説明

太陽熱ガスタービン及び発電装置

【課題】太陽熱ガスタービン及び発電装置において、天候の変動などに左右されることなく安定した運転の継続を可能にする。
【解決手段】空気を吸入して昇圧させる圧縮機21と、圧縮機21で昇圧された空気を加熱して昇温させる加熱器22と、加熱器22で高温高圧となった空気が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン23とを設けて構成し、加熱器22として、加熱室31内に、圧縮機21で昇圧された空気を集光器42で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させる第1加熱器33と、第1加熱器33で加熱される空気を化石燃料焚きの燃焼器36により加熱して昇温させる第2加熱器34とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を利用して、空気などの圧縮性作動流体を加熱して駆動される太陽熱ガスタービン、並びに、この太陽熱ガスタービンを有する発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化等の環境問題を解決するため、太陽光や風力等の自然エネルギーが注目されている。そこで、自然エネルギーの一つである太陽光を利用し、この太陽光の熱により高温高圧の圧縮性作動流体を生成して駆動する太陽熱ガスタービン、そして、この太陽熱ガスタービンにより発電機を駆動して発電する発電装置が提案されている。
【0003】
従来の太陽熱ガスタービンは、圧縮性作動流体を圧縮して昇圧させる圧縮機と、太陽光を変換した熱により圧縮性作動流体を加熱して昇温させる受熱器と、高温高圧の圧縮性作動流体が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービンとを主な構成要素とする装置である。即ち、この太陽熱ガスタービンは、天然ガスなどの燃料を燃焼させて高温高圧の燃焼排ガスを生成する燃焼器に代えて、太陽光の熱エネルギーを利用して、高圧の圧縮性作動流体を加熱して昇温する受熱器を設けたものである。
【0004】
この場合の受熱器は、太陽光を熱エネルギーに変換するための装置であり、例えば、集光器(ヘリオスタット)により集めた光の熱を用いて、高圧の圧縮性作動流体を加熱して昇温させることができる。また、発電機を太陽熱ガスタービンと同軸に連結し、太陽熱ガスタービンで発電機を駆動するように構成すれば、太陽光を利用して発電する太陽熱ガスタービン発電装置となる。
【0005】
一方、従来のガスタービンを用いる熱併給動力発生装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されているものがある。この装置は、燃焼用空気圧縮機を駆動するガスタービンと動力発生用の膨張タービンとを備えるものであり、燃焼用空気圧縮機を駆動するガスタービンに燃焼排ガスを供給する燃焼器に代えて加熱器を使用することが記載されており、この加熱器として、太陽熱などを含む他の熱源の排熱を利用することが記載されている。
【0006】
また、太陽熱を用いる化石燃料ガス化プラントとしては、例えば、下記特許文献2に記載されているものがある。この装置は、太陽熱集光器、この集光器で集光した太陽熱によって液体金属を加熱する液体金属加熱器、ガス化炉で生成されたガス中に含まれる未反応粒子を分離する装置、この分離装置で分離された未反応粒子を液体金属加熱器において加熱された液体金属によって加熱する流動層未反応粒子加熱器を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−135619号公報
【特許文献2】特許第3337276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した従来の太陽熱ガスタービン発電装置は、自然エネルギーである太陽光を利用して運転するため、圧縮性作動流体を加熱する太陽光の強さが天候等に左右されて絶えず変動する。このため、受熱器に十分な太陽熱を得られない運転状況では、たとえば太陽熱が設計点の40〜50%程度まで低下するような運転状況では、太陽熱ガスタービンのタービンに対して、高温高圧の圧縮性作動流体を安定供給することは困難になる。この結果、太陽熱ガスタービンでは、十分な太陽熱を得られないと運転の継続が困難になり、最終的には運転停止に追い込まれるという問題を有している。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、天候の変動などに左右されることなく安定した運転の継続を可能にする太陽熱ガスタービン及び発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の太陽熱ガスタービンは、圧縮性作動流体を吸入して昇圧させる圧縮機と、該圧縮機で昇圧された圧縮性作動流体を加熱して昇温させる加熱器と、該加熱器で高温高圧となった圧縮性作動流体が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービンと、を備える太陽熱ガスタービンにおいて、前記加熱器は、断熱された空間と、該空間内に配置されて前記圧縮機で昇圧された圧縮性作動流体を集光器で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させる第1加熱器と、前記空間内に配置されて前記第1加熱器で加熱される圧縮性作動流体を化石燃料焚きの燃焼器により加熱して昇温させる第2加熱器と、を有することを特徴とするものである。
【0011】
従って、圧縮性作動流体は、断熱空間内に配置される第1加熱器による太陽光の熱と第2加熱器の燃焼器により加熱されることとなり、第1加熱器における太陽光の熱量に応じて第2加熱器の燃焼器による加熱量を調整することで、タービンに送られる圧縮性作動流体の温度を所望の温度に維持することができ、天候の変動などに左右されることなく、安定した運転の継続を可能にすることができる。
【0012】
本発明の太陽熱ガスタービンでは、前記第1加熱器と前記第2加熱器は前記空間内でそれぞれ独立した空間に配置され、前記第2加熱器は、輻射熱により第1加熱器を流れる圧縮性作動流体を加熱することを特徴としている。
【0013】
従って、第1加熱器を流れる圧縮性作動流体は、第2加熱器からの輻射熱により加熱されることとなり、各加熱器は圧縮性作動流体を安定して加熱することができる。
【0014】
本発明の太陽熱ガスタービンでは、前記第2加熱器は、前記燃焼器から排出された排ガスにより該燃焼器に供給される化石燃料を加熱する第1熱交換器を有することを特徴としている。
【0015】
従って、化石燃料は、燃焼器からの排ガスにより加熱されてから燃焼器に供給されることとなり、第2加熱器の燃焼器は、化石燃料を効率良く燃焼することができる。
【0016】
本発明の太陽熱ガスタービンでは、前記第2加熱器は、前記燃焼器から排出された排ガスにより前記第1加熱器に供給される圧縮性作動流体を加熱する第2熱交換器を有することを特徴としている。
【0017】
従って、圧縮性作動流体は、燃焼器からの排ガスにより加熱されてから第1加熱器に供給されることとなり、排ガスの有効利用を可能とすることができる。
【0018】
本発明の太陽熱ガスタービンでは、前記第2加熱器の燃焼器は、化石燃料と前記タービンからの排ガスとを燃焼することを特徴としている。
【0019】
従って、タービンからの排ガスを化石燃料と共に第2加熱器の燃焼器で燃焼することで、排ガス処理の簡素化を可能とすることができる。
【0020】
本発明の太陽熱ガスタービンでは、前記第2加熱器の燃焼器から排出された排ガスにより前記圧縮機で昇圧された圧縮性作動流体を加熱する第3熱交換器を設けることを特徴としている。
【0021】
従って、圧縮性作動流体は、燃焼器からの排ガスにより加熱されてから第1加熱器に供給されることとなり、排ガスの有効利用を可能とすることができる。
【0022】
また、本発明の発電装置は、前記太陽熱ガスタービンと、該太陽熱ガスタービンで駆動されて発電する発電機とを備えることを特徴とするものである。
【0023】
従って、自然エネルギーである太陽熱を十分に得られない運転状況においても、太陽熱の強度に応じて燃焼器の加熱能力を有効に利用し、圧縮性作動流体の温度を所望の温度に維持して太陽熱ガスタービンの安定した運転の継続が可能になる。その結果、太陽熱を十分に得られない運転状況においても、安定した動特性を有する太陽熱ガスタービンにより駆動される発電機は、安定した発電を継続することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の太陽熱ガスタービン及び発電装置によれば、圧縮機と加熱器とタービンとを備え、加熱器として、断熱された空間内に配置されて圧縮機で昇圧された圧縮性作動流体を集光器で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させる第1加熱器と、空間内に配置されて第1加熱器で加熱される圧縮性作動流体を化石燃料焚きの燃焼器により加熱して昇温させる第2加熱器とを設けるので、太陽光の熱量に応じて燃焼器による加熱量を調整することで、タービンに送られる圧縮性作動流体の温度を所望の温度に維持することができ、天候の変動などに左右されることなく、安定した運転の継続を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る太陽熱ガスタービン発電装置を表す概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1の太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2に係る太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施例3に係る太陽熱ガスタービン発電装置を表す概略構成図である。
【図5】図5は、実施例3の太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施例4に係る太陽熱ガスタービン発電装置を表す概略構成図である。
【図7】図7は、実施例4の太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。
【図8】図8は、本発明の実施例5に係る太陽熱ガスタービン発電装置を表す概略構成図である。
【図9】図9は、実施例5の太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る太陽熱ガスタービン及び発電装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施例1に係る太陽熱ガスタービン発電装置を表す概略構成図、図2は、実施例1の太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。
【0028】
実施例1において、図1に示すように、発電装置10は、太陽熱ガスタービン11と発電機12とを有している。この太陽熱ガスタービン11は、空気(圧縮性作動流体)を吸入して昇圧させる圧縮機21と、この圧縮機21で昇圧された空気を加熱して昇温させる加熱器22と、この加熱器22で高温高圧となった空気が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン23とから構成されている。
【0029】
この場合、圧縮機21とタービン23とは回転軸24により一体回転可能に連結されており、発電機12は、この回転軸24と同軸上にある駆動軸25により圧縮機21と駆動連結されている。また、圧縮機21、加熱器22、タービン23の間に再熱器26が設けられており、この再熱器26は、タービン23からの排ガスにより圧縮機21から加熱器22に供給される高圧空気を加熱することができる。そして、再熱器26で熱交換された排ガスは、煙突27から大気に放出される。
【0030】
加熱器22は、断熱材でほぼ密閉状態とされた加熱室31の断熱空間32に配置された第1加熱器33と、第2加熱器34とから構成されている。第1加熱器33は、圧縮機21で昇圧されて再熱器26で昇温された空気を、集光器で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させるものであり、空気が流通する受熱器35を有している。第2加熱器34は、この第1加熱器33で加熱されている空気を化石燃料焚きの燃焼器36により加熱して昇温させるものである。そのため、加熱室31の外部に空気を昇圧して供給する第1ブロア37と、化石燃料(例えば、天然ガス)を昇圧して供給する第2ブロア38が設けられており、空気と化石燃料との予混合気を燃焼器36に供給可能となっている。
【0031】
以下、加熱器22について詳細に説明する。図2に示すように、加熱室31は、内部にほぼ密閉状態となる断熱空間32が形成され、非通気性である仕切板としての石英ガラス41により独立した2つの空間に仕切られている。この場合、仕切板は石英ガラス41に限るものではなく、耐熱性耐腐食性合金でもよく、例えば、耐熱性ニッケル合金(ハステロイ)などを用いてもよい。そして、一方の大きな空間に第1加熱器33が配置され、他方の小さな空間に第2加熱器34が配置されている。また、加熱室31は、下部に開口部31aが形成され、開口部31aから集光器42で集めた太陽光を第1加熱器33側の空間に取込可能となっている。この場合、加熱室31の一方側に第1加熱器33が配置され、他方側に第2加熱器34が配置され、両者の間には所定の空間部が設けられ、この空間部の下方に開口部31aが形成されている。
【0032】
第1加熱器33にて、受熱器35は、断熱空間32の一方に配置される伝熱管43により構成されている。この伝熱管43は、1本または複数本の配管が複数のU字形状をなすように配置されてなり、一端部が圧縮機21(再熱器26)に連結され、他端部がタービン23に連結されている。そして、この第1加熱器33を構成する伝熱管43では、内部を流通する空気が開口部31aから取り込まれた太陽光の熱により加熱可能となっている。
【0033】
第2加熱器34にて、燃焼器36は、断熱空間32の他方に配置される伝熱管44と、燃焼バーナ45と、通気性のある輻射変換体としての金網46により構成されている。伝熱管44は、1本または複数本の配管が複数のU字形状をなすように配置されてなり、一端部に各ブロア37,38により空気と化石燃料との予混合気が供給される配管が連結され、他端部が複数の燃焼バーナ45に連結されている。この場合、伝熱管44と燃焼バーナ45との間に金網46が配置されており、各燃焼バーナ45は、金網46に向けて火炎を生成する。
【0034】
そして、空気と化石燃料との予混合気が伝熱管44を通して燃焼バーナ45に供給され、燃焼バーナ45は金網46に向けて火炎を形成すると、ここで輻射熱が発生し、石英ガラス41を通して第1加熱器33側に向けて輻射される。第1加熱器33を構成する伝熱管43では、内部を流通する空気が第2加熱器34からの輻射熱により加熱可能となっている。
【0035】
また、加熱室31は、上部に開口部31bが形成され、開口部31bから燃焼排ガスを排出可能となっている。即ち、燃焼バーナ45により火炎が形成されることで生成された燃焼排ガスは、石英ガラス41に堰きとめられることで第1加熱器33側には流れず、金網46を通って伝熱管44に流れ、開口部31bから外部に排出される。このとき、第2加熱器34では、燃焼バーナ45で発生した燃焼排ガスにより伝熱管44を通って燃焼バーナ45に供給される予混合気を加熱することができる。ここで、加熱室31や伝熱管44などにより本発明の第1熱交換器が構成される。
【0036】
ここで、実施例1の発電装置10の作用について説明する。図1及び図2に示すように、圧縮機21は、空気を吸入して所定の高圧に圧縮し、この高圧空気は、高圧空気通路から再熱器26を通って加熱器22に供給される。この再熱器26は、圧縮機21で昇圧された高圧空気とタービン23で仕事をした高温空気との間で熱交換、つまり、タービン23からの高温空気により圧縮機21からの高圧空気を加熱(予熱)しており、ここで、排熱の有効利用が可能となる。
【0037】
この再熱器26で、例えば、450℃の低温高圧となった空気は、加熱器22に送られる。この加熱器22にて、圧縮機21から再熱器26を通過した低温高圧の空気は、第1加熱器33により加熱される。即ち、第1加熱器33を構成する受熱器35(伝熱管43)は、集光器42により集めた太陽光を熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーにより伝熱管43内を流れる空気を加熱することで、この低温高圧の空気の温度を更に上昇させる。
【0038】
この場合、集光器42は、発電装置10の発電量が所望の発電量となるように、つまり、圧縮機21及びタービン23の回転数が適正値になるように、受熱器35で加熱される高温高圧の空気の出口温度に応じて受光角度を調整し、受熱器35への入熱量を制御する。
【0039】
加熱器22における第1加熱器33で、850℃まで加熱された高温高圧の空気は、高温高圧空気通路を通ってタービン23へ供給される。このタービン23に供給された高温高圧の空気は、タービン23内の動翼と静翼を通過する際に膨張し、動翼と一体の回転軸24を回転させてタービン出力を発生させる。タービン23で発生した出力は、回転軸24を介して連結された圧縮機21、更に駆動軸25を介して連結された発電機12の駆動力として用いられる。
【0040】
その後、タービン23で仕事をした高温高圧の空気は、タービン23の出口より圧力及び温度が低下した高温高圧の空気(排ガス)となり、排気通路を通って再熱器26に導かれ、この再熱器26で更に温度低下して煙突27から大気へ放出される。
【0041】
また、加熱器22は、第1加熱器33に加えて第2加熱器34を有している。この第2加熱器34は、加熱室31内にて、第1加熱器33で加熱している高温高圧の空気を更に加熱することができる。即ち、第2加熱器34の燃焼器36にて、各ブロア37,38を作動すると、所定量の空気と所定量の化石燃料が送られ、所定の燃空比となる予混合気が伝熱管44を通して各燃焼バーナ45に供給される。このとき、伝熱管44を流通する予混合気は、燃焼バーナ45からの火炎で発生した燃焼排ガスにより加熱される。
【0042】
そして、高温となった予混合気が燃焼バーナ45に送られると、燃焼バーナ45は、噴出する予混合気に着火することで、金網46に向けた火炎を形成する。金網46では、この火炎により輻射熱が発生し、石英ガラス41を通して第1加熱器33側に向けて輻射される。第1加熱器33を構成する受熱器35では、伝熱管43を流通する空気が第2加熱器34からの輻射熱により加熱される。一方、燃焼バーナ45からの火炎で発生した燃焼排ガスは、伝熱管44内の予混合気と熱交換を行った後、加熱室31から外部に排出される。なお、この第2加熱器34の燃焼器36が区画された部屋では、燃焼排ガスと予混合気とで熱交換を行うことで、排熱の有効利用が可能となる。
【0043】
この場合、加熱器22は、第1加熱器33に取り込んだ太陽熱と、第2加熱器34で燃焼器36の火炎からの輻射熱により、例えば、450℃の低温空気が850℃の高温空気まで加熱される。ここで、加熱器22に送られた低温空気は、第1加熱器33における太陽熱と第2加熱器34における輻射熱により加熱されることから、両者の熱容量を調整することで、適正となる850℃の高温空気まで加熱することができる。
【0044】
通常、地球環境や発電コストなどを考慮し、第1加熱器33をメインとして運転し、第2加熱器34をサブとして運転する。即ち、第1加熱器33にて、取り込む太陽エネルギーの熱量だけで450℃の低温空気を850℃の高温空気まで加熱することができるのであれば、第2加熱器34の運転を停止する。一方、第1加熱器33にて、取り込む太陽エネルギーの熱量だけで450℃の低温空気を850℃の高温空気まで加熱することができないのであれば、第2加熱器34を運転する。
【0045】
この場合、加熱器22にて、受熱器35で加熱される高温高圧の空気の出口温度を検出し、この高温高圧の空気の出口温度が適正温度(例えば、850℃)となるように第2加熱器34を運転する。即ち、第2加熱器34は、受熱器35からの高温高圧の空気の出口温度に基づいて、燃焼器36に供給する予混合機量(化石燃料量)を調整する。
【0046】
このように実施例1の太陽光ガスタービンにあっては、空気を吸入して昇圧させる圧縮機21と、圧縮機21で昇圧された空気を加熱して昇温させる加熱器22と、加熱器22で高温高圧となった空気が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン23とを設けて構成し、加熱器22として、加熱室31内に、圧縮機21で昇圧された空気を集光器42で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させる第1加熱器33と、第1加熱器33で加熱される空気を化石燃料焚きの燃焼器36により加熱して昇温させる第2加熱器34とを設けている。
【0047】
従って、空気は、加熱室31内に配置される第1加熱器33による太陽光の熱と第2加熱器34における燃焼器36の輻射熱により加熱されることとなり、第1加熱器33における太陽光の熱量に応じて第2加熱器34による加熱量を調整することで、タービン23に送られる空気の温度を所望の温度に維持することができ、天候の変動などに左右されることなく、安定した運転の継続を可能にすることができる。
【0048】
即ち、加熱室31内に第1加熱器33と第2加熱器34を並列に配置したことで、変動の激しい自然エネルギーである太陽光の強度が弱く、受熱器35で十分な加熱を受けられない運転状況においても、燃焼器36の加熱により太陽光の不足分を補ってタービン23へ所定の温度に昇温した高温高圧の空気を供給することができる。
【0049】
また、実施例1の太陽光ガスタービンでは、第1加熱器33と第2加熱器34とを加熱室31の断熱空間32内でそれぞれ独立した空間に配置し、第2加熱器34は、輻射熱により第1加熱器33を流れる空気を加熱している。従って、第1加熱器33を流れる空気は、第2加熱器34からの輻射熱により加熱されることとなり、加熱器33,34は空気を安定して加熱することができる。
【0050】
また、実施例1の太陽光ガスタービンでは、第2加熱器34は、燃焼器36から排出された燃焼排ガスによりこの燃焼器36に供給される化石燃料と空気の予混合気を加熱している。従って、化石燃料は、燃焼器36からの燃焼排ガスにより加熱されてから燃焼器36に供給されることとなり、第2加熱器34の燃焼器36は、化石燃料を効率良く燃焼することができる。
【0051】
また、実施例1の発電装置にあっては、上述した太陽熱ガスタービン11と、この太陽熱ガスタービン11で駆動されて発電する発電機12とを備えている。
【0052】
従って、自然エネルギーである太陽熱を十分に得られない運転状況においても、太陽熱の強度に応じて燃焼器36の加熱能力を有効に利用し、空気の温度を所望の温度に維持して太陽熱ガスタービン11の安定した運転の継続が可能になる。その結果、太陽熱を十分に得られない運転状況においても、安定した動特性を有する太陽熱ガスタービン11により駆動される発電機12は、安定した発電を継続することが可能になる。
【実施例2】
【0053】
図3は、本発明の実施例2に係る太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
実施例2において、図3に示すように、加熱器51は、加熱室31の断熱空間32に配置された第1加熱器33と第2加熱器34とから構成されている。第1加熱器33は、圧縮機21で昇圧されて再熱器26で昇温された空気を太陽光の熱により加熱して昇温させるものであり、受熱器35を有している。第2加熱器34は、第1加熱器33で加熱されている空気を燃焼器36により加熱して昇温させるものである。
【0055】
即ち、加熱室31は、断熱空間32が石英ガラス41により独立した2つの空間に仕切られ、一方の大きな空間に第1加熱器33が配置され、他方の小さな空間に第2加熱器34が配置されている。また、加熱室31は、下部に開口部31aが形成され、開口部31aから集光器42で集めた太陽光を第1加熱器33側の空間に取込可能となっている。この場合、加熱室31の一方側に第1加熱器33と第2加熱器34が隣接して配置され、両者の間に石英ガラス41が配置され、第1加熱器33が配置された空間部の下方に開口部31aが形成されている。
【0056】
なお、この実施例2の加熱器51は、加熱室31内に第1加熱器33と第2加熱器34とが隣接して配置されるものの、この第1加熱器33及び第2加熱器34の構成、作用は、前述した実施例1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0057】
従って、低温高圧の空気が加熱器51に送られると、第1加熱器33の受熱器35にて、集光器42により集めた太陽光を熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーにより伝熱管43内を流れる空気が加熱され、この低温高圧の空気の温度が上昇する。また、第2加熱器34の燃焼器36にて、空気と化石燃料との予混合気が伝熱管44を通して各燃焼バーナ45に供給され、燃焼バーナ45はこの予混合気に着火することで金網46に向けた火炎を形成する。すると、この火炎により金網46からの輻射熱が発生し、石英ガラス41を通して第1加熱器33側に向けて輻射されることで、受熱器35の伝熱管43を流通する空気が加熱される。
【0058】
通常、第1加熱器33にて、取り込む太陽エネルギーの熱量だけで低温空気を所望の温度まで加熱することができるのであれば、第2加熱器34の運転を停止し、加熱することができないのであれば、第2加熱器34を運転する。加熱器22にて、受熱器35で加熱される高温高圧の空気の出口温度を検出し、この高温高圧の空気の出口温度が適正温度となるように第2加熱器34を運転する。
【0059】
このように実施例2の太陽光ガスタービンにあっては、加熱器51として、加熱室31内に、圧縮機21で昇圧された空気を集光器42で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させる第1加熱器33と、第1加熱器33で加熱される空気を化石燃料焚きの燃焼器36により加熱して昇温させる第2加熱器34とを設けている。
【0060】
従って、加熱室31内に第1加熱器33と第2加熱器34を隣接して配置したことで、変動の激しい自然エネルギーである太陽光の強度が弱く、受熱器35で十分な加熱を受けられない運転状況においても、燃焼器36の加熱により太陽光の不足分を補ってタービン23へ所定の温度に昇温した高温高圧の空気を供給することができる。また、第1加熱器33と第2加熱器34とを接近して配置したことで、第2加熱器34の輻射熱を第1加熱器33内の空気に対して効率良く付与することができ、空気に対する加熱効率を向上することができる。
【実施例3】
【0061】
図4は、本発明の実施例3に係る太陽熱ガスタービン発電装置を表す概略構成図、図5は、実施例3の太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
実施例3において、図4に示すように、発電装置60は、太陽熱ガスタービン61と発電機12とを有している。この太陽熱ガスタービン61は、空気(圧縮性作動流体)を吸入して昇圧させる圧縮機21と、この圧縮機21で昇圧された空気を加熱して昇温させる加熱器62と、この加熱器62で高温高圧となった空気が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン23とから構成されている。
【0063】
この場合、加熱器62は、加熱室31の断熱空間32に配置された第1加熱器33と第2加熱器34とから構成されている。第1加熱器33は、圧縮機21で昇圧されて再熱器26で昇温された空気を太陽光の熱により加熱して昇温させるものであり、受熱器35を有している。第2加熱器34は、この第1加熱器33で加熱されている空気を燃焼器36により加熱して昇温させるものである。そのため、空気を昇圧して供給する第1ブロア37と、化石燃料を昇圧して供給する第2ブロア38が設けられ、空気と化石燃料との予混合気を燃焼器36に供給可能となっている。
【0064】
この加熱器62において、図5に示すように、加熱室31は、断熱空間32が石英ガラス41により独立した2つの空間に仕切られ、一方の空間に第1加熱器33が配置され、他方の空間に第2加熱器34が配置されている。また、加熱室31は、下部に開口部31aが形成され、開口部31aから集光器42で集めた太陽光を第1加熱器33側の空間に取込可能となっている。
【0065】
第1加熱器33は、受熱器35を有し、この受熱器35は伝熱管43により構成されている。この伝熱管43は、一端部に圧縮機21(再熱器26)が連結され、他端部がタービン23に連結されており、内部を流通する空気が開口部31aから取り込まれた太陽光の熱により加熱可能となっている。
【0066】
第2加熱器34は、燃焼器36を有し、この燃焼器36は、伝熱管44と、燃焼バーナ45と、金網46により構成されている。伝熱管44は、一端部に各ブロア37,38により空気と化石燃料との予混合気が供給される配管が連結され、他端部が複数の燃焼バーナ45に連結されている。この場合、伝熱管44と燃焼バーナ45との間に金網46が配置されており、各燃焼バーナ45は、金網46に向けて火炎を生成する。
【0067】
また、加熱室31は、上部に開口部31bが形成され、開口部31bから燃焼排ガスを排出可能となっている。即ち、燃焼バーナ45の火炎により生成された燃焼排ガスは、石英ガラス41に堰きとめられることで第1加熱器33側には流れず、金網46を通って伝熱管44に流れ、開口部31bから外部に排出される。このとき、第2加熱器34では、燃焼バーナ45で発生した燃焼排ガスにより伝熱管44を通って燃焼バーナ45に供給される予混合気を加熱することができる。また、第2加熱器34では、燃焼バーナ45で発生した燃焼排ガスにより第1加熱器33における受熱器35に供給される空気を加熱する第2熱交換器63が設けられている。
【0068】
従って、圧縮機21は、空気を吸入して所定の高圧に圧縮し、高圧空気は、高圧空気通路から再熱器26で予熱されてから、例えば、450℃の低温高圧となった空気が加熱器62に供給される。低温高圧の空気が加熱器62に送られると、まず、第2熱交換器63にて、燃焼バーナ45で発生した燃焼排ガスによりこの低温空気が、例えば、600℃まで加熱されてから受熱器35に供給され、次に、この受熱器35にて、集光器42により集めた太陽光を熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーにより伝熱管43内を流れる空気が加熱され、この低温高圧の空気の温度が上昇する。また、第2加熱器34の燃焼器36にて、空気と化石燃料との予混合気が伝熱管44を通して各燃焼バーナ45に供給され、燃焼バーナ45はこの予混合気に着火することで金網46に向けた火炎を形成する。すると、この火炎により金網46からの輻射熱が発生し、石英ガラス41を通して第1加熱器33側に向けて輻射されることで、受熱器35の伝熱管43を流通する空気が加熱される。
【0069】
そして、加熱器62における第1加熱器33で、850℃まで加熱された高温高圧の空気は、高温高圧空気通路を通ってタービン23へ供給され、タービン出力を発生させる。タービン23で発生した出力は、回転軸24を介して連結された圧縮機21、更に駆動軸25を介して連結された発電機12の駆動力として用いられる。その後、タービン23で仕事をした高温高圧の空気は、再熱器26を通って煙突27から大気へ放出される。
【0070】
通常、第1加熱器33にて、取り込む太陽エネルギーの熱量だけで低温空気を所望の温度まで加熱することができるのであれば、第2加熱器34の運転を停止し、加熱することができないのであれば、第2加熱器34を運転する。加熱器62にて、受熱器35で加熱される高温高圧の空気の出口温度を検出し、この高温高圧の空気の出口温度が適正温度となるように第2加熱器34を運転する。
【0071】
このように実施例3の太陽光ガスタービンにあっては、圧縮機21、加熱器62、タービン23を設けて構成し、加熱器62として、加熱室31内に、圧縮機21で昇圧された空気を集光器42で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させる第1加熱器33と、第1加熱器33で加熱される空気を化石燃料焚きの燃焼器36により加熱して昇温させる第2加熱器34とを設けている。
【0072】
従って、加熱室31内に第1加熱器33と第2加熱器34を隣接して配置したことで、変動の激しい自然エネルギーである太陽光の強度が弱く、受熱器35で十分な加熱を受けられない運転状況においても、燃焼器36の加熱により太陽光の不足分を補ってタービン23へ所定の温度に昇温した高温高圧の空気を供給することができる。また、第1加熱器33と第2加熱器34とを接近して配置したことで、第2加熱器34の輻射熱を第1加熱器33内の空気に対して効率良く付与することができ、空気に対する加熱効率を向上することができる。
【0073】
また、実施例3の太陽光ガスタービンでは、第2加熱器34の燃焼器36から排出された燃焼排ガスにより第1加熱器33の受熱器35に供給される低温空気を加熱する第2熱交換器63を設けている。従って、低温空気は、燃焼器36からの燃焼排ガスにより加熱されてから第1加熱器33の受熱器35に供給されることとなり、燃焼排ガスの有効利用を可能とすることができる。
【実施例4】
【0074】
図6は、本発明の実施例4に係る太陽熱ガスタービン発電装置を表す概略構成図、図7は、実施例4の太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0075】
実施例4において、図6に示すように、発電装置70は、太陽熱ガスタービン71と発電機12とを有している。この太陽熱ガスタービン71は、空気(圧縮性作動流体)を吸入して昇圧させる圧縮機21と、この圧縮機21で昇圧された空気を加熱して昇温させる加熱器72と、この加熱器72で高温高圧となった空気が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン23とから構成されている。
【0076】
この場合、加熱器72は、加熱室31の断熱空間32に配置された第1加熱器33と第2加熱器34とから構成されている。第1加熱器33は、圧縮機21で昇圧された空気を太陽光の熱により加熱して昇温させるものであり、受熱器35を有している。第2加熱器34は、この第1加熱器33で加熱されている空気を燃焼器36により加熱して昇温させるものである。そのため、化石燃料を昇圧して供給する第2ブロア38が設けられ、この化石燃料を燃焼器36に供給可能となっている。
【0077】
この加熱器72において、図7に示すように、加熱室31は、断熱空間32が石英ガラス41により独立した2つの空間に仕切られ、一方の空間に第1加熱器33が配置され、他方の空間に第2加熱器34が配置されている。また、加熱室31は、下部に開口部31aが形成され、開口部31aから集光器42で集めた太陽光を第1加熱器33側の空間に取込可能となっている。
【0078】
第1加熱器33は、受熱器35を有し、この受熱器35は伝熱管43により構成されている。この伝熱管43は、一端部に圧縮機21が直接連結され、他端部がタービン23に連結されており、内部を流通する空気が開口部31aから取り込まれた太陽光の熱により加熱可能となっている。
【0079】
第2加熱器34は、燃焼器36を有し、この燃焼器36は、燃焼バーナ45と、金網46により構成されている。燃焼バーナ45は、ブロア38により化石燃料が供給される配管が連結されている。また、第2加熱器34が配置される空間は、タービン23からの排ガス(高温高圧の空気、例えば、500℃)が供給されており、燃焼バーナ45は、ブロア38からの化石燃料とタービン23からの空気により金網46に向けて火炎を形成することができる。
【0080】
また、加熱室31における第2加熱器34が配置される空間には、圧縮機21で昇圧された低温高圧の空気(例えば、250℃)を流通させる伝熱管73が配置されており、この伝熱管73が受熱器35に連結されている。そして、加熱室31は、上部に開口部31bが形成され、開口部31bから燃焼排ガスを排出可能となっている。即ち、燃焼バーナ45の火炎により生成された燃焼排ガスは、石英ガラス41に堰きとめられることで第1加熱器33側には流れず、金網46を通って伝熱管73に流れ、開口部31bから外部に排出される。このとき、第2加熱器34では、燃焼バーナ45で発生した燃焼排ガスにより伝熱管73を通って受熱器35に供給される低温高圧の空気を加熱することができる。つまり、第2加熱器34内に再熱器を配置している。
【0081】
従って、圧縮機21は、空気を吸入して所定の高圧に圧縮し、高圧空気は、高圧空気通路から加熱器72に供給される。低温高圧の空気が加熱器72に送られると、まず、第2加熱器34にて、伝熱管73を流れるとき、燃焼バーナ45で発生した燃焼排ガスによりこの低温空気が、例えば、600℃まで加熱されてから受熱器35に供給され、次に、この受熱器35にて、集光器42により集めた太陽光を熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーにより伝熱管43内を流れる空気が加熱され、この低温高圧の空気の温度が上昇する。また、第2加熱器34の燃焼器36にて、燃焼バーナ45は化石燃料とタービン23からの高温高圧の空気に着火することで金網46に向けた火炎を形成する。すると、この火炎により金網46からの輻射熱が発生し、石英ガラス41を通して第1加熱器33側に向けて輻射されることで、受熱器35の伝熱管43を流通する空気が加熱される。
【0082】
そして、加熱器72における第1加熱器33で、850℃まで加熱された高温高圧の空気は、高温高圧空気通路を通ってタービン23へ供給され、タービン出力を発生させる。タービン23で発生した出力は、回転軸24を介して連結された圧縮機21、更に駆動軸25を介して連結された発電機12の駆動力として用いられる。その後、タービン23で仕事をした高温高圧の空気は、加熱器72へ送られる。なお、加熱器72の開口部31bから排出される燃焼排ガスは、所定の処理がなされた後に煙突から排出される。
【0083】
通常、第1加熱器33にて、取り込む太陽エネルギーの熱量だけで低温空気を所望の温度まで加熱することができるのであれば、第2加熱器34の運転を停止し、加熱することができないのであれば、第2加熱器34を運転する。加熱器72にて、受熱器35で加熱される高温高圧の空気の出口温度を検出し、この高温高圧の空気の出口温度が適正温度となるように第2加熱器34を運転する。
【0084】
このように実施例4の太陽光ガスタービンにあっては、圧縮機21、加熱器72、タービン23を設けて構成し、加熱器72として、加熱室31内に、圧縮機21で昇圧された空気を集光器42で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させる第1加熱器33と、第1加熱器33で加熱される空気を化石燃料焚きの燃焼器36により加熱して昇温させる第2加熱器34とを設けている。この場合、加熱器72にて、圧縮機21からの空気をタービン23からの排ガス及び燃焼器36からの燃焼排ガスにより予熱している。
【0085】
従って、第1加熱器33と第2加熱器34とを接近して配置したことで、第2加熱器34の輻射熱を第1加熱器33内の空気に対して効率良く付与することができ、空気に対する加熱効率を向上することができる。また、圧縮機21からの低温空気は、タービン23からの排ガス及び燃焼器36からの燃焼排ガスにより予熱されることとなり、燃焼排ガスの有効利用を可能とすることができる。また、再熱器を加熱器72の内部に配置することで、装置のコンパクト化を可能とすることができる。
【0086】
また、実施例4の太陽光ガスタービンでは、第2加熱器34の燃焼器36は、化石燃料とタービン23からの排ガス(高温空気)とを燃焼している。従って、タービン23からの排ガスを化石燃料と共に第2加熱器34の燃焼器36で燃焼することで、排ガス処理の簡素化を可能とすることができる。
【実施例5】
【0087】
図8は、本発明の実施例5に係る太陽熱ガスタービン発電装置を表す概略構成図、図9は、実施例5の太陽熱ガスタービン発電装置における加熱器を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】
実施例5において、図8に示すように、発電装置80は、太陽熱ガスタービン81と発電機12とを有している。この太陽熱ガスタービン81は、空気(圧縮性作動流体)を吸入して昇圧させる圧縮機21と、この圧縮機21で昇圧された空気を加熱して昇温させる加熱器82と、この加熱器82で高温高圧となった空気が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン23とから構成されている。
【0089】
この場合、加熱器82は、加熱室31の断熱空間32に配置された第1加熱器33と第2加熱器34とから構成されている。第1加熱器33は、圧縮機21で昇圧されて再熱器83で昇温された空気を太陽光の熱により加熱して昇温させるものであり、受熱器35を有している。第2加熱器34は、この第1加熱器33で加熱されている空気を燃焼器36により加熱して昇温させるものである。そのため、化石燃料を昇圧して供給する第2ブロア38が設けられ、この化石燃料を燃焼器36に供給可能となっている。
【0090】
この加熱器82において、図9に示すように、加熱室31は、断熱空間32が石英ガラス41により独立した2つの空間に仕切られ、一方の空間に第1加熱器33が配置され、他方の空間に第2加熱器34が配置されている。また、加熱室31は、下部に開口部31aが形成され、開口部31aから集光器42で集めた太陽光を第1加熱器33側の空間に取込可能となっている。
【0091】
第1加熱器33は、受熱器35を有し、この受熱器35は伝熱管43により構成されている。この伝熱管43は、一端部に圧縮機21(再熱器83)が連結され、他端部がタービン23に連結されており、内部を流通する空気が開口部31aから取り込まれた太陽光の熱により加熱可能となっている。
【0092】
第2加熱器34は、燃焼器36を有し、この燃焼器36は、燃焼バーナ45を有している。燃焼バーナ45は、ブロア38により化石燃料が供給される配管が連結されている。また、第2加熱器34が配置される空間は、タービン23からの排ガス(高温高圧の空気、例えば、500℃)が供給されており、燃焼バーナ45は、ブロア38からの化石燃料とタービン23からの空気により火炎を形成することができる。
【0093】
また、加熱室31にて、燃焼バーナ45の火炎により生成された燃焼排ガスは、石英ガラス41に堰きとめられることで第1加熱器33側には流れず、燃焼排ガス通路を通して外部に排出される。そして、外部に排出された燃焼排ガスは、この燃焼排ガス通路を通して再熱器83に供給され、ここで、圧縮機21からの高圧空気を加熱した後に煙突27から大気に放出可能となっている。ここで、再熱器83が本発明の第3熱交換器として機能する。
【0094】
従って、圧縮機21は、空気を吸入して所定の高圧に圧縮し、高圧空気は、高圧空気通路から再熱器83を通して加熱器82に供給される。低温高圧の空気が加熱器82に送られると、第1加熱器33の受熱器35にて、集光器42により集めた太陽光を熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーにより伝熱管43内を流れる空気が加熱され、この低温高圧の空気の温度が上昇する。また、第2加熱器34の燃焼器36にて、燃焼バーナ45は化石燃料とタービン23からの高温高圧の空気に着火することで火炎を形成する。すると、この火炎により発生した輻射熱が石英ガラス41を通して第1加熱器33側に向けて輻射されることで、受熱器35の伝熱管43を流通する空気が加熱される。
【0095】
そして、加熱器82における第1加熱器33で、850℃まで加熱された高温高圧の空気は、高温高圧空気通路を通ってタービン23へ供給され、タービン出力を発生させる。タービン23で発生した出力は、回転軸24を介して連結された圧縮機21、更に駆動軸25を介して連結された発電機12の駆動力として用いられる。その後、タービン23で仕事をした高温高圧の空気は、加熱器82へ送られる。また、加熱器82から排出される燃焼排ガスは、再熱器83を通って煙突27から大気へ放出される。
【0096】
このように実施例5の太陽光ガスタービンにあっては、圧縮機21、加熱器82、タービン23を設けて構成し、加熱器82として、加熱室31内に、圧縮機21で昇圧された空気を集光器42で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させる第1加熱器33と、第1加熱器33で加熱される空気を化石燃料焚きの燃焼器36により加熱して昇温させる第2加熱器34とを設けている。
【0097】
従って、第1加熱器33と第2加熱器34とを接近して配置したことで、第2加熱器34の輻射熱を第1加熱器33内の空気に対して効率良く付与することができ、空気に対する加熱効率を向上することができる。
【0098】
また、実施例5の太陽光ガスタービンでは、第2加熱器34の燃焼器36から排出された燃焼排ガスにより圧縮機21で昇圧された空気を加熱する再熱器83を設けている。従って、高圧空気は、燃焼器36からの燃焼排ガスにより予熱されてから第1加熱器33に供給されることとなり、排ガスの有効利用を可能とすることができる。
【0099】
なお、上述した各実施例では、加熱室31内に第1加熱器33と第2加熱器34を対向または隣接して配置したが、その配置関係は実施例に限定されるものではない。また、太陽光を加熱室31の下方から取り込んだが、その取込位置は実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、太陽熱ガスタービン及び発電装置において、圧縮機からタービンに送る圧縮性作動流体を断熱された空間で太陽光の熱と燃焼器により加熱して昇温させることで、天候の変動などに左右されることなく安定した運転の継続を可能にするものであり、いずれの太陽熱ガスタービンや発電装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
10,60,70,80 発電装置
11,61,71,81 太陽熱ガスタービン
12 発電機
21 圧縮機
22,51,62,72,82 加熱器
23 タービン
26 再熱器
31 加熱室
32 断熱空間
33 第1加熱器
34 第2加熱器
35 受熱器
36 燃焼器
41 石英ガラス(仕切板)
42 集光器
43,44 伝熱管
45 燃焼バーナ
46 金網(輻射変換体)
63 熱交換器(第2熱交換器)
83 再熱器(第3熱交換器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮性作動流体を吸入して昇圧させる圧縮機と、
該圧縮機で昇圧された圧縮性作動流体を加熱して昇温させる加熱器と、
該加熱器で高温高圧となった圧縮性作動流体が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービンと、
を備える太陽熱ガスタービンにおいて、
前記加熱器は、
断熱された空間と、
該空間内に配置されて前記圧縮機で昇圧された圧縮性作動流体を集光器で集めた太陽光の熱により加熱して昇温させる第1加熱器と、
前記空間内に配置されて前記第1加熱器で加熱される圧縮性作動流体を化石燃料焚きの燃焼器により加熱して昇温させる第2加熱器と、
を有することを特徴とする太陽熱ガスタービン。
【請求項2】
前記第1加熱器と前記第2加熱器は前記空間内でそれぞれ独立した空間に配置され、前記第2加熱器は、輻射熱により第1加熱器を流れる圧縮性作動流体を加熱することを特徴とする請求項1に記載の太陽熱ガスタービン。
【請求項3】
前記第2加熱器は、前記燃焼器から排出された排ガスにより該燃焼器に供給される化石燃料を加熱する第1熱交換器を有することを特徴とする請求項1または2に記載の太陽熱ガスタービン。
【請求項4】
前記第2加熱器は、前記燃焼器から排出された排ガスにより前記第1加熱器に供給される圧縮性作動流体を加熱する第2熱交換器を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の太陽熱ガスタービン。
【請求項5】
前記第2加熱器の燃焼器は、化石燃料と前記タービンからの排ガスとを燃焼することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の太陽熱ガスタービン。
【請求項6】
前記第2加熱器の燃焼器から排出された排ガスにより前記圧縮機で昇圧された圧縮性作動流体を加熱する第3熱交換器を設けることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の太陽熱ガスタービン。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の太陽熱ガスタービンと、該太陽熱ガスタービンで駆動されて発電する発電機とを備えることを特徴とする発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−140872(P2012−140872A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292423(P2010−292423)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)