説明

大規模な膵島の精製

本発明は、膵島を密度遠心分離により単離する方法であり、膵島を、密度勾配を有する膵島を含む溶液中に添加し、槽を遠心分離することによって膵島を単離し、膵島にかかる圧力が50Pa未満であり、膵島を勾配から単離する方法であって、改良が、勾配を破壊する対流の流れを低下させる屈曲チューブを用いて、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に連続的な密度勾配を生み出すことを含む方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膵島を単離する方法に関し、この発明は、膵島移植術にとって重要な意味をもつ技術である。より具体的には、本発明は、膵島単離の技術者に既知の一般的な実験室の機器及び技法を使用する、膵島全体の収率を改善するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定することなく、本発明の背景を、膵島単離のための方法及びデバイスに関連させて記載する。
【0003】
1型糖尿病患者は、インスリン投与なしでは生存することができない患者、すなわち、インスリン依存性糖尿病に属する患者であり、こうした患者への膵島移植術の技法に対する社会的認識が大いに高まっており、この技法を臨床治療として確立するための努力が、主として欧州及び米国においてなされている。
【0004】
膵島移植術は、体内の血糖調節において中心的役割を果たす膵島細胞群を門脈内への注入により投与する細胞組織移植術を指す。膵島移植術は、移植レシピエントにとって最小限侵襲性であり、1型糖尿病患者にとっての理想に最も近い治療とみなされている。
【0005】
2000年には、University of Alberta in Edmonton、カナダにおいて、臨床膵島移植術の治験の成功が報告された。この報告以来4年間で、およそ300例の膵島移植術が、主として欧州及び米国において実施された。これらの膵島移植術は、University of Albertaで確立されたEdmontonプロトコールに基づいて実施された。
【0006】
しかし、現在の技術では、一貫性のある膵島の収率が、欧州及び米国において実施された脳死ドナーからの膵島移植術においてさえ得られておらず、また、場合によっては、移植された膵島が、有効に機能していなかったこともある。さらに、世界的に見ても、条件が脳死ドナーの場合より悪い、心拍動停止ドナーからの膵島移植術が成功した症例はほとんどなく、実際には、心拍動停止ドナーからの膵島移植術は現在までのところ可能になっていない。
【0007】
膵島移植術の成功率を改善するためにも、また、心拍動停止ドナーからの膵島移植術の成功を達成するためにも、移植術に適合した膵島の大きな集団を移植することが重要である。したがって、移植可能な膵島の収率を上昇させるための膵島単離技術の改善が強く求められている。
【0008】
移植術の医学的治療において、ウリナスタチン又はウリナスタチン代用物を、臓器移植患者に移植後に投与する方法が報告された(特開第2002−20309号広報を参照されたい)。
【0009】
さらに、肺移植術において貴重な結果をもたらした、移植術に予定されている臓器を灌流又は保存するための溶液も報告されている(特開平第6−40801号広報を参照されたい)。しかし、膵島移植術のための最適な手段、特に、膵島の単離及び精製の技術に関する手段については、未解決のままである。
【0010】
1つのそのような装置及び方法が、膵島単離の、プロセス制御を使用した方法についてBenedict, et al.に対して発行されている米国特許第7,045,349号明細書に教示されている。手短に述べると、生理学的処理溶液中の組織懸濁物中の膵島を分離(単離)及び処理するために、自動化方法、自動化制御方法、プロセス制御インターフェース、及び自動化装置を組み込んでいるといわれる「Advanced Islet Separation Technology」が教示されており、この技術は、マイクロプロセッサ制御装置並びにコンピュータ制御及びソフトウエアプログラミングを活用して、処理温度、処理流速、パーセント水素濃度、溶存酸素濃度、内毒素濃度、溶存一酸化窒素濃度、一酸化窒素シンターゼ濃度、タンパク質分解酵素活性、及び生理学的処理溶液を含有する膵島の圧力をインターフェースで接続し、制御し、この制御には、リアルタイムのデータ収集のプロセス及びプロセス変数の記録も含まれている。
【0011】
膵島を分離する方法について、さらに別の発明が、Matsumoto, et al.による出願の米国特許出願第20080038823号明細書に教示されている。手短に述べると、この発明は、膵島単離方法を提供し、この方法は、プロテアーゼ阻害剤を含有する保護溶液を、調達した膵臓の膵管中に注入するステップと、中に保護溶液が注入されている膵臓を消化するステップと、消化した膵臓組織を、密度勾配試薬を含有する精製溶液を使用して精製するステップとを含む。また、この発明は、膵管中に注入するための保護溶液、二層法のための膵臓保存溶液、及び膵島精製溶液も提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開第2002−20309号公報
【特許文献2】特開平第6−40801号公報
【特許文献3】米国特許第7,045,349号明細書
【特許文献4】米国特許出願第20080038823号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、膵島精製の有効性を増加させるための、大型のプラスチック製ボトルを使用する新しい精製法を記載する。本発明の方法は、Ficoll密度勾配溶液を用いるCOBE2991細胞処理装置(COBE, COBE 2991 cell processor)の標準的な精製法に伴う問題に対処する。この方法には、膵島を高いせん断力により機械的に破損する傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態では、本発明は、膵島を単離する装置及び方法であって、連続的な密度勾配を、勾配を破壊する対流の流れを低下させる屈曲チューブを用いて、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に生み出すステップと、密度勾配中に、膵島を含む溶液を添加するステップと、膵島にかかる圧力が50Pa未満である、槽を遠心分離するステップと、勾配から膵島を単離するステップとを含む装置及び方法を含む。一態様では、希釈溶液を、勾配、及び膵島を含む溶液の上に加える。別の態様では、膵島を上部添加し、その場合、勾配は、槽の底部に、高密度の第1の層、高密度の第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、第2の層の上に、膵臓の消化物を含む低密度の溶液を含む第3の層、第3の層の上に、希釈溶液を含む第4の層を含む。さらに別の態様では、膵島を底部添加し、その場合、勾配は、槽の底部に、膵臓の消化物を含む高密度の第1の層、第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、及び希釈溶液を含む第3の層を含む。
【0015】
一態様では、層は、希釈溶液を含む。一態様では、勾配は、連続的な密度の溶液を含み、連続的な密度の溶液は、屈曲チューブを使用して、高密度に対する低密度の容積比を変化させることによって、低密度から高密度までを含むとさらに定義される。別の態様では、勾配は、連続的な密度の溶液を含み、連続的な密度の溶液は、屈曲チューブを使用して、イオジキサノール溶液とET-Kyoto溶液との容積比を変化させることによって生成したイオジキサノール溶液からET-Kyoto溶液までを含む低密度から高密度までを含むとさらに定義される。さらに別の態様では、勾配は、連続的な密度の溶液を含み、連続的な密度の溶液は、屈曲チューブを使用して、イオジキサノールとET-Kyoto溶液との容積比を変化させることによって生成した低密度(密度:1.077)から高密度(密度:1.095〜1.125)までのイオジキサノール−ET-Kyoto溶液を含むとさらに定義される。一態様では、ボトルは、平滑な内部表面を有する。一態様では、勾配を生み出す場合に、勾配中の対流の流れを低下させる屈曲した先端を使用して、勾配を形成する。一態様では、槽は、200、250、300、400、500、600、700、800、900又は1,000ミリリットルである。さらに別の態様では、この方法は、膵島細胞を含む収集槽から膵島細胞を単離するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、膵島細胞を含む収集槽から膵島細胞を単離するステップと、膵島細胞を洗浄するステップと、膵島を新しい宿主中に移植するステップとをさらに含む。一態様では、膵島は、ヒト膵島である。別の態様では、膵島は、死体の膵島である。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、膵島を単離する装置及び方法であって、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に密度勾配を生み出すステップと、膵島を含む溶液を、密度勾配の上部に添加するステップと、膵島にかかる圧力が50Pa未満である、槽を遠心分離するステップと、槽の上部から底部までの勾配を、2つ以上の収集槽中に分離するステップと、膵島を有する収集槽を選択するステップと、勾配から膵島を単離するステップとを含む装置及び方法を含む。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、膵島を単離する装置及び方法であって、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に密度勾配を生み出すステップと、膵島を含む溶液を、密度勾配の下に添加するステップと、膵島にかかる圧力が50Pa未満である、槽を遠心分離するステップと、槽の上部から底部までの勾配を、2つ以上の収集槽中に分離するステップと、膵島を有する収集槽を選択するステップと、勾配から膵島を単離するステップとを含む装置及び方法を含む。
【0018】
さらに別の実施形態は、膵島を密度遠心分離により単離する装置及び方法であり、膵島を、密度勾配を有する膵島を含む溶液中に添加し、槽を遠心分離することによって膵島を単離し、膵島にかかる圧力が50Pa未満であり、膵島を勾配から単離する方法であって、改良が、勾配を破壊する対流の流れを低下させる屈曲チューブを用いて、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に連続的な密度勾配を生み出すことを含む装置及び方法を含む。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態は、勾配を破壊する対流の流れを低下させる屈曲チューブを用いて、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に、連続的な密度勾配を生み出すステップと、密度勾配中に、膵島を含む溶液を添加するステップと、膵島にかかる圧力が50Pa未満である、槽を遠心分離するステップと、勾配から膵島を単離するステップとを含む方法により単離した1又は2以上の単離膵臓細胞を含む。一態様では、希釈溶液を、勾配、及び膵島を含む溶液の上に加える。別の態様では、膵島を上部添加し、その場合、勾配は、槽の底部に、高密度の第1の層、高密度の第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、第2の層の上に、膵臓の消化物を含む低密度の溶液を含む第3の層、第3の層の上に、希釈溶液を含む第4の層を含む。さらに別の態様では、膵島を底部添加し、その場合、勾配は、槽の底部に、膵臓の消化物を含む高密度の第1の層、第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、及び希釈溶液を含む第3の層を含む。
【0020】
本発明の特色及び利点をより完全に理解するために、ここで、本発明の詳細な説明を、付随する図と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A−1D】異なるせん断力を用いて精製した膵島の形態学的な評価を示す図である。せん断力を適用する前の膵島(A)。せん断力を、それらの膵島に対して適用した(B:100Paで60秒間、C:100Paで180秒間、及びD:50Paで300秒間)。
【図2A】本発明のボトル精製法のスキーマを示す図である。最初に、消化組織を含む連続的な勾配溶液を、大きなボトル中に、勾配作製装置を用いて精製した。次いで、ボトルを、1000rpm、4℃で5分間遠心分離し、溶液を、10本のチューブ中に収集した。
【図2B】勾配を作るために使用した「先端を屈曲させた」キャンディー棒形状のステンレス製パイプを示す図である。
【図2C】勾配を作る間を示す絵である(底部添加)。
【図3】遠心分離後のボトルを示す絵である。左:上部添加。右:底部添加。両方の方法において、膵島が、上層中に存在する。
【図4−5】上部添加法及び底部添加法の両方において、精製の間、連続的な密度勾配を維持することができることを示すグラフである。
【図6】現在の技術を本発明と比較するために従うステップを示す図である。
【図7】精製後の膵島の形態を示す画像である。3つの方法から、精製後の同じ体積の試料を採取した。上部法において、大きな膵島が見られた。元々の倍率:×40、スケールバー:150μm
【図8】精製後のIEQ、膵島粒子数に対するIEQ、回収率(%)、純度(%)、及び生存率(%)について、先行技術(COBE2991)の結果と、膵島のボトル精製を使用した上部添加法の結果及び底部添加法の結果とを比較したいくつかのグラフである。
【図9】平均膵島直径;200μmを越える膵島の割合;及び平均膵島サイズ分布(%)についての、膵島サイズの比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の種々の実施形態の作製及び使用について詳細に論じるが、本発明により、多種多様な特定の状況において具体化することができる多くの適用可能な発明の概念が提供されることを理解すべきである。本明細書で論じる特定の実施形態は、本発明を作製及び使用するための特定の方法を例証するためのものに過ぎず、本発明の範囲を定めるものではない。
【0023】
本発明の理解を促進するために、以下に、いくつかの用語を定義する。本明細書で定義する用語は、本発明と関連性がある領域の通常の技術者が一般的に理解する意味を有する。「ある(a)」、「ある(an)」及び「その(the)」等の用語は、単数の構成要素を指すことのみならず、その中から、例証のために具体例を使用することができる一般的なクラスを含むことも意図する。本明細書における用語法は、本発明の特定の実施形態を記載するために使用するが、本発明の範囲は、それらの実施形態の使用によっては定められず、特許請求の範囲の記載によって定められる。
【0024】
膵島移植術は、1型糖尿病のための有望な治療である。しかし、いくつかの課題を緊急に解決する必要がある。そのような課題の1つとして、膵島単離の有効性が低く、移植術のための膵島単離の成功率が低いことがある。先端的な膵島移植術センターでさえ、最も高い品質のドナーの膵臓を使用して達成した膵島単離の成功率は50%未満に過ぎない。
【0025】
膵島単離処理は、ドナーの選択、膵臓の調達及び保存、膵臓の消化、並びに膵島の精製を含んでいる。精製処理は、膵島単離のための最も困難な手順の1つである。本発明者らは、標準的な冷蔵COBE2991細胞処理装置を使用して、ヒト膵臓を用いた場合、回収率は、53.2±4.5%(平均±SE;精製前の膵島の収率/精製後の膵島の収率)に過ぎないことを見出すに至った。
【0026】
本発明を使用して、Ficoll密度勾配溶液を用いるバッグ式細胞処理装置(COBE2991)を使用する標準的な精製法と比較すると、細胞処理装置により、膵島が機械的に破損された(Shintaku, H.; Okitsu, T.; Kawano, S.; Matsumoto, S.; Suzuki, T.; Kanno, I.; Kotera, H. Effects of fluid dynamic stress on fracturing of cell-aggregated tissue during purification for islets of Langerhans transplantation. J. Physics D: Applied Physics. 41: 115507 (9pp); 2008)。図1は、異なるせん断力を用いて精製した膵島の形態学的な評価を示す。せん断力を適用する前の膵島(A)。Shintaku, H.; Okitsu, T.; Kawano, S.; Matsumoto, S.; Suzuki, T.; Kanno, I.; Kotera, H. Effects of fluid dynamic stress on fracturing of cell-aggregated tissue during purification for islets of Langerhans transplantation. Journal of Physics D: Applied Physics(近刊)を参照されたい。せん断力を、それらの膵島に対して適用した(B:100Paで60秒間、C:100Paで180秒間、及びD:50Paで300秒間)。図1は、膵島に対する機械的な破損に関するせん断力の重大な作用を示す。図1は、膵島が、列挙したせん断力を適用すると、バラバラになった様子を示す。
【0027】
本発明は、膵島単離のための装置及び方法を含む。この方法は、より大きな体積の膵島をもたらし、バッグ式細胞処理装置の使用を必要としない。この方法により、通常の膵島単離方法と比較して、約2倍の膵島収率を得ることができた。本発明の方法は、2つの大きな容量(例えば、100、200、250、300、400、500又は1,000ml)の硬いプラスチック製ボトルを使用して、密度勾配を作る。細胞処理装置と比較した場合、この方法の1つの利点は、この方法が、添加し、押し出す細胞処理装置の処理を排除することによって、膵島精製の間のせん断応力を回避する点である。この新しい方法(NM, new method)により、我々は、通常の方法(RM, regular method)と比較して、約2倍の膵島収率、及び開放皿法(OPM, open pan method)と比較して、さらにより高い収率を得ることができた。
【0028】
ブタ膵島の単離。ブタ膵臓を、地域の屠殺場で得た。心拍動停止の約30分後に、操作を開始した。膵臓を取り出した後、カニューレを、主膵管中に直ちに挿入し、約200〜250mlのET-KYOTO溶液(大塚製薬工場(Otsuka Pharmaceutical Factory)社製、日本)(Noguchi, H.; Ueda, M.; Hayashi, S.; Kobayashi, N.; Nagata, H.; Iwanaga, Y.; Okitsu, T.; Matsumoto, S. Comparison of M-Kyoto solution and histidine-tryptophan-ketoglutarate solution with a trypsin inhibitor for pancreas preservation in islet transplantation. Transplantation. 84:655; 2007、Noguchi, H.; Ueda, M.; Nakai, Y.; Iwanaga, Y.; Okitsu, T.; Nagata, H.; Yonekawa, Y.; Kobayashi, N.; Nakamura, T.; Wada, H.; Matsumoto, S. Modified two-layer preservation method (M-Kyoto/PFC) improves islet yields in islet isolation. Am. J. Transplant. 6:496; 2006)を、管の保護のためのAralast(Baxter社製、Deerfield、IL)を加えて又は加えずに注入し、脂肪組織を除去し、膵臓を二層型(ET-KYOTO/PFC)保存容器中に入れた。温虚血時間(WIT, warm ischemic time)を、心拍動停止から、膵臓を保存溶液中に入れるまでの時間と定義した。冷虚血時間(CIT, cold ischemic time)を、膵臓を保存溶液中に入れてから、膵島の単離を開始するまでの時間と定義した。本発明と共に使用するためのその他の溶液には、これに限定されないが、ET-Kyoto溶液があり、その改変形態は、トレハロースを、細胞膜を種々のストレスの多い条件下で安定化させる非還元性の二糖として含む。ET-Kyoto溶液に関する2つのバリアントは、35gr/lのトレハロースを有するが、異なる電解質含有量、例えば、100mmol/LのNa、44mmol/LのK(いわゆる「細胞外」溶液)、及び「細胞内型」IT-Kyoto溶液、例えば、20mmol/LのNa、130mmol/LのKを有する。本発明と共に使用するための完全な溶液の非限定的な例を、表1に要約する。
【0029】
【表1】

【0030】
トリプシン阻害剤の例として、これらに限定されないが、血清α−1アンチトリプシン、ライマメトリプシン阻害剤、クニッツ阻害剤、オボムコイド阻害剤、又は大豆阻害剤が挙げられる。
【0031】
膵島の単離を、Edmontonプロトコールに記載の方法に従って実施した(Matsumoto, S.; Okitsu, T.; Iwanaga, Y.; Noguchi, H.; Nagata, H.; Yonekawa, Y.; Yamada, Y.; Fukuda, K.; Tsukiyama, K.; Suzuki, H.; Kawasaki, Y.; Shimodaira, M.; Matsuoka, K.; Shibata, T.; Kasai, Y.; Maekawa, T.; Shapiro, J.; Tanaka K. Insulin independence after living-donor distal pancreatectomy and islet allotransplantation. Lancet. 365:1642-1644; 2005、Matsumoto, S.; Qualley, S. A.; Goel, S.; Hagman, D. K.; Sweet, I.R.; Poitout, V.; Strong, D. M.; Robertson, R. P.; Reems, J. A. Effect of the two-layer (University of Wisconsin solution-perfluorochemical plus O2) method of pancreas preservation on human islet isolation, as assessed by the Edmonton Isolation Protocol. Transplantation. 74:1414-1419; 2002、Ricordi, C. Islet transplantation: a brave new world. Diabetes. 52:1595-1603; 2003、Ricordi, C.; Finke, E. H.; Dye, E. S.; Socci, C.; Lacy, P. E. Automated method for isolation of human pancreatic islets. Diabetes. 37: 413-420; 1988、Shapiro, A. M.; Lakey, J. R.; Ryan, E. A.; Korbutt, G. S.; Toth, E.; Warnock, G. L.; Kneteman, N. M.; Rajotte, R. V. Islet transplantation in seven patients with type 1 diabetes mellitus using a glucocorticoid-free immunosuppressive regimen. N. Engl. J. Med. 343:230-238; 2000)。手短に述べると、膵臓の汚染除去後、管を、500mlのLiberase HI(1mg/ml;Roche Applied Science社製、Indianapolis、IN)溶液を用いて、圧力制御して4℃で10分間灌流した。次いで、膵臓全体を、膨張させてから、小片(例えば、約9つの小片)に切断し、滅菌したRicordi解離チャンバー(1L)中に配置した。次いで、酵素溶液を再循環させ、温度を37℃まで上昇させ、チャンバーを穏やかに振とうした。膵臓が消化されている間に、消化の程度を、少量の試料を採取することによって、ジチゾン染色を用いてモニターした。
【0032】
試料中に膵島が検出されたら、我々は、溶液を収集するために、平衡塩溶液、又は希釈溶液としてのその他の媒体(例えば、UW溶液、すなわち、UW溶液:ラクトビオン酸カリウム:100mM、KH2PO4:25mM、MgSO4:5mM、ラフィノース:30mM、アデノシン:5mM、グルタチオン:3mM、アロプリノール:1mM、ヒドロキシエチルデンプン:50g/L、KOHを用いてpHを7.4に調節、場合により使用前に、デキサメタゾン(8mg/L)、インスリン(40U/L)、ペニシリン(200,000U/L)を添加、最終的な塩の値:Na=25±5mM;K=120±5mM;mOsm/L=320±10.)、その他の希釈媒体、例として、DMEM/F12培地、例えば、Mediatech社製、Manassas、VA)を系中に添加して、希釈を開始した。消化組織を、10%ウシ胎仔血清で作製されている希釈溶液中に収集し、次いで、ヘパリン(5,000U/L)を添加したUW溶液(ViaSpan、DuPont Pharmaceuticals社製、Wilmington、DE)を用いて洗浄して、酵素を除去した。第I相期を、膵臓をRicordiチャンバー中に配置してから、消化された膵臓の収集を開始するまでの時間と定義した。第II相期を、収集を開始してから終了するまでの時間と定義した。図2A〜2Cは、ボトル精製法の基本的な概要を示す。
【0033】
膵島の精製。膵臓の消化物を、正確に半分に分けた。一方の半分を、COBE2991細胞処理装置(COBE)(CaridianBCT社製、Denver、CO)を使用して精製した(Matsumoto, S.; Shibata, S.; Kirchihof, N.; Hiraoka, K.; Sageshima, J.; Zhang, X.; Gilmore, T.; Ansite, J.; Zhang, H.; Sutherland, D. E. R.; Hering, B. J. Immediate reversal of diabetes in primates following intraportal transplantation of porcine islets purified on a new histidine-lactobionate-iodixanol gradient. Transplantation. 67:S220; 1999、Matsumoto, S.; Zhang, H. J.; Gilmore, T.; Van der Burg, M. P.; Sutherland, D. E. R.; Hering, B. J. Large-scale isopycnic islet purification utilizing non-toxic, endotoxin-free media facilitates immediate single-donor pig islet allograft function. Transplantation 66:S30; 1998、Noguchi, H.; Ikemoto, T.; Naziruddin, B.; Jackson, A.; Shimoda, M.; Fujita, Y.; Chujo, D.; Takita, M.; Kobayashi, N.; Onaca, N.; Levy, M. F.; Matsumoto, S. Iodixanol-controlled density gradient during islet purification improves recovery rate in human islet isolation. Transplantation. 87:1629-35; 2009)。他方の半分を、2つの部分にさらに分け、一方の4分の1を、「上部添加」ボトル法(上部)を用いて精製し、他方の4分の1は、「底部添加」ボトル法(底部)を行った。これらの方法は全て、イオジキサノール−ET-Kyoto溶液を用いた連続的な密度勾配を用いて実施した。イオジキサノールは、低い粘度を有するので、分布のために、Ficollよりも緩慢な遠心分離を必要とする。連続的な密度の溶液のために、低密度(密度:1.077)及び高密度(密度:1.095〜1.125)のイオジキサノール−ET-Kyoto溶液を、イオジキサノールとET-Kyoto溶液との容積比を変化させることによって生成した。各密度中の遠心分離した少量の消化物試料を、性能と同じ条件で試験することによって、高密度を決定した。ボトル精製のためであれば、いかなるサイズの槽又は容器、例えば、1つ又は2つの100、200、250、300、400又は500ml以上の平底プラスチック製容器も使用することができ、一方を「上部」のために使用し、他方を「底部」のために使用した。
【0034】
「上部」法では、勾配は、底部の層における50mlの高密度、次いで、第2の層中の300mlの連続的な密度勾配、及び第3の層中の膵臓消化物を含む50mlの低密度、及び上部のキャップ溶液としての50mlの希釈溶液からなった。「底部」法では、消化物を含む100mlの高密度が底部にあり、300mlの連続的な密度勾配が第2の層をなし、50mlのキャップ溶液が上部にあった。連続的な勾配を、勾配作製装置を用いて生成した(図2A)。ボトル法のためには、溶液をボトル中に注ぐための「屈曲した先端」、又は「キャンディー棒」形状のステンレス製パイプ(Umihara社製、京都、日本)を開発して、対流の流れを最小化した。屈曲した先端は、対流の流れを最小化し、上部添加法においてさえ勾配を維持する。勾配を、全ての系において、1000rpm、4℃で5分間遠心分離した。遠心分離後、膵島が、ボトルの上層中に見られた(図3)。
【0035】
図2B〜2Cは、構成成分、並びに勾配及び単離膵島を添加するステップと、それに続く、対流の流れを最小化し、勾配の維持を支援する「屈曲した先端」を使用する分離のステップを示す。屈曲した先端は、約60、65、70、80、90、100、110、115又は120度の屈曲を有するチューブを含み、このチューブを使用して、勾配を形成し、勾配を作る一方で、対流の流れを最小化する(それによって、勾配の一貫性を増強する)。液体を勾配にほぼ平行な角度で添加することにより、連続的な密度勾配を形成することによって、膵島の収率及び品質が予想外に改善されることが見出されるに至った。さらにまた、三部勾配を使用しても、改善を同定した。
【0036】
遠心分離後、勾配溶液を、上部から底部まで、10本のチューブ中に収集した(図2A)。連続的な密度勾配の安定性を確認するために、我々は、膵島を精製するためのこの方法を適用する前に、10個の画分のそれぞれの密度を測定した。COBE法では、約80mlの溶液が、COBEバッグ中に構造的に残った。他方、ボトル法では、全溶液が収集され、この方法により、膵島の喪失を阻止することができた。試料を、各チューブから採取し、ジチゾン(Sigma Chemical Co.社製、St. Louis、MO)を用いて染色し、膵島の純度について評価した。膵島に富むチューブを選択し、組織を収集した。
【0037】
図4及び5は、上部添加法及び底部添加法の両方において、精製の間に、連続的な密度勾配を維持することができることを示すグラフである。
【0038】
遠心分離後、勾配溶液を、上部から底部まで、10本のチューブ中に収集した。COBE法では、約80mlの溶液が、COBEバッグ中に構造的に残った。他方、ボトル法では、全溶液が収集され、この方法により、膵島の喪失が阻止される。試料を、各チューブから採取し、ジチゾンを用いて染色し、膵島の純度について評価した。膵島に富むチューブを選択し、組織を収集した。
【0039】
膵島の評価。膵島調製物を、収率、純度及び形態について、ジチゾン(3mg/ml)(Sigma Chemical Co.社製、St. Louis、MO)染色を使用することによって評価した。膵島を、光学十字線を使用して数えることにより、各直径のクラスに属する膵島のおおよその数を決定した。次いで、膵島のおおよその数を、膵島当量(IE,islet equivalent)(直径を150μmに標準化)の標準数に変換した。膵島を、形状(平ら対球状)、境界(不規則対均整がとれている)、完全性(断片対ぎっしり詰まっている(solid/compact))、染色の一様性(一様でない対完全に一様である)、及び直径(最も望ましくない:全細胞が100μm未満/最も望ましい:細胞の10%超が200μmを越える)についてスコア化することによって、肉眼的形態を定性的に評価した。各パラメータを、ゼロ(最悪)から2(最良)までに類別し、その結果、最も悪い膵島調製物には、ゼロの累積スコアがつき、最もよい膵島調製物には、10のスコアがついた。球状、均整がとれている、ぎっしり詰まっている、一様に染色された、大きな膵島を、最もよい膵島と特徴付けた。図7は、精製後の膵島の形態を示す画像である。精製後の同じ体積の試料を、3つの方法から採取した。
【0040】
図6は、現在の技術を本発明と比較するために従うステップを示す。精製後の膵島の生存率を、トリパンブルー染色を使用して評価した。50個の膵島を検査し、それらの個々の生存率を視覚的に決定し、それに続いて、それらの平均生存率を計算した。
【0041】
以前の記載(Shapiro, A. M.; Lakey, J. R.; Ryan, E. A.; Korbutt, G. S.; Toth, E.; Warnock, G. L.; Kneteman, N. M.; Rajotte, R. V. Islet transplantation in seven patients with type 1 diabetes mellitus using a glucocorticoid-free immunosuppressive regimen. N. Engl. J. Med. 343:230-238; 2000)に従って、グルコース刺激の間の膵島のインスリン分泌応答をモニターすることによって、インビトロにおける膵島機能を評価した。手短に述べると、5,000IEを、RPMI1640中の2.8mM又は25mMのいずれかのグルコースと共に、5%CO2雰囲気中、37℃で2時間インキュベートした。上清を収集し、インスリンレベルを、酵素結合免疫吸着測定法キット(ALPCO Diagnostics社製、Windham、NH)を使用して決定した。低いグルコース濃度において膵島から放出されたインスリンに対する、高いグルコース濃度において膵島から放出されたインスリンの比を決定することによって、刺激指数を計算した。データを、全DNAにより正規化した。
【0042】
図8は、精製後のIEQ、膵島粒子数に対するIEQ、回収率(%)、純度(%)、及び生存率(%)について、先行技術(COBE2991)の結果と、膵島のボトル精製を使用した上部添加法の結果及び底部添加法の結果とを比較したいくつかのグラフを示す。
【0043】
図9は、平均膵島直径;200μmを越える膵島の割合;及び平均膵島サイズ分布(%)について、膵島サイズを比較するグラフを含む。
【0044】
膵島機能のインビボにおける評価。120mg/kgの用量のストレプトゾトシン(STZ, streptozotocin)の単回注射により糖尿病性となしたヌードマウス(Harlan、Houston、TX)を、研究のために使用した。非絶食時血中グルコースレベルが、連続2日間350mg/dlを超える場合、マウスを糖尿病性であるとみなした。各群から得られた10,000IEのブタ膵島を、単離直後に、糖尿病性ヌードマウスの左腎臓の腎被膜下空間中に移植した。移植後の30日間の間に、非絶食時血中グルコースレベルを週3回測定した。正常血糖を、血中グルコースレベルの測定値が2回連続して200mg/dl未満を示す場合と定義した。3つの群の間で、移植前血中グルコースレベル又は移植前体重のいずれにおいても、統計学的な差は観察されなかった。これらの研究は、Baylor Health Care SystemのInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)により承認された。
【0045】
統計学的解析:全ての結果を、平均±SEとして表した。3つの群の間の差を、分散分析、それに続いて、ボンフェローニ補正を用いたスチューデントt検定により解析した。分散分析及びボンフェローニ補正を用いたスチューデントt検定において、0.05未満のP値を、有意とみなした。3つの群の間の割合の差を、Ryan法を用いたカイ二乗検定により解析した。
【0046】
ボトル精製法における密度勾配の安定性:遠心分離後、溶液を、10本のチューブ中に収集した。我々は、各チューブの密度を測定し、上部法及び底部法の両方において、連続的な密度勾配が、精製手順全体を通して維持されることを確認した(図4及び5)。
【0047】
本研究では、総数10個のブタ膵臓を使用した。膵島の単離の変数を、表2に示す。使用した膵臓の重量の平均は、136±17gであった。温虚血時間の平均は46±2分であり、したがって、これらの膵臓は、限界条件にあった。
【0048】
【表2】

【0049】
データを、平均±SEとして表す。
【0050】
精製後の変数及び結果をそれぞれ、表3及び4に示す。精製後の膵島の収率(IE)を、膵臓の重量当たりで表す(IE/g)と、上部群においては、COBE群においてよりも有意に高かった(IE/g=上部:8060±1652IE/g、底部:4572±614IE/g、COBE:3900±734IE/g。上部対COBEでは、0.02未満のp)。精製後の回収率は、上部群においては、底部群及びCOBE群の両方よりも有意に高かった(回収パーセント=上部:99.3±12.3%、底部:62.6±8.8%、COBE:49.5±6.7%。それぞれ、上部対底部では、0.02未満のp、及び上部対COBEでは、0.001未満のp)。
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
上部添加法により、COBE2991及び底部添加法の両方と比較して、有意により高いIEQ/g、IEQ/膵島粒子数及び回収率を得た。
【0054】
上部添加法(上部)により、COBE2991及び底部添加法の両方と比較して、有意により高いIEQ/g、IEQ/膵島粒子数及び回収率を得た。上部群の膵島サイズは、COBEよりも有意に大きく、このことから、上部添加法により、精製手順の間に膵島に対して生じたせん断応力は、より低かったことが示されている。
【0055】
また、上部添加は、底部添加よりも良好な結果ももたらした。底部添加法の間に、いくつかの膵島は、腺房細胞により捕捉され、低密度層まで上昇することができなかった可能性があり、それによって、収率が低下した。上部添加法は、膵島がバラバラになるのを阻止し、精製後のIEQを改善した。
【0056】
精製後の単離膵島のサイズ:上部群及び底部群においては、COBE群よりも、精製した膵島の平均直径及び200μm超のサイズの膵島の割合が有意に高かった(膵島の直径の平均=上部:156±8μm、底部:147±6μm、COBE:119±6μm。上部対COBE及び底部対COBEでは、0.01未満のp;200μmを越えるサイズの膵島のパーセント=上部:26.0±3.2%、底部:20.0±3.0%、COBE:10.8±2.6%。上部対COBE及び底部対COBEでは、0.02未満のp)。
【0057】
インビトロ及びインビボにおける膵島機能の評価:刺激指数は、底部群においては、その他の2つの群よりも高かったが、有意な差はなかった(それぞれ、上部:5.4±1.9、底部:7.2±5.1、COBE:3.1±1.4、表3)。
【0058】
インビボにおける膵島移植片の機能を評価するために、各群の膵島10,000IEを、STZ誘発糖尿病性ヌードマウスの腎臓被膜下に移植した。上部群中、11匹のマウスのうち7匹(64%)、底部群中、11匹のマウスのうち5匹(45%)、及びCOBE群中、5匹のマウスのうち2匹(40%)において、血中グルコースレベルが減少し、正常血糖に達した(表5及び6)。3つの群の間では、上部群における治癒したマウスの割合が最も高かったが、統計学的有意性はなかった。
【0059】
要約すると、上部添加法を用いた精製により、最も高い収率及び最も大きなサイズの膵島を得た。これらのデータから、上部添加が、3つの群のうち、ブタ膵島を単離するための最もよい精製法であったことが示唆されている。
【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【0062】
10,000IEQの新鮮な膵島を、糖尿病性ヌードマウス内に移植した。正常血糖を、非絶食条件下の連続2日超にわたる200mg/dl未満と定義した。
NS:有意でない(not significant)
【0063】
膵島の同種移植は、糖尿病のための有望な治療法である。しかし依然として、この比較的安全で且つ最小限侵襲性の療法は、ヒト膵臓ドナーからの供給が限られているという困難な問題に直面している。ブタ膵島細胞は、ヒト膵島細胞のための良好な代用物である。しかし、ブタ膵島は単離するのが困難であることが知られている。これは、周囲の膵島被膜を欠くこと(Meyer, T.; Czub, S.; Chodnewska, I.; Beutner, U.; Hamelmann, W.; Klock, G.; Zimmermann, U.; Thiede, A.; Ulrichs, K. Expression pattern of extracellular matrix proteins in the pancreas of various domestic pig breeds, the Goettingen Minipig and the Wild Boar. Ann Transplant 2:17-26; 1997)、及び単離の間に容易に断片化する脆弱性を示すこと(Swanson, C. J.; Olack, B. J.; Goodnight, D.; Zhang, L.; Mohanakumar, T. Improved methods for the isolation and purification of porcine islets. Hum. Immunol. 62:739-749; 2001)による。
【0064】
本発明は、ブタ膵臓について、大きなボトルを使用する精製法により、膵島の単離の成果が改善することを実証している(Yonekawa, Y.; Matsumoto, S.; Okitsu, T.; Arata, T.; Iwanaga, Y.; Noguchi, H.; Nagata, H.; O'Neil, J. J.; Tanaka, K. Effective islet isolation method with extremely high islet yields from adult pigs. Cell Transplant. 14:757-62; 2005)。本研究では、底部添加法及び不連続な密度の溶液を使用して、精製を行った。本発明の連続的な密度勾配は、その他の細胞から膵島を、不連続な溶液よりも効率的に分離する。したがって、本研究は、ブタ膵島の精製法を、COBEと大きなボトルとの間で直接比較した最初の報告であるのみならず、また、上部添加法と底部添加法とを、連続的な密度勾配を用いて直接比較したものでもある。
【0065】
本発明の別の改変は、消化組織を、保存溶液、例として、University of Wisconsin(UM)溶液の代わりに、低密度の溶液と混合したことである。UW溶液は、COBEの場合の標準的な方法である。本発明者らは、上部添加法において、消化物をUW溶液中に混合し、この混合物を上層に添加した。こうすると、密度勾配溶液と組織溶液との間に組織の壁が作られた。これは、UW溶液の密度が、軽い溶液(1.077g/ml)よりもさらに低い(1.040g/ml)ことによる。組織が、遠心分離前にUW溶液の底部に沈殿し、この濃縮された組織のために、多くの膵島が腺房組織により捕捉され、底部に引き入れられるようになった。COBEバッグは組織を添加する間に遠心分離するので、このことは、COBEにおいては発生しないはずである。他方、組織を、低密度の溶液と混合する場合には、そのような壁はなかった。これは、我々が組織のための溶液と軽い溶液とに同じ密度を使用したからである。この場合、細胞の添加後間もない遠心分離前に、比較的重い腺房組織が、ボトルの底部へ動き始め、膵島が引き入れられるのを最低限に留めた。
【0066】
本発明者らは、上部添加法を用いて、ブタ膵臓から多量の膵島を単離した。いくつかの要因を重要であるとみなすことができる。第1に、ボトル法により、遠心分離して精製する間のせん断力を最小限に留めることができる。以前に示したように、COBEバッグには狭いセグメントがあり、膵島は、この狭いセグメントを通る間に顕著なせん断力を受ける。このボトルには、そのような狭いセグメントがないので、せん断応力を実質的に低下させることができた。実際に、このことは、精製した膵島のサイズが、上部法及び底部法の両方において、COBEよりも有意に大きかった理由であるべきである。ブタ膵島は脆弱なので、単離の間の機械的破損を最小限に留めることは、重要な意味をもつはずである。
【0067】
第2に、この研究に使用した膵臓は、限界条件にあった。温虚血時間の平均は、地域の屠殺場でブタを切り分けるスピードに起因して、45分を超えた。30分間の温虚血条件でさえ、ブタ膵島において重度のアポトーシスを引き起こすことができ(Troisi, R.; Meester, D.; Van Den Broecke, C.; Cuvelier, C. A.; Fiers, T.; de Hemptinne, B.; Hesse, U. J. Functional and structural integrity of porcine pancreatic grafts subjected to a period of warm ischemia and cold preservation with histidine-tryptophan-ketoglutarate (custodiol) or University of Wisconsin solution. Transplantation. 75:1793-9; 2003)、したがって、この研究では、膵島が顕著に破損したとみなされる。実際に、インビボ機能解析では、10,000IEの膵島が、糖尿病性マウスを治癒するのに必要であった。しかし、換言すると、本発明の改変単離法により、そのような極めて不利な条件の下で、ブタ膵臓から機能性の膵島を得ることができる。差は、統計学的に有意な差には達しなかったが、インビトロ及びインビボにおける評価によれば、上部群の膵島が、最も高い品質を有した。
【0068】
第3に、上部添加には、底部添加を上回るいくつかの利点がある。底部添加の場合に、膵島の純度が3つの群のうち最も高かったが、IE/gは、上部添加より少なかった。このことは部分的には、密度勾配溶液が作られる間に、多くの膵島が、近接する腺房組織により捕捉される恐れがあり、上層まで浮上することができなかったことによると本発明者らは推測している。さらに、底部添加の間には、添加した膵島が、高密度の溶液に暴露される比較的より長い時間により、膵島が破損する恐れもあったが、上部添加においては、膵島は、低密度の溶液に暴露された。
【0069】
さらに、本発明のボトル精製法は、実施が簡便且つ容易でもある。この方法では、COBE2991細胞処理装置のコストがかからず、装置の経験も要らず、この方法は、膵島単離の普及に寄与し得る。本発明に記載するように、大きなボトルを使用し、上部添加を用いる新たに開発した精製法により、ブタ膵島の極めて高い収率を得ることができる。
【0070】
本明細書で論じたいかなる実施形態も、本発明のいかなる方法、キット、試薬又は組成物に関して実行することができ、且つ逆もまたしかりであることを企図する。さらに、本発明の組成物を使用して、本発明の方法を達成することもできる。
【0071】
本明細書に記載する特定の実施形態を、本発明を制限するものとしてではなく、例証する目的で示すことを理解されたい。本発明の主要な特色を、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の実施形態において利用することができる。当業者であれば、本明細書に記載する特定の手順の多数の均等物を、認識するか、又は日常的以下の実験を使用して究明することができるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲に属するとみなされ、特許請求の範囲により網羅される。
【0072】
本明細書において言及した刊行物及び特許出願は全て、本発明が関係する技術における当業者の技能のレベルを示す。全ての刊行物及び特許出願が、それぞれの個々の刊行物又は特許出願が具体的且つ個々に、参照により組み込まれていることが示されるのと同じ程度で、参照により本明細書に組み込まれている。
【0073】
単語「ある(a)」又は「ある(an)」の使用は、特許請求の範囲及び/又は本明細書において、用語「含む(comprising)」と共に使用する場合、「1つ(one)」を意味することができるが、また、「1又は2以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」及び「1又は1超(one or more than one)」の意味とも一致する。特許請求の範囲における用語「又は(or)」の使用は、選択肢のみを指すこと、又は本開示が、選択肢のみを指す定義、及び「及び/又は(and/or)」を支持するが、それらの選択肢が相いれないことが明確に示されない限り、「及び/又は(and/or)」を意味するために使用する。本出願全体を通して、用語「約」は、値が、デバイス、値を決定するために利用する方法、又は研究対象の間に存在する変動についての内在する誤差の変動を含むことを示すために使用する。
【0074】
本明細書及び請求項(特許請求の範囲)において使用する場合、単語「含む(comprising)」(並びに含む(comprising)のいかなる形態、例として、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」)、「有する(having)」(並びに有する(having)のいかなる形態、例として、「有する(have)」及び「有する(has)」)、「含む(including)」(並びに含む(including)のいかなる形態、例として、「含む(includes)」及び「含む(include)」)、又は「含有する(containing)」(並びに含有する(containing)のいかなる形態、例として、「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」)は、包括的又は無制限であり、追加の、記載されていない要素又は方法ステップを除外しない。
【0075】
本明細書で使用する場合、用語「又はそれらの組合せ」は、その用語に先行する列挙した項目の置換及び組合せを全て指す。例えば、「A、B、C、又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABC、及び特定の状況において、順番が重要である場合にはまた、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABのうちの少なくとも1つを含むことを意図する。この例の続きとして明らかに含まれるのは、1又は2以上の項目又は用語の繰返し、例として、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等を含有する組合せである。技術者であれば、状況からそうでないことが明らかでない限り、いかなる組合せにおいても典型的には、項目又は用語の数に関して制限がないことを理解するであろう。
【0076】
本明細書に開示及び請求する組成物及び/又は方法は全て、本開示に照らして、過度に実験することなく、作製及び遂行することができる。本発明の組成物及び方法を、好ましい実施形態の観点から記載してきたが、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、変更形態を、組成物及び/又は方法にも、本明細書に記載する方法のステップ又は一連のステップにおいても適用することができることが当業者には明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の置換形態及び改変形態は全て、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神、範囲及び概念に属するとみなす。
【0077】
(参考文献)
米国特許第7,045,349号明細書:Method of islet isolation using process control。
米国特許出願第20080038823号明細書:Method of Separating Pancreatic Islet。
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【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的な密度勾配を、前記勾配を破壊する対流の流れを低下させる屈曲チューブを用いて、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に生み出すステップと、
前記密度勾配中に、膵島を含む溶液を添加するステップと、
前記膵島にかかる圧力が50Pa未満である、前記槽を遠心分離するステップと、
前記勾配から前記膵島を単離するステップと
を含む、膵島を単離する方法。
【請求項2】
希釈溶液を、勾配、及び膵島を含む溶液の上に加える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
膵島を上部添加し、その場合、勾配が、
槽の底部に、高密度の第1の層、
前記高密度の第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、
前記第2の層の上に、膵臓の消化物を含む低密度の溶液を含む第3の層、
前記第3の層の上に、希釈溶液を含む第4の層
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
膵島を底部添加し、その場合、勾配が、
槽の底部に、膵臓の消化物を含む高密度の第1の層、
前記第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、及び
希釈溶液を含む第3の層
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
勾配が、連続的な密度の溶液を含み、屈曲チューブを使用して、高密度に対する低密度の容積比を変化させることによって、低密度から高密度までを含むとさらに定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
勾配が、連続的な密度の溶液を含み、屈曲チューブを使用して、イオジキサノール溶液とET-Kyoto溶液との容積比を変化させることによって生成したイオジキサノール溶液からET-Kyoto溶液までを含む低密度から高密度までを含むとさらに定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
勾配が、連続的な密度の溶液を含み、屈曲チューブを使用して、イオジキサノール溶液とET-Kyoto溶液との容積比を変化させることによって生成した低密度(密度:1.077)から高密度(密度:1.095〜1.125)までのイオジキサノール−ET-Kyoto溶液を含むとさらに定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ボトルが、平滑な内部表面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
勾配を生み出す場合に、前記勾配中の対流の流れを低下させる屈曲した先端を使用して、前記勾配を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
槽が、200、250、300、400、500、600、700、800、900又は1,000ミリリットルである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
膵島細胞を含む収集槽から前記膵島細胞を単離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
膵島細胞を含む収集槽から前記膵島細胞を単離するステップと、
前記膵島細胞を洗浄するステップと、
前記膵島を新しい宿主中に移植するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
膵島が、ヒト膵島である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
膵島が、死体の膵島である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
勾配を破壊する対流の流れを低下させる屈曲チューブを用いて、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に、連続的な密度の勾配を生み出すステップであり、前記連続的な密度の溶液が、屈曲チューブを使用して調製した、低密度(密度:1.077)から高密度(密度:1.095〜1.125)までを含むとさらに定義されるステップと、
前記勾配上に、希釈溶液中の膵島細胞を添加するステップと、
前記膵島にかかる圧力が50Pa未満である、前記槽を遠心分離するステップと、
前記槽の上部から底部までの前記勾配を、2つ以上の収集槽中に分離するステップと、
前記膵島を有する前記収集槽を選択するステップと、
前記勾配から前記膵島を単離するステップと、
を含む、膵島を単離する方法。
【請求項16】
希釈溶液を、勾配、及び膵島を含む溶液の上に加える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
膵島を上部添加し、その場合、勾配が、
槽の底部に、高密度の第1の層、
前記高密度の第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、
前記第2の層の上に、膵臓の消化物を含む低密度の溶液を含む第3の層、
前記第3の層の上に、希釈溶液を含む第4の層
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
膵島を底部添加し、その場合、勾配が、
槽の底部に、膵臓の消化物を含む高密度の第1の層、
前記第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、及び
希釈溶液を含む第3の層
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
勾配が、連続的な密度の溶液を含み、イオジキサノール溶液とET-Kyoto溶液との容積比を変化させることによって生成した低密度(密度:1.077)から高密度(密度:1.095〜1.125)までのイオジキサノール−ET-Kyoto溶液を含むとさらに定義される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
槽が、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900又は1,000ミリリットルである、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
膵島を新しい宿主中に移植するステップ
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
膵島が、ヒト膵島である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
膵島が、死体の膵島である、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも100ミリリットルを含む槽中に密度勾配を生み出すステップと、
希釈溶液中に膵島を含む溶液を、前記密度勾配の下に添加するステップと、
前記膵島にかかる圧力が50Pa未満である、前記槽を遠心分離するステップと、
前記槽の上部から底部までの前記勾配を、2つ以上の収集槽中に分離するステップと、
前記膵島を有する前記収集槽を選択するステップと、
前記勾配から前記膵島を単離するステップと
を含む、膵島を単離する方法。
【請求項25】
膵島を密度遠心分離により単離する方法であり、前記膵島を、密度勾配を有する膵島を含む溶液中に添加し、槽を遠心分離することによって前記膵島を単離し、前記膵島にかかる圧力が50Pa未満であり、前記膵島を前記勾配から単離する方法であって、改良が、前記勾配を破壊する対流の流れを低下させる屈曲チューブを用いて、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に連続的な密度勾配を生み出すことを含む方法。
【請求項26】
勾配を破壊する対流の流れを低下させる屈曲チューブを用いて、少なくとも100ミリリットルを含む槽中に、連続的な密度勾配を生み出すステップと、
前記密度勾配中に、膵島を含む溶液を添加するステップと、
前記膵島にかかる圧力が50Pa未満である、前記槽を遠心分離するステップと、
前記勾配から前記膵島を単離するステップと
を含む方法により単離した1又は2以上の膵島細胞。
【請求項27】
希釈溶液を、勾配、及び膵島を含む溶液の上に加える、請求項26に記載の細胞。
【請求項28】
膵島を上部添加し、その場合、勾配が、
槽の底部に、高密度の第1の層、
前記高密度の第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、
前記第2の層の上に、膵臓の消化物を含む低密度の溶液を含む第3の層、
前記第3の層の上に、希釈溶液を含む第4の層
を含む、請求項26に記載の細胞。
【請求項29】
膵島を底部添加し、その場合、勾配が、
槽の底部に、膵臓の消化物を含む高密度の第1の層、
前記第1の層の上に、連続的な密度勾配を含む第2の層、及び
希釈溶液を含む第3の層
を含む、請求項26に記載の細胞。
【請求項30】
勾配が、連続的な密度の溶液を含み、屈曲チューブを使用して、高密度に対する低密度の容積比を変化させることによって、低密度から高密度までを含むとさらに定義される、請求項26に記載の細胞。
【請求項31】
勾配が、連続的な密度の溶液を含み、屈曲チューブを使用して、イオジキサノール溶液とET-Kyoto溶液との容積比を変化させることによって生成したイオジキサノール溶液からET-Kyoto溶液までを含む低密度から高密度までを含むとさらに定義される、請求項26に記載の細胞。
【請求項32】
勾配が、連続的な密度の溶液を含み、屈曲チューブを使用して、イオジキサノール溶液とET-Kyoto溶液との容積比を変化させることによって生成した低密度(密度:1.077)から高密度(密度:1.095〜1.125)までのイオジキサノール−ET-Kyoto溶液を含むとさらに定義される、請求項26に記載の細胞。

【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−513755(P2012−513755A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543677(P2011−543677)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/069405
【国際公開番号】WO2010/075510
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(509004712)ベイラー リサーチ インスティテュート (38)
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】