太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法
【課題】太陽光発電装置の電気生産量を予測するため、より正確かつ信頼できる解決方法を提供する。
【解決手段】太陽光発電モジュール1の面において受け取られる照度を推定する第1部分と、太陽光発電装置の電気生産量を推定する第2部分とを含み、関係期間が晴れであるか曇りであるかを決定する第1ステップ含み、また、以下の二つのステップの少なくとも一つ、すなわち、(1)関係期間が晴れである場合には、太陽光発電モジュール1の真の電気生産量の測定に基づいて、電気生産量を予測する方法の第2部分を修正するステップ、及び/又は、(2)関係期間が曇りである場合には、太陽光発電モジュール1の真の電気生産量の測定に基づいて、電気生産量を予測する方法の第1部分を修正するステップを実行する第2ステップを含む。
【解決手段】太陽光発電モジュール1の面において受け取られる照度を推定する第1部分と、太陽光発電装置の電気生産量を推定する第2部分とを含み、関係期間が晴れであるか曇りであるかを決定する第1ステップ含み、また、以下の二つのステップの少なくとも一つ、すなわち、(1)関係期間が晴れである場合には、太陽光発電モジュール1の真の電気生産量の測定に基づいて、電気生産量を予測する方法の第2部分を修正するステップ、及び/又は、(2)関係期間が曇りである場合には、太陽光発電モジュール1の真の電気生産量の測定に基づいて、電気生産量を予測する方法の第1部分を修正するステップを実行する第2ステップを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法に関する。本発明は、このような方法を実行するソフトウェア、及び、このような方法を実行する太陽光発電装置にも関する。最後に、本発明は、この方法を用いた太陽光発電装置の診断に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電設備から生じる電気エネルギー生産量のシェアは、急速に拡大している。この太陽光生産量に特有の特徴は、太陽光生産量が気象条件によって大きく変動するために太陽光生産量が極めて不規則であることに起因する。現時点では、これら設備が、電気回路網に接続されていると、この予測不可能な性質は、回路網全体を管理する上で困難を生じさせる。その理由は、エネルギー生産量と需要量の均衡を保証することが難くなるためである。より一般的には、電気生産量に関するこの予測不可能な性質は、太陽エネルギーに少なくとも部分的に基づくエネルギー源を有するいかなる装置にも悪影響をもたらす。
【0003】
この欠点を克服するため、太陽光発電設備からの電気生産量を気象予測に基づいて予測するモデルがある。このような解決策は、例えば、特許文献1で説明されている。しかしながら、太陽光発電設備の電気生産量は多数のパラメータに依存しており、極めて正確なモデルを作成することは困難である。設備の電気生産量を所定効率に基づいて最終的に推定するため、実際には、太陽光発電モジュールの面における照度の予測値が取得されるまで、気象予測を活用して、気象予測から極めて局所的な予測値を推測することが必要である。これらステップのすべてにおいて、誤差及び近似値が多数ある。既存のモデルは、最終的に不正確かつ不満足な結果をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1660917号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の全般的な目的は、太陽光発電装置の電気生産量を予測するため、より正確かつ信頼できる解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明は、太陽光発電モジュールを備える太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法に基づき、この方法は、太陽光発電モジュールの面において受け取られる照度を推定する第1部分と、太陽光発電装置の電気生産量を推定する第2部分とを含み、この方法は、
‐過去の関係期間が晴れであるか曇りであるかを決定する
第1ステップを含むことを特徴とし、
この方法は、以下の二つのステップの少なくとも一つ、すなわち、
‐この関係期間が晴れである場合には、関係期間にわたる太陽光発電モジュールの真の電気生産量の測定に基づいて、電気生産量を予測する方法の第2部分を修正するステップ、及び/又は、
‐この関係期間が曇りである場合には、関係期間にわたる太陽光発電モジュールの真の電気生産量の測定に基づいて、電気生産量を予測する方法の第1部分を修正するステップ
を実行する第2ステップを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明は、前述したような、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を実行することができるソフトウェアを含むコンピュータ媒体にも関する。
【0008】
本発明は、太陽光発電モジュールと、それらの真の電気生産量を測定する要素とを備える太陽光発電装置にも関し、この太陽光発電装置は、前述したような、電気生産量を予測する方法を実行する管理ユニットを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、前述したような、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を用いた太陽光発電装置の状況の診断にも関する。
【0010】
また、本発明は特許請求の範囲により詳細に定義されている。
【0011】
本発明のこれら目的、特性及び利点は、添付図面と関連させて、限定されない例として示された特定の実施形態に関する以下の説明に詳述されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による太陽光発電装置を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に従って太陽光発電生産量を予測する方法の様々なブロックを概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態を実行するため、第1シナリオに応じ、1日を通じて、測定された電気電力と、予測された電気電力とを表す図である。
【図4】本発明の実施形態を実行するため、第1シナリオに応じ、時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比を表す図である。
【図5】本発明の実施形態を実行するため、第1シナリオに応じ、時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比の微分(微分係数)の絶対値を表す図である。
【図6】本発明の実施形態を実行するため、第2シナリオに応じ、1日を通じて、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力とを表す図である。
【図7】本発明の実施形態を実行するため、第2シナリオに応じ、時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比を表す図である。
【図8】本発明の実施形態を実行するため、第2シナリオに応じ、時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比の微分の絶対値を表す図である。
【図9】本発明の実施形態を実行するため、別のシナリオに応じ、時間に従って照度を示す図である。
【図10】本発明の実施形態を実行するため、別のこのシナリオに応じ、時間に従って温度を示す図である。
【図11】本発明の実施形態を実行するため、このシナリオに応じ、時間に従って、測定された生産量と、予測された生産量とを示す図である。
【図12】本発明の実施形態を実行するため、シナリオに応じて、予測された電力と、公称電力との比による太陽光発電生産量の損失を表す図である。
【図13】本発明の実施形態を実行するため、シナリオに応じ、時間に従って、測定された生産量と、修正後の予測された生産量とを示す図である。
【図14】本発明の実施形態を実行するため、最近の曇り日シナリオの期間に測定された電気生産量を示す図である。
【図15】この曇りシナリオに応じて、太陽光発電モジュールの面と水平面とにおける計算された照度を示す図である。
【図16】気象予測から導出された照度と、本発明の実施形態の方法により計算された照度とを示す図である。
【図17】本発明の実施形態に従って、種々の気象予測値に追加された予測された照射量による重みのエヴォリューション(漸進的変化)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本発明の一実施形態による太陽光発電装置を概略的に表す。この装置は、インバータ2を介して従来の電気回路網3に結合されている多数の太陽光発電モジュール1を備える。これらモジュールを、変換器を介してスタンドアロンアプリケーションに結合できることは勿論である。この装置は、後述の、電気生産量を予測する方法を実行するソフトウェアを含むコンピュータに基づく制御又は管理ユニット10をも備える。制御ユニット10は、太陽光発電設備1,2からリンク4を介して真の電気生産量の測定値を受信する。しかも、制御ユニット10は、気象予測エンティティ5により確立された気象予測データを入力として通信手段6を介して受信する。
【0014】
それ故に、制御ユニット10は、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を実行する。この方法は、図2に表された種々のブロックに基づく。この制御ユニットは、太陽光発電装置の現場に配置されることができ、又は、この現場から遠く離れることができる。制御ユニットは、ソフトウェア及び/又はハードウェア演算手段と、処理すべき情報を格納する一つ以上の記憶手段と、通信手段とをもって構成することができる。
【0015】
ブロック20は、計量予測を実行する。すべての方法によれば、この準備部分は、太陽光発電生産装置の外部にある気象エンティティ5により実行される。すなわち、本発明は、このブロックに特に関連しない。このブロック20により取得された結果25は、通信手段6により太陽光発電装置の制御ユニット10へ送信される。特に、照射量すなわち照度と周囲温度とを含むこれらデータ25は、電気生産量を推定する方法に対する必須の入力値を表す。この方法は管理ユニット10により実行され、次に記述する4つのブロック30,40,50,60に基づく。
【0016】
第1ブロック30は、気象エンティティ5により送信された気象予測値よりも緻密な局所的気象予測値の計算を実行する。このため、ブロック30は、統計的補間及び/若しくは相関方法、並びに/又は、気象観測所による予測値及び測定値の履歴データベースを用いて、ブロック20から受信した気象データ25の空間及び時間周期よりも細かい空間及び時間周期で水平面における照度及び温度のような気象予測量を結果35として取得する。ブロック20により送信されたこれら予測値25は、実際には、数キロメートルのメッシュ配置及び数時間の時間きざみにより一般的に送信され、このことは、太陽光発電生産現場の規模では不充分である。それ故に、この第1ブロック30において実行される計算は、第1計算モデルに基づく。
【0017】
次に、局所的気象予測値のこれら結果35は、第2ブロック40により用いられる。第2ブロック40は、第2計算モデルを用いて太陽光発電モジュールの面における推定された照度を計算する。
【0018】
第2ブロック40により取得された結果45はその後、第3ブロック50により用いられ、第3ブロック50は、温度及び照度に依存しうる損失係数又は効率によりモデル化された性能水準に従って太陽光発電装置の電気生産量の推定値55を最終的に計算する。
【0019】
上述したブロックのすべては、初めに、様々な理論的及び/又は実証的アプローチに基づき、これらアプローチは、場合によって最新技術に属する。各ステップにおいて取得された結果35,45,55は、特定の誤差及び不確かさを呈する。本発明の必須要素によれば、ブロック30,40,50によりそれぞれ実行された三つのモデルのうち少なくとも一つ、優先的には三つすべてが、所定期間にわたって、かつ、この同じ期間の晴天又は非晴天状態に従って推定された生産量の値と、真の電気生産量の測定値との直接又は間接的な比較から改善される。
【0020】
このため、電気生産量を推定する方法の最終ブロック60は、これらブロックにおいて実行されたモデルを実証的学習メカニズムに従って改善するデータ63,64,65をブロック30,40,50に送信する。本発明の原理によれば、この学習は、二つの必須ステップ、すなわち、
E1‐関係日が晴れであるか否かを決定するステップと、
E2‐電気生産量を推定する方法の一部分を修正するステップと、
に依存する。上記一部分は、ステップE1の結果に従って決定され、上記修正は、量の直接又は間接的な測定値間の比較に基づき、この量は、電気生産量に関係する場合に直接測定され、他の場合にはこの測定された電気生産量から間接的に推測され、これと同じ量の推定値は、装置の管理ユニット10において実行された方法により取得される。
【0021】
それ故に、ブロック60は、本発明に必須である第1ステップE1を実行する。第1ステップE1は、過去の関係期間が晴れであるか否かを決定するものである。本発明の概念は、日が晴れである場合、本発明の方法のブロック30,40により取得された結果が正しいと見なし、すなわち、太陽光発電モジュールの面における推定された照度が正確であると見なすことを含む。この方法による電気生産量予測の値において、測定された真の値との比較により観測された誤差は、第3ブロック50のレベルで実行された第3計算モジュールだけの不正確さによるものである。晴天の場合、このアプローチは、最初の二つのブロック30,40による誤差が第3ブロック50による誤差に比べてごくわずかであると考えるのに等しい。一方、日が晴れでない場合、説明を簡略化することから単に「曇り」と見なし、電気生産量の予測値とこの生産量の真の測定値との間で観測された最終的な誤差は、最初の二つのブロック20,30又はどちらか一方に属されており、第3ブロック50により生じた誤差はごくわずかであると見なされる。
【0022】
この学習概念は、太陽光発電装置のために取得された真の生産量のみの測定から、この方法により実行された計算モデルを実証的に改善できるようにするという利点を提供する。このことは、この方法の様々なブロックの個別処理のために幾つかの異なる測定を必要とはせず、例えば、比較的高価な全天日射計のようないかなる太陽光センサも必要としない。
【0023】
日の種類すなわち、晴れ又は曇りを決定する第1ステップE1を次に説明する。この決定の原理は、一方において、例えば1秒〜10分の周期性を用いる一連の測定(E11)に基づいて測定された電気生産量と、好ましくは一連の測定と同じ頻度に従って、晴天を仮定することにより晴天時の理論的電気生産量として取得された同じ一連の値との比較に基づく。晴天時の理論的電気生産量のこの一連の値を取得するため、第1サブステップは、何らかの既存モデルによって、例えば、管理ユニット10において実行されたモデルを用いて晴天時の太陽光発電モジュールの面における予測された一連の照度を決定するものである(E 12)。この一連の値を気象予測から修正することもできる。また、測定により、又は、モデルを用いる計算により、又は、気象予測に基づいて一連の周囲温度を確立する(E 13)。次に、太陽光発電装置の管理ユニット10の方法のブロック50を用い、管理ユニット10のレベルで実行されたモデルにより評価された太陽光発電モジュールレベルでの損失又は性能水準を考慮して、これら一連の照度及び温度の値から晴天時の太陽光発電生産量を最終的に計算する(E14)。
【0024】
比較すべき二つの一連の値が取得されると、日が晴れであると見なすべきか、又は、曇りであると見なすべきかを決定することが最後に残される。この認定は、任意の雲の推移を検出することにより適用される。照度が約80%減少し、その結果として電気生産量が約80%減少するので、雲の推移は容易に検出可能である。雲の推移が短く一度しかなければ、日が曇りであるとは見なされない。晴れ日及び曇り日であると見なすことができる限度を1日の間で設定するために所定しきい値が用いられる。この最後の認定ステップは、太陽光発電モジュール上の影領域が雲の推移によるものではなく、特定の時間帯に建物により投げ掛けられた影のような太陽光発電装置の環境により生じることがあるという事実により複雑化される。それ故に、この方法は、雲の推移とこのような影とを区別する。このため、日の種類を定義する方法は、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比の分析(E15)に基づくだけでなく、この比の変動速度を考慮するこの比の微分の分析(E16)にも依存する。それ故に二つの時系列が取得され、これら時系列からは、特定の所定しきい値により定義された異常事象が検出される。異常事象の量が特定のしきい値を上回ると直ちに、日が晴れでないと見なされ、その他の場合には、日が晴れであると見なされる(E17)。
【0025】
要約すれば、日の種類、すなわち、晴れ又は曇りを決定する第1ステップE1は、
E11‐所定頻度に従って真の電気生産量を測定するサブステップと、
E14‐晴天時の太陽光発電モジュールの面における照度を推定するサブステップ(E12)と、一連の周囲温度を確立するサブステップ(E13)とから晴天時の理論的電気生産量を決定するサブステップと、
E15‐何らかの異常事象を検出することにより、測定された電気電力と、晴天を仮定する理論的電気電力との比を分析するサブステップと、
E16‐何らかの異常事象を検出することにより、この比の微分を分析するサブステップと、
E17‐検出された異常事象の量を所定しきい値と比較することにより、日の種類を決定するサブステップと
を含む。
【0026】
変形実施形態として、二つの分析ステップE15,E16の一方だけを実行することにより、上述の方法を簡略化することができる。更に、この方法は、少なくとも1年という特定期間中に太陽光発電モジュールレベルで影を生じさせる覆い物、すなわち、山や建物などのような自然の障害物を検出する準備ステップを含めることができる。
【0027】
図3〜図5には、前述したステップE1の第1の例示的実施形態を示す。図3には、第1シナリオに応じ、1日を通じて、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力とにそれぞれ対応する二つの曲線70,71を表す。図4には、このシナリオに関する時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比72を表す。この図の中で長方形領域73はしきい値に対応する。しきい値を上回ると、事象は異常であると見なされる。曲線72がこの領域73内にとどまる場合、状態は晴天状態に対応する。この実施形態によれば、「晴れ日」と称される領域73は、電力比72の値に対して0.5〜1の範囲に画定されている。最後に、図5には、電力比の微分の絶対値の曲線74を時間に従って示す。同様に、0〜0.1の範囲にあるこの比の値により画定された長方形領域75は、晴れ日状態に対応する。測定された電力と、晴天時の理論的電力との比と、微分係数(微分解析)の絶対値との二つの曲線72,74が晴れ領域73,75から極めて稀にしか逸脱しないことが最終的に明らかになる。それ故に、このシナリオに関する日を晴れ日であると見なすことができる。
【0028】
図6〜図8には、前述したステップE1の第2の例示的実施形態を示す。図6には、1日の第2シナリオに応じて、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力とにそれぞれ対応する二つの曲線70’,71’を表す。図7には、このシナリオに関する時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比72’を表す。この図の中で、電力比72’の値に対して0.5〜1の範囲の長方形領域73’は、晴天状態に対応する。最後に、図8には、電力比の微分の絶対値の曲線74’を時間に従って示す。同様に、この微分の絶対値に対して0〜0.1の範囲の値により画定された長方形領域75’は、晴れ日状態に対応する。測定された電力と、晴天時の理論的電力との比と、微分の絶対値との二つの曲線72’,74’は晴れ領域73’,75’から頻繁に逸脱することが最終的に明らかになる。それ故に、このシナリオに関する日を曇り日であると見なすことができる。
【0029】
最後に、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法は、第1ステップE1の結果に従って二つの状態を区別する第2ステップE2を実行する。
【0030】
まず、日が晴れであり、このことを気象予測エンティティが予測した場合、最初の二つのブロック30,40により実行された方法の計算の第1部分は正しいと見なされ、すなわち、太陽光発電モジュールの面における予測された照度は充分な結果を呈し、その誤差はごくわずかであると見なされる。それ故に、この照度は、測定から取得される照度に等しい真の照度であると見なされる。従って、このような状態では、測定された真の電気生産量と、この方法により予測された電気生産量との間で観測された誤差は、この方法の第3ブロック50により実行された第3計算モデルだけに依存する。この計算は、温度による電力損失を考慮し、照度に従って、太陽光発電装置の生産量を決定するものである。観測された誤差を用いて、この第3モデルに用いられた損失係数を修正することにより、この第3計算モデルを修正する。この修正をこの方法の今後の実行に直ちに再利用するために、モデルの損失係数を直ちに変更することによって、この修正をそれぞれの晴れ日に行うことができる。変形実施形態として、再計算された損失係数は管理ユニット10のメモリ内に格納されることができ、例えば、これら格納された値の単純平均値のような、これら格納された値に基づく新たな損失係数を周期的に再計算する基礎を成す。その後、損失係数の新たな値は、今後の電気生産量予測計算のために前の値に取って代る。従って、晴れ日からの教示は、電気生産量を予測する方法に用いられた第3モデルが学習できるようにし、この方法で実行された他の計算モデルは、これら晴れ日の期間中、変わらないままである。
【0031】
図9〜図13は、晴れ日の場合におけるこの第2ステップE2の例示的実施形態を示す。図9〜図10は、選択されたシナリオに応じ、時間に従って、取得された照度の曲線76及び温度の曲線77をそれぞれ示す。図11は、この日の間、時間に従って、測定された生産量の曲線78と、予測された生産量の曲線79と、を示す。前述した二つの曲線の差は、図12の曲線80により表されている損失を、予測された電力と、公称電力との比に従って決定できるようにする。これら損失は、この同じ図の曲線81により表された多項式によりモデル化されている。このようにして取得され、モデル化されたこれら損失は、本発明の予測方法の第3計算モデルの損失係数を変更できるようにする。このシナリオに関するこの新たな係数を用いることにより、予測された生産量の新たな曲線82が取得され、新たな曲線82は、図13に示されるように、測定された生産量の曲線78に対して最初の曲線79よりもはるかに接近している。
【0032】
日が曇りである場合、この方法の第3計算モデルは正しいと見なされ、すなわち、太陽光発電モジュールの面における照度に従って計算された電気生産量は充分な結果を呈し、その誤差はごくわずかであると見なされる。従って、このような状態では、測定された真の電気生産量と、この方法により推定された電気生産量との間で観測された誤差は、最初の二つのブロック30,40のうち少なくとも一方に関して説明したように、この方法により実行された最初の二つの計算モデルだけに依存する。その後、真の電気生産量は、第3ブロック50において実行された計算の逆計算を適用することにより測定され、真の電気生産量の測定から、太陽光発電モジュールにより受け取られた照度の「仮想又は間接的な測定値」すなわち間接的な真の値が推測される。また、ブロック30,40内で実行された最初の二つの計算モデルを含むモデルの第1部分は、推定された照度を気象予測値から計算できるようにする。これら測定された照度と、推定された照度とが比較され、その差は、この方法における最初の二つのブロック30,40の二つの計算モデルの少なくとも一方を修正するための始点として作用する。この修正は、様々な解決策を含むことができる。まず、この修正は、実行された二つの計算モデルの一方又は両方に関連することができる。次に、この修正は、統計的アプローチ又はニューラルネットワークによる気象予測及び局所的照度間の相互関係の計算に基づくことができる。
【0033】
曇り日状態におけるこの第2ステップE2の変形実施形態によれば、この方法の第2ブロック40において実行された第2計算モデルは信頼できると見なされる。その結果、修正ステップは、この方法の第1ブロック30において実行された第1計算モデルのみを改善するものである。第1ブロック30は、水平面における照度の推定値を取得するため、気象データの外挿をもって構成される。前述したように真の電気生産量の測定から推測される太陽光発電モジュールの面における照度から、第2計算モデルの逆計算により、水平面における真の照度が仮想的に分かる。それ故に、真の照度は、真の電気生産量の測定により間接的に測定されるために仮想測定値と見なすことができる照度に関係する。次に、この測定された仮想照度と、この方法により推定された照度との比較は、この方法の第1計算モデルを改善する基礎を成す。
【0034】
図14〜図17は、曇り日の場合におけるこの第2ステップE2の例示的実施形態を示す。図14は、曇り日の期間に測定された電気生産量の曲線83を示す。図15は、選択されたシナリオに応じ、時間に従って、太陽光発電モジュールの面と水平面とにおける照度の曲線84,85をそれぞれ示す。図16には、太陽光発電生産装置付近にある4つの点における気象予測から取得された照度を時間に従って表す点86を示し、その一方で、点87は、仮想的に測定されたこれら同じ照度を表す。本明細書では、生産現場に最も近い4つの気象データ点を選択することが選ばれた。この場合、例えば、気象データにより取得された4つの各点の重みを適用することにより、点86から現場における照度を推測することができる。対応の重みは、曇天時に獲得された測定値のデータベースに従って決定され、かつ改善される。対応の重みを、純粋に統計的な方法及び人工知能などにより計算することができる。このデータベースを用いて、より正確な結果を取得する重みを再計算することができる。従って、図17は、4つの関係点において予測された照射量による4つの関係重みの傾向を数カ月にわたって示す。
【0035】
学習メカニズムを1日単位の時間分割に基づいて説明した。しかしながら、他のいかなる時間分割も考慮することができる。例えば、半日に基づいて、同じ原理に従うことが可能である。このことは、まず、この半日が晴れであるか曇りであるかを決定し、次に、この方法の残りの部分を継続することにより達成される。また、所定の基準に従って学習メカニズムを、これら期間の全部にわたって、又は、太陽光発電装置の電気生産量の測定が充分な頻度で利用できる期間のみのようなこれら期間の一部のみにわたって実行することができる。更に、この学習メカニズムを所定の限定期間のみにわたって実行することを選択することができ、又は、このメカニズムを無限に、すなわち永続的に実行することができる。
【0036】
本発明は、三つのブロック30,40,50内で実行されたこの方法の三つの主要な計算モデルを改善できるようにするのが好ましい。しかしながら、これら三つのブロックのうちいずれか一つのブロックに用いることは、既に既存の方法での改善を可能にし、本発明の概念からは逸脱しない。
【0037】
また、本発明は、真の電気生産量のみの測定を用いて、電気生産量を予測する方法を結果的に改善することを可能にするという点において有利である。しかしながら、本発明の概念から逸脱することなく、例えば、他の測定に基づいて実行された計算モデルを実証的に修正する他のいかなるシステムとも本発明のこの概念を組み合わせることができる。
【0038】
更に、本発明は、表面積単位当たりに受け取られた電力を表す照度のような特定の重要な量を用いて説明されている。変形実施形態として、例えば、表面積単位当たりに受け取られたエネルギーを表す照射量のような他の同様な量を用いて、同じ計算及び同じ方法を実行することができる。単純変換により照度から照射量へ切り換えることが可能であり、この方法において、これら量のどちらかを用いることは同等の解決策を表す。
【0039】
本発明を容易に理解するため、種々のブロック30,40,50,60に分割した要約に従って本発明の方法を示した。しかしながら、本発明の方法は、より複雑に様々な要素を入れ子構造にすることができる不可分な全体を表す。実際には、この方法は、二つの大きな主要部分に細分される。すなわち、第1部分は最初の二つのブロック30,40を組み合わせ、第1部分を用いて、装置の太陽光発電モジュールレベルで気象予測を形式化することができる。その一方で、第2部分は、これらの太陽光発電モジュールの推定された電気生産量を、まさにこれら形式化気象予測から計算することをもって構成される。実際には、最終ブロック60は、先行する三つのモデルの各々に属する要素である。その理由は、最終ブロック60がこれらモデルの重要なパラメータの一部を定義することによって、これらモデルにより実行された計算に関与するためである。このようにして、最初の計算モデルがこの方法の始点として用いられているかにかかわらず、また、理論的及び/又は実証的モデルが最新技術に存在するか否かにかかわらず、これらモデルは、本発明のブロック60により実行されるステップと組み合わせることにより、更に効果的な新たな別のモデルになる。それ故に、前述されたこの方法の必須部分は、最終ブロック60において実行される部分である。説明を簡略化することから、この方法のこの部分は、この方法の個別部分として示された。しかし、より正確な観点によれば、前述されたように、この最終ブロック60はこの方法の不可欠な部分であり、三つのブロック30,40,50内で実行された三つの主要な計算モデルのうち少なくとも一つの一部である。その理由は、これらモデルのうち少なくとも一つの必須パラメータがこの最終ブロック60により決定されるためである。
【0040】
太陽光発電装置が大規模生産ユニットであろうが、パーキングメータのような機器に関連する小規模太陽光発電装置であろうが、本発明はいかなる太陽光発電装置にも適する。
【0041】
更に、本発明は、信頼でき、かつ正確な太陽光発電設備の電気生産量を予測する方法を最終的に判定することを可能にする。従って、本発明は、太陽光発電設備の診断を実行するというような他の用途を可能にする。実際には、真の生産量と、モデルにより推定された生産量とを比較することによって、本発明は、この比較から太陽光発電設備の性能の測定値を推測することを可能にし、その差が大きい場合、太陽光発電設備の故障を診断することさえ可能にする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法に関する。本発明は、このような方法を実行するソフトウェア、及び、このような方法を実行する太陽光発電装置にも関する。最後に、本発明は、この方法を用いた太陽光発電装置の診断に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電設備から生じる電気エネルギー生産量のシェアは、急速に拡大している。この太陽光生産量に特有の特徴は、太陽光生産量が気象条件によって大きく変動するために太陽光生産量が極めて不規則であることに起因する。現時点では、これら設備が、電気回路網に接続されていると、この予測不可能な性質は、回路網全体を管理する上で困難を生じさせる。その理由は、エネルギー生産量と需要量の均衡を保証することが難くなるためである。より一般的には、電気生産量に関するこの予測不可能な性質は、太陽エネルギーに少なくとも部分的に基づくエネルギー源を有するいかなる装置にも悪影響をもたらす。
【0003】
この欠点を克服するため、太陽光発電設備からの電気生産量を気象予測に基づいて予測するモデルがある。このような解決策は、例えば、特許文献1で説明されている。しかしながら、太陽光発電設備の電気生産量は多数のパラメータに依存しており、極めて正確なモデルを作成することは困難である。設備の電気生産量を所定効率に基づいて最終的に推定するため、実際には、太陽光発電モジュールの面における照度の予測値が取得されるまで、気象予測を活用して、気象予測から極めて局所的な予測値を推測することが必要である。これらステップのすべてにおいて、誤差及び近似値が多数ある。既存のモデルは、最終的に不正確かつ不満足な結果をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1660917号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の全般的な目的は、太陽光発電装置の電気生産量を予測するため、より正確かつ信頼できる解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明は、太陽光発電モジュールを備える太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法に基づき、この方法は、太陽光発電モジュールの面において受け取られる照度を推定する第1部分と、太陽光発電装置の電気生産量を推定する第2部分とを含み、この方法は、
‐過去の関係期間が晴れであるか曇りであるかを決定する
第1ステップを含むことを特徴とし、
この方法は、以下の二つのステップの少なくとも一つ、すなわち、
‐この関係期間が晴れである場合には、関係期間にわたる太陽光発電モジュールの真の電気生産量の測定に基づいて、電気生産量を予測する方法の第2部分を修正するステップ、及び/又は、
‐この関係期間が曇りである場合には、関係期間にわたる太陽光発電モジュールの真の電気生産量の測定に基づいて、電気生産量を予測する方法の第1部分を修正するステップ
を実行する第2ステップを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明は、前述したような、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を実行することができるソフトウェアを含むコンピュータ媒体にも関する。
【0008】
本発明は、太陽光発電モジュールと、それらの真の電気生産量を測定する要素とを備える太陽光発電装置にも関し、この太陽光発電装置は、前述したような、電気生産量を予測する方法を実行する管理ユニットを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、前述したような、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を用いた太陽光発電装置の状況の診断にも関する。
【0010】
また、本発明は特許請求の範囲により詳細に定義されている。
【0011】
本発明のこれら目的、特性及び利点は、添付図面と関連させて、限定されない例として示された特定の実施形態に関する以下の説明に詳述されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による太陽光発電装置を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に従って太陽光発電生産量を予測する方法の様々なブロックを概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態を実行するため、第1シナリオに応じ、1日を通じて、測定された電気電力と、予測された電気電力とを表す図である。
【図4】本発明の実施形態を実行するため、第1シナリオに応じ、時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比を表す図である。
【図5】本発明の実施形態を実行するため、第1シナリオに応じ、時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比の微分(微分係数)の絶対値を表す図である。
【図6】本発明の実施形態を実行するため、第2シナリオに応じ、1日を通じて、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力とを表す図である。
【図7】本発明の実施形態を実行するため、第2シナリオに応じ、時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比を表す図である。
【図8】本発明の実施形態を実行するため、第2シナリオに応じ、時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比の微分の絶対値を表す図である。
【図9】本発明の実施形態を実行するため、別のシナリオに応じ、時間に従って照度を示す図である。
【図10】本発明の実施形態を実行するため、別のこのシナリオに応じ、時間に従って温度を示す図である。
【図11】本発明の実施形態を実行するため、このシナリオに応じ、時間に従って、測定された生産量と、予測された生産量とを示す図である。
【図12】本発明の実施形態を実行するため、シナリオに応じて、予測された電力と、公称電力との比による太陽光発電生産量の損失を表す図である。
【図13】本発明の実施形態を実行するため、シナリオに応じ、時間に従って、測定された生産量と、修正後の予測された生産量とを示す図である。
【図14】本発明の実施形態を実行するため、最近の曇り日シナリオの期間に測定された電気生産量を示す図である。
【図15】この曇りシナリオに応じて、太陽光発電モジュールの面と水平面とにおける計算された照度を示す図である。
【図16】気象予測から導出された照度と、本発明の実施形態の方法により計算された照度とを示す図である。
【図17】本発明の実施形態に従って、種々の気象予測値に追加された予測された照射量による重みのエヴォリューション(漸進的変化)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本発明の一実施形態による太陽光発電装置を概略的に表す。この装置は、インバータ2を介して従来の電気回路網3に結合されている多数の太陽光発電モジュール1を備える。これらモジュールを、変換器を介してスタンドアロンアプリケーションに結合できることは勿論である。この装置は、後述の、電気生産量を予測する方法を実行するソフトウェアを含むコンピュータに基づく制御又は管理ユニット10をも備える。制御ユニット10は、太陽光発電設備1,2からリンク4を介して真の電気生産量の測定値を受信する。しかも、制御ユニット10は、気象予測エンティティ5により確立された気象予測データを入力として通信手段6を介して受信する。
【0014】
それ故に、制御ユニット10は、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を実行する。この方法は、図2に表された種々のブロックに基づく。この制御ユニットは、太陽光発電装置の現場に配置されることができ、又は、この現場から遠く離れることができる。制御ユニットは、ソフトウェア及び/又はハードウェア演算手段と、処理すべき情報を格納する一つ以上の記憶手段と、通信手段とをもって構成することができる。
【0015】
ブロック20は、計量予測を実行する。すべての方法によれば、この準備部分は、太陽光発電生産装置の外部にある気象エンティティ5により実行される。すなわち、本発明は、このブロックに特に関連しない。このブロック20により取得された結果25は、通信手段6により太陽光発電装置の制御ユニット10へ送信される。特に、照射量すなわち照度と周囲温度とを含むこれらデータ25は、電気生産量を推定する方法に対する必須の入力値を表す。この方法は管理ユニット10により実行され、次に記述する4つのブロック30,40,50,60に基づく。
【0016】
第1ブロック30は、気象エンティティ5により送信された気象予測値よりも緻密な局所的気象予測値の計算を実行する。このため、ブロック30は、統計的補間及び/若しくは相関方法、並びに/又は、気象観測所による予測値及び測定値の履歴データベースを用いて、ブロック20から受信した気象データ25の空間及び時間周期よりも細かい空間及び時間周期で水平面における照度及び温度のような気象予測量を結果35として取得する。ブロック20により送信されたこれら予測値25は、実際には、数キロメートルのメッシュ配置及び数時間の時間きざみにより一般的に送信され、このことは、太陽光発電生産現場の規模では不充分である。それ故に、この第1ブロック30において実行される計算は、第1計算モデルに基づく。
【0017】
次に、局所的気象予測値のこれら結果35は、第2ブロック40により用いられる。第2ブロック40は、第2計算モデルを用いて太陽光発電モジュールの面における推定された照度を計算する。
【0018】
第2ブロック40により取得された結果45はその後、第3ブロック50により用いられ、第3ブロック50は、温度及び照度に依存しうる損失係数又は効率によりモデル化された性能水準に従って太陽光発電装置の電気生産量の推定値55を最終的に計算する。
【0019】
上述したブロックのすべては、初めに、様々な理論的及び/又は実証的アプローチに基づき、これらアプローチは、場合によって最新技術に属する。各ステップにおいて取得された結果35,45,55は、特定の誤差及び不確かさを呈する。本発明の必須要素によれば、ブロック30,40,50によりそれぞれ実行された三つのモデルのうち少なくとも一つ、優先的には三つすべてが、所定期間にわたって、かつ、この同じ期間の晴天又は非晴天状態に従って推定された生産量の値と、真の電気生産量の測定値との直接又は間接的な比較から改善される。
【0020】
このため、電気生産量を推定する方法の最終ブロック60は、これらブロックにおいて実行されたモデルを実証的学習メカニズムに従って改善するデータ63,64,65をブロック30,40,50に送信する。本発明の原理によれば、この学習は、二つの必須ステップ、すなわち、
E1‐関係日が晴れであるか否かを決定するステップと、
E2‐電気生産量を推定する方法の一部分を修正するステップと、
に依存する。上記一部分は、ステップE1の結果に従って決定され、上記修正は、量の直接又は間接的な測定値間の比較に基づき、この量は、電気生産量に関係する場合に直接測定され、他の場合にはこの測定された電気生産量から間接的に推測され、これと同じ量の推定値は、装置の管理ユニット10において実行された方法により取得される。
【0021】
それ故に、ブロック60は、本発明に必須である第1ステップE1を実行する。第1ステップE1は、過去の関係期間が晴れであるか否かを決定するものである。本発明の概念は、日が晴れである場合、本発明の方法のブロック30,40により取得された結果が正しいと見なし、すなわち、太陽光発電モジュールの面における推定された照度が正確であると見なすことを含む。この方法による電気生産量予測の値において、測定された真の値との比較により観測された誤差は、第3ブロック50のレベルで実行された第3計算モジュールだけの不正確さによるものである。晴天の場合、このアプローチは、最初の二つのブロック30,40による誤差が第3ブロック50による誤差に比べてごくわずかであると考えるのに等しい。一方、日が晴れでない場合、説明を簡略化することから単に「曇り」と見なし、電気生産量の予測値とこの生産量の真の測定値との間で観測された最終的な誤差は、最初の二つのブロック20,30又はどちらか一方に属されており、第3ブロック50により生じた誤差はごくわずかであると見なされる。
【0022】
この学習概念は、太陽光発電装置のために取得された真の生産量のみの測定から、この方法により実行された計算モデルを実証的に改善できるようにするという利点を提供する。このことは、この方法の様々なブロックの個別処理のために幾つかの異なる測定を必要とはせず、例えば、比較的高価な全天日射計のようないかなる太陽光センサも必要としない。
【0023】
日の種類すなわち、晴れ又は曇りを決定する第1ステップE1を次に説明する。この決定の原理は、一方において、例えば1秒〜10分の周期性を用いる一連の測定(E11)に基づいて測定された電気生産量と、好ましくは一連の測定と同じ頻度に従って、晴天を仮定することにより晴天時の理論的電気生産量として取得された同じ一連の値との比較に基づく。晴天時の理論的電気生産量のこの一連の値を取得するため、第1サブステップは、何らかの既存モデルによって、例えば、管理ユニット10において実行されたモデルを用いて晴天時の太陽光発電モジュールの面における予測された一連の照度を決定するものである(E 12)。この一連の値を気象予測から修正することもできる。また、測定により、又は、モデルを用いる計算により、又は、気象予測に基づいて一連の周囲温度を確立する(E 13)。次に、太陽光発電装置の管理ユニット10の方法のブロック50を用い、管理ユニット10のレベルで実行されたモデルにより評価された太陽光発電モジュールレベルでの損失又は性能水準を考慮して、これら一連の照度及び温度の値から晴天時の太陽光発電生産量を最終的に計算する(E14)。
【0024】
比較すべき二つの一連の値が取得されると、日が晴れであると見なすべきか、又は、曇りであると見なすべきかを決定することが最後に残される。この認定は、任意の雲の推移を検出することにより適用される。照度が約80%減少し、その結果として電気生産量が約80%減少するので、雲の推移は容易に検出可能である。雲の推移が短く一度しかなければ、日が曇りであるとは見なされない。晴れ日及び曇り日であると見なすことができる限度を1日の間で設定するために所定しきい値が用いられる。この最後の認定ステップは、太陽光発電モジュール上の影領域が雲の推移によるものではなく、特定の時間帯に建物により投げ掛けられた影のような太陽光発電装置の環境により生じることがあるという事実により複雑化される。それ故に、この方法は、雲の推移とこのような影とを区別する。このため、日の種類を定義する方法は、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比の分析(E15)に基づくだけでなく、この比の変動速度を考慮するこの比の微分の分析(E16)にも依存する。それ故に二つの時系列が取得され、これら時系列からは、特定の所定しきい値により定義された異常事象が検出される。異常事象の量が特定のしきい値を上回ると直ちに、日が晴れでないと見なされ、その他の場合には、日が晴れであると見なされる(E17)。
【0025】
要約すれば、日の種類、すなわち、晴れ又は曇りを決定する第1ステップE1は、
E11‐所定頻度に従って真の電気生産量を測定するサブステップと、
E14‐晴天時の太陽光発電モジュールの面における照度を推定するサブステップ(E12)と、一連の周囲温度を確立するサブステップ(E13)とから晴天時の理論的電気生産量を決定するサブステップと、
E15‐何らかの異常事象を検出することにより、測定された電気電力と、晴天を仮定する理論的電気電力との比を分析するサブステップと、
E16‐何らかの異常事象を検出することにより、この比の微分を分析するサブステップと、
E17‐検出された異常事象の量を所定しきい値と比較することにより、日の種類を決定するサブステップと
を含む。
【0026】
変形実施形態として、二つの分析ステップE15,E16の一方だけを実行することにより、上述の方法を簡略化することができる。更に、この方法は、少なくとも1年という特定期間中に太陽光発電モジュールレベルで影を生じさせる覆い物、すなわち、山や建物などのような自然の障害物を検出する準備ステップを含めることができる。
【0027】
図3〜図5には、前述したステップE1の第1の例示的実施形態を示す。図3には、第1シナリオに応じ、1日を通じて、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力とにそれぞれ対応する二つの曲線70,71を表す。図4には、このシナリオに関する時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比72を表す。この図の中で長方形領域73はしきい値に対応する。しきい値を上回ると、事象は異常であると見なされる。曲線72がこの領域73内にとどまる場合、状態は晴天状態に対応する。この実施形態によれば、「晴れ日」と称される領域73は、電力比72の値に対して0.5〜1の範囲に画定されている。最後に、図5には、電力比の微分の絶対値の曲線74を時間に従って示す。同様に、0〜0.1の範囲にあるこの比の値により画定された長方形領域75は、晴れ日状態に対応する。測定された電力と、晴天時の理論的電力との比と、微分係数(微分解析)の絶対値との二つの曲線72,74が晴れ領域73,75から極めて稀にしか逸脱しないことが最終的に明らかになる。それ故に、このシナリオに関する日を晴れ日であると見なすことができる。
【0028】
図6〜図8には、前述したステップE1の第2の例示的実施形態を示す。図6には、1日の第2シナリオに応じて、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力とにそれぞれ対応する二つの曲線70’,71’を表す。図7には、このシナリオに関する時間に従って、測定された電気電力と、晴天時の理論的電気電力との比72’を表す。この図の中で、電力比72’の値に対して0.5〜1の範囲の長方形領域73’は、晴天状態に対応する。最後に、図8には、電力比の微分の絶対値の曲線74’を時間に従って示す。同様に、この微分の絶対値に対して0〜0.1の範囲の値により画定された長方形領域75’は、晴れ日状態に対応する。測定された電力と、晴天時の理論的電力との比と、微分の絶対値との二つの曲線72’,74’は晴れ領域73’,75’から頻繁に逸脱することが最終的に明らかになる。それ故に、このシナリオに関する日を曇り日であると見なすことができる。
【0029】
最後に、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法は、第1ステップE1の結果に従って二つの状態を区別する第2ステップE2を実行する。
【0030】
まず、日が晴れであり、このことを気象予測エンティティが予測した場合、最初の二つのブロック30,40により実行された方法の計算の第1部分は正しいと見なされ、すなわち、太陽光発電モジュールの面における予測された照度は充分な結果を呈し、その誤差はごくわずかであると見なされる。それ故に、この照度は、測定から取得される照度に等しい真の照度であると見なされる。従って、このような状態では、測定された真の電気生産量と、この方法により予測された電気生産量との間で観測された誤差は、この方法の第3ブロック50により実行された第3計算モデルだけに依存する。この計算は、温度による電力損失を考慮し、照度に従って、太陽光発電装置の生産量を決定するものである。観測された誤差を用いて、この第3モデルに用いられた損失係数を修正することにより、この第3計算モデルを修正する。この修正をこの方法の今後の実行に直ちに再利用するために、モデルの損失係数を直ちに変更することによって、この修正をそれぞれの晴れ日に行うことができる。変形実施形態として、再計算された損失係数は管理ユニット10のメモリ内に格納されることができ、例えば、これら格納された値の単純平均値のような、これら格納された値に基づく新たな損失係数を周期的に再計算する基礎を成す。その後、損失係数の新たな値は、今後の電気生産量予測計算のために前の値に取って代る。従って、晴れ日からの教示は、電気生産量を予測する方法に用いられた第3モデルが学習できるようにし、この方法で実行された他の計算モデルは、これら晴れ日の期間中、変わらないままである。
【0031】
図9〜図13は、晴れ日の場合におけるこの第2ステップE2の例示的実施形態を示す。図9〜図10は、選択されたシナリオに応じ、時間に従って、取得された照度の曲線76及び温度の曲線77をそれぞれ示す。図11は、この日の間、時間に従って、測定された生産量の曲線78と、予測された生産量の曲線79と、を示す。前述した二つの曲線の差は、図12の曲線80により表されている損失を、予測された電力と、公称電力との比に従って決定できるようにする。これら損失は、この同じ図の曲線81により表された多項式によりモデル化されている。このようにして取得され、モデル化されたこれら損失は、本発明の予測方法の第3計算モデルの損失係数を変更できるようにする。このシナリオに関するこの新たな係数を用いることにより、予測された生産量の新たな曲線82が取得され、新たな曲線82は、図13に示されるように、測定された生産量の曲線78に対して最初の曲線79よりもはるかに接近している。
【0032】
日が曇りである場合、この方法の第3計算モデルは正しいと見なされ、すなわち、太陽光発電モジュールの面における照度に従って計算された電気生産量は充分な結果を呈し、その誤差はごくわずかであると見なされる。従って、このような状態では、測定された真の電気生産量と、この方法により推定された電気生産量との間で観測された誤差は、最初の二つのブロック30,40のうち少なくとも一方に関して説明したように、この方法により実行された最初の二つの計算モデルだけに依存する。その後、真の電気生産量は、第3ブロック50において実行された計算の逆計算を適用することにより測定され、真の電気生産量の測定から、太陽光発電モジュールにより受け取られた照度の「仮想又は間接的な測定値」すなわち間接的な真の値が推測される。また、ブロック30,40内で実行された最初の二つの計算モデルを含むモデルの第1部分は、推定された照度を気象予測値から計算できるようにする。これら測定された照度と、推定された照度とが比較され、その差は、この方法における最初の二つのブロック30,40の二つの計算モデルの少なくとも一方を修正するための始点として作用する。この修正は、様々な解決策を含むことができる。まず、この修正は、実行された二つの計算モデルの一方又は両方に関連することができる。次に、この修正は、統計的アプローチ又はニューラルネットワークによる気象予測及び局所的照度間の相互関係の計算に基づくことができる。
【0033】
曇り日状態におけるこの第2ステップE2の変形実施形態によれば、この方法の第2ブロック40において実行された第2計算モデルは信頼できると見なされる。その結果、修正ステップは、この方法の第1ブロック30において実行された第1計算モデルのみを改善するものである。第1ブロック30は、水平面における照度の推定値を取得するため、気象データの外挿をもって構成される。前述したように真の電気生産量の測定から推測される太陽光発電モジュールの面における照度から、第2計算モデルの逆計算により、水平面における真の照度が仮想的に分かる。それ故に、真の照度は、真の電気生産量の測定により間接的に測定されるために仮想測定値と見なすことができる照度に関係する。次に、この測定された仮想照度と、この方法により推定された照度との比較は、この方法の第1計算モデルを改善する基礎を成す。
【0034】
図14〜図17は、曇り日の場合におけるこの第2ステップE2の例示的実施形態を示す。図14は、曇り日の期間に測定された電気生産量の曲線83を示す。図15は、選択されたシナリオに応じ、時間に従って、太陽光発電モジュールの面と水平面とにおける照度の曲線84,85をそれぞれ示す。図16には、太陽光発電生産装置付近にある4つの点における気象予測から取得された照度を時間に従って表す点86を示し、その一方で、点87は、仮想的に測定されたこれら同じ照度を表す。本明細書では、生産現場に最も近い4つの気象データ点を選択することが選ばれた。この場合、例えば、気象データにより取得された4つの各点の重みを適用することにより、点86から現場における照度を推測することができる。対応の重みは、曇天時に獲得された測定値のデータベースに従って決定され、かつ改善される。対応の重みを、純粋に統計的な方法及び人工知能などにより計算することができる。このデータベースを用いて、より正確な結果を取得する重みを再計算することができる。従って、図17は、4つの関係点において予測された照射量による4つの関係重みの傾向を数カ月にわたって示す。
【0035】
学習メカニズムを1日単位の時間分割に基づいて説明した。しかしながら、他のいかなる時間分割も考慮することができる。例えば、半日に基づいて、同じ原理に従うことが可能である。このことは、まず、この半日が晴れであるか曇りであるかを決定し、次に、この方法の残りの部分を継続することにより達成される。また、所定の基準に従って学習メカニズムを、これら期間の全部にわたって、又は、太陽光発電装置の電気生産量の測定が充分な頻度で利用できる期間のみのようなこれら期間の一部のみにわたって実行することができる。更に、この学習メカニズムを所定の限定期間のみにわたって実行することを選択することができ、又は、このメカニズムを無限に、すなわち永続的に実行することができる。
【0036】
本発明は、三つのブロック30,40,50内で実行されたこの方法の三つの主要な計算モデルを改善できるようにするのが好ましい。しかしながら、これら三つのブロックのうちいずれか一つのブロックに用いることは、既に既存の方法での改善を可能にし、本発明の概念からは逸脱しない。
【0037】
また、本発明は、真の電気生産量のみの測定を用いて、電気生産量を予測する方法を結果的に改善することを可能にするという点において有利である。しかしながら、本発明の概念から逸脱することなく、例えば、他の測定に基づいて実行された計算モデルを実証的に修正する他のいかなるシステムとも本発明のこの概念を組み合わせることができる。
【0038】
更に、本発明は、表面積単位当たりに受け取られた電力を表す照度のような特定の重要な量を用いて説明されている。変形実施形態として、例えば、表面積単位当たりに受け取られたエネルギーを表す照射量のような他の同様な量を用いて、同じ計算及び同じ方法を実行することができる。単純変換により照度から照射量へ切り換えることが可能であり、この方法において、これら量のどちらかを用いることは同等の解決策を表す。
【0039】
本発明を容易に理解するため、種々のブロック30,40,50,60に分割した要約に従って本発明の方法を示した。しかしながら、本発明の方法は、より複雑に様々な要素を入れ子構造にすることができる不可分な全体を表す。実際には、この方法は、二つの大きな主要部分に細分される。すなわち、第1部分は最初の二つのブロック30,40を組み合わせ、第1部分を用いて、装置の太陽光発電モジュールレベルで気象予測を形式化することができる。その一方で、第2部分は、これらの太陽光発電モジュールの推定された電気生産量を、まさにこれら形式化気象予測から計算することをもって構成される。実際には、最終ブロック60は、先行する三つのモデルの各々に属する要素である。その理由は、最終ブロック60がこれらモデルの重要なパラメータの一部を定義することによって、これらモデルにより実行された計算に関与するためである。このようにして、最初の計算モデルがこの方法の始点として用いられているかにかかわらず、また、理論的及び/又は実証的モデルが最新技術に存在するか否かにかかわらず、これらモデルは、本発明のブロック60により実行されるステップと組み合わせることにより、更に効果的な新たな別のモデルになる。それ故に、前述されたこの方法の必須部分は、最終ブロック60において実行される部分である。説明を簡略化することから、この方法のこの部分は、この方法の個別部分として示された。しかし、より正確な観点によれば、前述されたように、この最終ブロック60はこの方法の不可欠な部分であり、三つのブロック30,40,50内で実行された三つの主要な計算モデルのうち少なくとも一つの一部である。その理由は、これらモデルのうち少なくとも一つの必須パラメータがこの最終ブロック60により決定されるためである。
【0040】
太陽光発電装置が大規模生産ユニットであろうが、パーキングメータのような機器に関連する小規模太陽光発電装置であろうが、本発明はいかなる太陽光発電装置にも適する。
【0041】
更に、本発明は、信頼でき、かつ正確な太陽光発電設備の電気生産量を予測する方法を最終的に判定することを可能にする。従って、本発明は、太陽光発電設備の診断を実行するというような他の用途を可能にする。実際には、真の生産量と、モデルにより推定された生産量とを比較することによって、本発明は、この比較から太陽光発電設備の性能の測定値を推測することを可能にし、その差が大きい場合、太陽光発電設備の故障を診断することさえ可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電モジュール(1)を備える太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法であって、前記太陽光発電モジュール(1)の前記面において受け取られる前記照度を推定する第1部分と、前記太陽光発電装置の前記電気生産量を推定する第2部分とを含む前記方法において、前記方法は、
(E1)‐過去の関係期間が晴れであるか曇りであるかを決定する
第1ステップを含むことを特徴とし、
前記方法は、以下の二つのステップの少なくとも一つ、すなわち、
(E2)‐この過去の関係期間が晴れである場合には、前記過去の関係期間にわたる前記太陽光発電モジュールの前記真の電気生産量の前記測定に基づいて、前記電気生産量を予測する前記方法の前記第2部分を修正するステップ、及び/又は、
‐この過去の関係期間が曇りである場合には、前記過去の関係期間にわたる前記太陽光発電モジュールの前記真の電気生産量の前記測定に基づいて、前記電気生産量を予測する前記方法の前記第1部分を修正するステップ
を実行する第2ステップ(E2)を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、過去の関係期間が晴れであるか曇りであるかを決定する前記第1ステップ(E1)は、
(E11)‐前記過去の関係期間中、所定頻度に従って前記真の電気生産量を測定するサブステップと、
(E14)‐晴天を仮定する前記理論的電気生産量を決定するサブステップと、
(E15)‐何らかの異常事象を検出することにより、前記測定された電気電力と、晴天を仮定する前記理論的電気電力との比を分析するサブステップ、及び/又は、(E16)何らかの異常事象を検出することにより、この比の前記微分を分析するサブステップと
(E17)‐検出された異常事象の前記量を所定しきい値と比較することにより日の前記種類を決定し、この所定しきい値を上回る場合、前記日が曇りであると見なされ、この所定しきい値を下回る場合、晴れであると見なされるサブステップと
を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項3】
請求項2に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、晴天時の前記理論的電気生産量を決定する前記サブステップ(E14)は、晴天時の前記太陽光発電モジュールの前記面における前記照度を推定すること(E12)と、一連の周囲温度を確立すること(E13)とに基づいて実行されることを特徴とする前記方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記測定された電気電力と、晴天を仮定する前記理論的電気電力との前記比を分析する前記サブステップ(E15)は、0.5〜1の範囲にあるこの比の値のいずれも正常事象であると見なすものであることを特徴とする前記方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記測定された電気電力と、晴天を仮定する前記理論的電気電力との前記比の前記微分を分析する前記サブステップ(E16)は、0〜0.1の範囲にある(前記微分からの)前記微分係数の絶対値に対応する事象のいずれも正常事象であると見なすものであることを特徴とする前記方法。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記方法は、前記太陽光発電モジュールの前記レベルで影を生じさせる山又は建物のような自然の障害物を検出する準備ステップを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記太陽光発電モジュール(1)の前記面において受け取られる前記照度を推定する前記第1部分は、前記太陽光発電装置により受け取られた前記水平照度を気象予測に基づいて決定する第1計算モデルを実行する第1ブロック(30)と、前記太陽光発電装置(1)の前記面において受け取られた前記照度を決定する第2計算モデルを実行する第2ブロック(40)とを備えることを特徴とし、前記太陽光発電装置の前記電気生産量を推定する前記第2部分は、第3計算モデルを実行する第3ブロック(50)を備えることを特徴とし、前記過去の関係期間が曇りである場合には、前記第1ブロック(30)及び/又は前記第2ブロック(40)により実行された最初の二つの前記計算モデルの少なくとも一つは、前記第3ブロック(50)の前記第3計算モデルの逆計算により測定された前記真の電気生産量から推測された前記真の照度と、前記予測する方法により予測された前記照度との間の前記偏差に従って修正され、前記第3計算モデルは変わらないままであることを特徴とする前記方法。
【請求項8】
請求項7に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記過去の関係期間が曇りである場合、水平面における前記真の照度は、前記第2計算モデル及び前記第3計算モデルの逆計算による前記真の電気生産量の前記測定から推測される前記太陽光発電モジュールの前記面における前記照度から推測されることを特徴とし、前記水平面におけるこの真の照度は、前記第1計算モデルにより気象予測に基づいて予測された照度と比較され、この第1モデルはこれら二つの照度値の前記差に従って修正され、前記第2計算モデル及び前記第3計算モデルは変わらないままであることを特徴とする前記方法。
【請求項9】
請求項8に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記第1計算モデルは、前記太陽光発電モジュールの付近にある様々な点で予測された幾つかの気象予測値の重みを含むことを特徴とし、前記第1モデルの前記修正は、前記第1モデルの前記種々の重みの漸進的変化の段階を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記太陽光発電モジュール(1)の前記面において受け取られる前記照度を推定する前記第1部分は、前記太陽光発電装置により受け取られた前記水平照度を気象予測に基づいて決定する第1計算モデルを実行する第1ブロック(30)と、前記太陽光発電装置(1)の前記面において受け取られた前記照度を決定する第2計算モデルを実行する第2ブロック(40)とを備えることを特徴とし、太陽光発電装置の前記電気生産量を推定する前記第2部分は、第3計算モデルを実行する第3ブロック(50)を備えることを特徴とし、前記期間が晴れである場合には、前記第3計算モデルは、前記測定された真の電気生産量と、前記電気生産量を予測する前記方法により予測された前記電気生産量との間の前記偏差に従って修正され、前記第1計算モデル及び前記第2計算モデルは変わらないままであることを特徴とする前記方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記測定された真の電気生産量の前記値による前記予測する方法の前記修正は、前記方法の一つ以上のパラメータを新たに計算するものであり、この又はこれらの計算されたパラメータは、前記方法の今後の適用のために直ちに変更されるか、又は、前記方法の前記(一つ以上の)パラメータを変更することを可能にする周期的な処理動作前に格納され、この変更は統計的計算に基づき、並びに/又は、ニューラルネットワーク及び/若しくは人工知能及び/若しくは多項式方式モデル化に基づくことを特徴とする前記方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記第1ステップ(E1)は1日の期間を考慮し、この日が晴れであるか曇りであるかを決定することを特徴とする前記方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を実行することができるソフトウェアを含むコンピュータ媒体。
【請求項14】
太陽光発電モジュール(1)と、それらの真の電気生産量を測定する要素とを備える太陽光発電装置において、前記太陽光発電装置は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の、電気生産量を予測する方法を実行する管理ユニット(10)を備えることを特徴とする前記太陽光発電装置。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を用いた太陽光発電装置の前記状況の診断。
【請求項1】
太陽光発電モジュール(1)を備える太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法であって、前記太陽光発電モジュール(1)の前記面において受け取られる前記照度を推定する第1部分と、前記太陽光発電装置の前記電気生産量を推定する第2部分とを含む前記方法において、前記方法は、
(E1)‐過去の関係期間が晴れであるか曇りであるかを決定する
第1ステップを含むことを特徴とし、
前記方法は、以下の二つのステップの少なくとも一つ、すなわち、
(E2)‐この過去の関係期間が晴れである場合には、前記過去の関係期間にわたる前記太陽光発電モジュールの前記真の電気生産量の前記測定に基づいて、前記電気生産量を予測する前記方法の前記第2部分を修正するステップ、及び/又は、
‐この過去の関係期間が曇りである場合には、前記過去の関係期間にわたる前記太陽光発電モジュールの前記真の電気生産量の前記測定に基づいて、前記電気生産量を予測する前記方法の前記第1部分を修正するステップ
を実行する第2ステップ(E2)を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、過去の関係期間が晴れであるか曇りであるかを決定する前記第1ステップ(E1)は、
(E11)‐前記過去の関係期間中、所定頻度に従って前記真の電気生産量を測定するサブステップと、
(E14)‐晴天を仮定する前記理論的電気生産量を決定するサブステップと、
(E15)‐何らかの異常事象を検出することにより、前記測定された電気電力と、晴天を仮定する前記理論的電気電力との比を分析するサブステップ、及び/又は、(E16)何らかの異常事象を検出することにより、この比の前記微分を分析するサブステップと
(E17)‐検出された異常事象の前記量を所定しきい値と比較することにより日の前記種類を決定し、この所定しきい値を上回る場合、前記日が曇りであると見なされ、この所定しきい値を下回る場合、晴れであると見なされるサブステップと
を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項3】
請求項2に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、晴天時の前記理論的電気生産量を決定する前記サブステップ(E14)は、晴天時の前記太陽光発電モジュールの前記面における前記照度を推定すること(E12)と、一連の周囲温度を確立すること(E13)とに基づいて実行されることを特徴とする前記方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記測定された電気電力と、晴天を仮定する前記理論的電気電力との前記比を分析する前記サブステップ(E15)は、0.5〜1の範囲にあるこの比の値のいずれも正常事象であると見なすものであることを特徴とする前記方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記測定された電気電力と、晴天を仮定する前記理論的電気電力との前記比の前記微分を分析する前記サブステップ(E16)は、0〜0.1の範囲にある(前記微分からの)前記微分係数の絶対値に対応する事象のいずれも正常事象であると見なすものであることを特徴とする前記方法。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記方法は、前記太陽光発電モジュールの前記レベルで影を生じさせる山又は建物のような自然の障害物を検出する準備ステップを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記太陽光発電モジュール(1)の前記面において受け取られる前記照度を推定する前記第1部分は、前記太陽光発電装置により受け取られた前記水平照度を気象予測に基づいて決定する第1計算モデルを実行する第1ブロック(30)と、前記太陽光発電装置(1)の前記面において受け取られた前記照度を決定する第2計算モデルを実行する第2ブロック(40)とを備えることを特徴とし、前記太陽光発電装置の前記電気生産量を推定する前記第2部分は、第3計算モデルを実行する第3ブロック(50)を備えることを特徴とし、前記過去の関係期間が曇りである場合には、前記第1ブロック(30)及び/又は前記第2ブロック(40)により実行された最初の二つの前記計算モデルの少なくとも一つは、前記第3ブロック(50)の前記第3計算モデルの逆計算により測定された前記真の電気生産量から推測された前記真の照度と、前記予測する方法により予測された前記照度との間の前記偏差に従って修正され、前記第3計算モデルは変わらないままであることを特徴とする前記方法。
【請求項8】
請求項7に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記過去の関係期間が曇りである場合、水平面における前記真の照度は、前記第2計算モデル及び前記第3計算モデルの逆計算による前記真の電気生産量の前記測定から推測される前記太陽光発電モジュールの前記面における前記照度から推測されることを特徴とし、前記水平面におけるこの真の照度は、前記第1計算モデルにより気象予測に基づいて予測された照度と比較され、この第1モデルはこれら二つの照度値の前記差に従って修正され、前記第2計算モデル及び前記第3計算モデルは変わらないままであることを特徴とする前記方法。
【請求項9】
請求項8に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記第1計算モデルは、前記太陽光発電モジュールの付近にある様々な点で予測された幾つかの気象予測値の重みを含むことを特徴とし、前記第1モデルの前記修正は、前記第1モデルの前記種々の重みの漸進的変化の段階を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記太陽光発電モジュール(1)の前記面において受け取られる前記照度を推定する前記第1部分は、前記太陽光発電装置により受け取られた前記水平照度を気象予測に基づいて決定する第1計算モデルを実行する第1ブロック(30)と、前記太陽光発電装置(1)の前記面において受け取られた前記照度を決定する第2計算モデルを実行する第2ブロック(40)とを備えることを特徴とし、太陽光発電装置の前記電気生産量を推定する前記第2部分は、第3計算モデルを実行する第3ブロック(50)を備えることを特徴とし、前記期間が晴れである場合には、前記第3計算モデルは、前記測定された真の電気生産量と、前記電気生産量を予測する前記方法により予測された前記電気生産量との間の前記偏差に従って修正され、前記第1計算モデル及び前記第2計算モデルは変わらないままであることを特徴とする前記方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記測定された真の電気生産量の前記値による前記予測する方法の前記修正は、前記方法の一つ以上のパラメータを新たに計算するものであり、この又はこれらの計算されたパラメータは、前記方法の今後の適用のために直ちに変更されるか、又は、前記方法の前記(一つ以上の)パラメータを変更することを可能にする周期的な処理動作前に格納され、この変更は統計的計算に基づき、並びに/又は、ニューラルネットワーク及び/若しくは人工知能及び/若しくは多項式方式モデル化に基づくことを特徴とする前記方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法において、前記第1ステップ(E1)は1日の期間を考慮し、この日が晴れであるか曇りであるかを決定することを特徴とする前記方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を実行することができるソフトウェアを含むコンピュータ媒体。
【請求項14】
太陽光発電モジュール(1)と、それらの真の電気生産量を測定する要素とを備える太陽光発電装置において、前記太陽光発電装置は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の、電気生産量を予測する方法を実行する管理ユニット(10)を備えることを特徴とする前記太陽光発電装置。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の、太陽光発電装置の電気生産量を予測する方法を用いた太陽光発電装置の前記状況の診断。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−239856(P2010−239856A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−7844(P2010−7844)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(500348697)コミッサリア ア レネルジー アトミーク (21)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L´ENERGIE ATOMIQUE
【住所又は居所原語表記】25 rue Leblance, Batiment le Ponant D 7501 5 Paris, France
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7844(P2010−7844)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(500348697)コミッサリア ア レネルジー アトミーク (21)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L´ENERGIE ATOMIQUE
【住所又は居所原語表記】25 rue Leblance, Batiment le Ponant D 7501 5 Paris, France
【Fターム(参考)】
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