説明

太陽光集熱装置および太陽光集熱装置の太陽自動追尾方法

【課題】高効率に太陽光を利用できるように、太陽の位置に合せた曲面鏡の回転制御ができる太陽光集熱装置を提供する。
【解決手段】太陽光集熱装置10は、コレクタ20を太陽と正対する軌道に基づき制御する際に、該軌道に基づき所定時間ごとに一定角度で静止し、その後該角度を変更するステップ状の制御を行い、該制御期間中にレシーバ30の集熱量を計算し、レシーバ30の集熱量が最大値となる時刻とその時刻のコレクタ20の設定角度を求める軌道検出試験を実施し、軌道検出試験で得られた時刻でのコレクタの設定角度と、設置誤差に係るパラメータを変更し得られた軌道計算での設定角度との差が所定値より小さければパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて補正して算出された設定角度で駆動装置50を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を集光して熱媒体を介して熱エネルギに変換し集熱する太陽光集熱装置、および、この太陽光集熱装置において太陽光を集光して集熱するための太陽自動追尾方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模での異常気象が問題となり、この異常気象の原因は温暖化現象であると考えられている。その為、温暖化現象の主原因である環境負荷の多い石油に代わり、環境負荷が少なく地球に優しい新エネルギが注目されている。その中で特に現実的に利用されているもののひとつが、太陽光エネルギである。
【0003】
太陽光を利用したクリーンエネルギシステムには、アモルファスや結晶シリコンによる太陽電池によって太陽光を電気エネルギに変換する方式と、太陽光を鏡によって集光し、熱媒体によって熱エネルギに変換する方式とがある。
【0004】
太陽光を集光して熱エネルギに変換する方式のひとつとしてトラフ式の太陽光集熱装置がある。トラフ式とは、雨樋状の曲面鏡を用いて、鏡の前に設置されたパイプに太陽光を集中させ、パイプ内を流れる熱媒体(水やオイルなど)を加熱して、熱エネルギに変換する方式である。
【0005】
また、太陽光の反射損失を低下させることで光/電変換効率を向上させた太陽電池を利用した太陽光発電システムの発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−003999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トラフ式の太陽光集熱装置において、太陽光の集熱を高効率で行うためには、太陽の位置にあわせ曲面鏡を回転制御する必要があり、曲面鏡の高精度な回転制御と太陽の位置検出が最重要になってくるが、十分に考慮されているとは言いがたい。
【0008】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、高効率に太陽光を利用できるように、太陽の位置に合せた曲面鏡の回転制御ができる太陽光集熱装置および太陽光集熱装置の太陽自動追尾方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の太陽光集熱装置は、太陽光を反射して集光するコレクタと、コレクタが集光した光を熱に変換するレシーバと、コレクタを回転する駆動装置と、レシーバに太陽光を集光するコレクタの所定角度を算出し、該所定角度で駆動装置を制御する制御装置と、を有する太陽光集熱装置であって、制御装置は、コレクタを太陽と正対する軌道に基づき制御する際に、該軌道に基づき所定時間ごとに一定角度で静止し、その後該角度を変更するステップ状の制御を行い、該制御期間中にレシーバの集熱量を計算し、レシーバの集熱量が最大値となる時刻とその時刻のコレクタの設定角度を求める軌道検出試験を実施し、軌道検出試験で得られた時刻でのコレクタの設定角度と、設置誤差に係るパラメータを変更し得られた軌道計算での設定角度との差が所定値より小さければパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて補正して算出された設定角度で駆動装置を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高効率に太陽光を利用できるように、太陽の位置に合せた曲面鏡の回転制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る太陽光集熱装置を示す図である。
【図2】曲面鏡の太陽追尾精度への誤差要因を示す図である。
【図3】実施形態に係る太陽光集熱装置の制御装置を示す図である。
【図4】誤差要因の補正手順を示すフローチャートである。
【図5】曲面鏡の軌道検出試験時の軌道を示す図である。
【図6】太陽の移動に伴う集熱量変化の例を示す図である。
【図7】曲面鏡の軌道検出試験に基づく太陽と正対する曲面鏡の軌道を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る太陽光集熱装置を示す図である。太陽光集熱装置10は、トラフ式の太陽光集熱装置であり、南北方向である長手方向の両端に設けられた2本の支柱40(40−1,40−2)と、これらの支柱40(40−1,40−2)に回転可能に支持されているコレクタ20を有している。実施形態においては、南北方向は長手方向であり、東西方向は短手方向である。
【0013】
コレクタ20は、制御装置80によって制御されている駆動装置50によって、太陽の方向に正対するよう回転する。コレクタ20が太陽の方向に正対した状態とは、太陽光Lがコレクタ20に設けられた反射パネル21(曲面鏡)によって反射され、集熱管30(レシーバ)を焦点として集光されている状態である。コレクタ20は、反射パネル21と、この反射パネル21を支える支持部材である5個の支持フレーム22(図1においては1つだけが見えている)と、この支持フレーム22の長手方向の両端と中央部とに配置されている3本の支持バー23とを有している。太陽と反対方向(図1の北方向)の支持バー23上には、太陽光エネルギ検出部である直達日射計29が設置されている。直達日射計29は、太陽光Lの単位面積あたりの熱エネルギを測定する機能を有し、コレクタ20と連動して回転する。更に、太陽と反対方向(図1の北方向)の支持バー23上に固定され、反射パネル21に対して影を落とさないようになっている。
【0014】
駆動装置50は、例えばサーボモータであり、コレクタ20を回転駆動する機能を有している。回転位置検出器70とは、例えばロータリーエンコーダであり、コレクタ20の回転角度Θを測定(実測)する機能を有している。制御装置80は、回転位置検出器70によって測定された実測の回転角度Θが目標回転角度Θtになるまで駆動装置50を回転
駆動させ、コレクタ20を回転させる。
【0015】
反射パネル21は、短手方向に凹状の断面を有し、太陽光Lを集熱部である集熱管30に集光させる。この凹状の断面は集光曲率形状であり、例えば放物面である。更に、この3本の支持バー23には、それぞれ保持脚31が固定されており、筒状の集熱部である集熱管30を保持している。
【0016】
集熱管30は、太陽光Lを吸収して熱に変換する集熱部であり、例えば水などの熱媒体を内部に有している。集熱管30は、後述する熱媒体往路230−2(図3参照)と熱媒体復路230−1(図3参照)が接続され、これら熱媒体往路230−2と熱媒体復路230−1を介して空調システム200(図3参照)と接続されている。
【0017】
熱媒体である水は、集熱管30内において太陽光Lによって熱せられて熱水又は水蒸気となり、熱媒体往路230−2によって、空調システム200に導かれて熱源として用いられる。熱媒体は熱源として用いられることで、熱媒体である熱水または水蒸気は放熱して再び水となり、熱媒体復路230−1によって集熱管30に戻る。
【0018】
太陽光集熱装置10は、駆動装置50と回転位置検出器70によって、コレクタ20を太陽の方向に正対するように回転する。太陽光Lは、集光部であるコレクタ20の反射パネル21によって反射して集熱部である集熱管30に焦点を結び、集熱管30内部の熱媒体の熱量に変換される。
【0019】
図1のトラフ式の太陽光集熱装置の太陽追尾動作の概略を説明する。
稼働状態において、後述するポンプ220(図3参照)は、集熱管30内に熱媒体である水を送水する。この状態において、制御装置80は、日時と設置場所(経度および緯度)に基づいて、太陽の位置を予測計算してコレクタ20の目標回転角度Θtを算出する。制御装置80は、回転位置検出器70によってコレクタ20の回転角度Θを検出(実測)しながら、実測の回転角度Θが目標回転角度Θtになるまで、駆動装置50によってコレクタ20を回転させる。この一連の動作を繰り返して、コレクタ20が有している反射パネル21で、太陽を常に追尾しながら集光し集熱する。
【0020】
このとき、コレクタ20の目標回転角度Θtを算出する際の算出誤差、太陽光集熱装置10を構成する部品寸法の誤差、および太陽光集熱装置10の設置位置の誤差、回転位置検出器70の検出誤差などによって、実測の回転角度Θが予測計算で決定した理論的な目標回転角度Θtになるように制御しても、集熱効率が最大にならない虞がある。そのため、集光効率が最大となる回転角度Θmaxと、理論的な目標回転角度Θtとの差を補正する必要がある。特に、太陽光集熱装置10の設置位置に係る誤差は、重要な誤差要因である。
【0021】
図2は、曲面鏡の太陽追尾精度への誤差要因を示す図である。適宜図1を参照して説明する。図2(a)には、Z軸周り回転角度、Y軸周り回転角度の定義を示し、図2(b)には、X軸方向を示す。誤差パラメータには以下の3つが推定される。
(1)X軸(コレクタ20の回転軸)のZ軸周り回転角度
(2)X軸(コレクタ20の回転軸)のY軸周り回転角度
(3)設置場所の緯度、経度の変化
【0022】
図2(a)において、Z軸周り回転角度とは、例えば、コレクタ20の回転軸(X軸方向)の曲面鏡の中点からZ軸方向をみたXY平面上の反時計周りの回転角度を意味し、Y軸周り回転角度とは、コレクタ20の回転軸(X軸方向)の曲面鏡の中点からY軸方向をみたXZ平面上で反時計周りの回転角度を意味する。
【0023】
図2において、コレクタ20の回転軸をX軸とし、このX軸が南北軸と一致している場合を通常とする。この状態に対し、曲面鏡の設置時の誤差により回転軸が、(1)、(2)で示した角度だけずれる可能性がある。この角度が予測計算に誤差をあたえる。また、予測計算時に設置場所の緯度、経度が必要であり、これらの値も実際の値と異なると予測計算に誤差を与える。
【0024】
図3は、実施形態に係る太陽光集熱装置の制御装置を示す図である。適宜図1を参照して説明する。太陽光集熱装置10は、制御装置80と、この制御装置80に接続された回転位置検出器70及び駆動装置50と、コレクタ20と、コレクタ20と連動して回転する直達日射計29と、集熱管30と、集熱管30の両端に設置された温度計212−1,212−2と、集熱管30の一端に設置された流量計211とを有している。制御装置80は更に、中央処理装置(以下、「CPU」という。)81と、計時部82と、駆動制御部83と、集熱効率算出部84と、記憶部85とを有し、記憶部85は太陽位置テーブル86を記憶している。
【0025】
計時部82は、日付および時刻を取得する機能を有しており、例えば水晶発振器とクロックICで構成される。駆動制御部83は、駆動装置50によってコレクタ20を回転すると共に、回転位置検出器70によって実測の回転角度Θが所定の目標回転角度Θtとな
ったか否かを判断することにより、コレクタ20を所定の目標回転角度Θtまで回転する
。集熱効率算出部84は、集熱部であるレシーバが集熱した熱量と、測定した太陽光Lの熱エネルギを測定し、これらに基づいて集熱効率を算出する機能を有している。具体的には、後述する温度計212−1,212−2と流量計211の測定結果に基づいて、集熱量を計算する。更に直達日射計29が測定した太陽光Lの熱エネルギと反射パネル21の投影面積にもとづいて、反射パネル21が集光した太陽光Lの熱エネルギを算出する。この集熱量を、反射パネル21が集光した太陽光Lの熱エネルギで除算することにより、集熱効率を計算する。
【0026】
記憶部85は、例えばハードディスクやフラッシュメモリであり、この太陽光集熱装置10の制御に係る種々のデータを記録している。太陽位置テーブル86は、日付および時刻と、この太陽光集熱装置10の設置位置(緯度と経度)における太陽位置との関係を示す情報である。
【0027】
制御装置80は、空調システム200から集熱管30への熱媒体復路230−1の流量を測定する流量計211と、熱媒体復路230−1の温度を測定する温度計212−1とに接続されている。更に、集熱管30から空調システム200への熱媒体往路230−2の温度を測定する温度計212−2に接続されている。
【0028】
集熱管30は、熱媒体往路230−2を介して空調システム200に接続されている。空調システム200から集熱管30への熱媒体復路230−1には更に、ポンプ220が接続されている。このポンプ220は、集熱管30内に熱媒体である水を送水する。
【0029】
既に説明したように、トラフ式の太陽光集熱装置10の動作として、集熱管30(レシーバ)内に熱媒体を送水した状態で、制御装置80内において太陽の位置を予測計算し曲面鏡の角度を出力し、回転位置検出器70で曲面鏡の回転角度を検出しながら曲面鏡を回転させる。この一連の動作を繰り返し曲面鏡で太陽を随時追尾しながら集光集熱を行う。運転中は、集熱効率算出部84は、具体的には、集熱管30の入口側に設置した流量計211によって熱媒体の流量Fを測定している。更に、集熱管30の入口側に設置した温度計212−1によって入口側の熱媒体の温度Tinを測定し、集熱管30の出口側に設置した温度計212−2によって熱媒体の温度Toutを測定し、熱媒体の温度差(Tout−Tin)を算出する。この熱媒体の比熱αと流量Fと温度差(Tout−Tin)の積が集熱量となる。また、直達日射計29で1mあたりの直達日射量(kW/m)を計測する。集熱効率算出部84は、集熱量を、曲面鏡1mあたりの熱量(kW)に換算し、前記の直達日射計29で計測した直達日射量に対する比率をもとめ、これを集熱効率とする。このとき、計算誤差、前記の局面鏡の設置誤差、駆動装置の回転誤差などによって予測計算した回転角度設定値が、実際に集光効率が最大となる値とずれる可能性がある。そのため、集光効率が最大となる最適設定値の計算に誤差を与える要因とその要因を補正する必要がある。
【0030】
図4は、誤差要因の補正手順を示すフローチャートである。適宜図3を参照してこのフローチャートを説明する。集熱効率算出部84の誤差要因の補正手順は、
Step1:曲面鏡の軌道検出試験
Step2:補正パラメータ算出
の手順に大別できる。Step1には処理S1〜S4が含まれ、Step2には処理S5〜S9が含まれる。ステップS2で求めた補正パラメータ算出後の制御指令は駆動制御
部83に送信される。以下、各処理について説明する。
【0031】
図5は、曲面鏡の軌道検出試験時の軌道を示す図である。横軸は時刻、縦軸はコレクタ20の角度(コレクタ角度)を示す。実線は軌道検出試験時のコレクタ20の角度設定値、破線は各時刻において太陽と正対するコレクタ角度のリアルタイムの軌道を示す。なお、この試験では曲面鏡を、例えば20分〜30分ごとに1回、制御装置80で計算した設定値になるように回転させる。このとき、設定値は計算時の時刻から制御周期の半分先(前記の場合、10〜15分先)の時刻に対応した設定値とする。
【0032】
図4に戻り、処理S1において、図5に示した制御周期において角度設定値の角度を読み込み設定し、処理S2において、曲面鏡の自動運転を開始する。その際に、処理S3において、出入口温度差および流量に基づいてレシーバ集熱量を計算するとともにコレクタ角度を計測する。このときの集熱量は図6に示したようになる。
【0033】
図6は、太陽の移動に伴う集熱量変化の例を示す図である。図6は図5の曲面鏡の軌道のある区間におけるレシーバ集熱量を示したものである。横軸は時刻、第一軸はコレクタ角度、第二軸はレシーバ集熱量をとった。図中のA点(A点に対応する時刻)において、実線で示した角度設定値は破線で示した正対する角度(誤差0°の軌道)と離れているため、反射パネル21での反射光はレシーバの位置に集束されず集熱量は0である。前記の設定値にて曲面鏡を固定していると、地球の自転により太陽は徐々に移動し破線の軌道と実線の軌道が一致する場所であるB点に到着する。このとき反射光はレシーバの位置に集束するため集熱量が最大値となる。そして、さらに時間が経過すると太陽は正対する位置から離れるため、反射光の集束点はレシーバから徐々に離れるため集熱量は低下し、C点で再び0となる。
【0034】
図4に戻り、処理S4において、図6に示すB点に相当する時刻とコレクタ角度を、図7に示すように複数点検出することで、太陽に正対する曲面鏡の軌道を求めることができる。図7は、曲面鏡の軌道検出試験に基づく太陽と正対する曲面鏡の軌道を示す図である。
【0035】
本実施形態ではレシーバ集熱量が最大となる点(所定期間毎の極大値)を使い軌道を求めているが、レシーバ出入口温度差もしくはレシーバ集熱効率が最大となる点を用いてもよい。すなわち、図4の処理S3,S4においてレシーバ集熱量の代わりに、レシーバ出入口温度差もしくはレシーバ集熱効率としてもよい。また、曲面鏡を回転させる周期は必ずしも20分〜30分にする必要はなく、図6のB点が検出できる範囲であればどんな周期でもよい。
【0036】
そして、Step2の「補正パラメータ算出」を行う。Step2の「補正パラメータ算出」では、処理S5において、図2で説明した、(1)X軸(コレクタ20の回転軸)のZ軸周り回転角度、(2)X軸(コレクタ20の回転軸)のY軸周り回転角度、(3)設置場所の緯度、経度の変化の補正パラメータを所定の設定方法により入力し、処理S5〜処理S8を繰り返す。
【0037】
処理S6において、入力された補正パラメータを考慮して曲面鏡軌道計算をする。具体的には、計算では、図7に示す軌道を形成する各交点(○)のその時刻(例えば、t1、t2、t3、t4)ごとのコレクタ角度を計算する。処理S7において、軌道計算値(コレクタ角度の計算値)と検出結果(図7に示すコレクタ角度)の差の2乗の合計値を計算し、処理S8において、2乗の合計値が最小値か否かを判定する。2乗の合計値が最小値でない場合(処理S8,No)、処理S5に戻り、2乗の合計値が最小値である場合(処理S8,Yes)、処理S9に進み、補正パラメータを決定し、処理S10に進む。
【0038】
図4の処理フローの処理S7をさらに詳細に説明すると、各交点の時刻をt1〜tとすると、n個の時刻に対し下記の合計値(SUM)を算出する。
SUM=Σ(Am−Ac)
但し、Am:検出結果のコレクタ角度
Ac:軌道計算のコレクタ角度
【0039】
図7においては、交点(○)が4つありn=4となり、4つの時刻に対して、合計値を算出し、補正パラメータを変化させて、処理S8において、その合計値の最小値を見出す。見出した補正パラメータを使用した補正値を用いて、図5の破線の太陽と正対するコレクタの角度の制御に用いる。すなわち、補正値で計算した軌道が、図5に示す破線(誤差0°の軌道)とほぼ一致することになる。
【0040】
また、処理S8において、軌道検出試験で得られた時刻でのコレクタ20の設定角度と、設置誤差に係るパラメータを変更し得られた軌道計算での設定角度との差が所定値より小さくするように判定してもよい。
【0041】
そして、処理S10において、次回のコレクタ運転時から、見出した補正パラメータを使用するため、駆動制御部に送信する。
【0042】
図4に示す誤差要因の補正手順は、基本的に実運転前に実施するとよい。しかしながら、例えば、実運転を長期間続けていく過程で何らかの要因によって誤差の発生で集熱ができなくなった場合に、誤差要因の補正手順を実施して新たな補正値をだすケースも考えられる。本実施形態は、レシーバの熱効率が悪くなった場合などには、適宜に誤差要因の補正手順を実施するとよい。
【符号の説明】
【0043】
10 太陽光集熱装置
20 コレクタ(集光部)
21 反射パネル(曲面鏡)
22 支持フレーム
23 支持バー
29 直達日射計
30 集熱管(レシーバあるいは集熱部)
31 保持脚
40 支柱
50 駆動装置
70 回転位置検出器
80 制御装置
81 CPU
82 計時部
83 駆動制御部
84 集熱効率算出部
85 記憶部
86 太陽位置テーブル
200 空調システム
211 流量計
212−1,212−2 温度計
220 ポンプ
230−1 熱媒体復路
230−2 熱媒体往路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を反射して集光するコレクタと、前記コレクタが集光した光を熱に変換するレシーバと、前記コレクタを回転する駆動装置と、前記レシーバに太陽光を集光する前記コレクタの所定角度を算出し、該所定角度で前記駆動装置を制御する制御装置と、を有する太陽光集熱装置であって、
前記制御装置は、
前記コレクタを太陽と正対する軌道に基づき制御する際に、該軌道に基づき所定時間ごとに一定角度で静止し、その後該角度を変更するステップ状の制御を行い、該制御期間中に前記レシーバの集熱量を計算し、前記レシーバの集熱量が最大値となる時刻とその時刻の前記コレクタの設定角度を求める軌道検出試験を実施し、
前記軌道検出試験で得られた時刻での前記コレクタの設定角度と、設置誤差に係るパラメータを変更し得られた軌道計算での設定角度との差が所定値より小さければ前記パラメータを決定し、前記決定されたパラメータに基づいて補正して算出された設定角度で前記駆動装置を制御する
ことを特徴とする太陽光集熱装置。
【請求項2】
前記太陽光集熱装置は、トラフ式の太陽光集熱装置であり、
前記設置誤差に係るパラメータは、前記コレクタの回転軸方向をX方向とした際に、Z軸周り回転角度、Y軸周り回転角度、設置場所の緯度および経度の変化のうち、いずれかあるいはその組み合わせである
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光集熱装置。
【請求項3】
前記太陽光集熱装置は、太陽の直達日射量を計測する日射計を有し、
前記制御装置は、前記軌道検出試験において、前記日射計での測定値に基づく前記コレクタが集光した太陽光の熱エネルギを算出し、前記レシーバの集熱量を該熱エネルギで除算することにより前記レシーバの集熱効率を算出し、前記レシーバの集熱効率が最大値となる時刻とその時刻の前記コレクタの設定角度を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光集熱装置。
【請求項4】
太陽光を反射して集光するコレクタと、前記コレクタが集光した光を熱に変換するレシーバと、前記コレクタを回転する駆動装置と、前記レシーバに太陽光を集光する前記コレクタの所定角度を算出し、該所定角度で前記駆動装置を制御する制御装置と、を有する太陽光集熱装置の太陽自動追尾方法であって、
前記制御装置は、
前記コレクタを太陽と正対する軌道に基づき制御する際に、該軌道に基づき所定時間ごとに一定角度で静止し、その後該角度を変更するステップ状の制御を行い、該制御期間中に前記レシーバの集熱量を計算し、前記レシーバの集熱量が最大値となる時刻とその時刻の前記コレクタの設定角度を求める軌道検出試験の処理と、
前記軌道検出試験で得られた時刻での前記コレクタの設定角度と、設置誤差に係るパラメータを変更し得られた軌道計算での設定角度との差が所定値より小さければ前記パラメータを決定し、前記決定されたパラメータに基づいて補正して算出された設定角度で前記駆動装置を制御する処理とを実行する
ことを特徴とする太陽光集熱装置の太陽自動追尾方法。
【請求項5】
前記太陽光集熱装置は、トラフ式の太陽光集熱装置であり、
前記設置誤差に係るパラメータは、前記コレクタの回転軸方向をX方向とした際に、Z軸周り回転角度、Y軸周り回転角度、設置場所の緯度および経度の変化のうち、いずれかあるいはその組み合わせである
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽光集熱装置の太陽自動追尾方法。
【請求項6】
前記太陽光集熱装置は、太陽の直達日射量を計測する日射計を有し、
前記制御装置は、前記軌道検出試験において、前記日射計での測定値に基づく前記コレクタが集光した太陽光の熱エネルギを算出し、前記レシーバの集熱量を該熱エネルギで除算することにより前記レシーバの集熱効率を算出し、前記レシーバの集熱効率が最大値となる時刻とその時刻の前記コレクタの設定角度を求める処理を実行する
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽光集熱装置の太陽自動追尾方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76507(P2013−76507A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216396(P2011−216396)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)