説明

多重アンテナを使用した無線電力伝送装置及びその制御方法

【課題】多様な充電対象機器に対して電力伝送効率を最適化できる多重アンテナを使用した無線電力伝送装置及びその制御方法の提供。
【解決手段】共振周波数を使用して無線電力信号を磁気共鳴方式で伝送し、共振周波数の帯域幅がそれぞれ異なる少なくとも1つ以上の電力伝送用アンテナと、無線電力信号を生成する無線電力信号発生モジュールと、無線電力信号発生モジュールから生成された無線電力信号の電力レベルを変換し、電力伝送用アンテナの共振周波数の帯域幅に対応してそれぞれ異なる電力レベル変換幅を有する少なくとも1つ以上の無線電力変換モジュールと、無線電力変換モジュールと対応する電力伝送用アンテナを選択的に接続するマルチプレクサーマッチングモジュールと、充電対象機器の必要電力量に応じて電力伝送用アンテナと無線電力変換モジュールとを選択的に接続し、無線電力信号の電力レベルを調整する制御部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子機器や小型家電機器に無線で電力を電送してバッテリーを充電したり、駆動電源として使用できるようにする無線電力伝送装置に関し、より詳しくは、電力伝送を担うアンテナを多重に構成することで、多様な充電対象機器に対して電力伝達効率を最適化できる多重アンテナを使用した無線電力伝送装置及びその制御方法に関する。
【0002】
本出願は、2011年9月5日出願の韓国特許出願第10−2011−0089752号に基づく優先権を主張し、この出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
一般に、移動通信端末、PDA(携帯情報端末;Personal Digital Assistant)、PMP(携帯マルチメディアプレイヤー;Portable Multimedia Player)、ノートパソコンなどのような携帯型電子機器は、ユーザーの利便性を高めるために、駆動電源として再充電可能な二次電池(バッテリー)を使用している。
【0004】
このようなバッテリーを駆動電源として使用することで、電力供給のための優先環境からユーザーが自由になるため、いっそう便利に製品を使用することができる。
【0005】
バッテリーは、外部電源により充電することでエネルギーが貯蔵される。このようにバッテリーを充電するために、家庭用商用電源をバッテリーに必要な可用定格電力として供給する別途の有線充電装置が主に使用されている。
【0006】
有線充電方式は、通常、充電装置の端子とバッテリーの端子とが相互物理的に接触することで電気的に接続される方式が使用されている。
【0007】
しかし、上記のような方法の電気的接続は、端子が相互物理的に接続する方式であるため、物理的摩耗が生じて接続信頼性が低下することがある。また、接触端子が外部に露出する形態が多く、異物による汚染などで接触状態が悪化しやすいという問題点もある。さらに、水分や湿気が多い環境では、短絡事故の恐れがあり、充電されたエネルギーが消失しやすくなるなどの問題が起こりえる。
【0008】
このような接触式充電方式の問題点を解決するために、充電装置とバッテリーの端子とが物理的に接触しない方式の無接点充電システムが開示されている。
【0009】
無接点充電とは、周知のように、1次コイルで磁場の磁束が経時的に変化すれば、その磁場によって隣接した2次コイルに電力が誘導される現象を用いる充電方式である。
【0010】
図4は、従来の誘導起電力方式の無接点充電装置とバッテリーの構成を示した概略図である。
【0011】
図4を参照すれば、従来の無接点充電装置10は、商用交流電源20から電力の供給を受けて高周波交流電流を出力する高周波電力駆動手段30、高周波電力駆動手段30から高周波交流電流が印加されて磁場Mを形成する1次コイル40を備えている。
【0012】
また、バッテリー50は、電気エネルギーが充電されるバッテリーセル60、1次コイル40で発生した磁場Mの鎖交によって高周波交流電流が誘導される2次コイル70、2次コイル70に誘導された高周波交流電流を直中電流に変換する整流部80、及び整流部80で整流された直流電流をバッテリーセル60に印加する定電圧/定電流供給部90を備える。ここで、定電圧/定電流供給部90はバッテリー充電装置に多く使用される周知の回路素子である。
【0013】
定電圧/定電流供給部90は、充電初期にはバッテリーセル60に電流を一定に供給し、バッテリーセル60の充電電圧が徐々に増加して特定の基準値を超えれば、電流の供給を減らす一方で、バッテリーセル60が満充電状態になるまで電圧を一定に維持する機能を有する。
【0014】
従来の無接点充電装置10は、誘電起電力の発生のための1次コイル40が内蔵された無線ベースパッドを備え、無線ベースパッド上に1次コイル40に対応する2次コイル70が備えられたバッテリー50を載置して用いられる。しかしながら、このような方式では、誘導起電力の発生のためのコイルを平面上にしなければならない。また、電力の伝送側と受信側との間に方向性が存在するため、充電対象となるバッテリー50の位置選定に制約を伴うため、充電対象であるバッテリー50が載置される位置によって充電効率が変化するという問題が生じる。
【0015】
また、従来の無接点充電装置10は、複数の充電対象機器が電力を求める場合、複数の充電対象機器に適合した電力を伝送するための電力変換モジュールを必要とする。電力変換モジュールでは、複数の充電対象機器に電力を供給するため、時分割などの制御アルゴリズムを用いて電力を供給している。
【0016】
しかし、必要電力量の同じ複数の充電対象機器には適切な電力を伝送することができるが、必要電力量の異なる複数の充電対象機器を充電するためには、複雑な制御アルゴリズムが必要であった。これにより、不要な電力を消費して電力伝達効率が低下するという問題点があった。また、電力変換モジュールの設計において、電力の変換幅が広く設計された場合は、電力変換モジュールの効率が低下するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、無線電力の伝送を担うアンテナを多重に構成することで、多様な充電対象機器に対して電力伝送効率を最適化できる多重アンテナを使用した無線電力伝送装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するため、本発明による無線電力伝送装置は、
共振周波数を使用して無線電力信号を磁気共鳴方式で伝送し、前記共振周波数の帯域幅がそれぞれ異なる少なくとも1つ以上の電力伝送用アンテナと、
前記無線電力信号を生成する無線電力信号発生モジュールと、
前記無線電力信号発生モジュールから生成された無線電力信号の電力レベルを変換し、前記電力伝送用アンテナの共振周波数の帯域幅に対応してそれぞれ異なる電力レベル変換幅を有する少なくとも1つ以上の無線電力変換モジュールと、
前記無線電力変換モジュールと対応する電力伝送用アンテナを選択的に接続するマルチプレクサーマッチングモジュール(Multiplexer matching module)と、
充電対象機器の必要電力量に応じて前記電力伝送用アンテナと前記無線電力変換モジュールとを選択的に接続し、無線電力信号の電力レベルを調整する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0019】
望ましくは、前記無線電力伝送装置が、前記充電対象機器を探知する探知信号を送出し、探知された充電対象機器とデータ通信する無線通信モジュールをさらに含む。
【0020】
望ましくは、前記制御部が、前記無線通信モジュールを用いて探知された充電対象機器の充電状態情報を受信する。
【0021】
望ましくは、前記制御部が、前記充電対象機器の充電状態情報に基づいて充電対象機器の必要電力量を選定する。
【0022】
望ましくは、前記充電対象機器の充電状態情報は、前記充電対象機器を識別する固有の識別コードと必要電力量を含む情報である。
【0023】
望ましくは、前記制御部が、前記充電対象機器の充電状態情報を持続的にモニタリングし、モニタリング結果によって充電対象機器の必要電力量を再選定し、再選定した必要電力量に応じて無線電力信号の電力レベルを調整する。
【0024】
望ましくは、前記制御部は、前記充電対象機器が1つ以上の場合、時分割制御を用いてそれぞれの充電対象機器に無線電力信号を伝送する。
【0025】
望ましくは、前記マルチプレクサーマッチングモジュールが、前記無線電力変換モジュールと前記電力伝送用アンテナとの間のインピーダンスをマッチングする。
【0026】
上記の課題を解決するため、本発明による無線電力伝送制御方法は、
(a)充電対象機器の必要電力量に対応する無線電力信号を伝送できる共振周波数の帯域幅を有する電力伝送用アンテナ、及び、前記電力伝送用アンテナの共振周波数の帯域幅に対応する電力レベル変換幅を有する無線電力変換モジュールを選択する段階と、
(b)前記選択された無線電力変換モジュールを制御して前記充電対象機器の必要電力量に応じて無線電力信号の電力レベルを調整する段階と、
(c)前記選択された無線電力変換モジュールと前記電力伝送用アンテナとを接続して無線電力信号を伝送する段階と、を含むことを特徴とする。
【0027】
望ましくは、前記(a)段階の前に、前記充電対象機器を探知する探知信号を送出して充電対象機器を探知する段階と、前記探知された充電対象機器とデータ通信して充電対象機器の充電状態情報を受信する段階と、をさらに含む。
【0028】
望ましくは、前記(a)段階が、前記充電対象機器の充電状態情報に基づいて充電対象機器の必要電力量を選定する。
【0029】
望ましくは、前記充電対象機器の充電状態情報は、前記充電対象機器を識別する固有の識別コードと必要電力量を含む情報である。
【0030】
望ましくは、前記(c)段階の後に、前記充電対象機器の充電状態情報を持続的にモニタリングし、モニタリング結果によって充電対象機器の必要電力量を再選定し、再選定した必要電力量に応じて無線電力信号の電力レベルを調整する段階をさらに含む。
【0031】
望ましくは、前記(a)段階は、前記充電対象機器が1つ以上の場合、時分割制御を用いてそれぞれの充電対象機器に無線電力信号を伝送する。
【0032】
望ましくは、前記(c)段階が、前記無線電力変換モジュールと電力伝送用アンテナとの間のインピーダンスをマッチングする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明による無線電力伝送装置を示した概略図である。
【図2】図2は、本発明による無線電力伝送装置の構成を示したブロック図である。
【図3】図3は、本発明による無線電力伝送装置の無線電力伝送方法を説明するフロー図である。
【図4】図4は、従来の誘導起電力方式の無接点充電装置とバッテリーの構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。
【0035】
これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0036】
また、本明細書に添付される図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【0037】
図1は、本発明による無線電力伝送装置を示した概略図であり、図2は、本発明による無線電力伝送装置の構成を示したブロック図であり、図3は、本発明による無線電力伝送装置の無線電力伝送方法を説明するフロー図である。
【0038】
図1及び図2を参照すれば、本発明による無線電力伝送装置100は、携帯型電子機器や小型家電機器のような充電対象機器201,202,203に無線で電力を伝送し、この充電対象機器201,202,203のバッテリーを充電したり、駆動電源として使用される装置である。
【0039】
本発明においては、無線電力伝送装置100に無線電力を伝送する電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nを少なくとも1つ以上設けたことを特徴とする。
【0040】
電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nは、共振周波数を使用して無線電力信号を磁気共鳴方式で伝送するか、共振周波数の帯域幅がそれぞれ異なるように設計される。
【0041】
従来の無線電力伝送装置では、単一の電力伝送用アンテナと単一の無線電力変換モジュールで構成されていたが、本発明では共振周波数の帯域幅がそれぞれ異なる複数の電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nを設け、複数の電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nの共振周波数の帯域幅に最適の電力レベル変換幅を有する複数の無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nを設ける。
【0042】
これにより、必要電力量がそれぞれ異なる複数の充電対象機器に対して電力伝達効率が低下するという従来の無線電力伝送装置で生じた問題を解決した。また、従来の無線電力伝送装置では電力変換モジュールの電力変換幅を大きく設計しなければならなかったが、この問題も解決した。
【0043】
すなわち、本発明による無線電力伝送装置100は、共振周波数の帯域幅がそれぞれ異なる複数の電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nと、それに対応する無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nを設けることで、必要な電力量に最適の電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nと無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nを選択し、これにより無線電力信号の電力レベルを制御できるため、無線電力信号の伝達効率を最適化することができる。
【0044】
以下、図2を参照して本発明による無線電力伝送装置100の詳細な構成を説明する。
【0045】
本発明による無線電力伝送装置100は、少なくとも1つ以上の電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nと、無線電力信号発生モジュール120と、少なくとも1つ以上の無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nと、マルチプレクサーマッチングモジュール(Multiplexer matching module)140と、無線通信モジュール150と、それぞれの構成要素を制御する制御部160と、を父君で構成される。
【0046】
電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nは非放射型アンテナであって、共振周波数を使用して無線電力信号を磁気共鳴方式で伝送する信号伝達媒体である。複数の電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nは共振周波数の帯域幅がそれぞれ異なる。
【0047】
無線電力信号発生モジュール120は、無線電力伝送が行われるように無線電力信号を生成する。
【0048】
複数の無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nは、無線電力信号発生モジュール120から生成された無線電力信号の電力レベルを変換し、かつ、電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nの共振周波数の帯域幅に対応してそれぞれ異なる電力レベル変換幅を有する。
【0049】
マルチプレクサーマッチングモジュール140は、無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nと対応する電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nを選択的に接続し、互いに接続された無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nと電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nとの間のインピーダンスをマッチングする。
【0050】
無線通信モジュール150は、充電対象機器201,202,203を探知する探知信号を送出し、探知された充電対象機器201,202,203とデータ通信を行う。
【0051】
制御部160は、一種のマイクロプロセッサであって、それぞれの構成要素を全般的に制御し、無線電力伝送のためのプロセスを実行する。
【0052】
制御部160による無線電力伝送のプロセスを以下に示す。
【0053】
まず、無線通信モジュール150を用いて探知された充電対象機器201,202,203とのデータ通信で、充電対象機器201,202,203の充電状態情報を受信し、受信した充電状態情報に基づいて充電対象機器201,202,203の必要電力量を選定する。
【0054】
その後、制御部160は、選定された必要電力量に対応する無線電力信号が伝送できるように、電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nと、それに対応する無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nを選択して無線電力信号の電力レベルを調整する。
【0055】
次いで、制御部160は、マルチプレクサーマッチングモジュール140を制御することで、無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nと電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nとを選択的に接続し、無線電力信号を電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nを用いて伝送する。ここで、充電対象機器201,202,203から受信した充電状態情報は、充電対象機器201,202,203を識別する固有の識別コードと必要電力量を含んでいる。
【0056】
また、制御部160は、充電対象機器201,202,203と持続的にデータ通信し、充電対象機器201,202,203の充電状態情報をモニタリングする。制御部160は、モニタリング結果によって充電対象機器201,202,203の必要電力量を再選定し、再選定した必要電力量に対応するように、無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nを制御して無線電力信号の電力レベルを調整することで、充電対象機器201,202,203の充電が完了するまで無線電力信号を最適の状態に維持する。
【0057】
一方、制御部160は、充電対象機器201,202,203が1つ以上探知される場合、時分割制御することでそれぞれの充電対象機器201,202,203に無線電力信号が伝送されるように制御する。
【0058】
このような場合、本発明では、無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nと電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nとが複数設けられているため、それぞれの充電対象機器201,202,203による必要電力量に応じて、無線電力変換モジュール110A,110B,・・・110Nとを選択的に制御でき、無線電力信号の伝達効率を最適化することができる。
【0059】
例えば、必要電力量が20Wのノートパソコンと、必要電力量が5Wの移動通信端末機が同時に探知されて充電が行われる場合、20Wと5Wに対応する無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nと電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nとをそれぞれ選択して時分割制御で充電できるため、電力の伝達効率を増大させることができる。
【0060】
代案的に、上述した実施例では電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nが無線電力を電送する役割を果たすものと説明されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、充電対象機器201,202,203とのデータ通信を行うこともできる。
【0061】
このような場合、それぞれの電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110NにはWLAN(無線LAN;Wireless LAN)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)及び磁場通信モデムなどを接続することができる。
【0062】
図3は、本発明による無線電力伝送装置の無線電力伝送方法を説明するフロー図である。
【0063】
以下、図3を参照して本発明の無線電力伝送装置の無線電力伝送方法を説明する。
【0064】
まず、ステップS10において、制御部160は無線通信モジュール150を制御して、充電対象機器201,202,203を探知する探知信号を送出し、充電対象機器201,202,203を探知する。
【0065】
すなわち、制御部160は、無線通信モジュール150を用いて探知信号としてPing信号を周期的に送出し、それによって受信した反射信号の信号強度に基づいて充電対象機器201,202,203が探知されたか否かを判断する。
【0066】
ステップS20において、制御部160は、探知した充電対象機器201,202,203とデータ通信して充電対象機器201,202,203の充電状態情報を受信する。すなわち、制御部160は、無線通信モジュール150を用いて探知した充電対象機器201,202,203に対して充電状態情報の送信を命令する信号を伝送し、その命令に充電対象機器201,202,203が応答して充電状態情報が送信されれば、それを受信する。ここで、充電状態情報には、充電対象機器201,202,203を識別する固有の識別コードと必要電力量が含まれる。この場合、制御部160はまず、識別コードを受信して充電対象機器であるか否かを把握し、充電対象機器である場合、必要電力量に関する情報を受信する。
【0067】
ステップS30において、制御部160は、充電対象機器201,202,203の充電状態情報に基づいて充電対象機器201,202,203の必要電力量を選定する。
【0068】
ステップS40において、制御部160は、選定した必要電力量に対応する無線電力信号を伝送できる共振周波数の帯域幅を有するで力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nと、それに対応する無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nを選択する。
【0069】
ステップS50において、制御部160は、充電対象機器201,202,203の必要電力量に対応するように無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nを制御して無線電力信号の電力レベルを調整する。
【0070】
ステップS60において、制御部160は、マルチプレクサーマッチングモジュール140を制御し、無線電力信号の電力レベルを調整した無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nと、それに対応する電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nを選択的に接続して無線電力信号を伝送する。
【0071】
このとき、マルチプレクサーマッチングモジュール140は、互いに接続された無線電力変換モジュール130A,130B,・・・130Nと、電力伝送用アンテナ110A,110B,・・・110Nとの間のインピーダンスをマッチングし、無線電力信号の伝送効率を高めることができる。
【0072】
ステップS70からは、無線電力信号が伝達された充電対象機器201,202,203で行われる段階である。ステップS80では、充電対象機器201,202,203の充電状態を判断し、充電が完了していればプロセスを終了する。一方、充電が完了していなければ、ステップS90に進む。
【0073】
ステップS90で、充電対象機器201,202,203は充電状態情報を更新する。このようにして変更された充電状態情報は、再び無線電力伝送装置100の制御部160に伝送される。
【0074】
上述したステップS20からS60において、制御部160は充電対象機器201,202,203と持続的にデータ通信し、充電対象機器201,202,203の充電が完了するまでプロセスを繰り返す。
【0075】
一方、ステップS10において、充電対象機器201,202,203が1つ以上探知される場合、ステップS20からステップS60は、時分割制御を用いて多重プロセスとして行われる。
【0076】
以上、本発明を限定された実施例と図面に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
100 無線電力伝送装置
110A,110B,・・・110N 電力伝送用アンテナ
120 無線電力信号発生モジュール
130A,130B,・・・130N 電力変換モジュール
140 マルチプレクサーマッチングモジュール
150 無線通信モジュール
160 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振周波数を使用して無線電力信号を磁気共鳴方式で伝送し、前記共鳴周波数の帯域幅がそれぞれ異なる少なくとも1つ以上の電力伝送用アンテナと、
前記無線電力信号を生成する無線電力信号発生モジュールと、
前記無線電力信号発生モジュールから生成された無線電力信号の電力レベルを変換し、前記電力伝送用アンテナの共振周波数の帯域幅に対応してそれぞれ異なる電力レベル変換幅を有する少なくとも1つ以上の無線電力変換モジュールと、
前記無線電力変換モジュールと対応する電力伝送用アンテナを選択的に接続するマルチプレクサーマッチングモジュールと、
充電対象機器の必要電力量に応じて前記電力伝送用アンテナと前記無線電力変換モジュールとを選択的に接続して、無線電力信号の電力レベルを調整する制御部と、
を含むことを特徴とする無線電力伝送装置。
【請求項2】
前記充電対象機器を探知する探知信号を送出し、探知された充電対象機器とデータ通信する無線通信モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の無線電力伝送装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記無線通信モジュールを用いて探知された充電対象機器の充電状態情報を受信することを特徴とする請求項2に記載の無線電力伝送装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記充電対象機器の充電状態情報に基づいて充電対象機器の必要電力量を選定することを特徴とする請求項3に記載の無線電力伝送装置。
【請求項5】
前記充電対象機器の充電状態情報は、前記充電対象機器を識別する固有の識別コードと必要電力量を含む情報であることを特徴とする請求項4に記載の無線電力伝送装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記充電対象機器の充電状態情報を持続的にモニタリングし、モニタリング結果によって充電対象機器の必要電力量を再選定し、再選定した必要電力量に応じて無線電力信号の電力レベルを調整することを特徴とする請求項4に記載の無線電力伝送装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記充電対象機器が1つ以上の場合、時分割制御を用いてそれぞれの充電対象機器に無線電力信号を伝送することを特徴とする請求項1に記載の無線電力伝送装置。
【請求項8】
前記マルチプレクサーマッチングモジュールが、前記無線電力変換モジュールと前記電力伝送用アンテナとの間のインピーダンスをマッチングすることを特徴とする請求項1に記載の無線電力伝送装置。
【請求項9】
(a)充電対象機器の必要電力量に対応する無線電力信号を伝送できる共振周波数の帯域幅を有する電力伝送用アンテナ、及び、前記電力伝送用アンテナの共振周波数の帯域幅に対応する電力レベル変換幅を有する無線電力変換モジュールを選択する段階と、
(b)前記選択された無線電力変換モジュールを制御して前記充電対象機器の必要電力量に応じて無線電力信号の電力レベルを調整する段階と、
(c)前記選択された無線電力変換モジュールと前記電力伝送用アンテナとを接続して無線電力信号を伝送する段階と、
を含むことを特徴とする無線電力伝送制御方法。
【請求項10】
前記(a)段階の前に、
前記充電対象機器を探知する探知信号を送出して充電対象機器を探知する段階と、
前記探知された充電対象機器とデータ通信して充電対象機器の充電状態情報を受信する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の無線電力伝送制御方法。
【請求項11】
前記(a)段階が、前記充電対象機器の充電状態情報に基づいて充電対象機器の必要電力量を選定することを特徴とする請求項10に記載の無線電力伝送制御方法。
【請求項12】
前記充電対象機器の充電状態情報は、前記充電対象機器を識別する固有の識別コードと必要電力量を含む情報であることを特徴とする請求項11に記載の無線電力伝送制御方法。
【請求項13】
前記(c)段階の後に、前記充電対象機器の充電状態情報を持続的にモニタリングし、モニタリング結果によって充電対象機器の必要電力量を再選定し、再選定した必要電力量に応じて無線電力信号の電力レベルを調整する段階をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の無線電力伝送制御方法。
【請求項14】
前記(a)段階は、前記充電対象機器が1つ以上の場合、時分割制御を用いてそれぞれの充電対象機器に無線電力信号を伝送することを特徴とする請求項9に記載の無線電力伝送制御方法。
【請求項15】
前記(c)段階が、前記無線電力変換モジュールと電力伝送用アンテナとの間のインピーダンスをマッチングすることを特徴とする請求項9に記載の無線電力伝送制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−55879(P2013−55879A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193124(P2012−193124)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【出願人】(510254982)エルエス ケーブル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】