説明

天井取り付け型酸素バーナーを用いるガラス溶解炉の性能を向上させる方法

【解決課題】ガラス形成バッチ原料の熔解速度、ガラス品質及び/又はガラス収率の改良。
【解決手段】空気燃料バーナーと、上流熔解ゾーン27と下流清澄ゾーン28とを含み、バーナーが熔解ゾーン27内のガラス形成バッチ材料よりも上方で天井22に配設されているガラス熔解炉10内で、ガラス形成バッチ材料30を熔解する。空気燃料バーナーへの燃料及び燃焼空気流を減少させ、天井に取り付けられたバーナー34に気体酸化剤を流し、バーナー34に気体燃料を流し、バーナー34から炎36を発生させて、空気燃料バーナーからの減少したエネルギを置換して、追加のエネルギを与え、ガラス形成バッチ材料30に実質的な乱れを生じさせずに、炎36からガラス形成バッチ材料30に至る熱転移を最大にするために十分な速度を有するように炎36を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産率を向上させるため若しくは電気ブーストの減少又は復熱器あるいは蓄熱器などの現存の熱回収設備の劣化の結果としてのいずれかの場合にも現行の生産率を維持するために、ガラス熔解炉の天井にある少なくとも1個の酸素バーナーを使用することに関する。この方法は、現存の又は以前から存在していた空気燃料エネルギ又は電気エネルギ容量の一部を酸素燃料エネルギで置換することを含む。エンドファイヤ型の蓄熱炉及び電気炉を除いて、この方法は、蓄熱ポートの遮断又は復熱バーナーの隔離を含む。特に、設計選択において、炉に流入するバッチ原料よりも上方でのバーナーの傾斜及び位置付けは、熔解速度を改良し、生産収率を向上させ、エネルギ効率を良好にし、ガラス品質を改良する。バーナー内での燃焼の化学量論比の正確な制御、バーナーのリッチ−レーン相互反応及び炉のゾーン的な燃料/酸素ステージング(staging)は、窒素酸化物及び二酸化硫黄の排出を最小にしながら、熱転移を最適化するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
蓄熱炉、復熱炉、電気炉及び直接燃焼炉は、ガラス及び関連するフリット製品の製造に一般的に用いられている。
空気−燃料蓄熱炉は、クロスファイヤ(cross-fired)型及びエンドファイヤ(end-fired)型の2つのカテゴリに分類される。クロスファイヤ蓄熱炉は、典型的には炉の各サイドに3個〜8個の多数のポートを有し、これらポートは、共通の蓄熱室又は区分された蓄熱室のいずれかに連結されていて、燃焼空気を予熱する。種々の形状及び寸法であってもよい蓄熱室は、炉の作用に応じて15〜30分ごとに反転する。各反転サイクルの間、反転バルブ内の第1の通路を通過するファンからの燃焼空気は、炉の一方の側にある蓄熱室の基部に流入して、炉に連結するポートに流入する前に予熱される。オイル及び/又はガスの形態での燃料は、ポートよりも下側、ポートよりも上側、ポートを貫通して又はポートの側部のいずれかに注入されて、ガラス熔解炉内で燃焼する炎を生じさせる。熱い燃焼生成物は、反対側のポートを通して炉から排出され、熱を放出しながら蓄熱室チェッカーレンガを下降し、反転バルブ内の第2の通路を介して排気貯蔵室に排出される。空気側の蓄熱室が冷却されると、排気蓄熱室は、反転バルブが反転して燃焼空気がすでに熱い排気蓄熱室に流入するまで、加熱する。
【0003】
部分的には空気燃料炎の放射ゆえに、しかし主として燃焼生成物によって加熱された天井及び壁からの再放射によって、ガラスは熔解する。より高い炉のガラス生産能を得るために、多くの炉は、ガラスに埋設された電極による電気ブーストを用いる。これは、コストが高く、ガラス接触タンク壁に損傷を引き起こしかねない。作業中、蓄熱室は、熱的/構造的損傷及び/又はバッチ材料あるいはバッチとしても知られているガラス形成原料のキャリーオーバ、又はガラスバッチから放出される揮発性成分の濃縮ゆえにブロックし始める。蓄熱室がブロックすなわち停止すると、炉内の空気の予熱温度は低下する。圧力降下が増加するので、排気側は、排ガスの除去を制限し、よって、炉内へのエネルギ入力を制限し、炉のガラス生産能は減少する。
【0004】
従来の蓄熱室における生産能損失を回復するために、又は、一杯になっていない炉内での生産性を高めるために、酸素を多く含む一般的な空気、ポート炎の下方の特定の酸素ランス、第1のポートと充填端壁との間への酸素バーナーの取り付け、及びポートを介して取り付けられた水冷式酸素バーナーの4つの方法で酸素が用いられている。これらの技術に基づく生産能の増加は、アクセス要求、プロセス要求又は反射温度の制限によって制限される。
【0005】
エンドファイヤ蓄熱炉は、クロスファイヤ蓄熱炉と同様に作用するが、エンドファイヤ蓄熱炉は、別々の蓄熱器に連結しているただ2個のポートを端壁に有している。蓄熱器の劣化は、クロスファイヤ炉の場合と同様の機構で生じ、同様の電気ブースト及び酸素ブーストが利用される。
【0006】
上述の蓄熱室で失われた生産能を回復するため、又は生産能を増加させるために、酸素は、酸素を多く含む一般的な空気、ポート下方に組み込まれた特定の酸素ランス及びタンク下方の炉側壁を介して組み込まれた酸素バーナーの3つの方法で用いられている。これらの技術は、配置及び炉のオーバーヒートに対する考慮から、典型的には、容量が制限される。
【0007】
復熱型炉は、少なくとも1個の復熱タイプ熱交換器を利用する。蓄熱器と異なり、復熱器は、熱い並行流熱交換器と連続していて、ここで、排出ガスは、炉の側部に沿った個々の空気燃料バーナーのダクト内にある燃焼ガスを予熱する。復熱型炉は、電気ブーストをも用いることができる。蓄熱型炉と同様に、復熱器は、空気を予熱する効率及び能力を失い始める。復熱器は、ブロックされ始めるか又は穴を拡張し始める。
【0008】
上述の復熱器で失われた生産能を回復するために、又は生産能を増加させるために、酸素を多く含む一般的な空気、空気燃料バーナーより下方の特定の酸素ランス及び炉側又は端壁のいずれかを介しての酸素バーナーの取り付けの3つの方法で酸素が用いられている。これらの技術は、配置制限及び炉のオーバーヒートに対する考慮から、典型的には生産能を制限する。
【0009】
直接燃焼型炉は、予熱された空気を利用せず、上述の炉設計の例よりも効率が低い。熱効率を改良し、すなわち生産能を増加させるために、側壁酸素バーナーが空気燃料バーナーに代わって用いられている。
【0010】
電気炉又は主として熔解に電気を利用する炉は、典型的には、操業コストが高く、典型的な化石燃料炉よりも寿命が短い。一旦設計されると、生産能を増加させることは困難である。本発明は、ホットトップの電気炉及び暖かい頂部(ウォームトップ)の電気炉に関し、冷たい頂部(コールドトップ)の炉には適用されない。
【0011】
Lauwersの米国特許第5,139,558号明細書は、ガラス熔解炉内での天井に取り付けられた勢いの強い補助的な酸素バーナーの使用を開示する。ここで、酸素バーナーは、熔解したガラスと原材料となる固体ガラスとの界面に向けられていて、原材料となる固体ガラスは、熔解ゾーンから逃げることが機械的にできなくなる。
【0012】
Cableの米国特許第3,337,324号明細書は、水冷式炉の供給端部よりも、ほぼ下方全体を燃焼させるように位置づけられているバーナーを用いて、ガラス炉内でバッチ材料を熔解する方法を開示する。
【0013】
共に係属している米国特許第08/992,136号は、蓄熱器又は復熱器を有していないガラス熔解炉内での一次熱源として、天井に取り付けられたバーナーの使用を開示する。
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,139,558号明細書
【特許文献2】米国特許第3,337,324号明細書
【特許文献3】米国特許第08/992,136号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、概略的には、バッチ原料よりも上方に位置づけられた少なくとも1個の天井取り付け型酸素バーナーを用いて、あらゆるデザインのガラス熔解炉が、バッチ原料が炉に流入する際に、熔解速度を改良して、ガラス品質及び/又はガラス収率を改良することができるようになる。これらのバーナーの設計及び位置づけにより生じるガラス熔解速度及び収率の増加によって、炉状態及びタイプに依存して、少なくとも1以上の下記の効果が達成される。すなわち、ガラス生産量の増加、ガラス品質の改良、電気ブーストの減少、効果的でない熱回復(すなわちブロックされた蓄熱器)によって失われた生産能の回復、炉環境を酸素を多く含む空気で置換したことによる酸素使用量の減少、酸素ランスを交換することによる酸素使用量の減少、ガラス炉の壁に取り付けられていた慣用の酸素バーナーを交換することによる酸素使用量の減少、炉寿命の増加、エネルギ効率の改良、窒素酸化物及び硫黄酸化物の排出の減少、化石燃料消費の減少、カレットの減少及びガラス製品収率の増加である。
【0016】
本発明は、以下のタイプの炉に適用することができる。本発明をホットトップの電気炉に適用する場合には、少なくとも1個の酸素バーナーを炉の天井に取り付ける。本発明をクロスファイヤ蓄熱炉に適用する場合には、少なくとも一対の互いに反対側にあるポートを完全に又は部分的にブロックすなわち遮断することが必要である。本発明をエンドファイヤ蓄熱炉に適用する場合には、少なくとも1個の酸素バーナーを炉の天井に取り付け、本来の設計の最大フローの一部にまで燃焼空気を減少する。本発明をすべての復熱炉に適用する場合には、少なくとも1個の酸素バーナーを炉の天井に取り付ける。多数のバーナーを有する炉の場合には、天井に取り付けられたバーナーに隣接するバーナーを取り除き、空気の供給を遮断する。単一のバーナー又は単一のポートの場合には、燃焼空気のフローは、本来の最大フローの一部にまで減少する。
【0017】
本発明をすべての直接燃焼炉に適用する場合には、少なくとも1個の酸素バーナーを炉の天井に取り付ける。多数のバーナーを有する炉の場合には、天井に取り付けられたバーナーに隣接するバーナーを取り除いて、空気の供給を遮断しなければならない。単一のバーナー又は単一のポートの場合には、燃焼空気のフローは、本来の設計の最大フローの一部にまで減少する。
【0018】
上述のすべての場合において、本発明の範囲は、効果的に同じである。電気ブースト又は慣用の酸素ブースティング方法を利用する炉を含むがこれに限定されるものではない空気燃料又は酸素燃料によって予め行われたガラス熔解は、炉に流入するバッチ原料よりも上方に位置づけられた天井取り付け型酸素バーナーによって置換されて、熔解速度を改良し及び/又はガラス品質及び/又はガラス製品収率を改良する。これらのバーナーの特定の位置への位置づけを可能とすることによって、未熔解のバッチ原料への熱転移を増加させることができる。
【0019】
すべての場合において、少なくとも1個の天井取り付け型酸素バーナーは、炉に流入するバッチ原料よりも上方に位置づけられて、熔解速度を改良し、品質が改良され、多数のポート及び多数のバーナーを用いる空気燃料適用のすべての場合において、少なくとも一対のポート又は一対のバーナーが隔離される。単一のポート及び単一のバーナーを用いるすべての場合において、空気及び燃料は、最大設計よりも少ない一部にまで減少される。より効果的な天井取り付け型バーナーは、慣用のプロセスで除去されていたエネルギ及び所望のプロセス要求を達成するための追加のエネルギの代わりとなるエネルギを提供する。炉に流入するバッチ原料よりも上方にバーナーを位置づけることで、熔解速度を改良する。天井取り付け型バーナー及び残りの空気燃料バーナーの化学量論比及び制御は、窒素酸化物及び硫黄酸化物の排出を最小化するために重要である。
【好ましい実施形態】
【0020】
図面を参照すれば、ガラス溜炉すなわちリファイナー12に熔解ガラスを提供するためのガラス熔解炉10が示されている。リファイナー12において、熔解ガラスはさらに清澄されて、続いて、容器、繊維化装置、フロートバスなどの1以上のガラス形成機械(図示せず)に供給される。図面には構成の詳細を明瞭にする目的では与えられていない。なぜなら、かような構成の詳細は慣用のものであり、本発明の開示及び説明を読んだ当業者にはよく理解されるところだからである。除かれている特定の項目は、蓄熱器ポート、空気燃料バーナー及び排気である。なぜなら、これらは各炉ごとに異なるからである。
【0021】
ガラス熔解炉10は、典型的には、上流側端壁14と、下流側端壁16と、側壁18と、床20と、天井22とを有する細長いチャネルを含む。これらはすべて、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ジルコン、ジルコニア−アルミナ−シリカ、酸化クロム等の耐火性材料からなる。天井22は、チャネルの長手方向軸を横断する弧状を有するものとして示されているが、適宜他の形状を有するものとしてもよい。典型的なガラス熔解炉10の天井22は、ガラス形成原料の表面よりも上方約3〜15フィート(0.91〜4.57m)の間に位置づけられる。この分野では周知のように、ガラス熔解炉10は、任意に、1以上のバブラー24及び/又は電気ブースト電極(図示せず)を含むものでもよい。バブラー及び/又は電気ブースト電極は、バルクガラスの温度を昇温させ、バッチカバーよりも下方の熔解ガラス循環を増加させる。
【0022】
ガラス熔解炉10は、2個の連続的なゾーンを含む。一つは、熔解ゾーン27であり、もう一つは、下流側の清澄ゾーン28である。熔解ゾーン27は、ガラス熔解炉10の上流側ゾーンであり、ここで、この分野で周知のタイプの充填デバイス32を用いて、ガラス形成原料が炉に充填される。ガラス形成原料30は、ガラス製造に典型的に用いられる原材料の混合物であってもよい。ガラス形成原料(すなわちバッチ)30の組成は、製造しようとするガラスのタイプに依存する。すなわち、原材料としては、とりわけ、一般にカレットと称されるスクラップガラスを含むシリカ含有材料を挙げることができる。他のガラス形成材料としては、長石、石灰石、ドロマイト、ソーダ灰、カリ化合物(potash)、ホウ砂及びアルミナ等を用いることができる。ガラスの特性を変えるために、少量のヒ素、アンチモン、硫酸エステル、炭素、及び/又はフッ化物などを添加してもよい。さらに、所望の色を得るために、色形成金属酸化物を添加してもよい。
【0023】
ガラス形成原料30は、ガラス熔解炉10の熔解ゾーン27内で、熔解ガラスの表面上に固体粒子のバッチ層を形成する。ガラス形成原料30の浮遊している固体バッチ粒子は、主として少なくとも1個の酸素バーナー34によって、熔解する。酸素バーナー34は、制御された衝突炎形状及び長さを有する炎を生じさせ、ガラス熔解炉10の天井22内に取り付けられている。本発明によるガラス形成原料30よりも上方でガラス熔解炉10の天井22内に少なくとも1つの酸素バーナー34を組み込んで正確に制御することは、固体のガラス形成原料の熔解速度を早め、同時に、周囲の耐火性材料の作業温度を受容可能な作業温度制限内に維持する。
【0024】
ここで、「少なくとも1つの酸素バーナー」とは、1個以上の酸素バーナーを意味する。さらに、「主として少なくとも1つの酸素バーナーによって」とは、追加の又は回復されたガラス製造容量及び置換された空気燃料バーナー又はガラス形成原料を熔解するための電気/酸素ブーストエネルギは、少なくとも1個の酸素バーナーからのものであることを意味する。図1及び図2に示すように、一実施形態において、ガラス熔解炉10は、3個の酸素バーナー34を含む。1個の酸素バーナー34は、2個の隣接して位置づけられている下流側の酸素バーナーの上流側に位置づけられている。しかし、ガラス形成原料30を熔解させるために、適宜数の酸素バーナー34がバッチよりも上方で炉10の天井22の適宜の場所に位置づけられていてもよい。例えば、2個の酸素バーナー34が、図7に示すように隣り合って配置されていてもよく、あるいは図8に示すように1個の酸素バーナーが用いられてもよい。それにもかかわらず、本発明によれば、ガラス熔解炉の天井22にある各酸素バーナー34の角度方向は、生じた炎36がガラスバッチ表面にほぼ直交するように方向づけられて、ガラス表面に衝突して、衝突領域26を形成する炎を生じるように、向けられる。好ましい実施形態において、酸素バーナー34は、ガラス形成原料30に対して約90度の角度で、バッチ材料にほぼ直交するように位置づけられる。角度は、下流側の端壁の方向に直交する角度から、30度程度、好ましくは10度未満、逸脱してもよい。ガラス製造速度及び製造されたガラス品質は、本発明による制御された衝突炎形状及び長さを有する炎を生じさせる少なくとも1個の下流方向に燃焼する酸素バーナー34で、ガラス形成原料30を熔解することによって改良されてもよいことがわかっている。
【0025】
少なくとも1個の酸素バーナーは、燃料及び酸化剤を必要とする。燃料は、気体、液体又は両者の混合物のいずれでもよい。気体燃料は、天然ガス(メタン)、都市ガス、発生炉ガス、LPG、プロパン、ブタン及びこれらの混合物を含む。液体燃料は、重油、中油、軽油、ケロシン及びディーゼルオイルを含む。液体燃料は、噴霧及び/又は気化されなければならない。噴霧は、機械的手段又は空気、蒸気、酸素、上述の気体燃料のいずれか、及び場合によっては不活性ガスを含む二次的な噴霧媒体のいずれかによって行うことができる。気化は、燃焼気体生成物周囲の熱に依存して、油を蒸発させる。酸化剤は、100%純粋な酸素又は酸素濃度が40〜100%の酸素と不活性ガスとの混合物のいずれであってもよい。
【0026】
図9を参照すれば、ガラス熔解炉10の天井22内の少なくとも1個の酸素バーナー34は、燃料を提供するための少なくとも1本の燃料導管40と、酸素流を提供するための少なくとも1本の酸素導管42と、を有する。酸素バーナー34は、ガラス熔解炉10の寸法及び所望の引き上げ速度に依存して、約1〜15mmBtu/hrの範囲の出力を有する。酸素バーナー34は、空気中に存在するよりも高い比率の酸素を使用するように設計されているので、酸素バーナー34からの炎36の衝突領域上方の温度は、空気バーナーを利用する慣用のガラス熔解炉における温度よりも大幅に高い。それにもかかわらず、当業者には周知のように、酸素バーナー34により与えられた炎36の温度は、燃料の品質及び酸素/燃料比率に依存する。好ましい実施形態において、酸素バーナー34の酸素濃度は、典型的には、燃料を燃焼させるために必要な酸素の理論量の約95〜125%のレベルにある。しかし、ガラス熔解炉10内での作業状態の範囲を得て、1以上の望ましい特性、例えば、レドックスレベル、ガラス色、同業者間でシード(小泡)として知られている気泡のレベルその他のガラス特性を効果的に得るために、酸素に対する燃料の比率を変えることができる。
【0027】
酸素バーナー34は、ガラス熔解炉10の天井22に配置されたバーナーブロック38から下方に延伸する。各一次バーナーブロック38は、開口を含み、開口の内径(id)は、形状に依存するが、最も大きな導管40又は42の外径と少なくとも同じ大きさである。バーナーブロック38の開口の内径(id)は、約2〜8インチ(5.08〜20.32cm)の範囲にある。酸素バーナー34の端部である一次燃焼ゾーンは、バーナーブロック38の端部から約0〜18インチ(0〜45.72cm)の範囲の距離(LBb)だけ離れた位置にある。二次燃焼ゾーン、及び場合によっては三次燃焼ゾーンは、バーナーブロック38の外側にある。いくつかの実施例において、酸素バーナー34の端部とバーナーブロックの端部との間のバーナーブロック38の開口は、バーナー炎の焦点として作用し、且つバーナー炎が外方向に拡散することを防止するように作用し、さらに、バーナーの導管を保護する。バーナーブロック38は、当該分野で周知の耐火性材料から作られ、矩形などの適宜の外形に作られてよい。
【0028】
バーナーブロック38の底面は、天井22の内面と同一平面をなすようになされていてもよいし、又は天井22の内面から下方に最大2インチ(5.08cm)突出して、バーナーブロック38を摩耗から保護するようにしてもよい。さらに、図9に示すように、酸素バーナー34の燃料導管40及び酸素導管42は、バーナーブロック38内で下方に延伸して、バーナーブロック38の出口からほぼ同じ垂直高さ又は全体として異なる垂直高さのいずれかに終端がくるようにする。
【0029】
バッチ原料からのバーナーブロック38の高さ及びバーナーの所望の運転条件に応じて、大きくなるほど、バーナーブロック38に対する内外での燃料ステージング(fuel staging)及び酸素ステージング(oxygen staging)の比率は変化する。追加の酸素インジェクター60が位置づけられて、炎がバッチ原料に衝突するまで、完全燃焼を遅らせる。これらの追加のインジェクター60の配置は、天井取り付け型バーナーの数及び位置に依存するが、天井及び壁のいずれのポイントにも配置することができる。
【0030】
本発明によれば、少なくとも1個の酸素バーナー34から生じる下方に方向付けられた衝突炎36は正確に制御されて、周囲の耐火物から離れていて、バーナーブロック38の出口から原料ガラス形成成分30の表面及び熔解ガラスの表面に至る距離よりも長いか又は等しい炎長さを与えるので、ガラス熔解炉10の天井22及び側壁18のオーバーヒートのリスクを減少させる。衝突する炎36は、化学処理において慣用及び標準的な制御装置などによって制御されてもよい。例えば、バルブ、熱電対、適当なサーボ回路に接続されたサーミスター、ヒーターコントローラなどが、容易に入手可能であり、酸素バーナー34からの燃料及び酸素の量及び速度を制御するために慣用的に用いられている。
【0031】
衝突する炎36は、燃料流及び酸素流の相対速度並びに燃料流及び酸素流の最大速度及び最小速度と少なくとも1個の酸素バーナー34からの内外ステージングの両者を制御することによって、正確に制御される。
【0032】
ガラス形成原料30の表面に衝突する燃料及び酸素フローの最大速度及び最小速度は、ガラス形成原料の表面への最適な対流熱転移を維持しながら、バッチ材料の乱れ及び側壁18及び天井22に対するガラスバッチ材料の飛沫同伴すなわち移動を防止するように制御されなければならない。側壁18及び天井22に対するガラスバッチ材料の移動が進むと、耐火性材料に影響を与え、ガラス熔解炉10の寿命を短縮するかもしれない。
【0033】
燃料及び酸素フローの正確な最大速度を決定するために、バーナーは、垂直に取りつけられ、溝が横切って形成されているガラス砂の床内に下方に向かって燃焼する。バーナーを、砂からの高さとブロック内へのバーナーの引っ込み(LBb)とが異なるように調節しながら、砂移動が認識される場所での燃焼速度を書き留めた。これらの実験データを市販の計算流体力学コード上でのシミュレーションと比較して、上述の実験において、その上方で砂が乱れるであろう表面を横切る最大速度を得た。
【0034】
【表1】

【0035】
これらの実験例から、最大表面速度は、CFDモデルと比較することによって、約21m/secであることが確認された。バッチ材料の変動、バッチグレージング及びバッチ粒子凝集ゆえに、実際の最大速度は、上述の計算値である最大速度とは異なり、当業者には約25m/secまで最大速度を変えても良いことが理解されるであろう。しかし、バッチ材料の乱れ及び飛沫同伴を最小化するために、最大速度は30m/sec以下に維持されなければならない。
【0036】
酸素バーナー34の燃料及び酸素の最大速度及び最小速度もまた、制御されて、周囲の耐火性材料に損傷を与えることなく、衝突する炎36からの最大エネルギを利用する。衝突する炎36からの最大エネルギは、ガラス熔解炉10燃焼スペースに解放される熱量を最小化することによって及びガラス形成原料30への熱転移を最大化することによって達成される。耐火性材料炉壁及び上部構造に損傷を与えることなく、ガラス形成原料30への受容可能な熱転移速度を発生させるための酸素バーナー34に対する作用的な最大速度及び最小速度範囲は、酸素バーナーの設計及び配置、バーナーブロック開口幾何形状、酸素バーナー34からの燃料及び酸素の速度、バーナーステージング、隣接する酸素バーナーの相互作用、燃料バーナー及び炉排気の関数である。
【0037】
第2の領域であるよどみ領域56は、炎36が熱境界層を貫通してガラス形成原料30の表面に衝突する領域である。この領域56内で、炎36は、熱境界層に浸透して、ガラス形成原料の表面に衝突し、表面にて急激な圧力傾斜を形成して、偏向した炎の水平方向フローを加速して、炎を衝突した表面に沿って外方向に放射状に拡散させる。よどみ領域56の端部は、衝突する炎36により発生する圧力傾斜がゼロに降下するガラス形成原料の表面上の位置として規定される。よどみ領域56内で、炎36の勢いを慎重に制御することによって、ガラス形成原料30の表面に自然に存在する熱境界層に浸透して、これを排除し、強い熱抵抗特性が弱められる。したがって、衝突する炎36によって生じた熱は、部分的に熔解したガラス形成原料30に、もっと容易に浸透する。さらに、よどみ領域56内で、炎36の明るさは顕著に増加して、比較的冷たいガラス形成原料30への放射熱転移を強める。
【0038】
よどみ領域56の放射方向の限界において、壁ジェット領域58が始まる。この領域において、炎36は、衝突した表面に対して基本的に平行に流れ、熱境界層は、衝突した表面に沿ってよどみ領域56から外方向に成長する。よって、熱境界層は、ガラス形成原料表面への熱流に対する表面抵抗を回復し始める。
【0039】
フリージェット領域54内で制御された炎の熱発生は、酸素バーナー34の設計、バーナーブロック38の内径(id)及び酸素流と燃料流との相対速度、最大速度及び最小速度の結果である。燃料バーナー34の設計、バーナーブロック38の幾何学的設計及び酸素流及び燃料流の速度を選択的に制御することによって、酸素流及び気体流の間のは断応力が減少し、部分燃焼を制御し、熱輻射放出を減少させる。バーナー設計及び酸素バーナー34の作用を最適化することによって、フリージェット領域54で発生する炎の熱量及びよどみ領域56でのガラス原料表面における熱転移抵抗は、最小化され、よって、よどみ領域で発生する熱を最大化する。
【0040】
フリージェット領域54で生じた熱は、以下のステップの結果である。第一に、フリージェット領域54での制御された部分燃焼は、ガラス形成原料30の表面における燃焼を制御可能とし、燃焼プロセスをガラス形成原料の表面に近接して生じさせる。ガラス形成原料30の表面に近接して燃焼プロセスを行わせることで、ガラス形成原料の表面で生じる温度勾配が大きくなり、こうして、対流熱転移を改良する。第二に、フリージェット領域54における制御された部分燃焼は、燃焼ガス及び燃焼生成物の化学的解離に適切な温度を生じさせる。これらの解離された種は、ガラス形成原料30の比較的冷たい表面に一旦衝突すると、部分的に再結合して、発熱的に、ガラス形成原料の表面に多量の熱を発生させる。発熱反応からの熱は、さらに、対流熱転移プロセスを増大させる。ガラス形成原料30の表面のよどみ領域56での熱抵抗の最小化は、以下の因子の結果である。
【0041】
第一に、熱境界層は、制御された炎36の勢い及びガラス形成原料30の表面における慎重に制御された燃焼特性によって生じる乱流によって排除される。第二に、局在化された表面熱発生は、低い熱伝導性のガラス形成原料30を非常に良好な伝導性の熔解ガラス材料へと変換させる。この変換によって、表面で発生した熱がより効果的にガラス形成原料の深さ方向に浸透できるようになる。
【0042】
蓄熱器81を有する図2のクロスファイヤ蓄熱炉において、本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1個の天井取り付け型バーナー34を利用する。このバーナー34は、炉に流入するバッチ原料よりも上方に位置づけられて、熔解速度を改良し、品質を改良し、製造能力を回復又は高め、電気ブースト容量を減少させる。天井取り付け型バーナー34は、バッチ材料30の表面に、衝突領域26で衝突する。本発明のすべてのクロスファイヤ蓄熱炉適用において、互いに反対側にある少なくとも一対のポート71は、完全に又は部分的に遮断すなわち隔離される。これは、典型的には、第1のポートであるが、必要とされるブースト量によってはおそらく第2のポートである。天井取り付け型バーナーが未熔解バッチ材料よりも上方に位置づけられていることを条件として、追加の天井取り付け型バーナーをガラスタンクよりも下方に配置してもよい。天井取り付け型バーナーからの計算されるエネルギは、従来の燃焼ポートから除去されたエネルギ、除去された慣用の電気ブースト又は酸素ブーストの代わりとなる。
【0043】
蓄熱器81を有する図3のエンドファイヤ蓄熱炉において、本発明の好ましい実施形態は、炉に流入するバッチ原料よりも上方に位置づけられている天井取り付け型バーナー34を利用して、熔解速度を改良し、品質を改良して、製造能力を回復又は高め、電気ブースト容量を減少させる。本発明のすべてのエンドファイヤ蓄熱炉適用において、燃焼空気及び慣用の燃料の要求は、以前の設計におけるよりも少なく、バッチ原料よりも上方に位置づけられていて衝突領域26でバッチ材料に衝突する少なくとも1個の天井取り付け型バーナー34からのエネルギで置換される。天井取り付け型バーナーが未熔解バッチ材料よりも上方に位置づけられていることを条件として、追加の天井取り付け型バーナーをガラスタンクよりも下方に配置してもよい。天井取り付け型バーナーから計算されるエネルギは、燃焼ポートから減少されたエネルギ、除去された慣用の電気ブースト又は酸素ブーストの代わりとなる。
【0044】
復熱器82を有する図4のクロスファイヤ復熱炉において、本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1個の天井取り付け型バーナー34を利用する。このバーナーは、炉に流入するバッチ原料よりも上方に位置づけられていて、熔解速度を改良し、品質を改良し、製造能力を回復又は高め、電気ブースト容量を減少する。本発明のすべてのクロスファイヤ復熱炉適用において、互いに反対側にある少なくとも一対のバーナー73は、ブロック74を用いて、完全に又は部分的に遮断すなわち隔離される。これは、典型的には、バーナーの第1のゾーンであるが、必要とされるブーストの量によってはおそらく第2のゾーンである。天井取り付け型バーナーが未熔解バッチ材料よりも上方に位置づけられていることを条件として、追加の天井取り付け型バーナーをガラスタンクよりも下方に配置してもよい。天井取り付け型バーナーからのエネルギは、従来の燃焼ポートから除去されたエネルギ、除去された慣用の電気ブースト又は酸素ブーストの代わりとなる。
【0045】
復熱器82を有する図5のエンドファイヤ型復熱炉において、本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1個の天井取り付け型バーナー34を利用する。バーナー34は、炉に流入するバッチ原料よりも上方に位置づけられていて、熔解速度を改良し、品質を改良し、製造能力を回復又は高め、電気ブースト容量を減少する。本発明のすべてのエンドファイヤ型復熱炉への適用において、燃焼空気及び慣用の燃料要求量は、従来の設計よりも減少し、バッチ原料よりも上方に位置づけられた少なくとも1個の天井取り付け型バーナー34からのエネルギで置換される。天井取り付け型バーナーが未熔解バッチ材料よりも上方に位置づけられていることを条件として、追加の天井取り付け型バーナーをガラスタンクよりも下方に配置してもよい。天井取り付け型バーナーから計算されるエネルギは、燃焼ポートから減少したエネルギ、除去された慣用の電気ブースト又は酸素ブーストの代わりとなる。
【0046】
図6の直接燃焼炉において、本発明の好ましい実施形態は、炉に流入するバッチ原料よりも上方に位置づけられた少なくとも1個の天井取り付け型バーナーを利用して、熔解速度を改良し、品質を改良し、製造能力を回復し又は高め、電気ブースト容量を減少する。本発明のすべての直接燃焼炉への適用において、燃焼空気及び慣用の燃料要求量は、従来の設計よりも減少し、バッチ原料よりも上方に位置づけられた少なくとも1個の天井取り付け型バーナーからのエネルギで置換される。多数の空気バーナー73に適用する場合において、少なくとも1個のバーナー74が隔離されるであろう。天井取り付け型バーナーが未熔解バッチ材料よりも上方に位置づけられていることを条件として、追加の天井取り付け型バーナーをガラスタンクよりも下方に配置してもよい。天井取り付け型バーナーから計算されるエネルギは、燃焼ポートからの減少したエネルギ、除去された慣用の電気ブースト又は酸素ブーストの代わりとなる。
【0047】
電気ホットトップ炉において、本発明の好ましい実施形態は、炉に流入するバッチ原料よりも上方に位置づけられている少なくとも1個の天井取り付け型バーナーを利用して、熔解速度を改良し、品質を改良し、生産能を回復又は高め、電気ブースト容量を減少する。天井取り付け型バーナーが未熔解バッチ材料よりも上方に位置づけられていることを条件として、追加の天井取り付け型バーナーをガラスタンクよりも下方に配置してもよい。天井取り付け型バーナーから計算されるエネルギは、燃焼ポートから減少されたエネルギ、除去された慣用の電気ブースト又は酸素ブーストの代わりとなる。
【0048】
すべての場合において、窒素酸化物及び硫黄酸化物は、異なる天井取り付け型バーナー及び残りの空気バーナーの化学量論比を慎重に選択することによって減少させることができる。クロスファイヤ炉適用の例としての図2を参照すれば、AL位置又はAR位置に取り付けられているバーナー34は、過剰の化学量論量の酸素で作動して、炉内に燃料が少ない(酸化)ゾーンを作り出す。化学量論量よりも少ない酸素又は空気で、BC位置にあるバーナー34又は第2のポート71にあるバーナーのいずれかを作動させることによって、炉内に燃料が豊富な(還元)ゾーンを作り出す。残りのポートは、過剰の化学量論量の酸素で作動して、炉内に燃料の少ない(酸化)ゾーンを作り出す。この豊富なゾーン−乏しいゾーン−豊富なゾーン(リッチ−レーン−リッチ)の構成は、一酸化炭素スクリーンを形成することによって、炉の燃焼ゾーンを効果的に段階に分けて、熱転移を最適化し、窒素酸化物の生成を最小化する。
【0049】
少なくとも1個の天井取り付け型酸素バーナー34は、新規な空気−燃料ガラス熔解炉10に位置づけられても、あるいは現存の空気−燃料ガラス熔解炉を改良してもよく、空気−燃料だけの燃焼炉に比べてガラス品質を改良する。本発明は、引き上げ速度を大幅に増加し、ガラス熔解炉10壁温を低下させ、本明細書に記載されているような少なくとも1個の天井取り付け型酸素バーナーで改良されていない同様の空気−燃料炉に比べてガラス品質を改良する。さらに、当業者には、すべての空気−燃料システムとは反対に、少なくとも1個の酸素バーナーを使用することでNOx排出量を減少させることが容易に理解されるであろう。
【0050】
本発明の一実施例は、酸素ブースティング、100%酸素転換、酸素ブーストへの再転換、最終的に現存の熱い3ポートクロスファイヤ蓄熱炉の慣用の空気燃料燃焼を経る。炉は、最初に、すべての空気燃料を燃焼する。ポート#1での燃焼は、少なくとも1個の天井取り付け型酸素バーナーで置換される。炉は、残りの2個のポートで、慣用的な空気燃料蓄熱型で燃焼する。ポート#2での燃焼は、少なくとも1個の天井取り付け型空気バーナーで置換され、第3のポートで慣用的な空気燃料蓄熱型で燃焼する。ポート#3での燃料は、すでに組み込まれている天井取り付け型酸素バーナーにおけるエネルギで置換される。炉容量は、1日あたり55トンから1日あたり85トンまで増加し、入力エネルギは23.5mmBTU/hrから18mmBTU/hrまで減少した。炉は、付加的なステージにおいて、空気燃料燃焼型に再転換される。この実施例は、現存する空気燃料炉を選択的に高める能力を示す。プロセスには、水冷バーナーは必要ではない。
【0051】
本明細書に記載されている特許及び文献は、参照として組み込まれる。
本発明を特定の実施形態について詳細に説明してきたが、当業者には、本発明の範囲内での他の実施形態があることが認められるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明によるガラス熔解炉の長手方向断面図である。
【図2】図2は、図1の線2−2に沿うガラス熔解炉のクロスファイヤ蓄熱器の断面図である。
【図3】図3は、図1の線2−2に沿うガラス熔解炉のエンドファイヤ蓄熱器の断面図である。
【図4】図4は、図1の線2−2に沿うガラス熔解炉のクロスファイヤ復熱器の断面図である。
【図5】図5は、図1の線2−2に沿うガラス熔解炉のエンドファイヤ復熱器の断面図である。
【図6】図6は、図1の線2−2に沿うガラス熔解炉のユニット熔解装置の断面図である。
【図7】図7は、図1の線3−3に沿うガラス熔解炉の横断面図であり、炉の上流側端壁に隣接する2個の酸素バーナーを示す。
【図8】図8は、図1の線3−3に沿うガラス熔解炉の別の横断面図であり、炉の上流側端壁に隣接する2個の酸素バーナーを示す。
【図9】図9は、酸素バーナーの横断面図及び酸素バーナーからのバーナー炎の概略説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の蓄熱器又は少なくとも1の復熱器と、少なくとも1の現存するエンドファイヤ型空気燃料バーナー又は少なくとも一対の現存するクロスファイヤ型空気燃料バーナーと、を備え、側壁と背面壁と前面壁と天井とを有し、上流熔解ゾーンと下流清澄ゾーンとを含み、少なくとも1のバーナーが該熔解ゾーン内のガラス形成バッチ材料よりも上方で天井に配設されているガラス熔解炉内で、ガラス形成バッチ材料を熔解する方法であって、
少なくとも1の現存するエンドファイヤ型空気燃料バーナー又は少なくとも一対の現存するクロスファイヤ型空気燃料バーナーへの燃料及び燃焼空気流を減少させ、
上記少なくとも1個の天井に取り付けられたバーナーに気体酸化剤を流し、
上記少なくとも1個の天井に取り付けられたバーナーに気体燃料を流し、
上記少なくとも1個の天井に取り付けられたバーナーから炎を発生させて、現存するエンドファイヤ型又はクロスファイヤ型空気燃料バーナーからの減少したエネルギを置換して、追加のエネルギを与え、
上記ガラス形成バッチ材料に実質的な乱れを生じさせずに、炎から上記ガラス形成バッチ材料に至る熱転移を最大にするために十分な速度を有するように炎を制御する、
各ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、前記炎を制御するステップは、上記ガラス形成バッチ材料の表面近くでの上記炎の速度を約30m/sec未満に制御するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2の方法であって、さらに、前記ガラス熔解炉の少なくとも1の蓄熱器又は少なくとも1の復熱器を少なくとも部分的に遮断するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項の方法であって、さらに、気体酸化剤フローを提供するステップは、
(i)酸素バーナーがバーナーブロック内に含まれていて、酸素バーナーブロックからの注入により酸化剤をバーナーブロック内部に提供すること、
(ii)酸素バーナーがバーナーブロック内に含まれていて、酸素バーナーブロックからの注入とは別個の注入により酸化剤をバーナーブロック外部に追加的に提供すること、又は
(iii)ガラス熔解炉の天井に少なくとも1個の追加の酸化剤インジェクターを設けて、ガラス形成バッチ材料の近く又はガラス形成バッチ材料の表面にて燃焼を完了させるための追加の酸化剤を提供すること、
の少なくとも1を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法であって、前記ガラス形成バッチ材料は少なくとも1の充填装置を通して炉に入り、少なくとも1の酸素バーナーは、少なくとも1の充填装置に近接してガラス形成バッチ材料の上方でガラス熔解炉の天井に配設されていることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法であって、バーナーは、ガラス形成バッチ材料の表面に対して実質的に垂直な方向乃至垂直から30度外れた方向で且つ炉の下流端壁に向かう方向に設けられていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の方法であって、
(i)少なくとも1の酸素バーナーは、下流ゾーンにてガラス熔解炉の天井に取り付けられていること、
(ii)すべての炉バーナーが酸素バーナーであること、
(iii)すべての炉バーナーが天井取り付け型バーナーであること、又は
(iv)少なくとも1の天井取り付け型酸素バーナーを富燃料モードで操作し、少なくとも1の天井取り付け型酸素バーナーを燃料希薄モードで操作すること、
の少なくとも1を含む方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法であって、
(i)酸化剤は、100%純粋酸素、又は酸素濃度が40〜100%の不活性ガスと酸素との混合物であること、
(ii)燃料は、メタン、天然ガス、プロパン、液化プロパンガス、ブタン、都市ガス、発生炉ガス及びこれらの混合物から選択されるガスであること、
(iii)燃料は、重油、中油、軽油、ケロシン及びディーゼルオイルから選択される液体であること、
の少なくとも1を含む方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の方法であって、前記ガラス熔解炉は炉底部に1以上のバブラーを具備し、ガラス形成バッチ材料の温度を昇温させ、溶解したガラス形成バッチ材料の循環を増加させることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−99620(P2007−99620A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311006(P2006−311006)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【分割の表示】特願2000−246273(P2000−246273)の分割
【原出願日】平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願人】(591051184)ザ・ビーオーシー・グループ・インコーポレーテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】THE BOC GROUP INCORPORATED
【Fターム(参考)】