説明

天然油ポリオールを用いる、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法

本発明は、約175〜約400のイソシアネート指数で、ポリイソシアネートと、ポリオールの重量を基準として少なくとも約35重量%の天然油を含有し、約175〜約375のヒドロキシル価および約2.0〜約2.8のヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つの天然油ポリオールとを、発泡剤、および必要に応じて、1以上の界面活性剤、難燃剤、顔料、触媒およびフィラーの存在下で反応させることを含む、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法を提供し、得られるフォームは、少なくとも8重量%の再生可能なバイオベース含有量を有する。本発明の方法により提供されるフォームは、石油系材料から製造されたフォームと同様の特性を有し、壁断熱または他の用途における使用を見出し得る。得られる高バイオベース含有量(>8%)により、これらのフォームを含有する壁絶縁系は、米国政府の好ましい調達プログラムについて考慮され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、フォーム、より具体的には、再生可能な天然油ポリオール(NOP)からの硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアヌレート構造を有する硬質フォームは、当技術分野において、 高度に架橋したポリマーであることが知られている。イソシアヌレート環の熱安定性構造により、ポリイソシアヌレートフォームは、通常、高い耐温度性、熱に対する高い寸法安定性および優れた難燃特性を有する。ポリイソシアヌレートフォームを、低い気相熱伝導性を有する物理発泡剤、例えば炭化水素、 ハイドロフルオロカーボンまたは同類の物質等を用いて製造する場合、得られるフォームは、優れた絶縁特性を示すことがある。これらの2つの特性、優れた高温安定性および良好な絶縁特性により、ポリイソシアヌレート硬質フォームは、断熱材として住宅用および商業用建物に広く用いられる。適切な金属表面仕上げが備わっている場合、上記のフォームは、断熱外屋根および壁パネルとして商業用建築物工業に用いることもできる。
【0003】
ポリイソシアヌレートフォームの製造方法は、既知であり、例えばDE1112285およびGB1104394に記載されており、通常、有機ポリイソシアネートと既知の三量化触媒とを、安定剤、発泡剤および必要に応じてポリオールのような物質の存在下で反応させることにより行う。このような製造に通常用いられるポリイソシアネートは、粗製ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)である。
【0004】
常に上昇するガソリン価格、高い石油使用量および変化のない米国国内石油生産のため、米国の輸入石油への依存の低減がますます重要になってきた。かかる依存を低減させる1つの手段は、石油系資源から現在作られている生成物を製造するための、地球に優しい代替の原料を見出すことである。中でも、このような原料は、植物から得られた天然油から作られた再生可能なバイオベース生成物である。この点の認識により、2002年には、米国連邦議会は、農業保障および農村投資法(「FSRIA」)を制定した。FSRIAは、国の石油についての必要性を低減させるために働く1つの方法として、米国政府のバイオベース生成物の購入および使用を増加させるために、米国連邦調達法において優遇措置をバイオベース材料に与える。FSRIAはまた、連邦機関およびその請負業者のための調達優先プログラム、およびバイオベース生成物のマーケティングを可能とする標識プログラムを確立する。バイオベース材料の最も高い可能な量を利用するために、米国農務省(「USDA」)は、連邦機関に調達優先が必要な材料の幾つかの包括的分類について、最小バイオベース含有量についてのガイドラインを確立した。例えば、壁系についてのフォーム絶縁材の領域では、8%の最小バイオベース含有量が提案される。従って、壁系に用いるフォーム系のバイオベース含量を増加させて、連邦調達ガイドラインを満たす必要性が存在する。
【0005】
上記のとおり、ポリイソシアヌレートフォームは、三量化触媒を用いて、通常、ポリエステルポリオール、またはポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含有するポリオール混合物の存在下でイソシアネート成分を重合することにより製造される。ポリエーテルポリオールの製造に用い得る少量のスクロース、ソルビトールまたはグリセリンを除いて、上記のフォームは、主に石油系材料から作られる。多くの当業者は、このことを理解し、FSRIAの制定前でさえ、石油系材料の低減した含有量を有するフォームを提供することを、様々な成功の度合いで試みてきた。
【0006】
Chittoliniに付与された米国特許第5910515号は、粗製イソシアネート成分、および均質な混合物中に以下の物質:ポリオール、触媒、界面活性剤、水、難燃剤、フィラー、染料、顔料、膨張剤(すなわち発泡剤)および膨張剤のための相溶化剤の全てまたは幾つかを含有するポリオール成分を含有する混合物から誘導されたポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを開示する。中でも、開示された膨張剤は、ペンタン成分である。相溶化剤は、植物性の油性または脂肪物質から誘導された、ポリオール成分の重量に対して少なくとも5重量%の量で存在するジアルカノールアミドであるといわれている。ポリオール成分におけるペンタンの相溶性は、ジアルカノールアミドの存在により高まるといわれている。
【0007】
Hickeyは、米国特許第5922779号および同第6359022号において、ポリイソシアネートと、フタル酸系物質、ヒドロキシル化物質および疎水性物質の間の内部エステル化反応により形成された芳香族ポリエステルポリオールを含有するポリエステルポリオール系樹脂ブレンドとの反応により形成されたポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームを記載する。該混合物はまた、非イオン性界面活性剤およびC−C炭化水素発泡剤を含む。疎水性物質は、Hickeyにより、ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、アマニ油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油、大豆油、ヒマワリ油、トールオイル、獣脂およびこれらの混合物の1以上であるといわれている。
【0008】
Austin等に交付された米国特許第6071977号には、ポリオールおよびポリイソシアネートを、天然由来の乾燥および半乾燥植物油、これらの油の水素化誘導体またはメチル化誘導体およびこれらの混合物から選択された油成分の存在下で反応させることにより、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートを製造するための方法が記載され、該油成分は、少なくとも175℃の沸点を有する液体およびオルガノシロキサンコポリマー界面活性剤である。中でも、開示された油成分は、大豆油、リンカーン豆(Lincoln bean)油、マンキュリアン豆(Manchurian bean)油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、パーム油、アマニ油、ゴマ油、エゴマ油、綿実油、ココナツ油、脱水ヒマシ油およびオリーブ油である。
【0009】
Shieh等は、米国特許第6133329号において、炭化水素およびハイドロフルオロカーボン発泡剤と共に用いるのに適しているといわれている芳香族ポリエステポリオールの製造方法を記載する。これらのポリオールは、複数のグリコールを含有する溶液中に溶解したポリエチレンテレフタレートと天然油とを反応させることにより製造される。天然油は、ポリオール骨格中に特定の温度で反応させるといわれている。ポリオールは、低ヒドロキシル価および低粘度を示すといわれている。炭化水素およびハイドロフルオロカーボン発泡剤は、Shieh等のポリオールに溶解性であるといわれている。
【0010】
WO2004/005365には、Raceina等の名において、芳香族ポリエステルポリオールまたは約3.0未満の平均ヒドロキシル官能価を有するポリオールブレンド、少なくとも約200のNCO/OH指数を生じさせるのに充分な量でのポリイソシアネート、約2000未満の分子量を有する糖または炭水化物および発泡剤により作られる、向上した熱安定性を有するといわれる硬質ポリイソシアヌレートフォームが開示されている。Raceina等のフォームはまた、難燃剤、安定剤および他の添加剤を含有し得る。
【0011】
上記の技術では、バイオベース材料はポリイソシアヌレートフォーム中に組み込まれるが、該材料はごく少量で存在する。ある説明によれば、天然油に基づくポリオールは、機械および燃焼特性を低下させ得る、通常のポリエステルポリオールより多くの脂肪族およびより少ない極性の化学構造を有し得る。従って、石油系ポリエーテルおよびポリエステルポリオールは、ポリイソシアヌレートフォームの大部分を製造するためになお用いられる。バイオベース材料の高い含有量と、石油系原料から製造された現在のフォームと同様の性能特性とを有する硬質ポリイソシアヌレートフォームについての必要性が、当技術分野に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許第1112285号明細書
【特許文献2】英国特許第1104394号明細書
【特許文献3】米国特許第5910515号明細書
【特許文献4】米国特許第5922779号明細書
【特許文献5】米国特許第6359022号明細書
【特許文献6】米国特許第6071977号明細書
【特許文献7】米国特許第6133329号明細書
【特許文献8】国際公開第2004005365号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明は、バイオベース材料の高い含有量を有する天然油から誘導されたポリオールを用いて製造された硬質ポリイソシアヌレートフォームを提供する。これらの天然油ポリオールは、金属複合材料パネル、例えば壁または屋根系に用いられる金属複合材料パネル等において使用するために硬質ポリイソシアヌレートフォーム中に比較的高い量で組み込まれてよく、全て石油系材料により製造されたフォームと同様の特性を有する。高いバイオベース含有量により、これらのフォームを含有する壁または屋根断熱系は、米国政府の好ましい調達プログラムについて考慮され得る。
【0014】
本発明のこれらのおよび他の優位性および利益は、以下の発明の詳細な説明から明らかとなる。
【0015】
本発明を、制限のためではなく、例示のために記載する。操作例を除いて、または特記のない限り、明細書中の量、パーセンテージ、ヒドロキシル価、官能価等を表す全ての数は、全ての例において用語「約」により修飾されると理解される。本明細書においてダルトン(Da)により示される当量および分子量はそれぞれ、特記のない限り、数平均当量および数平均分子量である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、175〜400のイソシアネート指数で、ポリイソシアネートと、ポリオールの重量を基準として少なくとも35重量%の天然油を含有し、175〜375のヒドロキシル価および2.0〜2.8のヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つの天然油ポリオールとを、発泡剤、および必要に応じて、1以上の界面活性剤、難燃剤、顔料、触媒およびフィラーの存在下で反応させることを含む、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法を提供し、得られるフォームは、少なくとも8重量%の再生可能なバイオベース含有量を有する。本発明の方法により提供されるフォームは、石油系材料から製造されたフォームと同様の特性を有し、壁断熱または他の用途における使用を見出し得る。得られる高バイオベース含有量(>8%)により、これらのフォームを含有する壁絶縁系は、米国政府の好ましい調達プログラムについて考慮され得る。
【0017】
本発明はまた、指数が175未満である天然油ポリオール含有ポリウレタンフォームが低い燃焼特性を示すことを見出した。良好な燃焼特性は、多くの建築物用途のための米国モデル建築規約により要求されている。フォームの燃焼特性を向上させるために、より多くの量の難燃剤を添加し得る。しかしながら、難燃剤の添加は、フォームの全バイオベース含有量を低下させ、フォーム特性に悪影響を与え得る。
【0018】
当業者に明らかなように、ポリイソシアヌレート(「PIR」)フォームは、熱安定性トリマー結合の形成により良好な燃焼特性を本質的に有し、従って、通常、ポリウレタンフォームより必要とされる添加難燃剤が少ない。ポリエステルポリオールは、通常、PIRフォームの成分であり、得られるフォームの燃焼特性およびもろさを改善する。本発明者は、PIRフォームに通常見られる従来の石油系ポリエステルポリオールを、同様のヒドロキシル官能価、ヒドロキシル価および第1級ヒドロキシル基を示す天然油ポリオールにより置き換えた。これらの天然油ポリオールは、PIRに通常用いる従来のポリエステルポリオールの構造に類似するように開発された。トリマー結合は、フォーム中で強度を増加させる働きをするので、さらなる架橋性ポリオールを、機械特性を向上させるために必要とすることはほとんどなく、これにより、フォームのバイオベース含有量を最大化させる。意外にも、本発明のポリイソシアヌレートフォームは、良好な機械特性および良好な燃焼特性を有する。
【0019】
増加したバイオベース含有量は、2002年の農業保障および農村投資法(「FSRIA」)のセクション9002により、米国政府調達優先が、バイオベース材料の最も高い含有量を有する物品に与えられるので有利である。天然油ポリオールを用いる本発明の方法の他の予期しない優位性は、2000センチポイズを越える、場合により15000センチポイズ以上の従来法によるポリエステルポリオールについての粘度と比べて、天然油ポリオールの極めて低い粘度(しばしば2000センチポイズ未満、幾つかの場合には室温で150センチポイズ程度)である。このように低減した粘度は、低粘性ポリオールブレンドの製造を提供し、これは、その結果、より容易な成分のブレンド、より良好なフォーム加工性および向上した発泡挙動を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の方法により製造されたポリイソシアヌレートフォームは、多くの量の天然油ポリオールを含有し、全て石油系材料から作られたポリイソシアヌレートフォームに類似する機械特性を有する。本発明に有用な天然油ポリオールは、好ましくは175〜400、より好ましくは175〜375のヒドロキシル価、および2.0〜3.5、より好ましくは2.0〜2.8のヒドロキシル官能価を有する。本発明の天然油ポリオールは、上記の値(記載の値を含む)の任意の組み合わせの間の範囲の量でのヒドロキシル価およびヒドロキシル官能価を有し得る。
【0021】
天然油ポリオール(「NOP」)は、菜種油、ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ジャトロファ油、アマニ油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油、ケシ油、大豆油、ヒマワリ油、トール油、キリ油、獣脂、およびこれらの混合物を含む任意の天然の油から製造され得るが、これらに限定されない。特に好ましい天然油は、大豆油から誘導された天然油である。
【0022】
任意の既知の有機イソシアネート、変性イソシアネートまたは任意の既知の有機イソシアネートから製造されたイソシアネート末端プレポリマーは、本発明の実施に際して用い得るが、少なくとも2.0のイソシアネート官能価を有する。適当なポリイソシアネートとして、芳香族、脂肪族および脂環式ポリイソシアネート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。有用なポリイソシアネートとして、以下のポリイソシアネートが挙げられる:ジイソシアネート、例えばm−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−トルエンジイソシアネートおよびその異性体、イソホロンジイソシアネート、ジシクロ−ヘキシルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネートジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートおよび3,3’−ジメチル−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート等、トリイソシアネート、例えば2,4,6−トルエントリイソシアネート等、ならびにポリイソシアネート、例えば4,4’−ジメチル−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートおよび粗製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等。粗製ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)または変性粗製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートは好ましい。
【0023】
ポリイソシアヌレートの形成のための触媒(すなわち、三量化触媒)として、金属型触媒、例えばアルカリ金属カルボキシレート、金属アルコラート、金属フェノラートおよび金属水酸化物等、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、第3級ホスフィンおよびリンオニウム塩が挙げられる。これらの三量化触媒は、イソシアネートと水および/またはポリオールとの反応を促進させて相乗効果が得られる他の触媒との組み合わせにしばしば用いられる。本発明の方法に用いるための好ましい触媒は、第3級アミンの2元または3元ブレンド、例えばペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンまたはジメチルエタノールアミンおよびカリウム有機塩、例えばカリウムオクトエートまたはカリウムアセテート等である。
【0024】
水および低沸点化合物を組み合わせて、発泡剤として本発明に用いる。低沸点化合物として、炭化水素、例えばブタン、ペンタンおよびヘキサンの異性体等が挙げられ、低沸点フッ素含有化合物、例えばHFC−245fa、HFC−365mfcおよびHFC−134a等を単独または組み合わせて用いる。本発明に用いる特に好ましい発泡剤は、シクロペンタン、n−ペンタン、イソペンタンおよびこれらの混合物である。
【0025】
本発明の方法では、界面活性剤(気泡調節剤)、例えばシリコーン系フォーム安定剤、および難燃剤等のような添加剤は、必要に応じて、フォーム形成混合物中に含ませ得る。
【0026】
有利には、少量の界面活性剤は、発泡性反応混合物を重合の初期段階中に安定化し、気泡寸法の調節を助け、独立気泡を製造するために含ませ得るが、これは、断熱性能を向上させる。シリコーン/エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーを含む任意の適当な界面活性剤を本発明に用いることができる。本発明に有用な界面活性剤の例として、Momentive Performance Materials、Air Products and Chemicals,Inc.およびEvonik Industriesを含むポリウレタン原料供給業者から市販されている界面活性剤が挙げられる。他の適当な界面活性剤は、米国特許4365024号および同4529745号に記載されている。他の余り好ましくない界面活性剤としては、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸スルフェートエステルの第3級アミンまたはアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸が挙げられる。このような界面活性剤は、フォーム形成反応混合物を崩壊に対して安定化するのに、および大きく一様でない気泡の形成を防止するのに十分な量で用いられる。
【0027】
適当な難燃剤(本明細書では、該用語は、防煙剤および他の既知の燃焼改質剤とも称する)として、ホスホネート、ホスファイトおよびホスフェート(例えばジメチルメチルホスホネート、アンモニウムポリホスフェート、および種々の環状ホスフェートおよびホスホネートエステル、ならびに1より大きい官能価を有する反応性オリゴマー有機ホスフェートであって当業者に既知のもの)、当技術分野で既知のハロゲン含有化合物(例えば臭素化フタル酸エステルおよび他の臭素化芳香族および脂肪族化合物等)、メラミン、酸化アンチモン(例えば五酸化アンチモンおよび三酸化アンチモン等)、亜鉛化合物(例えば種々の既知のホウ酸亜鉛等)、アルミニウム化合物(例えばアルミナ三水和物等)、マグネシウム化合物(例えば水酸化マグネシウム等)およびウレアが挙げられる。好ましくは、本発明の方法に有用な難燃剤は、ハロゲン化ホスフェートおよび臭素化芳香族化合物の群からのものである。
【0028】
本発明では、用語「イソシアネート指数」とは、イソシアネート基の数をイソシアネート反応性基の数で割って得られた商を100倍したものである。本発明の方法におけるイソシアネート指数は、好ましくは175〜400、より好ましくは250〜300、さらに好ましくは270〜310である。本発明の方法におけるイソシアネート指数は、これらの値(上記の値を含む)の任意の組み合わせの間の範囲の量であり得る。
【実施例】
【0029】
本発明を、以下の実施例により限定することなく、さらに説明する。「部」および「パーセント」で与えられる全ての量は、特記のない限り、重量によるものと理解される。以下の材料を、実施例のポリウレタンフォームの製造に用いた:
【0030】
〔ポリオール A〕
約240mgKOH/gのヒドロキシル価および25℃で約3500センチポイズの粘度を有し、2のヒドロキシル価を有する、芳香族ポリエステルポリオールに基づくオルトフタレート−ジエチレングリコール。
【0031】
〔ポリオール B〕
約470mgKOH/gのヒドロキシル価、25℃で約33000センチポイズの粘度、29.9%のバイオベース含有量および約5のヒドロキシル官能価を有する、KOH触媒によるスクロース開始ポリエーテルポリオール。
【0032】
〔NOP A〕
同時継続の米国特許出願第11/713898号に従って製造された、約45%の植物油含有量、約210mgKOH/gのヒドロキシル価、25℃で約132cpsの粘度、および約2の官能価を有する、KOH触媒によるグリセリン/大豆油開始ポリエーテルポリオール(70%PO、30%EO)。
【0033】
〔NOP B〕
同時継続の米国特許出願第11/713898号に従って製造された、約45%の植物油含有量、約210mgKOH/gのヒドロキシル価、25℃で約147cpsの粘度、および約2の官能価を有する、KOH触媒によるグリセリン/大豆油開始ポリエーテルポリオール(100%EO)。
【0034】
〔NOP C〕
同時継続の米国特許出願第11/713898号に従って製造された、約39%の植物油含有量、約290mgKOH/gのヒドロキシル価、25℃で約541cpsの粘度、および約3の官能価を有する、KOH触媒によるスクロース/グリセリン/大豆油開始ポリエーテルポリオール(18%PO、82%EO)。
【0035】
〔NOP D〕
同時継続の米国特許出願第11/713898号に従って製造された、約39%の植物油含有量、約290mgKOH/gのヒドロキシル価、25℃で約549cpsの粘度、および約3の官能価を有する、イミダゾール触媒によるスクロース/グリセリン/大豆油開始ポリエーテルポリオール(18%PO、82%EO)。
【0036】
〔難燃剤 A〕
トリス−(β−クロロイソプロピル)ホスフェート。
【0037】
〔難燃剤 B〕
ジエチレングリコールおよびプロピレングリコールによる3,4,5,6−テトラブロモ−1,2−ベンゼンジカルボン酸混合エステル。
【0038】
〔界面活性剤 A〕
TEGOSTAB B−8465としてEvonik Industriesから市販のシリコーン界面活性剤。
【0039】
〔界面活性剤 B〕
TEGOSTAB B−8465としてEvonik Industriesから市販のシリコーン界面活性剤。
【0040】
〔触媒 A〕
ジエチレングリコール中でのカリウムオクトエートの70重量%溶液。
【0041】
〔触媒 B〕
Air ProductsからPOLYCAT 43として市販の特許第3級アミン触媒。
【0042】
〔触媒 C〕
ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)。
【0043】
〔イソシアネート A〕
30.6%のNCO含量および25℃で700センチポイズのBrookfield粘度を有するポリマージフェニルメタンジイソシアネート。
【0044】
〔発泡剤 A〕
シクロペンタンおよびイソペンタンの70/30混合物。
【0045】
比較例C−1および実施例2〜10
ポリイソシアヌレートフォームを以下の表に記載の成分の重量部から製造した。まず、ポリオールおよび他の成分を組み合わせて、次いでイソシアネートと反応させた。これらのフォームを、実験室において当業者に既知の手動混合手順により製造した。
【0046】
比較例C1は、建築物パネルに用いるASTM E84等級1フォームのための典型的な処方物である。実施例では、従来法によるポリオールのいずれかまたは両方を天然油ポリオールと置き換えた。必要に応じて、触媒濃度を調節して所望のゲル時間を与え、用いたイソシアネートの量を調節して所望の指数を与え、および水およびペンタンの濃度を調節して、フォーム密度に直接影響を与える所望の量の発泡剤を供給した。
【0047】
密度、k−ファクター、寸法安定性の重要なフォーム特性は、対照フォームのフォーム特性と同等であり、僅かに良好な場合があり、僅かに劣る場合があった。対照系よりも常に劣った値を有した特性は、圧縮強度だけであった。しかしながら、得られた値は、概して、20lb/inよりも大きく、ほとんどの用途において許容できると考えられる。
【0048】
【表1】

【0049】
比較例C−11および実施例12
ポリイソシアヌレートフォームを以下の表に記載の成分の重量部から製造した。まず、ポリオールおよび他の成分を組み合わせて、次いでイソシアネートと反応させた。これらのフォームを、3分の滞留時間を用いる連続2重ベルトラミネート加工機を有する高圧計量混合発泡装置を用いて製造した。
【0050】
比較例C−11は、建築物パネルに用いるASTM E84等級1フォームの典型である。実施例12では、対照において最も多い量で存在するポリオールである従来法によるポリオールAは、NOP Bにより置き換える。表が示す通り、2つのフォームについて得られた値は、ゲル時間、全密度、中心密度、独立気泡含有量、k−ファクターおよび寸法安定性を含む多くの点で極めて類似した。さらに、両方のフォームは、25未満の火炎拡散結果および450未満の煙発生結果を得ることにより、ASTM E84等級1トンネル燃焼試験(サンアントニオ、テキサス州のIntertek Testingにより実施)を合格した。NOP含有フォームが従来法によるフォームより著しく劣った性能を示したパラメーターは、圧縮強度のみであった。しかしながら、2.7lb/ft未満のフォーム密度に対して約29lb/inの圧縮強度は、許容できる。
【0051】
【表2】

【0052】
本発明の上記の実施例は、本発明を制限する目的ではなく、例示の目的で提供される。本明細書に記載された実施態様は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の方法で変形または修正され得ることは当業者には明らかである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって判定すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法であって、約175〜約400のイソシアネート指数で、
ポリイソシアネートと、
ポリオールの重量を基準として少なくとも約35重量%の天然油を含有し、約175〜約375のヒドロキシル価および約2.0〜約2.8のヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つの天然油ポリオールとを、
発泡剤の存在下で、および
必要に応じて、1以上の界面活性剤、難燃剤、顔料、触媒およびフィラーの存在下で
反応させることを含み、得られるフォームは、少なくとも8重量%の再生可能なバイオベース含有量を有する、前記方法。
【請求項2】
ポリイソシアネートは、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネートおよびその異性体、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネート、4,4’−ジメチル−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートおよびポリマージフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリイソシアネートは、ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの天然油ポリオールは、ポリオールの重量を基準として少なくとも約40重量%の天然油を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの天然油ポリオールは、ポリオールの重量を基準として少なくとも約45重量%の天然油を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの天然油ポリオールは、25℃で約2000cps未満の粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの天然油ポリオールは、25℃で約1000cps未満の粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの天然油ポリオールは、25℃で約500cps未満の粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの天然油ポリオールは、25℃で約200cps未満の粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの天然油ポリオールは、約200〜約350のヒドロキシル価および約2.0〜約2.5の官能価を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
天然油は、菜種油、ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ジャトロファ油、アマニ油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油、ケシ油、大豆油、ヒマワリ油、トール油、キリ油、獣脂、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
発泡剤は、シクロペンタン、n−ペンタンおよびイソペンタンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
イソシアネート指数は、約250〜約350である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
イソシアネート指数は、約270〜約310である、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−522924(P2011−522924A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512459(P2011−512459)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/003327
【国際公開番号】WO2009/148559
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】