説明

太陽電池モジュールの取付構造、及びその取付施工方法

【課題】建築物の屋根に施工される多種の縦葺き(縦張り)外装構造に適用でき、容易に太陽電池モジュールを取り付けることができ、費用対効果も高く、高い取付強度が得られる太陽電池モジュールの取付構造、及びその取付施工方法を提供する。
【解決手段】山状部分と谷状部分とが連続する屋根面2から上方へ持ち出す持出架台3又は持出架台3に固定する取付部材4により太陽電池モジュール1を取り付ける取付構造であって、取付部材4は、持出架台3に固定する固定部と、太陽電池モジュール1の端縁を上方から押さえる押さえ具5を締着させる締着手段と、締着手段を挟んで太陽電池モジュールの端縁を位置規制する位置決め部43とを有し、持出架台3に取付部材4を固定し、各位置決め部43に沿うように、それぞれ太陽電池モジュール1を配設し、配設した隣接する太陽電池モジュール1,1の端縁を押さえ具5にて押さえると共に締着手段にて締め付け固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋根に施工される多種の縦葺き(縦張り)外装構造に適用でき、容易に太陽電池モジュールを取り付けることができ、費用対効果も高く、高い取付強度が得られる太陽電池モジュールの取付構造、及びその取付施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会的情勢及び政治的情勢が相俟って太陽エネルギー変換モジュールへの期待はますます高まっており、既設の構造物や建築物の屋根面への太陽電池パネルの取り付け要請もまた高まっている。
上述の要請に鑑み、縦葺き屋根上に太陽電池を設置する構造として、例えば特許文献1や特許文献2等に示されるような、取付対象の屋根構造におけるハゼ部にボルトナット等の締着具にて持出金具を取り付ける構造が提案されている。
このうち、特許文献1では、架け渡した複数の板状の桟部材101sに跨るように太陽電池モジュール101を配設した構成であり、特許文献2では、太陽電池モジュール3の側縁に、側方に受皿状の浅溝部を設けたフレーム(外枠3a)を取り付け、このフレームの浅溝部を取付け金具2の抑え部6で上方から保持している構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−17175号公報
【特許文献2】特開2003−96986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1では、桟部材101sに設けられた孔に、前記持出金具(取り付け部材1)に立設した雄ネジ部10pを挿通し、しかも桟部材101s上に太陽電池モジュール101を載置した状態で、その端縁にZ字状の金具101hを取り付けて固定した構成であるから、取付作業が面倒であるため施工性が悪く、安定な取付強度も得られ難いものであった。
また、前記特許文献2では、太陽電池モジュール3の側縁に沿うフレーム(外枠3a)を必要とするため、コストがかかり、しかも隣り合う太陽電池モジュール3,3には所定の配設間隔を必要とするものであった。しかも、外枠3の浅溝部に、取付け金具2の抑え部6を配置しても、太陽電池モジュール3は容易にズレ動いてしまうという問題もあり、総じて費用対効果が低く(悪く)、施工性も悪かった。
【0005】
そこで、本発明は、建築物の屋根に施工される多種の縦葺き(縦張り)外装構造に適用でき、容易に太陽電池モジュールを取り付けることができ、費用対効果も高く、高い取付強度が得られる太陽電池モジュールの取付構造、及びその取付施工方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、山状部分と谷状部分とが連続する屋根面から上方へ持ち出す持出架台又は該持出架台に固定する取付部材により太陽電池モジュールを取り付ける太陽電池モジュールの取付構造であって、前記取付部材は、持出架台に固定する固定部と、太陽電池モジュールの端縁を上方から押さえる押さえ具を締着させる締着手段と、該締着手段を挟んで流れ方向に太陽電池モジュールの端縁を位置規制する位置決め部とを有し、持出架台に取付部材を固定し、各位置決め部に沿うように、それぞれ太陽電池モジュールを配設し、配設した隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえ具にて押さえると共に締着手段にて締め付け固定してなることを特徴とする太陽電池モジュールの取付構造に関するものである。
【0007】
また、本発明は、前記取付構造において、取付部材は、押さえ具を受ける隆状受部を有することを特徴とする太陽電池モジュールの取付構造をも提案する。
【0008】
また、本発明は、前記取付構造において、持出架台は、取付部材が固定される被固定部と、屋根面を構成する外装材の成形部にて形成した凸部の外側に跨って配される掴み部と、該掴み部と前記被固定部との間に設けられる挟み部と、該挟み部を内側へ押圧する締付部とを備え、、屋根面の凸部にこの持出架台の掴み部を取り付け、締付部を締め付けることにより、前記掴み部を左右から押圧して前記凸部を挟圧状に保持して固定することを特徴とする太陽電池モジュールの取付構造も提案する。
【0009】
さらに、本発明は、山状部分と谷状部分とが連続する屋根面から上方へ持ち出す持出架台又は該持出架台に固定する取付部材により太陽電池モジュールを取り付ける太陽電池モジュールの取付方法であって、前記取付部材は、持出架台に固定する固定部と、太陽電池モジュールの端縁を上方から押さえる押さえ具を締着させる締着手段と、該締着手段を挟んで流れ方向に太陽電池モジュールの端縁を位置規制する位置決め部とを有し、屋根面に持出架台を固定すると共に該持出架台に取付部材を固定する第1の工程と、固定した取付部材の各位置決め部に沿うように、それぞれ太陽電池モジュールを配設する第2の工程と、配設した隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえ具にて押さえると共に締着手段にて締め付け固定する第3の工程と、を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの取付施工方法をも提案するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の太陽電池モジュールの取付構造は、屋根面から上方へ持ち出す持出架台又は締着手段と位置決め部とを有する取付部材により、太陽電池モジュールを安定に取り付けるものであって、太陽電池モジュールを前記位置決め部にて容易に位置規制させて配設することができ、施工性が良い。しかも、隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえ具にて押さえると共に締着手段にて締め付け固定するので、高い取付強度が得られる。
さらに、本発明では、種々の仕様の太陽電池モジュールを前記特許文献2のように特殊なフレーム等を必要とすることもないし、特殊なフレームであってもそのまま用いることができる。また、用いる取付部材及び押さえ具は、簡易形状のピース材でもよく、複雑な、或いは連続材を必要としない。また、流れ方向に隣接する太陽電池モジュールに必要な配設間隔は、締着手段、例えばボルト一本分でよく、有効に敷設面積を利用することができる。したがって、安価なコストで施工でき、総じて費用対効果が高い(良い)ものである。
【0011】
また、取付部材が、押さえ具を受ける隆状受部を有する場合、締着手段にて強固に取り付けても過剰な締め付けを防止できるため、部材の変形等を生ずることがなく、安定な取付が実施される。
【0012】
また、持出架台が、取付部材が固定される被固定部と、屋根面を構成する外装材にて形成した凸部の外側に配される掴み部と、該掴み部と前記被固定部との間に設けられる挟み部と、該挟み部を内側へ押圧する締付部とを備え、屋根面の凸部にこの持出架台の掴み部を取り付け、締付部を締め付けることにより、前記掴み部を左右から押圧して前記凸部を挟圧状に保持して固定する場合、屋根面を構成する外装材の成形部にて凸部が形成される仕様に好適であって、持出架台が安定に取り付けられ、その結果、この持出架台に取付部材を安定に取り付けることができる。また、締付部の締着によって直接変形する部分(挟み部)と凸部を押圧する部分(掴み部)とが別々であるため、過度な締め込みによる変形や、取付箇所のズレ等を防ぎ、安定して取付を行うことができる。
【0013】
さらに、本発明の太陽電池モジュールの取付施工方法は、屋根面に持出架台を固定すると共に該持出架台に取付部材を固定する第1の工程も、固定した取付部材の各位置決め部に沿うように太陽電池モジュールを配設する第2の工程も、隣接する太陽電池モジュールに押さえ具を配して締着手段で締め付け固定する第3の工程も、それぞれに容易に実施できるので、全体的に施工性に優れ、実用的価値が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの取付構造の一実施例(第1実施例)を示す各部材の取付前の状態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の太陽電池モジュールの取付構造の一実施例(第1実施例)の要部を示すため、意図的に一部構成を欠載した斜視図である。
【図3】(a)第1実施例の取付構造の断面図、(b)その要部の拡大図を付記した側断面図、(c)用いた取付部材の拡大平面図、拡大正面図、拡大側面図、(d)用いた押さえ具の拡大平面図、拡大正面図、拡大側面図、(e)用いた持出架台の拡大正面図、拡大側面図である。
【図4】(a)本発明の取付構造の他の一実施例(第2実施例)を示す断面図、(b)その側断面図、(c)本発明の取付構造の他の一実施例(第3実施例)を示す断面図、(d)当該実施例における取付部材の形成法の一例を付記した側断面図、(e)本発明の取付構造の他の一実施例(第4実施例)を示す断面図、(f)その側断面図、(g)本発明の取付構造の他の一実施例(第5実施例)を示す断面図、(h)その側断面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の太陽電池モジュールの取付構造は、山状部分と谷状部分とが連続する屋根面から上方へ持ち出す持出架台又は該持出架台に固定する取付部材により太陽電池モジュールを取り付けるものである。
そして、持出架台に取付部材を固定し、各位置決め部に沿うように、それぞれ太陽電池モジュールを配設し、配設した隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえ具にて押さえると共に締着手段にて締め付け固定してなるものである。
以下に、この取付構造を構成する(A)太陽電池モジュール、(B)持出架台、(C)取付部材、(D)押さえ具について順に説明する。
【0016】
(A)太陽電池モジュール
本発明に用いる太陽電池モジュールは、太陽電池の周縁に所定形状のフレーム(枠)を一体的に固定した枠有りのモジュールであっても、その端縁(小口)に止水、防水処理を施された枠無しのモジュールであってもよく、その流れ方向及びそれと直交する方向のサイズを限定するものではない。
【0017】
(B)持出架台
本発明に用いる持出架台は、山状部分と谷状部分とが連続する屋根面から上方へ持ち出すものであれば、特にその構成は限定するものではなく、公知のどのような持出架台でも使用することができる。
具体的には、この持出架台としては、単一部材であっても、複数部材の組み合わせであってもよく、屋根面への取付部と、取付部材の固定部が固定される被固定部とを有する構成である。
前記取付部は、ビス止めや締着(実施例)等の公知の取付方法であればよい。また、前記被固定部は、特に限定するものではないが、後述する図示実施例のように略平坦状でもよく、更に太陽電池モジュール(パネル)の支持(載置)部を兼ねるものでもよい。
この持出架台と後述する取付部材とは、組み付け状態において太陽電池モジュール(パネル)の支持(載置)部が構成されればよく、組み付け前にあってはどちらに設けられてもよい。
屋根面を構成する外装材の成形部にて凸部が形成される場合には、後述する図示実施例に示すように、凸部の外側に跨って配される掴み部と、該掴み部と前記被固定部との間に設けられる挟み部と、該挟み部を内側へ押圧する締付部とを備える構成が好適に使用できる。この構成の持出架台は、屋根面の凸部にこの持出架台の掴み部を取り付け、締付部を締め付けることにより、前記掴み部を左右から押圧して前記凸部を挟圧状に保持して固定することができる。
そして、上記構成の持出架台は、安定に取り付けられ、この持出架台に取付部材を安定に取り付けることができる。また、締付具の締着によって直接変形する部分(挟み部)と凸部を押圧する部分(掴み部)とが別々であるため、過度な締め込みによる変形や、取付箇所のズレ等を防ぎ、安定して取付を行うことができる好適に用いられる。
【0018】
(C)取付部材
本発明に用いる取付部材は、持出架台に固定する固定部と、太陽電池モジュールの端縁を上方から押さえる押さえ具を締着させる締着手段と、該締着手段を挟んで太陽電池モジュールの端縁を位置規制する位置決め部とを有する構成である。また、前記持出架台の被固定部などに太陽電池モジュール(パネル)を支持(載置)する十分な幅(大きさ、長さ)が無い場合には、この取付部材で支持するものでもよい。即ち支持(載置)部は、前記持出部材に設けてもよいし、後述する図示実施例に示すようにこの取付部材に設けてもよい。
上記固定部は、例えば後述する図示実施例のように持出架台の被固定部がフランジ状である場合には、この固定部もフランジ状としても良いし、特にその構成を限定するものではない。また、後述する図示実施例のようにボルトナットによる締着によって固定されるものでもよいし、その他公知の組み付け手段によるものでもよい。なお、後述する図示実施例では、この固定部が支持(載置)部を兼ねる構成としたが、必ずしもそれに限定するものではない。
上記締着手段は、後述する押さえ具を下方へ押し付けた状態で締着するものであって、後述する図示実施例のように上方へ雄ネジ部分を立設させ、該雄ネジ部分に螺合する雌ネジ部分を備えるナット等を締め付ける構成でもよいし、特にその構成を限定するものではない。
上記位置決め部は、前記締着手段を挟んで設けられるものであり、太陽電池モジュールの端縁を位置規制するものである流れ方向、流れ方向に交わる方向の少なくと一方向に設ければよい。言い換えればこの取付部材は、位置決め部が配設しようとする太陽電池モジュールの端縁を位置規制するために、流れ方向又は流れ方向に交わる方向に取り付けられる。この位置決め部としては、単に起立片状でも良いし、段状(=後述する隆状受部の側面)でも良く、特にその構成を限定するものではない。
【0019】
なお、この取付部材には、押さえ具を受ける隆状受部を設けてもよい。この隆状受部は、締着手段の締め過ぎを防止するものであり、そのため、部材の変形等を生ずることがなく、安定な取付が実施される。
また、後述する図示実施例に示すように、表面側へ突出する隆起部の頂部をこの隆状受部として用い、その側面を前記位置決め部として利用することもできる。
【0020】
(D)押さえ具
本発明に用いる押さえ具は、隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえるものであり、前記締着手段にて締め付け固定されるものである。この押さえ具としては、後述する図示実施例では、締着手段として用いた雄ネジ部分が貫通する逆ハット型形状としたが、特にこれに限定するものではない。
【0021】
これらの各部材から構成される本発明の太陽電池モジュールの取付構造は、前記太陽電池モジュールを前記取付部材の位置決め部にて容易に位置規制させて配設できるため、施工性に優れている。しかも、隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえ具にて押さえた状態で締め付け固定するので、高い取付強度が得られる。
また、種々の仕様の太陽電池モジュールをそのまま用いることができ、特殊なフレームを必要とせず特殊なフレームであってもそのまま用いることができ、隣接する太陽電池モジュールに必要な配設間隔は、締着手段、例えばボルト一本分でよい。また、前記取付部材及び前記押さえ具は、ピース材でよい。したがって、本発明の取付構造は、安価なコストで施工でき、総じて費用対効果が高い(良い)。
【0022】
また、本発明の太陽電池モジュールの取付施工方法は、以下に説明する第1〜第3の工程を含む。
第1の工程は、屋根面に持出架台を固定すると共に該持出架台に取付部材を固定する。
第2の工程は、固定した取付部材の各位置決め部に沿うように、それぞれ太陽電池モジュールを配設する。
第3の工程は、配設した隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえ具にて押さえると共に締着手段にて締め付け固定する。
【0023】
第1の工程は、取付状態において、取付部材の各位置決め部が流れ方向に直交するように、取付部材を持出架台に固定する。
後述する図示実施例のように持出架台が略左右対称状の構成とするに対し、取付部材は流れ方向に略対称状とすることにより、強度の弱点となる方向が屋根面(=流れ方向)と太陽電池モジュール面(=流れ方向と直交する方向)とで一致しないように組み付けることが望ましい。
【0024】
第2の工程は、固定した取付部材の各位置決め部に沿うように、流れ方向に隣接させてそれぞれ太陽電池モジュールを配設する。
前述のように太陽電池モジュールは、どのような構成でもよく、そのまま用いることができる。なお、「位置決め部に沿う」とは、位置決め部と太陽電池モジュールの端縁とを基本的に当接させる意味であるが、適切な間隔を確保することがが重要であって、実体的には僅かに離反していてもよい。
【0025】
第3の工程は、配設した流れ方向に隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえ具にて上方から押さえると共に締着手段にて締め付け固定する。
前述のように締着手段として上方へ立設した雄ネジ部分とした場合には、該雄ネジ部分が貫通する孔を押さえ具に設けることにより、ナットを取り付けて押さえ具を下方へ圧着することができる。
【0026】
このように第1〜第3の各工程は、何れも容易に実施できるものであって、全体的に施工性に優れ、実用的価値が高い。
なお、本発明の持出架台を設置する屋根面は、前述のように山状部分と谷状部分とが連続する構成を有するものであればよく、新築でも既設でもよい。
【実施例】
【0027】
図1〜図3に示す本発明の太陽電池モジュール1の取付構造の第1実施例は、山状部分2Mと谷状部分2Vとが連続する屋根面2に、持出架台3を設置し、該持出架台3に取付部材4により太陽電池モジュール1を取り付けるものである。
【0028】
前記太陽電池モジュール1は、太陽電池10の周囲(四辺)に予めフレーム(左右方向の端縁フレームを11a,流れ方向の端縁フレームを11bとする)を取り付けたパネル状であり、各フレーム11a,11bは上端にコ字状の保持部を有し、太陽電池10の内面側に沿う中空部分を有する構成であり、フレーム11a,11b同士はビス止め(ビス12)にて一体的に固定されている。
【0029】
前記屋根面2は、図3(a)に示すように左右方向に配設された下地6上に、面板部21とその両側縁を立ち上げた立ち上がり部22,22とを備える縦葺き外装材(以下、単に外装材という)20を、略門型状の下部保持部材7Bと、該下部保持部材7B上にボルト7cにて一体化した、起立片71を備える上部保持部材7Aと、からなる保持部材にて、左右に隣接させて敷設した構成である。
前記外装材20は、金属板を屈曲成形した長尺材で、略平坦状の面板部21が前記谷状部分2Vを形成し、左右側縁を立ち上げた立ち上がり部22の上半部分が前記山状部分2Mを形成する。この立ち上がり部22は、下方に位置する略傾斜面状の斜面部221と、上方に位置する前記斜面部221より傾斜が緩やかな略水平面部222とからなり、共に下部保持部材7Bに裏面を支持されている。また、前記略水平面部222には、略鉛直状に立ち上げられた重合部(図面右側)、被重合部(図面左側)が設けられ、上部保持部材7Aの起立片71を挟むように重合した状態で略円弧状にカシメて凸部23が形成される構成である。
【0030】
前記持出架台3は、図3(e)に示すように左右一対の部材であって、取付部材4が固定される略フランジ状の被固定部31と、前記屋根面2の凸部23の左右の外側に配される略円弧状の掴み部32と、該掴み部32と前記被固定部31との間に設けられる挟み部33と、該挟み部33を内側へ押圧するボルトナットである締付部34と、前記屋根面2の略水平面部222に沿わせる取付面部35を備える構成である。なお、図中、311は被固定部31に設けられた孔であり、321は屋根面2の凸部23の基端を左右から挟持する係止部である。
そして、屋根面2の凸部23の外側にこの持出架台3の掴み部32を取り付け、ボルトナット34を締め付けることにより、前記掴み部32を左右から押圧して前記凸部23を挟圧状に保持して固定することができる。
【0031】
前記取付部材4は、前記持出架台3に固定する固定部41と、太陽電池モジュール1の端縁を上方から押さえる押さえ具5を締着させる締着手段42と、該締着手段42を挟んで流れ方向に太陽電池モジュール1の端縁を位置規制する位置決め部43とを有する構成であり、固定部41は、太陽電池モジュール(パネル)を支持(載置)する支持(載置)部45を兼ねる。
図示実施例の取付部材4は、図3(c)に示すように略矩形状の原料板材の略中央に表面側へ突出する隆起部40が設けられる成形体(=略平坦状の支持(載置)部45の略中央に隆起部40を設けた成形体)であって、この隆起部40の頂部が押さえ具5を受ける隆状受部44であり、この隆起部40の側面(=流れ方向を向く側面)が前記位置決め部43であり、その裏面側に上向きに固定される六角ボルト4dが前記締着手段42である。この六角ボルト4dには、ナット4eを取り付けて螺合することで締着手段42が完成する。なお、図中411は、固定部41に形成される孔である。
そして、この取付部材4のフランジ状の固定部41は、前記持出架台3の被固定部31の上面に重合させて孔411,311を連通させた状態で、裏面側からボルト4bを孔311,411に挿通させ、表面側からナット4cを取り付けて固定することができる。
【0032】
前記太陽電池モジュール1の流れ方向の端縁を押さえる押さえ具5は、前記取付部材4の締着手段42にて締め付け固定されるものである。
図示実施例の押さえ具5は、図3(d)に示すように略矩形状の原料板材を断面略U字状に折曲加工した成形体であって、略中央の底状部51の流れ方向の両端を立ち上げ(立ち上げ部52,52)、更に外側へ折曲し、略水平状の押さえ部53,53とした。
【0033】
これらの各部材から構成される本発明の太陽電池モジュールの取付構造は、以下に示す第1〜第3の工程の手順にて施工される。
なお、以下の工程に先立って屋根面2の凸部23に前記持出架台3を左右から取り付けて固定する。具体的には左右略対称状の部材を背中合わせに一体化させるが、凸部23を包持するように掴み部32を取り付けると共に、その取付面部35や被固定部31が略水平状になるように組み付け、挟み部33をボルトナットである締付部34にて締め付け固定し、凸部23の基端を左右から係止部321にて挟持するように固定する。
【0034】
まず、第1の工程では、前記持出架台3に対し、各位置決め部43が流れ方向に直交するように取付部材4を固定する。具体的には持出架台3の被固定部31に取付部材4の固定部41を重合状に沿わせ、裏面側からボルト4bを孔311,411に挿通させ、表面側から4cを取り付けて固定することができる。
次に、第2の工程では、固定した取付部材4の各位置決め部43に沿うように、それぞれ前記太陽電池モジュール1,1を支持(載置)部45上に配設する。その結果、図3(b)に拡大して示すように、位置決め部43と太陽電池モジュール1の端縁(フレーム11b)とは、僅かに離反させた状態に配置させていてもよい。
そして、第3の工程では、配設した流れ方向に隣接する太陽電池モジュール1,1の端縁(フレーム11b,11b)を押さえ具5の押さえ部53,53にて上方から押さえると共に締着手段42である六角ボルト4dにナット4eを締め付け固定する。
【0035】
このように施工された本発明の太陽電池モジュール1の取付構造は、前記太陽電池モジュール1を前記取付部材4の位置決め部43にて容易に位置規制させて配設できるため、施工性に優れている。しかも、流れ方向に隣接する太陽電池モジュール1,1の端縁(フレーム11b,11b)を押さえ具5にて押さえた状態で締め付け固定するので、高い取付強度が得られる。
また、種々の仕様の太陽電池モジュール1を特殊なフレーム等を用いること無くそのまま用いることができる。また、上述の特殊なフレームを用いないので、流れ方向に隣接する太陽電池モジュール1,1に必要な配設間隔は、締着手段42、例えばボルト一本分でよい。また、前記取付部材4及び前記押さえ具5は、ピース材でよい。したがって、本発明の取付構造は、安価なコストで施工でき、総じて費用対効果が優れている。
【0036】
図4(a),(b)に示す第2実施例は、取付部材4II以外の太陽電池モジュール1、屋根面2、持出金具3'、及び押さえ具5については前記第1実施例とほとんど同一であって、持出金具3'についても被固定部31の略中央に凹状部312が設けられている以外は全く同一であって、これらの部材については、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この第2実施例の取付部材4IIは、略矩形状の原料板材の中程付近に流れ方向を向く短幅の切り起こし片43iiが設けられ、該切り起こし片43iiが位置決め部に相当し、前記第1実施例における位置決め部43と同様に太陽電池モジュール1の流れ方向の端縁を位置規制する役割を果たす。また、この取付部材4IIの締着手段は、溶接等にて一体的に固定した皿ボルト4d'が前記締着手段42iiである。この皿ボルト4d'には、ナット4eを取り付けて螺合することで締着手段42iiが完成する。
【0037】
図4(c),(d)に示す第3実施例は、取付部材4III以外の太陽電池モジュール1、屋根面2、持出金具3、及び押さえ具5については前記第1実施例と全く同一であるから、これらの部材については、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この第3実施例の取付部材4IIIは、略矩形状の原料板材の略中央に上方が開放する溝部401を有する隆状部40'が設けられ、その端部(図では斜線部)を切除した側面402が位置決め部に相当し、前記第1実施例における位置決め部43と同様に太陽電池モジュール1の流れ方向の端縁を位置規制する役割を果たす。また、前記隆状部40'の溝部401には、締着手段である六角ボルト4dが装着され、ナット4eの締め付けにより溝部401へも固定される。
【0038】
図4(e),(f)に示す第4実施例は、取付部材4IVにおける締着手段が長尺な六角ボルト4d"とナット4eとからなる以外は、前記第2実施例とほとんど同一であって、その切り起こし片43ivは前記切り起こし片43iiと同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
図4(g),(h)に示す第5実施例は、取付部材4Vが、略矩形状の平板材と略U字状の成形材とを一体化してなり、前記平板材が支持(載置)部45vを形成し、前記略U字状材の二つの起立片が位置決め部43v,43vを形成し、締着手段が長尺な六角ボルト4d"とナット4eとからなる以外は、前記第2実施例とほとんど同一であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【符号の説明】
【0040】
1 太陽電池モジュール
10 太陽電池
11a,11b (端縁)フレーム
12 ビス
2 屋根面
2M 山状部分
2V 谷状部分
20 外装材
21 面板部
22 立ち上がり部
23 凸部
3 持出架台
31 被固定部
311 孔
32 掴み部
321 係止部
33 挟み部
34 締付部(ボルトナット)
35 取付面部
4 取付部材
40 隆起部
41 固定部
411 孔
42 締着手段
43 位置決め部
45 支持(載置)部
4b ボルト
4c ナット
4d 六角ナット
4e ナット
5 押さえ具
51 底状部
52 立ち上げ部
53 押さえ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
山状部分と谷状部分とが連続する屋根面から上方へ持ち出す持出架台又は該持出架台に固定する取付部材により太陽電池モジュールを取り付ける太陽電池モジュールの取付構造であって、
前記取付部材は、持出架台に固定する固定部と、太陽電池モジュールの端縁を上方から押さえる押さえ具を締着させる締着手段と、該締着手段を挟んで太陽電池モジュールの端縁を位置規制する位置決め部とを有し、
持出架台に取付部材を固定し、各位置決め部に沿うように、それぞれ太陽電池モジュールを配設し、配設した隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえ具にて押さえると共に締着手段にて締め付け固定してなることを特徴とする太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項2】
取付部材は、押さえ具を受ける隆状受部を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項3】
持出架台は、取付部材が固定される被固定部と、屋根面を構成する外装材にて形成した凸部の外側に配される掴み部と、該掴み部と前記被固定部との間に設けられる挟み部と、該挟み部を内側へ押圧する締付部とを備え、
屋根面の凸部にこの持出架台の掴み部を取り付け、締付部を締め付けることにより、前記掴み部を左右から押圧して前記凸部を挟圧状に保持して固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの取付構造。
【請求項4】
山状部分と谷状部分とが連続する屋根面から上方へ持ち出す持出架台又は該持出架台に固定する取付部材により太陽電池モジュールを取り付ける太陽電池モジュールの取付方法であって、
前記取付部材は、持出架台に固定する固定部と、太陽電池モジュールの端縁を上方から押さえる押さえ具を締着させる締着手段と、該締着手段を挟んで太陽電池モジュールの端縁を位置規制する位置決め部とを有し、
屋根面に持出架台を固定すると共に該持出架台に取付部材を固定する第1の工程と、
固定した取付部材の各位置決め部に沿うように、それぞれ太陽電池モジュールを配設する第2の工程と、
配設した隣接する太陽電池モジュールの端縁を押さえ具にて押さえると共に締着手段にて締め付け固定する第3の工程と、
を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの取付施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−60786(P2013−60786A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201628(P2011−201628)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000165505)元旦ビューティ工業株式会社 (159)
【Fターム(参考)】