太陽光集熱装置
【課題】太陽追尾機構がその機構上含むバックラッシュを実質的に解消して、集熱効率及び耐久性を高めることができるようにした太陽光集熱装置を提供すること。
【解決手段】断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡１に入射した太陽光の反射光を、反射鏡１の焦点の位置に架設された集熱管に集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにし、反射鏡１及び集熱管の中心軸を南北軸に沿うように設置するようにした太陽光集熱装置において、反射鏡１及び集熱管を共通の揺動軸５を介して基台４に揺動可能に、かつ、反射鏡１及び集熱管の二等分線を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って揺動軸５を回動させる太陽追尾機構を設けるとともに、揺動軸５を挟んで反射鏡１及び集熱管からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘３を付設する。
【解決手段】断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡１に入射した太陽光の反射光を、反射鏡１の焦点の位置に架設された集熱管に集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにし、反射鏡１及び集熱管の中心軸を南北軸に沿うように設置するようにした太陽光集熱装置において、反射鏡１及び集熱管を共通の揺動軸５を介して基台４に揺動可能に、かつ、反射鏡１及び集熱管の二等分線を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って揺動軸５を回動させる太陽追尾機構を設けるとともに、揺動軸５を挟んで反射鏡１及び集熱管からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘３を付設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、太陽光集熱装置に関し、特に、反射鏡によって太陽光を集熱管に向けて集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにした太陽光集熱装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡によって太陽光を集熱管に向けて集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにした太陽光集熱装置が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
ところで、従来の太陽光集熱装置は、集光効率を上げるために種々の工夫がなされており、例えば、特許文献１に記載の太陽光集熱装置においては、反射鏡及び集熱管を揺動可能に支持する揺動軸を反射鏡が太陽の方向を指向するように揺動させる太陽追尾機構を備えることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】国際公開第９６／２９７４５号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、反射鏡及び集熱管を揺動可能に支持する揺動軸を反射鏡が太陽の方向を指向するように揺動させる太陽追尾機構は、駆動機構としてのモータ、回転角度を計測するロータリエンコーダ、モータの回転を揺動軸に伝える歯車を備えた減速機構を含む駆動力伝達機構及びモータの駆動制御機構等から構成されるのが一般的であるが、太陽追尾機構は、その機構上バックラッシュを含むため、揺動軸の回転角度の精度が理想とされる±０．２°の範囲から外れ、このことが集熱効率が低下する要因となっていた。
また、太陽追尾機構のバックラッシュによって、風を受けて反射鏡及び集熱管が振動し、装置の故障につながるおそれがあった。
【０００６】
本発明は、上記従来の太陽光集熱装置の実情に鑑み、太陽追尾機構がその機構上含むバックラッシュを実質的に解消して、集熱効率及び耐久性を高めることができるようにした太陽光集熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記目的を達成するため、本発明の太陽光集熱装置は、断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡に入射した太陽光の反射光を、反射鏡の焦点の位置に架設された集熱管に集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにし、反射鏡及び集熱管の中心軸を南北軸に沿うように設置するようにした太陽光集熱装置において、反射鏡及び集熱管を共通の揺動軸を介して基台に揺動可能に、かつ、反射鏡及び集熱管の二等分線を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って前記揺動軸を回動させる太陽追尾機構を設けるとともに、揺動軸を挟んで反射鏡及び集熱管からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘を付設したことを特徴とする。
【０００８】
この場合において、反射鏡及び集熱管からなる揺動体の重心の位置に揺動軸を設けることができる。
【０００９】
また、反射鏡の中心軸と平行な端縁に沿って錘を設けることができる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の太陽光集熱装置によれば、反射鏡及び集熱管を共通の揺動軸を介して基台に揺動可能に、かつ、反射鏡及び集熱管の二等分線を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って前記揺動軸を回動させる太陽追尾機構を設けるとともに、揺動軸を挟んで反射鏡及び集熱管からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘を付設することにより、簡易な機構によって揺動軸に常に一方向のトルクをかけることができ、太陽追尾機構がその機構上含むバックラッシュを実質的に解消して、揺動軸の回転角度、すなわち、太陽追尾精度を高めて、集熱効率を向上することができるとともに、風を受けて反射鏡及び集熱管からなる揺動体が振動することを防止して、装置の耐久性を向上することができる。
【００１１】
また、反射鏡及び集熱管からなる揺動体の重心の位置に揺動軸を設けることにより、揺動軸、すなわち、錘を除く反射鏡及び集熱管からなる揺動体を揺動させるために必要な駆動トルクを最小とすることができる。
【００１２】
また、反射鏡の中心軸と平行な端縁に沿って錘を設けることにより、バランスよく、必要とされる重量の錘を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の太陽光集熱装置の一実施例を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。
【図２】同反射鏡を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は（ｂ）のＡ部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明の太陽光集熱装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【００１５】
図１に、本発明の太陽光集熱装置の一実施例を示す。
この太陽光集熱装置は、断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡１に入射した太陽光Ｓｂの反射光を、反射鏡１の焦点の位置に架設された集熱管２に集光し、集熱管２の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにし、反射鏡１及び集熱管２の中心軸を南北軸に沿うように設置するようにしたものである。
【００１６】
そして、この太陽光集熱装置は、反射鏡１及び集熱管２を共通の揺動軸５を介して基台４に揺動可能に、かつ、反射鏡１及び集熱管２の二等分線Ｌ２を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って揺動軸５を回動させる太陽追尾機構６を設けるとともに、揺動軸５を挟んで反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘３を付設するようにしている。
【００１７】
太陽の動きに従って揺動軸５を回動させる太陽追尾機構６は、駆動機構としてのモータ、回転角度を計測するロータリエンコーダ、モータの回転を揺動軸に伝える歯車を備えた減速機構を含む駆動力伝達機構及びモータの駆動制御機構等から構成するようにするが、モータの駆動制御機構及びエネルギ消費量を低減するため、太陽追尾精度の許される範囲（具体的には、理想とされる±０．５°の範囲）で間欠的（例えば、１分毎）にモータを回転駆動して、太陽の動きに従って揺動軸５を回動させるようにすることが望ましい。
なお、モータの駆動制御機構は、太陽光集熱装置を設置する場所の緯度及び経度、日時等を入力したコンピュータと接続して、自動制御によって、太陽の動きに従って揺動軸５を回動させるようにする。
【００１８】
これにより、揺動軸５に常に一方向のトルクをかけることができ、太陽追尾機構６がその機構上含むバックラッシュを実質的に解消して、揺動軸５の回転角度、すなわち、太陽追尾精度を高めて（具体的には、追尾精度を理想とされる±０．２°の範囲にして）、太陽光Ｓｂが、常に反射鏡１及び集熱管２の二等分線Ｌ２を含む面と平行に反射鏡１に入射し、反射光が、反射鏡１の焦点の位置に架設された集熱管２の中心軸Ｌ１に集光されるようにすることかでき、これによって、集熱効率を向上することができる。
また、併せて、風を受けて反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体が振動することを防止して、装置の耐久性を向上することができる。
【００１９】
また、揺動軸５は、反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体の重心の位置に設ける要にすることが好ましい。
これにより、揺動軸５、すなわち、錘３を除く反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体を揺動させるために必要な駆動トルクを最小とすることができる。
【００２０】
また、錘３は、反射鏡１及び集熱管２の二等分線Ｌ２上を除く、反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体の任意の箇所に設けることができるが、本実施例においては、反射鏡１の中心軸Ｌ１と平行な端縁に沿って設けるようにしている。
これにより、バランスよく、必要とされる重量（例えば、通常の風を受けて反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体が振動することを防止できる重量）の錘３を設けることができる。
【００２１】
なお、本実施例においては、反射鏡１は、支持材となるアルミニウム製の板材と鏡となる高反射率のアルミニウム製の板材とを重ね合わせたものを、アルミニウム製の押出成形材からなる枠部材に嵌め込んで構成するようにしたが、湾曲可能な薄板からなるガラス製の鏡を用いることもできる。
【００２２】
また、集熱管２は、集光機構としての反射鏡１によって集光された太陽光を受光し、内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達する内管２１と、この内管２１の外周を断熱空間を形成して覆う外管２２とからなるものを用いるようにしている。
【００２３】
より具体的には、内管２１の表面に太陽光熱吸収膜として、酸化クロムメッキ層を施すようにしている。
太陽光熱吸収膜としての酸化クロムメッキ層は、酸洗いした鋼管からなる内管２１の表面に酸化クロムメッキ処理を施すことにより、比較的低コストで形成することができる。
なお、太陽光熱吸収膜１１ａの材質や形成方法は、これに限定されず、材質としては、酸化クロムのほか、ニッケル系等の材料を用いたり、形成方法としては、メッキ処理のほか、溶射処理、物理蒸着（ＰＶＤ）、塗装等によって太陽光熱の吸収を高めるために表面を黒色に着色したり、適宜の選択吸収膜を施すようにする等、従来、公知のものを採用することができる。
【００２４】
また、内管２１には、鋼管の外、ステンレススチール管等の金属管を、また、外管２２は、コバールガラス管等の硼珪酸ガラス管を用いることができる。
【００２５】
また、断熱空間は、通常、内管２１と外管２２の間を真空にすることにより、断熱を行うようにする。
【００２６】
また、内管２１の内部を流通する熱媒体には、数百℃、例えば、４００℃程度の温度まで加熱されて熱媒体として機能を発揮する水、熱媒油、溶融塩等の熱媒体を用いることができる。
【００２７】
以上、本発明の太陽光集熱装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２８】
本発明の太陽光集熱装置は、太陽追尾機構がその機構上含むバックラッシュを実質的に解消して、集熱効率及び耐久性を高めることができる特性を有していることから、太陽追尾機構を備えた太陽光集熱装置の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【００２９】
１ 反射鏡
２ 集熱管
２１ 内管
２２ 外管
３ 錘
４ 基台
５ 揺動軸
６ 太陽追尾機構
Ｓｂ 太陽光
【技術分野】
【０００１】
本発明は、太陽光集熱装置に関し、特に、反射鏡によって太陽光を集熱管に向けて集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにした太陽光集熱装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡によって太陽光を集熱管に向けて集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにした太陽光集熱装置が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
ところで、従来の太陽光集熱装置は、集光効率を上げるために種々の工夫がなされており、例えば、特許文献１に記載の太陽光集熱装置においては、反射鏡及び集熱管を揺動可能に支持する揺動軸を反射鏡が太陽の方向を指向するように揺動させる太陽追尾機構を備えることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】国際公開第９６／２９７４５号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、反射鏡及び集熱管を揺動可能に支持する揺動軸を反射鏡が太陽の方向を指向するように揺動させる太陽追尾機構は、駆動機構としてのモータ、回転角度を計測するロータリエンコーダ、モータの回転を揺動軸に伝える歯車を備えた減速機構を含む駆動力伝達機構及びモータの駆動制御機構等から構成されるのが一般的であるが、太陽追尾機構は、その機構上バックラッシュを含むため、揺動軸の回転角度の精度が理想とされる±０．２°の範囲から外れ、このことが集熱効率が低下する要因となっていた。
また、太陽追尾機構のバックラッシュによって、風を受けて反射鏡及び集熱管が振動し、装置の故障につながるおそれがあった。
【０００６】
本発明は、上記従来の太陽光集熱装置の実情に鑑み、太陽追尾機構がその機構上含むバックラッシュを実質的に解消して、集熱効率及び耐久性を高めることができるようにした太陽光集熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記目的を達成するため、本発明の太陽光集熱装置は、断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡に入射した太陽光の反射光を、反射鏡の焦点の位置に架設された集熱管に集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにし、反射鏡及び集熱管の中心軸を南北軸に沿うように設置するようにした太陽光集熱装置において、反射鏡及び集熱管を共通の揺動軸を介して基台に揺動可能に、かつ、反射鏡及び集熱管の二等分線を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って前記揺動軸を回動させる太陽追尾機構を設けるとともに、揺動軸を挟んで反射鏡及び集熱管からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘を付設したことを特徴とする。
【０００８】
この場合において、反射鏡及び集熱管からなる揺動体の重心の位置に揺動軸を設けることができる。
【０００９】
また、反射鏡の中心軸と平行な端縁に沿って錘を設けることができる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の太陽光集熱装置によれば、反射鏡及び集熱管を共通の揺動軸を介して基台に揺動可能に、かつ、反射鏡及び集熱管の二等分線を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って前記揺動軸を回動させる太陽追尾機構を設けるとともに、揺動軸を挟んで反射鏡及び集熱管からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘を付設することにより、簡易な機構によって揺動軸に常に一方向のトルクをかけることができ、太陽追尾機構がその機構上含むバックラッシュを実質的に解消して、揺動軸の回転角度、すなわち、太陽追尾精度を高めて、集熱効率を向上することができるとともに、風を受けて反射鏡及び集熱管からなる揺動体が振動することを防止して、装置の耐久性を向上することができる。
【００１１】
また、反射鏡及び集熱管からなる揺動体の重心の位置に揺動軸を設けることにより、揺動軸、すなわち、錘を除く反射鏡及び集熱管からなる揺動体を揺動させるために必要な駆動トルクを最小とすることができる。
【００１２】
また、反射鏡の中心軸と平行な端縁に沿って錘を設けることにより、バランスよく、必要とされる重量の錘を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の太陽光集熱装置の一実施例を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。
【図２】同反射鏡を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は（ｂ）のＡ部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明の太陽光集熱装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【００１５】
図１に、本発明の太陽光集熱装置の一実施例を示す。
この太陽光集熱装置は、断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡１に入射した太陽光Ｓｂの反射光を、反射鏡１の焦点の位置に架設された集熱管２に集光し、集熱管２の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにし、反射鏡１及び集熱管２の中心軸を南北軸に沿うように設置するようにしたものである。
【００１６】
そして、この太陽光集熱装置は、反射鏡１及び集熱管２を共通の揺動軸５を介して基台４に揺動可能に、かつ、反射鏡１及び集熱管２の二等分線Ｌ２を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って揺動軸５を回動させる太陽追尾機構６を設けるとともに、揺動軸５を挟んで反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘３を付設するようにしている。
【００１７】
太陽の動きに従って揺動軸５を回動させる太陽追尾機構６は、駆動機構としてのモータ、回転角度を計測するロータリエンコーダ、モータの回転を揺動軸に伝える歯車を備えた減速機構を含む駆動力伝達機構及びモータの駆動制御機構等から構成するようにするが、モータの駆動制御機構及びエネルギ消費量を低減するため、太陽追尾精度の許される範囲（具体的には、理想とされる±０．５°の範囲）で間欠的（例えば、１分毎）にモータを回転駆動して、太陽の動きに従って揺動軸５を回動させるようにすることが望ましい。
なお、モータの駆動制御機構は、太陽光集熱装置を設置する場所の緯度及び経度、日時等を入力したコンピュータと接続して、自動制御によって、太陽の動きに従って揺動軸５を回動させるようにする。
【００１８】
これにより、揺動軸５に常に一方向のトルクをかけることができ、太陽追尾機構６がその機構上含むバックラッシュを実質的に解消して、揺動軸５の回転角度、すなわち、太陽追尾精度を高めて（具体的には、追尾精度を理想とされる±０．２°の範囲にして）、太陽光Ｓｂが、常に反射鏡１及び集熱管２の二等分線Ｌ２を含む面と平行に反射鏡１に入射し、反射光が、反射鏡１の焦点の位置に架設された集熱管２の中心軸Ｌ１に集光されるようにすることかでき、これによって、集熱効率を向上することができる。
また、併せて、風を受けて反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体が振動することを防止して、装置の耐久性を向上することができる。
【００１９】
また、揺動軸５は、反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体の重心の位置に設ける要にすることが好ましい。
これにより、揺動軸５、すなわち、錘３を除く反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体を揺動させるために必要な駆動トルクを最小とすることができる。
【００２０】
また、錘３は、反射鏡１及び集熱管２の二等分線Ｌ２上を除く、反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体の任意の箇所に設けることができるが、本実施例においては、反射鏡１の中心軸Ｌ１と平行な端縁に沿って設けるようにしている。
これにより、バランスよく、必要とされる重量（例えば、通常の風を受けて反射鏡１及び集熱管２からなる揺動体が振動することを防止できる重量）の錘３を設けることができる。
【００２１】
なお、本実施例においては、反射鏡１は、支持材となるアルミニウム製の板材と鏡となる高反射率のアルミニウム製の板材とを重ね合わせたものを、アルミニウム製の押出成形材からなる枠部材に嵌め込んで構成するようにしたが、湾曲可能な薄板からなるガラス製の鏡を用いることもできる。
【００２２】
また、集熱管２は、集光機構としての反射鏡１によって集光された太陽光を受光し、内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達する内管２１と、この内管２１の外周を断熱空間を形成して覆う外管２２とからなるものを用いるようにしている。
【００２３】
より具体的には、内管２１の表面に太陽光熱吸収膜として、酸化クロムメッキ層を施すようにしている。
太陽光熱吸収膜としての酸化クロムメッキ層は、酸洗いした鋼管からなる内管２１の表面に酸化クロムメッキ処理を施すことにより、比較的低コストで形成することができる。
なお、太陽光熱吸収膜１１ａの材質や形成方法は、これに限定されず、材質としては、酸化クロムのほか、ニッケル系等の材料を用いたり、形成方法としては、メッキ処理のほか、溶射処理、物理蒸着（ＰＶＤ）、塗装等によって太陽光熱の吸収を高めるために表面を黒色に着色したり、適宜の選択吸収膜を施すようにする等、従来、公知のものを採用することができる。
【００２４】
また、内管２１には、鋼管の外、ステンレススチール管等の金属管を、また、外管２２は、コバールガラス管等の硼珪酸ガラス管を用いることができる。
【００２５】
また、断熱空間は、通常、内管２１と外管２２の間を真空にすることにより、断熱を行うようにする。
【００２６】
また、内管２１の内部を流通する熱媒体には、数百℃、例えば、４００℃程度の温度まで加熱されて熱媒体として機能を発揮する水、熱媒油、溶融塩等の熱媒体を用いることができる。
【００２７】
以上、本発明の太陽光集熱装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２８】
本発明の太陽光集熱装置は、太陽追尾機構がその機構上含むバックラッシュを実質的に解消して、集熱効率及び耐久性を高めることができる特性を有していることから、太陽追尾機構を備えた太陽光集熱装置の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【００２９】
１ 反射鏡
２ 集熱管
２１ 内管
２２ 外管
３ 錘
４ 基台
５ 揺動軸
６ 太陽追尾機構
Ｓｂ 太陽光
【特許請求の範囲】
【請求項１】
断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡に入射した太陽光の反射光を、反射鏡の焦点の位置に架設された集熱管に集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにし、反射鏡及び集熱管の中心軸を南北軸に沿うように設置するようにした太陽光集熱装置において、反射鏡及び集熱管を共通の揺動軸を介して基台に揺動可能に、かつ、反射鏡及び集熱管の二等分線を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って前記揺動軸を回動させる太陽追尾機構を設けるとともに、揺動軸を挟んで反射鏡及び集熱管からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘を付設したことを特徴とする太陽光集熱装置。
【請求項２】
反射鏡及び集熱管からなる揺動体の重心の位置に揺動軸を設けたことを特徴とする請求項１記載の太陽光集熱装置。
【請求項３】
反射鏡の中心軸と平行な端縁に沿って錘を設けたことを特徴とする請求項１又は２記載の太陽光集熱装置。
【請求項１】
断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡に入射した太陽光の反射光を、反射鏡の焦点の位置に架設された集熱管に集光し、集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにし、反射鏡及び集熱管の中心軸を南北軸に沿うように設置するようにした太陽光集熱装置において、反射鏡及び集熱管を共通の揺動軸を介して基台に揺動可能に、かつ、反射鏡及び集熱管の二等分線を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って前記揺動軸を回動させる太陽追尾機構を設けるとともに、揺動軸を挟んで反射鏡及び集熱管からなる揺動体の一方側の重量を増大させる錘を付設したことを特徴とする太陽光集熱装置。
【請求項２】
反射鏡及び集熱管からなる揺動体の重心の位置に揺動軸を設けたことを特徴とする請求項１記載の太陽光集熱装置。
【請求項３】
反射鏡の中心軸と平行な端縁に沿って錘を設けたことを特徴とする請求項１又は２記載の太陽光集熱装置。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２０１２−１１７７６３（Ｐ２０１２−１１７７６３Ａ）
【公開日】平成２４年６月２１日（２０１２．６．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２６８５５５（Ｐ２０１０−２６８５５５）
【出願日】平成２２年１２月１日（２０１０．１２．１）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【出願人】（５０４００５７８１）株式会社日立プラントメカニクス (16)
【公開日】平成２４年６月２１日（２０１２．６．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１２月１日（２０１０．１２．１）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【出願人】（５０４００５７８１）株式会社日立プラントメカニクス (16)
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