説明

天井掛け機構

【課題】工具を用いることなく、装置の取付、取外を行う手段を提供する。
【解決手段】天井面に固定された固定具2と、装置を固定具2に取付ける取付具12とを備えた天井掛け機構1において、固定具2は、基板3に固定された軸部5と、軸部5の先端に設けられた頭部6とを有する取付ボス4と、基板3に取付ボス4と並設され、基板3の鉛直方向に先端が伸縮する伸縮突起7とを備え、取付具12は、取付板13と、取付板13と平行に配置されたベース板14とをコの字状に接続した本体12aと、取付板13の中央部に設けられ軸部5を係合させる係合部17と、軸部5への係合部17の係合を案内するガイド部18と、ベース板14に設けられ取付具12の回動時に伸縮突起7の先端を案内するガイド溝23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANの基地局等の装置を天井に取付ける際に用いる天井掛け機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の天井掛け機構は、無線アンテナ装置等のベースに設けた回転溝穴に、L字状の固定片の端部に設けた係止部を挿入すると共に、固定片の回転中心に設けた固定ネジ穴に固定ネジを螺合させておき、天井に設けた取付穴に装置を取付ける場合は、固定ネジをドライバで回して固定片を取付穴の外側に回動させ、回転溝穴の一端に係止させながら締付けて固定し、装置を取外す場合は、固定ネジをドライバで緩めて固定片を天井板の反対方向に回動させ、回転溝穴の他端に係止させて取外している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−30418号公報(段落0008−0011、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、ドライバで固定ネジを締めたり、緩めたりして装置の取付、取外を行っているため、装置の設置時、交換時または保守時における装置の取付および/もしくは取外作業に時間を要し、その作業効率を低下させるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、工具を用いることなく、装置の取付、取外を行う手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、天井面に固定された固定具と、装置を前記固定具に取付ける取付具とを備えた天井掛け機構において、前記固定具は、基板に固定された軸部と、前記軸部の先端に設けられた頭部とを有する取付ボスと、前記基板に前記取付ボスと並設され、前記基板の鉛直方向に先端が伸縮する伸縮突起とを備え、前記取付具は、取付板と、前記取付板と平行に配置されたベース板とをコの字状に接続した本体と、前記取付板の中央部に設けられ、前記軸部を係合させる係合部と、前記軸部への前記係合部の係合を案内するガイド部と、前記ベース板に設けられ、前記取付具の回動時に前記伸縮突起の先端を案内するガイド溝とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、装置に設けた取付具の、天井面に固定された固定具への取付、取外を、工具を用いずに容易に行うことができ、装置の設置時、交換時または保守時における作業効率を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例の天井掛け機構を示す説明図
【図2】実施例の固定具の側面を示す説明図
【図3】実施例の伸縮突起の断面を示す説明図
【図4】実施例の取付具の断面を示す説明図
【図5】実施例の取付具の上面を示す説明図
【図6】実施例の装置の取付作業を示す説明図
【図7】実施例の装置の取外作業を示す説明図
【図8】実施例の装置の取外作業を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による天井掛け機構の実施例について説明する。
【実施例】
【0010】
図1において、1は天井掛け機構であり、天井面に固定される固定具2と、図示しない無線LANの基地局等の装置を、固定具2に取付ける取付具12(後述)とから構成される。
【0011】
3は固定具2の基板であり、図示しない小ネジ等で天井面に固定される。
【0012】
4は取付ボスであり、図2に示すように、基板3に立設された小径の軸部5と、軸部5の固定端の反対側の先端に軸部5より大きい直径で形成された大径の頭部6とで形成されている。
【0013】
7は伸縮突起であり、基板3に取付ボス4と所定の間隔を隔てて並設され、図3に示すように、円筒状の胴部8の内周面に外周面を遊嵌させた円筒状の出没部9を圧縮コイルスプリング等のバネ部材10による付勢力で基板3の反対方向に付勢して形成されており、胴部8の端部の外周面を基板3に設けられた固定穴3aに嵌合させて固定され(図2参照)、出没部9の先端が基板3の鉛直方向に伸縮するよう構成されている。
【0014】
12aは取付具12の本体であり、図4に示すように、上方に配置された取付板13と、取付板13と平行にその下方に配置されたベース板14とを接続部15で接続して、コの字状断面形状となるように形成され、図示しない小ネジ等で装置の天井側の面の中央部に1つ固定されている。
【0015】
なお、取付具12は、装置の天井側の面を構成するフレーム板をベース板14として一体に形成するようにしてもよい。
【0016】
また、図4は、図5に示すA−A断面線に沿った断面図である。
【0017】
17は係合部であり、図5に示すように、取付板13の中央部に設けられた半長円形の切欠であって、接続部15の反対側の端部には、取付板13の接続部15の反対側の端面に向かって拡大する2つの斜面で形成されたガイド部18が設けられており、ガイド部18に導かれて押込まれた取付ボス4の軸部5が係合する。
【0018】
19は嵌合穴であり、取付板13のベース板14側(内側という。)に、係合部17の半円弧の中心と同軸に形成された取付ボス4の頭部6と同等の直径を有する穴であって、係合部17に軸部5を係合させた取付ボス4の頭部6が嵌合する(図1参照)。
【0019】
また、嵌合穴19の底面には、取付ボス4の頭部6に設けられた貫通穴である位置決め穴6aに嵌合する位置決め突起19aが立設されている。
【0020】
21は回転中心穴であり、ベース板14の、取付板13の嵌合穴19に対向する位置に形成された取付ボス4の頭部6と同等の直径を有する穴であって、取付具12の固定具2からの取外時に、取付ボス4の頭部6を嵌合させて(図7参照)、取付具12を回動させるときの回転中心として機能する。
【0021】
23はベース板14に形成されたガイド溝であり、図5に示すように、取付板13の嵌合穴19の中心を中心とする2つの円弧のそれぞれの一端を、伸縮突起7の出没部9の半径と同等の半径を有する半円弧で接続し、他端にベース板14の側面への開放端を形成した円弧溝であって、取付具12の固定具2からの取外時に、回転中心穴21を中心に取付具12を回動させるときに、伸縮突起7の出没部9の先端の移動を案内する機能を有している(図8参照)。
【0022】
また、ガイド溝23の一端に形成された半円弧が、頭部6の位置決め穴6aと嵌合穴19の位置決め突起19aとの位置合せを行うときの係止部23aとして機能する。
【0023】
天井面に固定された固定具2に、装置に設けられた取付具12を用いて、装置を固定具2に取付ける場合は、図6に示すように、固定具2の伸縮突起7の出没部9の先端に取付具12のベース板14を押付けて出没部9を基板3の方向へ押込み、取付ボス4の頭部6を、取付具12の取付板13とベース板14との間に位置させ、取付板13に形成された係合部17をそのガイド部18に沿って取付ボス4の軸部5の方向に押込み、係合部17と軸部5とを係合させる。
【0024】
このとき、取付具12のベース板14に形成されたガイド溝23が、伸縮突起7の方向へ移動し、その出没部9の先端がバネ部材10の付勢力によって自動的にガイド溝23に嵌合し、ガイド溝23の係止部23aに出没部9を押付けながら装置を天井と反対側に引戻すと、取付ボス4の頭部6の位置決め穴6aと嵌合穴19の位置決め突起19aとが嵌合すると共に、頭部6と嵌合穴19とが嵌合し、図1に示す状態で装置が天井に設置される。
【0025】
天井に設置された装置を取外す場合は、図7に示すように、装置を天井方向に押上げ、装置に設けられた取付具12の嵌合穴19の位置決め突起19aと固定具2の取付ボス4の頭部6の位置決め穴6aとの嵌合、および嵌合穴19と頭部6との嵌合を解除して、取付ボス4の頭部6をベース板14に形成された回転中心穴21に嵌合させる。
【0026】
そして、図8に示すように、装置を回転中心穴21に嵌合させた取付ボス4の頭部6を中心に、取付具12のベース板14に形成されたガイド溝23に沿って、その係止部23aの反対方向(図8における反時計方向)に取付具12を回動させ、ベース板14の側面の開放端を通過させて伸縮突起7の出没部9の先端によるガイド溝23の底面への押圧を解除し、取付ボス4の頭部6と回転中心穴21との嵌合を解除した後に、その状態で取付具12を接続部15の方向へ押出して取付ボス4の軸部5と係合部17との係合を解除し、天井面に固定された固定具2から装置を取外す。
【0027】
なお、本実施例では、取付ボス4の頭部6を回転中心穴21に嵌合させて伸縮突起7の先端をガイド溝23に沿って回動させて装置を固定具2から取外すとして説明したが、回転中心穴21を設けずに、頭部6をベース板14に押付けた状態で伸縮突起7の先端をガイド溝に沿って回動させ、装置を固定具2から取外すようにしてもよい。
【0028】
また、本実施例では、伸縮突起7は、胴部8に遊嵌する出没部9をバネ部材10で付勢して構成するとして説明したが、出没部9を設けずに、伸縮突起7自体をバネ部材10で付勢して基板3に対して摺動可能に構成し、その先端を伸縮させるようにしてもよい。
【0029】
以上説明したように、本実施例では、天井面に固定された固定具に、軸部の先端に大径の頭部を形成した取付ボスと、先端が伸縮する伸縮突起とを並設し、この固定具に装置を取付ける取付具の取付板に、取付ボスの軸部を係合させる係合部と、軸部への係合部の係合を案内するガイド部とを設けると共に、そのベース板に伸縮突起の先端を案内するガイド溝を形成したことによって、伸縮突起の先端をベース板に押付けた状態でガイド部に沿って係合部を取付ボスの軸部に押込んで伸縮突起の先端をガイド溝に嵌合させれば、装置を天井に容易に設置することができると共に、取付ボスの頭部をベース板に押付けて伸縮突起の先端をガイド溝に沿って回動させれば、装置を天井から容易に取外すことができ、装置に設けた取付具の、天井面に固定された固定具への取付、取外を、工具を用いずに容易に行うことができ、装置の設置時、交換時または保守時における装置の取付、取外の作業効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 天井掛け機構
2 固定具
3 基板
3a 固定穴
4 取付ボス
5 軸部
6 頭部
6a 位置決め穴
7 伸縮突起
8 胴部
9 出没部
10 バネ部材
12 取付具
12a 本体
13 取付板
14 ベース板
15 接続部
17 係合部
18 ガイド部
19 嵌合穴
19a 位置決め突起
21 回転中心穴
23 ガイド溝
23a 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面に固定された固定具と、装置を前記固定具に取付ける取付具とを備えた天井掛け機構において、
前記固定具は、
基板に固定された軸部と、前記軸部の先端に設けられた頭部とを有する取付ボスと、
前記基板に前記取付ボスと並設され、前記基板の鉛直方向に先端が伸縮する伸縮突起とを備え、
前記取付具は、
取付板と、前記取付板と平行に配置されたベース板とをコの字状に接続した本体と、
前記取付板の中央部に設けられ、前記軸部を係合させる係合部と、
前記軸部への前記係合部の係合を案内するガイド部と、
前記ベース板に設けられ、前記取付具の回動時に前記伸縮突起の先端を案内するガイド溝とを備えることを特徴とする天井掛け機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記取付板の内側に、前記取付ボスの頭部を嵌合させる嵌合穴を設けると共に、前記嵌合穴の底面に位置決め突起を設け、
前記取付ボスの頭部に、前記位置決め突起が嵌合する位置決め穴を設けたことを特徴とする天井掛け機構。
【請求項3】
請求項2において、
前記ベース板のガイド溝を、前記取付板の嵌合穴の中心を中心とする円弧溝で形成したことを特徴とする天井掛け機構。
【請求項4】
請求項3において、
前記円弧溝の一端に、位置決め穴と前記位置決め突起との位置合せを行う係止部を設けたことを特徴とする天井掛け機構。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、
前記ベース板の、前記取付板の嵌合穴と対向する位置に、前記頭部を嵌合させる回転中心穴を設けたことを特徴とする天井掛け機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−96775(P2011−96775A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247713(P2009−247713)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】