多方向キースイッチ
【課題】誤動作なく、且つ耐久性が向上する多方向キースイッチを提供する。
【解決手段】操作部材6を弾性的に支持する弾性支持手段16の4個所の弾性支持片16A,16B,16C,16Dが、操作部材6の表面からの投影視において、中央部10と、第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dとの間に配置する。押下した個所以外のスイッチ部を導通させるという誤動作が生じず、また、弾性支持片16A,16B,16C,16Dで弾性的に支持された操作部材6は自然状態で各スイッチ部14に接触しないから、スイッチ部14の耐久性が向上する。
【解決手段】操作部材6を弾性的に支持する弾性支持手段16の4個所の弾性支持片16A,16B,16C,16Dが、操作部材6の表面からの投影視において、中央部10と、第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dとの間に配置する。押下した個所以外のスイッチ部を導通させるという誤動作が生じず、また、弾性支持片16A,16B,16C,16Dで弾性的に支持された操作部材6は自然状態で各スイッチ部14に接触しないから、スイッチ部14の耐久性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用電話装置、コードレス電話装置における子機、家電装置、ゲーム機器のリモートコントローラ等の電子機器に使用される十字型の多方向(4方向)キースイッチの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の4方向キースイッチは、特許文献1に開示されているように、平面視において、中央部から4方向に延びる押圧部(方向指示部)が一体的に形成された操作部材と、装置の主ケース(ケース)内に配置されて上記各押圧部の位置に対応した4箇所のラバースイッチ部と有している。そして、中央部と各押圧部との連接付け根部には、つば部(被当接部材、フランジ)が張り出している。
【0003】
装置の主ケースの上を覆うカバーには、上記中央部と各押圧部とが表面に露出するような十字型の開口を有し、つば部はカバーの背面に位置することで抜け不能となっている。そして、カバーの背面に下向きに突出形成された凸部若しくは各つば部に上向きに突出形成された凸部が、操作部材の支点となるように構成されている。主ケース内に設けられた4つのラバースイッチ部は、上記各押圧部の位置対応させて下向きカップ状の弾性部材とこの弾性部材のカップ内に設けられたカーボンなどの導電部材と、この導電部材が接触するスイッチパターンが形成された回路基板とからなる。そして、操作部材は、上記4つのラバースイッチ部の弾性部材の弾力にて常に持ち上げられている構成であった。
【0004】
さらに、特許文献1では、操作部材の中央部の下面に下向きに突出する角部を有し、通常の状態(操作部材が押圧されない状態)では、この角部の下面は回路基板より浮いている。また、この角部は操作部材が斜めに押された時の押圧部の誘導を促し、同時に弾性部材のつぶれ防止を行う機能を有している。
【0005】
他方、特許文献2では、操作部材(キートップ)は、カバー(トップケース)の開口より大きいフランジ部を有し、主ケース(ボトムケース)内の配線基板の表面にはキートップの4つの押圧部に対応した位置(4箇所)にラバースイッチ部が設けられ、キートップは上記4つのラバースイッチ部にて常時支持されている。また、主ケース(ボトムケース)から上向きに突出する樹脂製の軸が配線基板の孔を貫通して、キートップのうちの中心部の下面(背面)に接近するように構成されている。
【特許文献1】特開2000−243188号公報(図1〜図4参照)
【特許文献2】特開平9−171742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2では、操作部材が4つのラバースイッチ部にて常時支持されているから、経年変化によりラバースイッチ部の弾性が劣化するという問題があった。押圧されないときの操作部材が4つのラバースイッチ部にて支持されないように隙間を設けると、主ケースを揺すったとき、ガタついて操作部材の端部がカバーの背面などに当たってカタカタという異音を発するという問題があった。
【0007】
また、特許文献2では、操作部材が押下されたとき、上記樹脂製の軸が回動支点となるが、操作部材が一点支持されるので、1つの押圧部の側方を押下したとき、操作部材がその押圧部の側方側が下向きに傾いて、当該押された押圧部に隣接する操作を指示していない押圧部も下がり、それに対応するラバースイッチ部も導通してしまうという誤動作が生じ易い。
【0008】
これに対して、特許文献1では、操作部材の1つの押圧部をある程度のストロークだけ押下すると、対向する側に設けられた2つの凸部を支点にして操作部材が傾動し、押された側のラバースイッチ部の弾性部材が弾性変形して、回路基板のスイッチパターンに接触して導通する。操作部材をさらに押圧して傾動させると、上記角部のうちの1箇所が回路基板の表面に点接触または線接触する。この角部を有する部材はプラスチック製などの固い部材であるから、角部の接触個所に大きな力が作用するので、回路基板を破損させるおそれがあった。
【0009】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解消すべくなされたものであって、誤動作が生じ難く、且つ耐久性に優れた多方向キースイッチを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的のため、請求項1に記載の発明は、表面と裏面とを有し開口を備えたカバーと、表面と裏面とを有し、中央部と、この中央部を中心とする十字型となるように4方向にそれぞれ対応して設けられた方向指示部とからなる突出部と、被当接部と、によって構成され、被当接部の表側をカバーの裏側に対向させた状態で突出部の表側が開口部を通じてカバーの裏側から表側に露出されるように構成された操作部材と、操作部材の裏側に、各方向指示部に対応して配置され、オン状態とオフ状態との間で状態変化可能であるように設けられたスイッチ部と、スイッチ部を直接的または間接的に支持可能であるように設けられ、カバーが装着されるケースと、各方向指示部に対応してカバーの裏側と被当接部の表側との間に設けられ、各スイッチ部がオン状態とオフ状態の間で状態変化されるときの回動支点となる当接支点部と、各方向指示部の表側からの投影視における中央部と各スイッチ部との間の領域において、各方向指示部の裏側と前記ケースとの間にそれぞれ設けられ、各方向指示部の裏側とケースとが接近することを抑制する弾性支持手段と、を備え、各方向指示部を、第1方向に対応して配置された第1方向指示部と、第1方向と反対の方向である第2方向に対応して配置された第2方向指示部と、第1方向および第2方向と直交する方向である第3方向に対応して配置された第3方向指示部と、第3方向と反対の方向である第4方向に対応して配置された第4方向指示部と、したとき、第1方向指示部に対応して配置されたスイッチ部がオン状態であるとき、方向指示部は、第2方向指示部に対応して配置された当接支点部を回動支点として第1方向指示部の裏側がケースに接近する方向に回動されるとともに、第3および第4方向指示部に対応してそれぞれ配置された弾性指示手段によって第3および第4方向指示部の裏側のケースに接近される方向への移動を抑制されることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多方向キースイッチにおいて、被当接部は、操作部材の表側からの投影視において、中央部及び各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、4つの当接支点部は、カバーの裏側から突設され、且つ被当接部の表側に当接可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の多方向キースイッチにおいて、被当接部は、操作部材の表側からの投影視において、中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、4つの当接支点部は、被当接部の表側に突設され、且つカバーの裏側に当接可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の多方向キースイッチにおいて、前記4つの弾性支持手段は、前記ケース側を基端として突設され、前記各方向指示部の裏側に当接していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記スイッチ部は、弾性変形可能なラバースイッチにて構成され、前記弾性支持手段は前記ラバースイッチと一体的に形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記4つの弾性支持手段は前記各方向指示部材の裏側を基端として突設され、前記4つの弾性支持片は、前記ケースまたは前記ケースに直接的または間接的に支持されている部材に当接していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、表面と裏面とを有し開口を備えたカバーと、表面と裏面とを有し、中央部と、この中央部を中心とする十字型となるように4方向にそれぞれ対応して設けられた方向指示部とからなる突出部と、被当接部と、によって構成され、前記被当接部の表側を前記カバーの裏側に対向させた状態で前記突出部の表側が前記開口部を通じて前記カバーの裏側から表側に露出されるように構成された操作部材と、前記操作部材の裏側に、前記各方向指示部に対応して配置され、オン状態とオフ状態との間で状態変化可能であるように設けられたスイッチ部と、前記スイッチ部を直接的または間接的に支持可能であるように設けられ、前記カバーが装着されるケースと、前記各方向指示部に対応して前記カバーの裏側と被当接部の表側との間に設けられ、前記各スイッチ部が前記オン状態とオフ状態の間で状態変化されるときの回動支点となる当接支点部と、前記各方向指示部の表側からの投影視における前記中央部と前記各スイッチ部との間の領域において、前記各方向指示部の裏側と前記ケースとの間にそれぞれ設けられ、前記各方向指示部の裏側と前記ケースとが接近することを抑制する弾性支持手段と、を備え、前記各方向指示部を、第1方向に対応して配置された第1方向指示部と、前記第1方向と反対の方向である第2方向に対応して配置された第2方向指示部と、前記第1方向および前記第2方向と直交する方向である第3方向に対応して配置された第3方向指示部と、前記第3方向と反対の方向である第4方向に対応して配置された第4方向指示部と、したとき、前記第1方向指示部に対応して配置された前記スイッチ部がオン状態であるとき、前記方向指示部は、前記第2方向指示部に対応して配置された前記当接支点部を回動支点として前記第1方向指示部の裏側がケースに接近される方向に回動されるとともに、前記第3および第4方向指示部に対応してそれぞれ配置された前記弾性指示手段によって前記第3および第4方向指示部の裏側のケースに接近される方向への移動を抑制されることを特徴とするものである。前記中央部と前記各方向指示部との連接部近傍に前記カバーに対して当接可能な4つの当接支点部を備え、同じく前記投影視における前記各方向指示部の領域内で、当該各方向指示部の背面側を弾性的に支持する弾性支持手段を備えているものであるから、方向指示部に対応するスイッチ部以外を導通させるような誤動作が発生しない。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、前記被当接部は、前記操作部材の表側からの投影視において、前記中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、前記4つの当接支点部は、前記カバーの裏側から突設され、且つ前記被当接部の表側に当接可能に構成されていることを特徴とする方向指示部ものである。このように構成すれば、常時弾性支持手段により支持されている操作部材がガタつくことがない。また、前記カバーの背面に4つの当接支点部を設けるので、構造が極めて簡単且つ製造コストも低減できる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記被当接部は、前記操作部材の表側からの投影視において、前記中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、 前記4つの当接支点部は、前記被当接部の表側に突設され、且つ前記カバーの裏側に当接可能に構成されていることを特徴とするものであり、請求項2の発明と同様に操作部材がガタつくことがない。また、前記カバーの背面に4つの当接支点部を設けるので、構造が極めて簡単且つ製造コストも低減できる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、前記4つの弾性支持手段は、前記ケース側を基端として突設され、前記各方向指示部の裏側に当接していることを特徴とするものである。従って、オン状態になるべき方向指示部に対応するスイッチ部のみを導通させることが確実になり、誤動作を確実に防止できる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、前記スイッチ部は、弾性変形可能なラバースイッチにて構成され、前記弾性支持手段は前記ラバースイッチと一体的に形成されていることを特徴とするものであるから、弾性支持手段を別の部品で構成するのに比べて構成が一層簡単になり、且つ製造コストも低減できる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、前記4つの弾性支持手段は前記各方向指示部材の裏側を基端として突設され、前記4つの弾性支持片は、前記ケースまたは前記ケースに直接的または間接的に支持されている部材に当接していることを特徴とするものであり、この構成でも構造が簡単となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明を適用する電子機器の一例としての電話機の子機1の斜視図、図2は子機1におけるカバー3の表面側から見た操作部の箇所を示す図、図3はカバー3の背面図、図4は第1実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15と弾性支持手段16等の配置関係を示す平面図、図5は操作部材6の背面図、図6(A)はスイッチ部14と弾性支持手段16とが一体成形されたラバースイッチ9の一部平面図、図6(B)は同じく側面図、図6(C)は斜視図、図6(D)は要部拡大斜視図、図7(A)は図2のVII −VII 線断面図、図7(B)は図7(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図、図8(A)は図2の VIII −VIII線断面図、図8(B)は図8(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図、図9は第2実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15との配置関係を示す平面図、図10(A)は図9のXA−XA線断面図、図10(B)は図9のXB−XB線断面図、図11は第2実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15と弾性支持手段16と、押圧位置との配置関係を示す平面図、図12(A)は図11のXIIA−XIIA線断面図、図12(B)は図12(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図、図13(A)は図11のXIIB−XIIB線断面図、図13(B)は図13(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【0023】
図1〜図3に示すように、子機1は主ケース2とその表面を覆うカバー3とを合わせて筺体が形成されたものである。カバー3の一部には、テンキー4用の開口部5と多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6用の平面視十字型の開口部7とが開口形成され、開口部5からはテンキー4の頂面がカバー3の表面に露出され、同様に開口部7から操作部材6の頂面(中央部10及び各方向指示部11)がカバー3の表面に露出されるように構成している。
【0024】
主ケース2には配線基板8が支持され、配線基板8の表面側は、上記テンキー4に対応するスイッチ部(図示せず)及び操作部材6に対応するスイッチ部14が一体成形されたラバースイッチ9にて覆われている。4箇所のスイッチ部14を個別にいうときは、第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dと称する。
【0025】
操作部材6は、図4及び図5に示すごとく、合成樹脂材にて一体的に形成されたものであり、平面視で実質上正方形の中央部10とこの中央部10から4方向に延びる4つの方向指示部11と、この4つの方向指示部11及び中央部10の外周を囲繞する外周フランジ部12とを備えている。正方形の中央部10の背面側は平面視実質上正方形の凹部13が形成されている。
【0026】
4つの方向指示部11を個別にいうときは第1方向指示部11A,第2方向指示部11B,第3方向指示部11C,第4方向指示部11Dと呼ぶ。第1実施形態では、これら方向指示部11も平面視で実質上正方形である。そして、第1方向指示部11Aに対応する第1スイッチ部14A、第2方向指示部11Bに対応する第2スイッチ部14B、第3方向指示部11Cに対応する第3スイッチ部14C、第4方向指示部11Dに対応する第4スイッチ部14Dが上記ラバースイッチ9にて構成されている。操作部材6の表面側から見た投影視(以下、単に投影視という)において、それぞれの方向指示部11の背面側のうち、上記中央部10から遠く離間した自由端側にて少なくとも一部が重なり合うように、スイッチ部14が配置されている(図2及び図4参照)。
【0027】
本発明では、カバー3に対して当接可能な4つの当接支点部15(別々にいうときは15A,15B,15C,15D)を備える。また、投影視における各方向指示部11の領域内で、当該各方向指示部11の背面側を弾性的に支持する弾性支持手段16を備えている。中央部10と 各方向指示部11A,11B,11C,11Dの間の領域内のうちスイッチ部よりも内径側にて弾性支持手段16における4つの弾性支持片16A,16B,16C,16Dが配置されているものである。
【0028】
第1実施形態においては、4個所の当接支点部15A,15B,15C,15Dは、カバー3の背面にて突出するように設けられており、投影視において、中央部10と各方向指示部11A,11B,11C,11Dとの連接部近傍に設けられている。より詳しくは、4つの当接支点部15は、外周フランジ部12の表面に当接可能に構成されている(図2及び図3参照)。投影視における各方向指示部11A,11B,11C,11Dの領域とは、操作部材6の表面からの投影において、中央部10及び外周フランジ部12を除いた部分をいう。なお、外周フランジ部12は各方向指示部11A,11B,11C,11Dの外周全体である必要はなく、少なくとも中央部10の角部と各方向指示部11A,11B,11C,11Dとの連接部(付け根部)近傍にあれば良い。
【0029】
また、第1実施形態において、弾性支持手段16はラバースイッチ9の平板部17から上向きに突出する矩形筒状で天板部19を有して下方に開口された筒部18と、天板部19の4つの角部から上向きに突出する4つの弾性支持片16A,16B,16C,16Dとを備えている(図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)、図7(A)及び図8(A)参照)。
【0030】
さらに、第1実施形態では、上記4つの弾性支持片16A,16B,16C,16Dが操作部材6を弾性的に支持できる範囲は、操作部材6の表面からの投影において、中央部10と各方向指示部11A,11B,11C,11Dの領域内のうちスイッチ部14(別々にいうときは第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11D)との間である。この配置可能範囲は、図2において、ダブルハッチングで示す。
【0031】
自然状態(操作部材6の上面に荷重が作用していない状態)では、図7(A)及び図8(A)に示すように、4個所の弾性支持片16A,16B,16C,16Dにて操作部材6の中央部10の背面を弾性的に支持しており、その際、4個所の当接支点部15A,15B,15C,15Dが外周フランジ部12の表面に当接している。従って、操作部材6は開口部7内で静止され、ガタつかないことになる。また、上記の状態では、第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dの4つの全てが操作部材6の背面から離れているので、これらのスイッチ部14のラバー(弾性体)が長期の使用(放置)により、クリープが発生し難い。
【0032】
次に、上記第1実施形態における操作部材6の押圧によって対応するスイッチ部14を電気的にオンさせる作用及び効果について説明する。例えば、図2において、操作者により、第3方向指示部11Cにおける左下側部の荷重点foに押下荷重Fが作用した場合について説明する。その場合、操作部材6の平面視での重心を通るX軸方向の中心線xoより下側であって、同じく重心を通るY軸方向の中心線yoより左側に荷重点foがある。
【0033】
荷重点foへの押下荷重Fにより、荷重点foにもっとも近い位置の弾性支持片16Cが大きく押圧され、第3方向指示部11Cが下向きに傾く。そうすると、荷重点foから最も遠い位置の当接支点部15Aがその下方の外周フランジ部12に当接し、この当接支点部15Aを中心にして操作部材6が傾き回動する。その場合、中心線xoでの横断面図(図7(B))で示す操作部材6における第2方向指示部11Bが上向き、第4方向指示部11Dが下向きに傾動して、第4スイッチ部14Dが若干押されるが、配線基板8に接触しない。他方、中心線yoでの横断面図(図8(B))で観察すると、荷重点foにもっとも近い位置の弾性支持片16Cが大きく押圧され、第3方向指示部11Cが下向きに傾き、荷重点foから最も遠い位置の当接支点部15Aを中心にして操作部材6が傾き回動する。さらに荷重点foに荷重Fを掛け続けると、第1方向指示部11Aの荷重点foから最も遠い位置の外周フランジ部12がカバー3の下面に当接する。そして、第1方向指示部11Aはそれ以上上方に移動できず、この当接部を中心にして操作部材6が傾き回動し、弾性支持片16C及び弾性体である筒部18を大きく座屈させながら、第3方向指示部11Cが下向きに大きく下降し、これに対応する第3スイッチ部14Cの導電部材(図示せず)が配線基板8のスイッチパターン部に接して導通(オン)させることができる(図8(C)参照)。
【0034】
このように、第3方向指示部11Cの側方に押下荷重Fが作用した場合、荷重点foに近い位置の第3押下部14Dは若干押されるものの、導通状態(オン状態)にならず、誤動作を起こすことがない。第3方向指示部11Cのうち中心線yo近傍に荷重点foがある場合には、操作部材6は左右方向に傾くような回動モーメントが少なくなり、第2方向指示部11B及び第4方向指示部11D)に対応する第2スイッチ部14B及び第4スイッチ部11Dが押されず、第3スイッチ部14Cのみが導通するように押下されるのである。
【0035】
図9〜図13は第2実施形態を示す。この実施形態では、操作部材6の基本的形態は第1実施形態のものと同様であるが、操作部材6における外周フランジ部12の表面に当接支点部が設けられている。より詳しくは、図9及び図10に示すごとく、外周フランジ部12のうち、中央部10と4つの11A,11B,11C,11Dとの連接部(付け根部)に4つの当接支点部15A′,15B′,15C′,15D′が上向きに突出するように一体的に形成されている。
【0036】
第2実施形態による場合も、第1実施形態と同様の弾性支持手段16はラバースイッチ9と一体的に形成されている。そして、弾性支持手段16における上向きに突出する4つの弾性支持片16A,16B,16C,16Dの配置可能範囲は、操作部材6の表面からの投影において、中央部10と、各方向指示部11A,11B,11C,11Dの領域内のうちスイッチ部14(別々にいうときは第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11D)との間である。この配置可能範囲を図11においてダブルハッチングで示す。
【0037】
この構成において、自然状態(操作部材6の上面に荷重が作用していない状態)では、図12(A)に示すように、4個所の弾性支持片16A,16B,16C,16Dにて操作部材6の中央部10の背面を弾性的に支持しており、その際、4個所の当接支点部15A′,15B′,15C′,15D′がカバー3の背面に当接している。従って、操作部材6は開口部7内で静止され、ガタつかないことになる。また、上記の状態では、第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dの4つの全てが操作部材6の背面から離れている。
【0038】
この構成において、例えば、図11において、操作者により、第3方向指示部11Cにおける左下側部の荷重点foに押下荷重Fが作用した場合について説明する。その場合、操作部材6の平面視での重心を通るX軸方向の中心線xoより下側であって、同じく重心を通るY軸方向の中心線yoより左側に荷重点foがある。
【0039】
荷重点foへの押下荷重Fにより、荷重点foにもっとも近い位置の弾性支持片16Cが大きく押圧され、第3方向指示部11Cが下向きに傾く。そうすると、荷重点foから最も遠い位置の当接支点部15A′がその上方のカバー3の背面に当接し、この当接支点部15A′を中心にして操作部材6が傾き回動する。その場合、中心線xoでの横断面図(図13(B)参照)で示す操作部材6における第2方向指示部11Bが上向き、第4方向指示部11Dが下向きに傾動して、第4スイッチ部14Dが若干下向きに押されるが、配線基板8に接触しない。
【0040】
他方、中心線yoでの横断面図(図13(A))で観察すると、荷重点foにもっとも近い位置の弾性支持片16Cが大きく押圧され、第3方向指示部11Cが下向きに傾き、荷重点foから最も遠い位置の当接支点部15A′を中心にして操作部材6が傾き回動する。さらに荷重点foに荷重Fを掛け続けると、第1方向指示部11Aの荷重点foから最も遠い位置の外周フランジ部12がカバー3の下面に当接する。そして、第1方向指示部11Aはそれ以上上方に移動できず、この当接部を中心にして操作部材6が傾き回動し、弾性支持片16C及び弾性体である筒部18を大きく座屈させながら、第3方向指示部11Cが下向きに大きく下降し、これに対応する第3スイッチ部14Cの導電部材(図示せず)が配線基板8のスイッチパターン部に接して導通(オン)させることができる(図13(B)参照)。
【0041】
方向指示部11Aの先端側の外周フランジ12を中心にして操作部材6が大きく傾動するときには、外周フランジ部12の上面の4箇所の当接支点部15A′,15B′,15C′,15D′はカバー3の背面から離間することになる(図13(B)参照)。
【0042】
なお、上記第1及び第2実施形態において、弾性支持手段16の4つの当接支点部は筒部18の上端に設けられたが、その変形例として、筒部18の基部を操作部材6の中央部背面に接着固定し、4つの当接支点部が下向きとなり、配線基板8に弾性的に当接させる構成であっても良い。
【0043】
本発明によれば、操作部材6を弾性的に支持する弾性支持手段16の4個所の弾性支持片16A,16B,16C,16Dが、操作部材6の表面からの投影視において、第1方向指示部11A,第2方向指示部11B,第3方向指示部11C,第4方向指示部11D内にあり、且つ中央部10と第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dとの間に配置することで、押下した個所以外のスイッチ部を導通させるという誤動作が生じず、また、弾性支持片16A,16B,16C,16Dで弾性的に支持された操作部材6は自然状態で各スイッチ部14に接触しないから、スイッチ部の耐久性が向上する。そして、スイッチ部14をラバースイッチにて構成したときにも、このラバースイッチがクリープ変形しない。また、スイッチ部14及び弾性支持手段16をラバースイッチにて一体的に形成されていると、操作部材6の押圧時における配線基板8に対するダメージを無くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は本発明を適用する電子機器の一例としての電話機の子機1の斜視図である。
【図2】子機1におけるカバー3の表面側から見た操作部の箇所を示す図である。
【図3】カバー3の背面図である。
【図4】第1実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15と弾性支持手段16等の配置関係を示す平面図である。
【図5】操作部材6の背面図である。
【図6】(A)はスイッチ部14と弾性支持手段16とが一体成形されたラバースイッチ9の一部平面図、(B)は同じく側面図、(C)は斜視図、(D)は要部拡大斜視図である。
【図7】(A)は図2のVII −VII 線断面図、(B)は(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【図8】(A)は図2の VIII −VIII線断面図、(B)は図8(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【図9】第2実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15との配置関係を示す平面図である。
【図10】(A)は図9のXA−XA線断面図、(B)は図9のXB−XB線断面図である。
【図11】第2実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15と弾性支持手段16と、押圧位置との配置関係を示す平面図である。
【図12】(A)は図11のXIIA−XIIA線断面図、(B)は(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【図13】(A)は図11のXIIB−XIIB線断面図、(B)は(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 子機
2 主ケース
3 カバー
6 操作部材
7 開口部
8 配線基板
9 ラバースイッチ
10 中央部
11 方向指示部
12 外周フランジ部
14 スイッチ部
15 当接支点部
16 弾性支持手段
16A,16B,16C,16D 弾性支持片
17 平板部
18 筒部
19 天板部
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用電話装置、コードレス電話装置における子機、家電装置、ゲーム機器のリモートコントローラ等の電子機器に使用される十字型の多方向(4方向)キースイッチの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の4方向キースイッチは、特許文献1に開示されているように、平面視において、中央部から4方向に延びる押圧部(方向指示部)が一体的に形成された操作部材と、装置の主ケース(ケース)内に配置されて上記各押圧部の位置に対応した4箇所のラバースイッチ部と有している。そして、中央部と各押圧部との連接付け根部には、つば部(被当接部材、フランジ)が張り出している。
【0003】
装置の主ケースの上を覆うカバーには、上記中央部と各押圧部とが表面に露出するような十字型の開口を有し、つば部はカバーの背面に位置することで抜け不能となっている。そして、カバーの背面に下向きに突出形成された凸部若しくは各つば部に上向きに突出形成された凸部が、操作部材の支点となるように構成されている。主ケース内に設けられた4つのラバースイッチ部は、上記各押圧部の位置対応させて下向きカップ状の弾性部材とこの弾性部材のカップ内に設けられたカーボンなどの導電部材と、この導電部材が接触するスイッチパターンが形成された回路基板とからなる。そして、操作部材は、上記4つのラバースイッチ部の弾性部材の弾力にて常に持ち上げられている構成であった。
【0004】
さらに、特許文献1では、操作部材の中央部の下面に下向きに突出する角部を有し、通常の状態(操作部材が押圧されない状態)では、この角部の下面は回路基板より浮いている。また、この角部は操作部材が斜めに押された時の押圧部の誘導を促し、同時に弾性部材のつぶれ防止を行う機能を有している。
【0005】
他方、特許文献2では、操作部材(キートップ)は、カバー(トップケース)の開口より大きいフランジ部を有し、主ケース(ボトムケース)内の配線基板の表面にはキートップの4つの押圧部に対応した位置(4箇所)にラバースイッチ部が設けられ、キートップは上記4つのラバースイッチ部にて常時支持されている。また、主ケース(ボトムケース)から上向きに突出する樹脂製の軸が配線基板の孔を貫通して、キートップのうちの中心部の下面(背面)に接近するように構成されている。
【特許文献1】特開2000−243188号公報(図1〜図4参照)
【特許文献2】特開平9−171742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2では、操作部材が4つのラバースイッチ部にて常時支持されているから、経年変化によりラバースイッチ部の弾性が劣化するという問題があった。押圧されないときの操作部材が4つのラバースイッチ部にて支持されないように隙間を設けると、主ケースを揺すったとき、ガタついて操作部材の端部がカバーの背面などに当たってカタカタという異音を発するという問題があった。
【0007】
また、特許文献2では、操作部材が押下されたとき、上記樹脂製の軸が回動支点となるが、操作部材が一点支持されるので、1つの押圧部の側方を押下したとき、操作部材がその押圧部の側方側が下向きに傾いて、当該押された押圧部に隣接する操作を指示していない押圧部も下がり、それに対応するラバースイッチ部も導通してしまうという誤動作が生じ易い。
【0008】
これに対して、特許文献1では、操作部材の1つの押圧部をある程度のストロークだけ押下すると、対向する側に設けられた2つの凸部を支点にして操作部材が傾動し、押された側のラバースイッチ部の弾性部材が弾性変形して、回路基板のスイッチパターンに接触して導通する。操作部材をさらに押圧して傾動させると、上記角部のうちの1箇所が回路基板の表面に点接触または線接触する。この角部を有する部材はプラスチック製などの固い部材であるから、角部の接触個所に大きな力が作用するので、回路基板を破損させるおそれがあった。
【0009】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解消すべくなされたものであって、誤動作が生じ難く、且つ耐久性に優れた多方向キースイッチを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的のため、請求項1に記載の発明は、表面と裏面とを有し開口を備えたカバーと、表面と裏面とを有し、中央部と、この中央部を中心とする十字型となるように4方向にそれぞれ対応して設けられた方向指示部とからなる突出部と、被当接部と、によって構成され、被当接部の表側をカバーの裏側に対向させた状態で突出部の表側が開口部を通じてカバーの裏側から表側に露出されるように構成された操作部材と、操作部材の裏側に、各方向指示部に対応して配置され、オン状態とオフ状態との間で状態変化可能であるように設けられたスイッチ部と、スイッチ部を直接的または間接的に支持可能であるように設けられ、カバーが装着されるケースと、各方向指示部に対応してカバーの裏側と被当接部の表側との間に設けられ、各スイッチ部がオン状態とオフ状態の間で状態変化されるときの回動支点となる当接支点部と、各方向指示部の表側からの投影視における中央部と各スイッチ部との間の領域において、各方向指示部の裏側と前記ケースとの間にそれぞれ設けられ、各方向指示部の裏側とケースとが接近することを抑制する弾性支持手段と、を備え、各方向指示部を、第1方向に対応して配置された第1方向指示部と、第1方向と反対の方向である第2方向に対応して配置された第2方向指示部と、第1方向および第2方向と直交する方向である第3方向に対応して配置された第3方向指示部と、第3方向と反対の方向である第4方向に対応して配置された第4方向指示部と、したとき、第1方向指示部に対応して配置されたスイッチ部がオン状態であるとき、方向指示部は、第2方向指示部に対応して配置された当接支点部を回動支点として第1方向指示部の裏側がケースに接近する方向に回動されるとともに、第3および第4方向指示部に対応してそれぞれ配置された弾性指示手段によって第3および第4方向指示部の裏側のケースに接近される方向への移動を抑制されることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多方向キースイッチにおいて、被当接部は、操作部材の表側からの投影視において、中央部及び各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、4つの当接支点部は、カバーの裏側から突設され、且つ被当接部の表側に当接可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の多方向キースイッチにおいて、被当接部は、操作部材の表側からの投影視において、中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、4つの当接支点部は、被当接部の表側に突設され、且つカバーの裏側に当接可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の多方向キースイッチにおいて、前記4つの弾性支持手段は、前記ケース側を基端として突設され、前記各方向指示部の裏側に当接していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記スイッチ部は、弾性変形可能なラバースイッチにて構成され、前記弾性支持手段は前記ラバースイッチと一体的に形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記4つの弾性支持手段は前記各方向指示部材の裏側を基端として突設され、前記4つの弾性支持片は、前記ケースまたは前記ケースに直接的または間接的に支持されている部材に当接していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、表面と裏面とを有し開口を備えたカバーと、表面と裏面とを有し、中央部と、この中央部を中心とする十字型となるように4方向にそれぞれ対応して設けられた方向指示部とからなる突出部と、被当接部と、によって構成され、前記被当接部の表側を前記カバーの裏側に対向させた状態で前記突出部の表側が前記開口部を通じて前記カバーの裏側から表側に露出されるように構成された操作部材と、前記操作部材の裏側に、前記各方向指示部に対応して配置され、オン状態とオフ状態との間で状態変化可能であるように設けられたスイッチ部と、前記スイッチ部を直接的または間接的に支持可能であるように設けられ、前記カバーが装着されるケースと、前記各方向指示部に対応して前記カバーの裏側と被当接部の表側との間に設けられ、前記各スイッチ部が前記オン状態とオフ状態の間で状態変化されるときの回動支点となる当接支点部と、前記各方向指示部の表側からの投影視における前記中央部と前記各スイッチ部との間の領域において、前記各方向指示部の裏側と前記ケースとの間にそれぞれ設けられ、前記各方向指示部の裏側と前記ケースとが接近することを抑制する弾性支持手段と、を備え、前記各方向指示部を、第1方向に対応して配置された第1方向指示部と、前記第1方向と反対の方向である第2方向に対応して配置された第2方向指示部と、前記第1方向および前記第2方向と直交する方向である第3方向に対応して配置された第3方向指示部と、前記第3方向と反対の方向である第4方向に対応して配置された第4方向指示部と、したとき、前記第1方向指示部に対応して配置された前記スイッチ部がオン状態であるとき、前記方向指示部は、前記第2方向指示部に対応して配置された前記当接支点部を回動支点として前記第1方向指示部の裏側がケースに接近される方向に回動されるとともに、前記第3および第4方向指示部に対応してそれぞれ配置された前記弾性指示手段によって前記第3および第4方向指示部の裏側のケースに接近される方向への移動を抑制されることを特徴とするものである。前記中央部と前記各方向指示部との連接部近傍に前記カバーに対して当接可能な4つの当接支点部を備え、同じく前記投影視における前記各方向指示部の領域内で、当該各方向指示部の背面側を弾性的に支持する弾性支持手段を備えているものであるから、方向指示部に対応するスイッチ部以外を導通させるような誤動作が発生しない。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、前記被当接部は、前記操作部材の表側からの投影視において、前記中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、前記4つの当接支点部は、前記カバーの裏側から突設され、且つ前記被当接部の表側に当接可能に構成されていることを特徴とする方向指示部ものである。このように構成すれば、常時弾性支持手段により支持されている操作部材がガタつくことがない。また、前記カバーの背面に4つの当接支点部を設けるので、構造が極めて簡単且つ製造コストも低減できる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記被当接部は、前記操作部材の表側からの投影視において、前記中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、 前記4つの当接支点部は、前記被当接部の表側に突設され、且つ前記カバーの裏側に当接可能に構成されていることを特徴とするものであり、請求項2の発明と同様に操作部材がガタつくことがない。また、前記カバーの背面に4つの当接支点部を設けるので、構造が極めて簡単且つ製造コストも低減できる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、前記4つの弾性支持手段は、前記ケース側を基端として突設され、前記各方向指示部の裏側に当接していることを特徴とするものである。従って、オン状態になるべき方向指示部に対応するスイッチ部のみを導通させることが確実になり、誤動作を確実に防止できる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、前記スイッチ部は、弾性変形可能なラバースイッチにて構成され、前記弾性支持手段は前記ラバースイッチと一体的に形成されていることを特徴とするものであるから、弾性支持手段を別の部品で構成するのに比べて構成が一層簡単になり、且つ製造コストも低減できる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、前記4つの弾性支持手段は前記各方向指示部材の裏側を基端として突設され、前記4つの弾性支持片は、前記ケースまたは前記ケースに直接的または間接的に支持されている部材に当接していることを特徴とするものであり、この構成でも構造が簡単となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明を適用する電子機器の一例としての電話機の子機1の斜視図、図2は子機1におけるカバー3の表面側から見た操作部の箇所を示す図、図3はカバー3の背面図、図4は第1実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15と弾性支持手段16等の配置関係を示す平面図、図5は操作部材6の背面図、図6(A)はスイッチ部14と弾性支持手段16とが一体成形されたラバースイッチ9の一部平面図、図6(B)は同じく側面図、図6(C)は斜視図、図6(D)は要部拡大斜視図、図7(A)は図2のVII −VII 線断面図、図7(B)は図7(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図、図8(A)は図2の VIII −VIII線断面図、図8(B)は図8(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図、図9は第2実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15との配置関係を示す平面図、図10(A)は図9のXA−XA線断面図、図10(B)は図9のXB−XB線断面図、図11は第2実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15と弾性支持手段16と、押圧位置との配置関係を示す平面図、図12(A)は図11のXIIA−XIIA線断面図、図12(B)は図12(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図、図13(A)は図11のXIIB−XIIB線断面図、図13(B)は図13(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【0023】
図1〜図3に示すように、子機1は主ケース2とその表面を覆うカバー3とを合わせて筺体が形成されたものである。カバー3の一部には、テンキー4用の開口部5と多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6用の平面視十字型の開口部7とが開口形成され、開口部5からはテンキー4の頂面がカバー3の表面に露出され、同様に開口部7から操作部材6の頂面(中央部10及び各方向指示部11)がカバー3の表面に露出されるように構成している。
【0024】
主ケース2には配線基板8が支持され、配線基板8の表面側は、上記テンキー4に対応するスイッチ部(図示せず)及び操作部材6に対応するスイッチ部14が一体成形されたラバースイッチ9にて覆われている。4箇所のスイッチ部14を個別にいうときは、第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dと称する。
【0025】
操作部材6は、図4及び図5に示すごとく、合成樹脂材にて一体的に形成されたものであり、平面視で実質上正方形の中央部10とこの中央部10から4方向に延びる4つの方向指示部11と、この4つの方向指示部11及び中央部10の外周を囲繞する外周フランジ部12とを備えている。正方形の中央部10の背面側は平面視実質上正方形の凹部13が形成されている。
【0026】
4つの方向指示部11を個別にいうときは第1方向指示部11A,第2方向指示部11B,第3方向指示部11C,第4方向指示部11Dと呼ぶ。第1実施形態では、これら方向指示部11も平面視で実質上正方形である。そして、第1方向指示部11Aに対応する第1スイッチ部14A、第2方向指示部11Bに対応する第2スイッチ部14B、第3方向指示部11Cに対応する第3スイッチ部14C、第4方向指示部11Dに対応する第4スイッチ部14Dが上記ラバースイッチ9にて構成されている。操作部材6の表面側から見た投影視(以下、単に投影視という)において、それぞれの方向指示部11の背面側のうち、上記中央部10から遠く離間した自由端側にて少なくとも一部が重なり合うように、スイッチ部14が配置されている(図2及び図4参照)。
【0027】
本発明では、カバー3に対して当接可能な4つの当接支点部15(別々にいうときは15A,15B,15C,15D)を備える。また、投影視における各方向指示部11の領域内で、当該各方向指示部11の背面側を弾性的に支持する弾性支持手段16を備えている。中央部10と 各方向指示部11A,11B,11C,11Dの間の領域内のうちスイッチ部よりも内径側にて弾性支持手段16における4つの弾性支持片16A,16B,16C,16Dが配置されているものである。
【0028】
第1実施形態においては、4個所の当接支点部15A,15B,15C,15Dは、カバー3の背面にて突出するように設けられており、投影視において、中央部10と各方向指示部11A,11B,11C,11Dとの連接部近傍に設けられている。より詳しくは、4つの当接支点部15は、外周フランジ部12の表面に当接可能に構成されている(図2及び図3参照)。投影視における各方向指示部11A,11B,11C,11Dの領域とは、操作部材6の表面からの投影において、中央部10及び外周フランジ部12を除いた部分をいう。なお、外周フランジ部12は各方向指示部11A,11B,11C,11Dの外周全体である必要はなく、少なくとも中央部10の角部と各方向指示部11A,11B,11C,11Dとの連接部(付け根部)近傍にあれば良い。
【0029】
また、第1実施形態において、弾性支持手段16はラバースイッチ9の平板部17から上向きに突出する矩形筒状で天板部19を有して下方に開口された筒部18と、天板部19の4つの角部から上向きに突出する4つの弾性支持片16A,16B,16C,16Dとを備えている(図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)、図7(A)及び図8(A)参照)。
【0030】
さらに、第1実施形態では、上記4つの弾性支持片16A,16B,16C,16Dが操作部材6を弾性的に支持できる範囲は、操作部材6の表面からの投影において、中央部10と各方向指示部11A,11B,11C,11Dの領域内のうちスイッチ部14(別々にいうときは第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11D)との間である。この配置可能範囲は、図2において、ダブルハッチングで示す。
【0031】
自然状態(操作部材6の上面に荷重が作用していない状態)では、図7(A)及び図8(A)に示すように、4個所の弾性支持片16A,16B,16C,16Dにて操作部材6の中央部10の背面を弾性的に支持しており、その際、4個所の当接支点部15A,15B,15C,15Dが外周フランジ部12の表面に当接している。従って、操作部材6は開口部7内で静止され、ガタつかないことになる。また、上記の状態では、第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dの4つの全てが操作部材6の背面から離れているので、これらのスイッチ部14のラバー(弾性体)が長期の使用(放置)により、クリープが発生し難い。
【0032】
次に、上記第1実施形態における操作部材6の押圧によって対応するスイッチ部14を電気的にオンさせる作用及び効果について説明する。例えば、図2において、操作者により、第3方向指示部11Cにおける左下側部の荷重点foに押下荷重Fが作用した場合について説明する。その場合、操作部材6の平面視での重心を通るX軸方向の中心線xoより下側であって、同じく重心を通るY軸方向の中心線yoより左側に荷重点foがある。
【0033】
荷重点foへの押下荷重Fにより、荷重点foにもっとも近い位置の弾性支持片16Cが大きく押圧され、第3方向指示部11Cが下向きに傾く。そうすると、荷重点foから最も遠い位置の当接支点部15Aがその下方の外周フランジ部12に当接し、この当接支点部15Aを中心にして操作部材6が傾き回動する。その場合、中心線xoでの横断面図(図7(B))で示す操作部材6における第2方向指示部11Bが上向き、第4方向指示部11Dが下向きに傾動して、第4スイッチ部14Dが若干押されるが、配線基板8に接触しない。他方、中心線yoでの横断面図(図8(B))で観察すると、荷重点foにもっとも近い位置の弾性支持片16Cが大きく押圧され、第3方向指示部11Cが下向きに傾き、荷重点foから最も遠い位置の当接支点部15Aを中心にして操作部材6が傾き回動する。さらに荷重点foに荷重Fを掛け続けると、第1方向指示部11Aの荷重点foから最も遠い位置の外周フランジ部12がカバー3の下面に当接する。そして、第1方向指示部11Aはそれ以上上方に移動できず、この当接部を中心にして操作部材6が傾き回動し、弾性支持片16C及び弾性体である筒部18を大きく座屈させながら、第3方向指示部11Cが下向きに大きく下降し、これに対応する第3スイッチ部14Cの導電部材(図示せず)が配線基板8のスイッチパターン部に接して導通(オン)させることができる(図8(C)参照)。
【0034】
このように、第3方向指示部11Cの側方に押下荷重Fが作用した場合、荷重点foに近い位置の第3押下部14Dは若干押されるものの、導通状態(オン状態)にならず、誤動作を起こすことがない。第3方向指示部11Cのうち中心線yo近傍に荷重点foがある場合には、操作部材6は左右方向に傾くような回動モーメントが少なくなり、第2方向指示部11B及び第4方向指示部11D)に対応する第2スイッチ部14B及び第4スイッチ部11Dが押されず、第3スイッチ部14Cのみが導通するように押下されるのである。
【0035】
図9〜図13は第2実施形態を示す。この実施形態では、操作部材6の基本的形態は第1実施形態のものと同様であるが、操作部材6における外周フランジ部12の表面に当接支点部が設けられている。より詳しくは、図9及び図10に示すごとく、外周フランジ部12のうち、中央部10と4つの11A,11B,11C,11Dとの連接部(付け根部)に4つの当接支点部15A′,15B′,15C′,15D′が上向きに突出するように一体的に形成されている。
【0036】
第2実施形態による場合も、第1実施形態と同様の弾性支持手段16はラバースイッチ9と一体的に形成されている。そして、弾性支持手段16における上向きに突出する4つの弾性支持片16A,16B,16C,16Dの配置可能範囲は、操作部材6の表面からの投影において、中央部10と、各方向指示部11A,11B,11C,11Dの領域内のうちスイッチ部14(別々にいうときは第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11D)との間である。この配置可能範囲を図11においてダブルハッチングで示す。
【0037】
この構成において、自然状態(操作部材6の上面に荷重が作用していない状態)では、図12(A)に示すように、4個所の弾性支持片16A,16B,16C,16Dにて操作部材6の中央部10の背面を弾性的に支持しており、その際、4個所の当接支点部15A′,15B′,15C′,15D′がカバー3の背面に当接している。従って、操作部材6は開口部7内で静止され、ガタつかないことになる。また、上記の状態では、第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dの4つの全てが操作部材6の背面から離れている。
【0038】
この構成において、例えば、図11において、操作者により、第3方向指示部11Cにおける左下側部の荷重点foに押下荷重Fが作用した場合について説明する。その場合、操作部材6の平面視での重心を通るX軸方向の中心線xoより下側であって、同じく重心を通るY軸方向の中心線yoより左側に荷重点foがある。
【0039】
荷重点foへの押下荷重Fにより、荷重点foにもっとも近い位置の弾性支持片16Cが大きく押圧され、第3方向指示部11Cが下向きに傾く。そうすると、荷重点foから最も遠い位置の当接支点部15A′がその上方のカバー3の背面に当接し、この当接支点部15A′を中心にして操作部材6が傾き回動する。その場合、中心線xoでの横断面図(図13(B)参照)で示す操作部材6における第2方向指示部11Bが上向き、第4方向指示部11Dが下向きに傾動して、第4スイッチ部14Dが若干下向きに押されるが、配線基板8に接触しない。
【0040】
他方、中心線yoでの横断面図(図13(A))で観察すると、荷重点foにもっとも近い位置の弾性支持片16Cが大きく押圧され、第3方向指示部11Cが下向きに傾き、荷重点foから最も遠い位置の当接支点部15A′を中心にして操作部材6が傾き回動する。さらに荷重点foに荷重Fを掛け続けると、第1方向指示部11Aの荷重点foから最も遠い位置の外周フランジ部12がカバー3の下面に当接する。そして、第1方向指示部11Aはそれ以上上方に移動できず、この当接部を中心にして操作部材6が傾き回動し、弾性支持片16C及び弾性体である筒部18を大きく座屈させながら、第3方向指示部11Cが下向きに大きく下降し、これに対応する第3スイッチ部14Cの導電部材(図示せず)が配線基板8のスイッチパターン部に接して導通(オン)させることができる(図13(B)参照)。
【0041】
方向指示部11Aの先端側の外周フランジ12を中心にして操作部材6が大きく傾動するときには、外周フランジ部12の上面の4箇所の当接支点部15A′,15B′,15C′,15D′はカバー3の背面から離間することになる(図13(B)参照)。
【0042】
なお、上記第1及び第2実施形態において、弾性支持手段16の4つの当接支点部は筒部18の上端に設けられたが、その変形例として、筒部18の基部を操作部材6の中央部背面に接着固定し、4つの当接支点部が下向きとなり、配線基板8に弾性的に当接させる構成であっても良い。
【0043】
本発明によれば、操作部材6を弾性的に支持する弾性支持手段16の4個所の弾性支持片16A,16B,16C,16Dが、操作部材6の表面からの投影視において、第1方向指示部11A,第2方向指示部11B,第3方向指示部11C,第4方向指示部11D内にあり、且つ中央部10と第1スイッチ部14A,第2スイッチ部14B,第3スイッチ部14C,第4スイッチ部11Dとの間に配置することで、押下した個所以外のスイッチ部を導通させるという誤動作が生じず、また、弾性支持片16A,16B,16C,16Dで弾性的に支持された操作部材6は自然状態で各スイッチ部14に接触しないから、スイッチ部の耐久性が向上する。そして、スイッチ部14をラバースイッチにて構成したときにも、このラバースイッチがクリープ変形しない。また、スイッチ部14及び弾性支持手段16をラバースイッチにて一体的に形成されていると、操作部材6の押圧時における配線基板8に対するダメージを無くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は本発明を適用する電子機器の一例としての電話機の子機1の斜視図である。
【図2】子機1におけるカバー3の表面側から見た操作部の箇所を示す図である。
【図3】カバー3の背面図である。
【図4】第1実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15と弾性支持手段16等の配置関係を示す平面図である。
【図5】操作部材6の背面図である。
【図6】(A)はスイッチ部14と弾性支持手段16とが一体成形されたラバースイッチ9の一部平面図、(B)は同じく側面図、(C)は斜視図、(D)は要部拡大斜視図である。
【図7】(A)は図2のVII −VII 線断面図、(B)は(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【図8】(A)は図2の VIII −VIII線断面図、(B)は図8(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【図9】第2実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15との配置関係を示す平面図である。
【図10】(A)は図9のXA−XA線断面図、(B)は図9のXB−XB線断面図である。
【図11】第2実施形態における多方向キースイッチ(十字型キースイッチ)の操作部材6とスイッチ部14と開口部7と当接支点部15と弾性支持手段16と、押圧位置との配置関係を示す平面図である。
【図12】(A)は図11のXIIA−XIIA線断面図、(B)は(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【図13】(A)は図11のXIIB−XIIB線断面図、(B)は(A)と同じ箇所で示す押圧時の作用説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 子機
2 主ケース
3 カバー
6 操作部材
7 開口部
8 配線基板
9 ラバースイッチ
10 中央部
11 方向指示部
12 外周フランジ部
14 スイッチ部
15 当接支点部
16 弾性支持手段
16A,16B,16C,16D 弾性支持片
17 平板部
18 筒部
19 天板部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面とを有し開口を備えたカバーと、
表面と裏面とを有し、中央部と、この中央部を中心とする十字型となるように4方向にそれぞれ対応して設けられた方向指示部とからなる突出部と、被当接部と、によって構成され、前記被当接部の表側を前記カバーの裏側に対向させた状態で前記突出部の表側が前記開口部を通じて前記カバーの裏側から表側に露出されるように構成された操作部材と、 前記操作部材の裏側に、前記各方向指示部に対応して配置され、オン状態とオフ状態との間で状態変化可能であるように設けられたスイッチ部と、
前記スイッチ部を直接的または間接的に支持可能であるように設けられ、前記カバーが装着されるケースと、
前記各方向指示部に対応して前記カバーの裏側と被当接部の表側との間に設けられ、前記各スイッチ部が前記オン状態とオフ状態の間で状態変化されるときの回動支点となる当接支点部と、
前記各方向指示部の表側からの投影視における前記中央部と前記各スイッチ部との間の領域において、前記各方向指示部の裏側と前記ケースとの間にそれぞれ設けられ、前記各方向指示部の裏側と前記ケースとが接近することを抑制する弾性支持手段と、を備え、
前記各方向指示部を、第1方向に対応して配置された第1方向指示部と、前記第1方向と反対の方向である第2方向に対応して配置された第2方向指示部と、前記第1方向および前記第2方向と直交する方向である第3方向に対応して配置された第3方向指示部と、前記第3方向と反対の方向である第4方向に対応して配置された第4方向指示部と、したとき、
前記第1方向指示部に対応して配置された前記スイッチ部がオン状態であるとき、
前記方向指示部は、前記第2方向指示部に対応して配置された前記当接支点部を回動支点として前記第1方向指示部の裏側がケースに接近される方向に回動されるとともに、前記第3および第4方向指示部に対応してそれぞれ配置された前記弾性指示手段によって前記第3および第4方向指示部の裏側のケースに接近される方向への移動を抑制されることを特徴とする多方向キースイッチ。
【請求項2】
前記被当接部は、前記操作部材の表側からの投影視において、前記中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、
前記4つの当接支点部は、前記カバーの裏側から突設され、且つ前記被当接部の表側に当接可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の多方向キースイッチ。
【請求項3】
前記被当接部は、前記操作部材の表側からの投影視において、前記中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、
前記4つの当接支点部は、前記被当接部の表側に突設され、且つ前記カバーの裏側に当接可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の多方向キースイッチ。
【請求項4】
前記4つの弾性支持手段は、前記ケース側を基端として突設され、前記各方向指示部の裏側に当接していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多方向キースイッチ。
【請求項5】
前記スイッチ部は、弾性変形可能なラバースイッチにて構成され、前記弾性支持手段は前記ラバースイッチと一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の多方向キースイッチ。
【請求項6】
前記4つの弾性支持手段は前記各方向指示部材の裏側を基端として突設され、前記4つの弾性支持片は、前記ケースまたは前記ケースに直接的または間接的に支持されている部材に当接していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多方向キースイッチ。
【請求項1】
表面と裏面とを有し開口を備えたカバーと、
表面と裏面とを有し、中央部と、この中央部を中心とする十字型となるように4方向にそれぞれ対応して設けられた方向指示部とからなる突出部と、被当接部と、によって構成され、前記被当接部の表側を前記カバーの裏側に対向させた状態で前記突出部の表側が前記開口部を通じて前記カバーの裏側から表側に露出されるように構成された操作部材と、 前記操作部材の裏側に、前記各方向指示部に対応して配置され、オン状態とオフ状態との間で状態変化可能であるように設けられたスイッチ部と、
前記スイッチ部を直接的または間接的に支持可能であるように設けられ、前記カバーが装着されるケースと、
前記各方向指示部に対応して前記カバーの裏側と被当接部の表側との間に設けられ、前記各スイッチ部が前記オン状態とオフ状態の間で状態変化されるときの回動支点となる当接支点部と、
前記各方向指示部の表側からの投影視における前記中央部と前記各スイッチ部との間の領域において、前記各方向指示部の裏側と前記ケースとの間にそれぞれ設けられ、前記各方向指示部の裏側と前記ケースとが接近することを抑制する弾性支持手段と、を備え、
前記各方向指示部を、第1方向に対応して配置された第1方向指示部と、前記第1方向と反対の方向である第2方向に対応して配置された第2方向指示部と、前記第1方向および前記第2方向と直交する方向である第3方向に対応して配置された第3方向指示部と、前記第3方向と反対の方向である第4方向に対応して配置された第4方向指示部と、したとき、
前記第1方向指示部に対応して配置された前記スイッチ部がオン状態であるとき、
前記方向指示部は、前記第2方向指示部に対応して配置された前記当接支点部を回動支点として前記第1方向指示部の裏側がケースに接近される方向に回動されるとともに、前記第3および第4方向指示部に対応してそれぞれ配置された前記弾性指示手段によって前記第3および第4方向指示部の裏側のケースに接近される方向への移動を抑制されることを特徴とする多方向キースイッチ。
【請求項2】
前記被当接部は、前記操作部材の表側からの投影視において、前記中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、
前記4つの当接支点部は、前記カバーの裏側から突設され、且つ前記被当接部の表側に当接可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の多方向キースイッチ。
【請求項3】
前記被当接部は、前記操作部材の表側からの投影視において、前記中央部及び前記各方向指示部の外周に沿って形成されたフランジであって、
前記4つの当接支点部は、前記被当接部の表側に突設され、且つ前記カバーの裏側に当接可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の多方向キースイッチ。
【請求項4】
前記4つの弾性支持手段は、前記ケース側を基端として突設され、前記各方向指示部の裏側に当接していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多方向キースイッチ。
【請求項5】
前記スイッチ部は、弾性変形可能なラバースイッチにて構成され、前記弾性支持手段は前記ラバースイッチと一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の多方向キースイッチ。
【請求項6】
前記4つの弾性支持手段は前記各方向指示部材の裏側を基端として突設され、前記4つの弾性支持片は、前記ケースまたは前記ケースに直接的または間接的に支持されている部材に当接していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多方向キースイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−245723(P2009−245723A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90267(P2008−90267)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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