説明

大豆脱皮装置

【課題】たんぱく質の流出を最小限に抑えた上で大豆の脱皮を行う。
【解決手段】分割機20は、ケーシング21内に、固定円盤40と、モータ58により回転駆動される回転円盤50とが、上下に所定間隔を開けて配される。両円盤40,50の対向面には、パンチングメタル42,52が配されることで凹凸が形成されている。ケーシング21の底部における円盤40,50の回りに、貯留部68が形成される。回転円盤50が回転されつつ、浸漬大豆が水とともに流下管45を通って、固定円盤40の供給口44から両円盤40,50の間に供給されると、両円盤40,50の間で、各浸漬大豆が半割り状に分割されるとともに、この分割に伴って皮が脱外され、分割された浸漬大豆と脱外された皮とが貯留部に溜められる。これらは、サイクロン式の分離タンク70によって分離され、個別に取り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱皮大豆を得るための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
豆腐の一般的な製造工程は、大豆を水に浸漬したのち同浸漬大豆を粉砕して生呉を生成し、それを煮沸して得られた煮呉を絞ることで豆乳を生成し、同豆乳ににがり等の凝固剤を投入して豆乳中のたんぱく質を凝固させるようになっている。ここで大豆原料が皮付きのものであると、出来上がった豆腐に苦みが出る等により高級感が損なわれるおそれがある。
そこで、下記特許文献1に記載されているような方法によって、大豆を水に浸漬する前に皮を剥がし、皮無しの状態で大豆を水に浸漬したのち、粉砕、煮沸以下の工程を踏むようにしたものが、一部で提案されている。
【特許文献1】特開平8−252466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記方法では、保護膜としての皮が剥がれた状態で長時間水に浸漬されるのであるから、大豆中のたんぱく質が浸漬水中に少なからず逃げ、粉砕される前の段階でたんぱく質の含有量が減少して、豆腐の生産効率が低下するという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、たんぱく質の流出を最小限に抑えた上で大豆の脱皮を行うところにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、水に浸漬された浸漬大豆を貯留するホッパと、このホッパから供給される浸漬大豆を受けて各浸漬大豆をほぼ半割り状に分割し、分割された大豆とこの分割に伴って脱外された皮とを一緒に溜めることが可能な分割機と、この分割機から供給された前記分割された大豆と前記皮とを、タンク内において渦巻流に乗せつつ循環流通させる間に、比重の相違により前記皮と前記分割された大豆とを上下に分離するサイクロン式の分離タンクと、この分離タンク内で分離された前記皮と前記分割された大豆とを個別に取り出す取出装置と、が具備されている構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記分割機は、ケーシング内に、固定円盤と、モータにより回転駆動される回転円盤とが、上下に所定間隔を開けて配され、前記固定円盤と前記回転円盤における各対向面の少なくともいずれか一方に凹凸が形成されるとともに、前記固定円盤に前記ホッパからの浸漬大豆の供給口が開口され、さらに前記ケーシングの底部における前記両円盤の回りに貯留部が形成されており、前記回転円盤が駆動されつつ、前記浸漬大豆が水とともに前記供給口から前記両円盤の間に供給されると、同両円盤の間で各浸漬大豆が分割されるとともにこの分割に伴って皮が脱外され、分割された大豆と脱外された皮とが前記貯留部に溜められる構成となっているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、対向面に凹凸が形成された前記円盤は、裏板の表面にパンチングメタルを重ねるところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載のものにおいて、前記固定円盤と回転円盤との間隔を調節可能な間隔調節手段が具備されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のものにおいて、前記皮の取出装置は、前記分離タンクの上部に設けられたオーバーフロー管と、このオーバーフロー管からのオーバーフロー水を受ける貯水タンクと、この貯水タンクの上面に装着された皮受けざるとから構成されているところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のものにおいて、前記分割された大豆の取出装置は、前記分離タンクの底部に設けられた給送管と、同給送管に介設された大豆送りポンプと、前記給送管により給送された加水状態の分割された大豆を受けて水を切りつつ前記分割された大豆を搬送するフィーダとから構成されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項7の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記貯水タンクには水送りポンプが接続され、前記貯水タンクに貯留された水が、前記分割機と前記分離タンクとに供給される水の供給源となっているところに特徴を有する。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のものにおいて、前記皮の取出装置は、前記分離タンクの上部に設けられたオーバーフロー管と、このオーバーフロー管からのオーバーフロー水を受ける貯水タンクと、この貯水タンクの上面に装着された皮受けざるとから構成される一方、前記分割された大豆の取出装置は、前記分離タンクの底部に設けられた給送管と、同給送管に介設された大豆送りポンプと、前記給送管により給送された加水状態の分割された大豆を受けて水を切りつつ前記分割された大豆を搬送するフィーダと、このフィーダにおいて切られた水を溜める補助タンクとから構成され、この補助タンクに設けられたリターン管が前記貯水タンクに臨んで配管されているとともに、この貯水タンクには水送りポンプが接続されて、前記貯水タンクに貯留された水が前記分割機と前記分離タンクとに供給される水の供給源となっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
大豆は皮付きの状態で水に浸漬され、この浸漬大豆がホッパに貯留されたのち分割機に供給される。分割機では、供給された各浸漬大豆がほぼ半割り状に分割されて、それに伴い皮が脱外され、分割された大豆と皮とが一緒になって一旦溜められる。続いてこれらがサイクロン式の分離タンクに供給されて、タンク内を渦流に乗って循環される間に、比重の小さい皮は上面側に浮き、比重の大きい分割大豆は底部に沈むようにして分離される。これらの分離された皮と分割大豆とは、個別に取り出される。すなわち、皮の外された分割大豆が、続く粉砕等の工程に回される。
浸漬大豆から脱皮するようにしており、すなわち長時間にわたる浸漬中は皮付きの状態であるから、大豆からたんぱく質が融け出すことが回避される。脱皮の具体的な態様は、浸漬大豆をほぼ半割り状に分割し、それに伴い皮が外されるようにしている。脱皮後は、分離機で分離される際に水に浸かることになるが、時間が短い上に、ほぼ半割り状態であって、細かく粉砕された場合と比較するといわゆる傷付きも少ないために、たんぱく質の流出も最小限に抑えられる。結果、たんぱく質を多量に含んだ皮無しの大豆を原料として得ることができる。
【0009】
<請求項2の発明>
両円盤の間隔は、大豆の直径よりも大きく、例えば倍近くに設定される。浸漬大豆が水とともに両円盤の間に供給されると、浸漬大豆は、少なくとも一方が凹凸面となった同両円盤の対向面の間で、適当に飛び跳ねながら引っ掛けられるように作用し、各浸漬大豆は、細かく粉砕されるのではなくほぼ半割状に分割され、それに伴って皮が剥がされる。この分割大豆と脱外された皮とは、円盤の周縁から外に押し出されて貯留部に溜められる。
<請求項3の発明>
簡単な構造でもって、大豆をほぼ半割りすることに好適な凹凸面を得ることができる。
<請求項4の発明>
分割する大豆の大きさや硬さ等の条件に応じて、半割りすることに好適な間隔に調節することができる。
【0010】
<請求項5の発明>
分離タンク内で浮き上がり分離された皮は、オーバーフロー管からオーバーフロー水とともに貯水タンクに向けて排出され、皮受けざるで受けられて回収される。
<請求項6の発明>
分離タンクの底部に沈み分離された分割大豆は、水とともに大豆送りポンプにより吸引されて給送管を給送されてフィーダに供給され、同フィーダでは、水を切りつつ分割大豆のみが搬送されて取り出される。
【0011】
<請求項7の発明>
分割機と分離タンクとには、貯水タンクの水が供給され、同貯水タンクには、分離タンクのオーバーフロー水が回収されて循環利用されるようなっているから、新たな水の補充量を少なく抑えて稼働することができる。
<請求項8の発明>
分離済みの分割大豆をフィーダ側に給送する際に、分離タンク側の水も一緒に給送されるが、同給送された水は補助タンクに回収されたのちリターン管により貯水タンクに戻されるから、稼働中に必要な水は、初めに貯水タンクに溜めた水のみでほぼ賄うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図6に基づいて説明する。
図1及び図2には豆乳の製造システムの全体構成が示されており、大まかには、図1の前段工程において、浸漬大豆が、分割機20により半割り状に分割されかつそれに伴い脱皮されたのち、分離タンク70において分割大豆と皮とに分離され、皮は皮受けざる83に回収される。
一方、分割大豆は、給送管95によって、後段工程を示す図2のフィーダ100に給送され、同フィーダ100で水切りされつつ搬送されたのち、グラインダ110により粉砕されて生呉が生成され、続いて煮沸タンク112により同生呉に加水されて煮沸されることで煮呉が生成される。同煮呉は、ポンプ113で絞り機114に送られて絞られることにより豆乳が生成され、豆乳タンク115に貯留される。一方、おからは別途回収されるようになっている。
【0013】
続いて、脱皮工程に係る構造について詳細に説明する。
図1において、フレームを組み付けて形成された基台10の上面には、上記した分割機20と、大豆の定量送出機17と、ホッパ15とが積み上げ載置されている。ホッパ15には、浸漬大豆が貯留されるようになっている。浸漬大豆は、図示しない浸漬タンク内において、皮付き大豆を水中に10数時間浸漬させることによって生成される。ホッパ15は例えば、18Kg程度の浸漬大豆を貯留可能となっている。
定量送出機17は、例えばモータで駆動される下向きの送出スクリュを備え、上記のホッパ15からの浸漬大豆を受けて、下方の分割機20に向けて所定量で送出できるようになっている。
【0014】
分割機20の構造を図3によって詳細に説明する。分割機20は、全体として平面円形をなすやや扁平なケーシング21を備えており、ケーシング21はさらに、ケーシング本体22と蓋体23とから構成されている。
ケーシング本体22は基本的には、底板25を有する上面開口でかつ比較的高い周壁26を備えた形状であって、その外底面における中心を挟んだ両側の縁部には、図4に示すように、一対の細長い取付板27が平行姿勢で設けられている。そして、同ケーシング本体22は、基台10の上面板11上に載せられ、両取付板27の両突出端の都合4箇所をねじ28で止めることによって固定されている。
【0015】
一方の蓋体23は、天板30を有する下面開口で、円形の浅皿を伏せたような形状となっている。蓋体23の周壁31は二重壁構造であって、外壁32が上記したケーシング本体22の周壁26と同じ径であり、ただしその垂下長さは、周壁26の高さの1/4程度である。また内壁33の垂下長は、外壁32のそれの2倍強である。蓋体23の天板30の中心には挿通孔35が形成され、同挿通孔35を挟んだ両側には、図5にも示すように、門型に屈曲形成された一対の取付脚36が、互いに平行姿勢で取り付けられている。
【0016】
そして蓋体23は、図4に示すように、両取付脚36が、上記したケーシング本体22の取付板27と平行となってその内側に入るような回動姿勢で、ケーシング本体22の上面開口に被せられ、両取付脚36の両下端に設けられた取付部36Aが基台10の上面板11に当てられて、各取付部36Aがねじ37で止められることにより固定されるようになっている。
このとき、図3に示すように、蓋体23の内壁33の垂下端が、ケーシング本体22の周壁26の上端部の内周側に嵌りつつ、外壁32の垂下端が、周壁26の上端と突き合わされるようになっている。
【0017】
このケーシング21内には、同じ直径を持った固定円盤40と回転円盤50とが、上下に所定間隔を開けて配されている。
固定円盤40は、図5にも示すように、共に厚さ2mm程度のステンレス鋼板製の裏板41の表面に、多数の孔43を整列して開口したパンチングメタル42を貼り付けて一体化したものであって、中心に供給口44が開口されている。一方、厚肉の金属丸管からなる流下管45が備えられ、この流下管45の下端に、固定円盤40が補強板46を介してねじ46Aにより固定されている。固定円盤40は、パンチングメタル42が下面側にあり、供給口44が流下管45の下端開口と、液密状態で連通している。流下管45の外周面にはねじが切られている。
【0018】
蓋体23の天板30の下面側には、同天板30の挿通孔35と整合する挿通孔47Aを設けた補強部材47が固定されており、上記した流下管45の上端側が、両挿通孔47A,35に下方から挿通され、流下管45の外周に螺合したナット48をねじ込んで、補強部材47との間で天板30を挟むことで流下管45が固定されるようになっている。これに伴い、固定円盤40が固定位置に配されることになり、ほぼ内壁33の垂下端と対応した位置に来る。ただし、ナット48を緩めて流下管45を上げ下げしたのち再度ナット48を固定することで、固定円盤40の高さ位置を微調節することができる。
【0019】
一方の回転円盤50は、固定円盤40と同様に、共に厚さ2mm程度のステンレス鋼板製の裏板51の表面に、パンチングメタル52を貼り付けて一体化したものであるが、裏板51の周縁には下向きに周面板51Aが形成されている。また、中心に取付孔54が形成されている。
回転円盤50の配設構造は、以下のようである。ケーシング本体22の底板25には、回転円盤50よりも小さい直径の中心孔55が開口され、その孔縁から円筒壁56が所定高さ立ち上がり形成されている。円筒壁56の上端は、このケーシング本体22の周壁26の中央高さ位置よりも少し上方位置に達しており、同上端には外向きのフランジ56Aが形成されている。
【0020】
上記した基台10の上面板11には窓孔12が開口されているとともに、同上面板11の裏面側には、回転円盤50を回転駆動するためのモータ58が、その出力軸58Aを上方に向けた姿勢で吊り下げ状に取り付けられ、同出力軸58Aが窓孔12を通して上面側に突出している。同モータ58は、最大回転速度が3,400rpm程度の能力を有している。一方、縦向きの回転軸60が備えられ、回転軸60は、下端面に形成された嵌合孔60Aが上記の出力軸58Aに嵌合されて、キー結合等によって一体回転可能に結合されるようになっている。
【0021】
回転軸60の上端には段差状の取付部62が形成され、同取付部62の大径部に補強板63の中心孔63Aが嵌められ、続いて外周にねじの切られた小径部に、補強板63上に重ねられた回転円盤50の取付孔54が挿通されて、同小径部に螺合したナット64を締め付けることで、回転軸60の上端に回転円盤50が一体回転可能に固定されている。回転円盤50は、パンチングメタル52が上面側にあり、かつ上記した円筒壁56の上端よりも所定寸法上方に位置している。なお、回転軸60の回りは、カバー66で囲まれている。
【0022】
上記した蓋体23は、ケーシング本体22に組み付ける前の状態において、流下管45ともども固定円盤40が予め組み付けられてアッセンブリ化され、同蓋体23が既述した要領でケーシング本体22の上面開口に被せて取り付けられると、図3に示すように、固定円盤40と回転円盤50とは、それぞれのパンチングメタル42,52側を対向させた状態で、かつ上下方向に所定間隔を開けて配設されることになる。両円盤40,50の間隔は、浸漬大豆の直径(8mm程度)の倍近くの、例えば14〜5mm程度に設定される。なお、同間隔は、既述したように、流下管45ともども固定円盤40の位置を上げ下げすることで微調節可能である。また、ケーシング本体22と蓋体23との突き合わせ部分には、シールリング67を嵌めておくとよい。
【0023】
蓋体23の上面側に突出した流下管45の上端開口が、定量送出機17の送出口と液密に連通され、したがって定量送出機17の送出口から送出された浸漬大豆は、流下管45内を流下したのち、供給口44から固定円盤40と回転円盤50との間に供給されるようになっている。
一方、ケーシング本体22の底板25から立ち上がった円筒壁56の上端のフランジ56Aは、回転円盤50の裏板51における周面板51Aの内側において、同周面板51Aのほぼ中央高さ位置に突出した状態となり、この円筒壁56と、ケーシング本体22の周壁26との間に、所定深さを持った環形の溝状をなす貯留部68が形成されている。この貯留部68には、詳しくは後記するように、ほぼ半割りされた大豆と、それに伴って脱外された皮とが溜められるようになっている。貯留部68における底部側の外周面の所定位置からは、導出管69が横向きに突設されている。
【0024】
再び図1に戻って、上記した分割機20等の設置位置の側方には、サイクロン式の分離タンク70が設置されている。分離タンク70は、図6にも示すように、平面円形の比較的深いタンク71を備えており、4本の脚72で支持されている。同タンク71は底部側がやや窄められた形状であって、底面の中心に開口された排出口71AにT字管73が接続されている。T字管73における同図の右側のポートには、後記する第2給水管87が接続されている。
一方、T字管73における左側のポートには、還流管75が接続されている。この還流管75は、タンク71から離間するように側方に突出したのち上方に立ち上げられ、再びタンク71側に向けられて、同タンク71の上部側の内周面に対してほぼ接線方向を向いた姿勢で開口されている。還流管75の立ち上がり部の上端位置には、三方弁76が介設されている。
【0025】
一方、タンク71の上面開口の回りには、環形をなす樋部77が周設されており、タンク71の上端部の所定の周縁部には、オーバーフロー溝71Bが切り欠き形成されている。また、上記した樋部77の底面におけるオーバーフロー溝71Bとほぼ対応した位置には、排水口77Aが開口され、同排水口77Aにオーバーフロー管78が接続されている。
三方弁76が分離タンク70側に開放された状態で、第2給水管87から絞られた状態で勢い良く水が供給されると、T字管73内の排出口71Aの下方位置が負圧に傾くことで、タンク71内の水等が勢い良く吸引され、還流管75を通ってその出口からタンク71の内周面に対してほぼ接線方向に吹き出されることで、図5の矢線に示すようにタンク71内を渦流をなして流通し、再び排出口71Aから吸引されるといった循環流を生ずるようになっている。オーバーフローした水等は、樋部77からオーバーフロー管78を通って排出されるようになっている。
そして、上記した分割機20の導出管69に接続された流通管79の下端が、タンク71の内側面に沿うようにして挿入され、その下端はタンク71内の底部付近に達している。
【0026】
分離タンク70の側方には、貯水タンク80が設置されている。この貯水タンク80は、上面開口の方形の箱形をなし、側面の上部位置に設けられた供給口81から水道水が供給されて貯留されるようになっている。
この貯水タンク80には、接続管82を介して水送りポンプ85が接続されており、同水送りポンプ85の上面側に設けられた出口ポート85Aには、第1給水管86が接続されている。この第1給水管86の出口側は、図1に示すように、一旦立ち上げられたのちに水平方向に屈曲され、上記のホッパ15の上面開口に臨んでいる。
この第1給水管86の立ち上がり部分の下部位置からは、上記した第2給水管87が分岐して引き出され、T字管73の一方のポートに接続されている。
【0027】
貯水タンク80の上面には、上記した分離タンク70に設けられたオーバーフロー管78の下端が臨んでいる。また、貯水タンク80の上面開口には、後記するようにオーバーフロー水に混じって排出される皮を受けるべく皮受けざる83が、着脱可能に装着されている。
【0028】
また、上記した還流管75の下側の水平部からは、吸引管90が分岐して引き出され、三方弁76の左側ポートに接続されたT字管91の下部ポートに接続され、同吸引管90の途中に大豆送りポンプ93が介設されている。上記のT字管91の左ポートには、分割大豆をフィーダ100に送るための給送管95が接続されている。この給送管95は、基台10の外側の位置まで水平姿勢で配管されたのち立ち上げられ、さらに、図2に示すフィーダ100の上方位置まで水平姿勢で配管されている。
【0029】
フィーダ100は、細長い水槽101における上面開口に寄った位置に、メッシュ板102が斜め姿勢で張られた形状であって、フレーム99上にばね等の緩衝部材103を介して支持されているとともに、モータ104により自身に振動が加えられるようになっている。同フィーダ100の上部側に導入部105が設けられ、上記した給送管95の下向きに屈曲された出口96が接続されているとともに、下端の導出部106は、グラインダ110に設けられたシュータ111に臨んでいる。
したがって、給送管95に給送された分割大豆等は導入部105からフィーダ100に送られ、メッシュ板102上を水切りされつつ下端の導出部106に向けて搬送され、シュータ111内に投入されるようになっている。
また、水槽101の下方には、同水槽101からの水を受ける補助タンク107が設けられ、同補助タンク107の底面から引き出されたリターン管108の先端が、図1に示すように、上記した貯水タンク80の上面に臨んでいる。
【0030】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
稼働に当たっては、貯水タンク80に水道水を所定量溜める。次に、水送りポンプ85を駆動すると、貯水タンク80内の水が第1給水管86からホッパ15に供給されるとともに、第2給水管87から分離タンク70側に供給され、三方弁76が分離タンク70側に切り替わっているために、タンク71内を循環流通するようになる。また、分割機20のモータ58が起動される。
【0031】
係る状態から、ホッパ15内に別途生成された皮付きの浸漬大豆が貯留され、引き続いて定量送出機17が駆動される。これにより、定量の浸漬大豆が水とともに定量送出機17から送り出され、図3の矢線に示すように、流下管45を流下したのち固定円盤40の供給口44から、同固定円盤40と高速回転している回転円盤50との間に供給される。
ここで、固定円盤40と回転円盤50との対向面は、ともにパンチングメタル42,52に開口された孔43によって凹凸のある面となっており、また、両円盤40,50の対向面の間隔は、大豆の直径の倍近くに大きく設定されているから、浸漬大豆は、両円盤40,50の対向面の間で適当に飛び跳ねながら引っ掛けられるように作用し、各浸漬大豆は、細かく粉砕されるのではなくほぼ半割状に分割され、それに伴って皮が剥がされる。そして、この分割大豆と剥がれた皮とは、回転円盤50の周縁から外に押し出され、貯留部68に落下して溜められる。
【0032】
貯留部68に溜められた分割大豆と皮とは、引き続いて導出管69から流通管79を流下して、サイクロン式の分離タンク70におけるタンク71の底部側に落とし込まれる。一方、タンク71の排出口71Aに接続されたT字管73には、第2給水管87から絞られた状態で勢い良く水が供給されるために、T字管73内の排出口71Aの下方位置が負圧に傾き、これにより、タンク71内の水、並びに分割大豆と皮とが勢い良く吸引され、これらが図6の矢線に示すように還流管75を通ってその出口からタンク71の内周面に対してほぼ接線方向に吹き出されることで、タンク71内を渦流をなして流通し、再び排出口71Aから吸引されるといった循環流を生ずる。
【0033】
この間にタンク71内では、比重の小さい皮は上面側に浮き、比重の大きい分割大豆は底部に沈むようにして分離される。上面側に浮いた皮は、オーバーフロー水とともに樋部77に溜められ、オーバーフロー管78から貯水タンク80の上面に装備された皮受けざる83に向けて排出される。このうち皮は皮受けざる83で受けられ、残りの水は貯水タンク80内に溜められる。
【0034】
定量送出機17の起動時からある程度の時間が経過したら、例えば脱皮処理する浸漬大豆の量が最大の18kgの場合は数分が経過したら、分離タンク70の樋部77を目視し、そこに皮が無くなったら脱皮作業が完了したと見なす。そうしたら定量送出機17を停止させ、また、三方弁76をフィーダ100側に切り替えるとともに、大豆送りポンプ93を駆動する。
そうすると、タンク71の底部に沈んでいた分割大豆と水のみが排出口71Aから吸引され、一部が上記した還流管75の立ち上がり部を上昇したのちT字管91側に向かい、それとともに、分割大豆と水の残部が吸引管90側に吸引されたのち、T字管91側に給送されたものともども、給送管95を通ってフィーダ100側に給送される。
【0035】
フィーダ100では、分割大豆が水切りされながら搬送されて、グラインダ110に付設されたシュータ111に投入され、その後に、既述した工程を経て豆乳が生成される。フィーダ100で切られた水は、補助タンク107に溜められたのち、リターン管108を流通して貯水タンク80に戻される。
上記した脱皮完了の確認時から、さらに数分が経過したら、三方弁76が分離タンク70側に切り替えられ、併せて大豆送りポンプ93が停止されて、待機状態となる。
したがって、再びホッパ15に浸漬大豆を貯留したのち、定量送出機17を駆動させれば、上記した脱皮工程以下が繰り返して実行されることになる。
【0036】
以上のように本実施形態によれば、浸漬大豆から脱皮するようにしており、すなわち長時間にわたる浸漬中は皮付きの状態であるから、大豆からたんぱく質が融け出すことが回避される。脱皮の具体的な態様は、浸漬大豆をほぼ半割り状に分割し、それに伴い皮が外されるようにしている。脱皮後は、サイクロン式の分離タンク70で分離される際に水に浸かることになるが、時間が短い上に、ほぼ半割り状態であるために、細かく粉砕された場合と比較するといわゆる傷付きも少なく、たんぱく質の流出も最小限に抑えられる。結果、たんぱく質を多量に含んだ皮無しの大豆を原料として得ることができる。
【0037】
上記したように本実施形態の特徴は、浸漬大豆をほぼ半割状に分割し、それに伴って脱皮を行うところにあるが、特に半割りすることについての工夫として、対向面に凹凸を設けた一対の固定円盤40と回転円盤50とを、浸漬大豆の直径よりも大きい間隔を開けて上下に対向配設し、回転円盤50を高速回転させつつ両円盤40,50の間に皮付きの浸漬大豆を供給するようにしている。
係る構造であると、浸漬大豆は、両円盤40,50の対向面の間で適当に飛び跳ねながら引っ掛けられるように作用し、各浸漬大豆は、細かく粉砕されるのではなくほぼ半割状に分割され、それに伴って皮が剥がれるのである。
また、両円盤40,50の対向面に凹凸を形成するについては、裏板41,51の表面にパンチングメタル42,52を貼るようにしたから、簡単に製造することができる。
【0038】
また脱皮を行う間は、第1、第2給水管86,87から分割機20とサイクロン式の分離タンク70とに、貯水タンク80の水が供給されるようになっているが、同貯水タンク80には分離タンク70のオーバーフロー水が回収され、さらにはフィーダ100側で得られた水もリターン管108によって回収されるようになっているから、脱皮工程中に必要な水は、初めに貯水タンク80に溜めた水のみでほぼ賄うことが可能となる。すなわち、ランニングコストを抑えることができる。
【0039】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)固定円盤と回転円盤との対向面に凹凸を形成する手段としては、ステンレス鋼板の表面にエンボス加工を施したり、あるいは裏板の表面に網を貼り付ける等、他の手段を講じてもよい。
(2)固定円盤と回転円盤の対向面のいずれか一方のみに凹凸を形成するようにしてもよい。
(3)固定円盤と回転円盤との間に浸漬大豆が供給できるようになっていれば、固定円盤と回転円盤とは上下逆に配置してもよい。
【0040】
(4)サイクロン式の分離タンクにおける循環系統と、同分離タンクから分割大豆をフィーダ側に給送する系統とは、別系統としてもよい。
(5)浸漬大豆の1回の処理量は任意に設定でき、各種時間設定等はそれに伴って変わるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る豆乳製造システムの前段側の概略構造を示す一部切欠正面図
【図2】同後段側の概略構造を示す正面図
【図3】分割機の内部構造を示す断面図
【図4】分割機の平面図
【図5】分割機のケーシングにおける蓋体側の内部構造を示す斜視図
【図6】分離タンク付近の構造を示す一部切欠正面図
【符号の説明】
【0042】
15…ホッパ
20…分割機
21…ケーシング
40…固定円盤
41…裏板
42…パンチングメタル
43…孔
44…供給口
45…流下管
48…ナット(間隔調整手段)
50…回転円盤
51…裏板
52…パンチングメタル
58…モータ
68…貯留部
70…分離タンク
71…タンク
78…オーバーフロー管
80…貯水タンク
83…皮受けざる
85…水送りポンプ
90…吸引管
93…大豆送りポンプ
95…給送管
100…フィーダ
107…補助タンク
108…リターン管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に浸漬された浸漬大豆を貯留するホッパと、
このホッパから供給される浸漬大豆を受けて各浸漬大豆をほぼ半割り状に分割し、分割された大豆とこの分割に伴って脱外された皮とを一緒に溜めることが可能な分割機と、
この分割機から供給された前記分割された大豆と前記皮とを、タンク内において渦巻流に乗せつつ循環流通させる間に、比重の相違により前記皮と前記分割された大豆とを上下に分離するサイクロン式の分離タンクと、
この分離タンク内で分離された前記皮と前記分割された大豆とを個別に取り出す取出装置と、
が具備されていることを特徴とする大豆脱皮装置。
【請求項2】
前記分割機は、
ケーシング内に、固定円盤と、モータにより回転駆動される回転円盤とが、上下に所定間隔を開けて配され、前記固定円盤と前記回転円盤における各対向面の少なくともいずれか一方に凹凸が形成されるとともに、前記固定円盤に前記ホッパからの浸漬大豆の供給口が開口され、さらに前記ケーシングの底部における前記両円盤の回りに貯留部が形成されており、
前記回転円盤が駆動されつつ、前記浸漬大豆が水とともに前記供給口から前記両円盤の間に供給されると、同両円盤の間で各浸漬大豆が分割されるとともにこの分割に伴って皮が脱外され、分割された大豆と脱外された皮とが前記貯留部に溜められる構成となっていることを特徴とする請求項1記載の大豆脱皮装置。
【請求項3】
対向面に凹凸が形成された前記円盤は、裏板の表面にパンチングメタルを重ねることで形成されていることを特徴とする請求項2記載の大豆脱皮装置。
【請求項4】
前記固定円盤と回転円盤との間隔を調節可能な間隔調節手段が具備されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の大豆脱皮装置。
【請求項5】
前記皮の取出装置は、前記分離タンクの上部に設けられたオーバーフロー管と、このオーバーフロー管からのオーバーフロー水を受ける貯水タンクと、この貯水タンクの上面に装着された皮受けざるとから構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の大豆脱皮装置。
【請求項6】
前記分割された大豆の取出装置は、前記分離タンクの底部に設けられた給送管と、同給送管に介設された大豆送りポンプと、前記給送管により給送された加水状態の分割された大豆を受けて水を切りつつ前記分割された大豆を搬送するフィーダとから構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の大豆脱皮装置。
【請求項7】
前記貯水タンクには水送りポンプが接続され、前記貯水タンクに貯留された水が、前記分割機と前記分離タンクとに供給される水の供給源となっていることを特徴とする請求項5記載の大豆脱皮装置。
【請求項8】
前記皮の取出装置は、前記分離タンクの上部に設けられたオーバーフロー管と、このオーバーフロー管からのオーバーフロー水を受ける貯水タンクと、この貯水タンクの上面に装着された皮受けざるとから構成される一方、
前記分割された大豆の取出装置は、前記分離タンクの底部に設けられた給送管と、同給送管に介設された大豆送りポンプと、前記給送管により給送された加水状態の分割された大豆を受けて水を切りつつ前記分割された大豆を搬送するフィーダと、このフィーダにおいて切られた水を溜める補助タンクとから構成され、
この補助タンクに設けられたリターン管が前記貯水タンクに臨んで配管されているとともに、
この貯水タンクには水送りポンプが接続されて、前記貯水タンクに貯留された水が前記分割機と前記分離タンクとに供給される水の供給源となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の大豆脱皮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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