。
【0069】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0070】
10…光コネクタ、21…光ファイバ、31…フェルール、31a…中心軸、31b…外周面、39…溝部、41…スライド部、51…光ファイバ、61…フェルール、61a…中心軸、61b…外周面、69…溝部、71…スライド部、91…スリーブ、93…挿入孔、95…スリット、97…スリーブ本体部、99…連結部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の光ファイバと、
前記第1の光ファイバを保持する第1の保持部材と、
複数の第2の光ファイバと、
前記第2の光ファイバを保持する第2の保持部材と、
複数の前記第1の光ファイバと複数の前記第2の光ファイバとが光結合するように、第1の保持部材と第2の保持部材とを位置決めして保持する位置決め部材と、
を具備し、
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とは、それぞれの軸方向に沿って配設され、前記位置決め部材が前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを位置決め保持する際に、前記位置決め部材が嵌合する溝部を複数有し、
前記位置決め部材の厚みW1は、前記溝部の深さD1と同一か、前記深さD1よりも浅いことを特徴とする多心式光コネクタ。
【請求項2】
前記位置決め部材は、
棒形状を有し、前記溝部にそれぞれ嵌合し、前記深さD1と同一か前記深さD1よりも浅い前記厚みW1を有する位置決め本体部と、
前記位置決め部材の周方向に沿って配設され、前記位置決め本体部と一体に形成され、前記本体部同士を連結する連結部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載の多心式光コネクタ。
【請求項3】
前記第1の保持部材は、前記第1の保持部材の周方向において前記溝部と前記溝部との間に配設されている第1のスライド部を有し、
前記第1のスライド部は、前記第1の保持部材の径方向において前記第1の光ファイバと同一直線上に配設され、
前記第2の保持部材は、前記第2の保持部材の周方向において前記溝部と前記溝部との間に配設されている第2のスライド部を有し、
前記第2のスライド部は、前記第2の保持部材の径方向において前記第2の光ファイバと同一直線上に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の多心式光コネクタ。
【請求項4】
前記第1の保持部材の径方向において、前記第1のスライド部の両側面の延長線は前記第1の保持部材の中心軸にて交差し、前記第1の保持部材の周方向において、前記延長線の間に前記第1の光ファイバが配設され、
前記第2の保持部材の径方向において、前記第2のスライド部の両側面の延長線は前記第2の保持部材の中心軸にて交差し、前記第2の保持部材の周方向において、前記延長線の間に前記第2の光ファイバが配設されていることを特徴とする請求項3に記載の多心式光コネクタ。
【請求項5】
前記連結部は、前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとが光結合する際に、前記第1の保持部材の先端部と前記第2の保持部材の先端部とに当接することを特徴とする請求項1に記載の多心式光コネクタ。
【請求項6】
前記第1の保持部材の前記先端部と前記第2の保持部材の前記先端部とは、テーパ形状を有し、
前記連結部は、テーパ形状の前記先端部の傾斜部に当接することを特徴とする請求項5に記載の多心式光コネクタ。
【請求項7】
前記第1の保持部材の先端部と前記第2の保持部材の先端部とは、軸方向に沿って突出している凸部を有し、
前記連結部は、前記凸部と当接することを特徴とする請求項1に記載の多心式光コネクタ。
【請求項8】
前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとを互いに押圧するように、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを互いに向かって押圧する押圧機構をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の多心式光コネクタ。
【請求項1】
複数の第1の光ファイバと、
前記第1の光ファイバを保持する第1の保持部材と、
複数の第2の光ファイバと、
前記第2の光ファイバを保持する第2の保持部材と、
複数の前記第1の光ファイバと複数の前記第2の光ファイバとが光結合するように、第1の保持部材と第2の保持部材とを位置決めして保持する位置決め部材と、
を具備し、
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とは、それぞれの軸方向に沿って配設され、前記位置決め部材が前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを位置決め保持する際に、前記位置決め部材が嵌合する溝部を複数有し、
前記位置決め部材の厚みW1は、前記溝部の深さD1と同一か、前記深さD1よりも浅いことを特徴とする多心式光コネクタ。
【請求項2】
前記位置決め部材は、
棒形状を有し、前記溝部にそれぞれ嵌合し、前記深さD1と同一か前記深さD1よりも浅い前記厚みW1を有する位置決め本体部と、
前記位置決め部材の周方向に沿って配設され、前記位置決め本体部と一体に形成され、前記本体部同士を連結する連結部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載の多心式光コネクタ。
【請求項3】
前記第1の保持部材は、前記第1の保持部材の周方向において前記溝部と前記溝部との間に配設されている第1のスライド部を有し、
前記第1のスライド部は、前記第1の保持部材の径方向において前記第1の光ファイバと同一直線上に配設され、
前記第2の保持部材は、前記第2の保持部材の周方向において前記溝部と前記溝部との間に配設されている第2のスライド部を有し、
前記第2のスライド部は、前記第2の保持部材の径方向において前記第2の光ファイバと同一直線上に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の多心式光コネクタ。
【請求項4】
前記第1の保持部材の径方向において、前記第1のスライド部の両側面の延長線は前記第1の保持部材の中心軸にて交差し、前記第1の保持部材の周方向において、前記延長線の間に前記第1の光ファイバが配設され、
前記第2の保持部材の径方向において、前記第2のスライド部の両側面の延長線は前記第2の保持部材の中心軸にて交差し、前記第2の保持部材の周方向において、前記延長線の間に前記第2の光ファイバが配設されていることを特徴とする請求項3に記載の多心式光コネクタ。
【請求項5】
前記連結部は、前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとが光結合する際に、前記第1の保持部材の先端部と前記第2の保持部材の先端部とに当接することを特徴とする請求項1に記載の多心式光コネクタ。
【請求項6】
前記第1の保持部材の前記先端部と前記第2の保持部材の前記先端部とは、テーパ形状を有し、
前記連結部は、テーパ形状の前記先端部の傾斜部に当接することを特徴とする請求項5に記載の多心式光コネクタ。
【請求項7】
前記第1の保持部材の先端部と前記第2の保持部材の先端部とは、軸方向に沿って突出している凸部を有し、
前記連結部は、前記凸部と当接することを特徴とする請求項1に記載の多心式光コネクタ。
【請求項8】
前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとを互いに押圧するように、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを互いに向かって押圧する押圧機構をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の多心式光コネクタ。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【公開番号】特開2012−247703(P2012−247703A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120830(P2011−120830)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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