大豆の磨砕加熱処理方法及び装置
【課題】青豆臭や渋み、えぐ味のない豆乳を製造することができる上、加熱による大豆磨砕物の焦げ付きを抑えることができ、かつ長時間の安定した温度コントロールを可能とした大豆の磨砕加熱処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】大豆を磨砕機に投入し、水を加えて磨砕する磨砕工程と、該磨砕工程後、直ちに大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に1℃〜70℃となるように、該大豆磨砕物の温度を65℃〜90℃の温度範囲まで昇温させ、該昇温状態を1秒〜180秒間保持する第1加熱工程と、次いで、該大豆磨砕物の昇温速度を所定条件に設定して、該大豆磨砕物の温度を所定温度まで昇温させ、該昇温状態を所定時間保持する第2加熱工程とを直列に連結し、密封連続ラインとするようにした。
【解決手段】大豆を磨砕機に投入し、水を加えて磨砕する磨砕工程と、該磨砕工程後、直ちに大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に1℃〜70℃となるように、該大豆磨砕物の温度を65℃〜90℃の温度範囲まで昇温させ、該昇温状態を1秒〜180秒間保持する第1加熱工程と、次いで、該大豆磨砕物の昇温速度を所定条件に設定して、該大豆磨砕物の温度を所定温度まで昇温させ、該昇温状態を所定時間保持する第2加熱工程とを直列に連結し、密封連続ラインとするようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な大豆の磨砕加熱処理方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年健康飲料として大豆を原料とする豆乳が広く普及している。しかしながら、一般的にフレーバーや、喉越しに対する刺激が強く、飲み難い傾向にあるのが実情である。これは、大豆に含有される酵素群が磨砕中に作用し、新たなフレーバー成分、渋み成分、咽喉刺激成分、あるいは褐変成分等の生成が行われるからである。また、これら酵素群は加熱によって活性が失われるのであるが、一般的に大豆磨砕物の加熱が緩やかにおこなわれるため、酵素の熱失活に必要な温度域に達するまでに嫌味成分の生成が官能の閾値に到達してしまうのである。
【0003】
これまでの大豆の磨砕加熱処理法は、原材料中の酵素群の熱失活を速やかに行うという最も重要な点に関しての思索が欠けていたと言わざるを得ない。何故ならば、従来の緩慢な加熱処理中に酵素によって引き起こされている品質変化こそが、伝統食品である豆乳や豆腐の品質そのものであるとの認識が一般的に認知されているからである。
【0004】
一般的に食品の品質劣化に最も大きな働きをする酵素は、酸化に関与する酵素群である。これらの酸化酵素群の働きにより、脂質の酸化によるフレーバー成分の生成、ポリフェノール類の酸化による褐変化、あるいは渋みの発現等の反応が進行するのである。大豆ではこの現象が顕著で、脂質酸化酵素であるリポキシダーゼの作用により青豆臭の生成、さらには渋みの発現が起こる。その他にも、配糖体加水分解酵素であるグルコシダーゼの作用により咽喉刺激性が発現する等、大豆加工中に起こる酵素作用による品質の変化が、製品である豆乳飲料や豆腐の品質劣化を促すのである。
【0005】
大豆に含有される酸化酵素、配糖体加水分解酵素等による大豆加工中の酵素作用を停止させることが出来れば、得られる豆乳は嫌なフレーバーが無く、スッキリとした後味で、まろやかな呈味を有することとなる。このような豆乳にニガリを添加して凝固させれば、甘みを有したスッキリ味の美味しい豆腐とすることが出来る。このような豆腐は後味がすっきりしているので沢山食べることができ、消費の拡大に繋がるものと期待される。
【0006】
大豆に含有される酵素群は、10℃以上で作用活性を示すが、15℃以下では活性は弱く、35〜55℃の温度帯では活性が最も強い。65℃程度までは酵素作用を示すが、70℃近辺で停止、80℃以上で失活することが知られている。通常の場合は、磨砕温度が18〜25℃で行われているので、磨砕中に酵素は働くのではあるがそれほど強くはない。
【0007】
しかしながら、そのまま放置すれば時間とともに生成物は増加するので、磨砕後は可及的速やかに加熱処理を行うことが肝要である。加熱に際しては酵素作用を停止させるため、一気に65℃以上に昇温させねば効果的とは言えない。そのためには、昇温速度が極めて重要な因子となる。
【0008】
一般的に植物性原料や魚貝類を含む動物性原料に由来する酵素群は、上述した温度範囲内での性質を示すので、本発明の技術思想は大豆以外の原材料の高品質加熱処理を行うためにも応用可能である。
【0009】
図12は豆腐業界における一般的な大豆の磨砕加熱処理装置の一例を示す模式図である。図12において、10は大豆の磨砕加熱処理装置である。この大豆の磨砕加熱処理装置10においては、ホッパー12に大豆Bを受け入れ、これを定量供給装置14で定量供給しながら水Wと共に磨砕機16で磨り潰し、大豆磨砕物B1とする。呉と称される大豆磨砕物B1は、磨砕機16からパイプP1を介し定量ポンプ18によってパイプP2を経て加熱器20に送られる。加熱器20は複数の円筒状の加熱器単体20A〜20Gを互いにパイプP3〜P8で連結して構成されている。加熱器20に送られた大豆磨砕物B1は加熱器単体20A〜20Gの下部より導入されるスチームSにより昇温される。スチームSを下部より大豆磨砕物(呉)B1と共に入れるため、スチームSの導入量が多いとスチームSがすっぽ抜けた状態となるので、短時間で所定の昇温を行うことは不可能である。その上、円筒状の加熱器単体20A〜20Gに内部に大豆磨砕物(呉)B1が滞留するために加熱温度、時間の均一性が保証されないという大きな欠陥を有している。なお、図12において、22A〜22Gは各加熱器単体20A〜20Gに対応して設けられた温度制御装置で、各加熱器単体20A〜20Gの各温度を測定するとともに各測定温度に応じてスチーム供給パイプP11〜P17に設置されたバルブV1〜V7の開閉を行って各加熱器単体20A〜20Gの温度制御を行うものである。24は固液分離装置で、加熱器20からパイプP9を経て送られてきた大豆磨砕物B1を液体(豆乳)B2及び固体(おから)B3に分離する作用を行う。Mは定量供給装置14を駆動するモータである。
【0010】
昇温速度について記述されている唯一の報告である特許文献1は、大豆に水を加えた大豆磨砕物を加圧下に昇温速度が1秒間に0.4〜50℃で、2秒から180秒以内に105℃以上に加熱するという。しかしながら、25℃程度の大豆磨砕物を一挙に105℃以上に昇温するためには、温度差が大き過ぎるので蒸気を熱源とする場合の蒸気圧は0.4MPaを必要とする。このため、内圧が上がるので大豆磨砕物のようにオカラのような繊維質を多く含み不均一なものでは、温度の均一性を確保することが極めて困難である。
【0011】
また、余りにも高温の蒸気を導入するので、蒸気発射管に焦げ付きが生じるので加熱臭を生成し、さらには、大豆磨砕物の粘度が上昇してゲル化力が低下し、豆腐製造においては大きな欠点となる。特に、大豆磨砕物のように焦げ付きやすい物では、蒸気発射管部の焦げ付きにより長時間稼動ができないという致命的な問題を抱えている。
【0012】
一段加熱の欠点を解消するための二段加熱法については、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等が報告されている。しかしながら、これらの特許文献では昇温速度について全く触れていない。さらに、特許文献2では、大豆を加水磨砕し、40〜115℃で4〜10分間保持するとなっており、先に述べた大豆含有酵素作用が最も高い温度域(35〜55℃)を含む条件となっている。同じように特許文献3では、1次加熱は、90℃以下の温度とするとあるので、酵素作用の高い温度域を含む条件となっている。また、特許文献4は、大豆に水を加えて磨砕した後、50〜60℃に昇温して5〜20分間放置とあるので、大豆中の酵素作用の最も強い領域に保持するという条件となっている。特許文献5では、生呉を第1工程で60℃乃至80℃で所定時間加熱するとあるが、60℃では大豆含有酵素は十分働くので風味の劣化が起こるのである。特に特許文献5の実施例で、第1工程での加熱処理装置としてチューブ式連続間接加熱装置を使用しているが、チューブ式連続間接加熱装置では、本発明で必須要件としている1秒間に1℃〜70℃の昇温効果を得ることができないのである。このようにこれまでの報告では、可及的速やかに大豆磨砕物を加熱して酵素の作用温度域外とすることにより、大豆含有酵素の働きを抑えようとする意図は全く見当たらないのである。
【0013】
また、予め間接加熱により内容物の温度を高めておき(予備加熱)、その後に蒸気を吹き込み所定の温度帯にするという間接加熱機構を備えたタイプの機種がある。しかしながら、このような間接タイプの加熱器では、予備加熱部での本発明者の目的とする昇温速度が得られず、大豆磨砕物が酵素作用の停止温度に達するまでに各種の反応が進行してしまう。さらには、間接加熱部の配管内部に焦げ付きが生じるので、徐々に温度低下が起こり長時間の安定した温度コントロールが極めて困難であるという致命的欠陥を有している。
【特許文献1】特開2005−304474
【特許文献2】特開昭51−61658
【特許文献3】特開昭62−262961
【特許文献4】特開平2−27957
【特許文献5】特開平2−49556
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者は、上述した従来技術の間題点を解決すべく、鋭意検討の結果、大豆に水を加えて磨砕する場合に、その後の加熱処理での昇温速度が、豆乳の品質を大きく左右することを発見した。特に、磨砕後可及的速やかに65℃以上90℃以下の範囲の温度帯にし、その後、100℃以上150℃以下とする多段加熱法は、豆乳の風味だけでなく物性に与える影響が極めて大きく、高品質豆乳製造のための必須要件であることを見出した。
【0015】
本発明者は、大豆の磨砕後の加熱処理の過程で、大豆に含有される酵素群の作用至適温度域を、可及的速やかに通過するように加熱し、最終的に酵素群を熱失活させ、加熱による大豆磨砕物の焦げ付きを抑え、安定したシステムコントロールを確保する目的を総合的に考慮した多段加熱システムを完成させた。
【0016】
本発明は、青豆臭や渋み、えぐ味のない豆乳を製造することができる上、加熱による大豆磨砕物の焦げ付きを抑えることができ、かつ長時間の安定した温度コントロールを可能とした大豆の磨砕加熱処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0017】
即ち、本発明の好ましい態様においては、昇温速度が1秒間に1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように大豆磨砕物(以下呉と言う)中に蒸気を直接吹き込み、呉の温度を65℃〜90℃、好ましくは70℃〜85℃、まで昇温させ、この昇温状態を1秒〜180秒間、好ましくは5秒〜60秒間、保持する第1加熱工程と、次いで、該呉の昇温速度が1秒間に0.1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように呉の中に蒸気を直接吹き込み、該呉の温度を100℃〜150℃、好ましくは106℃〜130℃、まで昇温させ、この昇温状態を1秒〜900秒、好ましくは5秒〜300秒間、保持する第2加熱工程を連続的に行うのである。さらに、高温にある呉を、100℃未満、好ましくは98℃以下に冷却する冷却工程を連結し、これを連続密封ラインとするのである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法は、大豆を磨砕機に投入し、水を加えて磨砕する磨砕工程と、該磨砕工程後、直ちに大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように、該大豆磨砕物の温度を65℃〜90℃、好ましくは70℃〜85℃、の温度範囲まで昇温させ、該昇温状態を1秒〜180秒間、好ましくは5秒〜60秒間、保持する第1加熱工程と、次いで、該大豆磨砕物の昇温速度を所定条件に設定して該大豆磨砕物の温度を所定温度まで昇温させ、該昇温状態を所定時間保持する第2加熱工程と、さらに、該大豆磨砕物を100℃未満に冷却する冷却工程とを直列に連結し、密封連続ラインとすることを特徴とする。しかしながら、呉の温度低下がライン中での温度降下により、所定の温度以下に冷却されるのであれば、冷却器を設置することなく自然冷却による冷却を冷却工程として利用することができる。
【0019】
前記第2加熱工程において、前記大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に0.1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、前記大豆磨砕物の温度が100℃〜150℃、好ましくは106℃〜130℃、及び前記昇温状態の保持時間が1秒〜900秒、好ましくは5秒〜300秒間、とするのが好ましい。
【0020】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記冷却工程の後に、固液分離機を用いる固液分離工程を連結するのが好適である。
【0021】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記固液分離工程の後に真空脱気槽を用いる真空脱気工程を連結するのが好ましい。
【0022】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記真空脱気工程の後に110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機を用いる加熱殺菌工程、あるいは滅菌機を用いる滅菌工程を連結するのが好適である。
【0023】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記冷却工程の後に、真空脱気槽を用いる真空脱気工程と、次いで固液分離機を用いる固液分離工程を連結するのが好ましい。
【0024】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記固液分離工程の後に、110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機を用いる加熱殺菌工程、あるいは滅菌機を用いる滅菌工程を連結するのが好適である。
【0025】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記磨砕時に加えられる水の温度を15℃以下とするのが好ましい。この水の温度の下限値は特にないが、下限値としては2℃程度とすればよい。
【0026】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記磨砕時に加えられる水のpHが8〜12である場合も可能である。
【0027】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記磨砕を水封状態で行うのが好ましい。
【0028】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記第1加熱工程及び第2加熱工程での加熱システムとして、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式が最適であるが、ジュール加熱器を用いることもできる。また、前記第1加熱工程及び第2加熱工程のいずれか一方を前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式とし、他方の工程に対してジュール加熱器を用いる構成とすることもできる。さらには、第2加熱工程をマイクロウエーブ加熱システム、あるいは、間接加熱(二重管、シェルアンドチューブ等)システムとすることも可能である。
【0029】
本発明の大豆の磨砕加熱処理装置は、上記した本発明の大豆の磨砕加熱処理方法を実施するための装置であって、原料大豆を磨砕する磨砕機と、該磨砕機からの大豆磨砕物を加熱する第1加熱器と、該第1加熱器で加熱された大豆磨砕物をさらに加熱する第2加熱器と、該第2加熱器で加熱された大豆磨砕物を豆乳とおからに分離する固液分離機とを有することを特徴とする。
【0030】
前記第1加熱器と前記第2加熱器の間に温度保持手段を設置し、また前記第2加熱器と前記固液分離機の間に温度保持手段及び/又は冷却器を設置する構成とするのが好ましい。
【0031】
前記第1加熱器及び第2加熱器として、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器を用い、又はジュール加熱器を用いるのが好適である。さらに、 前記第1加熱器及び第2加熱器のいずれか一方の加熱器として、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器を用い、他方の加熱器として、ジュール加熱器を用いる構成を採用することもできる。
【0032】
前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器としては、大豆磨砕物を通過させるための主導管と、該主導管に隣接して設けられた蒸気分配管と、該蒸気分配管から前記主導管に延出され該主導管内に蒸気を導入する1本又は複数本の蒸気導入管とを有する構成を採用するのが好ましい。
【0033】
前記蒸気分配管と前記主導管と平行に設置されているか、又は前記蒸気分配管と前記主導管が装置設置水平床に対して角度αだけ上方に傾斜している構成を採用することができる。前記角度αは2°〜45°、好ましくは5°〜20°である。
【発明の効果】
【0034】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法及び装置によれば、青豆臭や渋み、さらにはえぐ味のない豆乳を製造することができる上、加熱による大豆磨砕物の焦げ付きを抑えることができ、従って、長時間の安定した温度コントロールが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0036】
図1は本発明の大豆の磨砕加熱処理方法の工程順の1例を示すフローチャートである。図2は図1の工程順における装置の設置の1例を示すブロック図である。図3は本発明の大豆の磨砕加熱処理方法の工程順の他の例を示すフローチャートである。図4は図3の工程順における装置の設置の1例を示すブロック図である。図5は本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の一つの実施形態を示す模式図である。図6は本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の他の実施形態を示す模式図である。図7は本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の別の実施形態を示す模式図である。図8は本発明の大豆の磨砕加熱処理装置のさらに別の実施形態を示す模式図である。図9は大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の一例を示す断面的説明図である。図10は大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の他の例を示す断面的説明図である。図11は大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の別の例を示す断面的説明図である。
【0037】
本発明に用いられる原料大豆は、一般的に豆乳飲料及び豆腐製造に用いられる大豆であればどのような銘柄のものでも良い。原料大豆の種皮はそのままでも取り除いても良く、原料大豆を予め水に浸漬して用いても、無浸漬でそのまま、あるいは種皮を取り除いて用いても良い。
【0038】
図1及び図2に示したように、原料大豆に水を加えながら磨砕機200で磨砕し(ステップ100)、その磨砕した呉を、送液ポンプを用いて第1加熱器202に送り、加圧蒸気を吹き込み65℃〜90℃に加熱する(ステップ102:第1加熱工程)。この時の昇温速度は、1秒間に1℃〜70℃の範囲で行い、1秒〜180秒間保持した後に連結された第2加熱器204に送る。第1加熱工程での昇温速度は好ましくは1秒間に10℃〜60℃、呉の温度は好ましくは70℃〜85℃、保持時間は好ましくは5秒〜60秒である。
【0039】
第2加熱器204に送られた呉は、加圧蒸気を吹き込み100℃〜150℃に加熱する(ステップ104:第2加熱工程)。この時の昇温速度は、1秒間に0.1℃〜70℃の範囲で行う。この第2加熱器204で二次加熱された呉は1秒〜900秒間保持された後、連結された冷却器206に送られる。第2加熱工程での昇温速度は好ましくは1秒間に10℃〜60℃、呉の温度は好ましくは106℃〜130℃、保持時間は好ましくは5秒〜300秒である。
【0040】
冷却器206に送られた呉は、100℃未満に冷却するが、好ましくは98℃以下、さらに好ましくは40〜90℃とする(ステップ106:冷却工程)。なお、ここで冷却器206は必ずしも設置する必要はなく、自然冷却による冷却を冷却工程として利用することも可能である。次いでスクリュープレスやスクリューデカンター等の固液分離機208に送り豆乳とオカラに分ける(ステップ108:固液分離工程)。そして、豆乳は常法により真空脱気槽210を用いて真空脱気され(ステップ110:真空脱気工程)、さらに110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機又は滅菌機212を用いて加熱殺菌処理又は滅菌処理される(ステップ112:加熱殺菌工程又は滅菌工程)。
【0041】
ステップ108、110、112で得られた豆乳は、それぞれそのまま飲料として用いても良く、ニガリ等の凝固剤を加えて豆腐、あるいは厚揚げ、油揚げ等の豆腐加工品として用いても良い。呉は磨砕機に直結した送液ポンプにより直接加熱器に送ってもよく、送液ポンプの手前で一度滞留させた後に送ってもよい。
【0042】
図1及び図2に示した例では、呉を固液分離機208にかけて豆乳とオカラに分けた場合を示したが、図3及び図4に示すように真空脱気槽210を用いて真空脱気した後に固液分離機208にかけて豆乳とオカラに分け、この分離された豆乳に対して、さらに110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機又は滅菌機212を用いて加熱殺菌処理又は滅菌処理を行うように構成することもできる。
【0043】
本発明に用いられる磨砕機200としては、コロイドミルタイプのものでも、カッティングタイプのものでも、石臼タイプのものでも良く、大豆を効率良く磨砕するタイプのものであれば良い。また、縦型でも横型でも良く、微細化を必要とする場合には、例えばトリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機株式会杜製)とか横型ミル(特殊機化工業株式会社製)、超精密カッター(増幸産業株式会社製)等が好ましい。また、これらの磨砕機を複数台組み合わせて用いても良い。例えば、縦型の磨砕機の後に横型の磨砕機を接続して、磨砕効率を高めることも可能である。さらには、磨砕機の前に、大豆、或いは、大豆と水を定量的に供給するための押し込みポンプを直結してもよい。
【0044】
呉の送液手段としては、ロータリーポンプ、モーノポンプ、モノフレックスポンプ、ギアポンプ等シール性の高いものであれば、どのようなタイプのポンプであっても用いることができる。
【0045】
第1加熱器202及び第2加熱器204は、呉が流れている配管内に直接蒸気を吹き込む機構のものであればどのようなタイプのものでも良いが、本発明の目的とする昇温スピードを保証するものでなくてはならない。そのためには、蒸気の吹き込み口は1本でも複数本でも良く、呉の処理量に応じて設定すれば良い。加熱部には大豆磨砕物に蒸気を効率良く混合するために、スタティクミキサーの様な混合機を組み込んでも良く、その方式は固定式でも可動式でも良いが、それらを組み合わせたものでも良い。
【0046】
冷却器206は、二重管タイプやプレートタイプの間接熱交換タイプのものでも良いが、減圧された槽内に加熱された呉を送り込み、温度を下げるタイプのものでも良い。二重管熱交換方式の場合には、熱交換の効率を高めるためにスタティクミキサーの様な混合機を組み込んでも良い。
【0047】
また、呉に直接発熱作用を起こさせるジュール加熱は、配管内でのスケール発生が抑えられるので、呉の昇温速度が目的に合致していれば、本発明に十分使用可能である。
【0048】
ジュール加熱は設備コストが高く、採算性が悪いのであるが、直接蒸気吹き込み加熱とジュール加熱を組み合わせて用いることにより、採算性を高めることが可能である。特に、第2加熱をジュール加熱に置き換えることは、蒸気吹き込みによる加水を避け、高濃度製品を製造するのには効果的である。第2加熱工程に限っては、マイクロウエーブ加熱システム、あるいは、間接加熱(二重管、シェルアンドチューブ等)システムであっても、本発明の目的とする昇温スピードの許容される下限の範囲(0.1℃以上1℃未満)を実現できるので、これらを採用することも可能である。
【0049】
本発明は、果実、野菜ピューレの加熱処理、これらピューレを配合した調味液の加熱殺菌処理に使用することも可能である。またさらに、ミートエキス、魚介類エキスや酵母エキス類等の加熱殺菌処理に使用することもできる。このような場合、蒸気混入による濃度変化を避けるためにジュール加熱システムが効果的である。いずれにしても1段目の加熱での昇温速度が1秒間に1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように加熱し、65℃〜90℃、好ましくは70℃〜85℃、まで昇温させることがポイントである。
【0050】
その後第2加熱を組み合わせ、昇温速度が1秒間に0.1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように加熱し、100℃〜150℃、好ましくは106℃〜130℃、まで昇温させれば良い。勿論2段以上の多段加熱システムを採用しても良い。
【0051】
続いて、図5を用いて、本発明装置の一つの実施形態について説明する。図5は本発明装置の第1の実施形態10Aを示すものである。本発明の大豆の磨砕加熱処理装置10Aは図12に示した従来の大豆の磨砕加熱処理装置10と構成的に重複する部分があるが、図5によって再度説明する。
【0052】
図5において、10Aは本発明の大豆の磨砕加熱処理装置である。この大豆の磨砕加熱処理装置10Aにおいては、ホッパー12に大豆Bを受け入れ、これを定量供給装置14で定量供給しながら水Wと共に磨砕機200で磨り潰し、大豆磨砕物B1とする。呉と称される大豆磨砕物B1は、磨砕機200からパイプP1を介し定量ポンプ18によってパイプP2を経て第1加熱器202に送られる。
【0053】
本発明の特徴の一つは前述したように加熱工程を2段階にした点にあるが、本発明の大豆の磨砕加熱処理装置10Aにおいては、この2段階の加熱工程を実施するために加熱工程を二台の加熱器、即ち、第1加熱器202と第2加熱器204によって構成し、これらの加熱器を直列に配置したものである。この第1加熱器202及び第2加熱器204として用いる加熱器としては、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器が好適に用いられるが、特に後述する図7〜図9に示した構造の加熱器が好適である。
【0054】
第1加熱器202に送られた大豆磨砕物B1は導入されるスチームSにより昇温される。第1加熱器202で加熱された大豆磨砕物B1はパイプP3を経てホールドパイプ等の第1温度保持手段203に送られて一定時間温度保持される。
【0055】
上記第1温度保持手段203で一定時間保持された大豆磨砕物B1は、ついでパイプP4を経て第2加熱器204に送られる。第2加熱器204で加熱された大豆磨砕物B1はパイプP5を経て第2温度保持手段205に送られて一定時間保持される。その後、大豆磨砕物B1は固液分離機208に送られ、液体(豆乳)B2と固体(おから)B3に分離される。なお、この温度保持手段203及び205は必要に応じて設置されるもので必須の構成ではなく、その設置を省略することもできる。
【0056】
図5において、22X、22Yは第1加熱器202及び第2加熱器204に対応して設けられた温度制御装置で、各加熱器202、204の各温度を測定するとともに各測定温度に応じてスチーム供給パイプP11、P12に設置されたバルブV1、V2の開閉を行って第1及び第2加熱器202、204の温度制御を行うものである。Mは定量供給装置14を駆動するモータである。
【0057】
つまり、図5に示した大豆の磨砕加熱処理装置10Aは、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の2台の加熱器、即ち第1加熱器202及び第2加熱器204を直列に接続した例であるが、第1段加熱で所定の温度まで昇温させた後に、第2段加熱でさらに高温域への加熱を行ものである。第1段加熱後にホールドパイプ等の第1温度保持手段203により一定時間温度保持を行っても良く、また速やかに第2段加熱に移行しても良い。第2段加熱後はホールドパイプ等の第2温度保持手段205により一定時間保持した後に固液分離機208に送ってもよいし、直接固液分離機208に送ってもよいものである。
【0058】
図5の例では、大豆磨砕物B1はパイプP5を経て第2温度保持手段205に送られて一定時間保持され、その後、大豆磨砕物B1は固液分離機208に送られる構成となっているが、図6に示したように、大豆磨砕物B1をパイプP5を経て第2温度保持手段205に送り、ついでパイプP6を経て冷却器206に送り、冷却器206において大豆磨砕物B1の温度を適温まで下げて、固液分離機208に送る構成を採用することもできる。
【0059】
つまり、図6に示した大豆の磨砕加熱処理装置10Bは、図5と同様に、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の2台の加熱器、即ち第1加熱器202及び第2加熱器204を直列に接続した例であるが、第2段加熱後はホールドパイプ等の第2温度保持手段205により一定時間保持を行った後に、速やかに冷却器206を通して適温まで下げ固液分離機208に送るシステムの一例である。また、第1段加熱後にホールドパイプ等の第1温度保持手段203により一定時間温度保持を行っても良く、第2段加熱後のホールドパイプ等の第2温度保持手段205を省略し、直接冷却器206に送液してもよい。
【0060】
上記第1加熱器202及び第2加熱器204として好適に用いられる大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器の構造について図7によって説明する。図7において、加熱器Hは、大豆磨砕物B1を通過させるための主導管300と、該主導管300に隣接して設けられた蒸気分配管302と、該蒸気分配管302から前記主導管300に延出され該主導管300内に蒸気Sを導入する1本又は複数本の蒸気導入管304とを有している。306は該主導管300の内部に配設されたスタティックエレメントで、主導管300内に導入される大豆磨砕物B1の撹拌効果を高める作用を有している。このスタティックエレメント306は固定式が好ましいが、回転式としてもよい。また、このスタティックエレメント306の設置を省略することも可能である。308は蒸気分配管302に蒸気Sを吹き込むための蒸気導入口である。
【0061】
前記蒸気導入管304は、1本から複数本まで自由に選択することが可能である。また、図7の例では、前記蒸気分配管302と前記主導管300とを含む加熱器Hが、支柱307を介して加熱器Hを設置する水平な床Fに対して平行に設置されている場合を例示したが、図8に示すように、前記蒸気分配管302と前記主導管300とを含む加熱器H1を、加熱器H1を設置する水平な床Fに対して角度αだけ送液方向上方に傾斜した状態を採用することができる。前記角度αとしては0〜90°とすることができるが、好ましくは2°〜45°、さらに好ましくは5°〜20°である。このように、加熱器H及びH1は、水平から垂直までの間で自由に選択すればよいが、送液方向に高くなるように傾斜を付けることにより、前記主導管300中の空気層を排除することが容易になり、大豆磨砕物(呉)B1と蒸気Sの混合をより均一にする効果、さらには、蒸気導入時の衝撃音を減らす効果等が期待できる。この場合には、蒸気分配室302に蒸気ドレーン抜き309を設置すると、常にドライな蒸気を呉B1に導入できるので好ましい。
【0062】
本発明装置において好適に用いられる大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器の構造は図7及び図8の他に図9に示した構造の加熱器も適用可能である。図9に示した加熱器H2は、図7及び図8に示した加熱器H,H1よりも単純な構造で、大豆磨砕物B1を通過させるための主導管300と、該主導管300内に蒸気Sを導入する蒸気導入管304とを有している。306は該主導管300の内部に配設されたスタティックエレメントで、主導管300内に導入される大豆磨砕物B1の撹拌効果を高める作用を有している。このスタティックエレメント306は固定式が好ましいが、回転式としてもよい。また、このスタティックエレメント306の設置を省略することも可能である。
【0063】
図5及び図6に示したように、第1加熱器202及び第2加熱器204としてはともに大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器を適用するのが好ましいが、第1加熱器202を大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器(図7,8,9)とし、図10及び図11に示したように、第2加熱器を従来の一般的な加熱器を適用する構成とすることも可能である。
【0064】
図10は、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器(第1加熱器202)と図12に示した豆腐業界における一般的な呉加熱装置の一例である筒型の加熱器20の一部を第2加熱器204Aとして組み合わせた構成例を示す。該第2加熱器204Aは、図12の加熱器20の円筒状加熱器単体の本数を減らして後半部分20D〜20Gのみを残した形となっている。図10に示したように、必要に応じて、第1加熱器202及び第2加熱器204Aのそれぞれの後に第1温度保持手段203及び第2温度保持手段205を設けてもよいし、第2加熱器204Aの後半部分をそのまま加熱機構と温度保持機構の兼用手段として使用してもよい。
【0065】
図11は、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器(第1加熱器202)と従来型のチューブタイプの加熱器を第2加熱器204Bとして組み合わせた構成例を示す。図11に示したように、必要に応じて、第2加熱器204Bの後に加熱された呉を一定時間保持する第2温度保持手段205設けてもよい。さらに、第1加熱器202の後に第1温度保持手段203により一定時間温度保持を行っても良く、また速やかにチューブタイプの第2加熱器204Bに送ってもよい。チューブタイプ加熱器は、管内に直接スチームを導入して直接加熱するタイプでも、二重管加熱器で間接的に加熱するタイプのどちらでもよい。
【0066】
図5、図6、図10及び図11の構成において、第1加熱器202及び第2加熱器204、204A、204Bの後で呉を一定温度で保持する温度保持手段としては、円筒状、パイプ状あるいはその他いずれの形状であろうとその目的を達成するものであれば使用可能である。
【0067】
図7に示した形状の加熱器(名称:ノリタケクッカー、(株)ノリタケカンパニーリミテド製)は、豆乳及び豆腐製造において未だ用いられたことは無く、本発明者が豆乳製造における理想的な呉加熱を行うために選択したものである。従って、上記加熱器を組み込んだ本発明の加熱システムは、豆乳、豆腐製造における理想的な加熱システムとして、本発明者によって初めて提案されるものである。
【実施例】
【0068】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0069】
実験例1:水に16時間浸漬した全粒大豆に18℃の新しい水を加えながら石臼タイプの磨砕機で磨砕し、得られた呉(23℃)を呉移送ポンプ(ロータリーポンプ)で第1加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで2秒間で68℃とした。これを5秒間保持した後に第2加熱器で蒸気を吹き込み2秒間で106℃とし、240秒間保持後に二重管冷却器で85℃まで冷却した。これをスクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を実験例1品とした。
【0070】
実験例2:水に16時間浸漬した全粒大豆に、7℃の新しい水を加えながら石臼タイプの磨砕機で磨砕し、得られた呉(15℃)を呉移送ポンプ(ロータリーポンプ)で第1加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで2秒間で70℃とした。第2加熱器以降の処理は実験例1と同様に行い得られた豆乳を実験例2品とした。
【0071】
比較実験例1:実験例1と同様に浸漬大豆を磨砕し、得られた呉(23℃)を同様に呉移送ポンプで連続釜に送り(1500L/h)、6本の縦型の筒(25L)の中に順番に下方から上方へと通過させながら蒸気を下方より吹き込んだ。呉移送ポンプ通過後50秒後に40℃、80秒後に60℃、120秒後に70℃、160秒後に90℃、180秒後に100℃、240秒後に106℃であった。そのまま240秒間保持した後、スクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を比較実験例1品とした。
【0072】
比較実験例2:実験例2と同様に浸漬大豆を磨砕し、得られた呉(15℃)を同様に呉移送ポンプで連続釜に送り(1500L/h)、6本の縦型の筒(25L)の中に順番に下方から上方へと通過させながら蒸気を下方より吹き込んだ。呉移送ポンプ通過後50秒後に30℃、80秒後に45℃、120秒後に60℃、160秒後に75℃、180秒後に90℃、200秒後に100℃、240秒後に106℃であった。そのまま240秒間保持した後、スクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を比較実験例2品とした。
【0073】
比較実験例3:実験例1と同様に浸漬大豆を磨砕し、得られた呉(23℃)を同様に呉移送ポンプで二重管式間接加熱器に送り(1500L/h)、70秒後に50℃、120秒後に70℃、180秒後に86℃であった。これに蒸気を吹き込み106℃とし、240秒間保持後に二重管冷却器で85℃まで冷却した。これをスクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を比較実験例3品とした。
【0074】
比較実験例4:実験例1と同様に浸漬大豆を磨砕し、得られた呉(25℃)を同様に呉移送ポンプで加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで5秒間で106℃とした。240秒間保持後に二重管冷却器で85℃まで冷却した。これをスクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を比較実験例4品とした。
【0075】
得られた夫々の豆乳は10℃に冷却後、凝固剤として塩化マグネシウム製剤0.25%を混合、ポリプロピレン容器に密封し、85℃、45分間の加熱凝固を行った。豆乳、豆腐それぞれは、20℃で1時間放置後、13名の専門パネルによって官能評価を行った。
【0076】
結果を表1〜3にまとめて示したが、実験例品は、豆乳粘度が極めて低く、ゲル化力も高い。これに対して比較実験例品は何れも粘度が高く、ゲル化力も実験例品に比べ低い。総合的に実験例品が比較実験例品を上回る結果であった。官能検査の結果は、豆乳、豆腐共に実験例品が比較実験例品を上回り、好評であった。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
(実施例1)
水に15時間浸漬した全粒大豆を縦型の磨砕機のホッパー部に水をキープして空気の混入を防いだ状態で、連結した送液ポンプ(モーノポンプ)の回転数は一定として浸漬大豆と磨砕水の供給量をコントロールしてホッパー部の水位を一定レベルに維持した。
【0081】
得られた呉(21℃)を第1加熱器に送り(1200L/h)、12秒後に蒸気を吹き込んで4秒間で75℃とした。これを60秒間保持した後に第2加熱器で蒸気を吹き込み4秒間で103℃とし、90秒間保持後に二重管冷却器で75℃まで冷却した。
【0082】
これをスクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を脱気槽に導入した。この豆乳を120℃で殺菌後冷却し、天然ニガリを添加混合した後にプラスチック容器に充填密封して85℃、45分間加熱凝固させ、10℃まで冷却した。
【0083】
得られた豆腐は、豆の香りがし、渋み、えぐ味の無い、甘く美味しいものであった。
【0084】
(実施例2)
脱皮大豆を新鮮な水を供給しながら横型の磨砕機で磨砕し、連結した送液ポンプで、得られた呉(23℃)を第1加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで5秒間で85℃とした。これを10秒間保持した後に第2加熱器でジュール加熱により30秒間で120℃とし、30秒間保持後に二重管冷却器で80℃まで冷却した。
【0085】
これをスクリューデカンターでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を脱気槽に導入した。この豆乳を145℃、5秒間の滅菌処理をした後に10℃まで冷却し、無菌的条件下で無菌のポリプロピレン容器に充填した。
【0086】
この豆乳はさらりとして、渋み、えぐ味の無い後味のすっきりした飲みやすいものであった。
【0087】
(実施例3)
水に15時間浸漬した全粒大豆を新鮮な冷水(5℃)を供給しながら横型の磨砕機で磨砕し、連結した送液ポンプで、得られた呉(16℃)を第1加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで5秒間で90℃とした。これを8秒間保持した後に第2加熱器で蒸気を吹き込んで130℃とし、10秒間保持後に二重管冷却器で75℃まで冷却した。
【0088】
これをスクリューデカンターでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を脱気槽に導入した。この豆乳を125℃、10秒間の殺菌処理をした後に80℃まで冷却し、天然ニガリを添加混合してそのまま加温しながら30分間静置して固めた。
【0089】
この豆腐は、大豆の香りが高く、甘くて渋み、えぐ味の無い後味のすっきりしたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の大豆の磨砕加熱処理方法の工程順の1例を示すフローチャートであ る。
【図2】図1の工程順における装置の設置の1例を示すブロック図である。
【図3】本発明の大豆の磨砕加熱処理方法の工程順の他の例を示すフローチャートで ある。
【図4】図3の工程順における装置の設置の1例を示すブロック図である。
【図5】本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の一つの実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の他の実施形態を示す模式図である。
【図7】大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の一例を示す断面的説明図である。
【図8】大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の他の例を示す断面的説明図である。
【図9】大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の別の例を示す断面的説明図である。
【図10】本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の別の実施形態を示す模式図である。
【図11】本発明の大豆の磨砕加熱処理装置のさらに別の実施形態を示す模式図である。
【図12】従来の大豆の磨砕加熱処理装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0091】
10,10A,10B:磨砕加熱処理装置、12:ホッパー、14:定量供給装置、16,200:磨砕機、18:定量ポンプ、20:従来の加熱器、20A〜20G:加熱器単体、202:第1加熱器、203:第1温度保持手段、204,204A,204B:第2加熱器、205:第2温度保持手段、206:冷却器、208:固液分離機、210:真空脱気槽、212:加熱殺菌機又は滅菌機、300:主導管、302:蒸気分配管、304:蒸気導入管、306:スタティックエレメント、307:支柱、308:蒸気導入口、309:ドレーン抜き、B:大豆、B1:大豆磨砕物、H,H1,H2:本発明の加熱器、P1〜P9:パイプ、P11〜P17:スチーム供給パイプ、S:スチーム、蒸気、V1〜V7:バルブ、W:水。
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な大豆の磨砕加熱処理方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年健康飲料として大豆を原料とする豆乳が広く普及している。しかしながら、一般的にフレーバーや、喉越しに対する刺激が強く、飲み難い傾向にあるのが実情である。これは、大豆に含有される酵素群が磨砕中に作用し、新たなフレーバー成分、渋み成分、咽喉刺激成分、あるいは褐変成分等の生成が行われるからである。また、これら酵素群は加熱によって活性が失われるのであるが、一般的に大豆磨砕物の加熱が緩やかにおこなわれるため、酵素の熱失活に必要な温度域に達するまでに嫌味成分の生成が官能の閾値に到達してしまうのである。
【0003】
これまでの大豆の磨砕加熱処理法は、原材料中の酵素群の熱失活を速やかに行うという最も重要な点に関しての思索が欠けていたと言わざるを得ない。何故ならば、従来の緩慢な加熱処理中に酵素によって引き起こされている品質変化こそが、伝統食品である豆乳や豆腐の品質そのものであるとの認識が一般的に認知されているからである。
【0004】
一般的に食品の品質劣化に最も大きな働きをする酵素は、酸化に関与する酵素群である。これらの酸化酵素群の働きにより、脂質の酸化によるフレーバー成分の生成、ポリフェノール類の酸化による褐変化、あるいは渋みの発現等の反応が進行するのである。大豆ではこの現象が顕著で、脂質酸化酵素であるリポキシダーゼの作用により青豆臭の生成、さらには渋みの発現が起こる。その他にも、配糖体加水分解酵素であるグルコシダーゼの作用により咽喉刺激性が発現する等、大豆加工中に起こる酵素作用による品質の変化が、製品である豆乳飲料や豆腐の品質劣化を促すのである。
【0005】
大豆に含有される酸化酵素、配糖体加水分解酵素等による大豆加工中の酵素作用を停止させることが出来れば、得られる豆乳は嫌なフレーバーが無く、スッキリとした後味で、まろやかな呈味を有することとなる。このような豆乳にニガリを添加して凝固させれば、甘みを有したスッキリ味の美味しい豆腐とすることが出来る。このような豆腐は後味がすっきりしているので沢山食べることができ、消費の拡大に繋がるものと期待される。
【0006】
大豆に含有される酵素群は、10℃以上で作用活性を示すが、15℃以下では活性は弱く、35〜55℃の温度帯では活性が最も強い。65℃程度までは酵素作用を示すが、70℃近辺で停止、80℃以上で失活することが知られている。通常の場合は、磨砕温度が18〜25℃で行われているので、磨砕中に酵素は働くのではあるがそれほど強くはない。
【0007】
しかしながら、そのまま放置すれば時間とともに生成物は増加するので、磨砕後は可及的速やかに加熱処理を行うことが肝要である。加熱に際しては酵素作用を停止させるため、一気に65℃以上に昇温させねば効果的とは言えない。そのためには、昇温速度が極めて重要な因子となる。
【0008】
一般的に植物性原料や魚貝類を含む動物性原料に由来する酵素群は、上述した温度範囲内での性質を示すので、本発明の技術思想は大豆以外の原材料の高品質加熱処理を行うためにも応用可能である。
【0009】
図12は豆腐業界における一般的な大豆の磨砕加熱処理装置の一例を示す模式図である。図12において、10は大豆の磨砕加熱処理装置である。この大豆の磨砕加熱処理装置10においては、ホッパー12に大豆Bを受け入れ、これを定量供給装置14で定量供給しながら水Wと共に磨砕機16で磨り潰し、大豆磨砕物B1とする。呉と称される大豆磨砕物B1は、磨砕機16からパイプP1を介し定量ポンプ18によってパイプP2を経て加熱器20に送られる。加熱器20は複数の円筒状の加熱器単体20A〜20Gを互いにパイプP3〜P8で連結して構成されている。加熱器20に送られた大豆磨砕物B1は加熱器単体20A〜20Gの下部より導入されるスチームSにより昇温される。スチームSを下部より大豆磨砕物(呉)B1と共に入れるため、スチームSの導入量が多いとスチームSがすっぽ抜けた状態となるので、短時間で所定の昇温を行うことは不可能である。その上、円筒状の加熱器単体20A〜20Gに内部に大豆磨砕物(呉)B1が滞留するために加熱温度、時間の均一性が保証されないという大きな欠陥を有している。なお、図12において、22A〜22Gは各加熱器単体20A〜20Gに対応して設けられた温度制御装置で、各加熱器単体20A〜20Gの各温度を測定するとともに各測定温度に応じてスチーム供給パイプP11〜P17に設置されたバルブV1〜V7の開閉を行って各加熱器単体20A〜20Gの温度制御を行うものである。24は固液分離装置で、加熱器20からパイプP9を経て送られてきた大豆磨砕物B1を液体(豆乳)B2及び固体(おから)B3に分離する作用を行う。Mは定量供給装置14を駆動するモータである。
【0010】
昇温速度について記述されている唯一の報告である特許文献1は、大豆に水を加えた大豆磨砕物を加圧下に昇温速度が1秒間に0.4〜50℃で、2秒から180秒以内に105℃以上に加熱するという。しかしながら、25℃程度の大豆磨砕物を一挙に105℃以上に昇温するためには、温度差が大き過ぎるので蒸気を熱源とする場合の蒸気圧は0.4MPaを必要とする。このため、内圧が上がるので大豆磨砕物のようにオカラのような繊維質を多く含み不均一なものでは、温度の均一性を確保することが極めて困難である。
【0011】
また、余りにも高温の蒸気を導入するので、蒸気発射管に焦げ付きが生じるので加熱臭を生成し、さらには、大豆磨砕物の粘度が上昇してゲル化力が低下し、豆腐製造においては大きな欠点となる。特に、大豆磨砕物のように焦げ付きやすい物では、蒸気発射管部の焦げ付きにより長時間稼動ができないという致命的な問題を抱えている。
【0012】
一段加熱の欠点を解消するための二段加熱法については、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等が報告されている。しかしながら、これらの特許文献では昇温速度について全く触れていない。さらに、特許文献2では、大豆を加水磨砕し、40〜115℃で4〜10分間保持するとなっており、先に述べた大豆含有酵素作用が最も高い温度域(35〜55℃)を含む条件となっている。同じように特許文献3では、1次加熱は、90℃以下の温度とするとあるので、酵素作用の高い温度域を含む条件となっている。また、特許文献4は、大豆に水を加えて磨砕した後、50〜60℃に昇温して5〜20分間放置とあるので、大豆中の酵素作用の最も強い領域に保持するという条件となっている。特許文献5では、生呉を第1工程で60℃乃至80℃で所定時間加熱するとあるが、60℃では大豆含有酵素は十分働くので風味の劣化が起こるのである。特に特許文献5の実施例で、第1工程での加熱処理装置としてチューブ式連続間接加熱装置を使用しているが、チューブ式連続間接加熱装置では、本発明で必須要件としている1秒間に1℃〜70℃の昇温効果を得ることができないのである。このようにこれまでの報告では、可及的速やかに大豆磨砕物を加熱して酵素の作用温度域外とすることにより、大豆含有酵素の働きを抑えようとする意図は全く見当たらないのである。
【0013】
また、予め間接加熱により内容物の温度を高めておき(予備加熱)、その後に蒸気を吹き込み所定の温度帯にするという間接加熱機構を備えたタイプの機種がある。しかしながら、このような間接タイプの加熱器では、予備加熱部での本発明者の目的とする昇温速度が得られず、大豆磨砕物が酵素作用の停止温度に達するまでに各種の反応が進行してしまう。さらには、間接加熱部の配管内部に焦げ付きが生じるので、徐々に温度低下が起こり長時間の安定した温度コントロールが極めて困難であるという致命的欠陥を有している。
【特許文献1】特開2005−304474
【特許文献2】特開昭51−61658
【特許文献3】特開昭62−262961
【特許文献4】特開平2−27957
【特許文献5】特開平2−49556
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者は、上述した従来技術の間題点を解決すべく、鋭意検討の結果、大豆に水を加えて磨砕する場合に、その後の加熱処理での昇温速度が、豆乳の品質を大きく左右することを発見した。特に、磨砕後可及的速やかに65℃以上90℃以下の範囲の温度帯にし、その後、100℃以上150℃以下とする多段加熱法は、豆乳の風味だけでなく物性に与える影響が極めて大きく、高品質豆乳製造のための必須要件であることを見出した。
【0015】
本発明者は、大豆の磨砕後の加熱処理の過程で、大豆に含有される酵素群の作用至適温度域を、可及的速やかに通過するように加熱し、最終的に酵素群を熱失活させ、加熱による大豆磨砕物の焦げ付きを抑え、安定したシステムコントロールを確保する目的を総合的に考慮した多段加熱システムを完成させた。
【0016】
本発明は、青豆臭や渋み、えぐ味のない豆乳を製造することができる上、加熱による大豆磨砕物の焦げ付きを抑えることができ、かつ長時間の安定した温度コントロールを可能とした大豆の磨砕加熱処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0017】
即ち、本発明の好ましい態様においては、昇温速度が1秒間に1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように大豆磨砕物(以下呉と言う)中に蒸気を直接吹き込み、呉の温度を65℃〜90℃、好ましくは70℃〜85℃、まで昇温させ、この昇温状態を1秒〜180秒間、好ましくは5秒〜60秒間、保持する第1加熱工程と、次いで、該呉の昇温速度が1秒間に0.1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように呉の中に蒸気を直接吹き込み、該呉の温度を100℃〜150℃、好ましくは106℃〜130℃、まで昇温させ、この昇温状態を1秒〜900秒、好ましくは5秒〜300秒間、保持する第2加熱工程を連続的に行うのである。さらに、高温にある呉を、100℃未満、好ましくは98℃以下に冷却する冷却工程を連結し、これを連続密封ラインとするのである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法は、大豆を磨砕機に投入し、水を加えて磨砕する磨砕工程と、該磨砕工程後、直ちに大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように、該大豆磨砕物の温度を65℃〜90℃、好ましくは70℃〜85℃、の温度範囲まで昇温させ、該昇温状態を1秒〜180秒間、好ましくは5秒〜60秒間、保持する第1加熱工程と、次いで、該大豆磨砕物の昇温速度を所定条件に設定して該大豆磨砕物の温度を所定温度まで昇温させ、該昇温状態を所定時間保持する第2加熱工程と、さらに、該大豆磨砕物を100℃未満に冷却する冷却工程とを直列に連結し、密封連続ラインとすることを特徴とする。しかしながら、呉の温度低下がライン中での温度降下により、所定の温度以下に冷却されるのであれば、冷却器を設置することなく自然冷却による冷却を冷却工程として利用することができる。
【0019】
前記第2加熱工程において、前記大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に0.1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、前記大豆磨砕物の温度が100℃〜150℃、好ましくは106℃〜130℃、及び前記昇温状態の保持時間が1秒〜900秒、好ましくは5秒〜300秒間、とするのが好ましい。
【0020】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記冷却工程の後に、固液分離機を用いる固液分離工程を連結するのが好適である。
【0021】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記固液分離工程の後に真空脱気槽を用いる真空脱気工程を連結するのが好ましい。
【0022】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記真空脱気工程の後に110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機を用いる加熱殺菌工程、あるいは滅菌機を用いる滅菌工程を連結するのが好適である。
【0023】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記冷却工程の後に、真空脱気槽を用いる真空脱気工程と、次いで固液分離機を用いる固液分離工程を連結するのが好ましい。
【0024】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記固液分離工程の後に、110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機を用いる加熱殺菌工程、あるいは滅菌機を用いる滅菌工程を連結するのが好適である。
【0025】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記磨砕時に加えられる水の温度を15℃以下とするのが好ましい。この水の温度の下限値は特にないが、下限値としては2℃程度とすればよい。
【0026】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記磨砕時に加えられる水のpHが8〜12である場合も可能である。
【0027】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記磨砕を水封状態で行うのが好ましい。
【0028】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法においては、前記第1加熱工程及び第2加熱工程での加熱システムとして、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式が最適であるが、ジュール加熱器を用いることもできる。また、前記第1加熱工程及び第2加熱工程のいずれか一方を前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式とし、他方の工程に対してジュール加熱器を用いる構成とすることもできる。さらには、第2加熱工程をマイクロウエーブ加熱システム、あるいは、間接加熱(二重管、シェルアンドチューブ等)システムとすることも可能である。
【0029】
本発明の大豆の磨砕加熱処理装置は、上記した本発明の大豆の磨砕加熱処理方法を実施するための装置であって、原料大豆を磨砕する磨砕機と、該磨砕機からの大豆磨砕物を加熱する第1加熱器と、該第1加熱器で加熱された大豆磨砕物をさらに加熱する第2加熱器と、該第2加熱器で加熱された大豆磨砕物を豆乳とおからに分離する固液分離機とを有することを特徴とする。
【0030】
前記第1加熱器と前記第2加熱器の間に温度保持手段を設置し、また前記第2加熱器と前記固液分離機の間に温度保持手段及び/又は冷却器を設置する構成とするのが好ましい。
【0031】
前記第1加熱器及び第2加熱器として、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器を用い、又はジュール加熱器を用いるのが好適である。さらに、 前記第1加熱器及び第2加熱器のいずれか一方の加熱器として、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器を用い、他方の加熱器として、ジュール加熱器を用いる構成を採用することもできる。
【0032】
前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器としては、大豆磨砕物を通過させるための主導管と、該主導管に隣接して設けられた蒸気分配管と、該蒸気分配管から前記主導管に延出され該主導管内に蒸気を導入する1本又は複数本の蒸気導入管とを有する構成を採用するのが好ましい。
【0033】
前記蒸気分配管と前記主導管と平行に設置されているか、又は前記蒸気分配管と前記主導管が装置設置水平床に対して角度αだけ上方に傾斜している構成を採用することができる。前記角度αは2°〜45°、好ましくは5°〜20°である。
【発明の効果】
【0034】
本発明の大豆の磨砕加熱処理方法及び装置によれば、青豆臭や渋み、さらにはえぐ味のない豆乳を製造することができる上、加熱による大豆磨砕物の焦げ付きを抑えることができ、従って、長時間の安定した温度コントロールが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0036】
図1は本発明の大豆の磨砕加熱処理方法の工程順の1例を示すフローチャートである。図2は図1の工程順における装置の設置の1例を示すブロック図である。図3は本発明の大豆の磨砕加熱処理方法の工程順の他の例を示すフローチャートである。図4は図3の工程順における装置の設置の1例を示すブロック図である。図5は本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の一つの実施形態を示す模式図である。図6は本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の他の実施形態を示す模式図である。図7は本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の別の実施形態を示す模式図である。図8は本発明の大豆の磨砕加熱処理装置のさらに別の実施形態を示す模式図である。図9は大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の一例を示す断面的説明図である。図10は大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の他の例を示す断面的説明図である。図11は大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の別の例を示す断面的説明図である。
【0037】
本発明に用いられる原料大豆は、一般的に豆乳飲料及び豆腐製造に用いられる大豆であればどのような銘柄のものでも良い。原料大豆の種皮はそのままでも取り除いても良く、原料大豆を予め水に浸漬して用いても、無浸漬でそのまま、あるいは種皮を取り除いて用いても良い。
【0038】
図1及び図2に示したように、原料大豆に水を加えながら磨砕機200で磨砕し(ステップ100)、その磨砕した呉を、送液ポンプを用いて第1加熱器202に送り、加圧蒸気を吹き込み65℃〜90℃に加熱する(ステップ102:第1加熱工程)。この時の昇温速度は、1秒間に1℃〜70℃の範囲で行い、1秒〜180秒間保持した後に連結された第2加熱器204に送る。第1加熱工程での昇温速度は好ましくは1秒間に10℃〜60℃、呉の温度は好ましくは70℃〜85℃、保持時間は好ましくは5秒〜60秒である。
【0039】
第2加熱器204に送られた呉は、加圧蒸気を吹き込み100℃〜150℃に加熱する(ステップ104:第2加熱工程)。この時の昇温速度は、1秒間に0.1℃〜70℃の範囲で行う。この第2加熱器204で二次加熱された呉は1秒〜900秒間保持された後、連結された冷却器206に送られる。第2加熱工程での昇温速度は好ましくは1秒間に10℃〜60℃、呉の温度は好ましくは106℃〜130℃、保持時間は好ましくは5秒〜300秒である。
【0040】
冷却器206に送られた呉は、100℃未満に冷却するが、好ましくは98℃以下、さらに好ましくは40〜90℃とする(ステップ106:冷却工程)。なお、ここで冷却器206は必ずしも設置する必要はなく、自然冷却による冷却を冷却工程として利用することも可能である。次いでスクリュープレスやスクリューデカンター等の固液分離機208に送り豆乳とオカラに分ける(ステップ108:固液分離工程)。そして、豆乳は常法により真空脱気槽210を用いて真空脱気され(ステップ110:真空脱気工程)、さらに110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機又は滅菌機212を用いて加熱殺菌処理又は滅菌処理される(ステップ112:加熱殺菌工程又は滅菌工程)。
【0041】
ステップ108、110、112で得られた豆乳は、それぞれそのまま飲料として用いても良く、ニガリ等の凝固剤を加えて豆腐、あるいは厚揚げ、油揚げ等の豆腐加工品として用いても良い。呉は磨砕機に直結した送液ポンプにより直接加熱器に送ってもよく、送液ポンプの手前で一度滞留させた後に送ってもよい。
【0042】
図1及び図2に示した例では、呉を固液分離機208にかけて豆乳とオカラに分けた場合を示したが、図3及び図4に示すように真空脱気槽210を用いて真空脱気した後に固液分離機208にかけて豆乳とオカラに分け、この分離された豆乳に対して、さらに110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機又は滅菌機212を用いて加熱殺菌処理又は滅菌処理を行うように構成することもできる。
【0043】
本発明に用いられる磨砕機200としては、コロイドミルタイプのものでも、カッティングタイプのものでも、石臼タイプのものでも良く、大豆を効率良く磨砕するタイプのものであれば良い。また、縦型でも横型でも良く、微細化を必要とする場合には、例えばトリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機株式会杜製)とか横型ミル(特殊機化工業株式会社製)、超精密カッター(増幸産業株式会社製)等が好ましい。また、これらの磨砕機を複数台組み合わせて用いても良い。例えば、縦型の磨砕機の後に横型の磨砕機を接続して、磨砕効率を高めることも可能である。さらには、磨砕機の前に、大豆、或いは、大豆と水を定量的に供給するための押し込みポンプを直結してもよい。
【0044】
呉の送液手段としては、ロータリーポンプ、モーノポンプ、モノフレックスポンプ、ギアポンプ等シール性の高いものであれば、どのようなタイプのポンプであっても用いることができる。
【0045】
第1加熱器202及び第2加熱器204は、呉が流れている配管内に直接蒸気を吹き込む機構のものであればどのようなタイプのものでも良いが、本発明の目的とする昇温スピードを保証するものでなくてはならない。そのためには、蒸気の吹き込み口は1本でも複数本でも良く、呉の処理量に応じて設定すれば良い。加熱部には大豆磨砕物に蒸気を効率良く混合するために、スタティクミキサーの様な混合機を組み込んでも良く、その方式は固定式でも可動式でも良いが、それらを組み合わせたものでも良い。
【0046】
冷却器206は、二重管タイプやプレートタイプの間接熱交換タイプのものでも良いが、減圧された槽内に加熱された呉を送り込み、温度を下げるタイプのものでも良い。二重管熱交換方式の場合には、熱交換の効率を高めるためにスタティクミキサーの様な混合機を組み込んでも良い。
【0047】
また、呉に直接発熱作用を起こさせるジュール加熱は、配管内でのスケール発生が抑えられるので、呉の昇温速度が目的に合致していれば、本発明に十分使用可能である。
【0048】
ジュール加熱は設備コストが高く、採算性が悪いのであるが、直接蒸気吹き込み加熱とジュール加熱を組み合わせて用いることにより、採算性を高めることが可能である。特に、第2加熱をジュール加熱に置き換えることは、蒸気吹き込みによる加水を避け、高濃度製品を製造するのには効果的である。第2加熱工程に限っては、マイクロウエーブ加熱システム、あるいは、間接加熱(二重管、シェルアンドチューブ等)システムであっても、本発明の目的とする昇温スピードの許容される下限の範囲(0.1℃以上1℃未満)を実現できるので、これらを採用することも可能である。
【0049】
本発明は、果実、野菜ピューレの加熱処理、これらピューレを配合した調味液の加熱殺菌処理に使用することも可能である。またさらに、ミートエキス、魚介類エキスや酵母エキス類等の加熱殺菌処理に使用することもできる。このような場合、蒸気混入による濃度変化を避けるためにジュール加熱システムが効果的である。いずれにしても1段目の加熱での昇温速度が1秒間に1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように加熱し、65℃〜90℃、好ましくは70℃〜85℃、まで昇温させることがポイントである。
【0050】
その後第2加熱を組み合わせ、昇温速度が1秒間に0.1℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、となるように加熱し、100℃〜150℃、好ましくは106℃〜130℃、まで昇温させれば良い。勿論2段以上の多段加熱システムを採用しても良い。
【0051】
続いて、図5を用いて、本発明装置の一つの実施形態について説明する。図5は本発明装置の第1の実施形態10Aを示すものである。本発明の大豆の磨砕加熱処理装置10Aは図12に示した従来の大豆の磨砕加熱処理装置10と構成的に重複する部分があるが、図5によって再度説明する。
【0052】
図5において、10Aは本発明の大豆の磨砕加熱処理装置である。この大豆の磨砕加熱処理装置10Aにおいては、ホッパー12に大豆Bを受け入れ、これを定量供給装置14で定量供給しながら水Wと共に磨砕機200で磨り潰し、大豆磨砕物B1とする。呉と称される大豆磨砕物B1は、磨砕機200からパイプP1を介し定量ポンプ18によってパイプP2を経て第1加熱器202に送られる。
【0053】
本発明の特徴の一つは前述したように加熱工程を2段階にした点にあるが、本発明の大豆の磨砕加熱処理装置10Aにおいては、この2段階の加熱工程を実施するために加熱工程を二台の加熱器、即ち、第1加熱器202と第2加熱器204によって構成し、これらの加熱器を直列に配置したものである。この第1加熱器202及び第2加熱器204として用いる加熱器としては、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器が好適に用いられるが、特に後述する図7〜図9に示した構造の加熱器が好適である。
【0054】
第1加熱器202に送られた大豆磨砕物B1は導入されるスチームSにより昇温される。第1加熱器202で加熱された大豆磨砕物B1はパイプP3を経てホールドパイプ等の第1温度保持手段203に送られて一定時間温度保持される。
【0055】
上記第1温度保持手段203で一定時間保持された大豆磨砕物B1は、ついでパイプP4を経て第2加熱器204に送られる。第2加熱器204で加熱された大豆磨砕物B1はパイプP5を経て第2温度保持手段205に送られて一定時間保持される。その後、大豆磨砕物B1は固液分離機208に送られ、液体(豆乳)B2と固体(おから)B3に分離される。なお、この温度保持手段203及び205は必要に応じて設置されるもので必須の構成ではなく、その設置を省略することもできる。
【0056】
図5において、22X、22Yは第1加熱器202及び第2加熱器204に対応して設けられた温度制御装置で、各加熱器202、204の各温度を測定するとともに各測定温度に応じてスチーム供給パイプP11、P12に設置されたバルブV1、V2の開閉を行って第1及び第2加熱器202、204の温度制御を行うものである。Mは定量供給装置14を駆動するモータである。
【0057】
つまり、図5に示した大豆の磨砕加熱処理装置10Aは、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の2台の加熱器、即ち第1加熱器202及び第2加熱器204を直列に接続した例であるが、第1段加熱で所定の温度まで昇温させた後に、第2段加熱でさらに高温域への加熱を行ものである。第1段加熱後にホールドパイプ等の第1温度保持手段203により一定時間温度保持を行っても良く、また速やかに第2段加熱に移行しても良い。第2段加熱後はホールドパイプ等の第2温度保持手段205により一定時間保持した後に固液分離機208に送ってもよいし、直接固液分離機208に送ってもよいものである。
【0058】
図5の例では、大豆磨砕物B1はパイプP5を経て第2温度保持手段205に送られて一定時間保持され、その後、大豆磨砕物B1は固液分離機208に送られる構成となっているが、図6に示したように、大豆磨砕物B1をパイプP5を経て第2温度保持手段205に送り、ついでパイプP6を経て冷却器206に送り、冷却器206において大豆磨砕物B1の温度を適温まで下げて、固液分離機208に送る構成を採用することもできる。
【0059】
つまり、図6に示した大豆の磨砕加熱処理装置10Bは、図5と同様に、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の2台の加熱器、即ち第1加熱器202及び第2加熱器204を直列に接続した例であるが、第2段加熱後はホールドパイプ等の第2温度保持手段205により一定時間保持を行った後に、速やかに冷却器206を通して適温まで下げ固液分離機208に送るシステムの一例である。また、第1段加熱後にホールドパイプ等の第1温度保持手段203により一定時間温度保持を行っても良く、第2段加熱後のホールドパイプ等の第2温度保持手段205を省略し、直接冷却器206に送液してもよい。
【0060】
上記第1加熱器202及び第2加熱器204として好適に用いられる大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器の構造について図7によって説明する。図7において、加熱器Hは、大豆磨砕物B1を通過させるための主導管300と、該主導管300に隣接して設けられた蒸気分配管302と、該蒸気分配管302から前記主導管300に延出され該主導管300内に蒸気Sを導入する1本又は複数本の蒸気導入管304とを有している。306は該主導管300の内部に配設されたスタティックエレメントで、主導管300内に導入される大豆磨砕物B1の撹拌効果を高める作用を有している。このスタティックエレメント306は固定式が好ましいが、回転式としてもよい。また、このスタティックエレメント306の設置を省略することも可能である。308は蒸気分配管302に蒸気Sを吹き込むための蒸気導入口である。
【0061】
前記蒸気導入管304は、1本から複数本まで自由に選択することが可能である。また、図7の例では、前記蒸気分配管302と前記主導管300とを含む加熱器Hが、支柱307を介して加熱器Hを設置する水平な床Fに対して平行に設置されている場合を例示したが、図8に示すように、前記蒸気分配管302と前記主導管300とを含む加熱器H1を、加熱器H1を設置する水平な床Fに対して角度αだけ送液方向上方に傾斜した状態を採用することができる。前記角度αとしては0〜90°とすることができるが、好ましくは2°〜45°、さらに好ましくは5°〜20°である。このように、加熱器H及びH1は、水平から垂直までの間で自由に選択すればよいが、送液方向に高くなるように傾斜を付けることにより、前記主導管300中の空気層を排除することが容易になり、大豆磨砕物(呉)B1と蒸気Sの混合をより均一にする効果、さらには、蒸気導入時の衝撃音を減らす効果等が期待できる。この場合には、蒸気分配室302に蒸気ドレーン抜き309を設置すると、常にドライな蒸気を呉B1に導入できるので好ましい。
【0062】
本発明装置において好適に用いられる大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器の構造は図7及び図8の他に図9に示した構造の加熱器も適用可能である。図9に示した加熱器H2は、図7及び図8に示した加熱器H,H1よりも単純な構造で、大豆磨砕物B1を通過させるための主導管300と、該主導管300内に蒸気Sを導入する蒸気導入管304とを有している。306は該主導管300の内部に配設されたスタティックエレメントで、主導管300内に導入される大豆磨砕物B1の撹拌効果を高める作用を有している。このスタティックエレメント306は固定式が好ましいが、回転式としてもよい。また、このスタティックエレメント306の設置を省略することも可能である。
【0063】
図5及び図6に示したように、第1加熱器202及び第2加熱器204としてはともに大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器を適用するのが好ましいが、第1加熱器202を大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器(図7,8,9)とし、図10及び図11に示したように、第2加熱器を従来の一般的な加熱器を適用する構成とすることも可能である。
【0064】
図10は、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器(第1加熱器202)と図12に示した豆腐業界における一般的な呉加熱装置の一例である筒型の加熱器20の一部を第2加熱器204Aとして組み合わせた構成例を示す。該第2加熱器204Aは、図12の加熱器20の円筒状加熱器単体の本数を減らして後半部分20D〜20Gのみを残した形となっている。図10に示したように、必要に応じて、第1加熱器202及び第2加熱器204Aのそれぞれの後に第1温度保持手段203及び第2温度保持手段205を設けてもよいし、第2加熱器204Aの後半部分をそのまま加熱機構と温度保持機構の兼用手段として使用してもよい。
【0065】
図11は、大豆磨砕物B1中に蒸気Sを直接吹き込む方式の加熱器(第1加熱器202)と従来型のチューブタイプの加熱器を第2加熱器204Bとして組み合わせた構成例を示す。図11に示したように、必要に応じて、第2加熱器204Bの後に加熱された呉を一定時間保持する第2温度保持手段205設けてもよい。さらに、第1加熱器202の後に第1温度保持手段203により一定時間温度保持を行っても良く、また速やかにチューブタイプの第2加熱器204Bに送ってもよい。チューブタイプ加熱器は、管内に直接スチームを導入して直接加熱するタイプでも、二重管加熱器で間接的に加熱するタイプのどちらでもよい。
【0066】
図5、図6、図10及び図11の構成において、第1加熱器202及び第2加熱器204、204A、204Bの後で呉を一定温度で保持する温度保持手段としては、円筒状、パイプ状あるいはその他いずれの形状であろうとその目的を達成するものであれば使用可能である。
【0067】
図7に示した形状の加熱器(名称:ノリタケクッカー、(株)ノリタケカンパニーリミテド製)は、豆乳及び豆腐製造において未だ用いられたことは無く、本発明者が豆乳製造における理想的な呉加熱を行うために選択したものである。従って、上記加熱器を組み込んだ本発明の加熱システムは、豆乳、豆腐製造における理想的な加熱システムとして、本発明者によって初めて提案されるものである。
【実施例】
【0068】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0069】
実験例1:水に16時間浸漬した全粒大豆に18℃の新しい水を加えながら石臼タイプの磨砕機で磨砕し、得られた呉(23℃)を呉移送ポンプ(ロータリーポンプ)で第1加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで2秒間で68℃とした。これを5秒間保持した後に第2加熱器で蒸気を吹き込み2秒間で106℃とし、240秒間保持後に二重管冷却器で85℃まで冷却した。これをスクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を実験例1品とした。
【0070】
実験例2:水に16時間浸漬した全粒大豆に、7℃の新しい水を加えながら石臼タイプの磨砕機で磨砕し、得られた呉(15℃)を呉移送ポンプ(ロータリーポンプ)で第1加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで2秒間で70℃とした。第2加熱器以降の処理は実験例1と同様に行い得られた豆乳を実験例2品とした。
【0071】
比較実験例1:実験例1と同様に浸漬大豆を磨砕し、得られた呉(23℃)を同様に呉移送ポンプで連続釜に送り(1500L/h)、6本の縦型の筒(25L)の中に順番に下方から上方へと通過させながら蒸気を下方より吹き込んだ。呉移送ポンプ通過後50秒後に40℃、80秒後に60℃、120秒後に70℃、160秒後に90℃、180秒後に100℃、240秒後に106℃であった。そのまま240秒間保持した後、スクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を比較実験例1品とした。
【0072】
比較実験例2:実験例2と同様に浸漬大豆を磨砕し、得られた呉(15℃)を同様に呉移送ポンプで連続釜に送り(1500L/h)、6本の縦型の筒(25L)の中に順番に下方から上方へと通過させながら蒸気を下方より吹き込んだ。呉移送ポンプ通過後50秒後に30℃、80秒後に45℃、120秒後に60℃、160秒後に75℃、180秒後に90℃、200秒後に100℃、240秒後に106℃であった。そのまま240秒間保持した後、スクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を比較実験例2品とした。
【0073】
比較実験例3:実験例1と同様に浸漬大豆を磨砕し、得られた呉(23℃)を同様に呉移送ポンプで二重管式間接加熱器に送り(1500L/h)、70秒後に50℃、120秒後に70℃、180秒後に86℃であった。これに蒸気を吹き込み106℃とし、240秒間保持後に二重管冷却器で85℃まで冷却した。これをスクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を比較実験例3品とした。
【0074】
比較実験例4:実験例1と同様に浸漬大豆を磨砕し、得られた呉(25℃)を同様に呉移送ポンプで加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで5秒間で106℃とした。240秒間保持後に二重管冷却器で85℃まで冷却した。これをスクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を比較実験例4品とした。
【0075】
得られた夫々の豆乳は10℃に冷却後、凝固剤として塩化マグネシウム製剤0.25%を混合、ポリプロピレン容器に密封し、85℃、45分間の加熱凝固を行った。豆乳、豆腐それぞれは、20℃で1時間放置後、13名の専門パネルによって官能評価を行った。
【0076】
結果を表1〜3にまとめて示したが、実験例品は、豆乳粘度が極めて低く、ゲル化力も高い。これに対して比較実験例品は何れも粘度が高く、ゲル化力も実験例品に比べ低い。総合的に実験例品が比較実験例品を上回る結果であった。官能検査の結果は、豆乳、豆腐共に実験例品が比較実験例品を上回り、好評であった。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
(実施例1)
水に15時間浸漬した全粒大豆を縦型の磨砕機のホッパー部に水をキープして空気の混入を防いだ状態で、連結した送液ポンプ(モーノポンプ)の回転数は一定として浸漬大豆と磨砕水の供給量をコントロールしてホッパー部の水位を一定レベルに維持した。
【0081】
得られた呉(21℃)を第1加熱器に送り(1200L/h)、12秒後に蒸気を吹き込んで4秒間で75℃とした。これを60秒間保持した後に第2加熱器で蒸気を吹き込み4秒間で103℃とし、90秒間保持後に二重管冷却器で75℃まで冷却した。
【0082】
これをスクリュープレスでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を脱気槽に導入した。この豆乳を120℃で殺菌後冷却し、天然ニガリを添加混合した後にプラスチック容器に充填密封して85℃、45分間加熱凝固させ、10℃まで冷却した。
【0083】
得られた豆腐は、豆の香りがし、渋み、えぐ味の無い、甘く美味しいものであった。
【0084】
(実施例2)
脱皮大豆を新鮮な水を供給しながら横型の磨砕機で磨砕し、連結した送液ポンプで、得られた呉(23℃)を第1加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで5秒間で85℃とした。これを10秒間保持した後に第2加熱器でジュール加熱により30秒間で120℃とし、30秒間保持後に二重管冷却器で80℃まで冷却した。
【0085】
これをスクリューデカンターでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を脱気槽に導入した。この豆乳を145℃、5秒間の滅菌処理をした後に10℃まで冷却し、無菌的条件下で無菌のポリプロピレン容器に充填した。
【0086】
この豆乳はさらりとして、渋み、えぐ味の無い後味のすっきりした飲みやすいものであった。
【0087】
(実施例3)
水に15時間浸漬した全粒大豆を新鮮な冷水(5℃)を供給しながら横型の磨砕機で磨砕し、連結した送液ポンプで、得られた呉(16℃)を第1加熱器に送り(1500L/h)、10秒後に蒸気を吹き込んで5秒間で90℃とした。これを8秒間保持した後に第2加熱器で蒸気を吹き込んで130℃とし、10秒間保持後に二重管冷却器で75℃まで冷却した。
【0088】
これをスクリューデカンターでオカラと豆乳に分離し、得られた豆乳を脱気槽に導入した。この豆乳を125℃、10秒間の殺菌処理をした後に80℃まで冷却し、天然ニガリを添加混合してそのまま加温しながら30分間静置して固めた。
【0089】
この豆腐は、大豆の香りが高く、甘くて渋み、えぐ味の無い後味のすっきりしたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の大豆の磨砕加熱処理方法の工程順の1例を示すフローチャートであ る。
【図2】図1の工程順における装置の設置の1例を示すブロック図である。
【図3】本発明の大豆の磨砕加熱処理方法の工程順の他の例を示すフローチャートで ある。
【図4】図3の工程順における装置の設置の1例を示すブロック図である。
【図5】本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の一つの実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の他の実施形態を示す模式図である。
【図7】大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の一例を示す断面的説明図である。
【図8】大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の他の例を示す断面的説明図である。
【図9】大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器の別の例を示す断面的説明図である。
【図10】本発明の大豆の磨砕加熱処理装置の別の実施形態を示す模式図である。
【図11】本発明の大豆の磨砕加熱処理装置のさらに別の実施形態を示す模式図である。
【図12】従来の大豆の磨砕加熱処理装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0091】
10,10A,10B:磨砕加熱処理装置、12:ホッパー、14:定量供給装置、16,200:磨砕機、18:定量ポンプ、20:従来の加熱器、20A〜20G:加熱器単体、202:第1加熱器、203:第1温度保持手段、204,204A,204B:第2加熱器、205:第2温度保持手段、206:冷却器、208:固液分離機、210:真空脱気槽、212:加熱殺菌機又は滅菌機、300:主導管、302:蒸気分配管、304:蒸気導入管、306:スタティックエレメント、307:支柱、308:蒸気導入口、309:ドレーン抜き、B:大豆、B1:大豆磨砕物、H,H1,H2:本発明の加熱器、P1〜P9:パイプ、P11〜P17:スチーム供給パイプ、S:スチーム、蒸気、V1〜V7:バルブ、W:水。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆を磨砕機に投入し、水を加えて磨砕する磨砕工程と、該磨砕工程後、直ちに大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に1℃〜70℃となるように、該大豆磨砕物の温度を65℃〜90℃の温度範囲まで昇温させ、該昇温状態を1秒〜180秒間保持する第1加熱工程と、次いで、該大豆磨砕物の昇温速度を所定条件に設定して、該大豆磨砕物の温度を所定温度まで昇温させ、該昇温状態を所定時間保持する第2加熱工程とを直列に連結し、密封連続ラインとすることを特徴とする大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項2】
前記第2加熱工程において、前記大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に0.1℃〜70℃、前記大豆磨砕物の温度が100℃〜150℃及び前記昇温状態の保持時間が1秒〜900秒である請求項1記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項3】
前記第2加熱工程の後に、前記大豆磨砕物を100℃未満に冷却する冷却工程を連結する請求項1又は2記載の磨砕加熱処理方法。
【請求項4】
前記冷却工程の後に、固液分離機を用いる固液分離工程を連結する請求項3記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項5】
前記固液分離工程の後に、真空脱気槽を用いる真空脱気工程を連結する請求項4記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項6】
前記真空脱気工程の後に、110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機を用いる加熱殺菌工程、あるいは滅菌機を用いる滅菌工程を連結する請求項5記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項7】
前記冷却工程の後に、真空脱気槽を用いる真空脱気工程と、次いで固液分離機を用いる固液分離工程を連結する請求項3記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項8】
前記固液分離工程の後に、110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機を用いる加熱殺菌工程、あるいは滅菌機を用いる滅菌工程を連結する請求項7記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項9】
前記磨砕時に加えられる水の温度を15℃以下とする請求項1〜8のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項10】
前記磨砕時に加えられる水のpHが8〜12である請求項1〜9のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項11】
前記磨砕を水封状態で行う請求項1〜10のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項12】
前記第1加熱工程及び第2加熱工程での加熱システムとして、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式を用いる請求項1〜11のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項13】
前記第1加熱工程及び第2加熱工程での加熱システムとして、ジュール加熱機を用いる請求項1〜11のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項14】
前記第1加熱工程及び第2加熱工程のいずれか一方の工程での加熱システムとして、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式を用い、他方の工程の加熱システムとして、ジュール加熱機を用いる請求項1〜11のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法を実施するための装置であって、原料大豆を磨砕する磨砕機と、該磨砕機からの大豆磨砕物を加熱する第1加熱器と、該第1加熱器で加熱された大豆磨砕物をさらに加熱する第2加熱器と、該第2加熱器で加熱された大豆磨砕物を豆乳とおからに分離する固液分離機とを有することを特徴とする大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項16】
前記第1加熱器と前記第2加熱器の間に温度保持手段を設置する請求項15記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項17】
前記第2加熱器と前記固液分離機の間に温度保持手段及び/又は冷却器を設置する請求項15又は16記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項18】
前記第1加熱器及び第2加熱器として、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器を用いる請求項15〜17のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項19】
前記第1加熱器及び第2加熱器として、ジュール加熱機を用いる請求項15〜17のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項20】
前記第1加熱器及び第2加熱器のいずれか一方の加熱器として、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器を用い、他方の加熱器として、ジュール加熱機を用いる請求項15〜17のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項21】
前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器が、大豆磨砕物を通過させるための主導管と、該主導管に隣接して設けられた蒸気分配管と、該蒸気分配管から前記主導管に延出され該主導管内に蒸気を導入する1本又は複数本の蒸気導入管とを有する請求項18又は20記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項22】
前記蒸気分配管が前記主導管と平行に設置されている請求項21記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項23】
前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器が、当該加熱器を設置した水平床面に対して角度αだけ送液方向上方に傾斜している請求項21記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項24】
前記角度αが2°〜45°である請求項23記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項1】
大豆を磨砕機に投入し、水を加えて磨砕する磨砕工程と、該磨砕工程後、直ちに大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に1℃〜70℃となるように、該大豆磨砕物の温度を65℃〜90℃の温度範囲まで昇温させ、該昇温状態を1秒〜180秒間保持する第1加熱工程と、次いで、該大豆磨砕物の昇温速度を所定条件に設定して、該大豆磨砕物の温度を所定温度まで昇温させ、該昇温状態を所定時間保持する第2加熱工程とを直列に連結し、密封連続ラインとすることを特徴とする大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項2】
前記第2加熱工程において、前記大豆磨砕物の昇温速度が1秒間に0.1℃〜70℃、前記大豆磨砕物の温度が100℃〜150℃及び前記昇温状態の保持時間が1秒〜900秒である請求項1記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項3】
前記第2加熱工程の後に、前記大豆磨砕物を100℃未満に冷却する冷却工程を連結する請求項1又は2記載の磨砕加熱処理方法。
【請求項4】
前記冷却工程の後に、固液分離機を用いる固液分離工程を連結する請求項3記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項5】
前記固液分離工程の後に、真空脱気槽を用いる真空脱気工程を連結する請求項4記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項6】
前記真空脱気工程の後に、110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機を用いる加熱殺菌工程、あるいは滅菌機を用いる滅菌工程を連結する請求項5記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項7】
前記冷却工程の後に、真空脱気槽を用いる真空脱気工程と、次いで固液分離機を用いる固液分離工程を連結する請求項3記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項8】
前記固液分離工程の後に、110℃〜150℃の温度帯を有する加熱殺菌機を用いる加熱殺菌工程、あるいは滅菌機を用いる滅菌工程を連結する請求項7記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項9】
前記磨砕時に加えられる水の温度を15℃以下とする請求項1〜8のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項10】
前記磨砕時に加えられる水のpHが8〜12である請求項1〜9のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項11】
前記磨砕を水封状態で行う請求項1〜10のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項12】
前記第1加熱工程及び第2加熱工程での加熱システムとして、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式を用いる請求項1〜11のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項13】
前記第1加熱工程及び第2加熱工程での加熱システムとして、ジュール加熱機を用いる請求項1〜11のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項14】
前記第1加熱工程及び第2加熱工程のいずれか一方の工程での加熱システムとして、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式を用い、他方の工程の加熱システムとして、ジュール加熱機を用いる請求項1〜11のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理方法を実施するための装置であって、原料大豆を磨砕する磨砕機と、該磨砕機からの大豆磨砕物を加熱する第1加熱器と、該第1加熱器で加熱された大豆磨砕物をさらに加熱する第2加熱器と、該第2加熱器で加熱された大豆磨砕物を豆乳とおからに分離する固液分離機とを有することを特徴とする大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項16】
前記第1加熱器と前記第2加熱器の間に温度保持手段を設置する請求項15記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項17】
前記第2加熱器と前記固液分離機の間に温度保持手段及び/又は冷却器を設置する請求項15又は16記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項18】
前記第1加熱器及び第2加熱器として、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器を用いる請求項15〜17のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項19】
前記第1加熱器及び第2加熱器として、ジュール加熱機を用いる請求項15〜17のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項20】
前記第1加熱器及び第2加熱器のいずれか一方の加熱器として、前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器を用い、他方の加熱器として、ジュール加熱機を用いる請求項15〜17のいずれか1項記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項21】
前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器が、大豆磨砕物を通過させるための主導管と、該主導管に隣接して設けられた蒸気分配管と、該蒸気分配管から前記主導管に延出され該主導管内に蒸気を導入する1本又は複数本の蒸気導入管とを有する請求項18又は20記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項22】
前記蒸気分配管が前記主導管と平行に設置されている請求項21記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項23】
前記大豆磨砕物中に蒸気を直接吹き込む方式の加熱器が、当該加熱器を設置した水平床面に対して角度αだけ送液方向上方に傾斜している請求項21記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【請求項24】
前記角度αが2°〜45°である請求項23記載の大豆の磨砕加熱処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−222158(P2007−222158A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355554(P2006−355554)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(506026704)有限会社M&F食品開発研究所 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(506026704)有限会社M&F食品開発研究所 (2)
【Fターム(参考)】
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