説明

多方活栓切換装置

【課題】
手動操作用の多方活栓の流路を正確に切換可能にする。
【解決手段】
複数方向に突出する管3,5等と、流体の流路を切り換えるための回動可能な回動部材6とを備える多方活栓2に取り付けられ、当該多方活栓2を固定して回動部材6を回動させる多方活栓切換装置1であって、回動部材6に対して回動駆動力を与えるための駆動源120と、当該駆動源120の回動動作を制御する制御部60,70と、駆動源120の回転軸130に接続され、回動部材6を把持する1以上の把持柱状部90,91等を備えるクランプ50と、回動部材6以外の多方活栓2の活栓本体7を把持し、その活栓本体7を回動部材6の回動に従動しないように固定する1以上の固定脚部30,31,32,33を備え、固定脚部30,31,32,33によって活栓本体7を固定させた状態で、クランプ50は駆動源120の回動動作に基づき制御部60,70による制御の下で回動部材6を回動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方活栓の流路を切り換えるための多方活栓切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療現場では、患者に薬剤、造影剤あるいは血液等を注入する流路に、三方活栓等に代表される多方活栓が多用されている。多方活栓は、その内部への液溜りが少ないため、異種流体をできるだけ混ぜないように切り換えることができる流路切換器具である。かかる多方活栓の外観および構造の一例は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
多方活栓の多くは手動にて流路を切り換えるものである。このため、切換操作性が良いこと、多方活栓に接続されたチューブから容易に外れないこと等が要求される。このような要求に応えるために開発された多方活栓用のグリップは、例えば、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2002−153562
【特許文献2】特開2006−247260
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の多方活栓用のグリップは、手動によって流路を切り換えやすくし、かつ多方活栓がチューブから外れにくくするのに有効な器具であるが、次のような使用に対して必ずしも対応できるものではない。切り換えるべき流体の中には、極めて正確な時間で所定量の流体を患者に注入する必要のあるものもある。多方活栓が多数存在する場合には、手動では正確な時間に切り換えることは難しい。また、人の手による操作では、完全に流路を切り換えたつもりでも、切り換えが不完全であり所望の流体を一定量注入できない事態、あるいは複数の流体が混合して注入される事態が生じる可能性もある。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、エアーバルブ、電磁バルブ等を用いて流路の切り換えを瞬時かつ正確に行う方法も考えられる。しかし、医療現場で使用される多方活栓は、使用後に別の患者に使用されないように廃棄処分されることが多い。このため、エアーバルブあるいは電磁バルブのような高価なバルブを使用することは、経済的ではない。さらに、多方活栓を、流体の種類に応じて自動切り換えと手動切り換えができるようにすることが要求されている。すなわち、量的あるいは時間的に正確な注入を必要とする流体を流す場合には自動により瞬時に切り換える一方で、比較的正確性を必要としない流体を流す場合には手動により切り換えたいという要求がある。
【0006】
本発明は、上記の要求に応えるためになされたものであり、手動操作用の多方活栓の流路を正確に切換可能にする多方活栓切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明の多方活栓切換装置は、複数方向に突出する管と、流体の流路を切り換えるための回動可能な回動部材とを備える多方活栓に取り付けられることにより、当該多方活栓を固定して上記回動部材を回動させる装置であって、回動部材に対して回動駆動力を与えるための駆動源と、当該駆動源の回動動作を制御する制御部と、駆動源の回転軸に接続され、上記回動部材を把持する1以上の把持柱状部を備えるクランプと、回動部材以外の多方活栓の活栓本体を把持し、その活栓本体が回動部材の回動に従動しないようにその活栓本体を固定する1以上の固定脚部を備え、固定脚部によって活栓本体を固定させた状態で、クランプは駆動源の回動動作に基づき制御部による制御の下で回動部材を回動させることを特徴とするものである。ここで、「多方活栓」は、2以上の方向に流体を同時あるいは別々のタイミングで流すことができる複数分岐部材を意味する。また、「駆動源」は、電動であるか非電動であるかを問わず、回転動力を与えることができる機器を意味するように広義に解釈される。さらに、クランプが駆動源の回転軸に接続される形態は、当該回転軸に直接的に接続される形態の他、ギア等の他の回転部材を介して間接的に接続される形態も含む。
【0008】
本発明の多方活栓切換装置は、さらに、制御部に1以上のスイッチを含むようにし、クランプがその一部に押圧部材を連接して備え、当該押圧部材が駆動源の回動動作に従動して回動してスイッチに接触すると、駆動源の回転を開始または停止させる構成としてもよい。
【0009】
本発明の多方活栓切換装置は、さらに、スイッチを2個備え、押圧部材がそれぞれのスイッチに接触すると駆動源の回転が停止し、回動部材は、押圧部材の回動範囲で回動する構成としてもよい。
【0010】
本発明の多方活栓切換装置は、さらに、多方活栓が3本の管を備えた三方活栓であり、クランプは4本の把持柱状部により回動部材を把持し、固定脚部は、4本の固定脚部により活栓本体を固定する構成としてもよい。
【0011】
本発明の多方活栓切換装置は、さらに、把持柱状部および/または固定脚部が芯材と、その芯材より低硬度でその芯材の少なくとも側面を覆うチューブとを備える構成としてもよい。ここで、「チューブ」は、両端が開口するもののみならず、一端のみが開口するものも含むように広義に解釈される。
【0012】
本発明の多方活栓切換装置は、さらに、クランプにおける2以上の把持柱状部の間に第一領域を有し、2以上の固定脚部の間に第二領域を有し、クランプおよび固定脚部が、第一領域と第二領域により活栓本体を回動部材の回動軸の長さ方向に挟んで固定する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、手動操作用の多方活栓の流路を正確に切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の多方活栓切換装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る多方活栓切換装置1の正面から見た状態を一部透過して示す透過正面図である。図1は、パルスモータ120の正面にある角筒を除去して示している。図2は、多方活栓切換装置1の上方から見た状態を一部透過して示す透過平面図である。また、図3、図4および図5は、それぞれ、多方活栓切換装置1の正面図、平面図および左側面図である。図6は、多方活栓切換装置1の高さ方向のより低い位置を仕切る第一仕切板の平面図である。図7は、多方活栓切換装置1の高さ方向のより高い位置を仕切る第二仕切板の平面図である。
【0016】
(全体の概略構造)
図1〜図5に示すように、多方活栓切換装置1は、略直方体の外形を有しており、3階建ての構造を備える。図1および図2に示すように、多方活栓切換装置1の1階に相当する空間には、1個のパルスモータ(駆動源の一例)120が格納されている。パルスモータ120は、2階の天井に相当する部分に固定されて、宙吊りの状態で多方活栓切換装置1の1階に相当する空間に格納されている。多方活栓切換装置1の2階に相当する空間には、パルスモータ120の回動動作を制御する2個のスイッチ60,70(制御部の一部を構成)と、パルスモータ120の回転軸130に接続され、三方活栓(多方活栓の一例)2の回動部材6を把持する4本の把持柱状部90,91,92,93(図12参照、図1〜図5には把持柱状部90,91のみ示されている。)を備えるクランプ50がそれぞれ格納されている。スイッチ60,70は、2階の床(あるいは1階の天井)に相当する第一仕切板100に固定されている。クランプ50は、第一仕切板100を1階から2階の方向に貫通突出する回転軸130の回転に従動して回転できるように、その回転軸130に固定された状態にて第一仕切板100上に配置されている。
【0017】
多方活栓切換装置1の3階に相当する空間には、多方活栓切換装置1を構成せず多方活栓切換装置1から着脱自在な三方活栓2が配置されている。三方活栓2は、互いに略90度間隔で平面上にて放射状に突出する3つの管3,4,5と、当該3つの管3,4,5の交差部分にある活栓本体7の一端にあって流体の流路を切り換えるために回転軸8を中心に回動可能な回動部材6とを備える。回動部材6は、四方に突起を有する。三方活栓2は、多方活栓切換装置1の2階に相当する空間と3階に相当する空間とを仕切る第二仕切板80の方向に回動部材6が向き、多方活栓切換装置1の天板10の方向に活栓本体7の他端が向くように、逆さの状態で固定される。この結果、図1に示すように、管3は図1の正面から見て右側に、管4は図1の正面から見て背面側に、管5は図1の正面から見て左側に向く。
【0018】
第二仕切板80は、クランプ50の上方に略円形の貫通穴81を有する。クランプ50上の4本の把持柱状部90,91,92,93は、多方活栓切換装置1の2階に相当する空間から3階に相当する空間の方向に向かって貫通穴81を貫通して突出し、三方活栓2の回動部材6を把持する。具体的には、把持柱状部90,91,92,93は、回動部材6の4つの突起の各付け根部分(へこんだ部分)に配置され、回動部材6をグリップする。各把持柱状部90,91,92,93同士の間隔および各把持柱状部90,91,92,93の長さは、回動部材6の各突起の付け根部分において回動部材6をグリップできるように設計されている。
【0019】
一方、天板10には、回動部材6と反対側から活栓本体7を把持し、その活栓本体7が回動部材6の回動に従動しないように活栓本体7を固定するための4本の固定脚部30,31,32,33が固定されている。各固定脚部30,31,32,33同士の間隔および各固定脚部30,31,32,33の長さは、活栓本体7と各管3,4,5の各付け根部分において活栓本体7を固定できるように設計されている。このように、多方活栓切換装置1は、固定脚部30,31,32,33によって活栓本体7を固定させた状態で、クランプ50はパルスモータ120の回動動作に基づき、スイッチ60,70による制御の下で回動部材6を回動させることができる。
【0020】
(天板の形状)
天板10は、図2および図4に示すように、略正方形の広い面を有する薄い板であり、三方活栓2の三方に突出する各管3,4,5の方向において、それぞれ、内方にU字形状に窪む凹部11,12,13を有する。凹部11,12,13は、管3,4,5にチューブ等を接続しあるいは取り外す作業を行いやすくするために設けられている。三方活栓2は、図2において少し下方(すなわち、多方活栓切換装置1の正面側)および少し左方に寄った位置に配置される。このため、凹部11,12の形状を、凹部13の形状に比べて深く切り込むようにし、管3,4にチューブ等を着脱容易にしている。
【0021】
(天板、第二仕切板、第一仕切板の結合構造)
天板10は、正面側左角および背面側右角の2箇所に、天板10を第二仕切板80にボルト止めするために設けられた各1個のボルト貫通穴10a,10b(図10参照)を有する。また、天板10における正面側左角のボルト貫通穴10aの右隣、背面側右角のボルト貫通穴10bの左隣、正面側右角および背面側左角の合計4箇所に、天板10を第二仕切板80および第一仕切板100にねじ止めにて固定するための各1個のねじ貫通穴10f,10d,10c,10e(図10参照)が設けられている。ボルト貫通穴10a,10bの内径の方がねじ貫通穴10f,10d,10c,10eの内径よりも大きい。また、天板10の裏側であって当該天板10の正面側左角および背面側右角には、五角柱形状の柱部材24および柱部材25が配置される。図2において、2本の柱部材24,25の天面部分を点線で示している。柱部材24には、その各天面から各裏面に向けて貫通するボルト貫通穴35およびねじ穴36が形成されている。ボルト貫通穴35は、天板10のボルト貫通穴10aと略同じ内径のボルト貫通穴であり、ねじ穴36は、天板10のねじ貫通穴10fと略同じ内径のねじ穴である。柱部材25にも、ボルト貫通穴35およびねじ穴36とそれぞれ同様のボルト貫通穴34およびねじ穴38が形成されている。ボルト貫通穴34は、天板10のボルト貫通穴10bと略同じ内径のボルト貫通穴であり、ねじ穴38は、天板10のねじ貫通穴10dと略同じ内径のねじ穴である。柱部材24,25のボルト貫通穴35,34およびねじ穴36,38は、柱部材24,25を天板10の正面側左角および背面側右角にそれぞれ配置した状態において天板10のボルト貫通穴10a,10bおよびねじ貫通穴10f,10dの各位置にそれぞれ一致するように、柱部材24,25に形成されている。
【0022】
(第一仕切板の構造)
第一仕切板100は、図6に示すように、正面側の左角と正面側中央との間および背面側の右角と背面側中央との間に、それぞれ1個のねじ穴106およびねじ穴108を有する。また、第一仕切板100の正面側右角および背面側左角には、それぞれ1個のねじ穴107およびねじ穴109を有する。第一仕切板100のねじ穴106,107,108,109は、天板10のねじ貫通穴10f,10c,10d,10eと垂直方向ほぼ一直線になる位置に形成されている。第一仕切板100の右側面および左側面には、第一仕切板100の内方に向かって各2個のねじ穴110,111およびねじ穴112,113が形成されている。ねじ穴110,111,112,113は、第一仕切板100を角筒41にねじ止めするための穴である。
【0023】
第一仕切板100の平面上の中心からわずかに正面方向および左側面方向に寄った位置には、パルスモータ120の回転軸130が貫通する貫通穴102が形成されている。また、貫通穴102の周囲であって第一仕切板100の裏面側には、貫通穴102より大径の円柱状の溝101が形成されている。溝101は、パルスモータ120の回転軸130の周囲の部分をはめ込むためのものである。第一仕切板100の平面上の中心から右に少し寄った位置を対角線の中心とする仮想正方形の4つの角には、ねじ穴121,122,123,124が形成されている。ねじ穴121,122,123,124は、パルスモータ120を第一仕切板100に固定するために使用される。また、貫通穴102の左右両外側であって少し正面側に寄った位置には、左右一直線に並ぶねじ穴114,115,116,117が形成されている。ねじ穴114,115は、貫通穴102の正面から見て左側に形成され、ねじ穴116,117は、貫通穴102の正面から見て右側に形成されている。ねじ穴114,115およびねじ穴116,117は、それぞれ、スイッチ70およびスイッチ60を第一仕切板100上にねじ止めにて固定するための穴である。
【0024】
(第二仕切板の構造)
第二仕切板80は、図7に示すように、正面側の左角と背面側の右角に、それぞれ1個のボルト用ねじ穴85およびボルト用ねじ穴84を有する。ボルト用ねじ穴85の右側、第二仕切板80の正面に向かって右角、ボルト用ねじ穴84の左側および第二仕切板80の背面側左角には、それぞれ、ねじ穴86,87,88,89が形成されている。ボルト用ねじ穴85,84およびねじ穴86,87,88,89は、第二仕切板80において、天板10のボルト貫通穴10a,10bおよびねじ貫通穴10f,10c,10d,10eと垂直方向一直線になる位置に形成されている。ボルト貫通穴10a,10bの内径は、ねじ貫通穴10f,10c,10d,10eの内径に比べて大きい。第二仕切板80の右側面および左側面には、第二仕切板80の内方に向かって各2個のねじ穴80a,80bおよびねじ穴80c,80dが形成されている。ねじ穴80a,80b,80c,80dは、第二仕切板80を角筒41にねじ止めするための穴である。第二仕切板80の平面上の中心からわずかに正面方向および左側面方向に寄った位置には、第一仕切板100に形成された貫通穴102と同心円になるように、円形の貫通穴81が形成されている。貫通穴81は、クランプ50上の4本の把持柱状部90,91,92,93が貫通でき、クランプ50の回転に支障のない大きさで形成されている。
【0025】
ボルト15は、その先端のみにねじ山部分を有する。ボルト15は、天板10および柱部材24に形成された各2箇所のボルト貫通穴10a,35を順に貫通し、第二仕切板80の各ボルト用ねじ穴85にねじ止めされる。ボルト14もボルト15と同じ形態を有し、天板10および柱部材25に形成された各2箇所のボルト貫通穴10b,34を順に貫通し、第二仕切板80の各ボルト用ねじ穴84にねじ止めされる。
【0026】
ねじ16は、天板10のねじ貫通穴10fを貫通し、柱部材24のねじ穴36にねじ込まれて貫通し、第二仕切板80に形成されたねじ穴86にねじ込まれて貫通し、第一仕切板100に形成されたねじ穴106にてねじ止めされる。ねじ18は、天板10のねじ貫通穴10dを貫通し、柱部材25のねじ穴38にねじ込まれて貫通し、第二仕切板80に形成されたねじ穴88にねじ込まれて貫通し、第一仕切板100に形成されたねじ穴108にてねじ止めされる。ねじ17は、その直下が空間であるため、天板10の正面側右角に形成された1本のねじ貫通穴10cのみを貫通し、第二仕切板80に形成されたねじ穴87にねじ込まれて貫通し、第一仕切板100に形成されたねじ穴107にてねじ止めされる。ねじ19は、その直下が空間であるため、天板10の背面側左角に形成された1本のねじ貫通穴10eのみを貫通し、第二仕切板80に形成されたねじ穴89にねじ込まれて貫通し、第一仕切板100に形成されたねじ穴109にてねじ止めされる。
【0027】
このように、天板10と第二仕切板80とは、その両角において柱部材24,25を挟んだ状態でボルト15,14およびねじ16,18にて固定されるため、天板10と第二仕切板80は強固に結合される。さらに、天板10、第二仕切板80および第一仕切板100は、ねじ16,17,18,19によってねじ止めされるので、これら10,80,100が一体的に強固に結合される。
【0028】
(角筒の構成)
図5に示すように、多方活栓切換装置1の1階および2階の領域の周囲は、正方形の開口部を有する角筒41にて覆われている。また、角筒41の底部(すなわち、多方活栓切換装置1の1階の床に相当する部分)は、図1に示すように、角筒41と溶接される底板45にて覆われている。第一仕切板100および第二仕切板80は、角筒41の開口内部と同じか若しくはわずかに小さい大きさの板である。第一仕切板100は、角筒41の左右側面からねじ28,29(図5に示す側のみ符号を付す)にて角筒41と固定されている。同様に、第二仕切板80は、角筒41の左右側面からねじ26,27(図5に示す側のみ符号を付す)にて角筒41と固定されている。
【0029】
(固定脚部の構成)
天板10の平面中央から正面および左側面に少し寄った位置には、4本のねじ(芯材の一形態)20,21,22,23をねじ込み可能な4個のねじ穴10g,10h,10i,10j(図10参照)が貫通して形成されている。ねじ穴10g,10h,10i,10jは、略正方形の角の位置になるように配置されている。ねじ20,21,22,23は、天板10の厚さより長い。このため、ねじ20,21,22,23を、それぞれねじ穴10g,10h,10i,10jに最大限ねじ込んだ状態では、ねじ20,21,22,23の各先端から一部の長さが突き抜けている。ねじ20,21,22,23の突き抜けた部分は、筒体(チューブ)によって着脱自在に覆われている。このように、固定脚部30,31,32,33は、当該筒体とねじ20,21,22,23を主要部としている。三方活栓2の活栓本体7を固定脚部30,31,32,33によりしっかりと固定するために、筒体の材料および肉厚を選択することができる。活栓本体7と固定脚部30,31,32,33との隙間を低減し、かつ活栓本体7と固定脚部30,31,32,33との間で滑らないようにするためには、ゴムのように柔軟性に富みかつ摩擦係数の高い材料で、ねじ20,21,22,23の外周と活栓本体7との隙間を十分に埋めることができる厚さを有する筒体を選択するのが好ましい。また、ゴムよりも硬度の高い樹脂(例えば、フッ素樹脂)から成る筒の外表面にゴムをコートした多層構造の筒体を選択することもできる。
【0030】
(制御部の構成)
図1および図2に示すように、多方活栓切換装置1の2階に相当する空間には、2個のスイッチ60,70が配置されている。スイッチ60,70は、パルスモータ120の回転に従動するクランプ50の外側の領域において上方から見て左右ほぼ一直線になる位置にて、第一仕切板100上に固定されている。スイッチ60,70は、第一仕切板100の裏面からねじ穴114,115,116,117に向けてねじをねじ込み、スイッチ60,70自体あるいはスイッチ60,70を固定する他の部材にねじをねじ込む等の方法により、第一仕切板100上に固定される。スイッチ60,70の固定位置は、クランプ50の回動動作の妨げにならない位置である。
【0031】
スイッチ60は、略直方体の形状を有しており、その長さ方向に並ぶ接続端子61,62,63を備えている。接続端子61,62,63と反対側の面において、接続端子62の真後には、スイッチ60の内方に押し込み可能であって、突出する向きに復元可能に付勢される凸部64(図8参照)が存在する。スイッチ70は、スイッチ60と同様に略直方体の形状を有しており、その長さ方向に並ぶ接続端子71,72,73を備えている。接続端子71,72,73と反対側の面において、接続端子72の真後には、スイッチ70の内方に押し込み可能であって、突出する向きに復元可能に付勢される凸部74が存在する。スイッチ60の各接続端子61,62,63およびスイッチ70の各接続端子71,72,73は、パルスモータ120を駆動する回路(不図示)に接続されている。
【0032】
スイッチ60は、多方活栓切換装置1の正面側に接続端子61,62,63が突出する向きで固定される。スイッチ70も同様に、多方活栓切換装置1の正面側に接続端子71,72,73が突出する向きで固定される。図1および図2に示すように、クランプ50は、その中心からクランプ50の径方向外側に向かって伸びる一本の押圧部材51を備える。押圧部材51の長さは、スイッチ60,70の凸部64,74に届く長さである。押圧部材51は、クランプ50と一体的に回動する。平面上右方向を角度ゼロとした場合において、押圧部材51の先端が角度ゼロの方向を向いているときには、押圧部材51がスイッチ60の凸部64をスイッチ60の内方に向けて押し込んでいる。この際、パルスモータ120は停止状態である。
【0033】
図8は、多方活栓切換装置1のクランプ50が図2の状態から180度回転した状態を一部透過的に示す透過平面図である。
【0034】
パルスモータ120が回転してクランプ50が180度回転すると、押圧部材51は、図2の状態から平面上時計の針の回転方向と逆方向に回転する(図2の矢印X方向に回転する)。その後、図2の状態から図8の状態の直前状態になると、押圧部材51は、スイッチ70の凸部74をその内方に押し込む。これにより、パルスモータ120は停止する。逆に、押圧部材51が図8の状態から平面上時計の針の回転方向と同一方向に回転して(図8の矢印Y方向に回転して)、図8の状態から図2の状態直前になると、押圧部材51は、スイッチ60の凸部64をその内方に押し込む。これにより、パルスモータ120は停止する。このように、パルスモータ120の停止は、押圧部材51による凸部64または凸部74の押し込みをトリガとして実行される。
【0035】
図9は、スイッチ60,70の電気回路を模式的に示す図である。
【0036】
凸部64,74が押し込まれていない状態では、スイッチ60,70の内部回路は、図9に示すように、ライン76とライン77の間にスイッチライン78が接続された状態にある(N/C)。このとき、ライン79は開状態にある(N/O)。この状態において、凸部64,74が押し込まれると、スイッチライン78がライン79に接続され、ライン79が閉状態となり、ライン77は開状態になる。このように、スイッチライン78のZ方向(図9参照)の動作に従って、ライン77,79の交互開閉動作を実行することができる。ライン79に電流が流れるとパルスモータ120の回転を停止させ、ライン77に電流が流れるとパルスモータ120が回転する設計にしておくことにより、パルスモータ120の回転及び停止の制御を行うことができる。
【0037】
(多方活栓切換装置の組立方法)
図10は、多方活栓切換装置1の組み立てを説明するための分解正面図である。図10は、パルスモータ120の正面にある角筒41を除去して示している。以下、組み立ての一例を説明する。ただし、組み立て方法は、以下の方法に限定されない。
【0038】
第一仕切板100の裏面から貫通穴102にパルスモータ120の回転軸130を挿入してパルスモータ120を第一仕切板100にねじ止めする。次に、第一仕切板100の表面に、スイッチ60,70をねじ止めするとともに、パルスモータ120の回転軸130をクランプ50の中心にある穴52に挿入する。次に、第一仕切板100を、底板45を溶接した角筒41の内部に入れて、角筒41の外側から第一仕切板100をねじ止めして固定する。次に、第二仕切板80を角筒41の内部に入れて、後述する組み立て済みのクランプ50を第二仕切板80の貫通穴81に貫通させた状態にて、角筒41の外側から第二仕切板80をねじ止めして固定する。
【0039】
次に、天板10のねじ穴10g,10h,10i,10jにそれぞれねじ20,21,22,23をねじ込む。天板10の裏面に突出した各ねじ20,21,22,23に筒体をかぶせて固定脚部30,31,32,33を作製する。次に、天板10の裏面の両角に柱部材24,25の各天面を合わせて、天板10の表面側から、ねじ16,17,18,19をねじ込む。これにより、天板10と柱部材24,25が固定される。
【0040】
次に、三方活栓2の回動部材6を下にして、その回動部材6の4つの突起の付け根にクランプ50上の4本の把持柱状部90,91,92,93を合わせて、把持柱状部90,91,92,93により回動部材6をグリップする。次に、三方活栓2の活栓本体7の端部(回動部材6側とは反対側の端部)と管3,4,5の間に固定脚部30,31,32,33を挿入するともに、ねじ16,17,18,19をそれぞれねじ穴86,87,88,89に合わせて挿入してねじ込む。次に、ボルト15,14を天板10から柱部材24,25を貫通させて、第二仕切板80にねじ止めする。
【0041】
クランプ50は、把持柱状部90,91,92,93に囲まれた第一領域96(図11参照)に把持柱状部90,91,92,93よりも短い柱状部94を有する。三方活栓3を多方活栓切換装置1に取り付けた状態において、柱状部94の先端に形成された凸部95は、回動部材6の外面に接する。一方、固定脚部30,31,32,33に囲まれた第二領域42の底部(この実施の形態では、天板10の裏面に相当する)は、活栓本体7の端部に接する。すなわち、三方活栓2は、第一領域96と第二領域42により回動部材6の回動軸8の長さ方向に挟まれて固定される。
【0042】
(クランプの構成)
図11は、クランプ50の分解斜視図である。図12は、クランプ50の斜視図である。
【0043】
クランプ50は、柱状部94を有する円板50a、把持柱状部90,91,92,93、把持柱状部90,91,92,93の芯材となるねじ140,141,142,143および押圧部材51とを備える。円板50aの内部には、円板50aの天面に平行に形成され、円板50aの側面に開口する互いに直角に交差する同径のねじ穴57,58が形成されている。また、円板50aは、柱状部94を中心とする円周上において互いに略90度間隔で配置され、円板50aの裏面から天面に向かって垂直に貫通する4本のねじ穴53,54,55,56を有する。ねじ140,141,142,143は、ねじ穴53,54,55,56の長さよりも長い。ねじ140,141,142,143は、それぞれ、円板50aの裏面からねじ穴53,54,55,56にねじ込まれ、その突出部分に把持柱状部90,91,92,93を被覆する。把持柱状部90,91,92,93は、その長さ方向の一方を開口し、他方を開口しないねじ穴90a,91a,92a,93aを有する。ねじ140,141,142,143の突出部分は、それぞれ、把持柱状部90,91,92,93の各ねじ穴90a,91a,92a,93aにねじ込まれる。
【0044】
押圧部材51は、その長さ方向の一端に、ねじ穴57,58にねじ込み可能なねじ部51aを備える。ねじ部51aをねじ穴57またはねじ穴58にねじ込むことにより、押圧部材51を円板50aの側面に固定することができる。
【0045】
(クランプの回転操作)
図13、図14および図15は、それぞれ、パルスモータ120の回転に従動してクランプ50が回動した際の回動角度と三方活栓2の流路との関係の一例を示す図であり、図13は角度ゼロの際の、図14は角度90度の際の、図15は角度180の際の各状態を示す。図13、図14および図15の各左側の図は、多方活栓切換装置1の上方から、三方活栓2の回動部材6とクランプ50を見た模式図であり、各右側の図は、活栓本体7内部で回転する回転芯体中の流路の模式図的である。
【0046】
三方活栓2の回転芯体は、平面上で互いに直角である3方向に開となるT字状の流路を有する。図13に示すように、クランプ50の回動角度がゼロの場合には、管4の方向、管5の方向および管4の反対側の方向が開状態となる。管4の反対側には管が存在しないので、三方活栓2の流体は、管4および管5の間でのみ流れ得る。図13に示す状態からクランプ50が時計の針と反対方向に90度回転すると、図14に示す状態になる。この場合、管3の方向、管5の方向および管4の反対側の方向が開状態となる。管4の反対側には管が存在しないので、三方活栓2の流体は、管3および管5の間でのみ流れ得る。さらに図14に示す状態からクランプ50が時計の針と反対方向に90度回転すると、図15に示す状態になる。この場合、管3の方向、管4の方向および管4の反対側の方向が開状態となる。管4の反対側には管が存在しないので、三方活栓2の流体は、管3および管4の間でのみ流れ得る。
【0047】
パルスモータ120は、予め決めたパルス数に相当する角度だけ回転させることが可能である。例えば、管3と管4をつなぐ流路を正確に開の状態とする必要がある場合には、クランプ50を正確に90度回転させるためのパルス数だけパルスモータ120を回転させなければならない。このため、角度ゼロの状態であるかどうか不確定であるクランプ50を数〜数十パルス分だけ時計の針と反対方向に回転させ、その位置から押圧部材51がスイッチ60の凸部64を押し込むまで、クランプ50を時計の針と同方向に回転させる。凸部64が押し込まれてパルスモータ120が停止したときのクランプ50の位置は、確実に角度ゼロの位置である。この状態から角度90度に相当するパルス数だけクランプ50を回転させる。この結果、図14に示すクランプ50の状態は、角度ゼロの状態から正確に90度回転した状態となり、管3と管5とを結ぶ流路は完全に開の状態となる。なお、流量の正確さを必要としない場合には、上述の方法を採用しなくてもよい。
【0048】
(固定脚部および把持柱状部による三方活栓の固定状態)
図16は、三方活栓2の回動部材6および活栓本体7と、回動部材6をグリップする把持柱状部90,91,92,93および活栓本体7を固定する固定脚部30,31,32,33とを抜き出して示す斜視図である。図16において、回動部材6および活栓本体7を一点鎖線で示している。
【0049】
把持柱状部90,91,92,93は、それぞれ、略クロス形状の回動部材6の隣接する突起同士の間の凹部に接触した状態で回動部材6をグリップする。各把持柱状部90,91,92,93に囲まれた第一領域96に存在する柱状部94の先端にある凸部95は、回動部材6の下面に接触、あるいは下面の凹部にはまり込んでいる。一方、固定脚部30,31,32,33は、第二領域42に活栓本体7を挿入した状態で活栓本体7の側面を強くグリップする。このため、クランプ50の回動に従動して回動部材6が回動しても、活栓本体7は回動しない。なお、活栓本体7の上端部は、天板10に接触している。活栓本体7の上端部に内方に窪む凹部(多角形の底面を有する凹部が好ましい)が存在する場合には、天板10の裏面に当該凹部にきつく挿入可能な凸部を備えるのが好ましい。活栓本体7の回動をさらに抑制できるからである。
【0050】
(実施の形態における作用)
多方活栓切換装置1は、パルスモータ120の回転軸130に接続され、三方活栓2の回動部材6を把持する4本の把持柱状部90,91,92,93を備えるクランプ50と、回動部材6の反対側から活栓本体7を把持し、その活栓本体7が回動部材6の回動に従動しないように活栓本体7を固定する4本の固定脚部30,31,32,33とを備えているので、本来手動にて使用する三方活栓2に対して電動にて流路の開閉を切り換えることができる。
【0051】
また、多方活栓切換装置1は、クランプ50が回動する平面上(すなわち、第一仕切板100上)に2つのスイッチ60,70と、クランプ50にその中心から径方向に伸びる押圧部材51を備え、押圧部材51がパルスモータ120の回動動作に従動して回動して、スイッチ60,70のいずれか一方に接触すると、パルスモータ120の回転を停止させる構造を備えている。このため、あらかじめ決めたパルス数に相当する角度でパルスモータ120の回転および停止を実現する以外に、押圧部材51の回動範囲(180度)の始点および終点においてパルスモータの停止を実現できる。
【0052】
また、把持柱状部90,91,92,93は、芯材としてねじ140,141,142,143を内部に備える。さらに、固定脚部30,31,32,33は、芯材としてねじ20,21,22,23を内部に備える。芯材を金属製にし、把持柱状部90,91,92,93および固定脚部30,31,32,33を芯材より硬度の低い材料(たとえば、樹脂)で構成することにより、把持柱状部90,91,92,93および固定脚部30,31,32,33は、それぞれ、回動部材6および活栓本体7を強くグリップでき、かつ回動部材6および活栓本体7の表面において滑りにくくなる。さらに、上記芯材に対して把持柱状部90,91,92,93あるいは固定脚部30,31,32,33を着脱自在な形態としているので、三方活栓2の回動部材6または活栓本体7の大きさ若しくは形状等に応じて把持柱状部90,91,92,93または固定脚部30,31,32,33の大きさ、長さ等を変えることができる。したがって、三方活栓2の形態を問わず多方活栓切換装置1を適用できる。
【0053】
また、クランプ50は、4本の把持柱状部90,91,92,93の間に第一領域96を有し、固定脚部30,31,32,33は、それらの間に第二領域42を有し、クランプ50および固定脚部30,31,32,33は、第一領域96と第二領域42により活栓本体7を回動部材6の回動軸8の長さ方向に挟んで固定する。このため、三方活栓2は上下方向にしっかりと固定される。したがって、回動部材6の回動動作によって三方活栓2が微動するのを、より低減することができる。
【0054】
(その他の実施の形態)
図17は、上述の多方活栓切換装置1の変形例を一部透過的に示す透過平面図である。図18は、パルスモータを回転させて、図17に示す状態の回動部材を時計の針と同方向に90度回転させた状態を示す透過平面図である。図17および図18において、図1〜図16までに示す多方活栓切換装置1と共通する部分については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
この変形例が上述の多方活栓切換装置1と異なる点は、スイッチ70の位置から時計の針と反対方向に90度回転した位置にスイッチ60を固定している点である。この変形例では、三方活栓2の回動部材6は、押圧部材51が両スイッチ60,70間を往復回動する範囲内でのみ回動する。すなわち、クランプ50が図17に示す状態から時計の針と同方向(P方向)に回転すると、押圧部材51がスイッチ70の凸部74を押し込み、クランプ50が図18に示す状態で停止する。逆に、クランプ50が図18に示す状態から時計の針と反対方向(Q方向)に回転すると、押圧部材51がスイッチ60の凸部64を押し込み、クランプ50が図17に示す状態で停止する。このように、スイッチ60,70の固定場所を変更することによって、三方活栓2の回動部材6の回動角度の範囲、およびそれを含めた回動パターンを変更することができる。
【0056】
また、本発明は、上述までの実施の形態に限定されず、種々変形を施して実施することができる。
【0057】
例えば、本発明の多方活栓切換装置は、三方活栓2以外に、二方向あるいは四方向以上に流路を有する多方活栓の流路を切り換える装置であっても良い。また、多方活栓から突出する複数の管は、1つの平面上において放射状に突出する管に限定されず、立体的(三次元的に)放射する管であっても良い。また、パルスモータ120は、駆動源の一例にすぎず、パルスモータ120に代替してステッピングモータ、直流モータ等を採用してもよい。さらに、モータ以外の回転動力源として、風力、水力、その他メカニカルな動力のみで回転するものを用いても良い。また、スイッチ60,70は、制御部の主要部材の一例にすぎず、赤外線スイッチなどの他の種類のスイッチを用いてもよい。さらに、把持柱状部90,91,92,93に代替して、多方活栓の回動部材の形状等に応じて、1個、2個、3個あるいは5個以上の把持柱状部をクランプ50に備えるようにしてもよい。たとえば、1個の把持柱状部をクランプ50に備える場合には、その先端の形状を、多方活栓の回動部材をグリップできる形状にするのが好ましい。また、固定脚部30,31,32,33に代替して、多方活栓の活栓本体の形状等に応じて、1個、2個、3個あるいは5個以上の固定脚部を備えるようにしてもよい。たとえば、1個の固定脚部を天板10に備える場合には、固定脚部における活栓本体側の先端の形状が固定脚部をグリップできる形状であるのが好ましい。把持柱状部および固定脚部は、多方活栓の活栓本体の長さ方向から回動部材および活栓本体をそれぞれグリップするものでなくとも良い。例えば、多方活栓切換装置の左右少なくともいずれか一方から回動部材6あるいは活栓本体7をグリップしても良い。
【0058】
また、スイッチ60,70に代替して、ただ1つのスイッチあるいは3個以上のスイッチを多方活栓切換装置に備えても良い。3個以上のスイッチを備える場合には、2以上の押圧部材をクランプに備え、1つの押圧部材が2個のスイッチのオンまたはオフを行い、他方の押圧部材が残りのスイッチのオンまたはオフを行うようにすると良い。さらに、複数のスイッチを、クランプ50の回転する2以上の平面上に固定してもよい。例えば、2個のスイッチをクランプ50が回動する平面の一つである第一仕切板100に固定し、別の1個のスイッチを、第一仕切板100の上方に略平行配置される別の板上に固定し、2個の押圧部材をそれぞれ第一仕切板100上と上記別の板上にて回動するように構成してもよい。また、押圧部材がスイッチに接触することをトリガとして駆動源の回転を停止させるのみならず、回転を開始させるようにしても良い。
【0059】
また、第一領域96に柱状部94を備えず、空間のみであっても良い。その場合、把持柱状部90,91,92,93の根元にあるクランプ50の天面が三方活栓2の回動部材6に接触するように、把持柱状部90,91,92,93の長さを設計するのが好ましい。また、第二領域42に柱状部94に相当する柱状部を備え、その柱状部が活栓本体7の端部に接触するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、多方活栓を製造または使用する産業において広く利用可能であって、例えば、医療現場において多方活栓を使用する際に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る多方活栓切換装置の正面から見た状態を一部透過して示す透過正面図である。
【図2】図2は、図1に示す多方活栓切換装置の上方から見た状態を一部透過して示す透過平面図である。
【図3】図3は、図1に示す多方活栓切換装置の正面図である。
【図4】図4は、図1に示す多方活栓切換装置の平面図である。
【図5】図5は、図1に示す多方活栓切換装置の左側面図である。
【図6】図6は、図1に示す多方活栓切換装置の高さ方向のより低い位置を仕切る第一仕切板の平面図である。
【図7】図7は、図1に示す多方活栓切換装置の高さ方向のより高い位置を仕切る第二仕切板の平面図である。
【図8】図8は、図1に示す多方活栓切換装置のクランプが図2の状態から180度回転した状態を一部透過的に示す透過平面図である。
【図9】図9は、図8に示すスイッチの電気回路を模式的に示す図である。
【図10】図10は、図1に示す多方活栓切換装置の組み立てを説明するための分解正面図である。
【図11】図11は、図1に示すクランプの分解斜視図である。
【図12】図12は、図11に示すクランプの構成部材を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、パルスモータの回転に従動してクランプが回動した際の回動角度と三方活栓の流路との関係の一例を示す図であり、角度ゼロの際の状態を示す。
【図14】図14は、図13の状態からクランプが時計の針と反対方向に90度回転した際の回動部材と三方活栓の流路とを示す図である。
【図15】図15は、図14の状態からクランプが時計の針と反対方向にさらに90度回転した際の回動部材と三方活栓の流路とを示す図である。
【図16】図16は、図1に示す三方活栓の回動部材および活栓本体と、回動部材をグリップする把持柱状部および活栓本体を固定する固定脚部とを抜き出して示す斜視図である。
【図17】図17は、図1に示す多方活栓切換装置の変形例を一部透過的に示す透過平面図である。
【図18】図18は、図17に示す状態の回動部材を時計の針と同方向に90度回転させた状態の多方活栓切換装置を示す透過平面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 多方活栓切換装置
2 三方活栓(多方活栓)
3 管
4 管
5 管
6 回動部材
7 活栓本体
8 回転軸
20 ねじ(芯材)
21 ねじ(芯材)
22 ねじ(芯材)
23 ねじ(芯材)
30 固定脚部(チューブ)
31 固定脚部(チューブ)
32 固定脚部(チューブ)
33 固定脚部(チューブ)
42 第二領域
50 クランプ
51 押圧部材
60 スイッチ(制御部の一部)
70 スイッチ(制御部の一部)
90 把持柱状部(チューブ)
91 把持柱状部(チューブ)
92 把持柱状部(チューブ)
93 把持柱状部(チューブ)
96 第一領域
120 パルスモータ(駆動源)
130 回転軸
140 ねじ(芯材)
141 ねじ(芯材)
142 ねじ(芯材)
143 ねじ(芯材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数方向に突出する管と、流体の流路を切り換えるための回動可能な回動部材とを備える多方活栓に取り付けられることにより、当該多方活栓を固定して上記回動部材を回動させる多方活栓切換装置であって、
上記回動部材に対して回動駆動力を与えるための駆動源と、
当該駆動源の回動動作を制御する制御部と、
上記駆動源の回転軸に接続され、上記回動部材を把持する1以上の把持柱状部を備えるクランプと、
上記回動部材以外の上記多方活栓の活栓本体を把持し、上記活栓本体が上記回動部材の回動に従動しないように上記活栓本体を固定する1以上の固定脚部と、
を備え、
上記固定脚部によって上記活栓本体を固定させた状態で、上記クランプは、上記駆動源の回動動作に基づき、上記制御部による制御の下で上記回動部材を回動させることを特徴とする多方活栓切換装置。
【請求項2】
前記制御部は、1以上のスイッチを含み、
前記クランプは、その一部に押圧部材を連接して備え、
当該押圧部材が前記駆動源の回動動作に従って回動して、上記スイッチに接触すると、前記駆動源の回転を開始または停止させることを特徴とする請求項1に記載の多方活栓切換装置。
【請求項3】
前記スイッチを2個備え、
前記押圧部材がそれぞれのスイッチに接触すると、前記駆動源の回転が停止し、前記回動部材は、前記押圧部材の回動範囲で回動することを特徴とする請求項2に記載の多方活栓切換装置。
【請求項4】
前記多方活栓は3本の前記管を備えた三方活栓であり、
前記クランプは4本の前記把持柱状部により前記回動部材を把持し、
前記固定脚部は、4本の前記固定脚部により前記活栓本体を固定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の多方活栓切換装置。
【請求項5】
前記把持柱状部および/または前記固定脚部は、芯材と、その芯材より低硬度でその芯材の少なくとも側面を覆うチューブとを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の多方活栓切換装置。
【請求項6】
前記クランプは、2以上の前記把持柱状部の間に第一領域を有し、
2以上の前記固定脚部は、その間に第二領域を有し、
前記クランプおよび前記固定脚部は、上記第一領域と上記第二領域により前記活栓本体を前記回動部材の回動軸の長さ方向に挟んで固定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の多方活栓切換装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate