説明

太陽光発電装置

【課題】太陽光と太陽熱を活用して太陽電池の発電効率を向上できるとともに、給湯のための水の加温及び暖房のための空気の加温を可能に太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】屋根2202の上面に配置される太陽電池パネル12と、太陽電池パネル12の裏面に該裏面の全域が覆られるように設けられ太陽電池パネル12を冷却するとともに太陽熱により加温される流体を生成する冷却・加温用チャンバー14と、屋根2202の上面と冷却・加温用チャンバー14との間に設けられた第1断熱材16と、第1断熱材16の全表面が覆われるように収容する断熱材収容部1802及び冷却・加温用チャンバー14を収容保持するチャンバー収容部1804を有する外装ケース18とを備える構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温熱源回収型のハイブリッド式太陽光発電装置に関し、さらに詳しくは、建築物の屋根に照射される太陽光と太陽熱を活用して発電や給湯のための水及び暖房のための空気の加温と屋根の遮熱を可能にした太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光と太陽熱を同時に活用して発電や給湯、暖房用のエネルギーを供給できる家庭用エネルギーシステムとして太陽光発電温水装置が知られている(特許文献1または2参照)。
この種の装置は、高温による性能低下がないようにした太陽電池パネルのエネルギー変換効率を高めながら、温水の熱エネルギーと電気エネルギー両方の形態でエネルギー変換できるものである。
【0003】
以下、従来の太陽光発電温水装置について図7乃至図9を参照して説明する。
従来の太陽光発電温水装置100は、図7及び図8に示すように、太陽電池パネル102と、この太陽電池パネル102の裏面に積層状態に設けられた太陽熱温水パネル104とから構成されている。
このような太陽光発電温水装置100は、建築物106の屋根108の上面に断熱材110を介して設置されている。また、屋根108の裏面には断熱材112が設けられている。
【0004】
上記のように構成された太陽光発電温水装置100において、太陽熱温水パネル104に水道水などの冷水を流すことにより、太陽電池パネル102の温度が高温にならないように冷却する。これにより、太陽電池の温度による性能劣化及び起電力の低下をなくし、太陽電池の電力エネルギー変換効率を向上させ、同時に太陽熱温水パネル104の冷水を加温し温水として有効利用できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−55479号公報
【特許文献2】特開2000−241030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来の太陽光発電温水装置100は、冬期のように太陽電池パネル102の温度が高くならない時期では太陽熱温水パネル104の冷水の温度上昇が見込めない。また、放射冷却が強くなる季節では、太陽熱温水パネル104内の水が凍らないようにするために太陽熱温水パネル内の水を抜く必要がある。
【0007】
既存の建築物106の屋根108上面に太陽光発電温水装置100を設置した場合、太陽熱温水パネル104と屋根108との間に介在された断熱材110は温水を作ることが目的であるため、屋根108を通して建築物の屋根裏に侵入する熱量が多くなる。特に、太陽電池パネル102及び太陽熱温水パネル104を保持する外装フレームにはアルミなどの金属が用いられることが多いため、外装フレームが熱橋となり、太陽電池パネル102を通過した熱流束が直接屋根面に到達しやすくなる。
【0008】
また、従来の太陽光発電温水装置100は、太陽電池パネルのコストが高いため、太陽光が照射される屋根全面が覆われるように太陽電池パネルを設置することを想定していないため、従来における太陽光発電温水装置の設置面積は屋根面積の半分以下となっている。さらに、従来の太陽光発電温水装置における太陽熱利用部分の断熱も十分な性能を有していないのが現状である。
これに対して、近年は、太陽電池パネルの低価格化により、1つの建築物における太陽電池パネルの設置面積が増加している。また、建築物に課せられるCO削減目標が大きくなるため,建築物の高断熱工法が積極的に導入されている。
【0009】
図7に示す従来の太陽光発電温水装置100と日射量Q(W)との間には次の式(1)に示す関係がある。
Q=q1+q2+q3+q4+q5・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
但しq1:反射した日射のエネルギー(W)
q2:太陽電池パネルで発電した電気エネルギー(W)
q3:太陽熱温水パネルにおける温水上昇分の熱量(W)
q4:断熱材で遮断した熱量(W)
q5:屋根裏に到達した熱量(W)
である。
【0010】
一方、図8に示すように、建築物106の屋根108に対する太陽電池パネル102の設置面積が拡大された場合、日射量が不足する冬期では、太陽熱温水パネルの水温の上昇は見込めないため、太陽エネルギーの主な利用は電気エネルギー分となる。例えば、図8及び図9に示すように、建築物(住宅)106の屋根108裏面に断熱材112が施されている場合、外気から屋根裏空間までの伝熱抵抗が増えるため、冬期の昼間に屋根裏空間の気温の上昇は小さくなる。
【0011】
すなわち、図9に示すように、屋根108の上面に何も設置されていない場合の屋根裏空間に到達する熱量q5A及び屋根108の上面に何も設置されていない場合の屋根裏空間の温度θ5Aと、図8に示すように、屋根108の上面に従来の太陽光発電温水装置100が設置されている場合の屋根裏空間に到達する熱量q5B及び屋根108の上面に従来の太陽光発電温水装置100が設置されている場合の屋根裏空間の温度θ5Bとの間には次式(2)、(3)に示す関係がある。
q5A>q5B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
θ5A>θ5B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
この式(2)、(3)からも明らかなように、屋根108の上面に太陽光発電温水装置100が設置されている場合の冬期の昼間に屋根裏空間の気温は、太陽光発電温水装置が設置されていない場合に比べて小さくなる。このことは、太陽熱温水パネル102の冷水の温度上昇が見込めないほか、太陽熱温水パネル102内の水を抜いて、太陽熱温水パネル102内が凍結しないようにしておく必要があるからである。
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、建築物の屋根に照射される太陽光と太陽熱を活用して太陽電池の発電効率を向上するとともに、給湯のための水の加温及び暖房のための空気の加温を可能にし、併せて屋根の遮熱効果を向上できる太陽光発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために本発明は、太陽光発電装置であって、建築物の屋根の上面に配置される太陽電池パネルと、前記屋根の上面と対向する前記太陽電池パネルの裏面に該裏面の全域に接して設けられ内部に流れる流体により前記太陽電池パネルを冷却するとともに太陽熱及び前記太陽電池パネルからの熱により前記流体が加温される冷却・加温用チャンバーが形成されたチャンバー部と、前記屋根の上面と前記チャンバー部との間に設けられた第1断熱材と、前記屋根の上面に設置され、前記第1断熱材の全表面が覆われるように収容する断熱材収容部及び前記チャンバー部を収容するチャンバー収容部を有する外装ケースとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の太陽光発電装置によれば、建築物の屋根に照射される太陽光と太陽熱を活用して太陽電池の発電効率を向上できるとともに、給湯のための水の加温及び暖房のための空気の加温を可能になり、併せて屋根の遮熱効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる太陽光発電装置の一部を拡大して示す縦断側面図である。
【図2】本発明にかかる太陽光発電装置の一部を切欠いて示す平面図である。
【図3】本発明にかかる太陽光発電装置を建築物の屋根の上面に設置した場合の夏季における太陽光発電装置の運用方法を示す説明図である。
【図4】本発明にかかる太陽光発電装置を建築物の屋根の上面に設置した場合の冬季における太陽光発電装置の運用方法を示す説明図である。
【図5】本発明にかかる太陽光発電装置が建築物の屋根の上面に設置されていない場合の冬季における屋根裏空間の気温上昇を説明するための説明図である。
【図6】本発明にかかる太陽光発電装置を建築物の屋根の上面に設置した場合の冬季における屋根裏空間の気温上昇を説明するための説明図である。
【図7】従来の太陽光発電装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図8】従来の太陽光発電装置を建築物の屋根の上面に設置した場合の冬季における屋根裏空間の気温上昇を説明するための説明図である。
【図9】従来の太陽光発電装置が建築物の屋根の上面に設置されていない場合の冬季における屋根裏空間の気温上昇を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる太陽光発電装置の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
太陽光発電装置10は、図1及び図2に示すように、太陽電池パネル12、冷却・加温用のチャンバー部14、第1断熱材16、外装ケース18、第2断熱材20などを含んで構成さる。
【0017】
太陽電池パネル12は、複数の太陽電池モジュール1202を縦横に平板状に配列することにより構成される。この太陽電池パネル12は、建築物22の日射方向に向けて傾斜する屋根2202の上面に配置される。また、各太陽電池モジュール1202の裏面には、太陽電池モジュール1202ごとにその裏面温度を検出する温度センサー1204がそれぞれ設けられている。
【0018】
上記チャンバー部14は、屋根2202の上面と対向する太陽電池パネル12の裏面に該裏面の全域に接して設けられ内部に流れる流体により太陽電池パネル12を冷却するとともに太陽熱及び太陽電池パネル12からの熱により前記流体が加温される冷却・加温用チャンバー1410を有している。この冷却・加温用チャンバー1410は内部が空洞で平盤な直方体形状を呈し、熱伝導率の高いアルミ等の材料で構成される。
また、冷却・加温用チャンバー1410内には、その左側壁から右側壁方向および右側壁から左側壁方向に延在する複数の隔壁1408を、図2に示すように、冷却・加温用チャンバー14の下端に設けられた流体吸入口1402から上端に設けられた流体流出口1404に向けて一定の間隔で平行に配列することで流体通路1406が形成されている。
【0019】
上記太陽光発電装置10を夏季に運用する場合は、図3に示すように、チャンバー部14の流体吸入口1402に流量調整バルブ24を介して水道管32が接続される。そして、チャンバー部14の流体流出口1404には、チャンバー部14で太陽熱及び太陽電池パネル12との交換熱により加温された温水を建築物22外に設置された電気温水器(ヒートポンプを利用したエコキュート)26に供給する温水供給管28が接続される。温水供給管28は建築物22の屋根2202の裏面側に形成された屋根裏空間2204を通して電気温水器26に向け配管されている。さらに、流量調整バルブ24は、各温度センサー1204で検出された温度情報に基づいて流量調整バルブ24の開度を調整する制御部30に接続されている。制御部30の電源には太陽電池パネル12から発生する電力が使用される。
また、上記太陽光発電装置10を冬季に運用する場合は、図4に示すように、チャンバー部14の流体吸入口1402は大気に開放され、流体流出口1404は建築物22の屋根裏空間2204に連通される。
【0020】
第1断熱材16は、チャンバー部14から屋根2202への熱伝導を低減するもので、平板状を呈し、屋根2202の上面とチャンバー部14との間に設けられている。
外装ケース18は、断熱性能の高い材質から構成されるもので、第1断熱材16の全表面が覆われるように収容する断熱材収容部1802及びチャンバー部14を収容するチャンバー収容部1804を有している。そして、この外装ケース18を屋根2202の上面に直接取り付けることで、太陽光発電装置10が屋根2202の上面に設置されるように構成されている。
また、太陽光発電装置10が配設される屋根2202の裏面及び該屋根2202と反対の屋根2202の裏面に第2断熱材28が設けられている。
【0021】
上記のように構成された太陽光発電装置10を夏季に運用する場合について、図3を参照して説明する。
この場合は、図3に示すように、チャンバー部14の流体吸入口1402に流量調整バルブ24を介して水道管32(特許請求の範囲に記載した給水管に相当する)を接続する。さらに、チャンバー部14の流体流出口1404に温水供給管28を接続する。この状態で、流量調整バルブ24で流量調整された水道水をチャンバー部14内に送り込む。水道水で満たされたチャンバー部14内の水道水はチャンバー部14の流体通路1406を流体吸入口1402から流体流出口1404へ移動する間に太陽熱及び太陽電池パネル12との交換熱により加温される。そして、加温された水道水は温水供給管28を通して電気温水器26に供給される。または図示省略した周知の温水タンクに供給され貯溜される。この場合、チャンバー部14で加温された水道水の温度は40〜60℃である。
【0022】
一方、太陽光が太陽電池パネル12に照射されることで太陽電池パネル12から発生する電力は、図示省略した周知の充放電制御部を介して図示省略の蓄電池に充電される。また、蓄電池の電力は上記充放電制御部及び図示省略のDC/ACインバータもしくはDC/DCコンバータを介して電気温水器26または図示省略の負荷に給電される。電気温水器26はチャンバー部14で加温された水道水を80〜95℃に加熱し、浴室等の給湯場所に供給される。
【0023】
各太陽電池モジュール1202ごとに、それぞれの温度センサー1204で検出された太陽電池モジュール1202の裏面温度は制御部30に取り込まれる。制御部30では各温度センサー1204で検出された温度の平均値を求め、この平均値に基に流量調整バルブ24の開度を制御部30により制御し、太陽電池パネル12の発電効率が均一になるようにチャンバー部14に流入される水道水の流量を調整する。
【0024】
次に、日射量が不足する太陽光発電装置10を冬季に運用する場合について、図4を参照して説明する。
この場合は、図4に示すように、チャンバー部14の流体吸入口1402が大気に開放され、流体流出口1404は建築物22の屋根裏空間2204に連通される。また、給水用の水導管32は、チャンバー部14からの加温空気が流体吸入口1402を通して流入される建築物22の屋根裏空間2204を通して電気温水器26に配管されている。この状態で、チャンバー部14に充満している空気が太陽熱及び太陽電池パネル12との交換熱により加温されると、その温度上昇に伴う自然対流によってチャンバー部14の流体通路1406を流体吸入口1402から流体流出口1404へ移動する。そして、加温された空気は流体吸入口1402から屋根裏空間2204内に流出され、屋根裏空間2204内を暖める。これにより、水導管32内を流れる水道水は屋根裏空間2204内の加温空気によって加温され、電気温水器26に供給される。
【0025】
次に、本実施例に示す太陽光発電装置10と日射量Q(W)との関係について説明する。日射量Q(W)と太陽光発電装置10との間には次の式(4)に示す関係がある。
Q=q1+q2+q3+q4+q5+q6・・・・・・・・・・・・・・・(4)
但しq1:反射した日射のエネルギー(W)
q2:太陽電池パネルで発電した電気エネルギー(W)
q3:冷却・加温用チャンバーにおける温水(空気温度)の上昇分の熱量(W)
q4:第1断熱材で遮断した熱量(W)
q5:屋根裏に到達した熱量(W)
q6:外装ケースで遮断した熱量(W)
である。この(4)式から明らかなように、外装ケース18を設けることによって、太陽光発電装置10から屋根に到達する遮断熱量を大きくできる。これにより、給湯用水の加温や暖房用温風の加温温度を高めることができる。
【0026】
また、日射量が不足する太陽光発電装置10の冬季運用時において、チャンバー部14に自然対流で容易に流動する空気を用いることにより、太陽電池パネル12の冷却と温風の生成が可能になる。
例えば、図5に示すように、屋根22の上面に何も設置されていない場合の屋根裏空間2204に到達する熱量q5A及び屋根22の上面に何も設置されていない場合の屋根裏空間2204の温度θ5Aと、図6に示すように、屋根22の上面に太陽光発電装置10が設置されている場合の屋根裏空間2204に到達する熱量q5C及び屋根22の上面に太陽光発電装置10が設置されている場合の屋根裏空間2204の温度θ5Cとの間には次式(5)、(6)に示す関係がある。
q5A>q5C・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
θ5A<θ5C・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
【0027】
上記式(5)、(6)からも明らかなように、温風を生成する際の外気に面する屋根22上面の伝熱抵抗は、本実施例に示す太陽光発電装置10の方が従来のものより小さくなる。このことは、本実施例に示す太陽光発電装置10を屋根22に設置した場合、屋根裏空間2204に到達する熱量が小さくなるものの、生成される温風の温度を高くすることができる。例えば、チャンバー部14に導入された空気を20〜40℃程度に加温することが可能になる。これにより、チャンバー部14が凍結されるのを未然に防止することが可能になる。また、温風を屋根裏空間に送ることで,屋根裏空間の気温は屋根材のみの場合に比べて高温にできるほか、昼間に屋根裏空間を暖めた場合、夜間の放射冷却により屋根裏空間が冷える割合を、何も設置しない場合に比べて小さくなる。
【0028】
このような本実施例に示す太陽光発電装置10によれば、以下に示す効果が得られる。
a)太陽電池パネルの発電効率の向上と建築物の屋根面への日射遮熱を図ることができる。
b)チャンバー部14が熱伝導率の高いアルミ等の材料で構成されるため、日射量が少なくても、太陽電池パネル12からチャンバー部14へ熱が伝わりやすくなり、太陽電池パネル12の冷却と温水の生成及び温風の生成を容易に実現することができる。
c)冬期は日射量が少なく、太陽電池パネル12の裏面温度が低くなる場合は、チャンバー部14に水の代わりに空気を自然対流で流体吸入口1402から流体流出口1404に向け流すことにより、冬期の温度上昇は、水に比べ空気の方が高くなる。この場合の空気の密度(約1kg/m3)は水の密度(約1000kg/m3)より小さいため、空気の加温温度を高くできる。
d)チャンバー部14に水を供給するのに必要な電気エネルギーに比べて空気をチャンバー部14に供給する場合の電気エネルギーを小さくできるため、冬期に本実施例に示す太陽光発電装置10の稼動に必要な電気エネルギーは全体で小さくなる。
e)チャンバー部14からの温風の供給で加温される屋根裏空間に電気温水器への給水管を配置し、この給水管を通して加温された水を電気温水器に供給するようにしたので、熱交換の効率を高めることなり,消費電力量が抑えることができる。
f)第1断熱材16を収容し、かつチャンバー部14を収容保持する外装ケース18は断熱性能の高い材料から構成されているため、第1断熱材16への湿気の侵入を防ぐことができるとともに、熱橋部を小さくでき、建築物の屋根に到達する熱流束を小さくすることができる。
g)太陽電池パネル12の裏面にチャンバー部14が積層状態に設けられているので、太陽電池パネル12を構成する複数の太陽電池モジュール1202の発電効率に差が生じるが、各太陽電池モジュール毎にその裏面に温度センサー1204を設け、この各温度センサー1204で検出した温度に基づいて、チャンバー部14内を流動する水または空気の流量を調整するようにしたので、太陽電池パネル12全体の発電量が最大限とすることを目的として、太陽電池パネル12の発電効率が概ね均一にすることができる。
h)屋根2202の裏面に第2断熱材20を設けることにより、太陽熱及び太陽光発電装置10からの伝熱効率が低減され、屋根2202の断熱効果を向上できる。
【符号の説明】
【0029】
10…太陽光発電装置、12…太陽電池パネル、1202…太陽電池モジュール、1204…温度センサー、14…チャンバー部、1402…流体吸入口、1404…流体流出口、1406…流体通路、1408…隔壁、1410…冷却・加温用チャンバー、16…第1断熱材、18…外装ケース、1802…断熱材収容部、1804…チャンバー収容部、20…第2断熱材、22…建築物、2202…屋根、2204…屋根裏空間、24…流量調整バルブ、26…電気温水器、28…温水供給管、30…制御部、32…水道管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の屋根の上面に配置される太陽電池パネルと、
前記屋根の上面と対向する前記太陽電池パネルの裏面に該裏面の全域に接して設けられ内部に流れる流体により前記太陽電池パネルを冷却するとともに太陽熱及び前記太陽電池パネルからの熱により前記流体が加温される冷却・加温用チャンバーが形成されたチャンバー部と、
前記屋根の上面と前記チャンバー部との間に設けられた第1断熱材と、
前記屋根の上面に設置され、前記第1断熱材の全表面が覆われるように収容する断熱材収容部及び前記チャンバー部を収容するチャンバー収容部を有する外装ケースとを備える、
ことを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記外装ケースは断熱性能の高い材質で構成されていることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記冷却・加温用チャンバーに供給される流体は、給湯に供される水もしくは外気であることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記給湯に供される水は水道水であることを特徴とする請求項3記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記冷却・加温用チャンバーに供給される流体は外気であり、前記外気は、自然対流により前記冷却・加温用チャンバーの一端部設けられた吸入口から前記冷却・加温用チャンバーに吸引され、前記太陽電池パネルを冷却し加温された後の空気は、前記冷却・加温用チャンバーの他端部に設けられた流出口から前記建築物の屋根の裏面側に形成された屋根裏空間に流出されることを特徴とする請求項3記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
前記太陽電池パネルは複数の太陽電池モジュールを平板状に配列することにより構成され、前記各太陽電池モジュールごとに温度を検出する温度センサーが設けられ、前記各温度センサーで検出された温度に基づいて前記太陽電池パネルの発電効率が均一になるように前記冷却・加温用チャンバーを流動する流体の流量を調整することを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載の太陽光発電装置。
【請求項7】
前記建築物の屋根の裏面側に形成された屋根裏空間は、前記太陽電池パネルを冷却し加温された後の空気が流入されるように構成され、前記屋根裏空間に給水管が配置され、前記建築物内もしくは前記建築物外に配置された電気温水器に前記給水管を通して給水されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載の太陽光発電装置。
【請求項8】
前記屋根の裏面に第2断熱材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7に何れか1項記載の太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−165927(P2011−165927A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27504(P2010−27504)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】