説明

太陽電池の取付け構造

【課題】安定の良いしっかりとした取付け状態を形成でき、しかも、水漏れのおそれをなくせる、金属板葺き屋根への太陽電池の取付け構造を提供する。
【解決手段】ゴム状ブロックと取付け金物とが備えられ、取付け金物は、平はぜ部を挟持することで屋根に固着状態に取り付けられると共に、該取付け状態において、取付け部から屋根面に沿って下方に延ばされる立ち上がり状のレール部を備え、該レール部がゴム状ブロックの下面溝部内に通されて、ゴム状ブロックが、レール部を挟む両側の屋根面に支承され、レール部の前後部にはストッパーが備えられ、レール部に立設されたネジ軸がゴム状ブロックを貫いて上方に突出し、該突出ネジ部に太陽電池モジュール取付け用の下フレームが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板葺き屋根への太陽電池の取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板葺き屋根に太陽電池を取り付ける構造として、金属の葺き板にビス打ち等によって取付け用の孔を明ける構造のものは提供されており、この構造において、上記の孔は防水パッキン等にて止水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−169131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような取付け構造では、防水パッキン等によって止水されるとはいっても、そのような取付け孔を完璧に止水することは難しく、雨漏れを起こしたり、積雪地域では融雪水によるトラブルを起こしやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、安定の良いしっかりとした取付け状態を形成することができ、しかも、水漏れのおそれをなくすことができる金属板葺き屋根への太陽電池の取付け構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、屋根傾斜方向と直交する水平方向に平はぜ部が延ばされた金属板葺き屋根への太陽電池の取付け構造であって、
ゴム状ブロックと取付け金物とが備えられ、
ゴム状ブロックは、下面部に溝部を備え、
取付け金物は、前記平はぜ部を挟持することで屋根に固着状態に取り付けられると共に、該取付け状態において、取付け部から屋根面に沿って屋根傾斜方向下方に延ばされる立ち上がり状のレール部を備え、
該レール部がゴム状ブロックの下面溝部内に通されることにより、ゴム状ブロックは、レール部を挟む両側の屋根面に支承されると共に、レール部によって屋根傾斜方向と直交する水平方向において位置決め状態に保持され、
前記取付け金物において、レール部の前後部にはそれぞれストッパーが備えられ、該前後のストッパーにより、ゴム状ブロックが屋根傾斜方向において位置決め状態に保持され、
該ゴム状ブロック上に太陽電池モジュール取付け用のフレームが支承され、該フレームに太陽電池モジュールが取り付けられており、前記レール部にはネジ軸部が立設され、該ネジ軸はゴム状ブロックを貫いて上方に突出し、該突出ネジ部に前記フレームがレール部からのゴム状ブロックの浮き上がりを阻止するように連結されて取り付けられていることを特徴とする金属板葺き屋根への太陽電池の取付け構造によって解決される。
【0007】
この取付け構造では、ゴム状ブロックが用いられ、該ゴム状ブロックをレール部を挟む両側の屋根面に支承させると共に、該ゴム状ブロック上に太陽電池モジュール取付け用のフレームを支承させた構造としているので、ゴム状ブロックの有する弾力性により、力学的に安定した取付け状態を形成することができる。
【0008】
しかも、取付け金物には、屋根に対する取付け部から屋根面に沿って屋根傾斜方向下方に延ばされたレール部が備えられ、ゴム状ブロックは、下面溝部内に通された該レール部により屋根傾斜方向と直交する水平方向において位置決め状態に保持されると共に、レール部の前後部に備えられたストッパーによって屋根傾斜方向において位置決め状態に保持され、そのような位置決め保持状態において、太陽電池モジュール取付け用のフレームは、取付け金物のレール部に立設され、ゴム状ブロックを貫いて上方に突出するネジ軸部に、レール部からのゴム状ブロックの浮き上がりを阻止するよう連結されて取り付けられ、そして、取付け金物は、前記平はぜ部を挟持することで屋根に固着状態に取り付けられているので、安定の良いしっかりとした取付け状態を形成することができる。
【0009】
加えて、取付け金物は、このように、平はぜ部を挟持することで屋根に固着状態に取り付けられる構成となっているので、金属板葺き屋根への取付けにおいて金属の葺き板に孔明けをする必要がなく、そのため、水漏れのおそれをなくすことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の金属板葺き屋根への太陽電池の取付け構造は、以上のとおりのものであるから、安定の良いしっかりとした取付け状態を形成することができ、しかも、水漏れのおそれをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態の取付け構造を示す正面図である。
【図2】図(イ)はゴム状ブロックの斜視図、図(ロ)は取付け金物の斜視図、図(ハ)は屋根の金属葺き板の断面図である。
【図3】図(イ)〜図(ハ)は、屋根への取付け金物とゴム状ブロックの取付け方法を示す正面図である。
【図4】図(イ)は、屋根への太陽電池モジュールの取付け方法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図4に示す実施形態の取付け構造において、1は金属板葺き屋根、2は平はぜ部で、平はぜ部2は屋根傾斜方向と直交する水平方向に延ばされている。そして、3はゴム状ブロック、4は取付け金物であり、5は下フレーム、6は上フレーム、7は太陽電池モジュールである。
【0014】
ゴム状ブロック3は、直方体形状ないしは立方体形状をしていて、図2(イ)に示すように、その下面の幅方向中央部に一字状の溝部8が備えられていると共に、溝部8の長手方向中央部に位置して上下方向に貫通する孔10が設けられている。
【0015】
取付け金物4は、図2(ロ)に示すように、対の挟持部4a,4aを備え、該挟持部4a,4aが、図3(イ)(ロ)に示すように、平はぜ部2を上下両側から挟むように配置され、ボルト4bで締め合わされることにより、平はぜ部2を挟持して、屋根に固着状態に取り付けられている。
【0016】
そして、該挟持部4a,4aには、図2(ロ)に示すように、上向き開放の溝形をした立ち上がり状のレール部4eが連接されており、該レール部4eは、図3(ロ)に示すように、上記の挟持取付け状態において、挟持取付け部から屋根面に沿うように屋根傾斜方向下方に延ばされており、上記のゴム状ブロック3は、図3(ハ)に示すように、該レール部4eがゴム状ブロック3の下面溝部8内に通されることにより、レール部4eを挟む両側の屋根面9に支承されると共に、レール部4eによって屋根傾斜方向と直交する水平方向においてきっちりとした位置決め状態に保持されている。
【0017】
また、図2(ロ)に示すように、取付け金物4において、レール部4eの前後部にはそれぞれストッパー4f,4gが備えられ、該前後のストッパー4f,4gにより、図3(ハ)に示すように、ゴム状ブロック3が屋根傾斜方向においてきっちりとした位置決め状態に保持されるようになされている。
【0018】
更に、取付け金物4のレール部4eには、図2(ロ)に示すように、その長さ方向中央部においてネジ軸11が立設されており、このネジ軸11は、図3(ハ)に示すように、ゴム状ブロック3の孔10に挿入され、ゴム状ブロック3の上面から上方に突出している。
【0019】
そして、下フレーム5は、屋根傾斜方向に向けられてゴム状ブロック3上に支承されると共に、図1,図4に示すように、取付け金物4に備えられているネジ軸11によりゴム状ブロック3を介して取付け金物4に連結され、また、下フレーム5と直交する方向に向けられた上フレーム6が下フレーム5の上に支承されると共に、上下のフレーム5,6はそれらの交叉部でネジ金物12にて連結され、太陽電池モジュール7は、上フレーム6に対して固定金物13によって取り付けられている。
【0020】
この取付け構造では、ゴム状ブロック3が用いられ、該ゴム状ブロック3をレール部4eを挟む両側の屋根面9に支承させると共に、該ゴム状ブロック3上に太陽電池モジュール取付け用の下フレーム5を支承させた構造としているので、ゴム状ブロック3の有する弾力性により、力学的に安定した取付け状態を形成することができる。
【0021】
しかも、取付け金物4には、屋根に対する挟持取付け部から屋根面に沿って屋根傾斜方向下方に延ばされたレール部4eが備えられ、ゴム状ブロック3は、下面溝部8内に通された該レール部4eにより屋根傾斜方向と直交する水平方向において位置決め状態に保持されると共に、レール部4eの前後部に備えられたストッパー4f,4gによって屋根傾斜方向において位置決め状態に保持され、そのような位置決め保持状態において、太陽電池モジュール取付け用の下フレーム5は、取付け金物4のレール部4eに立設され、ゴム状ブロック3を貫いて上方に突出するネジ軸11に、レール部4eからのゴム状ブロック3の浮き上がりを阻止するよう連結されて取り付けられ、そして、取付け金物4は、平はぜ部2を挟持することで屋根に固着状態に取り付けられているので、安定の良いしっかりとした取付け状態を形成することができる。
【0022】
よりしっかりとした取付け状態を形成する必要のある場合は、ゴム状ブロック3と屋根面とを接着剤で接着するようにするのもよい。
【0023】
加えて、取付け金物4は、このように、平はぜ部2を挟持することで屋根に固着状態に取り付けられる構成となっているので、金属板葺き屋根への取付けにおいて金属の葺き板に孔明けをする必要がなく、そのため、水漏れのおそれをなくすことができる。
【符号の説明】
【0024】
1…金属板葺き屋根
2…平はぜ部
3…ゴム状ブロック
4…取付け金物
4a…挟持部
4e…レール部
4f,4g…ストッパー
5,6…フレーム
7…太陽電池モジュール
8…溝部
11…ネジ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根傾斜方向と直交する水平方向に平はぜ部が延ばされた金属板葺き屋根への太陽電池の取付け構造であって、
ゴム状ブロックと取付け金物とが備えられ、
ゴム状ブロックは、下面部に溝部を備え、
取付け金物は、前記平はぜ部を挟持することで屋根に固着状態に取り付けられると共に、該取付け状態において、取付け部から屋根面に沿って屋根傾斜方向下方に延ばされる立ち上がり状のレール部を備え、
該レール部がゴム状ブロックの下面溝部内に通されることにより、ゴム状ブロックは、レール部を挟む両側の屋根面に支承されると共に、レール部によって屋根傾斜方向と直交する水平方向において位置決め状態に保持され、
前記取付け金物において、レール部の前後部にはそれぞれストッパーが備えられ、該前後のストッパーにより、ゴム状ブロックが屋根傾斜方向において位置決め状態に保持され、
該ゴム状ブロック上に太陽電池モジュール取付け用のフレームが支承され、該フレームに太陽電池モジュールが取り付けられており、前記レール部にはネジ軸部が立設され、該ネジ軸はゴム状ブロックを貫いて上方に突出し、該突出ネジ部に前記フレームがレール部からのゴム状ブロックの浮き上がりを阻止するように連結されて取り付けられていることを特徴とする金属板葺き屋根への太陽電池の取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−1909(P2012−1909A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135631(P2010−135631)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】