説明

多軸フラックスゲート磁気検出器

【課題】回路が大型化し、消費電流の増大化を招くのを防止し得る、かつ各軸間の干渉を軽減しうる多軸フラックスゲート磁気検出器を提供する。
【解決手段】励振回路11を、X軸センサ3X、Y軸センサ3Y、Z軸センサ3Zの1つに切り替え選択して接続する切替回路14と、受信回路12を、X軸センサ3X、Y軸センサ3Y、Z軸センサ3Zの1つに切り替え選択して接続する切替回路15とを備え、1つの励振回路11で、X軸センサ3X、Y軸センサ3Y、Z軸センサ3Zを順次励振し、1つの受信回路12で、X軸センサ3X、Y軸センサ3Y、Z軸センサ3Zからの磁気検出信号を順次受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,X軸,Y軸,Z軸などの複数のフラックスゲート磁気センサを有する多軸フラックスゲート磁気検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、良く知られた多軸フラックスゲート磁気検出器として、それぞれが、鉄心、励振コイル、信号コイル、補償コイルからなるX軸用のフラックスゲートセンサ素子、Y軸用のフラックスゲートセンサ素子、Z軸用のフラックスゲートセンサ素子を備え、この、X軸用のフラックスゲートセンサ素子と励振回及び受信回路とで、X軸用のフラックスゲート磁気センサを構成し、Y軸用のフラックスゲートセンサ素子と励振回及び受信回路とで、Y軸用のフラックスゲート磁気センサを構成し、Z軸用のフラックスゲートセンサ素子と励振回及び受信回路とで、Z軸用のフラックスゲート磁気センサを構成した多軸フラックスゲート磁気検出器が知られている(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開平3−35179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の多軸フラックスゲート磁気検出器は、各軸毎に、フラックスゲート磁気センサと、励振回路、受信回路がそれぞれ備えられているので、計測する軸数が多くなると回路数も増えるため、回路が大型化し、消費電流の増大化を招き、また、同時に計測を行うため、各軸回路相互間の干渉が影響するという問題があった。
【0004】
この発明は、上記問題点に着目してなされたものであって、回路が大型化し、消費電流の増大化を招くのを防止し得る、かつ互いに干渉を軽減し得る多軸フラックスゲート磁気検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の多軸フラックスゲート磁気検出器は、複数のフラックスゲートセンサ素子と、このフラックスゲートセンサ素子を駆動する励振回路と、前記フラックスゲートセンア素子からの信号を受信する受信回路とを備える多軸フラックスゲート磁気検出器において、前記励振回路及び/若しくは受信回路を、複数のフラックスゲートセンサ素子の1つに選択接続するための切替回路を備えたことを特徴とする。
【0006】
この発明の多軸フラックスゲート磁気検出器において、最初に、前記励振回路及び/若しくは受信回路を、切替回路の選択動作で複数のフラックスゲートセンサ素子の1つに接続する。そして、選択されたフラックスゲートセンサ素子により、その軸の磁気検出を行う。次に切替回路の選択動作で次の他のフラックスゲートセンサ素子の1つに、励振回路及び/若しくは受信回路を接続し、ここで選択されたフラックスゲートセンサ素子により、その軸の磁気検出を行う。以下、順次選択されるフラックスゲートセンサ素子を切り替えて、その選択されたフラックスゲートセンサ素子により、その軸の磁気検出を行う。
【発明の効果】
【0007】
この発明によればフラックスゲートセンサ素子に対し、必要とする励振回路及び受信回路は1つで良いので、軸数が大となっても、回路の大型化、消費電流の増大化を回避できる。又、各軸が同時に検出動作することがないので、各軸フラックスゲートセンサ素子間の互いの影響を気にすることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明が実施される磁気検出器の概略回路構成を示すブロック図である。この実施形態磁気検出器は、演算制御部10と、励振回路11と、受信回路12と、磁力検出部13と、切替回路14と、切替回路15と、表示部17とを備えている。
【0009】
この実施形態磁気検出器において、磁力検出部13は、それぞれがフラックスゲートセンサ素子で構成されるX軸磁力検出部3X、Y軸磁力検出部3Y、Z軸磁力検出部3Zを備えている。励振回路11は、X軸磁力検出部3X、Y軸磁力検出部3Y、Z軸磁力検出部3Zの1つを励振するための回路であり、切替回路14を介してX軸磁力検出部3X、Y軸磁力検出部3Y、Z軸磁力検出部3Zの1つに選択的に接続される。
【0010】
受信回路12は、X軸磁力検出部3X、Y軸磁力検出部3Y、Z軸磁力検出部3Zの検出信号の1つを受信するための回路であり、切替回路15を介してX軸磁力検出部3X、Y軸磁力検出部3Y、Z軸磁力検出部3Zの1つに選択的に接続される。
【0011】
演算制御部10は、切替回路14、切替回路15に、切替信号を入力して切替を制御する。又、磁気測定のための必要な演算を行うなど種々の処理を実行する。
【0012】
この実施形態磁気検出器の特徴は、励振回路11及び受信回路12をそれぞれ単一個設けると共に、この励振回路11及び受信回路12を切替回路14、切替回路15により、X軸磁力検出部3X、Y軸磁力検出部3Y、Z軸磁力検出部3Zに、選択的に接続するようにしたことである。
【0013】
図2は、この実施形態回路の特徴回路部分を、具体的に示している。切替回路14は、共通端子T1と、切替端子T2,T3,T4を有するアナログスイッチであり、共通端子T1は励振回路11に接続され、切替端子T2,T3,T4は、X軸センサ3X,Y軸センサ3Y、Z軸センサ3Zの励振コイルに接続されている。また、切替回路15は、同じく共通端子T1と、切替端子T2,T3,T4を有するアナログスイッチであり、共通端子T1は受信回路12に接続され、切替端子T2,T3,T4は、X軸センサ3X,Y軸センサ3Y、Z軸センサ3Zの検出コイルに接続されている。
【0014】
切替回路14、切替回路15は、切替信号発生回路16からの信号により、切替られる。切替信号発生回路16は、 演算制御部10に含まれる回路である。
【0015】
この実施形態磁気検出器において、磁気測定処理を行う場合は、先ず演算制御部10の切替信号発生回路16よりの切替信号により、切替回路14の共通端子T1を切替端子T2に投入(接続)する。また、同じく切替回路15の共通端子T1を切替端子T2に投入(接続)する。これにより、励振回路11がX軸センサ3Xの励振コイルに接続され、受信回路12がX軸センサ3Xの検出コイルに接続される。そして、被測定点のX軸磁気成分が検出される。
【0016】
X軸磁気成分の検出が終了すると、切替信号発生回路16より次の切替信号が発せられ、切替回路14の共通端子T1を切替端子T3に投入(接続)する。また、同じく切替回路15の共通端子T1を切替端子T3に投入(接続)する。これにより、励振回路11がY軸センサ3Yの励振コイルに接続され、受信回路12がY軸センサ3Yの検出コイルに接続される。そして、被測定点のY軸磁気成分が検出される。
【0017】
Y軸磁気成分の検出が終了すると、切替信号発生回路16より次の切替信号が発せられ、切替回路14の共通端子T1を切替端子T4に投入(接続)する。また、同じく切替回路15の共通端子T1を切替端子T4に投入(接続)する。これにより、励振回路11がZ軸センサ3Zの励振コイルに接続され、受信回路12がZ軸センサ3Zの検出コイルに接続される。そして、被測定点のZ軸磁気成分が検出される。
【0018】
以上のようにして単一の励振回路、受信回路を用いて、X,Y,Zの3軸の磁気を検出する。
【0019】
なお、上記実施形態では、3軸の各磁気を単一の励振回路、受信回路を用いて、測定する場合について説明したが、この発明はこれに限ることなく、例えば6軸その他の多軸フラックスゲート磁気検出器に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態多軸フラックスゲート磁気検出器の概略回路構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態多軸フラックスゲート磁気検出器の要部回路を、さらに具体的に示す回路図である。
【符号の説明】
【0021】
3X X軸センサ
3Y Y軸センサ
3Z Z軸センサ
10 演算制御部
11 励振回路
12 受信回路
13 磁力検出部
14 切替回路
15 切替回路
16 切替信号発生回路
17 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフラックスゲートセンサ素子と、このフラックスゲートセンサ素子を駆動する励振回路と、前記フラックスゲートセンサ素子からの信号を受信する受信回路とを備える多軸フラックスゲート磁気検出器において、
前記励振回路及び/若しくは受信回路を、複数のフラックスゲートセンサ素子の1つに選択接続するための切替回路を備えたことを特徴とする多軸フラックスゲート磁気検出器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−313108(P2006−313108A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135837(P2005−135837)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】