説明

天然資源を基質とする粘弾性発泡体

本発明の実施形態は、発泡体の約1〜約25重量%の再生可能な天然資源含量を有する粘弾性発泡体を開示する。発泡体は、25%の圧縮力撓み(compression force deflection)(CFD)に対する20℃での弾性率(E’)の比率が25〜125であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年7月18日に出願され、「天然資源を基質とする粘弾性発泡体」と題された米国特許仮出願第61/081,996号(参照により本明細書に組み込まれる)の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明の実施形態は、概して、粘弾性ポリウレタン発泡体、およびこれらの発泡体の調製方法に関する。特に、実施形態は、再生可能な天然資源を基質とする成分を含む粘弾性発泡体に関する。
【0003】
ポリウレタン発泡体は、緩衝材(マットレス、枕および座席クッション等)から、梱包材、断熱材までの幅広い用途、ならびに医療的用途のために使用されている。ポリウレタンは、ポリマーを形成する際に使用する原材料の選択によって特定の用途に応じることができるという能力がある。剛質タイプのポリウレタン発泡体は、電化製品絶縁用発泡体、およびその他の断熱用途として使用される。半剛質ポリウレタンは、ダッシュボードおよびハンドル等の自動車用用途において使用される。より軟質のポリウレタン発泡体は、とりわけ家具、寝具および自動車用座席等の緩衝材用途において使用される。
【0004】
ポリウレタン発泡体の1クラスとして、粘弾性(VE)または「形状記憶」発泡体が知られている。粘弾性発泡体は、負荷応力に対して遅延性かつ速度依存性(rate-dependent)の応答を示す。これらは、弾性が低く、圧縮された場合にはゆっくりと回復する。これらの特性は、ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)に関連することが多い。粘弾性は、ポリマーが、使用される温度またはそれに近い温度(多くの用途では室温)においてTgを有する場合に現れることが多い。
【0005】
ほとんどのポリウレタン発泡体と同様に、VEポリウレタン発泡体は、発泡剤の存在下でのポリオール成分とポリイソシアネートとの反応により調製される。発泡剤は、通常は水、またはそれよりは好ましくはないが水と別の物質との混合物である。VE製剤は、製剤中のポリオール成分の選択および水の量によって特徴付けられる場合が多い。これらの製剤において使用される主要なポリオールは、官能価が約3水酸基/分子、および分子量が400〜1500の範囲にある。このポリオールは、ポリウレタン発泡体のTgの主要な決定因子であるが、水の量およびイソシアネート指数等の他の因子も有意な役割を果たす。
【0006】
典型的に、粘弾性ポリウレタン発泡体は、通常、室温(22℃)かつ大気圧(1 atm)の条件下で約1.0標準立法フィート/分(scfm)(0.47 1/s)未満の低い流量特性を有するため、快適さのために使用される発泡体(例えば、寝具、座席および他の緩衝材)として使用された場合に発汗を促進する。低流量はまた、発泡体からの熱伝導および水分伝導を低くし、(1)高い発泡体(寝台)温度および(2)水分量を生じる。温度がより高い結果、弾性はより高く、粘弾性性質はより低くなる。熱および水分が組み合わさって、発泡体の疲労に拍車をかける。また、発泡体流量が十分に低ければ、発泡体は製造中の収縮に耐えることができる。さらに、粘弾性特性を妥協しない限り、粘弾性発泡体の支持因子(support factor)の改善には限りがある。これらの不都合は、コポリマーポリオール(スチレン/アクリロニトリル(SAN)を含むもの等)の添加により対応される場合もある。
【0007】
発泡体の粘弾性特性は保持したまま、現在一般的に得られているよりも高い流量値を得ることが望ましいであろう。また、支持因子を改善すると共に、流量の良好な発泡体を得ることが望ましいであろう。また、一部の用途においては、手触りの柔らかい発泡体を得ることが望ましいであろう。さらに、再生可能な天然資源を基質とする成分を含む発泡体においてこれらの特性を得ることが望ましいであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の概要
本発明の実施形態は、開口セル構造、このような構造を組み込んだ粘弾性発泡体、このような発泡体を製造する反応系および方法を含む。
【0009】
一実施形態は、25%の圧縮力撓み(CFD)に対する20℃での弾性率(E')の比率が25〜125である粘弾性発泡体であって、再生可能な資源の含量が発泡体の約1%〜約25重量%である発泡体を提供する。
【0010】
本発明のさらなる実施形態は、a1)100〜2000の平均当量、および2〜4の平均公称(average nominal)ヒドロキシ官能価を有する(ただし、ポリオールがポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオールの場合、ポリオキシプロピレン含量はポリオールの少なくとも70重量%である)、30〜80重量%の少なくとも1つのポリオキシプロピレンまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオール;a2)100〜1000の平均当量、および2〜4の平均公称ヒドロキシ官能価を有する(ただし、ポリオールがポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオールの場合、ポリオキシエチレン含量はポリオールの少なくとも70重量%である)、5〜50重量%のポリオキシエチレンまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオール;ならびにa3)再生可能な天然資源に由来する、1〜40重量%の少なくとも1つのイソシアネート反応化合物、を含むポリオール組成物を提供する。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は:a)上記開示したポリオール組成物;b)ポリイソシアネート組成物;c)a)の総重量に基づいて0.5〜3.5重量%の水;ならびに、任意にd)それ自体で公知の添加剤および補助剤を含む、粘弾性ポリウレタン発泡体を調製するための反応系を提供する。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態は:A)a)上記開示されたポリオール組成物を含むイソシアネート反応成分;b)少なくとも1つのポリイソシアネート;c)a)の0.5〜3.5重量%の量の水;ならびにd)任意に、それ自体で公知の添加剤および補助剤、を少なくとも含む反応混合物を形成すること;ならびにB)該反応混合物を膨張および硬化させて粘弾性ポリウレタン発泡体を形成するのに十分な条件に該反応混合物を供すること、を含む粘弾性ポリウレタン発泡体を調製するプロセスを提供する。
【0013】
発明の詳細な説明
本明細書で使用する「粘弾性発泡体」という用語は、ASTM D3574テストHに従って測定した際に25%未満の弾性を有する発泡体を指すことを意図する。発泡体は、20%未満の弾性を有することが好ましい。さらなる実施形態では、発泡体は、15%未満またはさらには10%未満の弾性を有する。特定の実施形態では、発泡体は、5%未満、さらには3%未満の弾性を有する。
【0014】
本明細書で使用する「粘弾性」という用語は、物質中に弾性(固体)および粘性(液体)特性が共存することによる、かかる定荷重(応力)に対する物質の時間依存型応答である。動的機械特性においては、粘弾性のレベルは、物質の損失正接(tan delta)によって測定される減衰係数に比例する。損失正接とは、ヤング(弾性)率E'に対する粘性消散損失モジュールE”の比率である。高い損失正接値は、物質の性質において高粘性成分が存在することを暗示するため、あらゆる摂動に対して強い減衰が見とめられる。E'および損失正接は、動的機械熱分析(DMTA)により決定される。本明細書のDMTAは、TA Instruments RSA IIIレオメータを、シリンダー状の張力/圧縮形状治具と共に用いて測定される。テストの種類は、開始温度が-115.O℃、最終温度が250.0℃、ランプ速度が3.0℃/分の動的温度ランプ法である。E'対25%CFDを、密度に対して正規化する。
【0015】
ガラス転移温度(Tg)は、動的機械熱分析(DMTA)測定における損失正接曲線のピーク値に対応する温度である。弾性率E'、損失モジュールE”、および損失正接(loss tangent or tan delta)として知られる損失モジュール対弾性率の比率E”/E'を、温度に対して測定する。損失正接曲線のピークに対応する温度を、テストする標本のガラス転移温度(Tg)とする。
【0016】
本明細書で使用する「支持因子」という用語は、65%の圧縮(圧入)力撓み(CFD)を25%の圧縮力撓みで割った比率を指す。「圧縮力撓み」という用語は、24平方インチ(155cm2)ほどの小ささの4インチ(10cm)の厚みのサンプルを、サンプルの初期高さの25または65%まで圧縮するのに必要な力(それぞれ25%CFDおよび65%CFDと表示)(ポンド表示)(kPaに変換)として測定した、弾力性のある物質(例えば、発泡体)の耐荷重能の測定値を指す。
【0017】
本発明の発泡体は、概して、2scfm以上の流量を有する。別の実施形態では、発泡体の流量は、2.3scfmより大きい。発泡体が十分な支持を有するように実質的に考慮するため、発泡体は概して8scfm未満の流量を有する。別の実施形態では、発泡体は、7scfm未満の流量を有する。さらなる実施形態では、発泡体は2.3scfm〜6.25scfmの流量を有する。
【0018】
良好な弾性率を維持したまま柔らかい手触りを有する発泡体は、弾性率(20℃にて測定)対25%CFDの比率として表すことができる。本発明の粘弾性発泡体は、弾性率対25%CFD比が25以上である。この比率は30以上であることが好ましい。さらなる実施形態では、この比率は35以上である。この比率は概して125以下である。一部の実施形態では、この比率は115以下であり得る。さらに別の実施形態では、この比率は110以下である。
【0019】
本発明の発泡体は、0〜40℃の温度範囲にわたり0.3を上回る損失正接を示す。さらなる実施形態では、損失正接が、0〜40℃の温度範囲にわたり0.4以上、特に18〜40℃の温度範囲にわたり0.4以上である。
【0020】
硬化したVE発泡体は、2.5〜30ポンド/立法フット(pcf)(40〜480kg/m3)の範囲の密度を有利に有し、好ましくは密度は3.0 ポンド/立法フット(48 kg/m3)以上である。密度は、最大20 lb/ft3(320kg/m3)であることが好ましい。さらなる実施形態では、密度は、10 lb/ft3(160kg/m3)以下である。密度は、ASTM D 3574-01テストAに従って都合よく測定される。
【0021】
本発明の一実施形態では、粘弾性発泡体は、イソシアネート成分およびイソシアネート反応成分を含む反応系の反応生成物である。ポリウレタン生成において使用されるイソシアネート反応成分は、一般的に、少なくとも2つの水酸基またはアミン基を有する化合物である。これらの化合物は、本明細書においてポリオールと称する。一実施形態では、ポリオールは、反応水酸基を含むポリエーテルポリオールである。
【0022】
ポリエーテルポリオールは、適当な出発分子(開始剤)のアルキレンオキシドでのアルコキシル化により得られるものを含む。2〜4の反応部位を有する開始剤分子の例としては、水、アンモニア、または62〜399の分子量を有する二価アルコール等の多価アルコール、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパンもしくはトリメチロールエタン等のアルカンポリオール、またはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリオール、トリプロピレングリコールもしくはブチレングリコール等のエーテル基を含む低分子量アルコールが挙げられる。これらのポリオールは、従来の方法で調製される従来の物質である。この重合のための触媒作用は、アニオン性またはカチオン性のいずれであってもよく、KOH、CsOH、三フッ化ホウ素等の触媒、またはヘキサシアノコバルト酸亜鉛もしくは第四級ホスファゼニウム化合物等の複シアン化物錯体(DMC)触媒を使用することができる。アルカリ性触媒の場合、これらのアルカリ性触媒は、生成終了時に、凝集(coalescence)、ケイ酸マグネシウム分離、または酸中和等の適当な仕上げ工程によってポリオールから除去されることが好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態では、イソシアネート反応成分は:a1)数平均当量が100〜2000で、数平均公称ヒドロキシ官能価が2〜4 である、30〜80重量%の少なくとも1つのポリオキシプロピレンまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオール(ただし、ポリオールがポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオールである場合には、ポリオキシプロピレン含量がポリオールの少なくとも70重量%である);a2)数平均当量が100〜1000で、数平均公称ヒドロキシ官能価が2〜4である、5〜50重量%のポリオキシエチレンまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオール(ただし、ポリオールがポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオールである場合、ポリオキシエチレン含量はポリオールの少なくとも70重量%である);ならびにa3)再生可能な天然資源に由来する10〜40重量%の少なくとも1つのイソシアネート反応化合物、を含むポリオール組成物である。
【0024】
ポリオキシプロピレンを基質とするポリオールa1)は、概して、プロピレンオキシド(PO)ユニット由来の70重量%を上回るオキシアルキレンユニット、および好ましくはPO由来の少なくとも75重量%のオキシアルキレンユニットを含む。他の実施形態では、ポリオールは、80重量%を上回るPO由来のオキシアルキレンユニットを含み、別の実施形態では、85重量%以上のオキシアルキレンユニットがPOから誘導される。一部の実施形態では、プロピレンオキシドは、ポリオールの生成において使用される唯一のアルキレンオキシドである。ポリオールa1)の生成にエチレンオキシド(EO)を使用する場合、EOは、POとの同時供給物として供給されるか、または内部ブロック(internal block)として供給されることが好ましい。
【0025】
別の実施形態では、ポリオール成分a1)は、総ポリオール組成物の35重量%、40重量%、45重量%を構成する。ポリオール成分a1)は、総ポリオールの60重量%、65重量%、70重量%、およびさらには最大80重量%を構成し得る。
【0026】
さらなる実施形態では、ポリオールa1)は、2つの個別の成分;すなわち、数平均当量が700未満の少なくとも1つのポリオール(a1aと称する)、および当量が700以上の少なくとも1つの第二のポリオール(a1bと称する)、を含む。ポリオール成分a1a)およびa1b)はそれぞれ単独で、ポリオールa1)について上記記載したようなPO由来の重量%を含み得る。
【0027】
2つの個別のポリオールa1a)およびa1b)が使用される場合、ポリオール成分a1a)は、概して、総ポリオール組成物a)の少なくとも5重量%、10重量%または少なくとも15重量%を構成する。ポリオール成分a1a)は、総ポリオールの少なくとも50重量%、55重量%、60重量%およびさらには最大79重量%を構成してもよい。ポリオールa1a)の当量は、概して、100〜700未満、好ましくは150〜650である。他の実施形態では、当量は200〜650である。
【0028】
ポリオールa1a)およびa1b)の両方が存在する場合、ポリオールa1b)は、一般的に、総ポリオールの少なくとも1重量%、少なくとも3重量%または少なくとも5重量%を構成する。ポリオールa1b)は、一般的に、存在する総ポリオールの25重量%未満、好ましくは20重量%未満、またはさらには17重量%未満を構成する。ポリオールa1b)の当量は、700〜2000である。ポリオールa1b)の当量は、750〜1750であることが好ましい。別の実施形態では、ポリオールa1b)の当量は、800〜1450である。別の実施形態では、ポリオールa1b)の当量は、1250未満である。
【0029】
ポリオールa2)は、70重量%を上回るオキシエチレンユニット、好ましくは少なくとも75重量%のオキシエチレンユニット、より好ましくは少なくとも80重量%のオキシエチレンユニット、さらに別の実施形態では少なくとも90重量%、およびさらに少なくとも93重量%のオキシエチレンユニットを含む、ポリオキシエチレンを基質とするポリオールである。一部の実施形態では、a2)は、オキシエチレンユニット以外のオキシアルキレンユニットを本質的に含まない。ポリオールa2)は、結合水酸基の公称官能価が2〜4、好ましくは2〜3であり、実施形態によっては公称官能価が3である。
【0030】
ポリオール中の組み合わせた水酸基の合計に対するa2)の数平均当量は、100〜1000;150〜825;175〜750であり、実施形態によっては190〜500、さらには200〜500未満である。
【0031】
別の実施形態におけるポリオール成分a2)は、総ポリオール組成物の少なくとも10重量%、14重量%、または17重量%を構成し得る。ポリオール成分a2)は、総ポリオールの44重量%未満、40重量%、35重量%、または30重量%未満を構成し得る。
【0032】
ポリオール組成物の成分a3)は、再生可能な天然資源から誘導される少なくとも1つのイソシアネート反応化合物である。成分a3)は、天然油を基質とするポリオールであり得る。
【0033】
天然油を基質とするポリオールは、天然および/または遺伝子組換え(GMO)野菜種油および/または動物性脂肪等の再生可能な原料資源を基質とするかまたはそこから誘導されるポリオールである。このような油および/または脂肪は、一般的に、トリグリセリド、すなわち、グリセロールに結合した脂肪酸を含む。このような野菜油は、トリグリセリド中に少なくとも約70%の不飽和脂肪酸を含むことができ、天然生成物は少なくとも約85重量%の不飽和脂肪酸を含み得る。野菜油の例としては、ヒマシ、ダイズ、オリーブ、ラッカセイ、ナタネ、トウモロコシ、ゴマ、綿、キャノーラ、ベニバナ、アマニ、ヤシ、グレープシード、ブラックキャラウェイ、カボチャ殻粒、ルリヂサ種子、樹木の胚芽(wood germ)、杏仁、ピスタチオ、アーモンド、マカダミアナッツ、アボカド、シーバックソーン、麻、ヘーゼルナッツ、月見草、野バラ、アザミ、クルミ、ヒマワリ、ジャトロファ種子(jatropha seed)油に由来するもの、またはそれらの組合せが挙げられる。さらに、藻類等の生物から得られる油も使用できる。動物性生成物の例としては、ブタ脂、牛脂、魚油およびそれらの混合物が挙げられる。植物性および動物性の油/脂肪の組合せも使用できる。
【0034】
ポリウレタン発泡体の生成に使用するために、天然物質を修飾して、物質にイソシアネート反応基を付与するか、または物質上のイソシアネート反応基の数を増やしてもよい。このような反応基は水酸基であることが好ましい。いくつかの化学物質を使用して、天然油を基質とするポリオールを調製することができる。再生可能な資源のこのような修飾としては、例えば、エポキシ化、ヒドロキシ化、オゾン分解、エステル化、ヒドロホルミル化、またはアルコキシル化が挙げられる。このような修飾は、当該分野でよく知られており、例えば、米国特許第4,534,907号、同第4,640,801号、同第6,107,433号、同第6,121,398号、同第6,897,283号、同第6,891,053号、同第6,962,636号および同第6,979,477号、ならびにPCT公報第WO2004/020497号、同第WO2004/096744号および同第WO2004/096882号に記載されている。
【0035】
天然油の修飾によるこのようなポリオールの生成後、修飾生成物をさらにアルコキシル化してもよい。エチレンオキシド(EO)、またはEOと他のオキシドとの混合物を使用することにより、親水性部分がポリオールに導入される。一実施形態では、修飾生成物は、十分なEOでのアルコキシル化を経て、約10重量%〜約60重量%のEO、好ましくは約20重量%〜約40重量%のEOを有する、天然油を基質とするポリオールを生成する。
【0036】
別の実施形態では、動物または植物油/脂肪をエステル交換に供し、構成脂肪酸を復元する多工程プロセスにより、天然油を基質とするポリオールを得る。この工程の後、構成脂肪酸中の炭素-炭素二重結合をヒドロホルミル化して、ヒドロキシメチル基を形成し、その後、ヒドロキシメチル化した脂肪酸を適当な開始化合物と反応させて、ポリエステルまたはポリエーテル/ポリエステルを形成する。このような多工程プロセスは当該分野でよく知られており、例えば、PCT公報第WO2004/096882号および同第2004/096883号に記載されている。多工程プロセスにより、疎水性および親水性部分の両方を有するポリオールが生成され、これは水および従来の石油を基質とするポリオールの両方との混和性を向上させる。
【0037】
天然油を基質とするポリオールを生成するための多工程プロセスで使用される開始剤は、従来の石油を基質とするポリオールの生成に使用される任意の開始剤であり得る。開始剤は、ネオペンチルグリコール;1,2-プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;ペンタエリトリトール;ソルビトール;ショ糖;グリセロール;ジエタノールアミン;アルカンジオール、例えば、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール;1,4-シクロヘキサンジオール;2,5-ヘキサンジオール;エチレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;ビス-3-アミノプロピルメチルアミン;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;9(1)-ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン;8,8-ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,l,02,6]デセン;ジメロール(Dimerol)アルコール(Henkel Corporationから入手可能な炭素数36のジオール);水素化ビスフェノール;9,9(10,10)-ビスヒドロキシメチルオクタデカノール;1,2,6-ヘキサントリオール、およびそれらの組合せからなる群より選択されることが好ましい。より好ましくは、開始剤は、グリセロール;エチレングリコール;1,2-プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;エチレンジアミン;ペンタエリトリトール;ジエチレントリアミン;ソルビトール;ショ糖;または存在するアルコールもしくはアミン基の少なくとも1つがエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはそれらの混合物と反応している上記いずれか;ならびにそれらの組合せからなる群より選択される。より好ましくは、開始剤は、グリセロール、トリメチロールプロパン(trimethylopropane)、ペンタエリトリトール、ショ糖、ソルビトール、および/またはそれらの混合物である。
【0038】
再生可能な天然資源から誘導される少なくとも1つのイソシアネート反応化合物は、別の実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシメチル化脂肪酸またはそのエステルを含んでもよい。このようなヒドロキシメチル化脂肪酸またはそのメチルエステルを形成するために、上記動物または植物油/脂肪をエステル交換に供し、構成脂肪酸エステルを復元させる。この工程の後に、構成脂肪酸エステル中の炭素-炭素二重結合をヒドロホルミル化し、その後、水素化してヒドロキシメチル基を生成する。ヒドロキシメチル化脂肪酸、または対応するヒドロキシメチル化脂肪酸エステルのどちらを使用してもよい。一実施形態では、ヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステルを使用する。別の実施形態では、9(10)-ステアリン酸ヒドロキシメチル(オレイン酸メチルをヒドロホルミル化および還元することにより調製)を使用してもよい。
【0039】
再生可能な天然資源から誘導される少なくとも1つのイソシアネート反応化合物は、別の実施形態において、少なくとも1つの重合したヒドロキシメチル化脂肪酸、またはそのエステルを含み得る。例えば、重合したヒドロキシメチル化脂肪酸、またはそのエステルは、メタノールを損失および三量体ポリマーを形成し易いメチル9(10)-ステアリン酸ヒドロキシメチルから誘導され得る。
【0040】
別の実施形態において、成分a3)は、総ポリオール組成物の少なくとも1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、または25重量%を構成し得る。成分a3)は、総ポリオールの40重量%未満、35重量%、30重量%、または25重量%未満を構成し得る。
【0041】
成分b)は、1分子当たりに平均で1.8以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートである。イソシアネート官能価は、好ましくは約1.9〜4であり、より好ましくは1.9〜3.5であり、特に1.9〜2.5である。適切なポリイソシアネートは、芳香族、脂肪族およびシクロ脂肪族ポリイソシアネートを含む。生成物ポリウレタンの費用、入手可能性および特性を基準にする場合には、芳香族ポリイソシアネートが一般的に好ましい。ポリイソシアネートの例としては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の種々の異性体、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI(H12 MDI)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ビフェニルジイソシアネート、3,3'-ジメチルジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート、4,4',4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート、および4,4'-ジメチルジフェニルメタン-2,2',5,5'-テトライソシアネートが挙げられる。好ましいポリイソシアネートとしては、MDI、ビウレット修飾型「液体」MDI生成物およびポリマーMDI等のMDIの誘導体、ならびにTDIの2,4-および2,6-異性体の混合物が挙げられる。
【0042】
特に関心のあるポリイソシアネートは、少なくとも60重量%の2,4-異性体を含む2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートの混合物である。別の実施形態では、ポリイソシアネートは、約80重量%の2,4-異性体を含む2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートの混合物である。これらのポリイソシアネート混合物は、広く入手可能であり、比較的費用がかからないが、発泡体製剤を加工するのが困難であったために、これまで商業規模のVE発泡体プロセスにおいて使用することが困難であった。
【0043】
さらなる実施形態では、ポリイソシアネートは、イソシアネート基の数平均官能価が2.1を上回り、および重量ベースでは主にMDI系の1つ以上のポリイソシアネートで構成される。
【0044】
典型的に使用されるポリイソシアネートの量は、70〜115のイソシアネート指数を得るのに十分なものである。別の実施形態では指数は85〜110であり、さらなる実施形態では85〜105である。イソシアネート指数は、イソシアネートの当量を、イソシアネート反応水素を含む物質の全当量で割り、100を掛けたものである。
【0045】
発泡体製剤は、100重量部のポリオールまたはポリオール混合物当たりに約0.5〜約3.5部の量の水を含む。本発明は、100重量部のポリオール当たりの水含量が約0.8〜約2.5部、特に1.0〜2.25部、さらなる実施形態では0.8〜1.8重量部である製剤を特に目的とする。
【0046】
反応系は、上記特定したもの以外に、本明細書に記載するような任意の鎖延長剤、架橋剤または反応充填剤を抜かして、合計反応系の最大10重量%の少量(ただし、典型的に、ゼロまたは最大5重量%未満)の反応(ポリマー形成)種を任意に含むことができる。これらとしては、例えば、上記したものとは異なる、第1級および/もしくは第2級アミン、ポリエステルポリオール、またはポリオールを含む種が挙げられる。
【0047】
第3級アミン;トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィン等の第3級ホスフィン;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等と、Be、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、CoおよびNi等の金属とで得られるような種々の金属キレート;塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマスおよび塩化ビスマス等の強酸の酸性金属塩(acid metal salt);アルカリおよびアルカリ性土類金属水酸化物、アルコキシドおよびフェノキシド等の強塩基;Ti(OR)、Sn(OR)およびA1(OR)(ここで、Rはアルキルまたはアリール)等の種々の金属アルコラートおよびフェノラート;アルコラートと、カルボン酸、β-ジケトンおよび2-(N,N-ジアルキルアミノ)アルコールとの反応生成物;アルカリ性土類金属、Bi、Pb、SnまたはAlカルボン酸塩;ならびに四価スズ化合物、および三価または五価ビスマス、アンチモンまたはヒ素化合物、を含む幅広い種類の物質がポリウレタン形成反応を触媒することが知られている。好ましい触媒としては、第3級アミン触媒および有機スズ触媒が挙げられる。市販されている第3級アミン触媒の例としては以下のものが挙げられる:すなわち、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジメチルピペラジン、1,4-ジアゾビシクロ-2,2,2-オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびジメチルアルキルアミン(アルキル基が4〜18の炭素原子を含む)。これらの第3級アミン触媒の混合物が使用されることが多い。市販されているアミン触媒の例としては、Niax(登録商標)AlおよびNiax(登録商標)A99(GE Advanced Materials, Siliconesから入手可能なビス(ジメチルアミノエチル)エーテル含有プロピレングリコール)、Niax(登録商標)B9(GE Advanced Materials, Siliconesから入手可能なN,N-ジメチルピペラジンおよびN-N-ジメチルヘキサデシルアミン含有ポリアルキレンオキシドポリオール)、Dabco(登録商標)8264(Air Products and Chemicalsから入手可能なジプロピレングリコールに入ったビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびジメチルヒドロキシエチルアミンの混合物)、Dabco(登録商標)33LV(Air Products and Chemicalsから入手可能なトリエチレンジアミン含有ジプロピレングリコール)、Niax(登録商標)A-400(GE Advanced Materials、Siliconesから入手可能な独自開発の第3級アミン/カルボン酸塩およびビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル含有水および独自開発のヒドロキシ化合物);Niax(登録商標)A-300(GE Advanced Materials、Siliconesから入手可能な、独自開発の第3級アミン/カルボン酸塩およびトリエチレンジアミン含有水);Polycat(登録商標)58(Air Products and Chemicalsから入手可能な独自開発のアミン触媒)、Polycat(登録商標)5(Air Products and Chemicalsから入手可能なペンタメチルジエチレントリアミン)、ならびにPolycat(登録商標)8(Air Products and Chemicalsから入手可能なN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン)が挙げられる。
【0048】
有機スズ触媒の例としては、塩化第二スズ、塩化第一スズ、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、ジメチルスズジラウレート(dimethyltin dilaurate)、ジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)、式SnRn(OR)4-n(ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、nは0〜2である)の他の有機スズ化合物等がある。有機スズ触媒は、一般的に、使用される場合には、1つ以上の第3級アミン触媒と共に使用される。市販されている目的の有機スズ触媒としては、Dabco(登録商標)T-9およびT-95触媒(両方とも、Air Products and Chemicalsから入手可能なオクタン酸第一スズ組成物)が挙げられる。
【0049】
触媒は、典型的に、少量で使用され、例えば、各触媒は、天然油由来ポリオール組成物の約0.0015〜約5重量%で採用される。量は、触媒または触媒の混合物、特定の装置のためのゲル化および発泡反応の望ましいバランス、ポリオールおよびイソシアネートの反応性、ならびに当業者に知られている他の因子に依存する。
【0050】
さらなる実施形態では、加工を改善し、高いイソシアネート指数の使用を可能にするために、国際公報WO 2008/021034(参照によりその開示を本明細書に組み込む)に記載されているような添加剤e)を反応混合物に添加してもよい。このような添加剤としては、1)カルボン酸のアルカリ金属または遷移金属塩;2)1,3,5-トリスアルキル-または1,3,5-トリス(N,N-ジアルキルアミノアルキル)-ヘキサヒドロ-s-トリアジン化合物;および3)第四級アンモニウム化合物のカルボン酸塩、が挙げられる。
【0051】
このような添加剤を使用する場合には、一般的に、100重量部の成分a)当たり約0.01〜1部の量で使用される。
【0052】
成分e)添加剤は、通常、反応混合物の少なくとも1つの他の成分に溶解される。一般的に、これをポリイソシアネートに溶解することは好ましくない。
【0053】
粘弾性発泡体製剤には、種々の追加成分が含まれていてもよい。これらとしては、例えば、鎖延長剤、架橋剤、界面活性剤、可塑剤、充填剤、可塑剤、煙抑制剤、香料、強化剤、染料、着色剤、顔料、保存料、臭気マスク、物理的発泡剤、化学的発泡剤、難燃剤、内部離型剤、殺生物剤、抗酸化剤、UV安定剤、静電気防止剤、揺変剤、接着促進剤、セル開口剤(cell opener)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0054】
発泡可能組成物は、セル開口剤、鎖延長剤、または架橋剤を含み得る。これらの物質を使用する場合、これらは典型的に、100重量部ポリオールまたはポリオール混合物当たり最大10重量部、特に最大2重量部の少量で使用される。鎖延長剤は、2つのイソシアネート反応基/分子を有する物質であり、架橋剤は平均で2つを上回るイソシアネート反応基/分子を含む。いずれの場合も、イソシアネート反応基当たりの当量は、約30〜100未満にわたることができ、概して30〜75である。イソシアネート反応基は、脂肪族アルコール、第一級アミンまたは第二級アミン基が好ましく、脂肪族アルコール基が特に好ましい。鎖延長剤および架橋剤の例としては、エチレングリコール、1,2-または1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール等のグリコールエーテルが挙げられる。
【0055】
界面活性剤は、粘弾性発泡体製剤に含有されて、発泡体が膨張および硬化する際に安定するのを助けてもよい。界面活性剤の例としては、プロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドをプロピレングリコールに順次添加して調製されるような非イオン性界面活性剤および湿潤剤、固体または液体有機シリコーン、ならびに長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテルが挙げられる。長鎖アルキル酸硫酸エステルの第3級アミンまたはアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル、およびアルキルアリールスルホン酸等のイオン性界面活性剤も使用され得る。固体または液体有機シリコーンと同様に、プロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドをプロピレングリコールに順次添加することにより調製された界面活性剤が好ましい。有用な有機シリコーン界面活性剤の例としては、Tegostab(Goldschmidt Chemical Corp.の登録商標)B-8462およびB-8404等の市販されているポリシロキサン/ポリエーテルコポリマー、Dow Corning から入手可能なDC-198およびDC-5043界面活性剤、ならびにOSi Specialtiesから入手可能なNiax(登録商標)627界面活性剤が挙げられる。
【0056】
界面活性剤を使用する場合、典型的に、100重量部のポリオールまたはポリオール混合物当たり0.0015〜1重量部の量で存在する。
【0057】
1つ以上の充填剤も、粘弾性発泡体製剤中に存在し得る。充填剤は、組成物の流動学的特性を有益に変化させ、費用を抑え、有益な物理的特性を発泡体に与える助けとなり得る。適切な充填剤としては、安定し、かつポリウレタン形成反応の間に直面する温度において融解しない微粒子状の無機および有機物質が挙げられる。適当な充填剤の例としては、カオリン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、雲母、珪灰石、タルク、高融点熱可塑性材、ガラス、飛散灰、カーボンブラック(carbon black)二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン等が挙げられる。充填剤は、揺変特性を発泡可能ポリウレタン組成物に付与しうる。フュームドシリカは、このような充填剤の一例である。
【0058】
反応粒子も反応系に含まれて、粘弾性発泡体の特性を変化させてもよい。このような反応系としては、例えば、Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes、Rapra Technology Limited(2005)185-227頁に教示されているような、スチレン/アクリロニトリル(SAN)、ポリ尿素(polyharnstoff)分散(PHD)ポリオールおよびポリイソシアネート重付加生成物(PIPA)を含むもの等のコポリマーポリオールが挙げられる。
【0059】
充填剤が使用される場合、組成物の約0.5〜約30%、特に約0.5〜約10重量%を構成することが都合がよい。
【0060】
発泡可能ポリウレタン組成物において追加の発泡剤(水以外)は一般的に使用しないが、追加の物理的または化学的発泡剤を含むことは本発明の範囲内にある。物理的発泡剤としては、超臨界CO2、種々の炭化水素、フッ化炭素、ヒドロフルオロカーボン、クロロカーボン(塩化メチレン等)、クロロフルオロカーボン、およびヒドロクロロフルオロカーボンがある。化学的発泡剤は、上昇した温度において分解または(イソシアネート基以外と)反応して、二酸化炭素および/または窒素を生成する物質である。
【0061】
VE発泡体は、いわゆるスラブストック(slabstock)プロセス、または種々の成型プロセスにて調製できる。スラブストックプロセスでは、成分を混合して、トラフ(trough)または他の領域に注ぐと、そこで製剤が反応し、少なくとも1方向に自由に膨張し、硬化する。スラブストックプロセスは、一般的に、商業規模では連続的に稼動されている。
【0062】
スラブストックプロセスにおいては、種々の成分が、個別に、または種々の部分的な組合せで混合ヘッドに導入され、そこで混合および調剤される。成分温度は、一般的に、混合前は15〜35℃の範囲にある。調剤された混合物は、典型的に、加熱無しで膨張および硬化する。スラブストックプロセスにおいて、反応混合物は、自由にまたは最小限の拘束下(例えば、カバーシートもしくはフィルムの重みによりかかるもの等)で膨張する。
【0063】
反応混合物を密閉された鋳型に導入し、そこで膨張および硬化させる成型プロセスにおいて粘弾性発泡体を生成することも可能である。
【0064】
本発明に従って作製された粘弾性発泡体は、マットレストッパー(mattress topper)を含むマットレス、枕、梱包材、囲いパッド(bumper pad)、スポーツおよび医療装備、ヘルメットの裏張り、パイロットシート、耳栓等の種々の梱包材および緩衝材用途、ならびに種々の騒音および振動抑制用途において有用である。騒音および振動抑制用途は、自動車における用途等、運送業において特に重要である。
【0065】
一実施形態において、発泡体は、発泡体の少なくとも1重量%、2重量%、5重量%、7重量%、10重量%、15重量%、18重量%、20重量%または25重量%の再生可能な資源含量を有し得る。発泡体は、発泡体の40重量%未満、35重量%、33重量%、30重量%、27重量%、25重量%、23重量%、または20重量%の再生可能な資源含量を有し得る。再生可能な資源含量は、ASTM D6866標準(放射性炭素および同位体比質量分析を使用して、天然範囲(natural range)物質のバイオ(biobased)含量を決定するための標準テスト方法)で決定してもよいし、またはPU Magazine, Vol. 5, No. 6、2008年12月、368-372頁に記載のように計算してもよい。
【0066】
実施例
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために提供されるが、その範囲を限定することを意図したものではない。全ての部およびパーセントは、特に明記しない限り重量である。
【0067】
以下の物質を使用した。
【0068】
ポリオールAは、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(登録商標)3150の商品名で市販されている、官能価が3で、当量が336の全プロピレンオキシドポリエーテルポリオールである。
【0069】
ポリオールBは、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(登録商標)4053ポリオールの商品名で市販されている官能価が6.9で、およその当量が1800である、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダムなコポリマーである。
【0070】
ポリオールCは、官能価が3で、EWがおよそ208の全エチレンオキシド供給型ポリオールである。
【0071】
ポリオールDは、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(登録商標)3010ポリオールの商品名で入手可能な、およそ994の当量を有する、グリセリン開始型ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン混合供給型ポリオール(8重量%EO)である。
【0072】
ジオールAは、約27重量%の飽和モノマー、約40重量%のモノ-ヒドロキシモノマーおよび約33重量%のジ-ヒドロキシルモノマーの分布を生じる天然存在度の、ダイズ油由来の脂肪酸当たり平均1.0のヒドロキシルを有するヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステルモノマーを用いて調製される、官能価が2.0の天然油ポリオールである。ジオールAは、650ppmオクタン酸第一スズ(City Chemical Co.から市販されている)を触媒として、ヒドロキシメチル化ダイズ脂肪酸メチルエステルモノマーを、1,3-シクロヘキサンジメタノールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールの約50/50重量%混合物と反応させることにより作製される。得られたポリエステルは、25℃にておよそ4000cPの粘度、1000のヒドロキシル当量、2000のMnを有する。ジオールAは、平均でおよそ2.0水酸基/分子を有する。
【0073】
界面活性剤Aは、OSi SpecialtiesからNIAX L-627界面活性剤として市販されている有機シリコーン界面活性剤である。
【0074】
スズ触媒Aは、Air Products and ChemicalsからDABCO T-9触媒として市販されているオクタン酸第一スズ触媒である。
【0075】
アミン触媒Aは、DABCO BLIl触媒としてAir Products and Chemicals、Inc.から市販されている、70%ビス-ジメチルアミノエチルエーテル溶液含有ジプロピレングリコールである。
【0076】
アミン触媒Bは、Air Products and ChemicalsからDABCO 33LVとして市販されている、トリエチレンジアミン含有ジプロピレングリコールの33%溶液である。
【0077】
TDIは、VORANATE(登録商標)T-80としてThe Dow Chemical Companyから入手可能な、トルエンジイソシアネートの2,4-および2,6-異性体の80/20混合物である。
【0078】
テスト方法
特に明記しない限り、発泡体特性はASTM 3574-05で測定した。
【0079】
実施例1および2、ならびに対照(Cl)
発泡体は、まず、ポリオール、水、およびアミン触媒を、高速剪断混合ヘッド中で混合することにより調製される。成分温度は、およそ22℃である。次に、この混合物を界面活性剤およびスズ触媒と同様に混合し、得られた混合物をポリイソシアネートと再び同様に混合する。最終的な混合物をすぐに開放ボックス(open box)に注いで、加熱無しで反応させる。製剤の合計重量は2000〜2700グラムである。ポリウレタン発泡体を生成するためにに使用される製剤を表1に示す。実施例Clは、粘弾性発泡体を生成するための製剤を基質とする対照発泡体である。硬化した製剤を少なくとも7日間おいて、特性テストに供した。生成した発泡体の特性を表1に示す。
【0080】
データは、本発明に基づく発泡体が、良好な流量および25%の低い圧縮力撓みを有することを示す。また、本発明の発泡体は、良好な支持因子を有し、同じ指数を有する標準的な製剤よりも良好な支持を示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
25%の圧縮力撓み(CFD)に対する20℃での弾性率(E')の比率が25〜125である粘弾性発泡体であって、再生可能な資源の含量が発泡体の約1%〜約25重量%である発泡体。
【請求項2】
25%圧縮力撓みに対する弾性率E'の比率が28を上回る、請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
ASTM D-3574テストGにより測定される空気の流量が2scfmを上回る、請求項1および2のいずれか一項に記載の発泡体。
【請求項4】
0〜40℃の温度範囲にわたって0.3を上回る損失正接を有する、請求項3に記載の発泡体。
【請求項5】
1 lb/ft3〜30 lb/ft3の密度を有する、請求項に記載の発泡体。
【請求項6】
少なくとも2 lb/ft3の密度を有する、請求項に記載の発泡体。
【請求項7】
ATSM D-3574-Hボールリバウンドテストに従って測定した際に20%以下の弾性を示す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発泡体。
【請求項8】
2.25〜6scfmの空気の流量を有する、請求項に記載の発泡体。
【請求項9】
a1)100〜2000の平均当量、および2〜4の平均公称ヒドロキシ官能価を有する(ただし、ポリオールがポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオールの場合、ポリオキシプロピレン含量はポリオールの少なくとも70重量%である)、30〜80重量%の少なくとも1つのポリオキシプロピレンまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオール;
a2)100〜1000の平均当量、および2〜4の平均公称ヒドロキシ官能価を有する(ただし、ポリオールがポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオールの場合、ポリオキシエチレン含量はポリオールの少なくとも70重量%である)、5〜50重量%のポリオキシエチレンまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリオール;ならびに
a3)再生可能な天然資源に由来する、1〜40重量%の少なくとも1つのイソシアネート反応化合物、
を含むポリオール組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのイソシアネート反応化合物が、重合したヒドロキシメチル化脂肪酸またはヒドロキシメチル化エステルの少なくとも1つである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリオールa1)が、200〜700の当量を有するa1)、および700を上回る当量を有するa2)の2つの個別のポリオールを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
a1)およびa2)に基づく前記ポリオキシプロピレン含量が、少なくとも75重量%である、請求項9または11に記載のポリオール組成物。
【請求項13】
a)請求項9〜12のいずれか一項に記載のポリオール組成物;
b)ポリイソシアネート組成物;
c)a)の総重量に基づいて0.5〜3.5重量%の水;ならびに、
任意にd)それ自体で公知の添加剤および補助剤
を含む、粘弾性ポリウレタン発泡体を調製するための反応系。
【請求項14】
イソシアネート指数が70〜115である、請求項13に記載の反応系。
【請求項15】
前記ポリイソシアネートが、TDI2,4-および2,6-異性体の混合物である、請求項13〜請求項のいずれか一項に記載の反応系。
【請求項16】
前記ポリイソシアネートは、イソシアネート基の数平均官能価が2.1を上回り、重量ベースでは主にMDI系の1つ以上のポリイソシアネートで構成される、請求項13〜15のいずれか一項に記載の反応系。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか一項に記載の反応系から生成される粘弾性ポリウレタン物質。
【請求項18】
A)a)請求項9〜12のいずれか一項に記載のポリオール組成物を含むイソシアネート反応成分;
b)少なくとも1つのポリイソシアネート;
c)a)の0.5〜3.5重量%の量の水;ならびに
d)任意に、それ自体で公知の添加剤および補助剤、
を少なくとも含む反応混合物を形成すること;ならびに
B)該反応混合物を膨張および硬化させて粘弾性ポリウレタン発泡体を形成するのに十分な条件に該反応混合物を供すること、
を含む粘弾性ポリウレタン発泡体を調製するプロセス。

【公表番号】特表2011−528727(P2011−528727A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518887(P2011−518887)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050734
【国際公開番号】WO2010/009256
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】