説明

多成分混合および送出システム

多成分カートリッジは、チャンバおよび長手方向軸を画成する筒体を含む。第1のプランジャは、チャンバ内に筒体に密封係合して配設されている。第1のプランジャは、少なくとも1つの部材を含み、筒体に対して移動可能であり、少なくとも1つの部材は、少なくとも第1の成分が第1のプランジャを通過するのを容易にするように、第1のプランジャに対して移動するように構成されている。第2のプランジャは、チャンバ内に筒体に密封係合して配設されている。第2のプランジャは、少なくとも1つの部材を含み、筒体に対して移動可能であり、第2のプランジャの少なくとも1つの部材は、少なくとも第2の成分が第2のプランジャを通過するのを容易にするように、第2のプランジャに対して移動するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多成分混合および送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療および歯科処置では、調合薬を投与または送出する直前に、調合薬の成分を混合する必要がある。これらの調合薬は、流動性成分および粉末などの固体成分を含むことができる。一般に、これらの成分は何らかの方法で反応し、または粘稠度を維持することができないので、混合および送出前は、成分を別個に保存しなければならない。そのように別個に保存することによって滅菌も維持される。さらに、治療処置中、投与剤を効果的に送出するために、成分を迅速に混合する必要があることが多い。
【0003】
注射器および関連する装置など、調合薬の2つの成分を混合するための様々な混合容器が知られている。これらの注射器は、成分を別個に保存し、揺動または振動によって混合する。他の注射器は、別個に調合されて外部混合ノズルに送られる2つの成分を、別個に保存するための注射器などの外部混合デバイスを使用する。これらのタイプの混合容器は、医療処置中、使用が困難であり、混合の信頼性がないなどの欠点があることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の短所および欠点を解決するために、様々な試みが行われてきた。例えば、混合を容易にする縮径した断面のプランジャタイプの混合ロッドを有する2成分混合デバイスが知られている(例えば、米国特許第7,018,089号を参照)。これらのデバイスは、2つ以上の成分の混合を容易にすることはできず、または成分を混合するための所望の攪拌をもたらすことはできない。
【0005】
したがって、治療および関連する使用方法のための多成分を保存、混合および送出するための多成分混合および送出システムを提供することが望ましい。望ましくは、多成分カートリッジは、多成分混合物の混合および送出を容易にするように構成された、比較的可動性の部材を備えたプランジャを含む。多成分カートリッジが、医療処置中、送出することができる2つ以上、好ましくは3つの別個に保存された成分を混合するための、単一デバイスを提供することが非常に望ましい。多成分混合および送出システムの要素を簡単かつ効率的に製造し、組み立てることが想定されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、治療および関連する使用方法のための多成分を保存、混合および送出するための多成分カートリッジを含む、多成分混合および送出システムが提供される。望ましくは、多成分カートリッジは、多成分混合物の混合および送出を容易にするように構成された、比較的可動性の部材を備えたプランジャを含む。最も望ましくは、多成分カートリッジは、医療処置中、送出することができる2つ以上、好ましくは3つの別個に保存された成分を混合するための、単一デバイスを提供する。多成分混合および送出システムを簡単かつ効率的に製造し、組み立てることが企図されている。
【0007】
本開示の原理による1つの特定の実施形態では、多成分混合および送出システムが提供される。多成分混合および送出システムは、チャンバおよび長手方向軸を画成する筒体を有するカートリッジを含む。第1のプランジャは、チャンバ内に配設される。1つの実施形態では、第1のプランジャは第1のプランジャの外周上に、チャンバ内に密封を形成するOリング、Xリング、または正方形切断などのエラストマー要素を含むことができる。第1のプランジャは、少なくとも第1の成分が第1のプランジャを通過するのを容易にするように、筒体に対して移動するように構成された少なくとも1つの部材を含む。第2のプランジャはチャンバ内に配設される。第2のプランジャは、少なくとも第2の成分が第2のプランジャを通過するのを容易にするように、筒体に対して移動するように構成された少なくとも1つの部材を含む。1つの実施形態では、第2のプランジャは、第2のプランジャの外周上に、チャンバ内に密封を形成するOリング、Xリング、または正方形切断などのエラストマー要素を含むことができる。
【0008】
別の実施形態では、第1のプランジャは、チャンバの第1の部分の密封を形成するように、チャンバの長手方向軸に対して実質的に横向きである第1のディスクを含む。第1のディスクを筒体の長手方向軸に対する横向き関係から外れるように配置することによって、少なくとも第1の成分が第1のプランジャを通過するのが容易になる。チャンバの第1の部分のサイズは、混合される成分の容量および第1のプランジャ、第1のディスクおよび関連する成分のサイズによって変えることができる。第1のディスクがチャンバの第1の部分の密封を形成するように配置されるとき、第1のディスクは密封構成にある。第1のディスクが密封構成にあるとき、第1の成分は隔離して保存される。第1のディスクが筒体の長手方向軸に対して横向きに配設されていないとき、第1のディスクは非密封構成にある。1つの実施形態では、第1のディスクは取り外し可能である。第1のディスクを、第1のディスクが筒体の長手方向軸に対して横向きに配設されない向きにすることによって、第1のディスクが非密封構成を取ることもできることが想定されている。第1のディスクが非密封構成にあるとき、チャンバの第1の部分に配設された第1の成分を、チャンバの他の成分と混合することができる。
【0009】
1つの実施形態では、第2のプランジャは、チャンバの第2の部分の密封を形成するように、チャンバの長手方向軸に対して実質的に横向きである取り外し可能な第2のディスクを含む。チャンバの第2の部分のサイズは、混合される成分の容量および第2のプランジャ、第2のディスクおよび関連する成分のサイズによって変えることができる。第2のディスクが、チャンバの第2の部分の密封を形成するようにチャンバの長手方向軸に対して実質的に横向きであるとき、第2のディスクは密封構成にある。第1のディスクおよび第2のディスクが密封構成にあるとき、第1の成分はチャンバの第1の部分内で隔離して保存され、第2の成分はチャンバの第2の部分内で隔離して保存される。さらに、密封構成にある第1のディスクおよび第2のディスクは、第3の成分を配設するために、チャンバの第3の部分の密封を形成する。チャンバの第3の部分のサイズは、混合される成分の容量によって変えることができる。多成分混合および送出システムは、チャンバの3つの隔離された部分を設けることによって、組み合わされる成分の保存、混合、次いで送出に適切な、デバイス内での少なくとも3つの成分の分離を可能にすることができる。
【0010】
第1のプランジャが非密封構成にあり、第2のディスクが密封構成にあるとき、第1の成分および第2の成分は混合できるようになる。第1のプランジャが非密封構成にあり、第2のディスクが密封構成にあるとき、第1の成分および第2の成分の混合物は、チャンバの第1の部分およびチャンバの第2の部分によって画成された空間内に、隔離して保存される。
【0011】
第2のディスクが筒体の長手方向軸に対して横向きに配設されていないとき、第2のディスクは非密封構成にある。1つの実施形態では、第1のディスクは取り外し可能である。第2のディスクを、第2のディスクが筒体の長手方向軸に対して横向きに配設されない向きにすることによって、第2のディスクが非密封構成を取ることもできることが想定されている。第2のディスクが非密封構成にあるとき、第2の成分(第1のプランジャが密封構成にあるとき)または第1の成分および第2の成分の混合物(第1のプランジャ非密封構成にあるとき)のいずれかが、チャンバの第3の部分に含有される成分と混合される。
【0012】
代替実施形態では、プランジャロッドが第1のプランジャから延び、第2のプランジャロッドが第2のプランジャから延び、第1のプランジャロッドおよび第2のプランジャロッドは同軸上にある。第1のプランジャから延びるプランジャロッドは、第1のプランジャをチャンバ内で長手方向に動かすように作用する。第2のプランジャから延びるプランジャロッドは、第2のプランジャをチャンバ内で長手方向に動かすように作用する。1つの特定の実施形態では、第1のプランジャは、第1のプランジャから延びる管状の第1のプランジャロッドを有し、第1のディスクは、第1のプランジャロッドを介して取り外し可能である。特に、第1のプランジャロッドは、第1のディスクを第1のプランジャロッド内に引き込み、それにより第1のディスクを筒体から取り外すように、筒体の近位側部分の反対側に動かされる。別の実施形態では、第2のプランジャは、第2のプランジャから延びる管状の第2のプランジャロッドを有し、第2のディスクは管状の第2のプランジャロッドを介して取り外し可能である。特に、第2のプランジャロッドは、第2のディスクを第1のプランジャロッド内に引き込み、それにより第2のディスクを筒体から取り外すように、筒体の近位側部分の反対側に動かされる。
【0013】
別の実施形態では、第1のプランジャはさらに、ブレード配置を有する少なくとも1つの部材を含む。第1のプランジャのブレード配置は、少なくとも1つの枢動可能なブレードを含む。第1のプランジャの枢動可能な1つまたは複数のブレードが初期の非枢動位置にあるとき、第1のプランジャの枢動可能なブレードは、第1のプランジャと実質的に平行である。1つの特定の実施形態では、枢動可能なブレードを含む第1のプランジャは、第1のプランジャのプランジャロッドが軸方向に移動することによって第1のプランジャも筒体内で動くように、第1のプランジャの管状プランジャロッドに固定されている。
【0014】
少なくとも第1の成分および第2の成分の混合を容易にするために、第1のプランジャの枢動可能なブレードは、第1のプランジャから遠ざかるように枢動され、次いで、第1のプランジャの管状プランジャロッドを前後に動かすことによって軸方向に往復され、枢動可能なブレードを含む第1のプランジャがチャンバ内で長手方向に動く。第1のプランジャの枢動可能なブレードは、第1のプランジャに対して−90度から90度の範囲内で枢動することができることが想定されている。1つの特定の実施形態では、第1のプランジャの枢動可能なブレードは、第1のプランジャに対して−45度から45度の範囲内で枢動することができる。
【0015】
1つの実施形態では、第2のプランジャはさらに、ブレード配置を有する少なくとも1つの部材を含む。第2のプランジャのブレード配置は、少なくとも1つの枢動可能なブレードを含む。第2のプランジャの枢動可能な1つまたは複数のブレードが初期の非枢動位置にあるとき、第2のプランジャの枢動可能なブレードは、第2のプランジャと実質的に平行である。1つの特定の実施形態では、第2のプランジャの枢動可能なブレードは、第2のプランジャのプランジャロッドが軸方向に移動することによって第2のプランジャも筒体内で動くように、第2のプランジャの管状プランジャロッドに固定されている。
【0016】
少なくとも第1の成分および第2の成分の混合を容易にするために、第2のプランジャの枢動可能なブレードは、第1のプランジャから遠ざかるように枢動され、次いで、第2のプランジャの管状プランジャロッドを前後に動かすことによって軸方向に往復され、枢動可能なブレードを含む第2のプランジャがチャンバ内で長手方向に動く。第2のプランジャの枢動可能なブレードは、第2のプランジャに対して−90度から90度の範囲内で枢動することができることが想定されている。1つの特定の実施形態では、第2のプランジャの枢動可能なブレードは、第2のプランジャに対して−45度から45度の範囲内で枢動することができる。
【0017】
別の実施形態では、第1のプランジャのブレード配置および第2のプランジャのブレード配置は、第1のプランジャの枢動可能な1つまたは複数のブレードおよび第2のプランジャの枢動可能な1つまたは複数のブレードを初期の非枢動位置で係止するため、ならびに第1のプランジャの枢動可能な1つまたは複数のブレードおよび第2のプランジャの枢動可能な1つまたは複数のブレードを解除し、ブレード配置が長手方向軸に対して枢動できるようにするために、解除可能に係止可能である。1つの特定の実施形態では、第1のプランジャのブレード配置および第2のプランジャのブレード配置は、それぞれ第1および第2のプランジャの近傍で筒体の凹部内に解除可能に係止可能であるロッキングピンを含む。
【0018】
別の実施形態では、第1のプランジャは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。第1の位置にあるとき、第1のプランジャの部材は長手方向軸に対して実質的に横向きであり、少なくとも第1の成分が第1のプランジャを通過しないようにする。第2の位置にあるとき、第1のプランジャの部材は長手方向軸に対して約45度の角度に向いており、少なくとも第1の成分が第1のプランジャを通過できるようにする。1つの特定の実施形態では、第1のプランジャの部材は、長手方向軸に対して約120度の角度にわたって枢動可能である。
【0019】
別の実施形態では、第2のプランジャは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。第1の位置にあるとき、第2のプランジャの部材は長手方向軸に対して実質的に横向きであり、材料が第2のプランジャを通過しないようにする。1つの特定の実施形態では、第2のプランジャの部材は第1の位置で解除可能に係止可能である。第2の位置にあるとき、第2のプランジャの部材は長手方向軸に対して約45度の角度に向いており、少なくとも第2の成分が第2のプランジャを通過できるようにする。1つの特定の実施形態では、第2のプランジャの部材は、長手方向軸に対して約120度の角度にわたって枢動可能である。
【0020】
第1のプランジャが第2の位置にあり、第2のプランジャが第1の位置にあるとき、第1の成分および第2の成分は混合できるようになる。第1の成分および第2の成分の混合物は、チャンバの第1の部分およびチャンバの第2の部分によって画成された空間内に、隔離されて保存される。第2のプランジャが第2の位置にあるとき、第2の成分(第1のプランジャが第2の位置にあるとき)または第1の成分および第2の成分混合物(第1のプランジャが第1の位置にあるとき)のいずれかが、チャンバの第3の部分に含有される成分と混合される。
【0021】
1つの実施形態では、第1のプランジャの部材は第1のプランジャに対する移動が可能なように枢動的に取り付けられ、第2のプランジャの部材は第2のプランジャに対する移動が可能なように枢動的に取り付けられている。
【0022】
多成分物質は、少なくとも3つの成分を含むことができる。成分は、液体成分、粘性成分、ペースト成分および粉末などの固体成分とすることができる。さらにシステムは、複数の成分を含む多成分物質を保存、混合および送出するための多様な用途に適用可能である。
【0023】
本開示の原理による別の実施形態では、部位へと送出するための多成分を混合する方法が提供される。方法は、本明細書で説明されるものと同様のカートリッジを設けるステップと、第1のディスクを取り外すステップと、第1の成分および第3の成分を混合する際、第1の成分および第3の成分が第1のプランジャを通過するのを容易にするように、少なくとも1つの部材が第1のプランジャに対して移動するよう構成されるように、第1のプランジャを筒体に対して移動するステップと、第1のプランジャを筒体の近位側部分の付近に固定するステップと、第2のディスクを取り外すステップと、第2の成分と第1の成分および第3の成分の混合物とを混合する際、第2の成分ならびに第1の成分および第3の成分の混合物が第2のプランジャを通過するのを容易にするように、第2のプランジャの少なくとも1つの部材が第2のプランジャに対して移動するよう構成されるように、第2のプランジャを筒体に対して移動するステップと、第2のプランジャを筒体の近位側部分の付近に固定するステップと、第2の成分と第1の成分および第3の成分の混合物との混合物を部位へと送出するステップとを含む。
【0024】
別の実施形態では、近位側部分から遠位側部分へと延び、長手方向軸を画成し、チャンバを画成する少なくとも1つの内壁を有する筒体と、チャンバ内に配設され、少なくとも1つの内壁に密封係合する外面を有し、長手方向軸に対して横向きに配設された第1のディスクを含み、第1の成分を配設するためのチャンバの近位側部分の密封を形成するように構成され、さらに近位側プランジャに対して枢動的に移動可能な少なくとも1つのブレードを含む近位側プランジャと、チャンバ内に配設され、少なくとも1つの内壁に密封係合する外面を有し、長手方向軸に対して横向きに配設された第2のディスクを含み、第2の成分を配設するためのチャンバの遠位側部分の密封を形成するように構成され、さらに遠位側プランジャに対して枢動的に移動可能な少なくとも1つのブレードを含む遠位側プランジャとを含み、第1のディスクおよび第2のディスクはさらに、第3の成分を配設するためのチャンバの中間部分の密封を形成し、第1のディスクおよび第2のディスクは、近位側部分、中間部分および遠位側部分を密封解除するように取り外し可能であり、近位側プランジャは、第1の成分および第3の成分の混合物の調合を容易にするように、近位側プランジャの少なくとも1つのブレードが移動するよう構成されるように、筒体に対して移動可能であり、遠位側プランジャは、第2の成分と第1の成分および第3の成分の混合物との混合物の調合を容易にするように、遠位側プランジャの少なくとも1つのブレードが移動するよう構成されるように、筒体に対して移動可能である、多成分カートリッジが提供される。任意で、近位側プランジャの少なくとも1つのブレードおよび遠位側プランジャの少なくとも1つのブレードは、解除可能に係止可能であり、および/または第1のディスクは近位側プランジャの管状プランジャロッドを介して取り外し可能であり、第2のディスクは遠位側プランジャの管状プランジャロッドを介して取り外し可能であり、および/または近位側プランジャの少なくとも1つのブレードおよび遠位側プランジャの少なくとも1つのブレードはそれぞれ、長手方向軸に対して120度の角度にわたって移動可能である。
【0025】
別の実施形態では、第1および第2のチャンバに液体が充填され、第3のチャンバに粉末が充填される、多成分カートリッジシステムを含むキットが提供される。
本開示は、添付の図面と併せて具体的な説明を読むと、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本開示の原理による多成分混合および送出システムの1つの特定の実施形態の側面図である。
【図2】図1に示す多成分混合および送出システムのプランジャの分解切断斜視図である。
【図3】図2に示すプランジャの第1の部品の平面図である。
【図4】図2に示すプランジャの一部分の側面断面図である。
【図5】図2に示すプランジャの第2の部品の平面図である。
【図6】図2に示すプランジャの第2の部品の斜視図である。
【図7】図1に示す多成分混合および送出システムのディスクの斜視図である。
【図8】図2に示すプランジャの一部分の斜視図である。
【図9】プランジャの部材の動作を示す、図2に示すプランジャの一部分の側面図である。
【図10】本開示の原理による多成分混合および送出システムの使用方法の1つの特定の実施形態の側面平面図である。
【図11】本開示の原理による多成分混合および送出システムの使用方法の1つの特定の実施形態の側面平面図である。
【図12】本開示の原理による多成分混合および送出システムの使用方法の1つの特定の実施形態の側面平面図である。
【図13】本開示の原理による多成分混合および送出システムの使用方法の1つの特定の実施形態の側面平面図である。
【図14】本開示の原理による多成分混合および送出システムの使用方法の1つの特定の実施形態の側面平面図である。
【図15】本開示の原理による多成分混合および送出システムの使用方法の1つの特定の実施形態の側面平面図である。
【図16】本開示の原理による多成分混合および送出システムの使用方法の1つの特定の実施形態の側面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図を通して、同様の参照符号は同様の部品を示す。
開示される多成分混合および送出システムならびに使用方法の例示的な実施形態を、多成分混合物を保存、混合および調合するためのカートリッジに関して説明する。特に、システムは、医療のための多成分を保存、混合および送出するための多成分カートリッジを含み、多成分混合物の混合および送出を容易にするように構成された比較的可動性の部材を備えたプランジャを有する。多成分カートリッジは、医療処置中、送出することができる2つ以上の保存された成分を混合するための、単一デバイスを提供することが想定されている。さらに、本開示のシステムは、診断、治療および手術を含む、様々な医療および歯科処置および治療で使用できることが想定されている。システムは、観血的手術および最小侵襲手術を含む様々な外科手術中に使用することができることが企図されている。
【0028】
本発明は、以下の本発明の詳細な説明を、本開示の一部を形成する添付の図面と併せて参照することによって、より容易に理解することができる。本発明は本明細書に説明および/または図示される特定のデバイス、方法、条件またはパラメータに制限されず、本明細書で使用される用語は例示のためのみの特定の実施形態を説明するためのものであると理解され、特許請求された本発明の範囲を制限するものではない。また、本明細書では、添付の特許請求の範囲を含んで、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形を含み、特定の数値の参照は、文脈に明らかに別の記載がない限り、少なくともその特定の値を含む。本明細書では、範囲は「およそ」または「約」1つの特定の値から、および/または「およそ」または「約」別の特定の値まで、と表現することができる。さらに、本明細書における範囲の記載は、本明細書中に他の記載がない限り、その範囲内に含まれる各々の値を個別に参照するための簡略的な方法であるに過ぎず、各々の値は本明細書に個別に記載されているかのように、明細書中に援用される。そのような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が「およそ」という先行詞を使用して概算として表現されるとき、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。
【0029】
本明細書で使用される「を含む」、「を有する」、「を含有する」、「を特徴とする」およびそれらの文法的均等物は、追加の記載されていない要素または方法ステップを排除しない包括的またはオープンエンドな用語であり、より限定的な用語である「からなる」および「から基本的になる」を含むと理解される。
【0030】
以下の議論は、多成分混合および送出システム、関連する成分および本開示の原理による多成分混合および送出システムの例示的な使用方法の説明を含む。代替実施形態も開示される。以下、添付の図に示された本開示の例示的な実施形態を詳細に参照する。ここで図1を参照すると、本開示の原理による多成分混合および送出システムの多成分カートリッジ20が示されている。
【0031】
多成分カートリッジ20の部品は、特定の用途および/または医師の好みによって、金属、ポリマー、セラミック、生体適合性材料および/またはそれらの複合材ならびにそれらの組み合わせを含む、医療用途に適した材料から作製することができる。部品は、例えば、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマーオレフィン、コポリエステル、およびスチレン系熱可塑性エラストマー、鋼材、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、非鉄金属含有量が高く鉄の相対的割合が低い金属合金、カーボンファイバー、グラスファイバー、プラスチック、セラミックまたはそれらの組み合わせなど、多様な材料を含むことができる。多成分カートリッジ20の部品は、放射線透過性および/または放射線不透過性材料を含むことができる。
【0032】
多成分カートリッジ20は、近位側部分28から遠位側部分30へと延びる、内壁24および外壁26を有する筒体22を含む。カートリッジ20は、針、カニューレ、トロカール、シース、最小侵襲的器具および医療用途の他の構造とともに使用することができることが企図されている。筒体22は、特定の用途の要件に応じて、円形、楕円形および長方形など、様々な長さ、断面および形状とすることができることが想定されている。
【0033】
筒体22は、チャンバ32および長手方向軸xを画成する。チャンバ32は、特定の用途の要件に応じて、円形、楕円形および長方形など、様々な長さ、断面および形状とすることができることが想定されている。さらに、チャンバ32は、均一、非均一または先細状の断面および形状とすることができることが想定されている。筒体22は、遠位側部分30に隣接して画成されたノズル58を含む。ノズル58は、後述するように、成分の混合物を調合するように構成されている。ノズル58は、混合物を送出し、または送出を中断するための弁を含むことができる。弁によって連続的または規制された流れをもたらし、電子的またはプロセッサ制御することができる。ノズル58は先細状であり、または流れを防ぐためのキャップまたはクリップ構造を含むことが想定されている。ノズル58は、ルアーロックとして、および/または針またはチューブを取り付けるように構成することができることが、さらに想定されている。
【0034】
例えば近位側プランジャ34など、第1のプランジャがチャンバ32内に配設されている。近位側プランジャ34は、内壁24に密封係合して配設される外面36を有する。近位側プランジャ34は、長手方向軸xに対して実質的に横向きである。近位側プランジャ34は、長手方向軸xに対して傾斜して配設することができることが想定されている。近位側プランジャ34は、近位側プランジャ34を軸方向操作するように向けられた管状ロッド38を有する。ロッド38は、近位側プランジャ34の回転操作も容易にすることができることが想定されている。ロッド38はさらに、当業者には明らかなように、電子的またはプロセッサ制御できることが想定されている。
【0035】
近位側プランジャ34は、密封構成と非密封構成との間で配設可能な第1のディスク40aを含む。密封構成では、第1のディスク40aは長手方向軸xに対して横向きに配設され、例えば筒体22の近位側部分42など、第1の部分の密封を形成するように構成されている。近位側部分42は、例えばポリマーAなど、第1の成分を配設するように構成されている。ポリマーAは、制限はされないが、ポリ(アルファ−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(アルファ−ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)複合体、ポリ(オルソエステル)(POE)、ポリアスピリン、ポリホスファゼン、コラーゲン、デンプン、プレゼラチン化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギナート、アルブミン、フィブリン、αトコフェロール酢酸、d−コハク酸トコフェロールなどのビタミンE類似体、D,L−ラクチド、またはL−ラクチド、カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBTコポリマー(ポリアクティブ)、メタクリラート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(プルロニック)、PEO−PPO−PAAコポリマー、PLGA−PEO−PLGA、PEG−PLG、PLA−PLGA、ポロキサマー407、PEG−PLGA−PEGトリブロックコポリマー、SAIB(イソ酪酸酢酸スクロース)、またはそれらの組み合わせを含む、バイオポリマーを含むことが企図されている。近位側部分42は、特定の用途の要件に応じて、様々な長さ、断面および形状とすることができる。近位側部分42は、筒体22の断面および形状を均一または非均一とすることができる。
【0036】
非密封構成では、第1のディスク40aは、管状ロッド38によって画成された細長いキャビティ44を介して近位側プランジャ34から取り外し可能である。第1のディスク40aは、後述するように、近位側部分42を密封解除し、ポリマーAを他の成分と混合するために放出するように取り外し可能である。あるいは、第1のディスク40aは、近位側プランジャ34からロッド38の外部などに取り外すことができることが企図されている。第1のディスク40aは、例えば、分解、穿孔、破裂または第1のディスク40aの器具との密封構成を解除する他の方法によって、近位側部分42を密封解除するように操作されることが、さらに企図されている。
【0037】
例えば遠位側プランジャ46など、第2のプランジャがチャンバ32内に配設されている。遠位側プランジャ46は、内壁24に密封係合して配設される外面48を有する。遠位側プランジャ46は、長手方向軸xに対して実質的に横向きである。遠位側プランジャ46は、長手方向軸xに対して傾斜して配設することができることが想定されている。遠位側プランジャ46は、遠位側プランジャ46を軸方向操作するように向けられた管状ロッド50を有する。ロッド50は、遠位側プランジャ46の回転操作も容易にすることができることが想定されている。ロッド50はさらに、当業者には明らかなように、電子的またはプロセッサ制御できることが想定されている。ロッド50はロッド38と同軸であり、キャビティ44内で摺動可能である。
【0038】
遠位側プランジャ46は、密封構成と非密封構成との間で配設可能な第2のディスク40bを含む。密封構成では、第2のディスク40bは長手方向軸xに対して横向きに配設され、例えば筒体22の遠位側部分52など、第2の部分の密封を形成するように構成されている。遠位側部分52は、例えばヒドロゲルまたは他の治療材Cなど、第2の成分を配設するように構成されている。適切なヒドロゲルは、天然ヒドロゲル、およびポリビニルアルコール、ポリアクリル酸およびポリ(アクリロニトリル−アクリル酸)などのアクリルアミド、非再吸収性ポリウレタン、ポリエチレングリコール、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリアクリラートなどのアクリラート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリラート)、メチルメタクリラート、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、およびアクリラートとN−ビニルピロリドン、N−ビニルラクタム、アクリルアミド、ポリウレタンおよびポリアクリロニトリルのコポリマーから形成されるものを含み、またはヒドロゲルを形成する他の同様の材料とすることもできる。ヒドロゲル材料はさらに、インプラントをさらに強化するために架橋することができる。ポリウレタンの例には、熱可塑性ポリウレタン、脂肪族ポリウレタン、セグメント化ポリウレタン、親水性ポリウレタン、ポリエーテル−ウレタン、ポリカーボネート−ウレタンおよびシリコンポリエーテル−ウレタンを含む。他の適切な親水性ポリマーには、グルコマンナンゲルなどの天然性材料、ポリホスファゼン、ヒアルロン酸、架橋カルボキシル含有ポリサッカリドなどのポリサッカリド、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、シクロデキストリン、ポリデキストロース、デキストラン、ゼラチン、およびそれらの組み合わせを含む。材料の別の例には、骨セメントなどの流動性材料、骨形成タンパク質、ヒドロキシアパタイト、ヒドロキシアパタイトリン酸三カルシウム、または抗菌物質など他の治療材を含む。成分には、造影剤、薬剤、細胞物質、生物学的因子またはそれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、薬剤は、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症薬、抗TNFα、ステロイド、またはそれらの組み合わせを含むことができる。さらに、細胞物質は、骨髄由来幹細胞、脂肪由来幹細胞、またはそれらの組み合わせを含むことができる。また、生物学的因子は、骨形成タンパク質(BMP)、軟骨由来骨形成タンパク質(CDMP)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF)、LIMミネラル化タンパク質、線維芽成長因子(FGF)、骨芽成長因子、またはそれらの組み合わせを含むことができる。遠位側部分52は、特定の用途の要件に応じて、様々な長さ、断面および形状とすることができる。遠位側部分52は、筒体22の断面および形状を均一または非均一とすることができる。
【0039】
非密封構成では、第2のディスク40bは、管状ロッド50によって画成された細長いキャビティ54を介して遠位側プランジャ46から取り外し可能である。第2のディスク40bは、後述するように、遠位側部分52を密封解除し、ヒドロゲルCを他の成分と混合するために放出するように取り外し可能である。あるいは、第2のディスク40bは、遠位側プランジャ46からロッド50の外部などに取り外すことができることが企図されている。第2のディスク40bは、例えば、分解、穿孔、破裂または第2のディスク40bの器具との密封構成を解除する他の方法によって、遠位側部分52を密封解除するように操作されることが、さらに企図されている。
【0040】
第1のディスク40aおよび第2のディスク40bはまた、例えば開始剤Bなど第3の成分を配設するように、例えば筒体22の中間部分56など第3の部分の密封も形成する。当業者には明らかなように、mPEGをPLGAの可塑剤として使用することができるが、同じ効果を達成するために他のポリマー/賦形剤を使用することもできる。mPEGは最終的な製剤に順応性を与える。添加剤にはまた、スラリーまたはゲル形成を促進する添加剤も含む。これらの添加剤は、タンパク質折り畳み、水結合、タンパク質−タンパク質相互作用、水固定、またはそれらの組み合わせを促進することができる。さらに、添加剤は、プロテオグリカンなどのポリサッカリド、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含むことができる。中間部分56は、特定の用途の要件に応じて、様々な長さ、断面および形状とすることができる。中間部分56は、筒体22の断面および形状を均一または非均一とすることができる。第1のディスク40aおよび第2のディスク40bを取り外すことによって、後述するように、中間部分56を密封解除し、開始剤Bを他の成分と混合するために放出する。第1のディスク40aおよび第2のディスク40bは、外科手術用材料、生体適合性材料、非水溶性材料、またはチャンバ内に置かれた隣接する成分に不活性な物質から、作製することができる。適切な材料の例は、制限はされないが、ステンレス鋼およびチタンなどの金属、ニチノール、炭素複合材、プラスチックポリマー、ゴム、シリコーン、ポリウレタンおよびポリカーボネートなどを含む。ディスクは、金属、プラスチック、炭素複合材、ニチノール、または使用目的に適した他の材料のどのような組み合わせからも形成することができることが理解されよう。
【0041】
図2〜図9を参照すると、近位側プランジャ34の構成部品が説明されている。図2〜図9はまた、以下に述べるように同様の参照符号を使用する、遠位側プランジャ46の説明にも使用されている。
【0042】
近位側プランジャ34は、第1のディスク40aを間に配設して第2の部品62aに取り付けるように構成された第1の部品60aを有する。第1の部品60aは、第2の部品62aと相互係止して、第1のディスク40aを密封構成に維持する。第1の部品60aは、第2の部品62aの外側リップ66aに嵌合する内側フランジ65aを有する。第1の部品60aは、上記の第1のディスク40aの取り外し後、第2の部品62aとの相互係止関係を維持する。第2の部品62aは、近位側プランジャ34の内壁24との密封係合を容易にする、エラストマーOリング68aを含む。第1の部品60aは、ロッド38に固定的に取り付けられている。
【0043】
第1の部品60aおよび第2の部品62aは、円筒形のディスク設計を有し、成分を混合するための流れおよび攪拌を容易にするように構成されたリブ64aを含む。リブ64aは、成分の通過および混合のために構成された同サイズの楔形開口70aを画成する。開口70aは、円形、楕円形および長方形など、代替的なサイズおよび構成とすることができることが企図されている。近位側プランジャ34は、1つまたは複数の開口を含む、あるいは含まないことができることが、さらに企図されている。第1の部品60aおよび第2の部品62aの開口、または個々の開口は、交互または均一のサイズおよび構成とすることができる。
【0044】
近位側プランジャ34は、近位側プランジャ34に対して移動するように構成された、例えばブレード72aなどの部材を含む。ブレード72aは、第2の部品62aに取り付けられたピンヒンジ74aを介して近位側プランジャ34に対して枢動的に移動可能である。ブレード72aは、混合物を形成するように成分を混合するための通過および攪拌を容易にするように、長手方向軸xに対する角度αにわたって回転可能である。角度αは、長手方向軸xに対して−90度から90度の範囲とすることができることが企図されている。好ましくは、角度αは長手方向軸xに対して−45度から45度の範囲である。
【0045】
4つのブレード72aは、第2の部品62aの周りに等距離に配設され、開口70aの一部分を取り囲んでいる。ブレード72aはそれぞれ、成分を混合するための通過および攪拌を容易にするように、楔形構成を有する。ブレード72aは、円形、楕円形および長方形など、代替的なサイズおよび構成とすることができることが企図されている。さらに、近位側プランジャ34は、1つまたは複数のブレード72aを含む、あるいは含まないことができることが、企図されている。ブレード72aは、平坦な表面および先細状の端部部分を有する。ブレード72aは、起伏状などの代替的な表面構成を有し、または表面に画成された1つまたは複数の開口を含むことができることが企図されている。
【0046】
ブレード72aはそれぞれ、ロッキングピン75aを介して近位側プランジャ34に解除可能に係止可能である。ピン75aは、ブレード72aとの係合および係脱のために第1の部品60aおよび第2の部品62aを通して摺動可能である。望ましくは、ピン75aは、第1のディスク40aに関連付けられた密封構成において、係止位置でブレード72aに係合する。第1のディスク40aに関連付けられた非密封構成では、ピン75aはブレード72aから係脱して、上述のように、ブレード72aを解除し、ブレード72aを枢動回転させる。ピン72aは、筒体22を通って取り外し可能とすることができることが企図されている。ブレード72aはさらに、最初に近位側プランジャ34に形成され、非密封構成では簡単に破壊され解除される、ブレード72aのより厚さの薄い端部を有する各先端部分などの代替構造によって、解除可能に係止可能とすることができることが企図されている。
【0047】
遠位側プランジャ46は、第2のディスク40bを間に配設して第2の部品62aに取り付けるように構成された第1の部品60bを有する。第1の部品60bは、第2の部品62bと相互係止して、第2のディスク40bを密封構成に維持する。第1の部品60bは、第2の部品62bの外側リップ66bに嵌合する内側フランジ65bを有する。第1の部品60bは、上記の第2のディスク40bの取り外し後、第2の部品62bとの相互係止関係を維持する。第2の部品62bは、遠位側プランジャ46の内壁24との密封係合を容易にする、エラストマーOリング68bを含む。第1の部品60bは、ロッド50に固定的に取り付けられている。
【0048】
第1の部品60bおよび第2の部品62bは、円筒形ディスク設計を有し、成分を混合するための流れおよび攪拌を容易にするように構成されたリブ64bを含む。リブ64bは、成分の通過および混合のために構成された、同サイズの楔形開口70bを画成する。開口70bは、円形、楕円形および長方形など、代替的なサイズおよび構成とすることができることが企図されている。さらに、遠位側プランジャ46は、1つまたは複数の開口を含む、あるいは含まないことができることが、企図されている。第1の部品60bおよび第2の部品62bの開口、または個々の開口は、交互または均一のサイズおよび構成とすることができる。
【0049】
遠位側プランジャ46は、遠位側プランジャ46に対して移動するように構成された、上記のブレード72aと同様のブレード72bを含む。ブレード72bは、第2の部品62bに取り付けられたピンヒンジ74bを介して遠位側プランジャ46に対して枢動的に移動可能である。ブレード72bは、混合物を形成するように成分を混合するための通過および攪拌を容易にするように、長手方向軸xに対する角度αにわたって回転可能である。ブレード72bはそれぞれ、上記のロッキングピン75aと同様のロッキングピン75bを介して遠位側プランジャ46に解除可能に係止可能である。
【0050】
上述のように、第1のディスク40aおよび第2のディスク40bは、近位側部分42、中間部分56および遠位側部分52を密封解除するように取り外し可能である。近位側プランジャ34は、筒体22に対して移動可能であり、ブレード72aはポリマーAおよび開始剤Bの混合物を形成するための流れおよび攪拌を容易にするよう移動するように構成されている。遠位側プランジャ46は筒体22に対して移動可能であり、ブレード72bはヒドロゲルCとポリマーAおよび開始剤Bの混合物との混合物を形成するための流れおよび攪拌を容易にするよう移動するように構成されている。多成分カートリッジ20は、2つまたは複数の成分の保存、混合および送出を容易にすることができることが企図されている。
【0051】
図10〜図16を参照すると、上記で説明したものと同様の多成分混合および送出システムの多成分カートリッジ20が提供され、部位(図示せず)へ送出するための多成分を混合する方法で使用される。多成分カートリッジ20は、関節リウマチ、変形性関節炎、坐骨神経痛、手根管症候群、腰痛、下肢痛、上肢痛、癌、組織痛および頸椎、胸椎および/または腰椎または椎間板、回旋腱板、関節、顎関節、腱、靭帯、筋肉等の損傷または修復に関連する痛みを含む慢性病態の治療を含む様々な治療で使用することができることが想定されている。さらに、多成分カートリッジ20は、椎体形成術を用いた治療などの骨セメント送出の用途、関節全置換術、腫瘍切除術、椎間板造影、髄核増強および髄核置換などの脊椎手術で使用することができることが想定されている。多成分カートリッジ20およびその構成部品は、所望の成分の混合物を使用および調合するために滅菌され、他の方法で準備される。近位側部分42、中間部分56および遠位側部分52は、混合前は隔離して保有される所望の成分が、別個に充填される。例えば、多成分カートリッジ20は、近位側部分42にポリマーAが充填され、中間部分56に開始剤Bが充填され、遠位側部分52にヒドロゲルCが充填されるように、あらかじめ充填される。
【0052】
第1のディスク40aおよび第2のディスク40bは、上述のように密封構成にある。第1の折り畳み可能な密封ディスク40aは、密封ディスク40aに連結された中央縫合糸連結部を引っ張り、ロッド38から延ばし、ディスク40aをプランジャロッド38内へと収めることによって、非密封構成を取るようにロッド38を通って近位側プランジャ34から取り外される。解除可能なロッキングピン74aは、上述のようにブレード72aから係脱される。ポリマーAは近位側部分42から流れることが可能になり、開始剤Bは中間部分56から流れることが可能になる。ロッド38は図10および11に示す矢印DおよびEの方向に操作され、ブレード72aが、上述のように、混合物を形成するようにポリマーAおよび開始剤Bを混合するための通過および攪拌を容易にするように、長手方向軸xに対する角度αにわたって近位側プランジャ34に対して枢動するようになっている。
【0053】
ロッド38は、図12に示すように、近位側プランジャ34が筒体22の近位側部分28に隣接して係止されるように操作される。ロッド38は、摩擦嵌合、戻り止め、ピンおよびクリップなど、様々な構造によって係止することができる。
【0054】
第2の折り畳み可能な密封ディスク40bは、密封ディスク40bに連結された中央縫合糸連結部を引っ張り、ロッド50から延ばし、ディスク40bをプランジャロッド50内へと収めることによって、非密封構成を取るようにロッド50を通って遠位側プランジャ46から取り外される。解除可能なロッキングピン74bは、ブレード72bから係脱される。ロッド50は図13に示す矢印Fの方向に操作され、ブレード72bが、遠位側部分52からポリマーAおよび開始剤Bの混合物へと連絡するヒドロゲルCの通過および流れを容易にするように、長手方向軸xに対する角度αにわたって遠位側プランジャ46に対して枢動するようになっている。ロッド50は図14に示す矢印FおよびGの方向にさらに操作され、ブレード72bが、上述のように、ポリマーA、開始剤BおよびヒドロゲルCの混合物を形成するように、矢印HおよびIによって示す、ポリマーAおよび開始剤Bを混合するための通過および攪拌を容易にするように、長手方向軸xに対する角度αにわたって遠位側プランジャ46に対して枢動するようになっている。
【0055】
ロッド50は、図15に示すように、遠位側プランジャ46が近位側プランジャ34に係止されるように操作される。ロッド50は、チャンバ32からポリマーA、開始剤BおよびヒドロゲルCの混合物を調合するように、矢印Jで示す方向に操作することができる。チャンバ32から圧力を解除するように通気孔80が開いている。ノズル58は開口しており、ポリマーA、開始剤BおよびヒドロゲルCの混合物が図16に矢印Jで示すように注入によって部位へと送出されるように、ノズル58からの流れが上述のように制御される。
【0056】
本明細書に開示された実施形態には、様々な修正を行うことができることが理解されよう。したがって、上記の説明は限定的に解釈されるべきではなく、様々な実施形態の例示であるに過ぎない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲の範囲および趣旨内で他の修正を想定するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバおよび長手方向軸を画成する筒体と、
前記チャンバ内に前記筒体に密封係合して配設され、少なくとも1つの部材を含み、前記筒体に対して移動可能である第1のプランジャであって、前記少なくとも1つの部材が、少なくとも第1の成分が該第1のプランジャを通過するのを容易にするように、該第1のプランジャに対して移動するように構成されている、第1のプランジャと、
前記チャンバ内に前記筒体に密封係合して配設され、少なくとも1つの部材を含み、前記筒体に対して移動可能である第2のプランジャであって、該第2のプランジャの前記少なくとも1つの部材が、少なくとも第2の成分が該第2のプランジャを通過するのを容易にするように、該第2のプランジャに対して移動するように構成されている、第2のプランジャと
を含む多成分カートリッジ。
【請求項2】
前記第1のプランジャが、前記第1の成分を配置するための前記チャンバの第1の部分の密封を形成するように構成された第1のディスクを含み、前記第1のディスクは前記第1の部分を密封解除するように操作可能である、請求項1に記載の多成分カートリッジ。
【請求項3】
前記第2のプランジャが、前記第2の成分を配設するための前記チャンバの第2の部分の密封を形成するように構成された第2のディスクを含み、前記第2のディスクは前記第2の部分を密封解除するように操作可能である、請求項1に記載の多成分カートリッジ。
【請求項4】
前記第1のプランジャが、前記第1の成分を配設するための前記チャンバの第1の部分の密封を形成するように構成された第1のディスクを含み、前記第2のプランジャが、前記第2の成分を配設するための前記チャンバの第2の部分の密封を形成するように構成された第2のディスクを含み、前記第1のディスクおよび前記第2のディスクはさらに、第3の成分を配設するための前記チャンバの第3の部分の密封を形成し、前記第1のディスクおよび前記第2のディスクは前記チャンバのこれらの部分を密封解除するように取り外し可能である、請求項1に記載の多成分カートリッジ。
【請求項5】
前記第1のプランジャの前記少なくとも1つの部材がブレード構成を有する、請求項1に記載の多成分カートリッジ。
【請求項6】
前記第2のプランジャの前記少なくとも1つの部材がブレード構成を有する、請求項1に記載の多成分カートリッジ。
【請求項7】
前記第1のプランジャが第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記第1の位置では前記第1のプランジャの前記少なくとも1つの部材が前記長手方向軸に対して実質的に横向きであり、前記第2の位置では前記第1のプランジャの前記少なくとも1つの部材が前記長手方向軸に対して約45度の角度に向いている、請求項6に記載の多成分カートリッジ。
【請求項8】
前記第2のプランジャの前記少なくとも1つの部材が第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記第1の位置では前記第2のプランジャの前記少なくとも1つの部材が前記長手方向軸に対して実質的に横向きであり、前記第2の位置では前記第2のプランジャの前記少なくとも1つの部材が前記長手方向軸に対して約45度の角度に向いている、請求項7に記載の多成分カートリッジ。
【請求項9】
前記第1のプランジャの前記少なくとも1つの部材が前記第1の位置で解除可能に係止可能である、請求項7に記載の多成分カートリッジ。
【請求項10】
前記第1および第2のプランジャの前記少なくとも1つの部材が前記第1の位置で解除可能に係止可能である、請求項9に記載の多成分カートリッジ。
【請求項11】
前記第1のプランジャの前記少なくとも1つの部材および前記第2のプランジャの前記少なくとも1つの部材がそれぞれ、前記長手方向軸に対して約120度の角度まで枢動可能である、請求項9に記載の多成分カートリッジ。
【請求項12】
前記第1のプランジャが、該第1のプランジャから延びる管状の第1のプランジャロッドを有し、前記第1のディスクが前記第1のプランジャロッドを介して前記第1の部分を密封解除するように取り外し可能である、請求項2に記載の多成分カートリッジ。
【請求項13】
前記第2のプランジャが、該第2のプランジャから延びる管状の第2のプランジャロッドを有し、前記第2のディスクが前記管状の第2のプランジャロッドを介して前記第1の部分を密封解除するように取り外し可能である、請求項3に記載の多成分カートリッジ。
【請求項14】
少なくとも1つの液体成分および少なくとも1つの乾燥成分を収容する請求項1から13のいずれか1つに記載の多成分カートリッジを含むキット。
【請求項15】
多成分を混合する方法であって、
チャンバおよび長手方向軸を画成する筒体と、前記チャンバ内に配設され、少なくとも1つの部材を含む第1のプランジャと、前記チャンバ内に配設され、少なくとも1つの部材を含む第2のプランジャとを含み、前記第1のプランジャが第1の成分を配設するための前記チャンバの第1の部分の密封を形成するように構成された第1のディスクを含み、前記第2のプランジャが、前記第2の成分を配設するための前記チャンバの第2の部分の密封を形成するように構成された第2のディスクを含み、前記第1のディスクおよび前記第2のディスクはさらに、第3の成分を配設するための前記チャンバの第3の部分の密封を形成し、前記第1のディスクおよび前記第2のディスクは前記チャンバの前記部分を密封解除するように取り外し可能であるカートリッジを使用するステップと、
前記第1のディスクを取り外すステップと、
前記第1の成分および前記第3の成分を混合する際に前記第1の成分および前記第3の成分が前記第1のプランジャを通過するのを容易にするように、前記少なくとも1つの部材が前記第1のプランジャに対して移動するよう構成されるように、前記第1のプランジャを前記筒体に対して移動させるステップと、
前記第1のプランジャを前記筒体の近位側部分に隣接させて固定するステップと、
前記第2のディスクを取り外すステップと、
前記第2の成分と前記第1の成分および前記第3の成分の混合物とを混合する際に前記第2の成分ならびに前記第1の成分および前記第3の成分の混合物が前記第2のプランジャを通過するのを容易にするように、前記第2のプランジャの少なくとも1つの部材が前記第2のプランジャに対して移動するよう構成されるように、前記第2のプランジャを前記筒体に対して移動させるステップと、
前記第2のプランジャを前記筒体の近位側部分に隣接させて固定するステップと、
前記第2の成分と前記第1の成分および前記第3の成分の混合物との混合物を排出するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−508066(P2012−508066A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535665(P2011−535665)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/063406
【国際公開番号】WO2010/054085
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】