説明

多目的高速充電スタンド

装置は、充電器と、複数のコネクタとを含み、このコネクタはスイッチと、充電器とコネクタとの接続部と、を含む。充電器は、この複数のコネクタの1つに関連付けられたスイッチに指示して、充電器に関連付けられたコネクタを接続するように構成されている。充電器はまた、デバイスで検出された電池の種類に従ってコネクタに接続されたデバイスを充電するように構成されている。複数のデバイスは、優先順位付けされた充電スキームを使用して充電される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電池充電器は、典型的にはケーブル接続又は端子接続を介して特定の1つの電池作動デバイスを充電し、典型的には1時間以上の程度の充電時間を有する。つまり、例えば、携帯電話の充電器は、典型的にはデジタルカメラなどを充電しない。かかる充電器はまた、一般に15分未満の充電が可能な高速充電接続又は端子を包含しない。充電式リチウムイオン(Li−ion)電池など電池技術の最近の発達により、消費者は、何時間もかかるのではなく、数分の範囲で高速充電を行うという考えを現実的に期待できるものと考えるようになっている。
【0002】
充電式Li−ion電池は、典型的には定電流に続いて定電圧を供給する(CC/CV)電源によって充電され、約4.2Vで定電流から定電圧に切り替わる。つまり、充電運転は、電池の電圧が約4.2Vに達すると、定電流モードから定電圧モードへと切り換わる。かかる充電特性をもたらす電源は、電子的フィードバック機構によって制御される。所定時間内での充電式電池の充電には、充電デバイスの充電機構の慎重かつ正確な制御を伴う。充電電流の正確な規制の促進には、電池の電圧及び/又は電流の正確な測定を伴う。更に、電池は様々な容量を有し、様々な充電電流レベルを必要とするので、電池容量に関する正確な情報によって、所定時間内での充電運転の完了が可能になる。
【0003】
従来の充電器は、機械技術、又はアナログ技術、又はデジタル技術に依存して充電する電池の種類、したがって適用する適切な充電型を判定する。例えば、一部の技術は、内蔵の電池識別用レジスタ、つまり特定の電池に適用される充電パラメーターを決定する値の使用に基づいている。コネクタ極性キーの位置又は特定のコネクタピンの位置を使用して、異なる充電パラメーターを必要とする様々な電池モデルを区別するなどの機械技術も使用されてきた。例えば、Smart Battery Bus(SMBus)標準は、シリアルデータ通信インターフェースを使用して充電パラメーターを充電デバイスに伝達する。上記の方法は、電池の電力端子以外の追加の接続点又は蓄えたエネルギーを携帯デバイスに供給するという基本的な電池機能には必要とされない追加の機械的機構を使用する。SMBus標準の場合、電気回路及び少なくとも2個の追加コネクタピンが使用されて充電器と電池との間にスマートインターフェースが実装され、これにより電池の原価、複雑度、及び寸法へ追加される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
充電スタンドベース及び高速充電回路は、同時に1つ以上のデバイスを充電器に接続するために単一又は複数の充電端子を包含する。充電器は、接続された各デバイスと通信し、デバイスごとに適切な高速充電速度を選択する。1つ以上のデバイスの充電は、同時に又は逐次に開始される。充電器は、ほぼすべてのデバイスに接続して充電できる、高速ユニバーサルコネクタ、つまり汎用コネクタを収容する。
【0005】
装置は、充電器と、複数のコネクタと、を含み、このコネクタはスイッチと、充電器とコネクタとの接続部と、を含む。充電器は、この複数のコネクタの1つに関連付けられたスイッチに指示して、充電器に関連付けられたコネクタを接続するように構成されている。充電器はまた、デバイスで検出された電池の種類に従ってコネクタに接続されたデバイスを充電するように構成されている。
【0006】
装置の一実施形態では、装置は、複数のデバイス、複数のコネクタのうち1つのコネクタに接続された1つのデバイスを含み、複数のデバイスは同時に充電される。
【0007】
別の実施形態では、複数のデバイスは、優先順位付けされた充電スキームを使用して充電される。複数のデバイスは、第1のサブグループのデバイスと、複数の他のサブグループのデバイスと、を含み、第1のサブグループのデバイスは、複数の他のサブグループよりも優先される。第1のサブグループのデバイス内の複数のデバイスの少なくとも1つは、優先順位付けされた充電スキームを使用して充電される。あるいは、第1のサブグループのデバイス内の複数のデバイスの少なくとも1つは、同時充電スキームを使用して充電される。更に、優先順位付けされた充電スキームは、ユーザーインターフェースを介してユーザーによって決定されてもよい。更に、優先順位付けされた充電スキームは、複数のデバイスに関連付けられた電池の識別結果に基づいて決定されてもよい。
【0008】
別の実施形態では、複数のデバイスは、接続時逐次化を使用して充電される。
【0009】
別の実施形態では、複数のデバイスは、ラウンドロビン逐次充電スキームを使用して充電される。
【0010】
別の実施形態では、装置は、第1の時間に複数のコネクタ内の第1のコネクタに接続された第1のデバイスを含む。この装置はまた、第1の時間よりも遅い第2の時間に、複数のコネクタ内の第2のコネクタに接続された第2のデバイスを含む。充電器は、デバイスに関連付けられた相対容量に従って、第1のデバイスから第2のデバイスへと電流を方向付ける。
【0011】
別の実施形態では、装置内の充電器は、可変電流源と、複数のコネクタに関連付けられた電池種類識別子と、を含む。充電器はまた、この複数のコネクタの1つに関連付けられたスイッチに指示して充電器に関連付けられたコネクタを接続させる手段を含む。このスイッチは、電池種類識別子によって識別された電池の種類に基づいて、可変電流源からデバイスへと充電電流を流すように指示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】充電スタンドのブロック線図。
【図2】充電器のブロック線図。
【図3】デバイスへの接続を示す充電器の回路図。
【図4】優先順位付けされた充電プロセスを示すフローチャート。
【図5】同時充電プロセスを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、多ポート充電器10の一例を図示する。この例では、充電式電池12a、14a、及び16aをそれぞれ備える3個のデバイス12、14、16が、単一のCC/CV充電器20に接続された充電ドック18内に配置される。充電ドック18は、3個のデバイスコネクタに限定されることなく、より多くのコネクタを備えてもよい。各充電式電池は、少なくとも1つの充電式電気化学セル(図示せず)を有する。充電ドック18の各ポートは、コネクタと、デバイスを充電器20に接続するスイッチ(図示せず)と、を有する。充電ドック18内の各デバイスへのコネクタは、正端子22a、24a、26aと、負端子22b、24b、26bと、通信端子22c、24c、26cと、を有する。充電器は、AC電源30に接続された交流/直流(AC/DC)電力変換器28を介して電力の供給を受ける。充電器20はまた、直接DC接続、例えば12ボルトの電池を介して電力の供給を受けてよい。デバイスは、コネクタを介して多ポート充電器10のポートに接続される。充電器20は、対応するスイッチに指示してコネクタを備える充電器20を接続させ、デバイスで検出された電池に従ってコネクタに接続されたデバイスを充電する。
【0014】
充電器20は、少なくとも1つの電気化学セルを有する電池12a、14a、16aを充電するように構成されている。電池12aは、二次セル(又は電池)であってもよい。二次電気化学セルは、繰り返し再充電できる。二次セルは、セルで発生し得る膨張などの変化に対応するように設計されてもよい。二次セルについては、例えばFalk & Salkind、「Alkaline Storage Batteries」、John Wiley & Sons,Inc.1969、及び米国特許第345,124号に記載されており、これらの内容全体を参照によって本明細書に組み込む。本明細書に記載の実施形態では、電池12aは、二次電池、つまり充電式電池である。
【0015】
幾つかの実施形態では、充電式電池12a、14a、16aは、黒鉛アノード材料又はチタン酸リチウムアノード材料と、リチウム挿入リン酸鉄カソード材料とを有し、かかる材料に基づいて充電式電池の高速再充電を可能にする、Li−Ionセルを含む。
【0016】
デバイス12、14、16は、充電端子36a及び36bが充電器ドック端子18の端子22a、b、24a、b、26a、bのそれぞれに電気的かつ機械的に連結し、検出端子36cが電池12aの検出端子22cのそれぞれに電気的かつ機械的に連結するように、多ポート充電ドック18の充電区画内に収容される。幾つかの実施形態では、端子22a、22b、及び22cは、充電器20の充電区画内に配置されたそれぞれの端子36a、36b、及び36cと噛み合い構成で接続するように構成されるピンである。充電器20は、電池12aに印加する適切な充電電流を判定し、充電ドック18の端子22a及び22bを介して、端子36a及び36bを通るこの充電電流を電池12aに印加する。
【0017】
次に図2を参照すると、充電器20は、マイクロコントローラ32と、ユーザーインターフェース34と、を有する。マイクロコントローラ32は、各デバイス12、14、16に印加される電圧及び/又は電流を制御する工程を含む、充電プロセスを制御するように構成されている。かかる充電プロセスの制御は、電池12a、14a、16aが所定の充電レベルに所定時間内で充電されるように含まれる。更に、かかる制御は、それぞれのデバイス12、14、16内で電池12a、14a、16aの電圧が所定の電圧上限を超えないように含まれる。最終的には、かかる制御は、電圧上昇速度、すなわち、充電運転が進行するにつれて各電池の充電端子12a、b、14a、b、16a、bにおいて電圧が上昇する速度が、特定の充電特性と一致する(例えば、充電運転の最初の1分間に特定の速度で上昇する)ように含まれる。
【0018】
ユーザーインターフェース34は、充電器20及び/又は充電器20に接続された各デバイス12、14、16に関するステータス情報をユーザーに提供する、LEDなどの出力デバイスを含む。ユーザーインターフェース34は、例えば、青色LED 40と、赤色LED 42と、黄色LED 44、46、及び48と、を含む。ユーザーインターフェース34はまた、緑色LED 50、52、54も含む。
【0019】
青色LED 40は、充電器が運転中であり、AC電源ポート30を介して充電器20に接続されたAC電源など外部電源に接続されたときに点灯する。
【0020】
赤色LED 42は、充電器20では対応できないデバイスが充電区画に挿入されると、作動して赤く点灯する。かかる充電器には、例えば、IDレジスタ38が、マイクロコントローラ32で処理するように構成されていない容量又は電池の種類の代表値を有する充電式電池が挙げられる。赤色LED 42はまた、欠陥のある電池を備えたデバイスが充電区画に挿入されると、作動して赤く点滅してもよい。例えば、初期電圧レベルが、例えば2V未満の電池は損傷の恐れがあり、したがって、充電器20は、損傷の疑いのある電池が取り外されるまでは充電運転を開始しない。赤色LEDはまた、充電器の運転に悪影響を及ぼす恐れがある、及び/又は充電器若しくは電池を損傷する恐れがある故障状態の検出時に点灯してもよい。かかる故障状態には、電池の端子での異常電圧の検出、電池及び/又は充電器のオーバーヒート状態(例えば、60℃を超える温度が検出される)などが挙げられる。電池の充電中に発生する障害状態を検出して対応するための例示の手順の詳細な説明は、米国特許出願第11/776,021号、名称「Fast Battery Charger Device and Method」に記載されており、この特許の内容全体を参照によって本明細書に引用したものとする。
【0021】
黄色LED 44、46、48は、充電器が装置12、14、16を例えば6Aの電流で充電しているときに点灯する。かかる充電電流は、充電器20の充電区画内に配置された電池が、500mAh(「Ah」は、電池のアンペア時間容量の単位である)の容量を有し、6Aの充電電流では、約5分で充電運転が完了することを示し得る。
【0022】
緑色LED 50、52、54は、充電器がデバイス12、14、16を、例えば8.5Aの電流で充電しているときに点灯する。かかる充電電流は、充電器10の充電区画内に配置された電池が700mAhの容量を有し、8.5Aの充電電流ではまた、約5分で充電運転が完了することを示し得る。
【0023】
ユーザーインターフェース34は、異なる状態(例えば、異なる障害状態)、異なる電池容量などにそれぞれ対応できる追加のLEDを含んでもよい。更に、本明細書に記載の色及び/又は点灯スキームは、様々な色が様々な電池容量又は様々な状態に対応するように変更されてもよい。
【0024】
ユーザーインターフェース34は、ユーザーに出力情報を提供するように構成されているディスプレイデバイス56を含む。例えば、損傷の疑いのある電池又は充電器と互換性のない電池が充電ドック18に配置されている状況では、ユーザーインターフェースは、「欠陥のある電池」又は「不正な電池」というメッセージを表示する。
【0025】
ユーザーインターフェース34はまた、ユーザーが使用して、例えば充電期間及び/又は充電プロセスに関する他の種類のパラメーターを表示する、スイッチ、ボタン、及び/又はノブを含み得るユーザー入力部(図示せず)を含む。したがって、ユーザーが約5分以内に電池が少なくとも90%充電される速度以外の速度で電池を充電する場合、ユーザーは、ユーザーインターフェース34のユーザー入力部を使用してそのように指定する。
【0026】
IDレジスタなど識別機構によって測定された電池の識別子に基づいて、ユーザー入力部を使用して、又は他の電池識別スキームを使用して、電池の種類及び/又は容量を指定することにより、充電器は、充電期間、並びに電池の識別子及び/又は容量に基づいて適切な電流値を指示する参照テーブルにアクセスする。例えば、計算手法を使用して、適切な充電電流を決定してもよい。
【0027】
更なる例として、ユーザーインターフェース34のユーザー入力部は、多ポート充電ドック18内の様々なデバイスへの電流の配分を制御する入力要素を含む。例えば、デバイスは、同時に充電されてもよい。この場合、電流は、それぞれの電池12a、14a、16aの容量に従って、既に充電器内にあるデバイス12、14、16の間で分けられる。使用可能な充電ポートに新しいデバイスが追加されると、デバイス12、14、16の充電状態に応じて、充電中のデバイスから新しいデバイスへと電流が振り向けられる。充電器は定圧のため、デバイスは、電流がデバイスに送られたときに出力電流を共有する。
【0028】
充電器20の更なる詳細は、図3に図示されている。AC/DCスイッチモード電源は、定電圧(CV)/定電流(CC)出力用に構成されている。つまり、出力電圧はLi−Ion又は同様の電池をデバイス内で直接充電する(デバイス内に充電回路が存在しない)ために約4Vに維持され、出力電流は、例えば、最大10Aに制限される。
【0029】
充電器20は、整流フィルタ21と、制御用集積回路27と、変圧器33と、補助コイル35と、ツェナーダイオード31と、AC/DC変換器37と、を含む。
【0030】
整流フィルタ21は、ブリッジ整流器23と、キャパシタフィルタ25と、を含む。整流フィルタは、入力120V、60HzのAC信号を受信し、160VのDC信号に変換する。
【0031】
制御用IC 27は、内蔵スイッチングトランジスタであり、整流フィルタ21からのDC信号を高周波パルスに分割する。補助コイル35は、制御用IC 27への電力供給及び補助ピン29へのフィードバックを行って、所望の出力電圧に調製できるようにする。ツェナーダイオード31は、補助コイルに電圧保護をもたらす。
【0032】
AC/DC変換器37は、制御用IC 27から電圧調整された高周波パルス出力を受け取り、3〜5VのDC定電流信号に変換する。
【0033】
最初は、すべてのMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)スイッチ51が、MCU(マイクロコントローラユニット)53に指示されるとおり「オフ」であるため、充電器はオフである。ドックの1つに挿入されたデバイスをシリアル通信によって正常に識別すると、予めプログラミングされた、充電順を設定するアルゴリズムに従って、MCU 53がMOSFET 51の1つを「オン」にして、このデバイスを充電できるようにする。
【0034】
理想的には、MCU 53は、適切な充電電流を設定するために充電器に対するフィードバックを有するべきである。上述のように、充電電流は、電源自体によって、充電される任意の正規のデバイスの安全値を上限に制限される。
【0035】
任意のデバイスが、通常、5分以内に充電を完了すると、MCU 53にメッセージを送信して、このデバイスのMOSFET 51をオフにし、次のデバイスのMOSFETをオンにする。あるいは、このプロセスは、通信を簡略化するために、代わりに経過時間(5分間での無条件終了)に基づいてもよい。このプロセスは、適時の充電終了を保証することにより、更なる安全性をもたらす。
【0036】
並列に複数のデバイスを充電することも可能だが、充電電流は共有され、それに応じて充電時間が長くなる。また、充電電流の分配は、充電状態と別個のデバイスの電池インピーダンスとに基づくため、保証できない。
【0037】
同時充電プロセスは、図4に図示されている。ユーザーは、所望により、ユーザーインターフェース34を使用して任意の充電優先順位をプログラミングしてもよい(60)。充電優先順位の例としては、好ましい充電時間及び充電されるデバイスの最大数が挙げられる。ユーザーは、任意の都合のよい順序で、充電するデバイスを挿入する(62)。デバイスを挿入すると、充電器は、装置と通信し(64)、デバイスを識別する。識別プロセスは、前述のように多ポート充電ドック通信端子に連結されたIDレジスタの抵抗を測定する工程を含む。デバイスが識別され、互換性があると見なされると、充電器はデバイスに定電圧電流を供給する。デバイスは、関連付けられた電池の容量に従って、使用可能な出力電流を共有する。
【0038】
他のデバイスの充電が開始されると、ユーザーは、更なるデバイスを追加する。充電器は、他のデバイスと通信して(64)これらのデバイスを識別し、前述のように識別が続行される。
【0039】
更なる例として、デバイスは、所望によりユーザーが定義する指定優先順位に従って1個ずつ充電される。かかる充電スキームは、必要に応じて、選択されたデバイスを充電してから他のデバイスを充電できるという利点を有する。
【0040】
所望により、ユーザーは、ユーザーインターフェース34のユーザー入力部を使用して充電器のプログラミングを行い、充電ポートが充電される順序を選択する。プログラミングは、例えば、ユーザーインターフェース又はテキストエディタを使用して行われる。プログラミングは、更に、一般的なスクリプト言語、例えばVBScript、JavaScript、又はPerlで行われてもよい。
【0041】
所望により、充電器は、多ポート充電ドックの通信端子を介して充電器に伝達されたデバイス識別子に基づいて、充電優先順位を自動的に設定する。かかる充電優先順位の設定は、例えばプログラミングインターフェースを介して行われてもよい。
【0042】
所望により、デバイスのグループは、他のデバイス又はデバイスのグループよりも優先される。かかる充電優先順位の設定は、例えばプログラミングインターフェースを介して行われてもよい。
【0043】
1個ずつの充電プロセスの例は、図5に図示されている。ユーザーは、ユーザーインターフェース34を使用して任意の充電優先順位をプログラミングする(68)。充電優先順位の例としては、好ましい充電時間、充電されるデバイスの最大数、及びデバイス充電の優先順位設定方法が挙げられる。ユーザーは、任意の都合のよい順序で、充電するデバイスを挿入する(70)。デバイスが挿入されると、充電器は、存在するすべてのデバイスと通信し(72)、これらの現状のデバイスすべてを識別する。識別プロセスは、前述のように多ポート充電ドック通信端子に連結されたIDレジスタの抵抗を測定する工程を含む。充電器は電力を供給し、優先度の最も高いデバイス又はデバイスのグループを最初に充電する(74)。グループ内では、ユーザーは、同時充電スキーム又は優先順位付けされた充電スキームのいずれかを使用してもよい。最終的には、優先されるデバイス又はグループの充電が完了すると、充電器は次の優先順位のデバイスに電力を供給し、充電する(76)。この手順は、すべてのデバイスが充電されるまで続行される。
【0044】
他の充電スキームには、例えば、接続時間によって逐次行われるもの、ラウンドロビンスキームを使用するものが挙げられる。
【0045】
上述の充電スキームのいずれについても、充電器は、電池の特性を識別するための回路を含む。以下の説明は、充電器20に接続されたすべてのデバイス12、14、16の代表として、デバイス12に関するものである。
【0046】
電池12aに印加される電圧及び/又は電流に対する調整を行うには、充電ドックの端子22a、22bにおける電圧測定が行われる。電圧測定値が不正確な場合の影響を低減するために、充電ドック18は、各電池12aに接続された一組の端子22a、22bを使用して充電電流を印加する。独立した専用端子22cを使用して、電池容量及び/又は電池12aに関する他の関連情報を測定する。具体的には、充電器20は、識別子検出端子36cを備える電池ID読み取り機構を含む。識別子(ID)検出端子36cは、電池12aの識別機構に機械的かつ電気的に連結するように構成されている。識別機構は、充電器10に電池の容量、種類、モデル、及び/又は電池12aで実行される充電運転に関連する他のデータを示す識別情報を提供するように構成されている。マイクロコントローラ32は、電池識別機構と通信し、識別情報を受信するように構成されている。電池12aから受信した識別情報に基づいて、マイクロコントローラ32は、電池12aに印加する充電電流を決定する。
【0047】
電池識別機構のかかる一例は、対応する電池の容量、種類、及び/又は電池12aのモデルを示す抵抗値を有する電池IDレジスタ38である。IDレジスタ38は、電池12aのケーシングの内部に配置されてもよいか、電池12aの外部に配置されてもよい。図1に示される例では、IDレジスタ38は、充電器20の端子36cに機械的かつ電気的に連結するように構成される、専用の電池ID端子22cに電気的に連結される。
【0048】
IDレジスタ38は、充電ドック18の電源端子22a、22b、及び検出端子22cに電気的に連結される。電池の容量及び/又は識別子を示す情報を入手するために、充電器20によってID端子36を介してIDレジスタ38に所定のテスト電流(Itest)が印加される。端子36に連結された充電器20の電圧センサーを使用して、IDレジスタ38における電圧降下(VR1)が測定される。IDレジスタ38において測定された電圧降下がマイクロコントローラ32に伝達される。マイクロコントローラ32は、この測定された電圧を使用し、R1=VR1/Itestに従ってIDレジスタ38の抵抗を算出する。
【0049】
IDレジスタ38に対応する算出された抵抗R1は、複数の異なる抵抗値のそれぞれについて関連データを保持する参照テーブルにアクセスするための指標又はアドレスとして使用される。かかるデータには、抵抗値に関連付けられるそれぞれの電池容量、電池への印加を許容できる充電電流値、及び/又は充電プロセスに関する他の情報が挙げられる。あるいは、測定された電圧VR1は、参照テーブルへのアクセスに使用される。
【0050】
幾つかの実施形態では、IDレジスタ38は、抵抗値が温度の変化に伴って変化するサーミスタである。かかるサーミスタは、充電される電池の種類の識別及び電池の温度の監視の両方を行う。充電器20は、サーミスタの抵抗の変動に基づいて、電池の温度を判定する。例えば、電池の温度の判定は、ある所定のレベルの電流を印加した結果生じたサーミスタにおける電圧を測定し、測定した電圧、又は測定した電圧と印加した電圧とに基づいて算出した抵抗を、特定の電池容量又は種類について測定値を対応する温度に関連付ける参照テーブルと一致させることにより実行される。電池の温度が安全ではないと見なされるレベルに達すると、充電器20は、測定された温度に基づいて、充電電流の低下又は切断のいずれかを実行して、電池の温度を下げる。所望により、充電器20は、熱制御機構及び/又は熱監視機構なしで実装され、かかる場合、電池及び/又は充電器の温度の判定並びに判定結果への対応は行われない。
【0051】
他の種類の電池識別機構には、作動信号(例えば、無線信号)に応答して電池の容量、種類、電池の充電状態/正常性などを示す電気信号がマイクロコントローラ32に伝達される、無線自動識別(RFID)機構が挙げられる。他の好適な識別機構には、シリアル通信技術を実装して電池を識別する機構(例えば、SMBus標準)が挙げられ、これらは、シリアルデータ通信インターフェースを介してマイクロコントローラ32に電池の容量及び/又は種類を示す識別データを伝達させる。幾つかの実施形態では、充電電圧の測定は、電池の容量及び/又は種類を示す、少なくとも1つの電池の電気的特性(例えば、電池のDC充電抵抗又はACインピーダンス)を測定することによって実行される。測定した電池の特性に基づいて充電電流を適応的に判定する充電器の詳細な説明は、米国特許出願第11/775,987号、名称「Adaptive Charger Device and Method」に記載されており、この特許の内容全体を参照によって本明細書に引用したものとする。
【0052】
本発明の多数の実施形態が記載されてきた。それにもかかわらず、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正を行えることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態も以下の「特許請求の範囲」内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各コネクタが、電池を含むデバイスを収容するように構成されている複数のコネクタと、
各デバイスで検出された電池の種類に従って前記複数のコネクタに接続された前記各デバイスの前記電池を充電する、前記複数のコネクタに連結された充電器と、を含む装置。
【請求項2】
前記複数のコネクタに関連付けられて、前記複数のコネクタを前記充電器に電気的に連結する複数のスイッチを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記充電器が、
可変電流源と、
前記複数のコネクタに接続された電池種類識別子と、を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記充電器が、前記複数のコネクタに関連付けられた前記複数のスイッチに指示して前記コネクタを前記充電器に接続させ、前記電池種類識別子によって識別された電池種類に基づいて、前記複数のコネクタに接続されたデバイスに前記可変電流源から充電電流が流れるようにできる回路を更に含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
複数のデバイスが前記複数のコネクタに接続された場合、前記充電器が複数のデバイスを同時に充電する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
複数のデバイスが前記複数のコネクタに接続された場合、優先順位付けされた充電スキームを使用して、前記充電器が前記複数のデバイスを充電する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記優先順位付けされた充電スキームが、第1のサブグループのデバイスのうちのデバイスを複数の他のサブグループのデバイスよりも優先させる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記充電器が、優先順位付けされた充電スキームを使用して、前記第1のサブグループのデバイスのうちのデバイスを充電する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記充電器が、前記第1のサブグループ内のデバイスを同時に充電する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記優先順位付けされた充電スキームを画定するユーザーからの指示を受信するためのユーザーインターフェースを更に含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記充電器が、前記複数のデバイスに関連付けられた電池の識別結果を受信し、前記結果を使用して前記優先順位付けされた充電スキームを決定する、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記充電器が、デバイスが前記複数のコネクタに接続された順序に従ってデバイスを逐次充電する、請求項4に記載の装置。
【請求項13】
前記充電器が、前記コネクタの順序に従ってデバイスを充電する、請求項4に記載の装置。
【請求項14】
第1のデバイスが、第1の時間に前記複数のコネクタ内の第1のコネクタに接続され、第2のデバイスが、前記第1の時間よりも遅い第2の時間に前記複数のコネクタ内の第2のコネクタに接続される場合、前記充電器が、前記デバイスに関連付けられた電池の相対容量に従って、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに電流を振り向ける、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−526517(P2012−526517A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510969(P2012−510969)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/034486
【国際公開番号】WO2010/135111
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】