説明

天然ゴム系接着剤組成物及び塗工体の黄変を抑制する方法

【課題】接着力、ゴム弾性、フィルム硬度、粘着力、保持力といった接着剤組成物本来の特性を減殺させることなく、塗工体の黄変を有効に抑制することができる接着剤組成物を提供する。
【解決手段】(A成分):(A−1成分)天然ゴム又は改質天然ゴム及び(A−2成分)他の重合体が30:70〜100:0の質量比(固形分換算)で配合されたラテックス状接着成分と、(B成分):アミンと、を含有し、前記A成分100質量部(固形分換算)に対して、前記B成分が0.1〜10質量部の範囲内で配合されている天然ゴム系接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ゴム又は改質天然ゴムを構成成分とするラテックス状の接着剤組成物に関するものである。より具体的には、接着力、ゴム弾性、フィルム硬度、粘着力、保持力といった接着剤組成物本来の特性を減殺させることなく、塗工体の黄変を抑制することが可能な接着剤組成物及び接着剤組成物からなる塗工層が形成された塗工体の黄変を抑制する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天然ゴムを構成成分とするラテックス状の接着剤(以下、「天然ゴム系接着剤」と記す。)は、アルバム用・布用のコンタクト接着、カーペットバッキング材、或いは粘着テープ等をはじめとする繊維類ないし紙葉類用の接着剤として広範に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−81105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが天然ゴム系接着剤について検討を行ったところ、基材の表面に接着剤を塗工して塗工体を形成すると、その塗工体が黄変する場合があるという知見を得た。即ち、従来の天然ゴム系接着剤には、その塗工体が黄変するおそれがあるという課題が残されており、そのような課題が未解決であるという点において十分に満足できるものではなかった。
【0005】
以上説明したように、現在のところ、塗工体の黄変を有効に抑制することができる天然ゴム系接着剤は未だ開示されていない。そして、接着力、ゴム弾性、フィルム硬度、粘着力、保持力といった接着剤組成物本来の特性を減殺させることなく、塗工体の黄変を有効に抑制することができる天然ゴム系接着剤を創出することが切望されている。
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、接着力、ゴム弾性、フィルム硬度、粘着力、保持力といった接着剤組成物本来の特性を減殺させることなく、塗工体の黄変を有効に抑制することができる天然ゴム系接着剤組成物及び接着剤組成物からなる塗工層が形成された塗工体の黄変を抑制する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、天然ゴム系接着剤に対し、従来、塗工体の黄変を惹起する物質として知られていたアミンを配合せしめることによって、意外にも上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の接着剤組成物及び塗工体の黄変を抑制する方法が提供される。
【0008】
[1] (A成分):(A−1成分)天然ゴム又は改質天然ゴム及び(A−2成分)他の重合体が30:70〜100:0の質量比(固形分換算)で配合されたラテックス状接着成分と、(B成分):アミンと、を含有し、前記A成分100質量部(固形分換算)に対して、前記B成分が0.1〜10質量部の範囲内で配合されている天然ゴム系接着剤組成物。
[2] 更に、(C成分):シリカを含有し、前記A成分100質量部に対して、前記C成分が10〜600質量部の範囲内で配合されている前記[1]に記載の接着剤組成物。
【0009】
[3] 基材の表面に、(A成分):(A−1成分)天然ゴム又は改質天然ゴム及び(A−2成分)他の重合体が30:70〜100:0の質量比(固形分換算)で配合されたラテックス状接着成分、を含有する天然ゴム系接着剤組成物からなる塗工層が形成された塗工体において、前記塗工層に対し、(B成分):アミンを塗工ないし散布することにより、前記塗工体の黄変を抑制する方法。
【0010】
[4] 前記A成分100質量部に対し、前記B成分を0.1〜10質量部の範囲内で塗工ないし散布する前記[3]に記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の接着剤組成物は、構成成分としてアミンを含有するので、接着力、ゴム弾性、フィルム硬度、粘着力、保持力といった接着剤組成物本来の特性を減殺させることなく、塗工体の黄変を有効に抑制することができる。また、本発明の方法は、接着剤組成物からなる塗工層が形成された塗工体に対しアミンを塗工ないし散布するので、その塗工体の黄変を有効に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の接着剤組成物及び塗工体の黄変を抑制する方法を実施するための最良の形態について具体的に説明する。但し、本発明は、その発明特定事項を備える全ての実施形態を包含するものであり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書中において「(メタ)アクリル」と記すときは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれもが含まれることを意味するものとする。
【0013】
[1]接着剤組成物:
本発明の接着剤組成物は、(A成分):(A−1成分)天然ゴム又は改質天然ゴム及び(A−2成分)他の重合体が30:70〜100:0の質量比(固形分換算)で配合されたラテックス状接着成分と、(B成分):アミンと、を含有する天然ゴム系接着剤組成物である。以下、成分毎に説明する。
【0014】
[1−A]ラテックス状接着成分(A成分):
本明細書にいう「ラテックス状接着成分」とは、天然ゴム又は改質天然ゴム(A−1成分)を必須成分とし、目的に応じて、他の重合体(A−2成分)が配合されたラテックスを意味する。このラテックス状接着成分(以下、「A成分」と記す。)によって、本発明の接着剤組成物の接着特性が発現される。
【0015】
A成分としては、例えば、天然ゴムラテックス中の天然ゴム粒子を他の成分により改質することにより得られる改質天然ゴムラテックスを用いることができる。また、その改質天然ゴムラテックスに対して、更に他の重合体を混合することにより得られるラテックスを用いてもよい。
【0016】
[1−A−1]天然ゴム又は改質天然ゴム(A−1成分):
「天然ゴム」とは天然に産するゴムを意味し、通常は、水等の媒体中に天然ゴム粒子が分散された状態の「天然ゴムラテックス」として得られる。本発明の接着剤組成物を調製する際にも、この「天然ゴムラテックス」を原料として用いることができる。本発明においては、通常「天然ゴムラテックス」と称されるものであれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、高アンモニアタイプ、低アンモニアタイプ又は脱タンパク質タイプ等の天然ゴムラテックスを好適に用いることができる。
【0017】
天然ゴムラテックスは、機械的安定性を示す指標であるMST(Mechanical stability time)が1000〜3000秒のものを用いることが好ましい。MSTが1000〜3000秒の範囲内の天然ゴムラテックスを用いることにより、その改質が容易になることに加え、接着剤組成物のフィルム物性(フィルム硬度等)を減殺することなく、接着剤組成物の機械的安定性を向上させることができる。一方、MSTが1000秒未満の天然ゴムラテックスを用いると、得られる接着剤組成物の機械的安定性が不十分となるおそれがある。また、MSTが3000秒を超える天然ゴムラテックスは、多量の界面活性剤の添加により機械的安定性を向上させていることが多いため、その改質が困難となったり、得られた接着剤組成物のフィルム物性(フィルム硬度等)が不十分となる場合がある。
【0018】
本明細書にいう「改質天然ゴム」とは、他の成分により改質された天然ゴムを意味する。通常は、天然ゴムラテックスを原料とし、この天然ゴムラテックス中の天然ゴム粒子を他の成分により改質することによって、ラテックス状の改質天然ゴムを得る。
【0019】
天然ゴムを改質するための「他の成分(以下、「改質成分」と記す場合がある。)」は、ポリマーであることが好ましく、ビニル系モノマーから形成されるポリマーであることが更に好ましい。このような改質天然ゴムは、例えば、天然ゴムラテックス中で、モノマー(例えば、ビニル系モノマー等)を重合させることによって得ることができる。
【0020】
改質に用いられるモノマーとしてはビニル系モノマーが好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、シアン化ビニル系モノマー、エチレン性不飽和酸モノマー、エチレン性不飽和アルコール及びそのエステル、エチレン性不飽和シラン等を挙げることができる。改質においては、これらのモノマーを1種類または2種類以上組み合わせて使うことが出来る。
【0021】
「(メタ)アクリル酸エステル系モノマー」としては、従来の水性アクリルエマルジョンにも使用されている(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、即ち、アクリル酸ないしメタクリル酸と、脂肪族アルコール、脂環族アルコールないし芳香族アルコールとのエステルを挙げることができる。
【0022】
具体的な化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を挙げることができる。
【0023】
また、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等)、置換されていてもよいシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル類(例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等)、水酸基を含有するヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等)を用いることもできる。これらのモノマーの中では、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0024】
「芳香族ビニル系モノマー」としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−アミノスチレン、p−アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0025】
「シアン化ビニル系モノマー」としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン、α−メトキシアクリロニトリル等を挙げることができる。
【0026】
「エチレン性不飽和酸モノマー」としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸等のエチレン性不飽和スルホン酸等を挙げることができる。
【0027】
「エチレン性不飽和アルコール及びそのエステル」としては、例えば、アリルアルコール、メタアリルアルコール、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸アリル、カプロン酸メタアリル、ラウリン酸アリル、安息香酸アリル等を挙げることができる。
【0028】
「エチレン性不飽和シラン」としては、例えば、ビニルトリエチルシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジメチルアリルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等を挙げることができる。
【0029】
改質に用いるビニル系モノマーの量は、天然ゴム100質量部(固形分換算)に対して0〜60質量部とすることが好ましく、10〜50質量部とすることが更に好ましく、15〜40質量部とすることが特に好ましい。ビニル系モノマーの量を5〜60質量部とすることにより、接着力を維持しつつ、十分な改質効果を得ることができる。これに対し、ビニル系モノマーの量が5質量部未満であると、改質効果(凝集力、機械的安定性、耐候性等の向上)が不十分となる場合がある。一方、ビニル系モノマーの量が60質量部を超えると、天然ゴムが有している皮膜物性が変化し、接着力が低下する場合がある。
【0030】
「改質」の形態としては、例えば、(1)天然ゴム粒子の表面の少なくとも一部が改質成分の粒子ないし被覆層によって被覆された形態、(2)天然ゴム粒子の内部に改質成分を浸透させた形態、(3)天然ゴム粒子の表面の少なくとも一部が改質成分の粒子ないし被覆層によって被覆されるとともに天然ゴム粒子の内部にも存在する形態等を挙げることができる。これらの形態の中では、前記(3)の形態が特に好ましい。更には、改質成分が天然ゴムの分子にグラフトされた状態で、上記(1)〜(3)の形態をとっていることが好ましい。
【0031】
「改質天然ゴム」は、前記(3)の改質形態をとることが好ましいが、このような形状は、既述の粒径をもつ合成樹脂エマルジョン等と天然ゴムラテックスを単純に混合しただけで得られるものでなく、天然ゴムとモノマー成分とを混合した後、重合することによって得ることができる。具体的には、天然ゴム粒子を含む天然ゴムラテックスとビニル系モノマーとを混合した後、重合することによって得ることができる。重合方法は、天然ゴム粒子の表面がビニル系ポリマーにより被覆された改質天然ゴムが得られる限り、どのような方法であってもよい。
【0032】
[1−A−2]他の重合体(A−2成分):
本明細書にいう「他の重合体」とは、天然ゴムおよび改質天然ゴム以外の重合体を意味する。「他の重合体」は改質天然ゴムとは異なり任意の成分であるが、他の重合体を配合させると、接着剤組成物から形成される塗工層の凝集力が向上するという利点があり好ましい。
【0033】
「他の重合体」としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MBR)、スチレン−イソプレン共重合体(SIR)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、アクリルエステル共重合体(AE)、酢酸塩化ビニル共重合体(EVA)、オレフィン共重合体、ウレタン共重合体、エポキシ共重合体、ビニルアルコール共重合体(PVA)、イソプレン重合体(IR)、ブタジエン重合体(BR)、クロロプレン重合体(CR)、ニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ポリスチレン等を挙げることができる。これらの重合体の中では、形成される塗工層の凝集力を向上させる効果が高いという理由から、SBR、MBR、NBR、CR又はAEを用いることが好ましい。
【0034】
また、A成分は、ラテックス状の接着成分であるため、「他の重合体」は水等の媒体に溶解ないし分散可能な重合体であることが好ましい。例えば、水等の媒体に「他の重合体」が分散されたラテックスやエマルジョンを用い、これらのラテックスないしエマルジョンと改質天然ゴムラテックスとを混合する方法により、A成分を得ることができる。前記の方法に用いることができるラテックスないしエマルジョンとしては、SBRラテックス、IRラテックス、NBRラテックス、MBRラテックス、BRラテックス、CRラテックス、AEエマルジョン又はEVAエマルジョン等が好ましく、SBRラテックス又はAEエマルジョンが特に好ましい。
【0035】
A成分は、A−1成分とA−2成分とが30:70〜100:0の質量比(固形分換算)で配合されていることが必要であり、60:40〜100:0の質量比(固形分換算)で配合されていることが好ましい。A−1成分とA−2成分との質量比を30:70〜100:0の範囲内とすることにより、自着力が強く、ゴム弾性が高いという改質天然ゴムの好ましい特性を接着剤組成物に対して確実に付与することができる。一方、A−2成分の添加効果を得るためには、30:70〜95:5の質量比(固形分換算)で配合されていることが好ましい。
【0036】
[1−B]アミン(B成分):
アミンは、塗工体の黄変を抑制するために必須の成分である。本発明においてはアミンの種類は特に限定されるものではなく、従来公知のアミンを用いることができる。例えば、エチルアミン等の第1級アミンの他、ジエチルアミン等の第2級アミン、トリエチルアミン等の第3級アミン等を用いることができる。
【0037】
また、アミンは置換アルキル基が窒素原子に結合されたアミンであってもよい。置換アルキル基とは、アルキル基を構成する水素原子の一部ないし全部が他の置換基によって置換されたアルキル基を意味し、具体的な化合物としては、ジイソプロパノールアミン等を挙げることができる。
【0038】
更に、アミンはアルキル基以外の官能基が窒素原子に結合されたアミンであってもよい。即ち、エチルアミン等の脂肪族アミンのみならず、アニリン等の芳香族アミン、ピリジン、ピペリジン、トリエチレンジアミン(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(以下、「DABCO」と記す。)等の環式アミンもB成分として好適に用いることができる。更にまた、アミンは1つのアミノ基を有するモノアミンのみならず、ジアミンやトリアミンのような複数のアミノ基を有するポリアミンであってもよい。具体的な化合物としては、DABCO等を挙げることができる。
【0039】
なお、アミンは常温(25℃)において、液体であってもよいし、固体(粉末状、ワックス状等)であってもよい。常温で液体のアミンとしては、トリエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン等を挙げることができる。常温で固体のアミンとしては、DABCO、ジイソプロパノールアミン等を挙げることができる。これらのアミンは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0040】
B成分の添加量としては、A成分100質量部(固形分換算)に対して、0.1〜10質量部の範囲内とすることが必要であり、0.5〜2.5質量部の範囲内とすることが好ましい。B成分の添加量を0.1〜10質量部の範囲内とすることにより、接着力、ゴム弾性、フィルム硬度、粘着力、保持力といった接着剤組成物本来の特性を減殺することなく、塗工体の黄変を有効に抑制することができる。これに対し、B成分の添加量が0.1質量部未満であると、塗工物の黄変を有効に抑制することができない場合がある。一方、B成分の添加量が10質量部を超えると、接着力、ゴム弾性、フィルム硬度、粘着力、保持力といった接着剤組成物本来の特性が低下する場合がある。
【0041】
[1−C]シリカ(C成分):
本発明の接着剤組成物は、A成分及びB成分を必須成分とするが、更にシリカ(C成分)が配合されたものであってもよい。シリカを配合することによって、接着剤のオイル吸着性が向上し、油分(マシンオイル等)のある接着面に対しても良好な接着力を発揮する接着剤組成物が得られるという利点がある。
【0042】
C成分として用いることができるシリカとしては、例えば、湿式法(沈降法、ゲル法等)や乾式法等、従来公知の製造法により得られた粉末状ないし粒子状のシリカを用いることができる。
【0043】
C成分の添加量としては、A成分100質量部(固形分換算)に対して、10〜600質量部の範囲内とすることが好ましく、30〜200質量部の範囲内とすることが更に好ましい。C成分の添加量を10〜600質量部の範囲内とすることにより、接着剤としての特性を阻害することなく、マシンオイル等の吸着性(吸油性)を向上させることができるという利点がある。これに対し、C成分の添加量が10質量部未満であると、十分な吸油性を発揮できないおそれがある。一方、C成分の添加量が600質量部を超えると、接着力が低下する場合がある。
【0044】
なお、本発明の接着剤組成物を製造するに際しては、A成分(ラテックス状接着成分)、B成分(アミン)及びC成分(シリカ)を任意の順序で、所定の混合比となるように混合すればよい。例えば、A成分とB成分とを予め混合した後、その混合物にC成分を混合してもよいし、A成分とC成分とを予め混合した後、その混合物にB成分を混合してもよいし、B成分とC成分とを予め混合した後、その混合物にA成分を混合してもよい。
【0045】
[1−D]その他の添加剤:
本発明の接着剤組成物は、目的に応じてA成分、B成分、C成分以外の添加剤が配合されたものであってもよい。即ち、従来公知の接着剤組成物に配合されているような各種添加剤が配合されたものであってもよい。そのような添加剤としては、例えば、粘着付与剤、可塑剤、濡れ剤、フィラー、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、顔料、染料、抗菌剤、安定剤、老化防止剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0046】
粘着付与剤としては、例えば、α−ピネン系樹脂、β−ピネン系樹脂、ジペンテン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂等のテルペン系樹脂;ガム系、ウッド系、トール油系等の天然系ロジン、ロジンやロジン系誘導体を変性させた変性ロジン系樹脂等のロジン系樹脂;脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂等の石油樹脂;の他、クマロン−インデン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等を挙げることができる。中でも、ロジン又はロジン誘導体を、水添、不均化、重合等の変性手段により安定化させ、更にグリセリンやペンタエリスリトール等の各種ポリアルコールでエステル化させて得られる変性ロジン系樹脂(「重合ロジンエステル」と称される)が好ましい。
【0047】
可塑剤としては、例えば、ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の二塩基脂肪酸エステル;マレイン酸エステル;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸イソノニル等のトリメリット酸エステル;エポキシ化エステル;トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル;ホスホン酸エステル;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル;ジエチレングリコールモノオレート等の多価アルコール誘導体等を挙げることができる。中でも、二塩基脂肪酸エステル、マレイン酸エステル、トリメリット酸エステル、アジピン酸エステル及び多価アルコール誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の物質を用いることが好ましい。
【0048】
濡れ剤としては、アセチレングリコール系、シリコーン系、フッ素系、脂肪酸アミド系、ポリエーテル系等の濡れ剤を挙げることができる。これらの濡れ剤を配合することによって、接着剤組成物の表面張力を制御することが可能となり、操業性と接着力のバランスの優れた接着剤組成物を構成することができる。
【0049】
フィラーとしては、有機フィラーないし無機フィラーを用いることができる。本発明の接着剤組成物は感圧接着剤として用いることも好ましいが、フィラーを配合すると形成される塗工層(接着層)のブロッキングが防止されるため好ましい。有機フィラーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂ビーズ、ポリブチレンテレフタレート樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、ポリスチレン樹脂ビーズ、ポリイミド樹脂ビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリル系重合体樹脂ビーズ、ポリ酢酸ビニル樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、ポリビニルエーテル樹脂ビーズ、シリコーン−アクリル系共重合体樹脂ビーズ、粉末フェノール樹脂ビーズ、スターチ粉末等を挙げることができる無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、酸化チタン、酸化亜鉛、ガラス粉末、ゼオライト等を挙げることができる。
【0050】
酸化防止剤としては、フェノール系、有機ホスファイト系、チオエーテル系等の酸化防止剤を、滑剤としては、アミド系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤を、難燃剤としては、含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤を、顔料としては、有機顔料ないし無機顔料を、抗菌剤としては、金属イオン系等の無機抗菌剤ないし有機抗菌剤を挙げることができる。
【0051】
また、本発明の接着剤組成物の総固形分濃度としては、10〜85質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることが好ましい。総固形分濃度が15質量部未満であると、塗工性が悪化する等、作業性が低下するおそれがある。一方、総固形分濃度が85質量%を超えると、乾燥性が悪化する場合があり実用的ではない。
【0052】
[2]塗工体の黄変を抑制する方法:
以上、本発明の接着剤組成物について説明してきたが、接着剤組成物にアミンを配合するのではなく、アミンが配合されていない接着剤組成物からなる塗工層に対し、事後的にアミンを塗工ないし散布することによっても、塗工体の黄変を抑制する効果を享受することができる。
【0053】
具体的には、基材の表面に、(A成分):(A−1成分)天然ゴム系ラテックス及び(A−2成分)他の重合体が30:70〜100:0の質量比(固形分換算)で配合されたラテックス状接着成分、を含有する天然ゴム系接着剤組成物からなる塗工層が形成された塗工体において、その塗工層に対し、(B成分):アミンを塗工ないし散布することにより、塗工体の黄変を抑制することができる。本発明の方法においては、A成分100質量部に対し、B成分を0.1〜10質量部の範囲内で塗工ないし散布することが好ましい。
【0054】
塗工体を構成する基材としては、紙、合成紙、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル等の樹脂からなる樹脂フィルム等や布、木質パネルを挙げることができる。
【0055】
基材の表面に塗工層を形成する方法について特に制限はない。例えば、グラビアコーター、エアナイフコーター等の機械塗布や、はけ、スプレー、バーコーター等の手塗布等の従来公知の塗布手段により、接着剤組成物を基材表面に塗布し、基材の表面に塗工層を形成すればよい。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の接着剤組成物について実施例を用いて更に具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の一部の実施形態を示すものに過ぎない。従って、本発明がこれらの実施例に限定して解釈されるべきではない。
【0057】
(実施例1)
天然ゴムラテックス(マレーシア産、ハイアンモニアタイプ天然ゴムラテックス、固形分61%)中の固形分100質量部に対し、改質用のビニル系モノマーとしてメチルメタクリレート(MMA、固形分100%)を30質量部重合させて改質天然ゴムラテックスを得た。
【0058】
得られた改質天然ゴムラテックス中の固形分85質量部に対して、SBRラテックス(商品名:SBR0614、JSR社製、固形分50%)の固形分が15質量部となるように、SBRラテックスを添加し、ラテックス状接着成分(A成分)を調製した。
【0059】
更に、このA成分100質量部に対して、B成分としてトリエチレンジアミン(和光純薬社製、表2中、「アミンA」と記す。)を0.5質量部添加することにより、固形分濃度50%の組成物を得た。更に、この組成物中のA成分100質量部に対して、C成分としてシリカ(商品名:シリカNIPGEL BY−001、東ソー・シリカ社製、比表面積450m/g、吸油量200ml/100g)を60質量部添加することにより、実施例1の接着剤組成物を得た。
【0060】
(比較例1)
B成分を全く添加しなかったことを除き、実施例1と同様にして比較例1の接着剤組成物を得た。
【0061】
(実施例2〜4、比較例2〜3)
B成分のトリエチレンジアミンの量を変更したことを除き、実施例1と同様にして実施例2〜4及び比較例2〜3の接着剤組成物を得た。
【0062】
(実施例5)
B成分の種類をトリエチレンジアミン(和光純薬社製)からジイソプロパノールアミン(和光純薬社製)に変更したことを除き、実施例2と同様にして実施例5の接着剤組成物を得た。
【0063】
(実施例6)
B成分の種類をトリエチレンジアミンからトリエチルアミン(和光純薬社製、表2中、「アミンC」と記す。)に変更したことを除き、実施例2と同様にして実施例6の接着剤組成物を得た。
【0064】
(比較例4)
A成分としてA−1成分(天然ゴムラテックス)を全く含ませることなく、アクリル共重合体を単独で用いたことを除き、比較例1と同様にして比較例4の接着剤組成物を得た。アクリル共重合体としては、アクリレートエマルジョン(AE、商品名:AE311、JSR社製)を用いた。
【0065】
[評価方法]
実施例1〜6及び比較例1〜4の接着剤組成物については、以下の方法により、黄変度、接着力、フィルム硬度の評価を行った。
【0066】
(1)黄変度:
実施例1〜6及び比較例1〜3の接着剤組成物を、バーコーターを用いて塗工量が約8.5g/mになるように紙に塗工し、その塗工体(塗工紙)を125℃の乾燥機で25秒間乾燥した。乾燥直後に色差計(商品名:ハンディー色差計NR−3000、日本電色工業社製)を用いてL法によりb値の測定を15回行った。
【0067】
値の測定後、直ちに塗工体をビニール袋に入れて、暗所、30℃にて3日間、密閉保管した。この密閉保管の後、1分間ビニール袋を開封し、次いで、乾燥直後と同様にしてb値の測定を15回行った。開封後のb値から乾燥直後のb値を引いた値(=Δb値)を黄変度とし、表1に記載の基準により黄変度を評価した。その評価結果を表2に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
(2)接着力:
接着剤組成物本来の特性を評価する指標として接着力を測定した。実施例1〜6及び比較例1〜4の接着剤組成物を、バーコーターを用いて塗工量が約8.5g/mになるように紙に塗工し、その塗工体を100℃の乾燥機で60秒間乾燥した後、養生した。得られた塗工体を50mm×120mmの大きさに切断して試験片とし、被着紙と重ね合わせ、加圧して接着した。その後、引張り試験機に試験片をセットし、180°方向に剥離した際の荷重平均値を測定した。この試験を6回行い、6回の測定値の平均値を接着力とし、表1に記載の基準により接着力を評価した。その評価結果を表2に示す。
【0071】
(3)フィルム硬度:
接着剤組成物本来の特性を評価する指標としてフィルム硬度を測定した。表2に記載の配合量で、A成分とB成分のみを混合した組成物を調製し、35℃の乾燥機にて恒量になるまで乾燥したフィルムを用い、JIS K6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に記載のデュロメータ硬さ試験に準拠してフィルム硬度を測定し、表1に記載の基準によりフィルム硬度を評価した。その評価結果を表2に示す。
【0072】
[評価結果]
表2のデータから明らかなように、所定の量のアミンが配合された実施例1〜6の接着剤組成物は、黄変度の他、接着剤組成物本来の特性である接着力、フィルム硬度等、全ての評価項目において良好な結果を示した。中でも、トリエチレンジアミン又はジイソプロパノールアミンを2質量部配合した実施例2及び実施例5の接着剤組成物は、全ての評価項目において極めて良好な結果を示した。
【0073】
一方、アミンを全く配合しなかった比較例1の接着剤組成物及びアミンの配合量が0.1質量部未満であった比較例2の接着剤組成物は黄変度が高く、塗工体の黄変を有効に抑止することができなかった。また、アミンの配合量が過剰であった比較例3の接着剤組成物は、接着力及びフィルム硬度という接着剤組成物本来の特性が不十分なものであった。更に、A成分として天然ゴム、改質天然ゴムのいずれも含まない比較例4の接着剤組成物は、接着力及びフィルム硬度という接着剤組成物本来の特性が不十分なものであった。
【0074】
(実施例7)
天然ゴムラテックス(マレーシア産、ハイアンモニアタイプ天然ゴムラテックス、固形分61%)をラテックス状接着成分(A成分)として用い、この天然ゴムラテックス中の固形分100質量部に対して、B成分としてトリエチレンジアミン(和光純薬社製、表2中、「アミンA」と記す。)を0.2質量部、粘着付与剤として重合ロジンエステル(商品名:スーパーエステルE−865NT、荒川化学工業社製)を20質量部、可塑剤としてジブチルアジペート(大八化学社製)を20質量部及び増粘剤として高分子非イオン系会合型増粘剤(商品名:アデカネートUH420、旭電化工業社製)1.3質量部を加え、常温(25℃)条件下、撹拌機で30分間撹拌することにより、実施例7の接着剤組成物を得た。
【0075】
(比較例5)
B成分を全く添加しなかったことを除き、実施例7と同様にして比較例5の接着剤組成物を得た。
【0076】
(実施例8〜10、比較例6〜7)
B成分のトリエチレンジアミンの量を変更したことを除き、実施例7と同様にして実施例8〜10及び比較例6〜7の接着剤組成物を得た。
【0077】
[評価方法]
実施例7〜10及び比較例5〜7の接着剤組成物については、まず、以下の方法により粘着テープを製造した。
【0078】
幅250mmのテープ状に切断されたオレフィン系樹脂からなるフィルムを基材とし、その一方の面に、実施例7〜10及び比較例5〜7の接着剤組成物を約0.05mmの厚さに塗布し、100℃で3分間乾燥することによって、厚さ約0.03mmの粘着層を形成し、これを巻き取ることによって、ロール状の粘着テープを得た。この際、基材となるフィルムとしては、ポリプロピレン共重合体樹脂とポリエチレン共重合体樹脂を複合した樹脂からなる厚さ0.02μmのプラスチックフィルムを用いた。
【0079】
このようにして得られた粘着テープについて、以下に示す方法及び基準により、黄変度、粘着力、保持力を測定し、評価した。
【0080】
(1)黄変度:
前記の粘着テープを125℃の乾燥機で25秒間乾燥した。乾燥直後に色差計(商品名:ハンディー色差計NR−3000、日本電色工業社製)を用いてL法によりb値の測定を15回行った。
【0081】
値の測定後、直ちに粘着テープをビニール袋に入れて、暗所、30℃にて3日間、密閉保管した。この密閉保管の後、1分間ビニール袋を開封し、次いで、乾燥直後と同様にしてb値の測定を15回行った。開封後のb値から乾燥直後のb値を引いた値(=Δb値)を黄変度とした。黄変度については表3に記載の基準により評価した。その評価結果を表4に示す。
【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
(2)粘着力:
得られた粘着テープについて、JIS Z0237に記載の方法(180°引きはがし法)に準拠し、23℃、65%RHの条件下、粘着力を測定した。具体的には、得られた粘着テープをSUS304製の試験板に貼着し、2kgのローラーを1往復させて両者を圧着し、23℃、65%RHの雰囲気下で20分間放置した後に、剥離速度300mm/分の条件で粘着力を測定した。粘着力については表3に記載の基準により評価した。その評価結果を表4に示す。
【0085】
(3)保持力:
得られた粘着テープについて、JIS Z0237に記載の方法に準拠し、保持力を測定した。具体的には、得られた粘着テープをSUS304製の試験板に対して、その貼着面積が25mm×25mmとなるように貼着し、1kgの荷重を試験板の垂直方向に吊り下げ、1日後のズレ距離を測定し、そのズレ距離の値を保持力とした。保持力については表3に記載の基準により評価した。その評価結果を表4に示す。
【0086】
[評価結果]
表4のデータから明らかなように、所定の量のアミンが配合された実施例7〜10の接着剤組成物は、黄変度の他、接着剤組成物本来の特性である粘着力、保持力等、全ての評価項目において良好な結果を示した。
【0087】
一方、アミンを全く配合しなかった比較例5の接着剤組成物及びアミンの配合量が0.1質量部未満であった比較例6の接着剤組成物は黄変度が高く、塗工体の黄変を有効に抑止することができなかった。また、アミンの配合量が過剰であった比較例7の接着剤組成物は、粘着力、保持力という接着剤組成物本来の特性が不十分なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の接着剤組成物は、接着力、ゴム弾性、フィルム硬度、粘着力、保持力といった接着剤組成物本来の特性を減殺させることなく、塗工体の黄変を有効に抑制することができるので、塗工体の黄変が発生し易い、比表面積や吸油量の大きいシリカが配合された接着剤組成物、或いは紙を基材とする接着剤組成物の塗工体に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A成分):(A−1成分)天然ゴム又は改質天然ゴム及び(A−2成分)他の重合体が30:70〜100:0の質量比(固形分換算)で配合されたラテックス状接着成分と、(B成分):アミンと、を含有し、前記A成分100質量部(固形分換算)に対して、前記B成分が0.1〜10質量部の範囲内で配合されている天然ゴム系接着剤組成物。
【請求項2】
更に、(C成分):シリカを含有し、
前記A成分100質量部に対して、前記C成分が10〜600質量部の範囲内で配合されている請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
基材の表面に、(A成分):(A−1成分)天然ゴム又は改質天然ゴムラテックス及び(A−2成分)他の重合体が30:70〜100:0の質量比(固形分換算)で配合されたラテックス状接着成分、を含有する天然ゴム系接着剤組成物からなる塗工層が形成された塗工体において、
前記塗工層に対し、(B成分):アミンを塗工ないし散布することにより、前記塗工体の黄変を抑制する方法。
【請求項4】
前記A成分100質量部に対し、前記B成分を0.1〜10質量部の範囲内で塗工ないし散布する請求項3に記載の方法。

【公開番号】特開2007−262230(P2007−262230A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88874(P2006−88874)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000230397)株式会社イーテック (49)
【Fターム(参考)】