説明

大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料の製造方法およびこれによって製造された非発酵炭酸飲料

【課題】大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料の製造方法およびこれによって製造された非発酵炭酸飲料を提供。
【解決手段】殻麦を230〜260℃で2〜5分間炭化させ、この炭化した大麦を粉砕し、水を加えた後加熱し、この加熱された大麦混合液を冷却した後、アミラーゼ、プロテアーゼを添加し、その後酵素分解し、この分解された大麦混合液を加熱して酵素の活性を中止させた後、酵素分解の中止された大麦混合液を濾過して残留物を除去し、濃縮して大麦濃縮液を得、その後得られた大麦濃縮液、ホップ抽出物、砂糖または異性化糖、クエン酸および水残量を混合して攪拌し、この混合攪拌した溶液を殺菌した後、冷却し、この冷却された溶液に香りを仕込んで攪拌し、この攪拌により得られた混合液を5〜13℃に保ちながら無菌状態で熟成させ、この熟成させた溶液に、炭酸ガスを注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料の製造方法およびこれによって製造された非発酵炭酸飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
大麦は、澱粉、蛋白質、β−グルカンなどを主成分とし、水分、脂肪、灰分、繊維素および少量のビタミンなどの微量成分を含んでいる。特に、大麦は、ビタミンB群の優れた供給源であって、チアミン(B1)、ピリドキシン(B6)、リボフラビン(B2)およびパントテン酸(pantothenic acid)の含量が高い。
【0003】
大麦の栽培および食用利用は、考古学的に18,000年〜17,000以上の歴史を持つものと推定されている。大麦は、多数の地域で様々な形をして利用されており、人類の初期歴史で重要な主食として用いられて きた。
【0004】
BC1,500年頃の古代インド書籍では、大麦が、官能的に渋い味と冷気を持ち、荒くて軽く、甘い味を持ち、生理的には大便の体積を増やし、体温を調節しながら体液を形成する機能を行うと紹介している。大麦は、韓国でも紀元前5〜6世紀以後から栽培し始め、1970年代中盤まで長い歳月米の後を次いで重要に用いられてきた。
【0005】
大麦は、様々な方式で加工して利用されており、大麦の種実と麦芽を用いて製造された相当量の非アルコール性飲料(non-alcoholic beverage)が世界各処で消費されている。一部の地域では、大麦または麦芽を炒めてから粉砕した粉にお湯を入れて直接飲料として飲んだりする。例えばこがし、麦茶などがこの飲料に該当する。中でも、麦茶は主に、殻麦を殻が殆ど炭化に近くなるように炒めてその外皮を剥がしていない丸ごとの形または粗く砕いた形で使用し、またお茶を入れるように少量を水に入れて沸かした液をお茶またはコーヒーなどの代用として飲む。麦茶は、昔から飲用されてきた飲料であり、現在にも家庭で最も多く飲用されている飲料でもある。
【0006】
従来の大麦を用いた清涼飲料の製造方法は、大麦抽出液を製造する方法によって2通りに分かれる。すなわち、大麦の殻を除去して製造する方法と、大麦の殻を搗精しないで麦芽を作った後製造する方法がある。
【0007】
搗精して製造する方法の例によれば、搗精された大麦に水、食用油、乳化剤などを入れて600〜750℃の高温で3〜5分間加熱することにより、これらの成分を大麦の粒の中に浸透させて製造する。ところが、この方法は、油を大麦の表面と中にまで浸透させながら乳化剤まで使用するため、コーヒーの代用品として用いられる場合には適するかも知れないが、気温が30℃以上の夏季に多く用いられ、多量の炭酸水に希釈されて製造される炭酸飲料水の場合には、長期間の保存の際に油が分離されて視覚的に商品の価値が低下し、油が酸化して良くない匂いがする。また、油を入れて600〜750℃で加熱するため、過酸化物が増加して健康に悪い影響を及ぼす可能性があり、工業的には原料大麦の搗精による量的、栄養的損失を回避することができないのは勿論のこと、経済的な面または健康の面を考慮すれば改善されるべき点が多かった。
【0008】
一方、搗精せずに麦芽を製造して炭酸飲料を作る場合、すなわち韓国の先祖代々から利用されてきた甘酒製造の原理を用いる場合、発芽過程中に生成される自体の酵素によって、糖を始めとした水溶性成分が増加して健康上にも別の問題がないという利点がある。ところが、麦芽を製造するために長時間がかかり、巨大な麦芽製造施設が必要であるうえ、甘酒の製造とは異なり加熱による酵素の失活が問題になって炭酸飲料の量産には非経済的であるという欠点があった。
【0009】
現在、飲料市場は、アルコール飲料と非アルコール飲料に大別される。中でも、非アルコール飲料の代表的な例としては炭酸飲料があり、アルコール飲料の代表的な例としてはビールがある。
【0010】
ホップ(hop, Humulus lupulus)は、桑の木科に属する宿根性の蔓植物であって、ビールの原料として使用されてきた。ホップはルプリン(lupulin)成分を含み、このルプリン成分はフムレン(Humulen)、ミルセン(Myrcene)、フムロン(Humulon)、ルプロン(Lupulon)、ホップ樹脂などの複雑な混合物である。ホップのルプリン成分による独特な香りと苦味は、官能的にビールの独特な香りと爽やかでほろ苦い味を出し、泡をよく立てるうえ、抗菌作用、真正作用および防腐効果などの機能性を持たせる。また、ホップのタンニン成分が大麦の風味のある味と調和をして、脂っぽい飲食と共に摂取する場合に脂っこさを減少させる役割をする。
【0011】
このようなホップのルプリンおよびタンニン成分は、代表的な西洋の炭酸飲料であるコーラのカフェイン成分と比較することができる。カフェインは、苦味を提供して炭酸との調和を高めるとともに、脂っぽい飲食と共に摂取する場合に脂っこさを減少させる役割をする。ホップのルプリンおよびタンニンも、カフェインと類似の苦味を提供して炭酸との調和を良くし、脂っぽい飲食と共に摂取する場合に脂っこさを減少させる役割をする。また、カフェイン成分は、中毒性などの問題点を引き起こす反面、ホップのルプリン成分は、抗菌作用、真正作用、防腐効果などの様々な生理活性を持っており、タンニン成分は、免疫増強効果、血管保護効果、カドミウム毒性解毒効果といった利点などがある。
【0012】
一般に、大麦の場合、抽出に先立って長時間炒める過程を経るが、この際に炭化臭が形成されると、炭酸と混合し難いという問題点をもっている。また、ホップ抽出物の場合、泡を立てる作用をするが、前記ホップ抽出物が炭酸ガスと反応すれば過量の泡が立ち、製品を容器に入れる過程で問題点が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、大麦の炭化臭が発生する問題点を克服して炭酸とよく混合することが可能な炭酸飲料に対する開発が切実に要求されている。
【0014】
本発明の目的は、大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料の製造方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、前記方法によって製造された非発酵炭酸飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで、本発明者は、大麦の炭化臭が発生しない炭酸飲料についての研究中、殻麦を高温で短時間加熱することにより、炭化臭形成問題を克服し、前記炭化した殻麦を前もって 粉砕した後酵素処理することにより、発酵過程を経ることなく抽出して抽出の効率および豊富な味を向上させ、大麦濃縮液をホップ抽出物と混合した後低温熟成過程を経ることにより、ホップ抽出物と炭酸との接触により発生する泡立ちを減少させることができることを確認し、本発明の完成に至った。
【0017】
本発明の大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料の製造方法は、1)殻麦(殻のついた大麦)を230〜260℃で2〜5分間炭化させる段階と、2)前記炭化した大麦を粉砕し、殻麦原重量の4〜6倍に相当する水(好ましくは精製水)を加えた後、85〜99℃で30分〜2時間加熱する段階と、3)前記加熱された大麦混合液を常温〜60℃に冷却した後、殻麦100重量部に対してアミラーゼ0.05〜0.3重量部、プロテアーゼ0.02〜0.3重量部を添加し、その後40〜60℃で3〜10時間酵素分解する段階と、4)前記分解された大麦混合液を95℃以上で5〜10分間加熱して酵素活性を中止させる段階と、5)前記酵素分解の中止された大麦混合液を濾過して残留物を除去し、濃縮して大麦濃縮液を得る段階と、6)前記5)段階で得た大麦濃縮液0.01〜0.1重量%、ホップ抽出物0.01〜0.1重量%、砂糖または異性化糖5〜15重量%、クエン酸0.1〜0.5重量%、および水(好ましくは精製水)残量を混合して攪拌する段階と、7)前記6)段階で混合攪拌した溶液を95〜110℃で20〜30秒間殺菌した後、3〜10℃に冷却する段階と、8)前記7)段階で冷却された溶液に香りを仕込んで攪拌する段階と、9)前記8)段階で得た混合液を5〜13℃に保ちながら無菌状態で10〜24時間熟成させる段階と、10)前記9)段階で熟成させた溶液に、熟成させた溶液100重量部に対して炭酸ガス0.5〜1.0重量部を注入する段階とを含む。
【発明の効果】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明は、大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料の製造方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記方法によって製造された非発酵炭酸飲料を提供する。
【0020】
本発明に係る大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料は、殻麦を高温で短時間加熱することにより、炭化臭が発生しない。また、本発明に係る非発酵炭酸飲料は、前記炭化した殻麦を前もって粉砕した後酵素処理することにより、発酵過程を経ることなく抽出するので、抽出の効率および豊富な味が向上する。また、本発明に係る非発酵炭酸飲料は、大麦濃縮液をホップ抽出物と混合した後、低温熟成過程を経ることにより、ホップ抽出物と炭酸との接触により発生する泡立ちが減少する。したがって、本発明に係る非発酵炭酸飲料は、豊富な大麦の味を得ることができ、ホップ固有の独特な香りと爽やかでほろ苦い味を与えて渇を解消させるうえ、脂っぽい飲食とともに飲用の際に脂っこさを減少させる。さらに、本発明に係る非発酵炭酸飲料は、機能的な面で大麦の消化促進作用とホップの抗菌作用、鎮静作用および防腐効果などの機能性を備えたので、清涼感を与えるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0022】
まず、本発明に係る非発酵炭酸飲料の製造方法を段階別にさらに詳しく説明する。
【0023】
1)殻麦炭化段階
殻麦を精選した後、230〜260℃で2〜5分間炭化させることにより、炭化臭が発生しないようにする。
【0024】
殻麦を高温で長時間炭化させると、炭化臭が多く形成されるので、殻麦を高温で瞬間的に炭化させることが、炭化臭の形成を防止することができて好ましい。
【0025】
2)粉砕および糊化段階
前記炭化した大麦を粉砕した後、殻麦原重量の4〜6倍に相当する水(好ましくは精製水)を加え、85〜99℃で30分〜2時間加熱して澱粉を糊化させる。
【0026】
3)酵素分解段階
前記2)段階で得た糊化大麦混合液を常温〜60℃に冷却し、殻麦100重量部に対してアミラーゼ0.05〜0.3重量部、プロテアーゼ0.02〜0.3重量部を添加した後、40〜60℃で3〜10時間酵素分解させて酵素分解液を得る。
【0027】
前記2)、3)段階と同様に、炭化した大麦を前もって粉砕し酵素処理した後、発酵過程を経ることなく抽出すると、抽出の効率および豊富な味を一層向上させることができる。
【0028】
4)酵素失活段階
前記3)段階で得られた大麦の酵素分解液を95℃以上、好ましくは95〜100℃で5〜10分間加熱させて酵素を失活させる。
【0029】
5)精製および濃縮段階
前記4)段階で失活を経て得られた大麦酵素分解液を濾過して残留物を除去し、真空濃縮して大麦濃縮液を得る。前記大麦濃縮液の濃度は、10〜20ブリックスが好ましい。
【0030】
6)攪拌段階
前記5)段階で得た大麦濃縮液0.01〜0.1重量%、ホップ抽出物0.01〜0.1重量%、砂糖または異性化糖5〜15重量%、クエン酸0.1〜0.5重量%、および水(好ましくは精製水)残量を混合して10〜30分間常温で攪拌する。
【0031】
前記大麦濃縮液の含量が0.01重量%未満であれば、大麦の風味のある味と香りが低下し、前記大麦濃縮液の含量が0.10重量%以上であれば、炭化臭が多く形成されるという欠点がある。
【0032】
また、前記ホップ抽出物の含量が0.01重量%未満であれば、ホップの独特な苦味とさっぱりした味が希釈して豊富な味が出ず、前記ホップ抽出物の含量が0.10重量%以上であれば、苦味があまり強くて炭酸と調和しないという欠点がある。
【0033】
前記ホップ抽出物は、ホップを陰で乾燥させた後粉砕し、ここに水(好ましくは精製水)を加えて95〜100℃で10〜30分間加熱して熱水抽出することにより得る。あるいは、前記ホップ抽出物として市販のものを使用してもよい。
【0034】
7)殺菌および冷却段階
前記6)段階で攪拌した混合液を高温で短時間、好ましくは95〜110℃で20〜30秒間殺菌した後、3〜10℃に冷却する。
【0035】
8)香り投入段階
前記7)段階で冷却した混合液に、混合液の総重量に対して香り0.01〜0.20重量%を仕込んで攪拌する。本発明で使用される香りとしては、バニラ香り、チョコ香り、フルーツ香り、植物香りなどの天然香りおよび人工香りが挙げられ、好ましくは大麦香りがよい。
【0036】
9)低温熟成段階
前記8)段階で得た混合液を5〜13℃に保ちながら無菌状態で10〜24時間熟成させる。上述のように、低温熟成段階を経ることにより、ホップ抽出物と炭酸との接触による泡立ちを減少させることができる。
【0037】
10)炭酸注入段階
前記9)段階で熟成させた溶液に、熟成させた溶液100重量部に対して炭酸ガス0.5〜1.0重量部を注入する。
【0038】
本発明に係る大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料は、缶、瓶またはペットボトルなどの所定の容器に包装されている形で使用することができる。
【0039】
本発明に係る大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料は、殻麦を高温で短時間加熱することにより、炭化臭が発生しない。また、本発明に係る非発酵炭酸飲料は、前記炭化した殻麦を前もって粉砕した後酵素処理することにより、発酵過程を経ることなく抽出したので、抽出の効率および豊富な味が向上する。また、本発明に係る非発酵炭酸飲料は、大麦濃縮液をホップ抽出物と混合した後、低温熟成過程を経ることにより、ホップ抽出物と炭酸との接触による泡立ちが減少する。したがって、本発明に係る非発酵炭酸飲料は、豊富な大麦の味を得ることができ、ホップ固有の独特な香りと爽やかでほろ苦い味を与えて渇を解消させるうえ、脂っぽい飲食と共に飲用の際に脂っこさを減少させる。また、本発明に係る非発酵炭酸飲料は、機能的な面で大麦の消化促進作用とホップの抗菌作用、鎮静作用および防腐効果などの機能性を備えたので、清涼感を与えるという効果がある。
【0040】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示する。ところが、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0041】
炭酸飲料の製造
1.大麦濃縮液の製造
殻麦を250℃で3分間炭化させた。前記炭化した大麦を粉砕し、殻麦原重量の4〜6倍に相当する精製水を加えた後、90℃で1時間加熱した。前記加熱された大麦混合液を常温に冷却した後、殻麦100重量部に対してアミラーゼ0.10重量部、プロテアーゼ0.01重量部を添加し、その後50℃で5時間酵素分解した。前記分解された大麦混合液を95℃以上で10分間加熱して酵素の活性を中止させた。前記酵素分解の中止された大麦混合液を濾過して残留物を除去し、濃縮して15ブリックスの大麦濃縮液を得た。
【0042】
2.ホップ抽出物の製造
ホップを陰で乾燥させた後粉砕し、ここにホップの4〜6倍に相当する精製水を加えて95〜100℃で10〜30分間熱水抽出してホップ抽出物を得た。
【0043】
3.炭酸飲料の製造
前記1.で製造した大麦濃縮液を15ブリックスを基準として0.01重量%、前記2.で製造したホップ抽出物を0.01ブリックスを基準として0.02重量%、精白糖12重量%、クエン酸0.1重量%および残量の精製水を混合した。前記混合物を100℃で30秒間殺菌した後、7℃に冷却した。ここに大麦香り0.05重量%を混合した後、10時間10℃で低温熟成させ、熟成させた溶液100重量部に対して炭酸ガス0.76重量部を注入した後、容器に入れた。
【0044】
(比較例1)
殻麦を250℃で15分間炭化させた以外は、実施例1と同様の方法によって炭酸飲料を製造した。
【0045】
(比較例2)
炭化させた殻麦を粉砕せずに酵素分解した以外は、実施例1と同様の方法によって炭酸飲料を製造した。
【0046】
(比較例3)
ホップ抽出物を入れていない以外は、実施例1と同様の方法によって炭酸飲料を製造した。
【0047】
実験例:官能検査
本発明に係る炭酸飲料の官能検査を調べるために、一般消費者を対象として嗜好度テストを行った。
【0048】
(1)試料の準備および提示
試料は全て一度に製造して冷蔵(4℃)保管し、評価は二日にわたって行った。約10℃の試料を紙コップに20mLずつ入れて提示し、口を濯ぐために飲む水を共に準備した。評価は、個別検査ブースで行った。
【0049】
(2)官能検査員の選定
20代の男女30名を対象として消費者検査を行った。検査は、午前11時〜12時と午後3時〜5時に行った。
【0050】
(3)評価内容および評価方法
麦茶およびホップ抽出物を対照群とし、本発明に係る炭酸飲料の味について評価した。
【0051】
その評価結果は、表1に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
表1に示すように、本発明に係る炭酸飲料は、大麦の風味のある味と香りが適切であり、ホップの苦味と香りがよく炭酸と調和している。
【0054】
比較例1で製造した炭酸飲料は、殻麦を高温で長時間炭化させることにより、すごい炭化臭が感じられて多少炭酸と調和していない。
【0055】
比較例2で製造した炭酸飲料は、炭化させた殻麦を粉砕せずに酵素分解して得られた大麦濃縮液を使用することにより、大麦の風味のある味と香りが低下し、多少薄い味の感じがした。
【0056】
比較例3で製造した炭酸飲料は、ホップ抽出物を使用しないことにより、ほろ苦い味とさっぱりした味が少なくて清涼感が少なかった。
【0057】
したがって、本発明に係る大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料は、殻麦を高温で短時間加熱することにより炭化臭が発生せず、前もって粉砕して酵素処理することにより発酵過程を経ることなく抽出したので抽出の効率および豊富な味が向上するうえ、大麦濃縮液をホップ抽出物と混合した後低温熟成過程を経ることにより、ホップ抽出物と炭酸との接触により発生する泡立ちが減少するので、大麦の風味のある味と香りが適切であり、ホップの苦味と香りがよく炭酸と調和していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)殻麦(殻のついた大麦)を230〜260℃で2〜5分間炭化させる段階と、
2)前記炭化した大麦を粉砕し、殻麦原重量の4〜6倍に相当する水を加えた後、85〜99℃で30分〜2時間加熱する段階と、
3)前記加熱された大麦混合液を常温〜60℃に冷却した後、殻麦100重量部に対してアミラーゼ0.05〜0.3重量部、プロテアーゼ0.02〜0.3重量部を添加し、その後40〜60℃で3〜10時間酵素分解する段階と、
4)前記分解された大麦混合液を95℃以上で5〜10分間加熱して酵素活性を中止させる段階と、
5)前記酵素分解の中止された大麦混合液を濾過して残留物を除去し、濃縮して大麦濃縮液を得る段階と、
6)前記5)段階で得た大麦濃縮液0.01〜0.1重量%、ホップ抽出物0.01〜0.1重量%、砂糖または異性化糖5〜15重量%、クエン酸0.1〜0.5重量%、および水残量を混合して攪拌する段階と、
7)前記6)段階で混合攪拌した溶液を95〜110℃で20〜30秒間殺菌した後、3〜10℃に冷却する段階と、
8)前記7)段階で冷却された溶液に香りを仕込んで攪拌する段階と、
9)前記8)段階で得た混合液を5〜13℃に保ちながら無菌状態で10〜24時間熟成させる段階と、
10)前記9)段階で熟成させた溶液に、熟成させた溶液100重量部に対して炭酸ガス0.5〜1.0重量部を注入する段階とを含む、大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む非発酵炭酸飲料の製造方法。
【請求項2】
前記10)段階後の炭酸飲料は、缶、瓶またはペットボトルの容器に包装されている形であることを特徴とする、請求項1に記載の非発酵炭酸飲料の製造方法。
【請求項3】
請求項1の方法により製造された大麦濃縮液およびホップ抽出物を含む、非発酵炭酸飲料。