説明

多糖類、糖類およびポリオール類の乾燥マトリックスを含む、ガラス形態の、プロバイオティクス細菌用送達媒体およびその製造方法

【課題】本開示は、保存用およびプロバイオティクスの胃投与後用の送達媒体としての、多糖類、糖類およびポリオール類の固体ガラスマトリックスに関する。
【解決手段】この送達媒体は、それらの作用部位でプロバイオティクスを放出できる。本発明はさらに、本発明の固体ガラスマトリックス送達媒体の製造方法および使用方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の背景
本開示は一般に、多糖類、糖類およびポリオール類の乾燥マトリックスを含む、ガラス形態の、プロバイオティクス細菌用送達媒体の分野に関する。その製造方法および使用もまた提供される。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスは、粘膜および全身免疫を調節することにより、ならびに腸管機能および腸管内の微生物バランスを改善することより、宿主に有利に影響を及ぼす生菌として定義される。免疫応答の調節、血清中コレステロール濃度の低下、乳糖不耐性症状の改善、腸管疾患の耐感染性の増加、下痢期間の減少、血圧の低下、および大腸癌の予防補助などを含む、種々の栄養効果および治療効果が、プロバイオティクスに帰する(Isolauri E et al. 2001, Kailasapathy K and J. 2000, Marteau PR et al. 2001, Perdigon G et al. 2001)。それらの有利な効果を宿主に及ぼすために、プロバイオティクスの大多数が、生存したままで、腸管に到達しなければならない(Favaro-Trindade and Grosso 2002)。しかしながら、周囲温度かつ湿性条件下、生存度が短時間で急速に低下することから、プロバイオティクスの長期安定性の維持は特定の保存条件を必要とする(Shah 2000)。保存寿命が短いことに加えて、低pHおよび消化酵素という胃内条件へのプロバイオティクスの曝露の際に、生存度のかなりの喪失が生じる。既存の保存法は、特に細胞を周囲温度または高温かつ湿性で保存する場合、貯蔵および胃内での保護における満足な生存度を提供することができない。
【0003】
凍結乾燥は、乾燥時の低温曝露という理由で、細菌の貯蔵及び保存のために使用されることが多い。しかしながら、それは、生存度をかなり減じる、ならびに時間及びエネルギー集約的であるという望ましくない特徴を有する。凍結乾燥は、溶液に細胞を入れ、溶液を凍結し、凍結固体をそれが固体のまま留まる条件下、真空に曝露させ、水と他の揮発性成分とを昇華により除去する。−30℃から−70℃の標準的な凍結乾燥温度は、水の氷点以下であるが、乾燥溶液のガラス転移(Tg)温度より十分高く、これは水から氷への結晶化という望ましくない効果をもたらす。凍結細菌培養物は、細菌細胞壁にかなりの物理的損傷と、それに続く生存度の喪失をもたらす。したがって、タンパク質、ウィルス、細胞、組織および器官の冷却貯蔵中に氷形成を回避することは、低温生物学において重要な課題である。
【0004】
水の氷点は、水の蒸気圧を低下させる溶質を加えることによって低下させることができる。氷点降下は、本質的に現在使用される全ての不凍剤(例えば、グリコール類、糖類および塩類)が見せる物理的基礎である。凍結保護物質として知られている氷点降下剤の欠点は、氷点を2、3℃低下させるためであっても大量の溶質(10%以上)を必要とすることである。十分に高濃度において(典型的には50%以上)、従来の不凍剤は、氷形成を防ぐことができ、水溶液を、凍結させることなく、0℃をはるかに下回る温度に低下させることができる。しかしながら、凍結保護物質は、ガラス形成またはガラス化を達成するために必要とされる高濃度において一般に毒性がある。
【0005】
周囲温度での乾燥およびスプレー乾燥など、乾燥し、かつ安定なプロバイオティクスの調整物を調製するために使用される他の方法もまた、欠点を有する。低温または周囲温度での乾燥は遅く、汚染を避けるために特別の予防策を必要とし、しばしば不十分な生存度をもたらす。スプレー乾燥は、短い行程の比較的高温処理を含み、安定化賦形剤が使用された場合であっても、生存度の喪失が生じ、貯蔵時間が限定される(Lievense LC, van't Riet K. 1994. Convective drying of bacteria. II. Factors influencing survival. Adv Biochem Eng Biotechnol. 51: 71-89)。
【0006】
腸管標的のプロバイオティクスに対する生存可能で安定な製剤は、Simmonds et al. (2005)により記載されている。この方法は、脱脂乳、塩類または短鎖糖類などの微結晶性セルロース安定化剤および澱粉またはアルギン酸などの崩壊剤による凍結乾燥細菌の顆粒化を必要とする。次いで、顆粒化半乾燥細菌を、残存水分レベルを2パーセント未満に減少させるために40〜70℃で乾燥させる。これを次に、腸溶性剤および可塑剤でコーティングする。この多段法は、大きな粒径(425ミクロン超)を生じ、さらに生存度が最大で1.5対数まで喪失することとなる。この方法のさらなる欠点は、高含量の腸溶性コーティング剤(25%超のミクロスフェア重量)であり、大部分が合成品で食品級材料として認められていない。コーティング手法固有の欠点としては、活性剤に対するコーティング剤の相対比率が、粒径を小さくするにつれて粒子の三次関数的に上がることであり、300ミクロン未満サイズの粒子の製造に対するこの方法の利用可能性を少なくさせることである。
【0007】
細菌貯蔵の別の方法として、氷結晶の形成を排除しながら発泡体形成(form formation)法を使用することが記載されている(Bronshtein et al. 2004, Roser et al. 2004)。この方法は、乾燥媒体中の高濃度の糖類(メチル化モノ、ジおよびオリゴ糖類の組合せ)、ならびに制御された減圧(vacuum)システムおよび温度曝露を備えた凍結乾燥機、ならびに発泡体形成要素および安定化剤の添加を必要とする。より長期の保存安定性を達成する上でこの方法の幾つかの利点にもかかわらず、発泡体保存細菌は、胃内での行程から保護されない。さらにこの発泡体は、明らかに、ごく少量の製造のために大気圧を減圧した(すなわち、減圧下の)、大容量のスペースを必要とするので、この方法をスケールアップすることが困難かつコスト高となる。さらに、この物質は、湿気に極めて敏感であり、製造物は容易に水を吸収し、細菌の生存度を低下させる。
【0008】
部分的に非晶質ガラス状相であって、また部分的に結晶質水和物相である、糖(トレハロース)を含有する組成物が、Franks et al (2003)によって提案されている。結晶質水和物相は、非晶質相を脱水する試剤として役立ち、それによって非晶質ガラス状態のガラス転移温度を高める。この組成物は、タンパク質またはヌクレオチドなどの単一分子を安定化させることが示された。混合物のガラス転移温度は、他の因子の中でもとりわけ、その化学組成(糖類、タンパク質、塩類)および水分含量に依存し、水は可塑剤として作用してガラス温度を低下させる。熱への曝露か、または生成物への水分移行の結果のいずれによるにせよ、ガラス転移温度(Tg)を上回る場合、いかなる時点であっても、非晶質ガラス状態は、結晶化により不可逆的相分離を生じ易くなる可能性がある。結晶化が生じる場合、残存非晶質相は他の成分および水分を含むこととなり、ガラス転移温度のさらなる低下をもたらす。
【0009】
ガラスは、溶液の乾燥制御により得られる非晶質固体状態である。長期安定性を達成する上でガラス相の利点は、ガラス状(ガラス化)材料における拡散が極めて低速度(例えば、数ミクロン/年)で発生するという事実から生じる。ガラス状材料は、通常、粉末に粉砕または製粉できる均質の透明な脆性固体として出現する。長期貯蔵に対するガラス化の最適な利点は、Tgが貯蔵温度より高い条件下で見られる。Tgは、水分活性および温度に直接依存し、適切な溶質(すなわち、多糖類、糖類、塩類およびタンパク質)の組合せを選択することにより変更できる。
【0010】
ガラス形成は、極めて耐乾燥性のある植物および節足動物種において天然に生じる。復活植物と呼ばれる多くのコケ類およびシダ類は、苛酷な乾燥に耐えることができ、代謝休眠状態で長年に亘って生存し、その環境に水が戻ると生き返ることができる。大抵の場合、この適応特性は、トレハロースなどの一定の多糖類の内部濃度を、ガラス状態を形成するレベルに増加させることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示以前には、プロバイオティクス産業の直面する個別の課題に対して、一般的かつコスト効率的解決を誰も提供することができなかった。これらの課題は、すなわち、周囲温度および高水分活性(または高湿度)で細菌細胞の長期保存安定性(すなわち、生存度)を維持すること、および胃を介した移動中にプロバイオティクスの生存度の喪失を最小限にするための胃内での保護を提供することである。本発明は、これらの課題を克服するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示の概要
本発明は、経口送達用に好適な、ガラス形態の固体マトリックスを含む、組成物および微粒子を製造する方法を包含する。この組成物は、多糖類、糖類、ポリオール、およびプロバイオティクス細菌の組合せを含む。これらの組成物は、高水分活性環境中周囲温度でのより長期の保存寿命安定性、およびプロバイオティクスの胃内保護を提供するように設計される。さらに、このマトリックスの製造方法は、プロバイオティクスの生存度の最少喪失をもたらす工程を含む。
【0013】
したがって、本発明の一態様は、炭水化物の保存混合物であって、炭水化物混合物に組み入れるための、少なくとも1種の多糖類、1種の糖類(モノ、ジまたはオリゴ糖)および1種のポリオールならびに少なくとも1種の細菌を含む、前記炭水化物の保存混合物を含む。
【0014】
好ましい態様において、前記保存炭水化物混合物中の細菌は、限定的ではないが、生菌の乳酸桿菌(Lactobacillus)、ビフィズス菌(Bifidobacterium)、腸球菌(Enterococcus)、プロピオン酸菌(Propionobacterium)、桿菌(Bacillus)および連鎖球菌(Streptococcus)からなる群から選択される、プロバイオティクス細菌である。
【0015】
本発明の別の態様において、保存混合物中の多糖類は、胃内での保護を提供し、動物またはヒトの前腸及び後腸に沿ってそれらの作用部位で微生物を徐々に放出する制御放出機序を提供する。胃内での保護および制御放出機序を有する多糖類の例は、限定的ではないが、澱粉(非消化性澱粉を含む)、ペクチン、イヌリン、キサンタンガム、アルギン酸塩、アルギン酸、キトサン、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、グアーガム、アラビアゴム、ローカストビーンガムおよびそれらの組合せを含む群から選択される、ヒドロコロイド形成多糖類である。また好ましくは、保存混合物中の多糖類の濃度は10%w/v未満であり、より好ましくは、保存混合物の5%w/v未満である。
【0016】
本発明の別の態様において、保存混合物中の糖類/ポリオールの組合せは、周囲温度での乾燥および長期貯蔵中に結晶化しないように製剤化される。好適なガラス形成系としては、限定的ではないが、トレハロース/グリセロール、トレハロース/マンニトール、トレハロース/マルチトール、トレハロース/イソマルト、トレハロース/アドニトール、トレハロース/ラクチトールおよびトレハロース/ソルビトールが挙げられる。トレハロースは、損傷なしで乾燥でき、再水和すると生き返ることができる、特定の植物、微生物および動物において、乾燥損傷の防止と関連する、天然の非還元性二糖類である。トレハロースはまた、乾燥の間、タンパク質、ウィルスおよび食品の変性を防止するのに有用であることが示されている(Chen et al. 2001、Crowe and Crowe 1992、Liao et al. 2002)。スクロースと比較して、トレハロースのガラス転移温度は、有意により高い(わずか65℃に対して110℃)(Crowe et al. 1998)。しかしながら、トレハロース単独では、特に高温および高湿度では、必ずしも細菌を安定化させるのに十分ではない。さらに、細胞膜は、外部のトレハロースに対してよりも、外部の糖アルコール類に対しての方が、より透過性がある(Krallish I et al. 1997、Linders LJ et al.、Qiu L et al. 2000)。より良好な保護を提供し、長期間の貯蔵に亘って細胞生存度を改善することは、トレハロースおよび糖アルコール類の相乗効果である。好ましくは、混合物中の糖類およびポリオール双方の濃度は、60%w/v未満であり、より好ましくは、保存混合物の40%w/v未満である。糖類とポリオールとの比率は、好ましくは、約3:1のトレハロース/ポリオールであるが、約1:3のトレハロース/ポリオールもまた同様に、特定のプロバイオティクス種の保存に有効である。
【0017】
本発明はまた、生存度の最小喪失を伴うガラス形態で混合物を乾燥する方法を提供する。Bronshtein (2004)により記載されるように、減圧下での保存混合物のガラス化および効率的な乾燥は、発泡体形成の必要なく可能であることが発見された。保存混合物中の多糖類のゲル化または架橋化および小片へのスライスにより、減圧下で乾燥するために混合物を発泡させる必要性が除かれた。また、発泡工程中にしばしば生じたゴム状生成物の形成も減少した。好ましくは、プロバイオティクスを含む保存混合物は、低温でのゲル化させ、次いでスライスされ、ガラス形成に好適な条件下で減圧乾燥(vacuum drying)する。より好ましくは、混合物中の多糖類は、アルギン酸塩、ペクチンまたはキトサンなどの架橋可能な多糖類の群から選択される。次にこの混合物を、Ca++バスに押出し、ストリングまたは粒子を採取し、水でリンスし、次に好適なトレハロース/ポリオール混合物中に浸漬し、次いでガラス形成に好適な条件下で減圧乾燥する。
【0018】
本発明はまた、発泡または氷形成なしで保存マトリックスを減圧乾燥する方法を提供する。ガラス形成の乾燥法は、40℃でマトリックスを維持すること、所定時間、約2,500mTORの初期減圧を適用すること、次いで別の時間にわたって100mTOR未満で乾燥すること、を含んでなる。初期生成物温度は、部分的減圧(2,500mTOR)時間中、約10〜20℃で維持するのが好ましく、次いで40〜50℃に上昇させ、このとき大気圧は100mTOR未満に減圧する。さらなる時間、最大減圧(約10mTOR)下20℃での最終乾燥ステップもまた、最終的な水除去に関して有利となり得る。乾燥マトリックスは次に、粉砕または製粉化でき、必要に応じて、所望の粒子粉末に篩い分けできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
詳細な説明
本開示は、多糖類、糖類、ポリオール類およびプロバイオティクス細菌を含む固体ガラスマトリックスである組成物および本組成物の効率的な大規模製造方法に関する。
【0020】
定義
本明細書において、以下の用語の各々は、本節中の意味に関連する意味を有する。
【0021】
「多糖類」とは、グリコシド結合で結合された多数の単糖類からなる化合物のことである。本明細書において用いられる用語の多糖類とは、10個より多い単糖類残基を含有するもののみを指す。
【0022】
「糖類」は、単糖類、二糖類およびオリゴ糖類を含む。
【0023】
「ポリオール類」とは一般に、多数のヒドロキシル基を含有する化学化合物のことである。本明細書において用いられる用語のポリオールとは、炭水化物の水素化形態である糖アルコールを意味し、そのカルボニル基(アルデヒドまたはケトン、還元糖)は、一級または二級ヒドロキシル基に還元されている。幾つかの通常の糖アルコール類は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトールである。
【0024】
「ガラス化(vitrification)」(すなわち、ガラス形成(glass formation))は、ガラス状または非結晶性非晶質物質の形成を意味する。本明細書において用いられる用語のガラスまたはガラス状態とは、全ての化学反応が殆ど休止状態まで緩徐となり、細菌細胞が休眠するような高粘性かつ低水分含量の液相を意味する。
【0025】
「結晶化」とは、均質溶液からの固体結晶形成を指す。それは、本質的に固体−液体分離である。
【0026】
「凍結保護物質」とは、水含有混合物の過冷却中に氷結晶の形成を防止するために使用される化学物質または化合物のことである。
【0027】
詳細な説明
本発明の基礎は、強力なゲルマトリックスを形成できる多糖類である。このマトリックスは、好ましくは、小片にスライスするか、または薄いスレッド、ストリング、あるいは粒子に形成された後でも、細菌および保存混合物を保持する。さらに、この多糖類マトリックスは、胃内で細菌を保護するが、腸管に沿った作用部位で細菌を放出できる制御放出機序を有することが好ましい。
【0028】
幾つかの多糖類はこれらの要件を示し、本明細書に記載された使用に好適である。高アミロース澱粉は、沸騰水中で澱粉顆粒を水和し、高剪断ミキサーにより顆粒を分散させ、次いでこの溶液を約0〜10℃に冷却後、堅固なゲルを形成できる多糖類である。ゲルの堅固さおよび強度は、溶液中の澱粉濃度に依存し、該濃度は10%w/vまでの最大実行可能濃度を有する。スライスされた澱粉ゲルマトリックスはまた、保存混合物中の生菌を保持でき、大部分が腸液または胃液により非消化性であることから、細菌は、澱粉マトリックス内に存在する間、胃内での分解から保護される。制御放出機序は、高アミロース澱粉が腸内微生物相により容易に可消化であるという事実により提供され、その時点で送達された生菌は無傷の形態で放出される。
【0029】
ペクチンは、高アミロース澱粉と極めて類似した性能を発揮する別の好適な多糖類である。ペクチンゲルマトリックスの強度が糖ポリマーのカルボキシル基間で架橋を形成するCa++などの二価カチオンの添加によりさらに増強できることから、ペクチンはさらに利点を有する。
【0030】
本発明の好ましい実施形態において、アルギン酸塩またはアルギン酸塩と非消化性澱粉との組合せが用いられる。アルギン酸塩は、二価カチオン類による架橋により堅固なゲルマトリックスを形成できる。アルギン酸塩含有保存液は、Ca++によりアルギン酸多糖類を内部的に架橋し、次いでこのゲルを小片にスライスすることにより堅固なゲルマトリックスに硬化させることができ、一方、細菌および保存混合物は、このゲルマトリックス内に完全に保持される。アルギン酸塩および保存混合物を含有する溶液を架橋する別の方法は、溶液の薄いスレッドまたはストリングをCa++バスに押出すことによるものである。ストリングは、Ca++と相互作用すると直ちに硬化する。薄いストリングを収穫し、新鮮な水でリンスし、多糖類が存在しない保存液中に再度浸漬する。別の好適な方法は、押出し溶液のものと等しい濃度および比率で保存混合物も含有するCa++バスに、薄いスレッドを注入することである。マトリックス調製の別の方法は、Ca++カチオンを含有するバスにこの混合物を加圧噴霧することである。このような手法において、50から500ミクロンの小型の微粒子が製造される。このような粒子を収穫し、リンスし、保存媒体中に浸漬するか、または、薄いスレッドまたはストリングの製造について上述したとおり、バス自体が保存混合物を含有できる。
【0031】
バス中のCa++レベルは常にモニターされ、アルギン酸塩を架橋するために必要なカチオン類の十分な量だけを一度に加える。これによりストリングまたは粒子から過剰のCa++をリンスする必要性が除かれ、これによってさもなければ洗い流されるであろうマトリックス中の全ての糖類が保持される。本発明の好ましい一態様において、プロバイオティクス細菌に対する損傷なしに、押出されたアルギン酸塩溶液を十分に硬化させるには、Ca++カチオンが架橋バス中で0.25〜0.5%w/vの範囲内にあることをモニタリングすることで十分である。胃での保護および制御放出トリガーは、アルギン酸塩多糖類の使用によっても果たされる。アルギン酸塩を含有するポリマーマトリックスは、胃の酸性環境中で堅固のままであり、それによって細菌を保護するが、腸管のより高いpHおよびリン酸塩に富む環境では急速に崩壊する。これにより、腸管に沿った作用部位でプロバイオティクス細菌の放出が生じる。
【0032】
保存混合物の目的は、プロバイオティクス細菌の過度の喪失なしに、最終生成物の温度および湿気の行程からの保護を提供することである。理想的な混合物には、十分に周囲温度以上のガラス転移温度(Tg)および水分活性を有する非晶質ガラス相を形成するような、糖類と糖アルコール類との組合せが含まれる。トレハロース単独では、特に高温かつ湿性では、必ずしも細菌を安定化させるのに十分ではない。より好適な混合物は、トレハロースと追加の糖アルコールとの組合せであり、これがより良好な保護の相乗効果および、より長い保存期間に亘って改善された細胞生存度を提供することが見出された。糖アルコール類および他の長鎖ポリアルコール類に加えて、他の保存剤としては、スクロース、ラクトスクロース、ラフィノース、マルトデキストロース、セファロースおよびデキストランが挙げられる。これらの化合物は、一定細菌種の保存を相乗的に改善できる。
【0033】
保存混合物中の種々の炭水化物の濃度および比率は、幾つかの因子、とりわけ特に細菌種、株、および乾燥条件に依る。本発明は、多数のプロバイオティクス細胞について保存混合物中への含有に好適な幾つかの最適濃度および糖比率を開示する。炭水化物濃度は、より高い濃度では効果的な乾燥を妨害する可能性があるので、好ましくは、約50%未満にする必要がある。
【0034】
この保存混合物は、プロバイオティクス細菌の総合的な安定性に寄与する他の添加物を任意に含む。好適な添加物としては、タンパク質、アミノ酸、希釈剤、キレート化剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、および滑剤が挙げられる。このような添加物の具体例としては、限定的ではないが、アミノ酸、リジン、グリシン、Lロイシン、イソロイシン、アルギニン、システイン;タンパク質、ヒト血清タンパク質、卵アルブミン、ゼラチン;緩衝剤、種々のリン酸ナトリウム緩衝剤、クエン酸/クエン酸塩緩衝剤;保存剤、ヒドロキシ安息香酸誘導体;抗酸化剤、ビタミンE、アスコルビン酸;滑剤、水易溶性シリコーン/シリケート;キレート化剤、クエン酸、EDTA、EGTAが挙げられる。
【0035】
本発明の好ましい態様において、スライスされたゲルもしくは薄いスレッドまたはストリングは、ガラスが形成されるような方法で乾燥する。限定的ではないが、周囲温度での風乾、スプレー乾燥、流動床乾燥、減圧乾燥、および凍結乾燥など幾つかの乾燥方法が使用できる。本明細書において、乾燥細菌細胞を含有するガラスは、好ましくは約5%未満、より好ましくは2%未満の残留水分含量を含有する。
【0036】
乾燥は、このような条件下、水の凍結温度以上の生成物温度で凍結乾燥機内で減圧下で実施されることが好ましい。一般に、減圧乾燥は2つの段階で実施される。第一の段階は、緩和な温度(20℃)の中程度減圧(約2500mTOR)を含み、一方、第二の段階は、より高温(約50℃まで)のより低圧(すなわち、より高減圧−100mTOR)を含む。この工程は、減圧および生成物温度に関してプログラム可能な制御システムを用いて達成できる。第一の乾燥段階に対する減圧および温度条件は、乾燥機のサイズ、伝熱能力、および生成物の装填によって経験的に調整されるが、目標は、水分蒸発速度を最大にしながらその凍結温度以上に生成物を維持することである。一実施形態において、温度は、当初約20℃で約16時間維持され、次いでさらに48時間約50℃まで温度を徐々に上昇させる。これらの乾燥条件は、細菌が多糖類マトリックス内で休眠状態で固定されたガラス状態の形成を可能にする。
【0037】
好ましい実施形態において、プロバイオティクス細菌を以下のとおり乾燥する:初期減圧は、40℃の初期保管温度で12時間約2500mTORに調整し、次いで、125mTOR/時間の速度で100mTOR未満に大気圧を次第に減少させる(すなわち、減圧を増加させる)。減圧が100mTORに達したら、サンプルを40℃でさらに12時間維持する。このプロトコル後、この乾燥手順は、生存度を実質的に危険に曝すことなく48時間以内で完了する。本発明によれば、スライスおよびチョップされたゲルまたはストリングの大きな表面積により、生成物を沸騰または発泡させる必要なく蒸発速度が大いに増加し、したがって、調和しない乾燥条件および減圧チャンバ中の発泡生成物溶液の飛散がなくなる。さらに、開示された組成物および乾燥法は、溶液の薄層だけを発泡させ、効率的に乾燥させる発泡体乾燥法と比較して生成物のより高い装填能力をもたらす。
【0038】
新鮮に調製されたマトリックスストリングまたは粒子を乾燥させる別の方法としては、トレハロースなどの乾燥粉末糖類または乾燥粉末保存混合物の一定容量にヒドロゲルを添加(好ましくは、重量で1:10)することによるマトリックスの制御乾燥が挙げられる。この工程中、ヒドロゲルは、周囲温度で迅速に乾燥され、マトリックス自体に保存材料が濃縮される。この工程は、向流様式で設定されることが好ましく、細菌を含有する完全水和ヒドロゲルマトリックスは、工程の流れの一端に加えられ、新鮮な乾燥粉末保存糖類は、反対方向から流れる(図1)。ウェット粉末糖類物質は、高温で乾燥され、再使用されるが、一方、部分的乾燥ヒドロゲルは、次に上記の減圧乾燥の第二段階に進む。この方法は、乾燥時間および工程コストを大幅に減じる。
【0039】
乾燥した安定化プロバイオティクス細菌を含有する、得られたマトリックス結合ガラス材料は、33%の相対湿度において周囲温度(30℃まで)で細菌を保存するのに十分に高いTgを有する。一般に、Tgが高くなると、許容し得る貯蔵温度および湿度が高くなる。本発明の乾燥ガラス状保存混合物のTgは、示差走査熱量測定など、当業界に標準的な技法を用いて測定される。
【0040】
本発明の方法および組成物は、限定的ではないが、乾燥安定形態での生菌ワクチン、乾燥安定形態での生菌栄養補助食品(プロバイオティクス)、乾燥安定形態での生菌スターター培養物、農業、水産養殖、またはバイオ治療使用のための乾燥安定形態での生菌、およびバイオテクノロジー産業用の乾燥安定形態での生菌培養物など、幾つかの製品の開発を促進させる。
【0041】
以下の実施例は、ガラス形態での多糖類、糖類、ポリオール類およびプロバイオティクス細菌の乾燥かつ安定なマトリックスを含んでなる送達媒体製造に関連する本発明の種々の態様を説明する。組成物および乾燥方法は、貯蔵および胃環境における幾つかのプロバイオティクス細菌を安定化および保存するように適応される。
【実施例】
【0042】
本開示の主題を以下の実施例を参照してここに記載する。これらの実施例は、説明目的のみで提供され、主題はこれらの実施例に限定されず、むしろ本明細書に提供された教示の結果明白となる、全ての変形例を包含する。
【0043】
実施例1
高アミロース澱粉(100gのNovation、National Starch and Chemical、ブリッジウォーター、ニュージャージー州)を、周囲温度で150mlの水と混合した。次にこの澱粉混合物を、標準的な家庭用ブレンダーを用いて激しく攪拌しながら850mlの沸騰水にゆっくりと加えた。澱粉顆粒の完全分散が見られたら(双眼顕微鏡を用いて)、澱粉溶液を冷却し、次いで300gのトレハロースおよび100gのイソマルト(双方ともCargill Minneapolis、ミネソタ州から)を混合物に溶解した。アルギン酸ナトリウム(15g)をスラリーに加え、全混合物を室温に冷却した。次にLactobacillus paracasei(発酵収穫物から直接の200gの凍結ペースト)を、スラリーに十分に混合し、このスラリーを、18G針を装備したシリンジを用いて、5gのCaCl、300gのトレハロースおよび100gのイソマルトを含有する1000mlのバス(0〜5℃に保持)に押出した。CaClバスは、スラリーを注入しながら緩やかに攪拌した。マトリックスストリングは、30分間架橋させてから、収穫し、ペーパータオル上に吸い取って乾かした。ゲルマトリックスの組成物を表1に提供する。
【0044】
【表1】

【0045】
薄いスレッドをトレー(13×10インチ)上に装填し、凍結乾燥機(Virtis Advantage, Virtis、ガーディナー、ニューヨーク州)に入れた。冷却器を−70℃に設定し、保存温度を40℃に設定した。生成物を保存温度に温めたら(ウェット材料中に差し込まれた一対の温度センサーにより測定された)、減圧を開始し、外部減圧制御器(ThyrCont, Electronic, GmbH)により約2500mTORで制御した。大気圧が減少したら、生成物温度を低下させ、約−2℃に安定化させた。12時間後、生成物温度を、約10℃に上昇させた。この時点で、大気圧を、10mTORの減圧が確立されるまで4時間ごとに約500mTORで降下させた。この減圧増加時間に亘って、生成物温度を約−5℃以上に注意深く維持した。完全減圧の確立12時間後、乾燥生成物を凍結乾燥機から取り出し、標準的なコーヒーグラインダを用いて微粉末に粉砕した。
【0046】
実施例2
100gのトレハロースおよび300gのイソマルト(双方ともCargill Minneapolis、ミネソタ州から)を1000mlの水に加え、溶解させた。アルギン酸ナトリウム(15g)をスラリーに混合し、室温に冷却した。次にLactobacillus paracasei(実施例1のとおり200gの凍結ペースト)を、スラリーに加え、次いで5gのリン酸二水素カルシウムおよび5gのグルコノラクトンを加えた。このスラリーを、さらに4時間に亘って室温で架橋させた。堅固なゲルをチーズグラインダに通して薄く長いスレッドにスライスし、ペーパータオル上に吸い取って乾かした。ゲルマトリックスの組成物を表2に提供する。
【0047】
【表2】

【0048】
薄いスレッドをトレー(13×10インチ)上に装填し、凍結乾燥機に入れて、実施例1に要約されるとおり乾燥させた。
【0049】
実施例3
300gのトレハロース(Cargill Minneapolis、ミネソタ州)および100gのマンニトール(Sigma)を1000mlの水に加え、溶解させた。アルギン酸ナトリウム(15g)およびペクチン(5g)をスラリーに混合し、このスラリーを室温に冷却した。Lactobacillus acidophilus(発酵収穫物から直接の200gの凍結ペースト)を、スラリーに十分に混合した。次にこのスラリーを、18G針を装備したシリンジを介して、5gのCaCl、300gのトレハロースおよび100gのマンニトールを含有する1000mlのバス(0〜5℃)に押出した。CaClバスは、スラリーを押出しながら緩やかに攪拌した。形成されたストリングは、30分間架橋させ、収穫し、ペーパータオル上に吸い取って乾かした。ゲルマトリックスの組成物を表3に提供する。
【0050】
【表3】

【0051】
薄いスレッドをトレー(13×10インチ)上に装填し、凍結乾燥機に入れて、実施例1に要約されるとおり乾燥させた。
【0052】
実施例4
保存媒体中の最適トレハロース濃度
乾燥粉末L. rhamnosus(LCS−742、森永乳業株式会社、神奈川県、日本国)を、細菌培養培地(L.MRS)中の種々の濃度のトレハロースに加え、層流フード内で周囲温度で3日間乾燥させた。トレハロース濃度の関数として細菌生存度を、3日の乾燥期間の終末に測定した。乾燥細菌粉末または乾燥サンプルを、滅菌50mMのPBS緩衝液pH7.4中に再構成した。ホモジナイズ後、再構成培養物溶液をPBS緩衝液中に希釈し(10倍増量により)、L.MRS寒天上で三通り平板培養した。35℃で48〜72時間インキュベーション後、コロニー形成単位(CFU)数を測定し、L. rhamnosus生存度は、0.5Mの初期トレハロース濃度で最高であることが判明した(図2)。
【0053】
実施例5
L. paracaseiの乾燥保存に対する種々の糖アルコール類の効果
L. paracaseiは、保存媒体中の全糖濃度が24%、澱粉濃度が2%であったこと以外、実施例2に記載されたとおり調製し、乾燥した。幾つかの糖アルコール類を、乾燥後の細菌生存度に対する効果に関して試験した。トレハロースおよびソルビトールが、この乾燥および保存工程を用いて細菌に対して最良の保護を提供したことを図3は示している。
【0054】
実施例6
L. acidophilusの乾燥保存に対する種々の糖比率の効果
L. acidophilusは、種々の比率のトレハロース/マンニトールまたはトレハロース/イソマルトが用いられ、最終混合物が3種の多糖類(2%澱粉、1%アルギン酸ナトリウムおよび0.5%ペクチン)の組合せを含有したこと以外、実施例3に記載されたとおり乾燥した。減圧乾燥後のL. acidophilusの生存度を図4に示す。全ての場合、保存された細菌は、糖類/ポリオール混合物なしで乾燥された細菌と比較してはるかに大きな生存度を有し、保存混合物に使用された糖類対ポリオールの種々の比率は、L. acidophilusに対して同様の保護能力を生じた。
【0055】
実施例7
0%または33%の相対湿度で45℃におけるL. acidophilusの安定性
L. acidophilusは、実施例6に記載されたとおり乾燥した。乾燥細菌を4時間、45℃と0%の相対湿度に設定されるか、または45℃と33%の相対湿度に設定された温度と湿度制御インキュベーターに入れた。細菌の生存度を、温度と湿度への曝露前後に測定した。図5は、多糖類混合物(2%澱粉、1%アルギン酸ナトリウムおよび0.5%ペクチン)がトレハロース/イソマルト単独または遊離細菌よりもさらなる保護を提供したことを示している。
【0056】
実施例8
人工胃液中での本発明の組成物の安定性
L. acidophilusおよびL. paracaseiを調製し、実施例2に記載されたとおり乾燥した。次に、乾燥粉末マトリックス−ガラス細菌を、人工胃液(充満胃−12%脱脂乳、2%グルコース、1%酵母抽出物および0.05%システイン;pH2;または空胃−0.32%ペプシン、0.2%塩化ナトリウム、pH1.2)に2時間曝露した。細菌生存度は、人工胃液への曝露前後に記録した。図6および図7は、異なる胃液条件下で本発明の乾燥組成物中の細菌の有意な保護を示している。
【0057】
実施例9
300gのトレハロース(Cargill Minneapolis、ミネソタ州)および100gの卵アルブミン(Sigma)を1000mlの水に加え、溶解させた。アルギン酸ナトリウム(15g)およびペクチン(5g)をスラリーに混合し、このスラリーを室温に冷却した。次にLactobacillus GG(発酵収穫物から直接の200gの凍結ペースト)を、スラリーに十分に混合し、次いで5gのリン酸二水素カルシウムおよび5gのグルコノラクトンを加えた。このスラリーを、さらに4時間に亘って室温で架橋させた。堅固なゲルをチーズグラインダに通して薄く長いスレッドにスライスし、ペーパータオル上に吸い取って乾かした。ゲルマトリックスの組成物を表4に提供する。
【0058】
【表4】

【0059】
薄いスレッドをトレー(13×10インチ)上に装填し、凍結乾燥機に入れて、実施例1に要約されるとおり乾燥させた。
【0060】
実施例10
15%または33%の相対湿度で40℃における本発明の組成物の安定性
Lactobacillus GGは、実施例9に記載されたとおり乾燥した。乾燥細菌を4週間、40℃と0%の相対湿度に設定されるか、または40℃と33%の相対湿度に設定された温度と湿度制御インキュベーターに入れた。細菌の生存度を、7日ごとに測定した。図8は、炭水化物/多糖類/卵アルブミン混合物(30%トレハロース、1.5%アルギン酸ナトリウムおよび0.5%ペクチン)がトレハロース/イソマルト単独または遊離細菌よりもさらなる保護を提供したことを示している。
【0061】
参考文献
本明細書に以下の参考文献が引用される。
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【0062】
本明細書に引用された全ての特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照としてその全体が本明細書に援用される。
【0063】
本主題は、具体的な実施形態に関して開示したが、他の実施形態および変形例は、本明細書に記載された主題の真の趣旨および範囲から逸脱することなく他の当業者により考案できることは明白である。添付の特許請求の範囲には、そのような実施形態および等価な変形例の全てが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】安定化混合物として粉末糖(トレハロース)を用いたウェットマトリックスヒドロゲルの向流乾燥法を示すフロー図である。
【図2】細菌生存度に対する乾燥媒体中のトレハロース濃度の効果を示すグラフである。L. rhamnosusの最大生存度は、0.5Mのトレハロース濃度で達成された。L. rhamnosusは、トレハロース濃度増加下、層流フード内で3日間風乾した。
【図3】L. pracaseiの乾燥後の生存度に対する糖類およびポリオール類(乾燥媒体中の全濃度24%w/vにおいて)の効果を示す棒グラフである。
【図4】減圧乾燥後のL. acidophilusの生存度に対する、多糖類混合物(2%澱粉、1%アルギン酸ナトリウムおよび0.5%ペクチン)中の、糖類/ポリオール類(トレハロース/マンニトールまたはトレハロース/イソマルト)の種々の比率の効果を示す棒グラフである(糖類およびポリオール類の全濃度は30%w/vである)。
【図5】45℃で0%または33%相対湿度での乾燥L. acidophilusの生存度に対する、多糖類混合物(2%澱粉、1%アルギン酸ナトリウムおよび0.5%ペクチン)と、3:1のトレハロース/イソマルト(糖類/ポリオール類の全濃度は40%w/vである)との効果を示す棒グラフである。
【図6】多糖類/糖類/ポリオール混合物の遊離形態またはガラス形態で乾燥されたL. paracaseiに対する、充満胃(12%脱脂乳、2%グルコース、1%酵母抽出物および0.05%システイン;pH2)または空胃(0.32%ペプシン、0.2%塩化ナトリウム、pH1.2)人工胃液の効果を示す棒グラフである。
【図7】多糖類/糖類/ポリオール混合物の遊離形態またはガラス形態で乾燥されたL. acidophilusに対する、空胃(0.32%ペプシン、0.2%塩化ナトリウム、pH1.2)人工胃液の効果を示す棒グラフである。
【図8】40℃で15%または33%相対湿度での乾燥Lactobacillus GGの生存度に対する、炭水化物/多糖類/卵アルブミン混合物(トレハロース/アルギン酸塩/ペクチン/卵アルブミン 30:1.5:0.5:10)の効果を示す1対のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖類、1つ以上の糖類、ポリオール、およびプロバイオティクス細菌を含む、経口送達用に好適な固体ガラス形態の乾燥組成物。
【請求項2】
前記プロバイオティクス細菌が、生菌の乳酸桿菌(Lactobacillus)、ビフィズス菌(Bifidobacterium)、腸球菌(Enterococcus)、プロピオン酸菌(Propionobacterium)、桿菌(Bacillus)および連鎖球菌(Streptococcus)からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記多糖類が、非消化性澱粉を含む澱粉、ペクチン、イヌリン、キサンタンガム、アルギン酸塩、アルギン酸、キトサン、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、グアーガム、アラビアゴム、ローカストビーンガムおよびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記糖類が、単糖類、二糖類、三糖類およびオリゴ糖類からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリオールが、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトールおよびイソマルトからなる糖アルコール群から選択される、請求項1に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−522280(P2009−522280A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548729(P2008−548729)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/049434
【国際公開番号】WO2007/079147
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(504102530)アドバンスド バイオニュートリション コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】