説明

多角形軌道放電加工用電極を縮小する方法

放電加工用電極を設計するシステム、方法、およびコンピュータプログラムであって、三次元設計で空洞を特定することと、電極の大まかな形態を定めるため前記空洞のダイレクトネガティブブーリアンを計算することと、前記電極の軌道経路を決定することと、ここで前記軌道経路は前記三次元設計による複数のインスタンスに対応する複数の頂点を有する、前記大まかな形態の電極から軌道ギャップを除去するため前記電極の前記大まかな形態から複数のインスタンスを取り去ることと、前記軌道ギャップを有する前記電極の前記大まかな形態へ一定面オフセットを適用することと、しかるべき手段およびコンピュータ可読命令とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この現時点で好ましい実施形態は一般的に、EDM(放電加工)に関する。現時点で好ましい実施形態はより具体的に、多角形軌道EDM用電極を縮小する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業者は、従来の切削手法では加工できない硬い金属部分を除去するため、あるいは従来の切削工程を用いて低価格では加工できないような複雑な空洞を形成するため、放電加工(EDM)を使用する。EDM工程はエネルギー誘導性流体の存在下で連続するスパークにより導電性加工物上に一連の微小凹部を作り、切断経路に沿って材料を蒸発させる。今日、ワイヤーカットEDMと型彫りEDMの2種類が製造業者によって一般的に利用されている。ワイヤーカットEDMでは、1本の細い金属性より線が加工物へ給送され、これはスプールからコンスタントに給送され、上下のガイドによって保持される。
【0003】
型彫りEDMでは、グラファイトか銅の電極を所望の形状に加工し、加工物へ給送し、誘電性流体にて空洞を浸食させる。スパークギャップとEDM軌道のため、浸食した空洞は電極より大きくなる。スパークギャップはEDM浸食工程そのものによって発生し、使用する電流の量に比例する。EDM軌道は、誘電性流体空間を作り浸食した材料を逃がす余地を作るプログラム経路中にて電極を移動する。
【0004】
軌道経路の形状とサイズは主に電極のサイズと形状に依拠する。球形、円形、正方形、星形、カスタム軌道が最も一般的に使われている。加工する空洞の形状は軌道の形状とサイズに左右される。例えば、正方形の断面を持つ電極を円形軌道で動かすと、出来上がった空洞は垂直の辺に沿って丸みをおびたコーナーを有する。最終的な空洞のサイズと形状は一定の寸法に一致させなければならないので、電極は多くの場合、選択した軌道に基づき縮小される。
【0005】
部品を仮想的に切削するには、CADアプリケーションを、例えばUGS社のNX(tm)を使って電極の軌道経路を定める。ただし実際の電極設計で利用する市販の電極設計パッケージは、例えばDelcam社のPSーElectrodeやCimatron社のQuick Electrodeは、軌道とギャップの補償に要するステップを完全に無視する。電極を設計するときには、空洞の特徴を特定し、ネガティブコアのモデルを作り、接線延長を形成し、次いで電極のベースとホルダーを選択する。電極設計工程で最も重要で困難なステップはスパークギャップとEDM軌道とで幾何学的形状を補償することであるが、前記市販のパッケージにはこれが用意されていない。したがってユーザはそのままマニュアルオフセットを使用し、工作ツールを操作して電極を縮小し、フライス盤をだますようにして当初設計した電極より小さい電極を形成し、今日の根本的欠点を埋め合わせなければならない。例えば円形軌道と球形軌道では、プログラム式ツールのサイズを小さくし実際の切削ツールのサイズを大きくして電極製造工程をごまかす。空洞内に尖ったコーナーを作ることができないので、円形軌道と球形軌道には限界がある。
【0006】
電極形状全体にスパークギャップと軌道ギャップが均一に適用される球形軌道の縮小は最も簡単である。この均一適用を果たすには、面オフセットを使用するか工作ツールでネガティブストックを適用する。(ネガティブストックはNCプログラミングのときにより小さいツールを使ってプログラミングすることである。)これらの方法にはいずれも重大な限界があり(1)面オフセットは常に信頼できるとは限らない、(2)ネガティブオフセットはコーナー半径がオフセット値より大きいツールに限り適用できる、(3)最終的な空洞のコーナー半径はorbit_distance + finish_spark_gapの50%ほどになる、(4)元の空洞における小さいコーナー半径によって縮小電極に尖ったコーナーが発生し電極の消耗が増す、(5)球形軌道で所望の空洞を浸食させるには他の軌道の少なくとも2倍長くかかる。
【0007】
2番目の軌道経路の種類は円形軌道であり、縮小は球形軌道より技術的に込みいっている。円形軌道の場合、軌道ギャップはX−Y面で均一に適用される。Z軸沿いに軌道ギャップはない。しかし、スパークギャップは全方向に均一に適用される。電極形状が単純なら、殆どのユーザは電極から選択面をオフセットすることによって電極形状に対処する。電極の加工中にプログラム式ツールを操作することによって電極形状に対処することもある。限界は、(1)面オフセットは球形軌道の縮小より信頼性に劣る、(2)傾斜面の場合は面オフセットを個別に計算し対処する必要があるため信頼性はさらに低下する、(3)最終的な空洞の垂直コーナーの半径はorbit_distance + finish_spark_gapの50%ほどになる、(4)元の空洞における小さい垂直コーナー半径によって縮小電極に尖ったコーナーが発生し電極の消耗が増す、(5)電極加工中のツール直径操作はフラットエンドミルのみに適用される。
【0008】
3番目の軌道経路の種類は正方形軌道であり、これは型彫りEDMで最もよく使われている多角形平面軌道である。最終的空洞でフィニッシュスパークギャップほど小さなコーナー半径を作ることができるので、正方形軌道は良好な結果をもたらす。また正方形軌道は電極に尖ったコーナーが発生させないため、電極の寿命は延びる。ただし正方形軌道の場合は、非常に単純な場合を除き、電極の設計は非常に複雑である。このため、これが使われることは非常に希である。
【0009】
図1は、軌道経路とスパークギャップを考慮に入れ電極を縮小する先行技術を示す直交方向であり、プログラム式ツールの縮小はスパークギャップと軌道のサイズを考慮に入れて手動で行われる。例えばユーザは電極100の切削を望み、その目的のため円柱形ツール105を使用する。ツールは、例えば長さが40ミリメートルあり、直径は10ミリメートルある。0.02ミリメートルのスパークギャップと0.1ミリメートルの軌道サイズを仮定した場合、ユーザはツールが10mm−2(スパークギャップ+軌道サイズ)となるよう、すなわち9.76mmとなるようプログラムすることによりCAMシステムを「だます」。同様に、スパークギャップだけで長さを縮め、プログラム式ツールの長さを39.98mm(40mm−0.02mm)にする。したがってフライス盤はプログラム式ツール110を使っていると考えるが、実際に使っているのは円柱形ツール105である。
【0010】
多角形軌道の場合には電極を容易く縮小でき尖ったコーナーを作り、電極の製造にあたって人為的な修正によりツールをだます必要のないソリューションが求められている。
【発明の開示】
【0011】
上述した先行技術の限界を克服するため、そして本明細書で大まかに説明する現時点で好ましい実施形態の目的に沿って明らかとなるその他の限界を克服するため、現時点で好ましい実施形態は、放電加工用電極を設計する方法を開示するものである。
この方法は、三次元設計で空洞を特定することと、電極の大まかな形態を定めるため前記空洞のダイレクトネガティブブーリアンを計算することと、前記電極の軌道経路を決定することと、ここで前記軌道経路は前記三次元設計による複数のインスタンスに対応する複数の頂点を有する、前記大まかな形態の電極から軌道ギャップを除去するためブール減算により前記電極の前記大まかな形態から複数のインスタンスを取り去ることと、前記軌道ギャップを有する前記電極の前記大まかな形態へ一定面オフセットを適用することとを備える。方法はさらに、前記電極へ接線延長を加えるステップを備え、これにより前記接線延長はレリーフを提供する。方法において、前記軌道経路は多角形である。方法において、前記軌道経路は複数の別々の頂点に細分される。方法において、前記軌道経路は多角形であり、方法はさらに接線延長を加えるステップを備え、これにより前記接線延長はレリーフを提供する。方法において、前記軌道経路は複数の別々の頂点に細分され、方法はさらに接線延長を加えるステップを備え、これにより前記接線延長はレリーフを提供する。
【0012】
現時点で好ましい実施形態のもうひとつの利点は、放電加工用電極を設計する方法を遂行するため機械可読媒体にて実体的に体現されるコンピュータプログラム製品を提供することである。これは三次元設計で空洞を特定する命令と、電極の大まかな形態を定めるため前記空洞のダイレクトネガティブブーリアンを計算する命令と、前記電極の軌道経路を決定する命令と、ここで前記軌道経路は前記三次元設計による複数のインスタンスに対応する複数の頂点を有する、前記電極の前記大まかな形態から軌道ギャップを除去するためブール減算により前記電極の前記大まかな形態から複数のインスタンスを取り去る命令と、前記軌道ギャップを有する前記電極の前記大まかな形態へ一定面オフセットを適用する命令とを備えるコンピュータプログラムを内蔵する。コンピュータプログラム製品はさらに、接線延長を加える命令を備えるコンピュータプログラムを内蔵する。これにより前記接線延長はレリーフを提供する。コンピュータプログラム製品内のコンピュータプログラムにおいて、前記軌道経路は多角形である。コンピュータプログラム製品内のコンピュータプログラムにおいて、前記軌道経路は複数の別々の頂点に細分される。コンピュータプログラム製品内のコンピュータプログラムにおいて、前記軌道経路は多角形であり、方法はさらに接線延長を加える命令を備え、これにより前記接線延長はレリーフを提供する。コンピュータプログラム製品内のコンピュータプログラムにおいて、前記軌道経路は複数の別々の頂点に細分され、方法はさらに接線延長を加える命令を備え、これにより前記接線延長はレリーフを提供する。
【0013】
現時点で好ましい実施形態のもうひとつの利点は、コンピュータ支援モデリングのためのコンピュータデータ信号コードであって、前記コンピュータデータ信号は、設計者がコンピュータ上で方法を実施するよう構成されたコードを備え、該方法は、軌道経路の複数の頂点に直接関係する複数のインスタンスにより前記軌道経路を有する電極の大まかな形態から電極設計を作ることと、ここで前記複数のインスタンスのブール減算は軌道ギャップを規定する、ここで前記電極設計は前記軌道ギャップと一定面オフセットとを除いた前記電極の前記大まかな形態である、前記縮小電極に基づき物理的電極を形成するためフライス盤へ送信される信号をフォーマットすることと、導電性の物理的加工物で空洞を浸食するため前記物理的電極を利用することとを備える。
【0014】
現時点で好ましい実施形態のもうひとつの利点は、型彫りにより導電性加工物を浸食して空洞を形成する電極であって、この電極のソフトウェアアプリケーションは、前記電極が軌道ギャップと一定面オフセットとを除いた前記空洞のネガティブとなるよう前記電極を計算し、前記軌道ギャップは、複数の頂点を有する軌道経路から計算する。
【0015】
現時点で好ましい実施形態のもうひとつの利点は、コアと空洞とによって形成される成形品であって、前記コアと前記空洞は、少なくとも電極が軌道ギャップと一定面オフセットとを除いた設計空洞のネガティブとなるようソフトウェアアプリケーションにより前記電極を設計する放電加工によって切削される。
【0016】
現時点で好ましい実施形態のさらなる利点は、少なくともプロセッサとアクセス可能メモリとを有するデータ処理システムであって、これは三次元設計で空洞を特定する手段と、電極の大まかな形態を定めるため前記空洞のダイレクトネガティブブーリアンを計算する手段と、前記電極の軌道経路を決定する手段と、ここで前記軌道経路は前記三次元設計による複数のインスタンスに対応する複数の頂点を有する、前記大まかな形態の電極から軌道ギャップを除去するためブール減算により前記電極の前記大まかな形態から複数のインスタンスを取り去る手段と、前記軌道ギャップを有する前記電極の前記大まかな形態へ一定面オフセットを適用する手段とを備える。
【0017】
現時点で好ましい実施形態のその他の利点は、説明とその後に続く図面で部分的に提示され、現時点で好ましい実施形態の実践により部分的に習得される。
【0018】
ここで、本書の一部をなし現時点で好ましい実施形態の一実施形態を例示する図を参照しながら現時点で好ましい実施形態を説明する。これ以外の実施形態も利用できること、そして現時点で好ましい実施形態の範囲から逸脱することなく変更を施すことができることは理解される。
【0019】
これより添付の図面と併せて現時点で好ましい実施形態の好ましい典型的実施形態を説明するが、図面において同様の名称は同様の要素を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
現時点で好ましい実施形態を具体的に参照しながら本出願の数ある革新的教示を説明する。ただし、この種の実施形態が本明細書の革新的教示の数ある有利な使用のほんの数例を提示するものであることは理解されたい。現時点で好ましい実施形態はとりわけ、多角形軌道放電加工用電極を縮小するシステムおよび方法を提供する。図2と以降の説明は、現時点で好ましい実施形態を実施できる適切なコンピュータ環境を手短に概説するものである。現時点で好ましい実施形態は、パーソナルコンピュータによって実行されるプログラムモジュール等のコンピュータ実行可能命令の大まかな文脈で説明するが、このような説明が必須というわけではない。プログラムモジュールは一般的に、特定のタスクを遂行する、または特定の抽象データ型を実施する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。同様に、様々な既知コンピュータ環境のいずれにおいても現時点で好ましい実施形態は実施できる。
【0021】
図2を参照し、現時点で好ましい実施形態を実施する典型的システムは、複数の関係周辺装置(図示せず)を含む、デスクトップまたはラップトップコンピュータ等のコンピュータ200の形をとる、汎用計算装置を含む。コンピュータ200はマイクロプロセッサ205とバス210とを含み、このバスは、マイクロプロセッサ205とコンピュータ200の複数のコンポーネントとを既知の手法により接続し通信を可能にするため使われる。バス210は、数種類あるバス構造のいずれであってもよく、メモリバスまたはメモリコントローラと、周辺バスと、様々なバスアーキテクチャを使用するローカルバスとを含む。コンピュータ200は典型的にはユーザインターフェイスアダプタ215を含み、このユーザインターフェイスアダプタは、キーボード220、マウス225、および/またはその他のインターフェイス装置230等、バス210を通じて1つ以上のインターフェイス装置へマイクロプロセッサ205を接続し、その他のインターフェイス装置は、タッチ感応式スクリーン、デジタルペン入力パッド等、任意のユーザインターフェイス装置であり得る。バス210はまた、ディスプレイアダプタ240を通じてLCD画面またはモニター等のディスプレイ装置235をマイクロプロセッサ205へ接続する。バス210はまた、ROM、RAM等を含み得るメモリ245へマイクロプロセッサ205を接続する。
【0022】
コンピュータ200はさらにドライブインターフェイス250を含み、このドライブインターフェイスは、少なくとも1つの格納装置255を、および/または少なくとも1つの光学式ドライブ260を、バスに結合する。格納装置255は、ディスクの読み書きを行うため図示されていないハードディスクドライブを、着脱可能磁気ディスクドライブを読み書きするため図示されていない磁気ディスクドライブを含むことがある。同様に、光学式ドライブ260は、CD ROMをはじめとする光学式媒体等、着脱可能光学式ディスクを読み書きするため図示されていない光学式ディスクドライブを含むことがある。前述したドライブと関連コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、コンピュータ200のためのその他のデータの不揮発性格納を提供する。
【0023】
コンピュータ200は通信チャネル265を通じて他のコンピュータやコンピュータネットワークと通信できる。コンピュータ200は、ローカルエリアネットワーク(LAN)やワイドエリアネットワーク(WAN)で他のコンピュータと連携し、あるいは他のコンピュータ等を含むクライアント/サーバ構成でクライアントとなることがある。さらに、現時点で好ましい実施形態は分散コンピュータ環境の中で実践することもでき、ここでは通信ネットワークを通じてリンクされたリモート処理装置によってタスクが遂行される。分散コンピュータ環境では、ローカルメモリ格納装置とリモートメモリ格納装置の両方にプログラムモジュールを置くことができる。これらの構成としかるべき通信ハードウェアおよびソフトウェアの全ては当分野において公知である。
【0024】
現時点で好ましい実施形態を体現するソフトウェアプログラミングコードは、典型的にはコンピュータ200のメモリ245に格納する。クライアント/サーバ構成では、サーバと連携するメモリにこのようなソフトウェアプログラミングコードを格納できる。ソフトウェアプログラミングコードはまた、ハードドライブ、ディスケット、またはCD−ROM等、様々な不揮発性データ格納装置で体現できる。コードはこのような媒体で配布できる他、あるひとつのコンピュータシステムのメモリからある種のネットワークを介して他のコンピュータシステムにかけてユーザへ配布でき、このような他のシステムのユーザによって利用される。物理媒体上でソフトウェアプログラムコードを体現する、および/またはネットワークを通じてソフトウェアコードを配布する、技法および方法は周知であり、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0025】
現時点で好ましい実施形態は、導電性加工物を浸食させてそこに空洞を形成するため電極を設計する方法を開示するものである。ここで図3に示すステップを参照し、さらにその後に続く図4乃至図10の例と併せてそれらのステップを相互参照し、設計者はまず、UGS社のNX(tm)のような、コンピュータ支援製図ソフトウェアアプリケーションを使って仮想加工物の三次元設計400を作る(ステップ300)。次に設計者は、型彫りによる放電加工(EDM)として知られる電子浸食工程を使って浸食させる空洞405を特定する(ステップ305)。
【0026】
続いて、電極基礎ブロックと空洞405のダイレクトネガティブブーリアンにより電極500の設計に着手し、電極基礎ブロックとそこから延在する空洞のダイレクトネガティブブーリアンが出来上がる(ステップ310)。次に、EDMのラフ加工工程と仕上げ工程における軌道のサイズと形状を決定し、ここで軌道の形状は空洞そのものに凡そ類似する(ステップ315)。現時点で好ましい実施形態では多角形軌道を開示するが、多角形軌道が多くの辺と多くの頂点とを有し得ることは理解される。例えば現時点で好ましい実施形態は、円を多角形に細分することにより円形軌道に、または別々の点に分解できる任意の軌道経路に、役立てることができる。
【0027】
ここで電極を縮小するため、切削する空洞の四角い性質に基づき設計者が正方形軌道600を提案したと仮定し、所望の経路にて、電極ではなく空洞405そのものを描くようにして、加工物の三次元設計400を第1の頂点605まで動かす(ステップ320)。第1の頂点605で、三次元設計400はインスタンス607から電極500に対しブール減算操作を行い、このインスタンスは異なる位置にある同じ部分の関連コピーを意味する(ステップ325)。三次元設計400は正方形軌道600の次の頂点610まで動かされ(ステップ330)、その後電極500に対しもう一度ブール減算操作が行われる(ステップ335)。最初の頂点605に達するまでは、各々の後続頂点615、620で電極500に対しブール減算操作が相次いで行われる(ステップ340)。
【0028】
軌道調整電極や電極オフセットとも呼ばれる軌道ギャップ700は前述のステップの結果であり、ここで現時点で好ましい実施形態はさらに空洞405の対応する端部から800に示す複数の接線延長を加えることによりレリーフを提供する(ステップ345)。図8の、加工物にて軌道に対し縮小された電極の直行方向に示すとおり、このステップで、垂直面と傾斜面とで軌道ギャップが異なり、水平面の間にギャップがないことに注目することが重要である。最後に、提案された多角形軌道に対し縮小された電極100の最終製品を作るため、全ての面に一定面オフセット900を適用して所定のスパークギャップを補償することによりスパークギャップを形成する(ステップ350)。
【0029】
別の実施形態では空洞形状の面のサブセットから電極形状を導出する。このような場合でも、導出電極のネガティブを作り、電極そのものの全インスタンスを交差させることにより、このソリューションは有効であり続ける。換言すると、電極は動かされ、典型的実施形態は電極そのものの全インスタンスを交差させる。
【0030】
開示した現時点で好ましい実施形態に続いて従来の手法を用いて電極を切削する。また必要な導電性加工物を浸食させるため生産に投入される。導電性加工物はコアと空洞を作る物理的製造で使用され、それらは例えば射出成形等の製造手法で部品を作るために使用される。
【0031】
現時点で好ましい実施形態は、デジタル電子回路で、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアで、またはこれらの組み合わせで実施できる。現時点で好ましい実施形態の機器は、プログラム可能プロセッサによって実行され機械可読格納装置にて実体的に体現されるコンピュータプログラム製品で実施でき、現時点で好ましい実施形態の方法のステップはプログラム可能プロセッサによって遂行でき、このプログラム可能プロセッサは、入力データを操作し出力を生成しながら現時点で好ましい実施形態の機能を遂行するためプログラム命令を実行する。
【0032】
現時点で好ましい実施形態は、プログラム可能システムで実行できる1つ以上のコンピュータプログラムで有利に実施でき、このプログラム可能システムは、データ格納システムからデータと命令とを受信し且つこれにデータと命令とを送信するため結合された少なくとも1つのプログラム可能プロセッサと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とを含む。アプリケーションプログラムは高水準手続き型プログラミング言語かオブジェクト指向プログラミング言語で、または必要に応じアセンブリ言語かマシン言語で実施でき、いずれにせよ言語はコンパイル型言語やインタープリタ型言語であってよい。
【0033】
一般的に、プロセッサは読み取り専用メモリおよび/またはランダムアクセスメモリから命令とデータとを受け取る。コンピュータプログラム命令とデータとを実体的に体現するのに適した格納装置はあらゆる形態の不揮発性メモリを含み、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置等の半導体メモリ装置、内蔵ハードディスクや着脱可能ディスク等の磁気ディスク、磁気光学式ディスク、およびCD−ROMディスクを含む。上記のいずれも、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)に埋め込む、または内蔵することができる。
【0034】
現時点で好ましい実施形態のいくつかの実施形態を説明してきた。現時点で好ましい実施形態の精神と範囲から逸脱することなく様々な修正を施せることは理解される。したがって、他の実施は添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】軌道経路とスパークギャップを考慮に入れ電極を縮小する先行技術を示す直交方向を示す。
【図2】現時点で好適な実施形態を実践できるコンピュータ環境のブロック図である。
【図3】好適な実施形態で開示する方法を示す論理的フロー図である。
【図4】加工物の三次元設計を示す。
【図5】そこから延在する加工物の三次元設計で空洞のダイレクトブーリアンネガティブを有する電極本体の図である。
【図6a】開示する方法に従って形成される電極の形成を示す一連の図である。
【図6b】開示する方法に従って形成される電極の形成を示す一連の図である。
【図6c】開示する方法に従って形成される電極の形成を示す一連の図である。
【図6d】開示する方法に従って形成される電極の形成を示す一連の図である。
【図7】軌道に対し縮小された電極の不等角方向を示す。
【図8】加工物にて軌道に対し縮小された電極の直交方向を示す。
【図9】軌道およびスパークギャップに対し縮小された電極の直交方向におけるクローズアップである。
【図10】加工物にて軌道およびスパークギャップに対し縮小された電極の直交方向を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電加工のための電極を設計する方法であって、
前記方法は、
三次元設計で空洞を特定するステップと、
電極の大まかな形態を定めるため前記空洞のダイレクトネガティブブーリアンを計算するステップと、
前記電極の、前記三次元設計による複数のインスタンスに対応する複数の頂点を有する軌道経路を決定するステップと、
前記大まかな形態の電極から軌道ギャップを除去するため前記電極の前記大まかな形態から複数のインスタンスを取り去るステップと、
前記軌道ギャップを有する前記電極の前記大まかな形態へ一定面オフセットを適用するステップと、
を備える。
【請求項2】
前記電極へ接線延長を加えるステップをさらに備え、これにより前記接線延長はレリーフを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記軌道経路は多角形である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記軌道経路は複数の別々の頂点に細分される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記軌道経路は多角形であり、前記方法はさらに接線延長を加えるステップを備え、これにより前記接線延長はレリーフを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記軌道経路は複数の別々の頂点に細分され、前記方法はさらに接線延長を加えるステップを備え、これにより前記接線延長はレリーフを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記取り去るステップはブール減算である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
放電加工用電極を設計する方法を遂行するためコンピュータに実行可能なプログラムを内蔵した可読媒体にて実体的に体現されるコンピュータプログラム製品であって、
三次元設計で空洞を特定する命令と、
電極の大まかな形態を定めるため前記空洞のダイレクトネガティブブーリアンを計算する命令と、
前記電極の、前記三次元設計による複数のインスタンスに対応する複数の頂点を有する軌道経路を決定する命令と、
前記電極の前記大まかな形態から軌道ギャップを除去するため前記電極の前記大まかな形態から複数のインスタンスを取り去る命令と、
前記軌道ギャップを有する前記電極の前記大まかな形態へ一定面オフセットを適用する命令とを内蔵する、
コンピュータプログラム製品。
【請求項9】
接線延長を加える命令をさらに内蔵し、これにより前記接線延長はレリーフを提供する、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
前記軌道経路は多角形である、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記軌道経路は複数の別々の頂点に細分される、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
前記軌道経路は多角形であり、前記方法はさらに接線延長を加える命令を内蔵し、これにより前記接線延長はレリーフを提供する、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記軌道経路は複数の別々の頂点に細分され、前記方法はさらに接線延長を加えるステップを内蔵し、これにより前記接線延長はレリーフを提供する、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
前記取り去る命令はブール減算である、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
コンピュータ支援モデリングのためのコンピュータデータ信号コードであって、前記コンピュータデータ信号コードは設計者がコンピュータ上で方法を実施するよう構成されたコードを備え、前記方法は、
軌道経路の複数の頂点に直接関係する、軌道ギャップを規定するブール減算である複数のインスタンスにより前記軌道経路を有する電極の大まかな形態から、前記軌道ギャップと一定面オフセットとを除いた前記電極の前記大まかな形態である電極設計を作るステップと、
縮小電極に基づき物理的電極を形成するためフライス盤へ送信される信号をフォーマットするステップと、
導電性の物理的加工物で空洞を浸食するため前記物理的電極を利用するステップとを備える、
コンピュータデータ信号コード。
【請求項16】
型彫りにより導電性加工物を浸食して空洞を形成する電極であって、ソフトウェアアプリケーションは、前記電極が、複数の頂点を有する軌道経路から計算する軌道ギャップと一定面オフセットとを除いた前記空洞のネガティブとなるよう計算する、電極。
【請求項17】
コアと空洞とによって形成される成形品であって、前記コアと前記空洞は、少なくとも電極が軌道ギャップと一定面オフセットとを除いた設計空洞のネガティブとなるようソフトウェアアプリケーションにより前記電極を設計する放電加工によって切削される、成形品。
【請求項18】
少なくともプロセッサとアクセス可能メモリとを有するデータ処理システムであって、
三次元設計で空洞を特定する手段と、
電極の大まかな形態を定めるため前記空洞のダイレクトネガティブブーリアンを計算する手段と、
前記電極の、前記三次元設計による複数のインスタンスに対応する複数の頂点を有する軌道経路を決定する手段と、
前記大まかな形態の電極から軌道ギャップを除去するためブール減算により前記電極の前記大まかな形態から複数のインスタンスを取り去る手段と、
前記軌道ギャップを有する前記電極の前記大まかな形態へ一定面オフセットを適用する手段とを備える、
データ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−532211(P2009−532211A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503093(P2009−503093)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/008402
【国際公開番号】WO2007/117508
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508293782)シーメンス プロダクト ライフサイクル マネージメント ソフトウェアー インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】