説明

多相重合方法

【課題】 本発明は、水不溶性ポリマーを製造するための多相重合方法を提供する。
【解決手段】 本方法は、(1)二酸化炭素と水性相を含み、モノマーと重合開始剤を含有する混合物を作成し、そして(2)反応混合物中でモノマーを重合する工程を含む。モノマーは、炭化水素モノマーまたはフッ素化モノマーである。重合開始剤は、水性相に可溶性であるか、二酸化炭素に可溶性であるか、又は二酸化炭素と水性相の両方に不溶性でもよく、開始剤は分相を形成する。また、本発明は水不溶性ポリマーの製造方法に有用な多相重合反応混合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の存在下でポリマーを製造するための多相重合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重合方法は、通常、2つの基本型、即ち均一系および不均一系法に分類できる。この分類は、通常、初期反応混合物または最終反応混合物或いは双方が、均一系か又は不均一系であるか否かに基づいて行う。均一系としてスタートした或る重合反応系が、重合反応の進行に伴い、重合媒体に不溶性のポリマーが生成する結果、不均一系になることがある。
【0003】
不均一系重合は、塊状重合と溶液重合にまつわる熱と粘度の問題を調節する手段として広く使われる。乳化重合は不均一系重合法であって、業界では種々のモノマーを重合する手段として使用している。乳化重合では、通常、水または水に富む相を使用する。一般的に、乳化重合で製造するポリマーには、アクリル製品、スチレン製品、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンタ−ポリマー、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、ネオプレンゴム、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、スチレン−無水マレイン酸ポリマー、ポリ(テトラフルオロエチレン)、テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリ(フッ化ビニル)等がある。
【0004】
二酸化炭素相を使用する不均一系重合が最近提案されている。二酸化炭素は、安価且つ環境的にも安全であるために、重合用に好ましい媒体である。デシモンらの米国特許第5,312,882号(特許文献1)は、二酸化炭素中で水不溶性ポリマーを合成するための不均一系重合法を提案している。この不均一系反応混合物は、二酸化炭素と、モノマーと、界面活性剤とを含んでいる。開示された不均一系反応は、水または水に富む相を含まない。ベックマンらの米国特許第4,933,404号(特許文献2)は、標準温度で気体である低極性の流体と第2の水相(water phase)を含むマイクロエマルジョン重合を提案している。モノマーは水相に可溶性であり、ミセル中で重合して水溶性ポリマーを生成する。
【0005】
また、炭化水素およびフッ素化モノマーの重合系で、二酸化炭素が使用されている。例えばフクイら(Fukui et al.)の米国特許第3,522,228号 (特許文献3)は、二酸化炭素中で炭化水素重合開始剤を用いたビニルモノマーの重合を提案している。スロカムら(Slocum et al.)の米国特許第4,861,845号(特許文献4)は、ガス状の二酸化炭素で希釈したテトラフルオロエチレンと他のフルオロモノマーの気相重合を開示している。チャペルヒルの北カロライナ大学の特許協力条約による公報WO93/20116号(特許文献5)は、二酸化炭素を含有する溶剤中でフルオロモノマーを可溶化することを含むフルオロポリマーの製造方法を開示している。このフルオロモノマーは、フルオロアクリレートモノマー、フルオロオレフィンモノマー、フルオロスチレンモノマー、フッ素化ビニルエーテルモノマー、フルオロアルキレンオキサイドモノマーより成る群から選ばれる。
【特許文献1】米国特許第5,312,882号公報
【特許文献2】米国特許第4,933,404号公報
【特許文献3】米国特許第3,522,228号公報
【特許文献4】米国特許第4,861,845号公報
【特許文献5】WO93/20116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高価且つ環境的に好ましくない溶剤の使用を避け、そして溶剤が生成ポリマーから比較的容易に分離可能な、ポリマーの製造方法に対する業界ニーズがある。
更に、従来の重合装置で工業化可能な重合方法、特にフッ素化モノマー重合用の重合方法の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点として、本発明は、水不溶性ポリマーを製造するための多相重合方法を提供するものである。本発明の方法は、(1)二酸化炭素と水性相(aqueous phase)を含み、且つモノマーと重合開始剤を含有する反応混合物を作製し、(2)該モノマーを重合するものである。モノマーは、通常、二酸化炭素に可溶性である。本発明の重合法は、炭化水素モノマーとフッ素化モノマーの重合に有効である。重合開始剤は、水性相に可溶性であるか、または、二酸化炭素に可溶性であるか、または、水性相と二酸化炭素の双方に不溶性であり、界面活性剤の存在下または不存在下で、開始剤が分相(separate phase)を形成する。
【0008】
第2の観点として、本発明は、界面活性剤の存在下または不存在下で、二酸化炭素及び水性相を含み、且つモノマー及び重合開始剤を含有する多相混合物を提供する。
【0009】
第3の観点として、本発明は、界面活性剤の存在下または不存在下で、二酸化炭素及び水性相と、水不溶性ポリマーとを含む反応混合物を作製する工程と、反応混合物からポリマーを分離する工程とを含む、水不溶性ポリマーを製造するための多相重合方法を提供する。
【0010】
第4の観点として、本発明は、モノマーの多相重合により生成した多相混合物を提供する。この反応混合物は、界面活性剤の存在下または不存在下で、二酸化炭素及び水性相と水不溶性ポリマーとを含有する。
本発明の前記した観点および他の観点を、以下に述べる詳細な説明の中で、詳わしく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ここで用いる用語「超臨界(supercritical)」は、当業界で従来からの意味をもつものである。超臨界流体(SCF)は、その臨界温度及び臨界圧力(または「臨界点」)以上の物質である。気体の圧縮は、通常、相分離と分液相の出現をもたらす。しかしながら、流体が超臨界状態にある場合、圧縮は、ただ単に密度増加を生むだけで、液相は形成されない。重合方法を実施するための超臨界流体の使用は、あまり注目を受けていなかった。
【0012】
ここで用いる用語「フルオロポリマー」は、業界で従来からの意味を有する。”フルオロポリマーズ”(L.Wall、1972年版)(ジョン・ウイリー・アンド・サンズ社、ウイリー・インターサイエンス部門)、及びポリマーサイエンス・アンド・エンジニアリング事典7巻、256頁の”フッ素含有ポリマー”(H.Markら共編、1985年第2版)を参照されたい。同様に、「フルオロモノマー」または「フッ素化モノマー」の用語は、フルオロポリマーの合成に用いるフッ素化した前駆体モノマーのことを言う。
【0013】
本発明の方法は、二酸化炭素相と水性相(aqueous phase)を含む混合物中で実施される。この二酸化炭素相は、ガス状(gaseous)、液状(liquid)または超臨界状態(supercritical state)であってもよい。当業者が理解しているように、全ての気体は、臨界温度を持ち、その温度以上では気体が圧力の増加により液化されることがなく、且つ臨界圧力または圧力を持ち、この圧力は臨界温度で気体の液化に必要である。例えば、超臨界状態で二酸化炭素は、その液体と気体状態が互いに区別できない物質形態として存在する。二酸化炭素では、臨界温度は約31℃であり、臨界圧力は約1070psi より大きい。液体二酸化炭素は、約31℃〜約−55℃で得られる。
【0014】
混合物の水性相は、典型的には水を含有し、しかも、酸、塩基、塩、pH緩衝剤、アルコールなどの他の添加物を含有してもよい。適切な添加剤は当業者に周知である。 反応混合物中の二酸化炭素相と水性相の比率は、重合に供するモノマーまたはコモノマー、および反応条件に依存している。通常、反応混合物中の二酸化炭素相と水性相の比率は、約1:99と約99:1容量部の間である。
【0015】
また、前記混合物は、1またはそれ以上の共溶剤を含有してもよい。適切な共溶剤は、過度の連鎖移動を防止する。本発明の方法で使用可能な共溶剤の具体例は、C2−C8の炭化水素、C1−C8のアルコール、塩化メチレン、トルエン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ペルフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ペルフルオロアルキル硫化物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明の方法に用いるモノマーは、水不溶性ポリマーを生成しうる、当業者に周知である任意の適当なモノマーを含む。本発明の方法は、特に、炭化水素モノマーとフッ素化モノマーの重合に適している。このモノマーは、ガス状または液状の状態をとり得る。通常、本発明の方法に有用なモノマーは、フリーラジカル重合が可能である。
【0017】
本発明の方法に用いる炭化水素モノマーは、水不溶性ポリマーを生成しうる、当業者に周知である任意の適当な炭化水素モノマーを含む。適当な炭化水素モノマーの具体例は、塩化ビニルと酢酸ビニルのようなビニルモノマー;エチレン;
プロピレン;アクリロニトリル;イソプレン、クロロプレン、ブタジエンのようなジエン;スチレン、t−ブチルスチレンのようなスチレン;アルキル(メタ)
アクリレート、アルキルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸のようなアクリルモノマー;アクリルアミド;無水マレイン酸;ビニルエーテルモノマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
本発明の方法に用いる好ましいフッ素化モノマーは、重合を受けるビニル基に直接結合した、少なくとも1つのフッ素原子、ペルフルオロアルキル基、またはペルフルオロアルコキシ基を含有する。適当なフッ素化モノマーの例は、ペルフルオロオレフィン、特にテトラフルオロエチレン、1〜6個の炭素原子を含むペルフルオロアルキル基をもつペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)およびCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CO2CH3のような官能基を含むペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ(2,2−ジメチルジオキソール)、硬化部位モノマー、例えばブロモトリフルオロエチレンや部分フッ素化モノマー、特にフッ化ビニル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基をもつペルフルオロアルキルエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なフルオロモノマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(2,2−ジメチルジオキソール)を含むが、これらに限定されるものではない。
本発明の方法に従って製造するポリマーは、前記の全てのモノマーのホモポリマーを含む。または、2又はそれ以上のコモノマーを用いる態様においては、ポリマーは、コポリマーであってもよい。本発明の方法に従い製造されるホモポリマーを例示すれば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本発明の重合方法は、コモノマーを用いて実施してもよい。コモノマーは、上記の共重合能力を有する炭化水素モノマーまたはフッ素化モノマーの任意のものであり得る。共重合性炭化水素モノマーとフッ素化モノマーを含む、共重合性モノマーの任意の組み合わせにより、水不溶性ポリマーを製造できる。
【0020】
本発明の方法に従い製造できるコポリマーを、以下に例示するが、これらに限定するものではない;
テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)/フッ化ビニリデン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)/フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン/フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン/エチレン、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/エチレン、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、テトラフルオロエチレン/エチレン、テトラフルオロエチレン/プロピレン、テトラフルオロエチレン/CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、テトラフルオロエチレン/CF2=CFOCF2CF2SO2F、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、スチレン/ブタジエン、スチレン/クロロプレン、スチレン/アクリロニトリル、アクリロニトリル/ブタジエン、エチレン/酢酸ビニル、クロロプレン/メチルメタクリレート、クロロプレン/アクリロニトリル。
【0021】
本発明の方法に用いる開始剤は、水性相に可溶性または水性相に不溶性でもよい。水性相に不溶性の開始剤は、二酸化炭素に可溶性であるか、または水性相と二酸化炭素の双方に不溶性であってもよく、開始剤は分相(separate phase)を形成する。水性相に不溶性の適当な開始剤の例は、ハロゲン化開始剤と他の炭化水素フリーラジカル開始剤を含むが、これらに限定されるものではない。適当なハロゲン化開始剤は、例えば、塩素化開始剤とフッ素化開始剤を含む。例えば、適当なハロゲン化重合開始剤は、クロロカーボン及びフルオロカーボンをベースにした過酸化アシル、例えば、過酸化トリクロロアセチル、過酸化ビス(ペルフルオロ−2−プロポキシプロピオニル)、[CF3CF2CF2OCF(CF3)COO]2;過酸化ペルフルオロプロピオニル)、(CF3CF2CF2COO)2、(CF3CF2COO)2、{CF3CF2CF2[CF(CF3)CF2O]nCF(CF3)COO}2、[Cl CF2(CF2nCOO]2、[HCF2(CF2)nCOO]2、式中n=0〜8;ペルフルオロアルキルアゾ化合物、例えばペルフルオロアゾイソプロパン、[(CF32CFN=]2;R4N=NR4、式中R4は1〜8の炭素原子を有する直鎖または分枝のペルフルオロカーボンである;安定またはヒンダードペルフルオロアルカンラジカル、例えばヘキサフルオロプロピレントリマーラジカル、[(CF32CF]2(CF2CF3)C・ラジカル、ペルフルオロアルカンを含む。
好適なハロゲン化開始剤は、過酸化トリクロルアセチル、過酸化ビス(ペルフルオロ−2−プロポキシプロピオニル)、過酸化ペルフルオロプロピオニル、ペルフルオロアゾイソプロパン、ヘキサフルオロプロピレントリマーラジカルを含む。炭化水素フリーラジカル開始剤の例としては、過酸化アセチルシクロヘキサンスルフォニル、ジアセチルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルネオドデカノエート、2,2’−アゾビス(メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、t−ブチルペルピバレート、過酸化ジオクスタノイル、過酸化ジラウロイル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、過酸化ジベンゾイル、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルマレエート、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルアセテート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、過酸化ジクミル(dicumyl peroxide)、過酸化ジ−t−アミル、過酸化ジ−t−ブチル、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な炭化水素フリーラジカル開始剤は、アゾビス(イソブチロニトリル)(「AIBN」)、過酸化ジラウロイル、ジイソプロピルペルオキシジカーバメイト、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジクミルを含む。
【0022】
水性相に可溶性の開始剤は、無機過酸化物、例えば過酸化水素または過硫酸イオン、過マンガン酸カリウム、過酸化ジコハク酸、レドックス開始剤、例えばアルカリ金属過硫酸塩と重硫酸塩、過硫酸アンモニウム、硫酸第一鉄、硝酸銀、硫酸銅、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0023】
開始剤は、適宜の形で添加することができ、また通常、共溶剤の溶液として添加してもよい。典型的には、開始剤は、重合反応に通常用いられる量で用いられる。例えば、開始剤の使用量は、モノマー100重量部に対し、約10-6〜10、好適には約10-5〜2重量部がよい。
【0024】
また、本発明の方法は、界面活性剤を含んでもよい。当業者に周知の任意の適当な界面活性剤を使用することができる。代表的な界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン性ブロック及びグラフトコポリマー界面活性剤及び高分子界面活性剤、安定剤である。例えば、適当な高分子安定剤は、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシプロピルセルロース、スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(アクリル酸)ナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。有用なアニオン界面活性剤の例は、脂肪酸石鹸、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、スルホン酸塩、硫酸塩、フッ素化界面活性剤、例えばペルフルオロオクタン酸およびその塩(ナトリウムとアンモニウム塩を含む)を含むが、これらに限定されるものではない。有用な非イオン性界面活性剤の例は、プルロニック族の界面活性剤、即ちスパン族(SPANTMfamily)、またはトウイーン族(TWEENTMfamily)とポリ(プロピレンオキサイド)−g−ポリ(エチレンオキサイド)を含む。有用なカチオン界面活性剤の例は、ドデシルアンモニウムクロライドとアセチルトリメチルアンモニウムブロマイドを含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
更に、シリコンおよびフルオロカーボン界面活性剤が有用である。例としては、ポリ(1,1−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート)およびそれらのランダム、ブロック、グラフトコポリマー、ポリ(1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロアクリレートおよびメタクリレート)およびそれらのランダム、ブロック、グラフトコポリマー、ポリシロキサンおよびそれらのブロック、グラフトコポリマー、特に親水性エチレンオキサイドセグメントを有するコポリマーを含むが、これらに限定されるものではない。
【0026】
所望により、本発明の方法は、得られるポリマーの物理的または化学的性質を変性し、調節し又は制御する機能をもつ他の試薬を含んでもよい。例えば、当業者には周知であるが、連鎖移動剤を使用して、得られるポリマーの分子量を調節し、且つその物理的または化学的性質を制御することができる。本発明の方法において、所望により使用可能な連鎖移動剤は、メタノールのようなアルコール、エチルやブチルメルカプタンのようなメルカプタン、ブチル硫化物のような硫化物、アルキルハライド、例えばヨウ化アルキル、ヨウ化ペルフルオロアルキル、臭化アルキル、臭化ペルフルオロアルキル、四塩化炭素、クロロフォルムのようなハロゲン含有種、エタンやメチルシクロヘキサンのようなアルカンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0027】
開始剤の分解を促進する化合物を含有することが望ましい。通常、この化合物は、使用しない場合に必要とする圧力より低圧力で、重合反応を起こさせるので、本発明の方法において従来のフッ素重合反応装置の使用を可能にしている。分解を促進する適当な化合物は、当業者には周知であり、レドックス系、二酸化硫黄、紫外線などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
重合反応は、約−50℃〜約200℃の温度で実施することができ、通常は約−20℃〜約150℃の温度で実施する。エチレングリコールのような適当な不凍剤を反応混合物の水性相に加えて、反応が水性相の氷結点以下の温度で行われる時の水性相の凍結を回避することができる。反応は約15psi 〜約45,000 psiの範囲の圧力で実施することができ、通常は、約500 psi〜約10,000 psiの範囲の圧力で実施する。
【0029】
重合は、適切に設計した高圧反応容器または管状反応容器中で反応物を十分に混合して、バッチで又は連続的に行うことができる。重合熱を除去するために、冷却装置付きの高圧容器が好都合である。本発明に従い用いる圧力容器のその他の特徴は、反応混合物を所望の温度に加熱するための電熱炉のような加熱手段と、混合手段、即ちカイ型撹拌器、羽根車撹拌器、または多段式衝撃向流撹拌器、羽根式などの撹拌器とを含んでいる。
【0030】
重合は、例えば、モノマーと開始剤を圧力容器に入れ、そこに二酸化炭素と水性相を導くことにより実施できる。反応容器を密閉し、反応混合物を重合温度と圧力に導く。或いは、これに代わり、反応混合物の一部だけをオートクレーブに導き、重合温度と圧力に加熱し、残りの反応混合物を重合速度に対応した速度でポンプ給送して、実施してもよい。他の可能な手法では、二酸化炭素の全量の入ったオートクレーブに、モノマーの一部を最初に取り込み、重合が進行する速度でモノマーまたはコモノマーを開始剤と共にオートクレーブにポンプ給送する。
【0031】
重合が完了したら、ポリマーを反応混合物から分離する。二酸化炭素と水性相からポリマーを分離する任意の適当な手段が使用できる。本発明に従えば、通常、二酸化炭素を大気中に発散させることにより、反応混合物からポリマーを分離する。その後に、ポリマーは物理的分離によって簡単に回収できる。
【0032】
本発明の方法に従って製造したポリマーは、熱可塑性物質およびエラストマーとして有用であり、接着剤およびバルブ、ボトル、フィルム、繊維、樹脂や母型の如き成形品の製造に使用できる。特に、フルオロポリマーは、従来のフルオロポリマーが採用されている領域に用途があり、特に、ワイヤーコーテイング、ガスケット、シール、ホース、容器ライニング、エラストマー、成形樹脂、保護コーテイングなどの用途がある。
【0033】
以下の実施例は本発明を説明するために提供するものであって、この記載に限定するものとして解釈すべきではない。これらの実施例において、Kgはキログラムを、gはグラムを、mgはミリグラムを、Lはリットルを、mLはミリリットルを、Jはジュールを、J/gはジュール/グラムを、mol はモルを、Kg/mol はキログラム/モルを、rpm は回転数/分を、TFE はテトラフルオロエチレンを、CO2は二酸化炭素を、K228は過硫酸カリウムを、DSC は示差走査熱量測定法を、℃は摂氏度を意味する。分子量はT.スワ(T.Suwa)らのジャーナル・オブ・アプライド・ポリマーサイエンス17:3253(1973)に記載の方法を用いて求めた。
【実施例1】
【0034】
水平カイ型撹拌器を備えた25mLのステンレス鋼製反応容器に25mgのK228、10mLの水、および25mgのペルフルオロオクタン酸を加える。小槽を0℃以下に十分冷却し、その中で10gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE5g、CO25g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に50℃に温める。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、撹拌を開始する。50℃で24時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は、3.6gの生成物を生成させ(72%の収量)、DSC分析は、329.9℃の初融点、330℃の第2融点、および20Kg/molの推定数平均分子量に相当する−60.9J/gの結晶化熱(第2熱)をもたらす。
【実施例2】
【0035】
水平カイ型撹拌器を備えた25mLのステンレス鋼製反応容器に25mgのK228、10mLの水、および25mgのペルフルオロオクタン酸ナトリウムを加える。小槽を0℃以下に十分冷却し、その中で10gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE5g、CO25g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に50℃に温める。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、撹拌を開始する。50℃で24時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は4.1gの生成物を生成させる(82%の収量)。DSC分析は330.0℃の初融点、329.9℃の第2融点、および20Kg/molの推定数平均分子量に相当する−60.9J/gの結晶化熱(第2融点)をもたらす。
【実施例3】
【0036】
水平カイ型撹拌器を備えた25mLのステンレス鋼製反応容器に2.9mgのK228と10mLの水を加える。小槽を0℃以下に十分冷却し、その中で8.2gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE4.1g、CO24.1g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に80℃に温めた。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、撹拌を開始する。80℃で3時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は2.0gの生成物を生成させる(49%の収量)。DSC分析は、334.7℃の初融点、333.1℃の第2融点、および60Kg/molの推定数平均分子量に相当する−50.8J/gの結晶化熱(第2融点)をもたらす。
【実施例4】
【0037】
水平カイ型撹拌器を備えた25mLのステンレス鋼製反応容器に0.29mgのK2S2O8と10mLの水を加える。小槽を0℃以下に十分冷却し、その中で10.5gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE5.2g、CO25.2g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に75℃に温める。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、撹拌を開始する。75℃で7時間撹拌を継続した後槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は0.37gの生成物を生成させる(7.0%の収量)。DSC分析は337.
7℃の初融点、331.2℃の第2融点、および170Kg/molの推定数平均分子量に相当する−40.6J/gの結晶化熱(第2融点)をもたらす。
【実施例5】
【0038】
水平カイ型撹拌器を備えた25mLのステンレス鋼製反応容器に0.49mgのK2S2O8と10mLの水を加える。小槽を0℃以下に十分冷却し、その中で11.5gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE5.7g、CO25.7g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に75℃に温める。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、撹拌を開始する。75℃で17時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は2.5gの生成物を生成させる(43%の収量)。DSC分析は338.3℃の初融点、327.7℃の第2融点、および260Kg/molの推定数平均分子量に相当する−37.7J/gの結晶化熱(第2融点)をもたらす。
【実施例6】
【0039】
水平カイ型撹拌器を備えた25mLのステンレス鋼製反応容器に0.11mgのK228と10mLの水を加える。小槽を0℃以下に十分冷却し、その中で11.7gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE5.8g、CO25.8g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に75℃に温める。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、撹拌を開始する。75℃で17時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は0.7gの生成物を生成させる(12%の収量)。この製品のDSC分析は、334.9℃の初融点、327.0℃の第2融点、および1,160Kg/molの推定数平均分子量に相当する−28.0J/gの結晶化熱(第2融点)をもたらす。
【実施例7】
【0040】
撹拌器を備えた600mLのステンレス鋼製オートクレーブを約90℃に加熱し、過硫酸水溶液に馴染ませる。500mLの開始剤溶液(水500mL中に約0.5gの過硫酸アンモニウム)を満たし、数時間加熱する。重合を行う前にこの処置を2回繰り返す。
【0041】
馴染ませた反応器に0.8mgのK228と250mLの水を加える。オートクレーブを0℃以下に十分冷却し、その中で53.0gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE26.5g、CO226.5g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に75℃に温める。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、約1000rpmで撹拌を開始する。75℃で5時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は24gの生成物を生成させる(90%の収量)。この製品のDSC分析は、338.6℃の初融点、328.5℃の第2融点、および900Kg/molの推定数平均分子量に相当する−29.4J/gの結晶化熱(第2融点)をもたらす。
【実施例8】
【0042】
撹拌器を備えた600mLのステンレス鋼製オートクレーブを約90℃に加熱し、過硫酸水溶液に馴染ませる。500mLの開始剤溶液(水500mL中に約0.5gの過硫酸アンモニウム)を満たし、数時間加熱する。重合を行う前にこの処置を2回繰り返す。
【0043】
馴染ませた反応器に2.6mgのK228と250mLの水を加える。オートクレーブを0℃以下に十分冷却し、その中で50.1gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE25g、CO225g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に75℃に温める。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、約1000rpmで撹拌を開始する。75℃で5時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は22.6gの生成物を生成させる(90%の収量)。この製品のDSC分析は、336.7℃の初融点、329.4℃の第2融点、および235Kg/molの推定数平均分子量に相当する38.2J/gの結晶化熱(第2融点)をもたらす。
【実施例9】
【0044】
撹拌器を備えた600mLのステンレス鋼製オートクレーブを約90℃に加熱し、過硫酸水溶液に馴染ませる。500mLの開始剤溶液(水500mL中に約0.5gの過硫酸アンモニウム)を満たし、数時間加熱する。重合を行う前にこの処置を2回繰り返す。
【0045】
馴染ませた反応器に3.2mgのK228、10mgのペルフルオロオクタン酸アンモニウム、250mLの水を加える。オートクレーブを0℃以下に十分冷却し、その中で51gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE25.5g、CO225.5g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に75℃に温める。
【0046】
小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、約1000rpmで撹拌を開始する。75℃で5時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は20.9gの生成物を生成させる(82%の収量)。この製品のDSC分析は、338.6℃の初融点、330.3℃の第2融点、および350Kg/molの推定数平均分子量に相当する35.3J/gの結晶化熱(第2融点)をもたらす。
【実施例10】
【0047】
撹拌器を備えた600mLのステンレス鋼製オートクレーブを約90℃に加熱し、過硫酸水溶液に馴染ませる。500mLの開始剤溶液(水500mL中に約0.5gの過硫酸アンモニウム)を満たし、数時間加熱する。重合を行う前にこの処置を2回繰り返す。
【0048】
馴染ませた反応器に0.8mgのK228、10mgのペルフルオロオクタン酸アンモニウム、250mLの水を加える。オートクレーブを0℃以下に十分冷却し、その中で50.9gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE25.
4g、CO225.4g)を加圧下で凝縮する。反応容器を徐々に75℃に温める。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、約1000rpmで撹拌を開始する。75℃で5時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は21.7gの生成物を生成させる(85%の収量)。この製品のDSC分析は、344.1℃の初融点、328.5℃の第2融点、および350Kg/molの推定数平均分子量に相当する35.3J/gの結晶化熱(第2融点)をもたらす。
【実施例11】
【0049】
水平カイ型撹拌器を備えた25mLのステンレス鋼製反応容器に0.04mLの過酸化ジ(t−ブチル)、0.11mLのメチルシクロヘキサン(連鎖移動剤として)、8mLの水を加える。小槽を0℃以下に十分冷却し、その中で6.8gのTFE:CO2=50:50の混合物(TFE3.4g、CO23.4g)を加圧下で凝縮させ、次いで3.5gのCO2を加える。反応容器を徐々に140℃に温める。小槽内の氷が溶解し撹拌器が自由に回転可能になると同時に、撹拌を開始する。140℃で4時間撹拌を継続した後、槽の圧力を開放し、槽を開いて内容物を回収する。この反応は1.1gの低分子量ポリテトラフルオロエチレン(37%の収量)を生成させる。
【実施例12】
【0050】
エチレンの重合を、界面活性剤の不存在下で過硫酸アンモニウムのような水溶性開始剤を使用して実施例7の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例13】
【0051】
塩化ビニルの重合を、界面活性剤の不存在下で過硫酸アンモニウムのような水溶性開始剤を使用して実施例7の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例14】
【0052】
メチルメタクリレートの重合を、界面活性剤の不存在下で過硫酸アンモニウムのような水溶性開始剤を使用して実施例7の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例15】
【0053】
スチレンの重合を、界面活性剤の不存在下で過硫酸アンモニウムのような水溶性開始剤を使用して実施例7の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例16】
【0054】
エチレンの重合を、界面活性剤の不存在下でAIBNのような水不溶性開始剤を使用して実施例11の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水不溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例17】
【0055】
塩化ビニルの重合を、界面活性剤の不存在下でAIBNのような水不溶性開始剤を使用して実施例11の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水不溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例18】
【0056】
メチルメタクリレートの重合を、界面活性剤の不存在下でAIBNのような水不溶性開始剤を使用して実施例11の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水不溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例19】
【0057】
スチレンの重合を、界面活性剤の不存在下でAIBNのような水不溶性開始剤を使用して実施例11の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水不溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例20】
【0058】
エチレンと酢酸ビニルの共重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、AIBNのような水不溶性開始剤を使用して実施例11の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水不溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例21】
【0059】
エチレンと酢酸ビニルの共重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、過硫酸アンモニウムのような水溶性開始剤を使用して実施例7の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例22】
【0060】
クロロプレンの重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、AIBNのような水不溶性開始剤を使用して実施例11の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水不溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例23】
【0061】
クロロプレンの重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、過硫酸アンモニウムのような水溶性開始剤を使用して実施例7の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例24】
【0062】
クロロプレンとスチレンの共重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、AIBNのような水不溶性開始剤を使用して実施例11の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水不溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例25】
【0063】
クロロプレンとスチレンの共重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、過硫酸アンモニウムのような水溶性開始剤を使用して実施例7の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例26】
【0064】
クロロプレンとメチルメタクリレートの共重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、AIBNのような水不溶性開始剤を使用して実施例11の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水不溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例27】
【0065】
クロロプレンとメチルメタクリレートの共重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、過硫酸アンモニウムのような水溶性開始剤を使用して実施例7の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例28】
【0066】
クロロプレンとアクリロニトリルの共重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、AIBNのような水不溶性開始剤を使用して実施例11の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水不溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【実施例29】
【0067】
クロロプレンとアクリロニトリルの共重合を、界面活性剤の存在下および不存在下の両方で、過硫酸アンモニウムのような水溶性開始剤を使用して実施例7の方法に従い、水と二酸化炭素から成る混合媒体中で行う。他の水溶性開始剤と界面活性剤が使用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【0068】
上述の事項は、本発明の説明であり、限定するものとして解釈すべきではない。本発明は以下の請求の範囲により定義するものであり、請求の範囲と同等のものは、本発明の範囲に含まれる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素及び水性相を含む重合反応混合物を作製し、該混合物はモノマーと該モノマーの重合を開始させることができる重合開始剤を含有し、該重合反応混合物中で該モノマーを重合させて該水不溶性ポリマーを製造することを特徴とする水不溶性ポリマーを製造するための多相重合方法。
【請求項2】
前記重合開始剤が前記水性相に溶解している請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重合開始剤が前記水性相に不溶性である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記重合開始剤が前記二酸化炭素に溶解している請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記重合開始剤が前記水性相に不溶性であり且つ前記二酸化炭素に不溶性であって、前記重合反応混合物中で分相を形成する請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記モノマーが炭化水素モノマーである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記炭化水素モノマーが、ビニルモノマー、ジエンモノマー、スチレンモノマー、アクリルモノマー、アクリレートモノマー、ビニルエーテルモノマーより成る群から選ばれる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記炭化水素モノマーが、塩化ビニル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、スチレン、t−ブチルスチレン、アルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、無水マレイン酸、ビニルエーテルモノマーより成る群から選ばれる請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記モノマーがフッ素化モノマーである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フッ素化モノマーが、ビニル基炭素に結合した少なくとも1つのフッ素を有するモノマー、ビニル基炭素に結合した少なくとも1つのペルフルオロアルキル基を有するモノマー、ビニル基炭素に結合した少なくとも1つのペルフルオロアルコキシ基を有するモノマーより成る群から選ばれる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フッ素化モノマーが、ペルフルオロオレフィンとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)より成る群から選ばれる請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記フッ素化モノマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(2,2−ジメチルジオキソール)より成る群から選ばれる請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記重合開始剤が、前記水性相に可溶性の無機過酸化物開始剤とレドックス開始剤より成る群から選ばれる請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記重合開始剤が、前記水性相に不溶性のハロゲン化開始剤と炭化水素フリーラジカル開始剤より成る群から選ばれる請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記二酸化炭素が液状二酸化炭素である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記二酸化炭素がガス状二酸化炭素である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記二酸化炭素が超臨界二酸化炭素である請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記方法を界面活性剤の存在下で行う請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーを前記混合物から分離して、該ポリマーを回収する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマーを前記混合物から分離する前記工程が、前記二酸化炭素相を大気に発散させることからなる請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法を連鎖移動剤の存在下で行う請求項1に記載の方法。
【請求項22】
コモノマーを前記反応混合物に添加し、前記重合工程が前記モノマーと該コモノマーとを共重合させることからなる請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記コモノマーがフッ素化および非フッ素化コモノマーより成る群から選ばれる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コモノマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、クロルトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(2,2−ジメチルジオキソール)、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルエーテル、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、スチレン、t−ブチルスチレン、アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、無水マレイン酸より成る群から選ばれる請求項22に記載の方法。
【請求項25】
二酸化炭素及び水性相と、二酸化炭素に溶解したモノマーと、重合開始剤とを含むことを特徴とするモノマーの多相重合を実施するために有用な多相混合物。
【請求項26】
界面活性剤をさらに含む請求項25に記載の多相混合物。
【請求項27】
二酸化炭素及び水性相と、水不溶性ポリマーとを含む反応混合物を作製したのち、該ポリマーを該反応混合物から分離することを特徴とするポリマーを製造するための多相重合方法。
【請求項28】
二酸化炭素及び水性相と、水不溶性ポリマーとを含むことを特徴とするモノマーの多相重合から生成した多相混合物。
【請求項29】
請求項1に記載の方法により製造したポリマー。

【公開番号】特開2008−69349(P2008−69349A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227871(P2007−227871)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【分割の表示】特願平8−529534の分割
【原出願日】平成8年3月22日(1996.3.22)
【出願人】(598102845)ザ・ユニヴァーシティ・オヴ・ノース・キャロライナ・アト・チャペル・ヒル (3)
【Fターム(参考)】