説明

太陽電池の製造方法、及び太陽電池

【課題】半導体基板の主面にムラなくテクスチャを形成することにより、半導体基板の歩留まりを向上できる太陽電池の製造方法、及びその太陽電池を提供する。
【解決手段】本発明は、エッチングによって、主面12と側面17とを有する板状の半導体基板10にテクスチャを形成するテクスチャ形成工程S12と、テクスチャが形成された半導体基板10に半導体層及び電極を形成する工程S2とを備え、工程S12は、エッチングの際に、バブリングを行う太陽電池の製造方法であって、工程S12では、主面12に対して垂直な軸を回転軸として半導体基板10を回転させながらエッチングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板にテクスチャを形成する工程を備えた太陽電池の製造方法、及び太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、クリーンで無尽蔵に供給される太陽光エネルギーを直接電気エネルギー変換することができるため、新しいエネルギー源として期待されている。
【0003】
従来、太陽電池に用いられる半導体基板には、入射した太陽光を閉じ込めるため、微小な凹凸構造であるテクスチャが形成される。テクスチャを形成する方法として、エッチング液に浸しながら、不活性ガスでバブリングを行う方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。エッチングの際に、バブリングを行うことにより、エッチングによって削られた半導体基板の小片が、再び半導体基板に付着するのを抑制できる。このため、エッチングの面内均一性を向上させることができる。
【0004】
効率化よくエッチングするため、複数枚の半導体基板が容器に入れられて、容器ごとエッチング液に浸される。容器の底部は、半導体基板を支持するとともに、一部開口している。容器の下側には、バブルを発生するバブラーが設置されている。発生したバブルは、浮力によって液面へと向かうため、バブルは開口部を通って、半導体基板に当たっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−233484号公報
【特許文献2】特開2002−57139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、開口部上に位置する半導体基板部分は、バブルが当たるものの、開口部上に位置していない半導体基板部分は、バブルが当たらない、若しくは当たり難かった。このように、底部の陰となって、バブルが当たらない、若しくはバブルが当たり難い半導体基板部分は、エッチングが不充分であるため、テクスチャの形成も不充分である。従って、このようにテクスチャの形成にムラのある半導体基板を用いた太陽電池では、発電効率は低下してしまう。また、充分なテクスチャが形成された部分とそうでない部分とでは、光の反射量も異なるため、外観上においても、問題があった。このため、テクスチャの形成工程において、半導体基板の歩留まりが低下していた。
【0007】
半導体基板を支持する底部の役割、及び容器の強度を保持する必要性から、半導体基板の全面にバブルが当たるように、開口部を大きくすることにも、制限があった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、半導体基板の主面にムラなくテクスチャを形成することにより、半導体基板の歩留まりを向上できる太陽電池の製造方法、及びその太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。本発明によれば、エッチングによって、主面(主面12)と側面(側面17)とを有する板状の半導体基板(半導体基板10)にテクスチャを形成するテクスチャ形成工程(工程S12)と、前記テクスチャが形成された前記半導体基板に半導体層(i型層102、p型層103、i型層106、n型層107)及び電極(透明電極膜104、第1電極105、透明電極膜108、第2電極109)を形成する工程(工程S2)とを備え、前記テクスチャ形成工程は、前記エッチングの際に、バブリングを行う太陽電池(太陽電池100)の製造方法であって、前記テクスチャ形成工程では、前記主面に対して垂直な軸を回転軸として前記半導体基板を回転させながらエッチングを行うことを要旨とする。
【0010】
本発明によれば、半導体基板にテクスチャを形成するテクスチャ形成工程では、主面に対して垂直な軸を回転軸として半導体基板を回転させながらエッチングを行う。主面の一部が、一時的に底部の陰になったとしても、半導体基板は回転するため、底部の陰になった主面は、再びバブルに当たる位置へと移動する。従って、主面の全面にバブルを当てることができるため、主面にムラなくテクスチャを形成することができる。
【0011】
また、前記テクスチャ形成工程では、前記側面にバブルを当てることにより、前記半導体基板を回転させることを要旨とする。
【0012】
また、前記半導体基板の重心を通り、前記主面に対して垂直な軸を重心軸とし、
また、前記バブルが浮き上がる方向に沿って前記半導体基板を視て、前記重心軸を境として、前記側面を一の側面と他の側面とに分けたとき、前記一の側面に当たる前記バブルの量と前記他の側面と当たる前記バブルの量とに差を設けることにより、前記半導体基板を回転させることを要旨とする。
【0013】
また、前記バブルを発生する複数のバブラーは、前記一の側面側よりも前記他の側面側に多く配置されることにより、前記一の側面に当たる前記バブルの量と前記他の側面と当たる前記バブルの量とに差を設けることを要旨とする。
【0014】
また、前記半導体基板は、円板状であることを要旨とする。
【0015】
また、エッチングの際にバブリングが行われることによって、主面と側面とを有する板状の半導体基板にテクスチャが形成されたであって、前記主面に対して垂直な軸を回転軸として前記半導体基板を回転させながらエッチングを行うことを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、半導体基板の主面にムラなくテクスチャを形成することにより、半導体基板の歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】図3は、半導体基板10の表面にテクスチャが形成される様子を説明するための斜視図である。
【図4】図4(a)は、図3のA−A断面図である。図4(b)は、図4(a)におけるバブルが浮き上がる方向Cに沿って視た半導体基板10の側面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係るの太陽電池100製造方法、及び太陽電池100の一例について、図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
(1)太陽電池100の概略構成
本発明の実施形態に係る太陽電池100の概略構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の構成を示す図である。
【0020】
太陽電池100は、図1に示すように、半導体基板10、i型層102、p型層103、透明電極膜104、第1電極105、i型層106、n型層107、透明電極膜108、及び、第2電極109を備えている。
【0021】
半導体基板10の第1主面には、i型層102、p型層103及び透明電極膜104が順次積層されている。透明電極膜104上には、長手方向を有する第1電極105が複数形成されている。半導体基板10の第2主面には、i型層106、n型層107及び透明電極膜108が順次積層されている。透明電極膜108上には、長手方向を有する第2電極109が複数形成されている。
【0022】
半導体基板10の表面には、テクスチャと呼ばれる凹凸が形成されている。i型層102、p型層103及び透明電極膜104は、テクスチャの形成された半導体基板10の受光面側の表面に積層される。このため、図1に示されるように、透明電極膜104の第1電極105が形成される面に、半導体基板10の第1主面に形成された凹凸と同様の凹凸が形成される。同様に、透明電極膜108の第2電極109が形成される面に、半導体基板10の第2主面に形成された凹凸と同様の凹凸が形成される。
【0023】
半導体基板10は、光を受ける受光面と、受光面とは反対側に設けられる裏面とを有する。半導体基板10は、受光面に光を受けることによってキャリア(電子と正孔)を生成する。本発明において、第1主面と第2主面とのどちらか一方の主面が受光面となる。
【0024】
半導体基板10は、n型又はp型の導電型を有する単結晶Si、多結晶Siなどの結晶系半導体材料や、GaAs、InPなどの化合物半導体材料を含む一般的な半導体材料によって構成することができる。
【0025】
i型層102、p型層103、i型層106及びn型層107それぞれは、水素を含む非晶質半導体によって構成することができる。このような非晶質半導体としては、例えば、非晶質シリコン、非晶質シリコンカーバイド、或いは非晶質シリコンゲルマニウムなどが挙げられる。
【0026】
透明電極膜104及び透明電極膜108は、透光性を有する導電性材料によって形成される。透明電極膜104及び透明電極膜108としては、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛などを用いることができる。第1電極105及び第2電極109としては、樹脂材料をバインダーとし、銀粒子等の導電性粒子をフィラーとする樹脂型導電性ペーストを用いて形成することができる。また、第1電極105及び第2電極109は、スパッタリング法やメッキ法による金属膜などを用いて形成することもできる。
【0027】
(2)太陽電池100の製造方法
本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法について、図2から図7を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法を説明するためのフローチャートである。図3は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法を説明するための斜視図である。図4(a)は、図3のA−A断面図である。図4(b)は、図4(a)におけるバブルが浮き上がる方向Cに沿って視た半導体基板10の側面図である。図5から図7は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法を説明するための断面図である。図5から図7は、図3のA−A断面図と同様の断面図である。
【0028】
図2に示されるように、太陽電池100の製造方法は、工程S1及び工程S2を有する。
【0029】
工程S1は、テクスチャの形成された半導体基板10を形成するテクスチャ形成工程である。工程S1は、工程S11及び工程S12を備える。
【0030】
工程S11は、半導体基板10を準備する工程である。半導体材料によって形成されたインゴットをスライスすることにより、半導体基板10が準備される。一般的に、インゴットは、円柱状の形状をしている。このようなインゴットをスライスして得られた半導体基板10は、円板状である。
【0031】
工程S12は、半導体基板10にテクスチャを形成する工程である。図3及び図4(a)に示されるように、スライスして得られた半導体基板10は、容器20に複数枚入れられる。容器20は、側部22と底部27とを備えている。半導体基板10は、側部22及び底部27と接触することによって、支持されている。図3に示されるように、容器20の内側の側部22には、仕切りを有する。仕切りによって、半導体基板10の縁部が支持されているため、半導体基板10は、第1方向xに倒れない。第1方向xは、主面12に垂直な方向である。
【0032】
容器20には、溝穴25及び底部穴29が形成されている。溝穴25は、側部22と底部27との間に、複数形成されている。第2方向yから視て、溝穴25は、第3方向zが長手方向となるように形成される。底部穴29は、一の底部27と他の底部27とを隔てるように形成されている。
【0033】
半導体基板10が入れられた容器20は、エッチング液に浸される。エッチング液には、酸溶液又はアルカリ溶液が用いられる。酸溶液としては、例えば、フッ硝酸溶液が用いられる。アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム溶液や水酸化カリウム溶液が用いられる。図示されていないが、容器20は、固定されている。
【0034】
次に、エッチング液に半導体基板10を浸した状態で、バブリングを行う。容器20の底部27側には、図3及び図4(a)に示されるように、チューブ状のバブラー30が4本備えられている(バブラー30a、バブラー30b、バブラー30c、バブラー30d)。バブラー30は、等間隔に配置されている。バブラー30には、バブル穴35が形成されている。バブル穴35は、例えば、2cm間隔に形成される。バブラー30にN等の不活性ガスを流すことにより、バブル穴35からバブルが発生する。発生したバブルは、溝穴25又は底部穴29を通って、半導体基板10の主面12及び側面17に当たりながら、液面に向けて上昇する。ただし、図4(a)に示した半導体基板10を支持する底部27の陰になる領域Rは、バブルが半導体基板10の主面12に当たらない、若しくは当たり難い。
【0035】
半導体基板10の重心を通り、主面12に対して垂直な軸を重心軸Gとする。バブルが浮き上がる方向Cに沿って、半導体基板10の側面17を視たとき、図4(b)に示すように、重心軸Gを境として、側面17は、一の側面17aと他の側面17bとに分けられる。
【0036】
本実施形態に係る太陽電池100の製造方法では、バブラー30a及びバブラー30bよりも、バブラー30c及びバブラー30dの方が、不活性ガスを多く流す。具体的には、バブラー30a及びバブラー30bには、10〜30[l/min]となるように、Nを流す。バブラー30c及びバブラー30dには、30〜60[l/min]となるように、Nを流す。このため、バブラー30a及びバブラー30bのバブル穴35から発生するバブル量よりも、バブラー30c及びバブラー30dのバブル穴35から発生するバブル量の方が多い。このため、他の側面17bの方が、一の側面17aよりもバブルが多く当たる。従って、液面へと向かう方向Cに、一の側面17aよりも大きな力が、他の側面17bに働く。これによって、回転方向rに、主面12に対して垂直な軸を回転軸として半導体基板10が回転する。本実施形態に係る太陽電池100の製造方法では、バブラー30に流れる気体の量に差を設けることにより、一の側面17aに当たるバブルの量と他の側面17bと当たるバブルの量とに差を設けている。
【0037】
その他に、バブラー30の位置を変えることにより、半導体基板10を回転させても良い。具体的には、バブルが浮き上がる方向Cに沿って半導体基板10を視て、一の側面17a側よりも他の側面17b側に、バブラー30を多く配置する。すわなち、一の側面17aに当たるバブルを発生するバブラー30の本数よりも、他の側面17bに当たるバブルを発生するバブラー30の本数の方が多くなるように、バブラー30を配置する。図5に示すように、バブラー30aから発生したバブルが一の側面17aに当たるように、バブラー30aを配置する。バブラー30b、バブラー30c及びバブラー30dから発生したバブルが他の側面17bに当たるように、バブラー30b、バブラー30c及びバブラー30dを配置する。これによって、一の側面17aに当たるバブルを発生するバブラー30の数は、1本であり、他の側面17bに当たるバブルを発生するバブラー30の数は、3本である。これにより、他の側面17bの方が、一の側面17aよりもバブルが多く当たるため、一の側面17aに当たるバブルの量と他の側面17bと当たるバブルの量とに差が設けられる。従って、回転方向rに半導体基板10が回転する。これによって、半導体基板10を回転させながらエッチングを行うことができる。
【0038】
バブリングの条件は、例えば、10〜60[l/min]のうち、いずれのバブラーも等しくなるように、Nを流すことができる。
【0039】
その他に、溝穴25又は底部穴29の大きさを変えることにより、半導体基板10を回転させても良い。具体的には、図6に示すように、一の側面17a側に位置する溝穴25aは、他の側面17b側に位置する溝穴25bよりも小さい。すわなち、溝穴25aを通るバブルの量は、溝穴25bを通るバブルの量に比べて、少ない。このため、他の側面17bの方が、一の側面17aよりもバブルが多く当たるため、一の側面17aに当たるバブルの量と他の側面17bと当たるバブルの量とに差が設けられる。従って、回転方向rに半導体基板10が回転する。これによって、半導体基板10を回転させながらエッチングを行うことができる。
【0040】
その他に、ローラー50によって、半導体基板10を回転させても良い。具体的には、半導体基板10の側面17に、ローラー50を当てて、ローラー50を回転させることにより、半導体基板10を回転させる。図7に示すように、ローラー50は、底部穴29に設けられている。ローラー50は、回転方向r2を持って、回転している。半導体基板10の側面17とローラー50は、接しているため、半導体基板10は、回転方向r1に回転する。これによって、半導体基板10を回転させながらエッチングを行うことができる。
【0041】
上述した方法によって、半導体基板10を回転させながらエッチングを行うことができる。主面12の一部が、底部27の陰となる領域Rに位置したとしても、半導体基板10は回転するため、領域Rに位置した主面12の一部は、再びバブルに当たる位置へと移動する。このため、主面12の一部は、領域Rに一時的にしか位置しない。すなわち、領域Rに常に位置している主面12の一部が存在しなくなる。従って、主面12の全面にバブルを当てることができるため、主面12にムラなくテクスチャを形成することができる。
【0042】
工程S12は、半導体基板10にテクスチャを形成するために行われる。このとき、半導体基板10をインゴットからスライスした際に表面に形成されたダメージ、及び表面に付着した汚れ(金属、有機物)も除去される。
【0043】
工程S2は、テクスチャが形成された半導体基板10にi型層102、p型層103、i型層106及びn型層107と、透明電極膜104、第1電極105、透明電極膜108及び第2電極109とを形成する工程である。
【0044】
テクスチャが形成された半導体基板10の受光面側に、i型層102、p型層103を順に形成する。形成されたp型層103の上に、透明電極膜104を形成する。透明電極膜104の上に、第1電極105を形成する。半導体基板10の裏面側に、i型層106、n型層107を順に形成する。形成されたn型層107の上に、透明電極膜108を形成する。透明電極膜108の上に、第2電極109を形成する。i型層102、p型層103、i型層106及びn型層107は、例えば、プラズマCVD法によって、形成される。透明電極膜104、第1電極105、透明電極膜108及び第2電極109は、例えば、スパッタリング法又はスクリーン印刷法によって、形成される。これによって、図1に示される太陽電池100が形成される。
【0045】
(3)比較評価
本発明の効果を確かめるために、比較評価を行った。具体的には、エッチングの際に回転させずにテクスチャを形成した半導体基板を10000枚、用意した。目視観察によって、テクスチャにムラがある半導体基板を取り除いた(比較例)。同様にして、未使用のエッチング液を用いて、エッチングの際に回転させてテクスチャを形成した半導体基板を用意した。目視観察によって、テクスチャにムラがある半導体基板を取り除いた(実施例1)。また、テクスチャの形成に、数十回から百回使用されたエッチング液を用いて、エッチングの際に回転させてテクスチャを形成した半導体基板を用意した。目視観察によって、テクスチャにムラがある半導体基板を取り除いた(実施例2)。
【0046】
実施例1及び実施例2とも、図5に示されるように、バブラー30aから発生したバブルが一の側面17aに当たるように、バブラー30aを配置した。バブラー30b、バブラー30c及びバブラー30dから発生したバブルが他の側面17bに当たるように、バブラー30b、バブラー30c及びバブラー30dを配置した。各バブラー30には、バブル穴35が2cm間隔に形成されている。バブリングの条件は、バブラー30を流れるNの流量が、約30[l/min]となるように設定した。また、いずれの半導体基板も口径が約170[mm]のものを用いた。
【0047】
比較例と比べると実施例1では、半導体基板の歩留まりが0.8%向上した。数十回から百回使用したエッチング液を用いた実施例2であっても、比較例と比べて、半導体基板の歩留まりが0.1%向上した。この結果から、半導体基板を回転させながらエッチングを行うことによって、半導体基板の歩留まりを向上できることが確認できた。
【0048】
(4)作用・効果
本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法によれば、テクスチャ形成工程では、主面12に対して垂直な軸を回転軸として半導体基板10を回転させながらエッチングを行う。主面12の一部が、底部27の陰となる領域Rに位置したとしても、半導体基板10は回転するため、領域Rに位置した主面12の一部は、再びバブルに当たる位置へと移動する。このため、主面12の一部は、領域Rに一時的にしか位置しない。すなわち、領域Rに常に位置している主面12の一部が存在しなくなる。従って、主面12の全面にバブルを当てることができるため、主面12にムラなくテクスチャを形成することができる。
【0049】
本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法によれば、側面17にバブルを当てることにより、半導体基板10を回転させる。また、一の側面17aに当たるバブルの量と他の側面17bと当たるバブルの量とに差を設けることにより、半導体基板10を回転させる。これによって、複雑な製造装置を用いることなく半導体基板10を回転させることができる。
【0050】
本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法によれば、バブルを発生する複数のバブラー30は、一の側面17a側よりも他の側面17b側に、バブラー30を多く配置することにより、一の側面17aに当たるバブルの量と他の側面17bと当たるバブルの量とに差を設ける。これによって、各バブラー30の流量を調整することなく、一の側面17aに当たるバブルの量と他の側面17bと当たるバブルの量とに差を設けることができる。
【0051】
本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法によれば、半導体基板10は、円板状である。円板状の半導体基板10は、回転しやすいため、回転させるために用いるエネルギーを抑えることができる。
【0052】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
【0053】
本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法では、半導体基板10を回転させるため、バブラー30に流れる気体の量に差を設けたり、一の側面17a側よりも他の側面17b側に、バブラー30を多く配置したり、溝穴25又は底部穴29の大きさを変えたり、半導体基板10の側面17に、ローラー50を当てたりしたが、これらの方法を複数組み合わせても良い。
【0054】
本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法では、半導体基板10は、円板状であったが、そうでなくても良い。具体的には、半導体基板10は、六角形状といった多角形状であっても良い。また、回転しやすいように、多角形状の角を円弧状に削った半導体基板10であっても良い。
【0055】
本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法では、半導体基板10にi型層102及びi型層106が形成されたが、i型層102及びi型層106を形成しなくても良い。
【0056】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態を含む。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0057】
10…半導体基板、12…主面、17…側面、17a…一の側面、17b…他の側面、20…容器、22…側部、25,25a,25b…溝穴、27…底部、29…底部穴、30,30a,30b,30c,30d…バブラー、35…バブル穴、50…ローラー、100…太陽電池、102,106…i型層、103…p型層、104,108…透明電極膜、105…第1電極、107…n型層、109…第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングによって、主面と側面とを有する板状の半導体基板にテクスチャを形成するテクスチャ形成工程と、
前記テクスチャが形成された前記半導体基板に半導体層及び電極を形成する工程とを備え、
前記テクスチャ形成工程は、前記エッチングの際に、バブリングを行う太陽電池の製造方法であって、
前記テクスチャ形成工程では、前記主面に対して垂直な軸を回転軸として前記半導体基板を回転させながらエッチングを行う太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記テクスチャ形成工程では、前記側面にバブルを当てることにより、前記半導体基板を回転させる請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記半導体基板の重心を通り、前記主面に対して垂直な軸を重心軸とし、
前記バブルが浮き上がる方向に沿って前記半導体基板を視て、前記重心軸を境として、前記側面を一の側面と他の側面とに分けたとき、
前記一の側面に当たる前記バブルの量と前記他の側面と当たる前記バブルの量とに差を設けることにより、前記半導体基板を回転させる請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記バブルを発生する複数のバブラーは、前記一の側面側よりも前記他の側面側に多く配置されることにより、前記一の側面に当たる前記バブルの量と前記他の側面と当たる前記バブルの量とに差を設ける請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板は、円板状である請求項1から4の何れか1項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
エッチングの際にバブリングが行われることによって、主面と側面とを有する板状の半導体基板にテクスチャが形成された太陽電池であって、
前記主面に対して垂直な軸を回転軸として前記半導体基板を回転させながらエッチングを行うことにより、前記テクスチャは形成された太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−155228(P2011−155228A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17365(P2010−17365)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】