説明

天然および合成ゴムの再利用における改良および関連した改良

(i)チオカルバミン酸塩の亜鉛塩およびジアルキルジチオリン酸塩の亜鉛塩からなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体、チウラム、グアニジン、4,4’−ジチオモルホリンおよびスルペンアミドからなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(iii)少なくとも1種のエラストマー脱架橋活性剤
からなる、固体混合剤形の脱架橋組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加硫された、天然ゴムまたは合成ゴムあるいはこれらのブレンドから製造されたエラストマー物品、例えば、タイヤ、成形品、手袋およびベルトの脱硫に関する。より詳細には、本発明は、加硫エラストマー材料の脱硫を促進する組成物、および、脱硫エラストマーを再利用することができるように、前記組成物で加硫エラストマー材料を処理する脱硫法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みゴム物品からのゴムの再利用はこの業界ではよく知られており、年に約200000トンの使用済みゴムが再利用されている。従来の脱硫法(例えば、リクレイマター(Reclaimator)法およびランカスター−バンバリー(Lancaster−Banbury)法)は、エラストマー材料を蒸解するために高温および触媒を使用して、高いエネルギー消費量および脱硫されたエラストマー材料のかなりの分解をもたらす。これらの方法からの脱硫されたエラストマーは、代表的には不十分な物理特性を示し、したがってこれらのエラストマーの再利用は限定される。例えば、同じ配合物を含む生の天然ゴムは、20Mpaを超える引張強度をもたらすことが可能であるが、代表的な脱硫ゴムは5〜6Mpa以下の強度を有している。
【0003】
従来のゴム脱硫法は、本質的には、加硫ゴム片を採取すること、これを触媒と混合させること、およびこの混合物を蒸解器中で170℃を超える温度に4〜6時間以上曝すことからなる。次いで、生じた材料をシート状になるまで素練りにかける。生じたゴム材料は、代表的には、新ゴム配合物と共に加工助剤(「再生ゴム」)または希釈剤として、わずかな割合で再使用される(再利用される)。しかし、このような混合物中に品質の劣るゴムが存在すると、最終加硫物の物理的特性および動力学的特性に悪影響を及ぼす。
【0004】
操作員が加工助剤としての再生ゴムの割合を増加させることに躊躇しているために、使用済みタイヤおよび他のエラストマー物品は、世界的に環境危険物になりつつある。増え続ける環境問題に対処するために、満足な再利用法または現在の方法を改良することが明らかに求められている。現在世界的に存在する使用済みタイヤの山は、火災の危険がある。この環境問題に対処するために、上記の方法によって使用済みゴムの脱硫を試みることのほかに、多数の他のアプローチが行われている。これらの中には、ペレット化したタイヤ片の路面材としての使用、このような小片を燃焼してエネルギーを生み出すことなどが含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法またはアプローチはいずれも、この厄介な世界的な問題を解決するいかなる現実的な前進にも成功していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使用済みの加硫エラストマーの加硫網状組織構造の架橋を、骨格ポリマーを過度に分解することなく切断するまたは「脱架橋する」、費用効果の高い脱硫法を提供することによって、加硫エラストマー材料を効果的に再利用する方法に関する。この方法の効率は、代表的には、脱硫された(脱架橋された)エラストマーが(物理的特性において)、元の天然または合成エラストマーの元の物理的特性および動力学的特性にどれだけ近いかによって測定される。脱硫エラストマーが元のエラストマーにより近いほど、脱硫エラストマーのその後の製造工程における適用範囲がより広くなる。
【0007】
一態様では、本発明は、
(i)チオカルバミン酸塩の亜鉛塩およびジアルキルジチオリン酸塩の亜鉛塩からなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体、チウラム、グアニジン、4,4’−ジチオモルホリンおよびスルペンアミドからなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(iii)少なくとも1種のエラストマー脱架橋活性剤
からなる、固体混合剤形の脱架橋組成物を提供する。
【0008】
他の態様では、本発明は、加硫エラストマー材料を切断または脱架橋するのに十分な時間および条件下で、
(i)チオカルバミン酸塩の亜鉛塩およびジアルキルジチオリン酸塩の亜鉛塩からなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体、チウラム、グアニジン、4,4’−ジチオモルホリンおよびスルペンアミドからなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(iii)少なくとも1種のエラストマー脱架橋活性剤
からなる固体混合剤形の脱架橋組成物で加硫エラストマー材料を処理し、これによって加硫可能な脱硫エラストマー材料を提供することからなる、加硫エラストマー材料を脱硫する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の組成物は、1種または複数の活性剤と共にエラストマー促進機能を果たすことが可能な化合物からなる。このエラストマー促進剤は、1種または複数の活性剤と共に使用される場合、プロトン交換を開始することが可能であり、これによって加硫エラストマー材料の加硫網状組織を切断または「脱架橋して」、再利用することができる、加硫可能な脱硫エラストマー材料を提供する能力を有する。
【0010】
「エラストマー」または「エラストマー材料」という用語は、合成熱硬化性高分子ポリマーのみならず天然ゴムのことも意味する。エラストマー材料は、その元の長さの少なくとも2倍に引き伸ばされ、放された場合ほぼその元の長さに極めて急速に収縮する能力を有するものと解される。天然ゴム以外では、いくつかの他のエラストマー材料としては、スチレン−ブタジエン・コポリマー、ポリクロロプレン(ネオプレン)、ニトリルゴム、ブチルゴム、多硫化ゴム(「Thiolcol」)、cis−1,4−ポリイソプレン、エチレン−プロピレン・ターポリマー(EPDMゴム)、シリコーンゴムおよびポリウレタンゴムがある。これらのエラストマー材料は、硫黄で架橋すなわち加硫されて、加硫エラストマー材料を成形することが可能である。
【0011】
本発明は、特に、硫黄硬化(加硫)エラストマー材料、より好ましくは硫黄硬化した天然ゴム、ブチルゴムおよび他の硫黄硬化した高価な合成エラストマーを脱硫処理にかけた後に再利用することを対象とする。最も好ましくは、本発明は、脱硫天然ゴムを効果的に再利用し得るようにする目的で、硫黄硬化天然ゴムの脱硫を対象とする。
【0012】
本発明の脱架橋組成物に関しては、好ましい促進剤は、2−メルカプトベンゾチアゾール(以下「MBT」)、またはその誘導体と共にチオカルバミン酸塩の亜鉛塩、好ましくはジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(以下「ZDMC」)を含む化合物の混合物である。
【0013】
一緒に使用する場合は、ZDMC対MBT(またはその誘導体)の量は、1:1〜1:12のモル比の範囲にあることが好ましい。
好ましい促進剤として上に言及したZDMCおよびMBTは、他の促進剤で置き換えてよく、これらのいくつかはより不活性なことがある。下記のものは、決して網羅的ではないが、ZDMCおよびMBTに置き換え得る既知の促進剤の例である。
【0014】
ZDMCは、他のジチオカルバミン酸塩の亜鉛塩、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルチオカルバミン酸亜鉛(ZBDC)またはジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZBEC)などによって、またはジブチルジチオリン酸亜鉛などのジアルキルジチオリン酸亜鉛によってモルベースで置き換えてよい。
【0015】
同様に、MBTは、他のチアゾール促進剤、例えば、ベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、もしくは亜鉛2−メルカプトベンゾチアゾール(ZMBT)によって、またはスルフェンアミド促進剤、例えば、N−シクルヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)もしくはN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)によって、またはチウラム促進剤、例えば、テトラエチルチウラムジスルフィド(IFID)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)またはテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBETD)などによって、または窒素系促進剤、例えば、グアニジン、N,N’−ジフェニルグアニジン、d−o−トリルグアニジン、および4,4’−ジチオモルホリンなどによってモルベースで置き換えてよい。
【0016】
MBT(もしくはMBTの誘導体)または他の促進剤とZDMC(もしくはZDMCの誘導体)の組合せは、脱架橋活性剤、例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛、およびメタクリル酸の助けによりプロトン交換反応を開始する。好ましくは、この促進剤は、酸化亜鉛単独によって活性化され、より好ましくは、ステリックアシッドと酸化亜鉛の混合物が、組み合わせた活性剤として使用される。
【0017】
本発明の脱架橋組成物は、固体混合剤形で製造されて使用される。「固体混合剤」という用語は、組成物の成分が、この促進剤および活性剤成分が相互に極めて近接して保持されるように、成形された固体の形態に組合せで存在することを意味する。好ましくは、この固体混合剤は、ペレット、タブレット、ブリケットまたは顆粒である。最も好ましくは、固体混合剤は、ペレットまたはタブレットであり、さらに好ましくはペレットである。
【0018】
この組成物のペレットおよびタブレットは、例えば、医薬または農薬業界で使用されている従来のペレット化法または打錠法によって形成することができる。当業者には、固体混合剤の実際の形状は重要なパラメータではなく、任意の得られる形状は本発明の範囲に入ることは明らかである。
【0019】
本発明のペレットは、例えば、湿式または乾式の造粒法、直接圧縮法によって、あるいは、例えばリングロールの原理により作動する従来のペレット・ミルを用いる単純な押出し法によって形成することができる。
【0020】
この最後のシステムでは、このペレット・ミルは、均一な間隔で放射状に開けられた開口を設けた、シリンダ状の環またはダイを備える。押出しは、組成成分の凝集を生じさせ、かつ開口を通してこの凝集体を押し進めるのに十分な力を加える、ダイの内面に作用するローラーによって実施される。ダイから凝集体が押し出されたとき、スライス手段(例えば、固定ナイフ)により、生成したペレットの長さを制御する。
【0021】
組成物の成分は、ペレット化/打錠法を促進するように、添加剤または賦形剤、例えば水またはデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴムなどの結合剤をさらに含んでよい。
例えば、代表的なペレット化法は、ミキサ中で成分を十分に混合すること、この混合物を凝集体を形成するのに十分な量の水で濡らすこと、押し出すこと、ペレットに切断すること、ペレットを乾燥させること、次いで、ペレットを貯蔵または輸送のために袋詰めすることを含み得る。
【0022】
さらなる添加剤が本発明の組成物中に含まれる場合は、好ましくは、これらは総脱架橋組成物の10重量%未満の合計量で添加される。より好ましくは、この組成物中の任意の他の添加剤の合計量は5重量%未満である。
【0023】
しかし、最も好ましくは、本発明の、固体混合剤形の組成物は、
(i)チオカルバミン酸塩の亜鉛塩およびジアルキルジチオリン酸塩の亜鉛塩からなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体、チウラム、グアニジン、4,4’−ジチオモルホリンおよびスルペンアミドからなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(iii)少なくとも1種のエラストマー脱架橋活性剤
を排他的に含む。
【0024】
即ち、最も好ましい実施形態では、本発明の脱架橋組成物の固体混合剤は、他の添加剤は何も含んでいない。これの利点の1つは、本発明の脱架橋組成物は、既知の有害な脱架橋剤、ヘキサメチレンテトラミンを含まないことである。
【0025】
本発明の組成物の主要な利点は、この組成物が固体混合剤形であることに直接関連する。脱架橋促進剤/活性剤を使用する過去の脱硫法では、一般的に分散剤、特にジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールが含まれていた。この分散剤は、バルク中で分離する傾向にある活性成分の密度の違い(特に、例えば高密度である酸化亜鉛)の結果として含まれている。これは、促進剤の非効率的な活性化につながると考えられる。分離を阻止するために、グリコール(および他のジオール)が、成分(複数)を結合するために使用されてきた。例えば、米国特許第5,770,632号明細書には、ペーストの形態のMBT、ZDMC、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄およびジエチレングリコールからなる脱架橋組成物が開示されている。このグリコールは粉末状成分の分散を促進するために加えられると述べられており、これはさらに混合物を活性化し得ることも示唆している。
【0026】
本発明者らは、この従来技術の系に伴う問題は、グリコールの導入が製造コストを増大することのみならず、加硫エラストマー/脱架橋混合物が望ましくない有意の量の水分を吸収する原因となることであることを確認した。湿気の吸収による水の存在、および脱架橋組成物の発汗は、その後の加工を非効率的にし、ロール機のローラーを通過する通路を滑りやすくする。
【0027】
本発明はこの分離の問題を克服する。なぜなら、この促進剤/活性剤成分は固体の形態に混合され、これは、活性剤/促進剤が相互に近接したままであり、効果的な脱架橋を可能にすることを意味するからである。また、グリコール分散剤が存在しないことは、この脱架橋組成物は、有意の量の水分を吸収する傾向がないことを意味する。
【0028】
また、脱架橋組成物によりマスターバッチ法でゴムを脱硫する方法が、米国特許第5,770,632号明細書に記載されている。マスターバッチ化は、代表的には少量の試薬を均一に分散するためにこの業界で使用される。このマスターバッチ法では、先ず、脱架橋組成物を新ゴムと混合され、脱架橋組成物対ゴムの比率は90:10〜40:60の間で変化させられる。次いで、このマスターバッチを加硫ゴム片と混合し、脱架橋組成物対加硫ゴムの最終的比率が6:100重量部であるように混合される。この最終的混合物は、ミル温度が70℃を超さないようにして素練りされる。この温度は、ロール機のローラー中を通して冷却水を循環することによって調整する。
【0029】
上述のように、本発明者らは、脱架橋組成物を固体混合剤(例えばペレット)に配合することによって、従来技術の方法の分散の問題を克服した。組成物を固体混合剤形にする別の利点は、脱架橋組成物の分散が容易であることに関係し、マスターバッチ化の必要性が事実上排除される。
【0030】
脱架橋組成物を固体混合剤形で提示することには他の利点もある。この活性成分を添加する分散剤により希釈する必要がないことから、脱硫法に必要な脱架橋組成物の量を大幅に低減することができる。例えば、米国特許第5,770,632号明細書に記載の方法では、6:100重量部の脱架橋組成物対ゴムの比率が必要となる。対照的に、ペレットの形態の脱架橋組成物では、脱硫法を100部の加硫ゴム片当たりl〜2部の脱架橋組成物で効果的に行うことが可能になる。
【0031】
さらに、この固体混合剤は、ランカスター−バンバリー(Lancaster−Banbury)脱硫法中に加えられる高温、高圧、高せん断力でゴムを脱架橋するのに有効である。
【0032】
したがって、他の態様では、本発明は、加硫エラストマー材料を切断または脱架橋するのに十分な時間および条件下で、
(i)チオカルバミン酸塩の亜鉛塩およびジアルキルジチオリン酸塩の亜鉛塩からなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体、チウラム、グアニジン、4,4’−ジチオモルホリンおよびスルペンアミドからなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(iii)少なくとも1種のエラストマー脱架橋活性剤
からなる固体混合剤形の脱架橋組成物で加硫エラストマー材料を処理し、これによって加硫可能な脱硫エラストマー材料を提供することからなる、加硫エラストマー材料を脱硫する方法を提供する。
【0033】
好ましくは、この工程の温度は90〜105℃の間に保たれる。従来技術(例えば、米国特許第5,770,632号明細書)に対するこれの利点は、ロール機を70℃未満の温度に維持することに伴い付加される経済的および技術的な負担が不要になることから明らかである。
【0034】
ペレット状の脱架橋剤を用いるこの方法は、任意の硫黄硬化の天然または合成エラストマーで使用することができる。以前のマスターバッチ化する方法(例えば、米国特許第5,770,632号明細書)では、脱架橋化学薬品を取り込むのに使用されるゴムは、加硫エラストマーの各タイプに対して変えなければならない。固体混合剤、特にペレットを使用すると、この非互換性の問題は生じない。
【0035】
好ましい実施形態では、この方法は、加硫された使用済みエラストマー片または硫黄硬化からの粉末の脱硫に関与する。これらの小片は、本発明の脱架橋ペレットと100部の小片当たり1.5〜2部の比率で、高せん断ロール機または密閉式混合器機中で混合される。ロール機または密閉式混合器機中の温度は、好ましくは90〜95℃を超えない。混合時間は、好ましくは5〜6分を超えないように制御され、かつ温度が90℃を超えて上昇する場合は、この密閉式混合器機のふたを開け、次いで閉じ、これによって温度を低下させる。
【0036】
本発明の方法からの脱硫エラストマー材料は、その後の組立、成形および/または加硫工程によって再使用されて(再利用されて)、物品をもたらす。脱硫エラストマー材料から調製し得る代表的な物品としては、タイヤ、カー・マット、カーペットの下層、電気絶縁体の部品または層、工業用タイヤ、チュービングおよび再生タイヤがある。
【0037】
本発明は、より効果的な脱硫法、したがって再利用法を提供するが、100%の濃度での脱硫生成物の再利用は企図しておらず、生成物に応じて適当な新ゴム配合物が、およそ10〜30%の濃度の脱硫材料と混合される。しかし、100%の脱硫材料は、低級の応用分野に使用し得る。
【0038】
当業者には、本明細書に記載の本発明には、具体的に説明されたこと以外の変形形態および修正形態を受け入れる余地があることが分かるであろう。本発明は、その精神および範囲に入るすべてのこのような変形形態および修正形態を包含するものと解される。本発明はまた、本明細書にそれぞれ個別にまたは集合的に言及または詳述されたすべての工程、特徴、組成物および化合物、ならびに任意の2つ以上の前記工程または特徴の任意のおよびすべての組合せを包含する。
【0039】
次に、本発明の特定の実施形態を、以下の実施例を参照して説明するが、この実施例は、例示の目的を意図したものに過ぎず、上に説明した範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0040】
40メッシュのタイヤ粉を脱架橋ペレットと、粉末100部対ペレット2部の比率で混合した。配合物の粘度を抑制するために、少量の可塑剤を最後に添加する。この脱硫された材料をロール機に投入する。次いで、この材料を新しく製造したタイヤ・トレッド配合物と、表1に示した様々な比率で混合する。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

本明細書および特許請求の範囲全体にわたり、別段の指示がなければ、「からなる(comprise)」、ならびに変化形、例えば、「からなる(comprises)」および「からなる(comprising)」は、述べられた整数または工程あるいは整数(複数)または工程(複数)の群を含むものであり、他のどの整数または工程あるいは整数(複数)または工程(複数)の群も除外するものではないことを意味すると解される。
【0044】
本明細書中の、任意の先行する文献(またはそれから派生した情報)、あるいは任意の既知の事柄への参照は、先行する文献(またはそれから派生した情報)、あるいは既知の事柄が、本明細書が関係する試みの分野における、共通の一般的知識の一部を形成していることの承認または容認あるいは何らかの形の示唆とはみなせず、みなすべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)チオカルバミン酸塩の亜鉛塩およびジアルキルジチオリン酸塩の亜鉛塩からなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体、チウラム、グアニジン、4,4’−ジチオモルホリンおよびスルペンアミドからなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(iii)少なくとも1種のエラストマー脱架橋活性剤
からなる、固体混合剤形の脱架橋組成物。
【請求項2】
前記エラストマー促進剤が、以下のもの、
(i)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛およびジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛メルカプトベンゾチアゾールおよびベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド;テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、およびテトラベンジルチウラムジスルフィドグアニジン、N,N’−ジフェニルグアニジン、ジ−オルトトリルグアニジンおよび4,4’−ジチオモルホリン
から選択される、請求項1に記載の脱架橋組成物。
【請求項3】
前記エラストマー促進剤が、以下のもの、
(i)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛およびジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛メルカプトベンゾチアゾールおよびベンゾチアジルジスルフィド
から選択される、請求項2に記載の脱架橋組成物。
【請求項4】
前記エラストマー促進剤が、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)および2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)である、請求項1に記載の脱架橋組成物。
【請求項5】
前記ZDMC対MBTの量が、約1:1〜1:12のモル比の範囲にある、請求項4に記載の脱架橋組成物。
【請求項6】
前記活性剤成分が、ステアリン酸と酸化亜鉛との混合物である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の脱架橋組成物。
【請求項7】
前記固体混合剤がペレットである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の脱架橋組成物。
【請求項8】
前記ペレット化工程を促進するように、添加剤または賦形剤をさらに含み、該添加剤または賦形剤の合計量が、前記総脱架橋組成物の5重量%未満である、請求項7に記載の脱架橋組成物。
【請求項9】
硫黄硬化(加硫)ゴムの脱架橋に使用するための、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の脱架橋組成物。
【請求項10】
(i)チオカルバミン酸塩の亜鉛塩およびジアルキルジチオリン酸塩の亜鉛塩からなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体、チウラム、グアニジン、4,4’−ジチオモルホリンおよびスルペンアミドからなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(iii)少なくとも1種のエラストマー脱架橋活性剤
を排他的に含む、固体混合剤形の脱架橋組成物。
【請求項11】
前記エラストマー促進剤が、以下のもの、
(i)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛およびジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛メルカプトベンゾチアゾールおよびベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド;テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、およびテトラベンジルチウラムジスルフィドグアニジン、N,N’−ジフェニルグアニジン、ジ−オルトトリルグアニジンおよび4,4’−ジチオモルホリン
から選択される、請求項10に記載の脱架橋組成物。
【請求項12】
前記エラストマー促進剤が、以下のもの、
(i)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛およびジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛メルカプトベンゾチアゾールおよびベンゾチアジルジスルフィド
から選択される、請求項11に記載の脱架橋組成物。
【請求項13】
前記エラストマー促進剤が、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)および2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)である、請求項12に記載の脱架橋組成物。
【請求項14】
前記ZDMC対MBTの量が、約1:1〜1:12のモル比の範囲にある、請求項13に記載の脱架橋組成物。
【請求項15】
前記活性剤成分が、ステアリン酸と酸化亜鉛の混合物である、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の脱架橋組成物。
【請求項16】
硫黄硬化(加硫)ゴムの脱架橋に使用するための、請求項11乃至15のいずれか1項に記載の脱架橋成分。
【請求項17】
加硫エラストマー材料を切断または脱架橋するのに十分な時間および条件下で、
(i)チオカルバミン酸塩の亜鉛塩およびジアルキルジチオリン酸塩の亜鉛塩からなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体、チウラム、グアニジン、4,4’−ジチオモルホリンおよびスルペンアミドからなる群から選択される、1種または複数のエラストマー脱架橋促進剤、ならびに
(iii)少なくとも1種のエラストマー脱架橋活性剤
からなる固体混合剤形の脱架橋組成物で該加硫エラストマー材料を処理し、これによって加硫可能な脱硫エラストマー材料を提供することからなる、加硫エラストマー材料を脱硫する方法。
【請求項18】
前記エラストマー促進剤が、以下のもの、
(i)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛およびジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛メルカプトベンゾチアゾールおよびベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドおよびN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド;テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、およびテトラベンジルチウラムジスルフィドグアニジン、N,N’−ジフェニルグアニジン、ジ−オルトトリルグアニジンおよび4,4’−ジチオモルホリン
から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エラストマー促進剤が、以下のもの、
(i)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛およびジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ならびに
(ii)2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛メルカプトベンゾチアゾールおよびベンゾチアジルジスルフィド
から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エラストマー促進剤が、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)および2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ZDMC対MBTの量が、約1:1〜1:12のモル比の範囲にある、請求項21に記載の方法。
【請求項22】
前記活性剤成分が、ステアリン酸と酸化亜鉛の混合物である、請求項17乃至21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記固体混合剤がペレットである、請求項17乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、前記ペレット化工程を促進するように添加剤または賦形剤をさらに含み、該添加剤または賦形剤の合計量が、前記総脱架橋組成物の5重量%未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記脱架橋が、約100〜105℃の温度範囲において制御された方法で開始される、請求項17乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
約l〜2部の前記脱架橋組成物が、100部の前記加硫エラストマー材料と混合される、請求項17乃至25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記加硫エラストマー材料が、天然ゴム、合成ゴムまたはこれらのブレンド由来の使用済み材料である、請求項17乃至26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記加硫エラストマー材料が、小片の形態をしている、請求項17乃至27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項17乃至28のいずれか1項に記載の方法によって生成された脱硫エラストマー材料から物品を製造する方法であって、該脱硫エラストマー材料が、組立、成形および/または加硫によって加工されて、エラストマー物品を形成する方法。
【請求項30】
前記物品が、タイヤ、カー・マット、カーペットの下層、電気絶縁体の部品または層、工業用タイヤ、チュービングおよび再生タイヤから選択される、請求項29に記載の方法。

【公表番号】特表2010−516820(P2010−516820A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519389(P2009−519389)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【国際出願番号】PCT/MY2006/000004
【国際公開番号】WO2008/007937
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(507018296)エラストマー テクノロジーズ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Elastomer Technologies Ltd
【住所又は居所原語表記】Nautilus House,La Cour Des Casemens St.Helier,Jersey JE1 3NH,CHANNEL ISLANDS
【Fターム(参考)】