説明

多重管によるラミナー素子の構造を有する層流型流量計

【課題】 実用的な面から流量の数値が差圧の直線的関係数値から±1%以内の偏差に収まるような特性のラミナーエレメントを実現することが課題である。そして装置としての構造が小型で耐圧性があり、圧力センサを含めた構成が実用的に簡便なものにすることが課題である。
【解決手段】 管路の入口17側と出口21側との差圧を測定し、流体の物理定数、入口温度及絶対圧と流路断面積から流量を測定する層流型流量計において、層流を形成するラミナー素子20として外側管1の内周とその内部に装着した内側管11、13の外周で形成する環状流路を一重または複数重用いて差圧発生に必要な一定の長さのラミナー素子として用いる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流量測定を必要とする全ての産業分野に関係するが、とくに気体流量が10L/min以下の領域の流量測定の産業分野に関する。
【背景技術】
【0002】
層流型流量計(非特許文献1、2)にはいろいろなラミナーエレメント(ラミナー素子)が用いられてきた。比較的大流量には薄板で構成する細い波形などの流路の集積した広い断面のエレメント、少流量には単数または複数の細いキャピラリーで構成するラミナーエレメント(ラミナー素子)が用いられてきた。これらのラミナーエレメント(ラミナー素子)で流路の入り口と出口の間の差圧が流量との間に比例関係すなわち直線性を広い範囲で保つことが必要とされてきた。そのために細いキャピラリーを用いてある程度大きな流速でもレイノルズ数を小さく保つことが必要とされ、そのために小さくて断面形状の正確な細い円管などが利用されてきた。図1に示す層流型流量計の基本的な構成における層流形成の流路、すなわちラミナーエレメント(ラミナー素子)では1個の流路については円、三角形、四角形、六角形あるいは波型とほぼ限定されていた。流路の長さの問題もあるが、これまでのラミナーエレメント(ラミナー素子)では断面の面積と周長の関係は幾何学的な形状によるが、一方では加工や板厚の制約を受けて限定されてきた。流路の流体力学的特性を代表するレイノルズ数は粘性と流速と流路断面の弦長によるが、流路断面の弦長を正確に均一・安定的に0.3mm以下にすることは容易でなかった。小流量を対象として円管を利用して弦長を0.3mm以下にしようとするときは極めて小さい径のキャピラリーを必要とする。その場合管の厚みの割合増加により流路断面の有効面積が大きくできなくなることや、粘性抵抗以外に前面面積に基づく抗力などが無視できなくなるなど難点が生じた。層流型流量計の試作や特殊な用途以外ではキャピラリーを広く実用的に利用することは少なかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】柳原茂、層流形流量計、内燃機関、Vol.7,No.77 1968.10.p 11
【非特許文献2】日本機械学会、技術資料、流体計測法、p214、4.9.2 層流流量計、1985,8月25日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
層流型流量計としては流路断面積を十分に確保し実用の流速(v)・流量(q)範囲において、差圧(ΔP)が測定に適した領域であること、およびレイノルズ数を200以下にできる流路形状が必要である。レイノルズ数を小さく保つことが直線性を保つための一つの条件で、さらに製作容易であることも必要である。とくに10L/min以下の小流量域において1:10以上の流量範囲で差圧0〜1.0kPa以上を発生することも実用的には重要である。一般にラミナー素子では流量(q)と差圧(ΔP)の関係において、
q=A1ΔP−AΔP+AΔP−AΔP+・・(A1は収斂する係数)で近似できる特性を持つ。
この特性は第一項が支配的な影響を持つので、リニアライザーを用いないでもqとΔPとが測定範囲内でほぼ比例関係が成立し、実用的な面から流量の数値が差圧の直線的関係数値から±1%以内の偏差に収まるような特性のラミナーエレメントを実現することが課題である。そして装置としての構造が小型で耐圧性があり、圧力センサを含めた構成が実用的に簡便なものにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
流路の断面形状として単純な円形1個以上を並列的に用いることは必ずしも適切でないので二つ以上の円形を重ねた環状断面の流路を利用する手段を講じた。このとき外側管路は内周が円形であり、その中により細円管または丸棒を入れると環状流路が簡単に構成できる。この環状流路では図3に示すように外側管路の内径をDi、内側管路の外径をdとするとき、流体力学な等価直径deがde=(Di−d)となり、流路断面積AはA=(π/4)(Di2−d2)で周長はπ(Di+d)となる。等価直径は大きく減少でき、断面積の減少はそれほど大きくない範囲にできる。一方、同じ流路長lにおける圧力降下Δpは等価直径deの二乗に反比例して大きくなる。
Δp=32μ(l/de2)v
と表せる。ここにμは粘性係数である。従って、二重管路にした場合同じ流量で圧力降下を同じにするためには等価直径に応じて流路長を短くする必要がある。
【0006】
具体的な構造としては、図1に示した層流型流量計の基本的な構成において、1は層流を発生する流路でラミナーエレメントである。2は流体で入り口側7から出口側8に流れる。3は流体の入口温度センサで、4は絶対圧センサである。5は入口と出口の差圧を測定する差圧センサである。これらのセンサからの出力は流量演算回路6により流量として示される。層流を発生する流路管1として図2に示すような単一、または複数の平行に並べた細い円管(キャピラリー)を用いることが従来行われていた。本発明の特徴は図3に示すように流路管の内側に内周よりも細い管11を挿入して、外側環状流路と内側円形流路の二重管にする方式である。その場合内側の流路は単純な円管と見なせる。外側の管状流路が重要で、その断面積は

で周長は

である。等価径は

である。内側管11は必ずしも環状流路の中心に位置しなくとも良いので、外側管1の内側に接して何らかの手段で固定しておけばよい。また内側管11の内周側は必ずしも流路として利用しなくても良いので、図4のように内側流路11には流体が流れないように封止材12で閉鎖するかあるいは丸棒を利用することも可能である。内側流路管11の中に、なお細い最内側管路13を入れて三重管路としてラミナーエレメントを構成することも可能である。図5には三重管路にした場合の例を示すが、最内側管路長L1は内側管路11の流路抵抗を適切にするために一定長より短い管路とすることもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって層流型流量計のラミナーエレメントの構成において、形状寸法の明確な円管を用い本数は少なく長さは短くしても、流量と差圧の間に必要な比例関係(直線性)を確保できるようになった。さらに差圧測定範囲を必要に応じて適切に選定できるようにした。とくに層流流量計としての特性に大きな影響を持つ流路のレイノルズ数を同じ流路断面積で画期的に小さくして流体の粘性を十分に利用することが可能になった。さらにまた必要な差圧発生の管路長を短くすることが可能となり、10L/min以下の小流量域のラミナーエレメントとして小型で最適な形状を製作することが可能となった。例えば空気の層流型流量計として内径d、外径D長さLのキャピラリーをn本流路に入れてラミナーエレメントを構成するときに、等価径はde、流路断面積はn(π/4)dであるが、二重円管のラミナーエレメントとして外側の内径Di,内側管の外径dとするときに内側管が閉塞されているとしても、環状流路の等価径をde=(Di−d)として流路の断面積は(π/4)(Di2−d2)である。今、Di=1.18mm, d=0.81mmとしたとき等価径はde=(Di−d)=0.37mmで流路断面積は0.57829mm2となり、23G(注射針など細管の規格呼称で外径0.63mm、内径0.33mm)キャピラリーを7本用いた層流エレメントに相当する。23Gキャピラリーの外径は0.63mmで7本収納するには内径1.89mm以上の管路が必要になる。二重管路にした場合は概略的に同等の等価径のキャピラリー7本程度に相当することになる。
【0008】
普通キャピラリーでは細くなると管の肉厚が有効な流路断面積に大きく影響し、23G以下の細いキャピラリーでは面積比で30%以下にもなる。前記の例では23G 7本で肉厚断面積は1.583mm2で、二重管路にした場合の21G一本としたときの0.311mm2の5倍以上となる。二重管路では流路の周長はある程度長くなるけれども、細い管を多数用いるよりも流路断面積の割合を比較的大きく保てる。因みに前記の例では23Gのキャピラリー7本を収納する流路管は1/8SUSチューブで内径1.18mm,と21Gのキャピラリー1本となる。本発明による多重管路によるラミナー素子の流路構成においては流路の面積効率を比較的高く保って、流体力学的な等価径を容易に小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】層流型流量計の基本的な構成を示す説明図
【図2】ラミナーエレメント(素子)としての単一管の流路断面を示す断面説明図で(a)は横断面説明図、(b)は縦断面説明図
【図3】ラミナー素子としての二重管による二重環状流路の断面説明図
【図4】ラミナー素子としての二重管の内側管を封止した流路の断面説明図
【図5】ラミナー素子としての三重管の流路の断面説明図
【図6】単管をラミナー素子とした流量計の差圧と流量の関係例を示すグラフ
【図7】単管の場合の測定流量の直線関係からの偏差(%)例を示すグラフ
【図8】多重管(三重)をラミナー素子とした流量計の差圧と流量の関係例を示すグラフ
【図9】多重管の場合の測定流量の直線関係からの偏差(%)例を示すグラフ
【図10】定温定圧での多重管式ラミナーを用いた流量計の装着例を示す説明図
【図11】ラミナーエレメントを構成する単管と2重管を示す断面説明図で、(a)及び(b)は横断面図を示し、(c)は2重管の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図5に本発明の多重管路によるラミナー素子の構成例を示すが、この場合は三重管としており、最内側管13は内側管11に円形の楔14で強く押し付けられて固定されている。内側管11は矩形状の楔15で最外側管1に強く押し付けられて固定されている。最内側管13は流路の抵抗を調節する役割があり、この場合は一定長Lよりも短く設定されている。最外側管1は流路管であり、継ぎ手などで装置に固定され、圧力センサや温度センサの装着されている位置に連結される。
【0011】
次に、本発明によるラミナー素子の測定結果の例を挙げて効果を説明する。測定結果としては入口条件が一定温度、一定絶対圧に保たれて体積流量Q(L/min)と差圧Δp(mmH20)との関係の例を図に示す。図6は従来の方式の単管によるラミナーエレメントを用いた測定結果である。この場合の管は内径1.18mmで長さは120mmであった。差圧の最大値は15mmH20程度で小さい。一見かなり良い比例関係に見えるが、完全な直線関係からの偏差は、図7に示すように差圧10mmAq(mmH20),流量4.43NmL/sを基準に百分率で表すと相当に大きい数値である。これに対して多重管として構成したラミナーエレメントは外側管とは同じ長さで内径1.18mmであるが、内側管として20G管(外径0.88mm,内径0.58mm)を入れ更に最内側管として外径0.35の管50mm長さのものを固定している。図8にこの多重管による流量と差圧の測定結果を例示する。この時の流量測定値の偏差を図7と同様に差圧159.6mmH20、mmH20,流量4.36 NmL/sを基準として百分率で示したものが図9である。これらの測定範囲において比較してみると図8,9に示した多重管による測定例では単管の場合(図6,図7)の例よりも直線性が遥かに優れている。こうした結果から差圧測定のセンサ出力は単純に増幅するだけで流量表示が可能になり、リニアライザーを用いないで簡便に流量測定できる。
【0012】
層流型流量計としては差圧測定範囲や流量測定範囲も考慮する必要がある。多重管路によるラミナーエレメントの構成では明らかに差圧と流量の関係特性として直線性を大きく改善できる効果がある。層流型流量計は測定範囲においてリニアライザーを用いなくても1%以内の直線性を確保できることが課題であり、多重管路によるラミナーエレメントの構造はその道を確認できたものである。また差圧測定においても5mmH20以下の領域における測定は困難さが生じることがあり、最大流量において100mmH20以上の差圧を生じる方が好ましい。
層流型流量計として多重管路を用いるときに外側環状流路のレイノルズ数と内側流路のレイノルズ数がほぼ同じレベルになることが望ましく、多重管路の構成によって直線性のある適切な流量測定の特性を設計計画段階において選定できることが示された。
【0013】
次に本発明の多重管路によるラミナー素子の構造を有する層流型流量計を一定温度・圧力の環境に配置し、一定圧力の空気配管系統に接続して流量表示あるいは流量制御を行うシステムに用いた実施例を図10に示す。本実施例では空気源16から圧力レギュレータ17によって一定圧に調圧され、圧力計18で示された加圧空気が層流型流量計10に流量計入口19から入り、多重管の構造を有するラミナー素子20を経由して流量調整弁24によって必要な流量に絞られて流量計出口21から必要な箇所に送出される。この多重管ラミナー素子20の両端部から分岐され差圧センサ22に圧力が導かれ、差圧が測定され差圧増幅器23によって電圧に変換されて流量値として伝送されて記録などに残される。この流量値は差圧センサの出力を単純に増幅するだけでリニアライザーなどを必要としないで極めて簡単な処理で正確な流量測定とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本装置は気体流量で10L/min以下の範囲を測定するあらゆる分野の産業において極めて簡便にほぼ1%以内の直線性に入る高精度な体積流量測定ができるので、化学プラント、放射性物質貯蔵施設、その他あらゆる流量測定を必要とする多くの産業に利用される可能性が強い。
【0015】
層流を発生できる流路によって、流速と粘性抵抗の比例関係に基づいて圧力降下を差圧測定して流量を求める層流型流量計には多くの種類がある。その構成要素であるラミナー素子(エレメント)としてはプレス成形した薄板で構成するハネカム状の細い多数の流路の集合や三角または歯型状の波板と平板との組み合わせによる流路構成など薄板を利用する構造がある。一方、図11(b)に示すように、既知寸法の円管を利用して流量特性が明確にできる構成もある。円管を利用する場合普通には正確な寸法の既知な1本または同じ寸法の複数本を管路内に漏れのないようにして収納し、エレメントとして構成する。こうして、エレメントの全般の流路断面積と長さを設定し、その流路の入口側と出口側の圧力および温度を測定する。普通にはキャピラリーと呼ばれる細い円管が用いられるが、この場合流路の流体力学的な弦長は個々の管路の内径Diとなり、n本のキャピラリーを用いると全体の流路断面積はn(π/4)Di2となる。管路のレイノルズ数Reは流体の動粘性係数ν、管路内の代表速度(平均速度)VからRe=VDi/νである。

円管流路の流体学的な弦長と断面積および等価直径左側に示した単純な円管の形状(図11(b))は周長と断面積の関係が周長に対して断面積を最大にでき、粘性抵抗を最小にする最も合理的な形状である。しかし、層流型流量計は流体の粘性抵抗を利用するので流路形状としては単純な円管は必ずしも適していないことがある。円管を複数用いる場合も個々の円管については同様で、とくに差圧の範囲を大きくしたい場合すなわち測定流速や流量の範囲を大きくしようとするには更なる工夫を要する。流路の流れの特性を表すレイノルズ数は無次元数でほぼ2000以下が層流とされているが、流量計のラミナー素子として用いるには200以下、できれば150以下が望ましい。このことから代表的な弦長Diを小さくすることが必要となり、単純な円管よりも図11(a)、(c)に示すように二重管が適することになる。等価的な弦長deは断面積Aを周長Sで割って4倍する。de=4(A/S)で円形の場合直径であり二重管の外側の環状流路では外管の内径Diと内側管の外径dの差(Di-d)=deとなる。図11の右側に示した円管を二重にした場合は、外側の流路では内周も壁面で等価径は(Di-d)となり、Diよりも遥かに小さくできる。流路の断面形状を円環状にすると周長は大きくでき断面積は内周により小さくなるが、断面積の減少よりも周長増加の効果があって、単純に円形の直径を小さくするよりも粘性影響を大きくできる。この点を利用したラミナー素子がこれまで層流型流量計に用いられていなかったのは不思議でもある。本発明の趣旨はこうした環状流路を合理的に利用して層流型流量計の特質である差圧と流量・流速の直線性の範囲を拡大し、特性を最適にしようとするものである。さらに、圧力降下すなわち差圧Δpについては次のようになる。Δp=32μ(l/de2)v、vは平均流速で、環状流路の流速とその断面積の積が体積流量qになる。最大流量におけるレイノルズ数は単純な円管の場合のRe1と環状流路の場合のRe2とを比較するとRe1=Re2(1+d/Di)となる。環状流路によって円管流路よりもレイノルズ数を小さくできる。これが同じ最大流量までの直線性を良くできる要因である。一方、同じ管路長では差圧が大きくなるので、同レベルの差圧を目標とすれば管路の長さlは小さくする必要がある。さらに、本特許のもう一つの狙いは長さlについて必ずしも一定にしないで、直列的にL1、L2と異なる等価径の管路を接続して利用する手法を講じ得ることである。普通にはラミナーエレメントは流路の径を途中で変更することは困難で、まず行われない。しかし、本特許のような構造の管路では途中で管路を変えることが可能であり、これによりその流量特性を適切に選定することができる。普通のラミナーエレメントで、流路が二つ以上に分かれている場合は管路の途中接続は困難であろうが、本特許のように多重管路にした場合は容易に途中接続または変更が可能になる。その場合、当該管路の流量は一定で差圧が等価径により変わるので、全体的には当該管路の流量が変化すると考えた方が理解しやすい。図の右側に示した流路の長さ方向の構成は単純な一例を示すが、L1での等価径は外側の環状流路で(Di−d)、内側流路ではd1、L2ではdiである。本発明は第一に多重管路によって断面積は大きく保ち、流路のレイノルズ数を小さくできる点と、管路の等価径を長さ方向で調整できるようにした点に特徴がある。
【符号の説明】
【0016】
1 層流型流量計のラミナー素子(パイプ)
2 測定流体
3 温度センサ
4 絶対圧センサ
5 差圧センサ
6 流量演算回路
7 流体入口
8 流体出口
9 ラミナー素子断面
10 層流型流量計
11 ラミナー素子二重管の内側管
12 内側管の封止材
13 ラミナー素子三重管の最内側管
14 最内側管を固定する楔(くさび)
15 内側管を固定する楔(くさび)
16 空気源
17 圧力レギュレータ
18 圧力計
19 流量計入口
20 多重管ラミナー素子
21 流量計出口
22 差圧センサ
23 差圧増幅器
24 流量調節弁
25 流量表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路の入口側と出口側との差圧を測定し、流体の物理定数、入口温度及絶対圧と流路断面積から流量を測定する層流型流量計において、層流を形成するラミナー素子として外側管の内周とその内部に装着した内側管の外周で形成する環状流路を一重または複数重用いて差圧発生に必要な一定の長さのラミナー素子として用いる構造の層流型流量計。
【請求項2】
請求項1の内側管を一重に用いるラミナー素子において、内側管を2本以上複数用いて内側管の複数の内周管路と外側管の内周と複数の内側管の外周で形成する流路をラミナー素子として利用する構造を有する層流型流量計。
【請求項3】
請求項1の内側管を一組用いる構造において、内側管(1)の内部にさらに細い管路(2)を装着して三重の環状流路を構成するとき、最内管(2)の長さを内側管(1)の一定長さから変更して内側管(1)の総合的な流路抵抗を適切に設定できるようにした構造を有する層流型流量計。
【請求項4】
請求項1または2のラミナー素子の内側管としては内部が閉塞された管または同じ外周の丸棒を利用して外側環状流路の周長を大きくした一定長さのラミナー素子として用いる構造を有する層流型流量計。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の内側管の固定手段としてその外側管路の内周と内側管の外周との間に流れを妨げない程度の点溶接または接着剤による接合をするか、あるいは間隙に楔状にした管または丸棒を押し込み外側管と強く接触させて大きな摩擦力を生じさせて、内側管を確実に保持するようにしてラミナー素子として用いる構造を有する層流型流量計。
【請求項6】
請求項1の前記外側管及びまたは内側管は円管または多角管であることを特徴とする層流型流量計。
請求項2の前記複数重の環状流路のレイノルズ数はほぼ同一レーベルに設定されていることを特徴とする層流型流量計。
【請求項7】
外側に位置する一方の管とその内側に位置する他方の管との間に形成される隙間を流路とするラミナー素子を用いることを特徴とする層流型流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−276440(P2010−276440A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128548(P2009−128548)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000144968)株式会社司測研 (17)
【Fターム(参考)】