説明

天然色素の退色防止剤またはそれを含有する飲食品

【課題】退色防止剤が粉状の場合は、ケーキング、退色防止効果が低減することを抑制・防止する退色防止剤を提供し、また、退色防止剤が液状の場合は該水溶液のpHを3〜5に調製する事で、水溶液中のフラボノイド系化合物の安定化を図り、長期間の品質維持を保つことができる退色防止剤を提供する。
【解決手段】本発明は、糖アルコールならび/またはグルコース、ガラクトース、エリトーロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、マンノース、フルクトース、およびリブロースからなる群から選択される少なくとも一つの単糖、もしくはこれらの少なくとも2つ以上を結合させてなる糖類(ただし、重合度6以上であって、かつ全てグルコースの糖類は除く)、ならびにフラボノイド系化合物、リン酸系化合物を含む天然色素の退色防止剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質の長期安定性に優れ、光や熱による天然色素の退色を有意に防止することの出来る退色防止剤、及びこれを含有する飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、消費者志向により、合成色素は敬遠され、天然色素の使用が主流となっている。すでに、アントシアニン系色素、カロチノイド系色素等をはじめとする天然色素は、飲食品、医薬品、化粧品等の分野で使用されており、特に飲食品で多く使用されている。
【0003】
しかし、合成色素に比べて、天然色素は一般に光や熱に弱いため、天然色素入りの商品は陳列時には光劣化、製造時には熱劣化によって色素が分解してしまい、商品の色褪せ、香りの減少により商品価値が下がってしまう。特に、近年は包装容器リサイクル法によるペットボトルの透明化、及び製造時の加熱殺菌の導入が進んでいる事により、天然色素の退色防止剤の需要が急速に高まっている。
【0004】
このため、従来より天然色素の退色防止に有効な成分がいくつか開発されている。例えば、ソバの全草、イチジク、アオギリ、タバコの葉等に含まれるフラボノイド系化合物の一種であるルチンは、特有の紫外部吸収スペクトルを持つ事から、紫外線で退色の起きやすい天然色素の退色防止に有効である事が知られており、このルチンによる天然色素の退色防止方法およびルチンを配合する退色防止剤も、いくつか提案されている(特許文献1〜4を参照)。
【0005】
具体的には、特許文献1〜4において以下の内容が記載されている。
【0006】
特許文献1では、アントシアニンにフラボン類またはフラボノール類をフィチン酸と共に添加して色素の退色を防止する技術が開示されている。
【0007】
特許文献2では、赤キャベツ色素にルチンなどをフィチンおよびフィチン酸とともに添加して色素の退色を防止する技術が開示されている。
【0008】
特許文献3では、ルチンと青色などの着色料を添加して退色を防止する技術が開示されている。
【0009】
特許文献4では、フラボノールと水溶性抗酸化剤とリン酸塩とを添加することでアントシアニン色素を安定化する技術が開示されている。
【0010】
但し、ルチン等のフラボノイド系化合物は、水への溶解度が一般に極めて低いため、使用範囲が限られており、フラボノイド系化合物を酵素処理して水溶性にした化合物の使用が多くなっている。
【0011】
また、特許文献5及び6では、例えば、ルチンにデキストリン等を酵素によって転移反応させる事により、ルチンをα−グルコシル化して水への溶解性を良くしたものが酵素処理ルチン(α−グリコシルルチン)と呼ばれ、その製造方法が開示されている。
【0012】
この酵素処理ルチンも、ルチンに代表されるフラボノイド系化合物と同様に天然色素の退色防止に有効である事が知られており、酵素処理ルチンによる天然色素の退色防止方法および酵素処理ルチンを配合する退色防止剤も、特許文献7〜9でいくつか提案されている。
【特許文献1】特公平7−28692号公報
【特許文献2】特公平6−22465号公報
【特許文献3】特許第3140169号明細書
【特許文献4】特開平2−214780号公報
【特許文献5】特許第2816030号明細書
【特許文献6】特許第2926411号明細書
【特許文献7】特開2005−130827号公報
【特許文献8】特開平8−112076号公報
【特許文献9】特開2000−60484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1〜9のいずれの発明を利用したとしても、酵素処理ルチン等のフラボノイド系化合物(常温で黄色の粉末)は、一般に吸湿性を有するため、長期間保存しておくと粉末の一部がケーキングし、退色防止効果が低減してしまう等の問題がある。
【0014】
また、フラボノイド系化合物及びその酵素処理化合物は非常に高価であるため、その添加量が、少ない方法が望まれていた。
【0015】
さらに、食品への使用に際しては、例えば酵素処理ルチンを水溶液にして使用するほうが便利であるが、酵素処理ルチンのみを水に溶かしたものは次第に品質が変化し、退色防止効果が低下するなど、水溶液の場合も長期間の保存性には問題があった。
【0016】
したがって、本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、長期安定性に優れ、少量で光や熱による天然色素の退色を防止するために有効な退色防止剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、上記目的は糖アルコールならび/またはグルコース、ガラクトース、エリトーロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、マンノース、フルクトース、およびリブロースからなる群から選択される少なくとも一つの単糖、もしくはこれらの少なくとも2つ以上を結合させてなる糖類(ただし、重合度6以上であって、かつ全てグルコースの糖類は除く)、ならびにフラボノイド系化合物、リン酸系化合物を含む天然色素の退色防止剤を提供することによって達成される。また他の目的は、酵素処理ルチン、フィチン酸、および有機酸塩を含む水溶液であって、前記水溶液のpHが3〜5である、天然色素の退色防止剤を提供することによって達成される。
【発明の効果】
【0018】
フラボノイド系化合物、例えば酵素処理ルチンの粉末を、保湿効果の高い糖類、例えばトレハロース又はソルビトールと混合する事により、フラボノイド系化合物の吸湿性の問題が改善し、長期間保存してもフラボノイド系化合物の退色防止効果が低減しにくく、ケーキングが起こらない。さらにはフラボノイド系化合物に、フラボノイド系化合物よりも安価なリン酸系化合物ならびに糖類および/または糖アルコール類を極少量添加するだけで、天然色素の退色防止効果が格段に向上する事が判り、これにより高価なフラボノイド系化合物の食品への配合量を少なくできる。
【0019】
また、本発明に係る天然色素の退色防止剤を水溶液として得られると、粉状の天然色素の退色防止剤が溶解しにくい食品などにも使用することができ、当該食品は長期間保存してもフラボノイド系化合物の退色防止効果が低減しにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の第一は、糖アルコールならび/またはグルコース、ガラクトース、エリトーロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、マンノース、フルクトース、およびリブロースからなる群から選択される少なくとも一つの単糖、もしくはこれらの少なくとも2つ以上を結合させてなる糖類(ただし、重合度6以上であって、かつ全てグルコースの糖類は除く)、ならびにフラボノイド系化合物、リン酸系化合物を含む天然色素の退色防止剤である。
【0021】
本発明においてフラボノイド系化合物は、紫外線吸収をすることで色素が受け取る余分な光エネルギーを吸収すると考えられ、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤の役割も果たす。本発明において単糖、糖類および/または糖アルコールを混合させることにより、フラボノイド系化合物が吸収する大気中の水分を代わりに吸収することでフラボノイド系化合物と水との水和を抑制・防止し、ケーキングを抑制・防止することができると考えられる。さらに、リン酸系化合物は、天然色素の退色および変色を助長する金属イオンの封鎖作用があり、また本発明では酸化防止剤のシネルギスト(共力剤)として働くと考えられる。
【0022】
なお、「シネルギスト」とは、他の成分に作用もしくは互いに反応して、個々の成分が生み出す効果の和とは異なるか、もしくは上回る効果を発揮する物質をいい、本明細書では、抗酸化剤(酸化防止剤とも称する)であるフラボノイド系化合物と併用すると、その抗酸化剤としてのフラボノイド系化合物の作用を著しく増強する化合物をいう。
【0023】
本明細書における「糖類」とは、多価アルコールの最初の酸化生成物であり、アルデヒド基またはケトン基をひとつ持つ物質をいい、二糖類だけではなく多糖類を含む広義の概念で使用される。
【0024】
また、本明細書において、「重合度6以上であって、かつ全てグルコースの糖類」とは、いわゆるデキストリンを意味し、グルコースのユニットが6個以上のものであって、異なるグルコースの水酸基同士が縮合し、グルコシド結合を形成しているものをいう。
【0025】
また、本明細書における「糖アルコール」とは、糖のアルデヒド基またはケトン基を還元して各々第一、第二アルコール基としたものに相当する多価アルコールの総称であって、イノシットなどの環状のものを含む広い概念で使用される。
【0026】
一般的に、退色防止剤は、粉末状の退色防止剤と液状の退色防止剤の2つに大別され、本発明に係る退色防止剤は、フラボノイド系化合物を含有する粉末状の退色防止剤の場合も、フラボノイド系化合物を含有する液状の退色防止剤の場合も、いずれにおいても、品質の長期安定性に優れ、光や熱による天然色素の退色を有意に防止することの出来る退色防止剤を提供する事ができる。
【0027】
本発明に係る粉末状の退色防止剤において、フラボノイド系化合物の含有量は、10〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、20〜80質量%が特に好ましい。退色防止剤において、フラボノイド系化合物の含有量が10質量%未満だと、退色防止効果を発揮させるのに必要な飲食品への退色防止剤の配合量が多くなってしまうため、飲食品への味や色に少なからず悪影響を与えてしまう可能性があるため好ましくなく、90質量%超だと、フラボノイド系化合物以外の配合成分、すなわち、リン酸系化合物、単糖、糖類、糖アルコール等については十分な量を配合出来なくなってしまうからである。
【0028】
また、本発明に係る粉末状の退色防止剤において、フラボノイド系化合物の含有量を100質量部とすると、リン酸系化合物の含有量は好ましくは5〜50質量部、より好ましくは8〜45質量部、特に好ましくは10〜40質量部である。5質量部未満だとシネルギストとしての効果が十分に発揮されない。また、50質量部超加えても、シネルギストとしての効果が、それ以上に望める事は無く、むしろ飲食品への味や色に少なからず悪影響を与えてしまう可能性があるため好ましくない。
【0029】
本発明に係る粉末状の退色防止剤において、フラボノイド系化合物の含有量を100質量部とすると、単糖類、糖類又は糖アルコール類の含有量は、好ましくは10〜500質量部、より好ましくは20〜400質量部、特に好ましくは30〜300質量部である。10質量部未満だと、ケーキング防止の効果が十分に発揮されない。
【0030】
また、500質量部超加えても、ケーキングの防止効果が、それ以上に望める事は無く、むしろ飲食品への味や色に少なからず悪影響を与えてしまう可能性があるため好ましくない。
【0031】
本発明に係るフラボノイド系化合物は、天然の植物から抽出・精製されるもので、公知の物質であれば用いられることができ、例えばルチン、α−グリコシルルチン(酵素処理ルチン)、ミリセチン、ミリシトリン、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ケンフェロール、トリホリン、アストラガリン、ロビニン、フラボン、クリシン、トリンギン、アピゲニン、コスモシイン、アピイン、ルテオリン、ガルテオリン、グルコルテオリン、ダイジン、ゲニスチン、ピノセンブリン、サリプルピン、プルニン、ナリンギン、サクラニン、ヘスペリジン、エリオジクチオール、マットイシノール、ピノバンクシン、アロマデンドリン、エンゲリチン、フスチン、タキシホリン、アスチルビン、アンペロプチン、コレオプシン、イソブトリン、イソカルタミン、カルタミン、ペジシン、ペジシニン、スルフレイン、パラシトリン、レプトシン、オーロイシン、セルヌオシド、ペラルゴニン、クリサンテミン、イディン、シアニン、デルフィン、ビオラニン等が好ましく、これらの物質は単独で用いてもまたは2種類以上を混合させて用いてもよい。
【0032】
本発明において使用されるフラボノイド系化合物は、合成によって得ても市販品を使用してもよい。また本発明に係るルチン、α−グリコシルルチン(酵素処理ルチン)は、例えば特許文献5、6などに記載されている公知の製造方法を利用して合成することができる。
【0033】
これらの中でも、本発明ではルチン又はルチンを酵素処理して水溶性にしたα−グリコシルルチン(酵素処理ルチン)が特に好ましい。なぜなら、ルチン又は酵素処理ルチンは紫外線吸収作用の他に、ラジカル消去活性を有し、酸化防止剤として働くため、優れた退色防止効果が期待できるからである。
【0034】
本発明に係るリン酸系化合物は、公知の物質であれば用いられることができ、例えばフィチン酸、フィチン、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ニナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等が好ましく、これらの物質は単独で用いてもまたは2種類以上を混合させて用いてもよい。
【0035】
本発明において、リン酸系化合物は、合成によって得られてもあるいは市販品を使用してもよい。また、リン酸系化合物の形態も、特に制限されず、粉末状のものをそのまま使用してもあるいは液状(例えば、水溶液状)のものを乾燥などにより粉末化して使用してもよい。例えば、粉末状の市販品としては、粉末フィチン酸30P(株式会社ジャード製)がある。これはフィチン酸およびデキストリンが30:70の質量比で混合したものである。または、水溶液の形態で市販されているフィチン酸(例えば、築野ライスファインケミカルズ株式会社製)を乾燥・粉砕することによって、粉末状のフィチン酸としてもよい。上記工程において、乾燥・粉砕工程前に、フィチン酸水溶液に予め糖類(例えば、トレハロースやデキストリン)および/または糖アルコール(例えば、ソルビトール)を所定量添加した後、乾燥・粉砕して、フィチン酸と、単糖類、糖類および/または糖アルコールとの粉末状の混合物を得てもよい。また、他の単糖類、糖類、または糖アルコールを用いた場合も同様である。なお、便宜上、本発明の実施例においては、デキストリンと、下記に例示する単糖類、糖類、または糖アルコールなどを混合して用いているが、デキストリンを混合させなくても本願発明の効果と同一の効果を達成することができる。
【0036】
上記工程の粉砕工程に使用される有効な粉砕装置としては、クリプトロン型、ゼゴミル型、遊星ミル型、コーボール・ミル型、CFミル型、ジェット・ミル型等がある。
【0037】
上記に掲げたリン酸系化合物の中でも、本発明では特にフィチン酸又はフィチンが好ましい。なぜなら、フィチン酸は、主に米糠から抽出されており、別名をメソイノシトールヘキサリン酸とも呼ばれ、吸湿・保湿作用の他に、天然色素の退色および変色を助長する金属イオンの封鎖作用があり、また本発明では酸化防止剤のシネルギストとして働くと考えられる。
【0038】
また、本発明に係る単糖類、または糖類は、公知の物質であれば用いられることができ、例えば各種の単糖類である、グリセルアルデヒド、エリトース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、ガラクトース、およびフルクトースや、スクロース、マルトース、ラクトース、セルビオース、トレハロースなどの二糖類や、各種のオリゴ糖類、各種の直鎖または環状の多糖類、キチン、キトサン、グルコサミン、ヒアルロン酸等の各種のムコ多糖類、プルラン、アラビアガム等の各種の増粘多糖類等が好ましく、これらの物質は単独で用いてもまたは2種類以上を混合させて用いてもよい。
【0039】
上記の本発明に係る糖類において重合度は、2〜100が好ましく、2〜50がより好ましく、2〜10がさらに好ましく、2〜7が特に好ましく、2〜4が特により好ましく、2が最も好ましい。
【0040】
重合度が2未満であると、糖が吸収した水分を取り囲むことができにくく、また重合度が100超だと分子量が大きくなりすぎ水に対する親水性が低下すると考えられる。
【0041】
これら糖類の中でも本発明では、トレハロースがより好ましく、トレハロースの場合は、特に強い保湿効果を有する。また、本発明に特に有効であるトレハロースとは、2分子のD−グルコースが1−1結合した形の非還元性の二糖類の一種であり、非還元性であるゆえ飲食品中のアミノ酸との間でメイラード反応が起こらないため、飲食品が着色しない点からも使用上特に好ましい。尚、本発明において使用される糖類は、合成によって得ても市販品を使用してもよい。
【0042】
また、本発明に係る糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、還元パラチノース、ソルビトール等が好ましく、これらの物質は単独で用いてもまたは2種類以上を混合させて用いてもよい。本発明では特にソルビトールが好ましい。本発明において使用される糖アルコールは、合成によって得ても市販品を使用してもよい。
【0043】
トレハロースやソルビトールの配合により、酵素処理ルチン等のフラボノイド系化合物の吸湿性が改善される理由は、トレハロースやソルビトールの強い保湿効果によるものと考えられる。
【0044】
本発明の粉末状の退色防止剤の調製方法をフラボノイド系化合物として酵素処理ルチン、リン酸系化合物としてフィチン酸、糖類としてトレハロースを配合する場合を最良の実施形態の一つとして以下に示す。
【0045】
例えば、フィチン酸は、50質量%の水溶液で市販されているが(築野ライスファインケミカルズ株式会社)、本発明の粉末状の退色防止剤の調製にあたっては、フィチン酸水溶液でも、フィチン酸があらかじめ粉末化されているものを使用しても、いずれでもよい。フィチン酸が粉末化されている商品としては、株式会社ジャードの「粉末フィチン酸30P」があり、これはフィチン酸30質量%とデキストリン70質量%の混合物である。
【0046】
本発明において、50質量%のフィチン酸水溶液で調製する場合は、最初に50質量%のフィチン酸水溶液を粉末化する必要がある。前記粉末化する方法としては、例えば、50質量%のフィチン酸水溶液に、担体として同量のデキストリン等を添加し十分に混合し、この混合物を乾燥して粉砕すると、フィチン酸を粉末化する事ができる。次に、この粉末化したフィチン酸に、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社、商品名「αGルチンP」)、トレハロース(株式会社林原生物化学研究所)を所定量配合し、混合すれば目的とする退色防止剤が得られる。
【0047】
前記デキストリンとフィチン酸混合物を粉砕するために有効な粉砕装置としては、クリプトロン型、ゼゴミル型、遊星ミル型、コーボール・ミル型、CFミル型、ジェット・ミル型等がある。
【0048】
前記粉末状の退色防止剤の成分であるフラボノイド系化合物と、リン酸系化合物と、糖類(および/または糖アルコール類)とを混合する方法としては、公知の方法であれば特に制限はないが、例えば水平円筒型混合機、V型混合機、二重円錐型混合機、リボン型混合機、マラー型混合機などの装置を用いて混合する。
【0049】
また前記混合条件は特になく、各成分同士が十分に分散されれば、本発明に係る退色防止剤を調製することができる。さらに、粉砕、混合、乾燥、配合などする際の雰囲気の条件は、特に制限はなく、使用するフラボノイド系化合物、リン酸系化合物と、および糖類(および/または糖アルコール類)などにより適宜選択されるものであるが、粉砕、混合、乾燥、配合などする際の雰囲気温度は室温が好ましく、具体的には15℃〜25℃が好ましい。また、粉砕、混合、乾燥、配合などする際の雰囲気に不活性ガスを導入しなくても良い。
【0050】
上記の市販されている「粉末フィチン酸30P」を用いて本発明の退色防止剤を調製する場合も、これに酵素処理ルチンとトレハロースを添加し、混合すれば目的とする退色防止剤が得られる。前記粉砕方法、混合方法は、上記に説明した粉砕方法、混合方法と同様であるためここでは省略する。
【0051】
なお、市販されている「粉末フィチン酸30P」(築野ライスファインケミカルズ株式会社)以外のフィチン酸粉末または水溶液を用いても本発明に係る退色防止剤を製造できることは言うまでもない。
【0052】
また、本発明の粉末状の退色防止剤には、フラボノイド系化合物(例えば酵素処理ルチン)、リン酸系化合物(例えばフィチン酸)、糖類(例えばトレハロース)の3成分の他に、フラボノイド系化合物(酸化防止剤)のシネルギストとして、例えばメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ニ水素ニナトリウム等の別のリン酸系化合物を併用しても良い。
【0053】
さらに、フラボノイド系化合物の酸化防止効果を補助する目的で、従来から公知の食品用酸化防止剤、例えばミックストコフェロール、トコトリエノール等のトコフェロール類、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム等の亜硫酸類、β−カロチン、α−カロチン、リコピン(トマト色素)、アスタキサンチン(ヘマトコッカス藻色素)等のカロチノイド系化合物、およびビタミンC等を本発明の目的達成を損なわない範囲で配合してもかまわない。前記食品用酸化防止剤は、フラボノイド系化合物に対して0.1〜10質量%添加することが好ましい。
【0054】
また、天然色素のうち、アントシアニン系色素等は飲食品中に含まれる鉄、銅等の金属イオンによって退色・変色が助長されてしまうが、この金属イオンを封鎖する目的で、従来から公知の食品用キレート剤、例えばリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、ヘムタンパク質の不活性剤である亜硝酸塩なども配合してもよい。
【0055】
前記食品用キレート剤は、フラボノイド系化合物に対して0.1〜10質量%添加することが好ましい。
【0056】
本発明の第二は、酵素処理ルチン、フィチン酸、および有機酸塩を含む水溶液であって、前記水溶液のpHが3〜5であることを特徴とする、天然色素の退色防止剤である。
【0057】
本発明に係る退色防止剤が液状の場合、酵素処理ルチンの含有量は退色防止剤含有溶液中に10〜40質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましく、20〜30質量%が特に好ましい。
【0058】
酵素処理ルチンの含有量が10質量%未満だと、退色防止効果を発揮させるのに必要な飲食品への退色防止剤の添加量が多くなってしまい、飲食品への味や色に少なからず悪影響を与えてしまう可能性があるため好ましくない。また酵素処理ルチンの含有量が40質量%超だと、溶解度の関係上、保存中に酵素処理ルチンが析出してしまうため好ましくない。
【0059】
本発明に係る退色防止剤が液状の場合、フィチン酸の含有量は0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。フィチン酸の含有量が0.1質量%未満だとシネルギストとしての効果が十分に発揮されない。また、酵素処理ルチンの含有量を20質量%超加えても、シネルギストとしての効果が、それ以上に望める事は無く、むしろ飲食品への味や色に少なからず悪影響を与えてしまう可能性があるため好ましくない。
【0060】
本発明において、酵素処理ルチン、フィチン酸を含む水溶液のpHが好ましくは3〜5、より好ましくはpHが3.8〜4.2になるように有機酸塩を所定量添加する。
【0061】
酵素処理ルチンのみの水溶液のpHは、例えば酵素処理ルチン20質量%のpHは5.6であるが、これに退色防止効果を上げる目的で、フィチン酸濃度が2質量%になるように添加するとpHが1.1と強酸性下になってしまい、酵素処理ルチンのみの水溶液の場合よりも、その安定性はさらに悪くなってしまう。
【0062】
しかしながら、当該水溶液に有機酸塩、特に乳酸ナトリウム水溶液を添加し、当該水溶液のpHを3〜5に調整する事で、当該水溶液の品質が長期間安定し、その退色防止効果が低減しにくい特性を示す。
【0063】
本発明に係る有機酸塩としては、長期保管中にも結晶が析出しない点から、乳酸ナトリウムまたは乳酸カリウムが好ましい。
【0064】
本発明の液状の退色防止剤の調製方法を以下最良の実施形態の一つとして示す。
液状の退色防止剤を調製する場合は、所定量の酵素処理ルチンを水に溶かした後、50質量%のフィチン酸水溶液を所定量添加し、50〜60質量%の乳酸ナトリウム又はカリウム水溶液で該水溶液のpHは3〜5が好ましく、より好ましくはpHを3.8〜4.2になるように添加すれば目的の退色防止剤が得られる。
【0065】
尚、本発明の液体状の退色防止剤にも、上記に掲げたシネルギストおよびキレート剤を本発明の目的達成を損なわない範囲で配合してもかまわない。前記シネルギストおよびキレート剤の種類、添加量などの条件は、上記の粉状の退色防止剤の調製方法と同様であるのでここでは省略する。
【0066】
本発明の第一および第二の退色防止剤は、天然色素のうち、アントシアニン系色素、カロチノイド系色素、及びフラボノイド系色素の退色・変色防止に有意に効果を発揮する。
【0067】
前記アントシアニン系色素としては、赤キャベツ色素、赤ダイコン色素、赤米色素、エルダーベリー色素、カウベリー色素、グースベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、スィムブルーベリー色素、ストローベリー色素、ダークスイートチェリー色素、チェリー色素、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、レッドカーラント色素、ブラックカーラント色素、ブラックベリー色素、ブルーベリー色素、プラム色素、ホワートルベリー色素、ボイセンベリー色素、マルベリー色素、ムラサキイモ色素、紫トウモロコシ色素、紫ヤマイモ色素、ラズベリー色素、ローガンベリー色素、紫サボテン色素等がある。
【0068】
また、前記カロチノイド系色素としては、アナトー色素、パプリカ色素(トウガラシ色素)、β−カロチン色素、アスタキサンチン色素、クチナシ黄色素、トマト色素、マリーゴールド色素等がある。
【0069】
また、前記フラボノイド系色素としては、カカオ色素、コウリャン色素、シアナット色素、タマネギ色素、タマリンド色素、ベニバナ黄色素、ベニバナ赤色素、カロブ色素等がある。
【0070】
上記、天然色素を配合している飲食品としては、ジュース、ソーダ水、シロップ、アイス、菓子、キャンディー、ゼリー、漬け物、すり身製品等である。
【0071】
本発明の退色防止剤を上記に掲げた天然色素を含有する飲食品に対して好ましくは0.01〜0.4質量%、より好ましくは0.05〜0.2質量%配合する事により、飲食品の陳列時における蛍光灯や太陽光による天然色素の退色、及び製造時における加熱操作による天然色素の退色を抑制する事が出来る。
【0072】
本発明によれば、フラボノイド系化合物を含有する粉末状の退色防止剤の場合も、フラボノイド系化合物を含有する液状の退色防止剤の場合も、いずれにおいても、品質の長期安定性に優れ、光や熱による天然色素の退色を有意に防止することの出来る退色防止剤を提供する事ができる。
【実施例】
【0073】
以下に実施例および比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0074】
(1)退色防止剤の調製
酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製、商品名「αGルチンP」)、粉末フィチン酸(株式会社ジャード製、商品名「粉末フィチン酸30P」)、50質量%フィチン酸(築野ライスファインケミカルズ株式会社製)、トレハロース(林原生物化学研究所)、食塩(和光純薬工業株式会社製)、50質量%乳酸ナトリウム(株式会社武蔵野化学研究所製、発酵品)、クエン酸・1水塩(和光純薬工業株式会社製)を使用して、表1に示す配合組成になるように、各種の退色防止剤を調製する。
【0075】
表1において、A、Bは本発明に係る退色防止剤であり、Aは粉末状、Bは液状である。
【0076】
また、C〜Gは比較として調製した退色防止剤であり、C〜Eは粉末状、FとGは液状である。
【0077】
【表1】

【0078】
(2)天然色素水溶液の耐光性試験(実施例1〜2、比較例1〜6)
最初に、天然色素水溶液の耐光性試験により、各退色防止剤の効果を調べた。
【0079】
表2に示す市販されている各天然色素を使用して、これら天然色素の0.1%水溶液(クエン酸でpH2.7調整)に、表1に掲げた調製直後のA〜Gの退色防止剤と、1年間保存(室温、遮光)しておいたA〜Gの退色防止剤を表3に示す所定量添加する。
【0080】
これらの水溶液30mlをポリエチレンの袋(株式会社生産日本社製、商品名「ユニパックD−4」)に入れて、紫外線(UV)を16時間照射した。
【0081】
紫外線を16時間照射後、色素の残存率を次式により測定した。
【0082】
【数1】

【0083】
尚、可視部極大吸収波長は、赤キャベツ色素、ムラサキイモ色素、ブドウ果皮色素では532nm、赤ダイコン色素では513nmで測定した。
【0084】
UV照射後の各色素の残存率を表3に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
表3に示した各天然色素の耐光性試験の結果より、本発明の退色防止剤A(実施例1)、およびB(実施例2)は酵素処理ルチンを単独で使用した場合よりも(比較例2、比較例5)、光(紫外線)が原因となる天然色素の退色に対して、その防止効果が顕著に優れている事が判る。
【0088】
より詳しく説明すると、比較例2(酵素処理ルチンのみの粉末)と比較例5(酵素処理ルチンのみの水溶液)の酵素処理ルチンの色素水溶液中の濃度は0.04%であるが、実施例1(退色防止剤A)と実施例2(退色防止剤B)の場合も同じく0.04%(製剤中の濃度20%×添加量0.2%)である。
【0089】
しかしながら、酵素処理ルチンの量は同じにも関わらず、例えば赤キャベツ色素の色素残存率は、比較例2(調製直後)で57.6%、比較例5(調製直後)で57.4であるのに対し、本発明のAとBの場合は、A(調製直後)で91.3%、B(調製直後)で90.6%と高い。この理由は、酵素処理ルチンとフィチン酸の併用効果のためと考えられる。製剤E(比較例4)のように、酵素処理ルチンとクエン酸の組み合わせでは、酵素処理ルチン単独使用の場合と変わらない。
【0090】
尚、酵素処理ルチンとフィチン酸を配合している退色防止剤D(比較例3)と退色防止剤G(比較例6)でも、調製直後では、本発明の退色防止剤と同様に高い退色防止効果を示すが、本発明の退色防止剤(AとB)の場合は1年保存していても、その退色防止効果が変化しないのに対し、比較品(DとG)の場合は1年保存していたものだと、その退色防止効果が低減してしまっている。粉末状のA(本発明品)とD(比較品)の違いは、トレハロースと食塩の違いだけであるが、D(比較品)の場合は酵素処理ルチンが保存中に次第に吸湿して一部劣化するために効果が低減するのに対し、A(本発明品)の場合はトレハロースが配合されているため、吸湿による酵素処理ルチンの劣化が無いために、1年保存後でも調製直後と比べて効果が変わらないと考えられる。
【0091】
また、液状のB(本発明品)とG(比較品)の違いは、B(本発明品)は乳酸ナトリウムによりpHを4に調整しているのに対し、G(比較品)はpHを3〜5の範囲に調整せずpHが1.1となっている。そのため、G(比較品)の場合は酵素処理ルチンが保存中に一部劣化するために効果が低減するのに対し、B(本発明品)の場合は酵素処理ルチンの劣化が無いために、1年保存後でも調製直後と比べて効果が変わらないと考えられる。
【0092】
(3)天然色素水溶液の耐熱性試験(実施例3〜4、比較例7〜12)
次に天然色素水溶液の耐熱性試験により、各退色防止剤の効果を調べた。
【0093】
表4に示す市販されている各天然色素を使用して、これら天然色素の0.1%水溶液(クエン酸でpH2.7調整)に、表1に掲げた調製直後のA〜Gの退色防止剤と、1年間保存(室温、遮光)しておいたA〜Gの退色防止剤を表5に示す所定量添加する。
【0094】
これらの水溶液5mlをアンプル管に入れて、97℃のオイルバスで2時間加熱後、色素の残存率を測定した。
【0095】
色素の残存率は次式により測定した。
【0096】
【数2】

【0097】
尚、可視部極大吸収波長は、赤キャベツ色素、ムラサキイモ色素、ブドウ果皮色素では532nm、赤ダイコン色素では513nmで測定した。
【0098】
加熱後の各色素の残存率を表5に示す。
【0099】
【表4】

【0100】
【表5】

【0101】
表5に示した各天然色素の耐熱性試験の結果より、本発明の退色防止剤A(実施例3)とB(実施例4)は、熱による天然色素の退色防止においても、顕著な効果を示す事が判る。より詳細に説明すると、例えば、赤ダイコン色素の耐熱性試験の場合、無添加(比較例7)だと、その色素の残存率は75.8%である。また、酵素処理ルチンにフィチン酸を配合していない退色防止剤C(比較例8)、E(比較例10)、F(比較例11)の場合、赤ダイコン色素の残存率(調製直後)は、それぞれ、76.8%、76.7%、76.6%と無添加(比較例7)の場合と殆ど変わらず、退色防止効果が見出されない。一方、本発明のAとBの場合、赤ダイコン色素の残存率(調製直後)は、それぞれ、88.4%、90.3%と、その退色抑制効果は顕著に優れている事が判る。
【0102】
製剤D(比較例9)とG(比較例12)も、調製直後は本発明の退色防止剤と同等な効果を示すものの、1年保存しておくと、その退色抑制効果は低減してしまう。一方、本発明のAとBの場合は、1年保存しておいても、その効果は失われない。この理由は、A(本発明の粉末状の退色防止剤)の場合はトレハロースの配合により、1年保存後も吸湿による酵素処理ルチンの劣化が無いためと考えられる。また、B(本発明の液状の退色防止剤)の場合は、そのpHを4に調整しているため、1年保存後も酵素処理ルチンの劣化が無いためと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖アルコールならび/またはグルコース、ガラクトース、エリトーロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、マンノース、フルクトース、およびリブロースからなる群から選択される少なくとも一つの単糖、もしくはこれらの少なくとも2つ以上を結合させてなる糖類(ただし、重合度6以上であって、かつ全てグルコースの糖類は除く)、ならびにフラボノイド系化合物、リン酸系化合物を含む天然色素の退色防止剤。
【請求項2】
前記フラボノイド系化合物は、ルチン、酵素処理ルチン、ミリセチン、ミリシトリン、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ケンフェロール、トリホリン、アストラガリン、ロビニン、フラボン、クリシン、トリンギン、アピゲニン、コスモシイン、アピイン、ルテオリン、ガルテオリン、グルコルテオリン、ダイジン、ゲニスチン、ピノセンブリン、サリプルピン、プルニン、ナリンギン、サクラニン、ヘスペリジン、エリオジクチオール、マットイシノール、ピノバンクシン、アロマデンドリン、エンゲリチン、フスチン、タキシホリン、アスチルビン、アンペロプチン、コレオプシン、イソブトリン、イソカルタミン、カルタミン、ペジシン、ペジシニン、スルフレイン、パラシトリン、レプトシン、オーロイシン、セルヌオシド、ペラルゴニン、クリサンテミン、イディン、シアニン、デルフィン、およびビオラニンからなる群から選択される少なくとも一つの化合物である、請求項1に記載の天然色素の退色防止剤。
【請求項3】
前記リン酸系化合物は、フィチン酸、フィチン、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ニナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸二水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つの化合物である、請求項1または2のいずれかに記載の天然色素の退色防止剤。
【請求項4】
前記糖類は、トレハロースである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の天然色素の退色防止剤。
【請求項5】
前記糖アルコールは、ソルビトールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の天然色素の退色防止剤。
【請求項6】
酵素処理ルチン、フィチン酸、および有機酸塩を含む水溶液であって、前記水溶液のpHが3〜5である、天然色素の退色防止剤。
【請求項7】
前記有機酸塩は、乳酸ナトリウムおよび乳酸カリウムの少なくとも一つである、請求項6に記載の退色防止剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の退色防止剤を全質量に対して0.01〜0.4質量%含有する飲食品。

【公開番号】特開2007−302751(P2007−302751A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130861(P2006−130861)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(390022301)株式会社武蔵野化学研究所 (63)
【Fターム(参考)】