説明

多方向入力装置

【目的】 本発明の目的は、原点位置用の弾性部材の数量を低減し、低コスト化及び小型化を図った多方向入力装置を提供する。
【構成】 前記装置は、原点位置から基板120に対して略平行にスライド操作可能な操作レバー200と、操作レバー200と共に基板120上をスライド移動可能なスライダ300と、スライダ300の上側に配置された環状のプッシャー400と、天板部131とプッシャー400との間に介在するコイルスプリング500とを備えている。スライダ300の外周縁部には、厚みが外側且つ基板120に向けて暫時低減する傾斜外周面310が、プッシャー400の内周縁部410には、厚みが内側且つ天板部131に向けて暫時低減する傾斜内周面411が設けられている。スプリング500の付勢力により傾斜内周面411が傾斜外周面310を押圧し、スライダ300及び操作レバー200を原点位置で保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド操作入力が可能な多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多方向入力装置は、ハウジングと、このハウジングの底板部に対して原点位置からX及び−X方向に略平行に移動可能な操作レバーと、この操作レバーの下端部に設けられ、該操作レバーと共に移動可能なスライダと、ハウジングにX及び−X方向に沿って収容された一対のコイルスプリングとを備えている。スライダの両端部には、X及び−X方向に直交するY及び−Y方向に向けて一対の係止片が突設されている。コイルスプリングの中央部にスライダの係止片が係止されることにより、該スライダが原点位置で保持されるようになっている。このため、操作レバーがX又は−X方向に移動操作されると、スライダが同方向に移動し、係止片がハウジングとの間でコイルスプリングをX又は−X方向に圧縮する。その後、操作レバーが解放されると、コイルスプリングがスライダの係止片を−X又はX方向に付勢し、原点位置へ復帰させる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−285765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記装置は、移動したスライダ及び操作レバーを原点位置へ安定的に復帰させるために、一対のコイルスプリングを必要としている。このため、コイルスプリングの数量が多くなり、その結果、前記装置のコスト高の要因となっていた。また、前記装置としては、操作レバー及びスライダがX及び−X方向だけでなく、Y及び−Y方向にも移動操作可能な構成となっているものがある。この装置は、Y及び−Y方向に移動した操作レバー及びスライダを原点位置へと復帰させるために一対のコイルスプリングを更に必要とする。よって、コイルスプリングの数量が更に増加し、前記装置が更にコスト高となっていた。また、コイルスプリングの数量が多いと、ハウジング内にコイルスプリングを収容するための空間が必要になるため、装置の大型化の要因となっていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、原点位置用の弾性部材の数量を低減し、低コスト化及び小型化を図ることができる多方向入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の多方向入力装置は、第1板部と、前記第1板部に対向しており且つ厚み方向に貫通する孔が設けられた第2板部とを有するハウジングと、原点位置から前記第1板部に対して略平行にスライド移動可能であり且つ前記ハウジング内に収容された第1端部と、前記第2板部の孔からハウジング外に突出する第2端部とを有する操作レバーと、前記操作レバーのスライド移動に応じて信号を出力するスライド移動検出手段と、前記操作レバーの第1端部に設けられており且つ該操作レバーのスライド移動に伴って原点位置から前記第1板部上をスライド移動可能なスライダと、前記ハウジング内の前記スライダの前記第2板部側に配置された環状のプッシャーと、前記操作レバーの回りに配置され且つ前記ハウジングの第2板部と前記プッシャーとの間に介在する環状体であって、該プッシャーを前記スライダに向けて付勢する弾性部材とを備えている。前記スライダは、厚みが外側且つ前記第1板部に向けて暫時低減する傾斜外周面が設けられた外周縁部を有している。前記プッシャーは、厚みが内側且つ前記第2板部に向けて暫時低減する傾斜内周面が設けられた内周縁部を有している。前記弾性部材の付勢力により、前記プッシャーの前記傾斜内周面が前記スライダの傾斜外周面を押圧することにより、前記スライダ及び操作レバーを原点位置で保持するようになっている。
【0007】
このような多方向入力装置による場合、前記操作レバーが原点位置から前記第1板部に対して略平行にスライド移動操作されると、前記スライダが原点位置から前記操作レバーと同方向にスライド移動し、該スライダの外周縁部の傾斜外周面の前記操作レバーの移動方向側の部分が前記弾性部材の付勢力に抗して前記プッシャーの内周縁部の傾斜内周面の前記操作レバーの移動方向側の部分を押圧する。これにより、前記プッシャーの前記操作レバーの移動方向側の部分が前記第2板部側に移動し(すなわち、前記プッシャーが傾斜する。)、前記弾性部材の前記操作レバーの移動方向側の部分が前記プッシャーと前記第2板部の間で圧縮される。その後、前記操作レバーが解放されると、前記弾性部材の付勢力により前記プッシャーの前記操作レバーの移動方向側の部分が前記スライダに向けて移動し、前記プッシャーの傾斜内周面の前記操作レバーの移動方向側の部分が前記スライダの傾斜外周面の前記操作レバーの移動方向側の部分を押圧する。これにより、前記スライダが原点位置へ復帰し、これに伴って前記操作レバーも原点位置へ復帰する。このように前記多方向入力装置は、一つの弾性部材が前記プッシャーを前記スライダに押し付けることにより、前記操作レバー及びスライダを原点位置に安定的に復帰させることができるようになっている。このため、弾性部材の数量を従来例に比べて低減することができ、装置の低コスト化及び小型化を図ることができる。
【0008】
前記プッシャーは外縁部を更に有する。前記ハウジングは、前記操作レバー及びスライダが原点位置に位置した状態で、前記プッシャーの外縁部が当接するフランジ部を更に有する構成とすることができる。この場合、前記操作レバー及びスライダが原点位置に位置した状態で、前記プッシャーが前記弾性部材に付勢され、該プッシャーの内周縁部の傾斜内周面が前記スライダの傾斜外周面に当接すると共に、該プッシャーの外縁部が前記フランジ部に当接する。すなわち、前記プッシャーが前記弾性部材と、前記スライダ及びフランジ部との間で安定的に保持されるので、前記操作レバー及びスライダが原点位置に位置した状態で安定する。
【0009】
前記ハウジングは、前記第1板部と前記第2板部との間に設けられたボディを更に有した構成とすることができる。前記ボディには、該ボディを貫通する収容孔が設けられている。前記ボディの収容孔の内面には前記フランジ部が設けられている。前記第1板部と前記第2板部とが前記収容孔を通じて対向している。
【0010】
前記多方向入力装置は、前記スライダに設けられたスタビライザを更に備えた構成とすることができる。前記第1板部は前記ボディに取り付けられた基板を有する。前記ボディの基板対向面には、前記収容孔を中心に放射状に延びており且つ該収容孔に連通する複数の凹部が設けられている。前記スタビライザは、前記スライダから前記基板に沿って放射状に延び且つ前記凹部に各々移動自在に挿入される複数の脚部を有している。この場合、前記操作レバー及びスライダの移動に応じて、前記スタビライザの脚部が前記ボディの凹部内を前記基板に沿って移動するようになっている。このため、前記スライダの前記基板からの浮き上がりが抑制され、前記操作レバー及びスライダの移動の安定性が向上する。
【0011】
前記移動検出手段は、前記スライダに設けられ、該スライダ共に移動可能な金属体と、前記基板上に設けられており且つ前記スライダが原点位置に位置した状態で、前記基板上の前記金属体の対向箇所の外側に位置する複数の検出部とを有する構成とすることができる。前記検出部は前記金属体の接近に伴う磁束密度の変化又は該金属体との間の静電容量の変化に応じて信号を出力するようになっている。
【0012】
前記スタビライザは、前記スライダに設けられたベース部を更に有する構成とすることができる。前記脚部は前記ベース部から前記基板に沿って放射状に延びている。前記ベース部が金属で構成され、前記金属体として機能するようになっている。このように前記スタビライザのベース部が前記移動検出手段の金属体として機能するようになっているので、部品点数を低減することができ、その結果、前記入力装置の低コスト化を図ることができる。
【0013】
前記移動検出手段は、前記金属体に代えて、磁性体を有する構成とすることができる。この場合、前記検出部は前記磁性体の接近に伴う磁束密度の変化に応じて信号を出力するようになっている。前記ベース部は、金属ではなく磁性を有する素材で構成され、前記磁性体として機能するようになっている。このように前記スタビライザのベース部が前記移動検出手段の磁性体として機能するようになっているので、部品点数を低減することができ、その結果、前記入力装置の低コスト化を図ることができる。
【0014】
前記操作レバーが前記第1板部に向けて押下移動可能である場合、前記多方向入力装置は、前記第1板部上に設けられており且つ前記操作レバーの押下移動に応じて信号を出力する押下移動検出手段を更に備えた構成とすることができる。前記操作レバーが前記スライダに対して押下移動方向に移動自在になっている。
【0015】
前記プッシャーは円周方向に分割された構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る多方向入力装置の概略的断面図である。
【図2】前記入力装置の概略的分解斜視図である。
【図3】前記入力装置の操作レバー及びスライダが−X方向に移動した状態を示す概略的断面図である。
【図4】基板を取り外した状態の前記入力装置を下方から見た概略的斜視図であって、操作レバー及びスライダが−X方向に移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る多方向入力装置について図1乃至図4を参照しつつ説明する。図1に示す多方向入力装置は、ハウジング100と、操作レバー200と、スライダ300と、プッシャー400と、コイルスプリング500(弾性部材)と、スタビライザ600と、移動検出手段700と、押下スイッチ800(押下移動検出手段)とを備えている。この入力装置は、操作レバー200が後述する原点位置から周囲の任意方向にスライド操作可能であると共に、原点位置で押下操作可能になっている。以下、各部について詳しく説明する。
【0018】
ハウジング100は、図1乃至図3に示すように、ボディ110と、基板120と、カバー130とを有している。ボディ110は、基板120とカバー130との間に設けられた絶縁樹脂製の角型の筒体である。ボディ110の中心部には、該ボディ110を上面から下面にかけて貫通する円柱状の収容孔111が設けられている。この収容孔111内に、操作レバー200の下端部(操作レバーの第1端部)、スライダ300、プッシャー400、コイルスプリング500及びスタビライザ600が収容されている。収容孔111の内周面の下端部には、内側に凸のリング状のフランジ部112が設けられている。また、ボディ110の下面(基板対向面)には、図4に示すように、4つの凹部113及びボス115が設けられている。凹部113は収容孔111を中心として90°間隔で配置され、放射状に延びている。凹部113は収容孔111に連通している。ボス115は基板120の係止孔に嵌合している。これにより基板120がボディ110の下面に取り付けられ、特許請求の範囲の第1板部をなしている。基板120は周知のプリント基板であって、面上に移動検出手段700の後述する検出電極710及び押下スイッチ800が設けられている。基板120上には、検出電極710及び押下スイッチ800を覆う絶縁シート121が取り付けられている。
【0019】
また、ボディ110の4つの外壁面には、4つの係止凸部114が設けられている。カバー130は、矩形状の天板部131と、天板部131の4辺に設けられた4つの係止片132とを有している。この係止片132には係止孔132aが設けられている。係止片132の係止孔132aにボディ110の係止凸部114が各々係止され、天板部131がボディ110の上面に取り付けられている。これにより天板部131が、特許請求の範囲の第2板部をなしている。基板120とカバー130の天板部131とは、ボディ110に取り付けられた状態で収容孔111を通じて対向している。天板部131の中央部には収容孔111よりも外径が小さい円形の孔131aが設けられている。孔131aは収容孔111に連通している。
【0020】
操作レバー200は、図1に示すように絶縁樹脂製の断面下向きT字状の部材である。この操作レバー200は、柱状のレバー本体210と、抜け止め部220とを有している。レバー本体210は下端部211と上端部212(操作レバーの第2端部)とを有している。抜け止め部220はレバー本体210の下端部211から外側に突設されたリング状のフランジである。レバー本体210の下端部211及び抜け止め部220(すなわち、操作レバー200の上記下端部)は、後述の如く組み合わされたスライダ300と共にハウジング100の収容孔111に収容され且つ原点位置から周囲の任意方向に基板120に対して略平行に移動自在となっている。レバー本体210の上端部212(すなわち、操作レバー200の上端部)はハウジング100の孔131aから操作可能に突出している。なお、図1に示すようにレバー本体210の軸心がハウジング100の孔131aの中心に位置する位置が操作レバー200及びスライダ300の原点位置となっている。
【0021】
スライダ300は、図1及び図2に示すように、外径がボディ110のフランジ部112の内径よりも小さい絶縁樹脂製の円盤であって、ボディ110の収容孔111内に原点位置から基板120に沿ってスライド自在に収容されている。このスライダ300の外周縁部には、厚みが外側且つ基板120に向けて暫時低減する傾斜外周面310が設けられている。また、スライダ300の上端部の中心部には、該スライダ300を上面から下面にかけて貫通する挿入孔320が開設されている。スライダ300の下面の挿入孔320の回りには、該挿入孔320に連通するリング状の抜け止め穴330(図4参照)が設けられている。操作レバー200の下端部211がスライダ300の挿入孔320に上下動自在に挿入され、該操作レバー200の抜け止め部220がスライダ300の抜け止め穴330に下方から挿入されている。このように操作レバー200はスライダ300に上下動自在(すなわち、押下移動自在)に組み合わされている。また、抜け止め部220が抜け止め穴330の底面に当接することにより、操作レバー200のスライダ300の挿入孔320からの上方への抜けが防止されている。また、スライダ300の下面の外周縁部には、下方に凸のリング状の突脈340が設けられている。この突脈340の内側空間が基板120上の押下スイッチ800を収容する収容空間となっている。また、スライダ300の下端部にはスタビライザ600が一体的に設けられている。
【0022】
スタビライザ600は、図4に示すように、金属板がプレス成形されたものであって、ベース部610と、4つの埋設片620と、4つの脚部630とを有している。埋設片620はベース部610の内周縁部に90°間隔で設けられている。この埋設片620は、図1に示すように、上方に向けて断面下向き略L字状に折り曲げられ、スライダ300にインサート成形により埋設されている。ベース部610は内径及び外径がスライダ300の突脈340の内径及び外径と略同じリング状の板であって、突脈340の下面上に配置されている。ベース部610の外周縁部には、脚部630が埋設片620から円周方向に45°位置ずれした箇所に設けられている。脚部630はベース部610から基板120に沿って放射状に延びた矩形状の板であって、ボディ110の凹部113に挿入されている。脚部630の長さ寸法及び幅寸法はボディ110の凹部113の長さ寸法及び幅寸法よりも小さくなっている。このため、脚部630がボディ110の凹部113内で移動自在となっている。脚部630がボディ110の凹部113に挿入されることにより、スライダ300の基板120から浮き上がりが抑制され、スライダ300のスライド移動の安定化を図っている。
【0023】
プッシャー400は、絶縁樹脂製の円環状体であって、ボディ110の収容孔111内のスライダ300の上側(第2板部側)に上下動自在に収容されている。プッシャー400は、内径がスライダ300の外径よりも小さく且つ操作レバー200の外径よりも大きくなっており、外径がスライダ300の外径及びハウジング100のフランジ部112の内径よりも大きくなっている。プッシャー400内には操作レバー200が挿入されている。プッシャー400は、内周縁部410と外周縁部420(外縁部)とを有している。内周縁部410には、厚みが内側且つ天板部210に向けて暫時低減する傾斜内周面411が設けられている。プッシャー400の傾斜内周面411とスライダ300の傾斜外周面310とは傾斜角が同じである。スライダ300が原点位置に位置した状態で、プッシャー400の傾斜内周面411全面が該スライダ300の傾斜外周面310に面接触すると共に、プッシャー400の外周縁部420がハウジング100の収容孔111のフランジ部112に当接するようになっている。この状態で、プッシャー400が基板120に対して略平行となる(これがプッシャー400の初期状態である。)。プッシャー400の傾斜内周面411全面が該スライダ300の傾斜外周面310に面接触した状態が、スライダ300の外周縁部の傾斜外周面310がプッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411に嵌合した状態となる。プッシャー400の上面の内周縁部410と外周縁部420との間には、リング状の収容凹部430が設けられている。このプッシャー400の収容凹部430にコイルスプリング500の下端部が挿入されている。
【0024】
コイルスプリング500は下端部から上端部にかけて暫時低減するように疎巻きにされた略円錐状のコイルスプリングである。このコイルスプリング500は操作レバー200の下端部211回りに配置され、プッシャー400とハウジング100の天板部210との間に圧縮状態で介在し、プッシャー400をスライダ300に向けて付勢している。このコイルスプリング500の付勢力により、原点位置に位置したスライダ300の外周縁部の傾斜外周面310がプッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411に嵌合した状態で維持されている。このようにスライダ300が原点位置で保持されることにより、該スライダ300に組み合わされた操作レバー200も原点位置で保持される。
【0025】
押下スイッチ800は、基板120上の原点位置に位置した操作レバー200の下端部の下側(押下移動方向側)に配設されている。この押下スイッチ800は、可動接点部810と、固定接点部821と、固定接点部822と、スペーサ830を有している。可動接点部810は、基板120上に設置された導電性及び弾性を有する円弧状の板であって、頂部がスペーサ830を介して操作レバー200の下端部に当接している。すなわち、可動接点部810により、操作レバー200が押下操作前の初期状態で保持されている。固定接点部821は基板120上に形成された環状の導体であって、可動接点部810の外周縁部に接触している。固定接点部822は、基板120上の固定接点部821の内側に形成された円形の導体であって、可動接点部810の頂部の下側に配置されている。操作レバー200が原点位置で初期状態から押下移動することにより、可動接点部810の頂部が操作レバー200の下端部にスペーサ830を介して押下され、該頂部が固定接点部822に接触する。これにより、固定接点部821、822が導通し、操作レバー200の押下移動を示す信号を本多方向入力装置が備えられる電子機器に向けて出力するようになっている。
【0026】
スライド移動検出手段700は、ベース部610と、4つの検出電極710(検出部)とを有している。検出電極710は、図2に示すように、基板120上の固定接点部821、822の回りのX、−X、Y及び−Y方向側に形成された円弧状の導体である。検出電極710は、スライダ300が原点位置に位置した状態で、基板120のスタビライザ600のベース部610の対向箇所の外側に配置されている。スライダ300のスライド移動に伴ってベース部610が検出電極710に接近すると、検出電極710と該ベース部610との間にコンデンサが形成され、該コンデンサの静電容量の変化が変化する。この静電容量の変化が検出電極710の出力信号として上記電子機器に出力される。前記電子機器に前記静電容量の変化が入力されると、各検出電極710に対応する操作レバー200のX、−X、Y及び−Y方向のスライド移動方向及びその移動量が検出される。このようにスライド移動検出手段700は、スタビライザ600の一部であるベース部610を被検出体として利用している。
【0027】
以下、上述した構成の多方向入力装置の組み立て手順について詳しく説明する。まず、面上にスライド移動検出手段700の検出電極710及び押下スイッチ800の固定接点部821、822が形成された基板120を用意する。その後、基板120上に可動接点部810を設置し、該可動接点部810の外周縁部を固定接点部821に接触させる。その後、絶縁シート121を基板120に取り付ける。その後、スタビライザ600が上述の如く一体的に設けられたスライダ300を用意する。その後、スライダ300の挿入孔320に操作レバー200のレバー本体210を下方から挿入し、該スライダ300の抜け止め孔330に操作レバー200の抜け止め部220を下方から挿入する。これにより、操作レバー200、スライダ300及びスタビライザ600が組み合わされる。その後、操作レバー200、スライダ300及びスタビライザ600をボディ110の収容孔111に下方から挿入し、スタビライザ600の脚部630をボディ110の凹部113に下方から各々挿入する。この状態で、ボディ110のボス115により基板120をボディ110の下面に取り付ける。このとき、スペーサ830を操作レバー200の下端部と可動接点部810との間に介在させる。その後、プッシャー400をボディ110の収容孔111に上方から挿入しつつ、該プッシャー400に操作レバー200を挿入する。その後、プッシャー400の傾斜内周面411にスライダ300の傾斜外周面310を嵌合させると共に、該プッシャー400の外周縁部420をハウジング100の収容孔111のフランジ部112に当接させる。これにより、操作レバー200及びスライダ300が原点位置に移動する。その後、プッシャー400の収容凹部430にコイルスプリング500の下端部を挿入する。その後、カバー130の孔131aに操作レバー200を挿入しつつ、該カバー130の係止片132の係止孔132aにボディ110の係止凸部114を係止させ、カバー130をボディ110の上面に取り付ける。このとき、コイルスプリング500がカバー130の天板部131とプッシャー400との間で圧縮される。これによりプッシャー400がスライダ300に向けて付勢される。
【0028】
以下、このように組み立てられた多方向入力装置の使用方法を説明すると共に、同装置の各部の動作について詳しく説明する。なお、図3及び図4は、操作レバー200が−X方向にスライド操作された状態を示している。
【0029】
まず、図3及び図4に示すように、操作レバー200が原点位置からX又は−X方向にスライド操作されると、該操作レバー200の移動に伴ってスライダ300が基板120上をX又は−X方向にスライド移動すると共に、スタビライザ600の脚部630が、ボディ110の凹部113を基板120に沿ってX又は−X方向に移動する。これにより、スライダ300の外周縁部の傾斜外周面310のX又は−X方向側の部分がプッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411のX又は−X方向側の部分をコイルスプリング500の付勢力に抗して押圧する。これにより、プッシャー400のX又は−X方向側の部分が上昇し、プッシャー400が初期状態から傾斜し、プッシャー400のX又は−X方向側の部分とカバー130の天板部132との間でコイルスプリング500のX又は−X方向側の部分が圧縮される。このとき、スライダ300の移動に伴ってスタビライザ600のベース部610がX又は−X方向に移動し、X又は−X方向側の検出電極710に接近する。すると、X又は−X方向側の検出電極710とベース部610との間にコンデンサが形成され、該コンデンサの静電容量の変化が変化する。この静電容量の変化が上記電子機器に入力され、操作レバー200のX又は−X方向のスライド移動方向及びその移動量が検出される。
【0030】
その後、操作レバー200が解放されると、コイルスプリング500の付勢力により、プッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411のX又は−X方向側の部分がスライダ300の外周縁部の傾斜外周面310のX又は−X方向側の部分を下方に向けて押圧する。これにより、スライダ300、スタビライザ600及び操作レバー200が原点位置に向けて(すなわち、−X又はX方向に)基板120上を復帰移動すると共に、プッシャー400が初期状態に復帰移動する。その後、スライダ300、スタビライザ600及び操作レバー200が原点位置に復帰すると共に、プッシャー400が初期状態に復帰すると、スライダ300の外周縁部の傾斜外周面310がプッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411に嵌合する。すなわち、コイルスプリング500の付勢力によりプッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411全面がスライダ300の外周縁部の傾斜外周面310を押圧し、これによりスライダ300及び操作レバー200が原点位置でストップする。このとき、プッシャー400のX又は−X方向側の部分がボディ110のフランジ部112のX又は−X方向側の部分に当接し、プッシャー400が初期状態で維持される。
【0031】
操作レバー200が原点位置からY又は−Y方向にスライド操作されると、該操作レバー200の移動に伴ってスライダ300が基板120上をY又は−Y方向にスライド移動すると共に、スタビライザ600の脚部630が、ボディ110の凹部113を基板120に沿ってY又は−Y方向に移動する。これにより、スライダ300の外周縁部の傾斜外周面310のY又は−Y方向側の部分がプッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411のY又は−Y方向側の部分をコイルスプリング500の付勢力に抗して押圧する。これにより、プッシャー400のY又は−Y方向側の部分が上昇し、プッシャー400が傾斜し、プッシャー400のY又は−Y方向側の部分とカバー130の天板部132との間でコイルスプリング500のY又は−Y方向側の部分が圧縮される。このとき、スライダ300の移動に伴ってスタビライザ600のベース部610がY又は−Y方向に移動し、Y又は−Y方向側の検出電極710に接近する。すると、Y又は−Y方向側の検出電極710とベース部610との間にコンデンサが形成され、該コンデンサの静電容量の変化が変化する。この静電容量の変化が上記電子機器に入力され、操作レバー200のY又は−Y方向のスライド移動方向及びその移動量が検出される。
【0032】
その後、操作レバー200が解放されると、コイルスプリング500の付勢力により、プッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411のY又は−Y方向側の部分がスライダ300の外周縁部の傾斜外周面310のY又は−Y方向側の部分を下方に向けて押圧する。これにより、スライダ300、スタビライザ600及び操作レバー200が原点位置に向けて(すなわち、−Y又はY方向に)基板120上を復帰移動すると共に、プッシャー400が初期状態に復帰移動する。その後、スライダ300、スタビライザ600及び操作レバー200が原点位置に復帰すると共に、プッシャー400が初期状態に復帰すると、スライダ300の外周縁部の傾斜外周面310がプッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411に嵌合する。すなわち、コイルスプリング500の付勢力によりプッシャー400の内周縁部410の傾斜内周面411全面がスライダ300の外周縁部の傾斜外周面310を押圧し、これによりスライダ300及び操作レバー200が原点位置でストップする。このとき、プッシャー400のY又は−Y方向側の部分がボディ110のフランジ部112のY又は−Y方向側の部分に当接し、プッシャー400が初期状態で維持される。
【0033】
操作レバー200が原点位置からX方向とY方向との間にスライド操作されたときには、上述したX方向及びY方向のスライド操作時の如く、各部が動作し、操作レバー200のX方向とY方向との間のスライド移動方向及びその移動量が検出される。その後、操作レバー200が解放されると、上述したX方向及びY方向のスライド操作時の如く、各部が動作し、操作レバー200が原点位置に復帰する。操作レバー200が原点位置からX方向と−Y方向との間にスライド操作されたときには、上述したX方向及び−Y方向のスライド操作時の如く、各部が動作し、操作レバー200のX方向と−Y方向との間のスライド移動方向及びその移動量が検出される。その後、操作レバー200が解放されると、上述したX方向及び−Y方向のスライド操作時の如く、各部が動作し、操作レバー200が原点位置に復帰する。操作レバー200が原点位置から−X方向と−Y方向との間にスライド操作されたときには、上述した−X方向及び−Y方向のスライド操作時の如く、各部が動作し、操作レバー200の−X方向と−Y方向との間のスライド移動方向及びその移動量が検出される。その後、操作レバー200が解放されると、上述した−X方向及び−Y方向のスライド操作時の如く、各部が動作し、操作レバー200が原点位置に復帰する。操作レバー200が原点位置から−X方向とY方向との間にスライド操作されたときには、上述した−X方向及びY方向のスライド操作時の如く、各部が動作し、操作レバー200の−X方向とY方向との間のスライド移動方向及びその移動量が検出される。その後、操作レバー200が解放されると、上述した−X方向及びY方向のスライド操作時の如く、各部が動作し、操作レバー200が原点位置に復帰する。
【0034】
操作レバー200が初期状態から基板120に向けて押下操作されると、操作レバー200の下端部がスペーサ830を介して押下スイッチ800の可動接点部810の頂部を押下する。これにより、可動接点部810が弾性変形し、前記頂部が基板120の固定接点部822に接触する。これにより、固定接点部821、822が導通し、その出力信号が上記電子機器に入力される。これにより、操作レバー200の押下移動が前記電子機器に検出される。その後、操作レバー200が解放されると、可動接点部810の復元により操作レバー200が押し上げられ、初期状態に復帰する。
【0035】
このような多方向入力装置による場合、一つのコイルスプリング500により、プッシャー400をスライダ300に押し付け、操作レバー200及びスライダ300を原点位置に安定的に復帰させることができるようになっている。このため、コイルスプリングの数量を従来例に比べて低減することができ、前記装置の低コスト化及び小型化を図ることができる。しかも、スライダ300が原点位置に位置した状態で、プッシャー400がコイルスプリング500に付勢され、プッシャー400の傾斜内周面411全面が該スライダ300の傾斜外周面310に面接触すると共に、プッシャー400の外周縁部420がボディ110のフランジ部112に当接するようになっているので、プッシャー400が初期状態でコイルスプリング500と、スライダ300及びフランジ部112との間で安定的に保持される。この結果、操作レバー200及びスライダ300が原点位置に位置した状態が安定する。また、スライダ300に一体的に設けられたスタビライザ600の脚部630がボディ110の凹部113に移動自在に挿入されているので、スライド移動時にスライダ300が基板120上から浮き上がるのが防止される。よって、スライダ300のスライド移動が安定する。
【0036】
なお、本発明の多方向入力装置は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲において任意に設計変更することができる。以下、詳しく説明する。
【0037】
上記実施の形態では、ハウジング100は、ボディ110と、基板120と、カバー130とを有するとしたが、ハウジングは、互いに対向する第1、第2板部を有し、第2板部に操作レバーを突出させる孔が設けられている限り任意に設計変更することができる。例えば、ボディに底板部を設け、該底板部を第1板部としたり、ボディに天板部を設け、該天板部を第2板部としたりすることも可能である。スライダ等を収容孔に挿入することができる孔が別途ある場合には、ボディに天板部及び底板部を設け、天板部、底板部を第1、第2板部とすることも可能である。前記第1、第2板部に上記スライド移動検出手段や押下移動検出手段等を設ける場合には、前記第1、第2板部を絶縁体で構成する又は前記第1、第2板部の表面を絶縁処理すれば良い。また、上記実施の形態では、ハウジングの収容孔の内周面にフランジ部が設けられているとしたが、フランジ部は省略することが可能である。また、実施の形態では、フランジ部は、内側に凸のリング状の凸部であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ハウジングの収容孔の内面に内側に凸の複数の凸部を、間隔をあけて配設することも可能である。更に、上記実施の形態では、ハウジングの収容孔は円柱状であるとしたが、操作レバー、スライダ及び弾性部材を少なくとも収容し得る限り、任意に形状を設計変更することが可能である。例えば、前記収容孔を角柱状とすることも可能である。
【0038】
上記実施の形態では、操作レバーは、スライダに上下動自在(すなわち、押下移動方向に移動自在)に組み合わされているとしたが、本多方向入力装置がスライド操作入力のみ可能な構成(すなわち、押下操作入力できない構成)とする場合には、操作レバーとスライダとを一体的に構成することが可能である。この場合、上記押下移動検出手段を省略することができる。
【0039】
上記実施の形態では、スライダにはスタビライザが一体的に設けられているとしたが、これに限定されるものではない。スライダは円盤状であり、このスライダの外周縁部に、厚みが外側且つ前記第1板部に向けて暫時低減する傾斜外周面が設けられている限り任意に設計変更することが可能である。また、スタビライザは、ベース部と、埋設片と、脚部とを有するとしたが、少なくともボディの凹部に移動自在に挿入される複数の脚部を備えていれば良い。例えば、脚部の一部をスライダに埋設し、該スライダから放射状に突出する構成とすることも可能である。なお、スタビライザは省略することが可能である。
【0040】
上記実施の形態では、プッシャーは、円環状であるとしたが、内周縁部に厚みが内側且つ前記第2板部に向けて暫時低減する傾斜内周面が設けられた筒状である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、前述の通り、収容孔が角柱状である場合には、プッシャーの外形を矩形状とすることが可能である。また、プッシャーは、円周方向に分割され、複数ピースとなっていても良い。また、上記実施の形態では、スライダが原点位置に位置した状態で、傾斜内周面の全面がスライダの傾斜外周面に面接触するとしたが、これに限定されるものではない。例えば、スライダが原点位置に位置した状態で、スライダの傾斜外周面の全面がプッシャーの傾斜内周面に面接触するようになっていても良いし、両者の全面同士が面接触するようになっていても良し、両者の一部同士が面接触するようになっていても良い。また、上記実施の形態では、傾斜外周面及び傾斜内周面の傾斜角が同じであるとしたが、これに限定されるものではなく、上記実施の形態と同様の機能を実現し得る限り、変更可能である。
【0041】
上記実施の形態では、上記弾性部材としてコイルスプリングを用いるとしたが、ハウジングの第1又は第2板部と、プッシャーとの間に介在し、該プッシャーをスライダに向けて付勢し得るものである限り、どのようなものを用いても構わない。例えば、前記弾性部材として筒状の弾性ゴム等を用いることが可能である。
【0042】
上記実施の形態では、上記スライド移動検出手段は、スタビライザのベース部の接近に伴う該ベース部と検出電極の間の静電容量が変化し、これにより操作レバーのスライド移動方向及び移動量を検出する構成であるとしたが、少なくとも操作レバーのスライド移動方向を検出できるものであれば良い。例えば、スライド移動検出手段の検出部としてスタビライザのベース部の接近に伴う磁束密度の変化に応じて抵抗が変化するサーチコイルを用いることができる。また、前記ベース部が磁性体で構成されている場合には、前記検出部として該磁性体の接近に伴う磁束密度の変化を検出するホール素子等を用いることも可能である。更に、前記スライド移動検出手段としては、操作レバー又はスライダの各方向のスライド移動を検出するフォトインタラプタ等の光センサ、操作レバー又はスライダに設けられた摺動子が抵抗体上を摺動し、その抵抗値を変化させることにより、操作レバーの各方向のスライド移動を検出する可変抵抗器、操作レバー又はスライダに設けられた導電性を有する可動接点が固定接点に接触することにより、両者が導通し、操作レバーの各方向のスライド移動を検出する接触型スイッチ等を用いることが可能である。また、上記実施の形態では、検出部が基板上の固定接点部又は原点位置のベース部の対向箇所の外側のX、−X、Y及び−Y方向の4方向に配置されているとしたが、検出すべき操作レバーのスライド移動方向に応じて任意に設けることが可能である。すなわち、基板上の固定接点部又は原点位置のベース部の対向箇所の回りの前記スライド移動方向に対応する複数方向に前記検出部を、間隔をあけて設けることが可能である。なお、ベース部を検出部により接近が検出される被検出体として用いる必要はなく、金属体や磁性体等を操作レバー又はスライダに別途設けることも可能である。また、ベース部を被検出体とする場合には、実施の形態の如くスタビライザ全体を金属や磁性を有する素材で構成する必要はなく、ベース部のみが金属や磁性を有する素材で構成されていれば良い。
【0043】
上記実施の形態では、上記押下移動検出手段として、可動接点部と、2つの固定接点部とを有するとしたが、前記第1板部上に設けられており且つ前記操作レバーの押下移動に応じて信号を出力し得る限り任意に設計変更することが可能である。例えば、操作レバーの押下移動を検出するフォトインタラプタ等の光センサ、操作レバーに設けられた金属等の被検出体の接近に伴って、該被検出体との間の静電容量が変化して操作レバーの押下移動を検出する静電容量型センサ、操作レバーに設けられた金属又は磁性体の被検出体の接近に伴って、磁束密度が変化して操作レバーの押下移動を検出する磁気センサ、操作レバーに設けられた導電性を有する可動接点が固定接点に接触することにより、両者が導通して操作レバーの押下移動を検出する接触型スイッチ等を用いることが可能である。
【0044】
なお、上記実施の形態では、上記多方向入力装置の各部を構成する素材、形状、寸法及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。また、上記実施の形態では、操作レバーが原点位置から周囲の任意方向にスライド操作入力が可能であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、原点位置からX、−X、Y及び−Y方向の4方向にスライド操作入力が可能な構成とすることができるし、原点位置の周囲の8方向にスライド操作入力が可能な構成とすることができる。上記実施の形態では、原点位置は操作レバーの軸心が導出孔の中心に一致する箇所であるとしたが、これに限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
100・・・ハウジング
110・・ボディ
111・収容孔
112・フランジ部
113・凹部
120・・基板(第1板部)
130・・カバー
132・天板部(第2板部)
200・・・操作レバー
210・・レバー本体
211・下端部(操作レバーの第1端部)
212・上端部(操作レバーの第2端部)
220・・抜け止め部(操作レバーの第1端部)
300・・・スライダ
310・・傾斜外周面
400・・・プッシャー
410・・内周縁部
411・傾斜内周面
500・・・コイルスプリング(弾性部材)
600・・・スタビライザ
610・・ベース部
630・・脚部
700・・・スライド移動検出手段
710・・検出電極(検出部)
800・・・押下スイッチ(押下移動検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板部と、前記第1板部に対向しており且つ厚み方向に貫通する孔が設けられた第2板部とを有するハウジングと、
原点位置から前記第1板部に対して略平行にスライド移動可能であり且つ前記ハウジング内に収容された第1端部と、前記第2板部の孔からハウジング外に突出する第2端部とを有する操作レバーと、
前記操作レバーのスライド移動に応じて信号を出力するスライド移動検出手段と、
前記操作レバーの第1端部に設けられており且つ該操作レバーのスライド移動に伴って原点位置から前記第1板部上をスライド移動可能なスライダと、
前記ハウジング内の前記スライダの前記第2板部側に配置された環状のプッシャーと、
前記操作レバーの回りに配置され且つ前記ハウジングの第2板部と前記プッシャーとの間に介在する環状体であって、該プッシャーを前記スライダに向けて付勢する弾性部材とを備えており、
前記スライダは、厚みが外側且つ前記第1板部に向けて暫時低減する傾斜外周面が設けられた外周縁部を有しており、
前記プッシャーは、厚みが内側且つ前記第2板部に向けて暫時低減する傾斜内周面が設けられた内周縁部を有しており、
前記弾性部材の付勢力により、前記プッシャーの前記傾斜内周面が前記スライダの傾斜外周面を押圧することにより、前記スライダ及び操作レバーを原点位置で保持する多方向入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の多方向入力装置において、
前記プッシャーは外縁部を更に有し、
前記ハウジングは、前記操作レバー及びスライダが原点位置に位置した状態で、前記プッシャーの外縁部が当接するフランジ部を更に有する多方向入力装置。
【請求項3】
請求項2記載の多方向入力装置において、
前記ハウジングは、前記第1板部と前記第2板部との間に設けられたボディを更に有しており、
前記ボディには、該ボディを貫通する収容孔が設けられており、
前記ボディの収容孔の内面には前記フランジ部が設けられており、
前記第1板部と前記第2板部とが前記収容孔を通じて対向している多方向入力装置。
【請求項4】
請求項3記載の多方向入力装置において、
前記スライダに設けられたスタビライザを更に備えており、
前記第1板部は前記ボディに取り付けられた基板を有し、
前記ボディの基板対向面には、前記収容孔を中心に放射状に延びており且つ該収容孔に連通する複数の凹部が設けられており、
前記スタビライザは、前記スライダから前記基板に沿って放射状に延び且つ前記凹部に各々移動自在に挿入される複数の脚部を有している多方向入力装置。
【請求項5】
請求項4記載の多方向入力装置において、
前記移動検出手段は、前記スライダに設けられ、該スライダ共に移動可能な金属体と、
前記基板上に設けられており且つ前記スライダが原点位置に位置した状態で、前記基板上の前記金属体対向箇所の外側に位置する複数の検出部とを有しており、
前記検出部は前記金属体の接近に伴う磁束密度の変化又は該金属体との間の静電容量の変化に応じて信号を出力するようになっている多方向入力装置。
【請求項6】
請求項5記載の多方向入力装置において、
前記スタビライザは、前記スライダに設けられたベース部を更に有しており、
前記脚部は前記ベース部から前記基板に沿って放射状に延びており、
前記ベース部が金属で構成され、前記金属体として機能するようになっている多方向入力装置。
【請求項7】
請求項6記載の多方向入力装置において、
前記移動検出手段は、前記金属体に代えて、磁性体を有しており、
前記検出部は前記磁性体の接近に伴う磁束密度の変化に応じて信号を出力するようになっており、
前記ベース部が金属ではなく磁性を有する素材で構成され、前記磁性体として機能するようになっている多方向入力装置。
【請求項8】
前記操作レバーが前記第1板部に向けて押下移動可能である場合の請求項1乃至7の何れかに記載の多方向入力装置において、
前記第1板部上に設けられており且つ前記操作レバーの押下移動に応じて信号を出力する押下移動検出手段を更に備えており、
前記操作レバーが前記スライダに対して押下移動方向に移動自在になっている多方向入力装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の多方向入力装置において、
前記プッシャーは円周方向に分割されている多方向入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233396(P2011−233396A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103555(P2010−103555)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】